アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

FUSION

e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ヴァイアティカム+ライヴ5

VIATICUM + LIVE IN BERLIN-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の“最高傑作”『VIATICUM』に『LIVE IN BERLIN』をカップリングして新たに再発?されたのが『VIATICUMLIVE IN BERLIN』(以下『ヴァイアティカム+ライヴ』)である。

 『VIATICUM』が素晴らしいのは言うまでもない。そんな大名盤に「e.s.t.」絶頂期のライブ盤がカップリングされたのだから,これ以上何を望めよう。
 管理人は『ヴァイアティカム+ライヴ』リリースの意味とは「e.s.t.」のファン向けという以上に,エスビョルン・スヴェンソン亡き後,喪失感を覚えていたダン・ベルグルンドマグヌス・オストラムを慰めるため,そして2人へ再始動を促すための企画ものだと思っている。

 そんな企画ものの性質上『VIATICUM』については『ヴァイアティカム批評を参照していただくとして,ここでは『LIVE IN BERLIN批評についてのみ記すこととする。

 『LIVE IN BERLIN』を聴いて,まず痛感したのは「e.s.t.」は3ピースのバンドだったという事実だ。
 個人的に「e.s.t.」がバンド・サウンドを前面に押し出してきたのは『SEVEN DAYS OF FALLING』からだと思っているが『LIVE IN BERLIN』の壮絶なライブを聴き終えて,改めて「e.s.t.」が「3つの肉体,6本の腕,1つの頭脳」と称される理由を鑑みる気分がした

 これは『LIVE IN BERLIN』が,キース・ジャレットトリオと同じ,ピアノ・トリオライブ盤だから余計に感じるのだろうが,個性の強い3人のせめぎ合いで芸術性をぐいぐいと高みに持っていこうとするキース・ジャレットに対し,エスビョルン・スヴェンソンは個人の個性以上にバンドとしての個性を追及している。

 「e.s.t.」にあって他のピアノ・トリオに無いもの。それはそれぞれの曲に対し,バンドとしてどうプレイするか,それがメンバー間で合意形成できている点にある。
 その“暗黙の了解”とか“阿吽の呼吸”が蜜だからこそ,アドリブの自由度が高い。毎回の演奏が予定調和で終わらない。いつでもリラックスと緊張感が程よく保たれているように聴こえる。

 その意味で『LIVE IN BERLIN』は,普段と何ら変わらない「e.s.t.」の1回のライブの記録のように思う。
 そう。『LIVE IN BERLIN』は,格段に素晴らしい決定的なライブではない。収録曲4曲,演奏時間も40分。どちらかと言えば単体でリリースしようにもできない「帯に短したすきに長し」的な音源集であって,オフィシャル海賊盤チックなライブ盤だと思っている。

 そんな記録用音源=『LIVE IN BERLIN』でもヤラレテしまうのだから,逆に「e.s.t.」の物凄さが際立っている。
 三者三様,自由な音選びでありながら,このうちの一人でも欠けたら「e.s.t.」の音世界は絶対に存在しなくなる。3つの異なる個性が1つでも2でも,そして3つでも確実にフィットする信頼感とコンビネーションが根底にある。互いに互いの音を聴き,次の音選びを予想することができるのだろう。

VIATICUM + LIVE IN BERLIN-2 ライブのハイライトとはハプニングである。曲が進行する過程で全く新しい曲へと変化していく。『LIVE IN BERLIN』がそのことを証明してくれている。
 だからエスビョルン・スヴェンソンが亡くなった時,ダン・ベルグルンドマグヌス・オストラムにとってメンバー・チェンジなど考えられなかったのだろう。

 エスビョルン・スヴェンソン亡き今「e.s.t.」は完全終了である。『ヴァイアティカム+ライヴ』で「e.s.t.」は完全終了した。

 『ヴァイアティカム+ライヴ』の真実とは「傷心のダン・ベルグルンドマグヌス・オストラムに捧ぐ」なのだと思う。

  Disc 1:Viaticum
  01. Tide Of Trepidation
  02. Eighty-eight Days In My Veins
  03. The Well-wisher
  04. The Unstable Table & The Infamous Fable
  05. Viaticum
  06. In The Tail Of Her Eye
  07. Letter From The Leviathan
  08. A Picture Of Doris Travelling With Boris
  09. What Though The Way May Be Long

  Disc 2:live in Berlin
  01. A Picture Of Doris Travelling With Boris
  02. In The Tail Of Her Eye
  03. The Unstable Table & The Infamous Fable
  04. The Rube Thing
  05. All The Beauty She Left Behind

(ビデオアーツ/ACT 2008年発売/VACG-1003/4)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/廣瀬大輔)

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伊東 たけし / ヴィジョンズ4

VISIONS-1 『VISIONS』(以下『ヴィジョンズ』)は,伊東たけしT−スクェア退団後のソロ第一弾アルバム。

 伊東たけしが本当にやりたかった音楽。その答えが『ヴィジョンズ』にたっぷりと詰まっているはず。
 そう思って聴き込んだ『ヴィジョンズ』の印象は,まさかのフィリップ・セスであった。伊東たけし安藤まさひろの腕から離れフィリップ・セスに抱かれている。

 『ヴィジョンズ』でスクェア・カラーが消された理由は伊東たけしサックスの“先鋭的な鳴り”にある。
 明るく爽やかな“T−スクェアのフロントマン”としての伊東たけしは『ヴィジョンズ』の中にはもはやいない。『ヴィジョンズ』の中にいるのは“HIPでCOOLな”ハイテンション・サックス・プレイヤー。再デビューしたかのような振り幅である。

 では『ヴィジョンズ』は駄盤なのかというとそうではない。『ヴィジョンズ』の最先端NYサウンドを駆け巡る,伊東たけしアルトサックスが相当にカッコ良い。
 アメリカ進出と言う目的でリリースされたスクェアの『WAVE』。その中の【BIG CITY】で痺れたあの感じが押し寄せてくる。

 スクェア・ファンであればあるほど,激変した伊東たけしばかりが耳に付くことと思うが,伊東たけしが目指した『WAVE』の夢の続きは,山下達郎と共演した【BLOW(N.Y.VERSION)】と『NATURAL』収録【HAPPY SONG】の聴き慣れたセルフ・カヴァーにこそ如実に表現されていると思う。

VISIONS-2 伊東たけしの中のアメリカとはLAのラス・フリーマンではなくNYのフィリップ・セスだったのだろう。でもよくよく聴くとフィリップ・セスではなく住友紀人だったりもする。

 伊東たけしとしてはオールド・セルマーへと音色も変えて,サックス一本で勝負していくためのEWIプレイヤー=住友紀人の起用だったと思うが,同じEWIプレイヤーだから分かった住友紀人のNYな才能に徐々に惹かれていくこととなる…。

 「影武者」住友紀人の覚醒は『ヴィジョンズ』におけるフィリップ・セスの音楽眼! 分かるかなぁ〜。

  01. MARBLES
  02. CORE ZONE
  03. VISION
  04. GAIYA
  05. BLOW (N.Y. VERSION)
  06. HAPPY SONG
  07. IN THE DISTANCE
  08. MANKALA

(アトランティック/MMG ATLANTIC 1992年発売/AMCM-4135)

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ルーコサイト4

LEUCOCYTE-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」最高の実験作にして最大の問題作,改め「冒険作」が『LEUCOCYTE』(以下『ルーコサイト』)である。

 『ルーコサイト』をどう評価するか? それは『ルーコサイト』の次なくしては評価できないように思う。
 ただし,結果的に『ルーコサイト』の次は永遠に聴けなくなってしまった。『ルーコサイト』はエスビョルン・スヴェンソンの遺作である。『ルーコサイト』で「e.s.t.」はジ・エンド。

 確かに『ルーコサイト』が「e.s.t.」の最終作であるのだが,それは結果的に,意図せず最終作になってしまっただけのことで『ルーコサイト』制作時のエスビョルン・スヴェンソンは「e.s.t.」の未来しか見据えていなかった。
 もっと言えば『ルーコサイト』制作時のエスビョルン・スヴェンソンは「e.s.t.」の過去と現在などなかったかのように演奏している。

 そう。『ルーコサイト』には,マイルス・デイビスmそれも“電化マイルス”が放つ「クラッシュ&ビルド」の精神が宿っている。
 おおっと「e.s.t.」の紹介として,キース・ジャレットパット・メセニーマイルス・デイビスの名を挙げているが,これは管理人からのエスビョルン・スヴェンソンに対するリスペクトであって,断じてエスビョルン・スヴェンソンは唯一無二の存在である。「e.s.t.」は独自のオリジナリティを持ったジャズ・バンドである。そこのとこ読み間違えませんように。

 “電化マイルス”の1枚として批評したくなる『ルーコサイト』の野心的なサウンドは,もはやジャズではなく,ポスト・ロックとかミニマル・ミュージックの様相を呈している。
 ズバリ「e.s.t.」が『ルーコサイト』で新しく取り入れたサウンド・エフェクトは“ノイズ”である。当然,単なるノイズではない。これは
,繊細かつエモーショナルなノイズである。そして今を感じさせてくれるノイズである。なんて残酷で,そして美しいノイズ音楽なのだろう。

 飛び交うノイズにエフェクトが分厚くかかっている。どう転んでもジャズとは思えないビートに,時折かぶさる不穏でありながらうっとりするほど繊細なピアノ
 ジャズ・ピアノを思い描くと到底聴ける代物ではないが『ルーコサイト』の美しさは「条件付き」で紛れもない本物である。

 その「条件付き」とはノイズ・ベースで聴けるかどうか? かつてパット・メセニーが『ZERO TOLERANCE FOR SILENCE』で作ったノイズ・サウンドがメセニー・ミュージックの試金石となったのと同じように…。
 ノイズの嵐の中で,ピアノエスビョルン・スヴェンソンベースダン・ベルグルンドドラムマグヌス・オストラムが互いの音を探り合っている様を聴き分けられるかどうかが「e.s.t.」ファンの,そしてノイズ・マニアとしての試金石…。

 1曲目こそエフェクトなしのアコースティック・ピアノ小品になっているが,2曲目からはピアノにディストーションとエコーをかけ,エフェクト/電子音の重要度比率を意図的に上げてきていることが判る。4曲目なんて,正統ジャズに回帰したかと思ったら,逆で電子音だらけのかなり先鋭的なトラック仕上げ…。
 全編エスカレートしていく「変態御用達ノイズ」。『ルーコサイト』は純粋な音楽などではなく,先の『ZERO TOLERANCE FOR SILENCE』と同様に「音響作品」として捉えるべきであろう。

LEUCOCYTE-2 つまりは「e.s.t.」のファンだからではなく「変態御用達ノイズ」を心から愛せるかどうかで『ルーコサイト』の評価は一変する。
 その意味で『ルーコサイト』の管理人の評価は星4つである。中盤までは星6つ気分でノリノリで聴いていたのだが,最後まで過剰なサイケを展開されたら多少ゲンナリ。

 正直,超攻撃型「e.s.t.」の新サウンドに,せめてもう1曲ぐらいは従来のヨーロピアンジャズ・ピアノ・テイストが聴きたくなる。従来の「e.s.t.」が,従来のジャズが,そして従来の音楽が聴きたくなる。

 『SEVEN DAYS OF FALLING』→『VIATICUM』→『TUESDAY WONDERLAND』でのスタイル・チェンジは確かに衝撃的であったが,ある意味「想定の範囲内」で受け入れることが出来た。
 しかし,今回の『ルーコサイト』は「想定外」である。まさかの「変態御用達ノイズ」アルバムの登場である。

 『ルーコサイト』は「e.s.t.」最高の実験作にして最大の問題作というよりも「冒険作」と呼ぶべきであろう。

  01. DECADE
  02. PREMONITION - EARTH
  03. PREMONITION - CONTORTED
  04. JAZZ
  05. STILL
  06. AJAR
  07. LEUCOCYTE - AB INITIO
  08. LEUCOCYTE - AD INTERIM
  09. LEUCOCYTE - AD MORTEM
  10. LEUCOCYTE - AD INFINITUM

(エマーシー/EMARCY 2008年発売/UCCM-1159)
(ライナーノーツ/佐藤英輔)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1993年度(第27回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1993年度(第27回)の発表です。

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ラプソディア★【金賞】.ラプソディア
ゴンサロ・ルバルカバ


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バイ・バイ・ブラックバード★【銀賞】.バイ・バイ・ブラックバード
キース・ジャレット


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ブルー・ライト・ティル・ダウン★【ボーカル賞】.ブルー・ライト・ティル・ダウン
カサンドラ・ウィルソン


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スタンダーズ・マイ・ウェイ★【日本ボーカル賞】.スタンダーズ・マイ・ウェイ
伊藤君子


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MAJOR TO MINOR★【日本ジャズ賞】.メイジャー・トゥ・マイナー
峰厚介


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ヒア・アイ・アム★【日本ジャズ賞】.WOW
大西順子


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ストレイト・トゥ・ザ・スタンダード★【制作企画賞】.ミュージック・オブ・ギル・エバンス
マンデイ・ナイト・オーケストラ・ライブ・アット・スイート・ベイジル

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デュークへの想い★【録音賞(海外)】.デュークへの想い
 デイブ・グルーシン


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ブルースエット・パート2(紙ジャケット仕様)★【録音賞(国内)】.ブルースエット・パートII
カーティス・フラー


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マイルス・アヘッド [Laser Disc]★【最優秀ビデオ賞】.マイルス・アヘッド
 マイルス・デイビス


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 キース・ジャレットの『バイ・バイ・ブラックバード』が【銀賞】受賞。

 『バイ・バイ・ブラックバード』はマイルス・デイビス他界2週間後に吹き込まれたキース・ジャレットが捧げたマイルス・デイビスへの追悼盤。しかもキース・ジャレットトリオとしてはレアものとなるスタジオ盤。

 しかし,なんだろう。悪くはないが『バイ・バイ・ブラックバード』でのキース・ジャレットの演奏には共感できないし,いつものようにどっぷりとハマルことができない。演奏が薄いのだ。

 薄い理由は1つに選曲が不明瞭。マイルス・デイビスを直接連想させる愛奏曲がない。もう1つはキース・ジャレットが思うほど,ゲイリー・ピーコックジャック・デジョネットマイルス・デイビスの死を悼んでいたのだろうか?

 まっ,キース・ジャレットの大名盤群からすると下の評価となる『バイ・バイ・ブラックバード』であるが,それでも他のピアノ・トリオからすると名盤として評価されるのだろう。
 負け惜しみではなく【銀賞】がちょうどいいのである。

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ライヴ・イン・ハンブルク5

LIVE IN HAMBURG-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の2枚の公式ライブ盤のお話。
 『E.S.T. LIVE』が『TRAVELS』なら『LIVE IN HAMBURG』(以下『ライヴ・イン・ハンブルク』)は『THE ROAD TO YOU − RECORDED LIVE IN EUROPE』である。

 おおっと「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)批評に,突然,パット・メセニーの名前が登場してきたが,今まで書かなかったことをお詫びする。
 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」を絶賛してきたのは管理人の“フェイバリットキース・ジャレットだけではない。管理人もう1人の“フェイバリットパット・メセニーも「e.s.t.」を絶賛し,実際に共演し,DVDまでリリースしている。

 そもそも「先進的音楽の求道者」としてエスビョルン・スヴェンソンパット・メセニーに共通点を感じていたが「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」と「パット・メセニーグループPMG)」が,目指す方向性においても表現する手法においても,ついに『ライヴ・イン・ハンブルク』でシンクロしたように思う。

 『ライヴ・イン・ハンブルク』とは『TUESDAY WONDERLAND』のフォロー・ツアーライブ盤なのだが,偶然にも元ネタである『TUESDAY WONDERLAND』のCD帯にはパット・メセニーからの「過去15年間で見たバンドで一番エキサイティングだ」との推薦文が載せられている。

 これって偶然ではない。数年前からエスビョルン・スヴェンソンとすでにシンクロしていたパット・メセニー。そのパット・メセニーの体験が『TUESDAY WONDERLAND』でのエキサイティングなツアーを予見した。
 そしてその推薦文はそのまま『ライヴ・イン・ハンブルク』に当てはまると思う。

 そう。パット・メセニーは『TUESDAY WONDERLAND』の「e.s.t.」に『THE ROAD TO YOU − RECORDED LIVE IN EUROPE』当時の「PMG」を思い重ねていたように思う。パット・メセニー最大のイケイケの絶頂期で,創造性が漲り,何を演っても上手くゆく。大観衆が熱狂する。
 『THE ROAD TO YOU − RECORDED LIVE IN EUROPE』はヨーロッパ・ツアー。「e.s.t.」はヨーロッピアン・ジャズ

 個人的に大好きなのはECMの美しいパット・メセニー。“最高傑作”はノンサッチの『THE WAY UP』のパット・メセニー
 でっ,超人気盤揃いの「ゲフィンは下品」なのだが,あの下品さが“青春のパット・メセニー”に違いない。聴いていて楽しい。

 だ・か・ら『E.S.T. LIVE』が『TRAVELS』。『LIVE IN HAMBURG』が『THE ROAD TO YOU − RECORDED LIVE IN EUROPE』って訳なのだ。
 【DOLORES IN A SHOESTAND】が【BETTER DAYS AHEAD】に対応し【GOLDWRAP】が【THIRD WIND】に対応するのも『LIVE IN HAMBURG』が『THE ROAD TO YOU − RECORDED LIVE IN EUROPE』って訳なのだ。

LIVE IN HAMBURG-2 それにしても『TUESDAY WONDERLAND』と『ライヴ・イン・ハンブルク』では,同じ曲が演奏されているのに印象がかなり異なっている。
 スタジオ盤では陰陽で言えば「陰」の部分が出ているが,ライブ盤では観客の盛り上がりと共に「陽」の部分が光り輝きCD以上の楽曲へと昇華させている。素晴らしい。

 お得意の「電化ジャズ」も増し増しの盛り盛りで,ヘッドフォンで電子音を追い続けているとあっちの世界へ連れ去られそうに感じてしまう。最高のテクノ・ポップである。スタジオ盤とは異なるベクトルの莫大なエネルギーが流れている。
 本来,ピアノエスビョルン・スヴェンソンベースダン・ベルグルンドドラムマグヌス・オストラムは“超絶技巧”のジャズメン。「内ではなく外へ向けられた」超一流のアドリブが最高に素晴らしい。

 『ライヴ・イン・ハンブルク』で,かつてのパット・メセニーがそうだったように「e.s.t.」も“ベーシックなジャズ”の枠を超えてしまった。
 エスビョルン・スヴェンソンは死んで“伝説”となったわけではない。エスビョルン・スヴェンソンは『ライヴ・イン・ハンブルク』で“生きる伝説”となっていたのだった。

 って,すみません。真面目に批評してしまいました。『ライヴ・イン・ハンブルク』は熱く語るアルバムではありませんでした。
 理性を忘れてエキサイティングな演奏にただただ酔いしれるだけ〜。エンターテイメント〜。

  CD1
  01. tuesday wonderland
  02. the rube thing
  03. where we used to live
  04. 800 streets by feet
  05. definition of a dog

  CD2
  01. the goldhearted miner
  02. dolores in a shoestand
  03. sipping on the solid ground
  04. goldwrap
  05. behind the yashmak

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2007年発売/UCCM-1139/40)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/ジョー・ヒールシャー,ダン,カーステン・ヤンケ,マグヌス,エスビョルン,オキ)

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渡辺 貞夫 / スウィート・ディール4

SWEET DEAL-1 『SWEET DEAL』(以下『スウィート・ディール』)は,LAの3つのスーパー・フュージョン・グループ,ラッセル・フェランテ率いるイエロー・ジャケッツカルロス・ベガ率いるカリズマ,そしてエイブラハム・ラボリエル率いるコイノニアの各メンバーによる混成セッション・アルバムである。

 つまりは「ナベサダフュージョン,ここに極まりけり!」な豪華絢爛な1枚なのであるが,実際に聴いた『スウィート・ディール』の印象はかなりフュージョンからかなり離れて“ジャズっぽい”。

 『スウィート・ディール』録音の時点で,すでにコイノニアは活動を休止し,イエロー・ジャケッツも突然変異なジャズ・ユニットと化していたのだから『スウィート・ディール』が“ジャズっぽい”のも理解できる。管理人はそう思って楽しんでいた。

 『スウィート・ディール』はジャズフュージョンが見事に融合した『フロントシート』の続編に当たる。
しかし『スウィート・ディール』の真実とは『フロントシート』の続編にして『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』の前作にも当たる。

 『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』を聴き終えて「あっ,これだったんだ」と思った経験がある。『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』の中に『スウィート・ディール』のモチーフが残されている。
 『スウィート・ディール』〜『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』へと流れる「ゴキゲン・フュージョンなのに“ジャズっぽい”」アンサンブルのキーマン。それがピーター・アースキンの存在にある。

 ジャズフュージョンの両方で大活躍+ビッグ・バンドとスモール・コンボの両方で大活躍な,ソロ以上に全体のアンサンブルに気を配る“JAZZYな”ドラマーピーター・アースキン“その人”なのであった。

 『スウィート・ディール』のハイライトは【EARLY SPRING】と【CYCLING】である。
 “先頭でリードしつつ後方からも見守っている”ピーター・アースキンドラミングが素晴らしい。そこにジョン・パティトゥッチである。全てはラッセル・フェランテのハイセンスなのである。

SWEET DEAL-2 管理人の結論。『スウィート・ディール批評

 3人のプロデューサーによる『スウィート・ディール』のサウンドメイクは文句のつけようがない。ジャズの良さとフュージョンの良さが高次元で融合した名盤である。

 ただし,本来そこにメインであるはずの渡辺貞夫アルト・サックスがわずかに一歩だけ引っ込んでいる。もしやナベサダ自身が極上のバック・サウンドに惚れ込み,バックの名演をファンのみんなにも聴かせたかったのかなぁ。

  01. Passing By
  02. Sweet Deal
  03. Early Spring
  04. After Goodbye
  05. With The Wind
  06. Catch Me In The Sun
  07. Old Photograph
  08. As You Say
  09. Only Love
  10. Blue On Green
  11. Masai Talk
  12. Cycling

(エレクトラ/ELEKTRA 1991年発売/WPCP-4400)

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / チューズデイ・ワンダーランド5

TUESDAY WONDERLAND-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」とは,ジャズピアノ・トリオというスタイルを周到しつつ,一方で既存のピアノ・トリオのスタイルからの逸脱を目指すという,敢えて自らが課した矛盾をエネルギーに前身してきたバンドである。

 ネタ元はエスビョルン・スヴェンソンのアイドルであるキース・ジャレットセロニアス・モンクでありながら,ロックであり,ポップスであり,クラシックのようでもある。
 JAZZYな演奏で全身をまとってはいても,その音楽性はジャズから遠く離れているように思う。

 そんな「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の音楽性を「ポスト・ロック」と呼ぶのは,実に言い当てて妙である。
 そもそもブラッド・メルドーにしてもエスビョルン・スヴェンソンにしても,彼等の世代は疑うべくもなくロックからの洗礼を受けている。「e.s.t.」が「ロックするピアノ・トリオ」し始めたのは『GOOD MORNING SUSIE SOHO』の頃からだから随分前のことになる。

 しかし「e.s.t.」が明確にジャズ・バンドではなくロック・バンドとしての音造りを打ち出したのは『TUESDAY WONDERLAND』(以下『チューズデイ・ワンダーランド』)以降であろう。
 『チューズデイ・ワンダーランド』での「e.s.t.」は「ロックするピアノ・トリオ」を越えて「インプロヴィゼーションするロック・バンド」と化しているのだ。

 例えば1曲目の【FADING MAID PRELUDIUM】。クラシカルな旋律の静かな美しさと動的もしくは破壊的なテクスチャーとの振れ幅,コントラスト。ピアニシモからフォルテシモへの意表をつく展開。49秒で突然轟然と鳴り響くディストーション・ベースでの「突き放し」はキング・クリムゾンのあれであり,ジミ・ヘンドリックスのそれであろう。
 【DOLORES IN A SHOESTAND】と【GOLDWRAP】のキラー・チューンでもループやリフが多用され,静寂と喧騒,混沌と整合,何だか全てが彼らの予測通りにコントロールされていくような感じ。まんまとハマって何度聴いても快感が走る…。

 『チューズデイ・ワンダーランド』には,いつも以上にピアノベースドラム以外の電子音が入っている。サウンド・マシーンも使われている。でも一向にうるさくは感じない。
 止まったり動いたりする緩急のつけかたはクラブ・ジャズっぽい。すぐに覚えてしまうシンプルで美しいメロディーと難解な変拍子のリズムがクセになる…。

 ズバリ「e.s.t.」は『チューズデイ・ワンダーランド』で,多くのジャズメンがどうしても越えることの出来なかった大きな壁をついに突き破っている。これは大事件である。
 ジャズピアノ・トリオがその基本形を崩すこと無く,ジャズの言語でついにロックン・ロールの本家本元を呑み込んでしまっている。『チューズデイ・ワンダーランド』での「e.s.t.」こそが“ロックの中のロック”しているのである。

TUESDAY WONDERLAND-2 「インプロヴィゼーションするロック・バンド」と化した『チューズデイ・ワンダーランド』が素晴らしい。大好きである。星5つの大名盤である。

 しかし『チューズデイ・ワンダーランド』は一気に「ポスト・ロック」を通りすぎてしまったような印象を受ける。理由は大手のエマーシー移籍と無関係ではないであろう。
 近年,これだけ玄人から絶賛され,素人からも絶賛され,売れまくったジャズ・バンドは他になかった。ロック・バンド並みのセールスが求められたがゆえの,本心ではない部分での非ジャズ…。

 だから管理人は『チューズデイ・ワンダーランド』のフォロー・ツアーライブ盤『LIVE IN HAMBURG』を押しているのです!

  01. fading maid preludium
  02. tuesday wonderland
  03. the goldhearted miner
  04. brewery of beggars
  05. beggar's blanket
  06. dolores in a shoestand
  07. where we used to live
  08. eighthundred streets by feet
  09. goldwrap
  10. sipping on the solid ground
  11. fading maid postludium

(エマーシー/EMARCY 2006年発売/UCCM-1101)
(ライナーノーツ/鯉沼利成,須永辰緒,佐藤英輔)

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MALTA / サマー・ドリーミン4

SUMMER DREAMIN'-1 『SUMMER DREAMIN’』(以下『サマー・ドリーミン』)は『MALTA』『SWEET MAGIC』に続く「お洒落なシティ・ジャズ」路線の3作目である。

 しかし,同じジャズサックス期のMALTAでありながらも『MALTA』『SWEET MAGIC』寄りではなく,フュージョンサックス期の『SPARKLING』にイメージが近い。
 というか「大人のライト・ジャズ」だったMALTAの印象が『サマー・ドリーミン』で一気に若返って「イケイケのジャズ・パワー」を感じるようになった。

 MALTAジャズサックスが甘いのそのままにエネルギッシュに響き出したのが『サマー・ドリーミン』からだと思う。
 その理由を問われれば,以後の重要なキーワードとなる「夏」であろう。波の音で始まり波の音で終わる『サマー・ドリーミン』が,カシオペアスクェア松岡直也高中正義が既に活躍していた「夏」のBGMというビッグなフィールドに繰り出したのだ。

 ただし『サマー・ドリーミン』でのMALTAの「夏」は真っ昼間でもないし,南国の熱帯でもない。そうではなく,朝晩がひんやりとした避暑地での夏,爽やかな朝日と夕陽の夏である。
 佳曲揃いの『サマー・ドリーミン』であるが,個人的には【MORNING FLIGHT】一択である。

 【MORNING FLIGHT】での岡沢章ベース・ラインが最強である。そこに絡む松原正樹のリズム・ギター渡嘉敷祐一JAZZYなドラムがこれまたよい。

 【MORNING FLIGHT】の別口ではMALTAの甘いアルトサックスに絡むJOE STRINGSがこれまた最高で盛り上げる盛り上げる。俄然,ロマンティック・MALTAにメロメロでトロトロ〜。

SUMMER DREAMIN'-2 個人的に「MALTAの1曲は?」と問われれば,並居るJTのスーパーTVCM曲を抑えて【MORNING FLIGHT】を指名する。

 ただし管理人が愛する【MORNING FLIGHT】は『サマー・ドリーミン』の【MORNING FLIGHT】ではなく『MY HIT & RUN』のアンコール曲となった【MORNING FLIGHT II】の方なのです。ちゃんちゃん。

  01. SUMMER DREAMIN'
  02. MORNING FLIGHT
  03. SEA EXPRESS
  04. OCEAN SIDE
  05. SUPER WAVE
  06. ALL THROUGH THE NIGHT
  07. FANCY WALKIN'
  08. SUNSHINE STREET
  09. HAVE A NICE DAY
  10. A LETTER FROM SEPTEMBER
  11. SUMMER DREAMIN' II

(ビクター/JVC 1985年発売/VDJ-1016)

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ヴァイアティカム5

VIATICUM-1 『VIATICUM』(以下『ヴァイアティカム』)というアルバムは暗い。そして重い。
 いささか哲学的な思索的な感じが,これまたキース・ジャレットを想起させてもくれる。

 現代最高のピアノ・トリオとして『SEVEN DAYS OF FALLING』で“天下を取った”「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」のモチベーションは,更なる世界での高みにではなく,再び自分たち自身の音楽性へと向けられている。
 「e.s.t.」を聴いていてクラシック的な影響を大いに感じてしまったのが『ヴァイアティカム』であった。静寂と調和が完璧で美しいのだ。

 そう。「e.s.t.」が世界的なジャズ・バンドと認められたがゆえに,過去を見つめ,現在を見つめ,未来を見つめ,これから歩むべき道を模索した作業に思えてならない。
 そうして描かれた「深遠な音世界」が『ヴァイアティカム』に見事に凝縮されているように思う。

 正直に語ると『ヴァイアティカム』の最初の印象は薄かった。これぞ北欧ジャズ的な,陰があって色彩感も温度感も低い曲が並んでいる。管理人が次の「e.s.t.」に期待する,ガツンと来るJAMっぽさが希薄であった。
 でも『ヴァイアティカム』がつまらなかったのは,最初に聴いた数回だけだった。『ヴァイアティカム』を聴き込むにつれ,どんどんどんどん曲が姿を変えてくる。

 例えば,ピアノが前に出てきた瞬間のベースドラムの絡み方は,ポップスやロックやクラシックの様々なアプローチが垣間見えてくる。
 ピアノベースを歪ませ,そこにコーラスをかけたりエフェクトを多用するバンドであるが,実は「e.s.t.」の“電化”の真髄とはさりげないリバーブにあるように思う。
 必殺リバーブをピアノ・トリオのフォーマットにこだわり,実験性を前面に押し出すことはなく必要最低限の効果で使っている。『ヴァイアティカム』はそんな音響系の細部の音造りが半端ない。音響の「プロ集団」仕様に仕上がっている。

 その一方で「e.s.t.」のポリシーとは,アドリブにではなくアレンジにある,と何かの雑誌で読んだ記憶があるのだが,意外や意外,一聴して印象に残り難いが,エスビョルン・スヴェンソンは感性を研ぎ澄ました鋭いアドリブを要所要所に織り込んでいる。

 どんなにポップでロックでクラシックして聴かせようとも,エスビョルン・スヴェンソンアドリブは,紛れもなくジャズの“まんま”でうれしくなる。
 エスビョルン・スヴェンソンアドリブこそが,暗く重い『ヴァイアティカム』の中の“希望の光”なのである。

VIATICUM-2 『ヴァイアティカム』におけるエスビョルン・スヴェンソンアドリブを聴いていると,アドリブがすっと心の内に入り込んできては,ここではないどこかに連れ去られるような気分がする。
 具体的などこかの場所でもなく過去でも未来でもない。2次元,3次元ではなく異次元な見知らぬ場所のような気がしている。

 そんな『ヴァイアティカム』が導いた場所の答えが分かったのは,次作『TUESDAY WONDERLAND』を聴いた後のことである。
 『TUESDAY WONDERLAND』で「e.s.t.」は,ジャズ・ピアノからの,そしてピアノ・トリオからの決別を宣言している。

 そう。超絶技巧を抑え,余計な抑揚を抑え,楽曲の調和とアルバム全体の調和を目指した『ヴァイアティカム』は「e.s.t.」という最高峰のピアノ・トリオジャズの世界に存在していたことの記録であり,ジャズの世界に最後に残した「爪痕」である。

 エスビョルン・スヴェンソンの亡き今『ヴァイアティカム』の「爪痕」が『TUESDAY WONDERLAND』『LIVE IN HAMBURG』『LEUCOCYTE』『301』以上に“疼いている”。

  01. Tide Of Trepidation
  02. Eighty-eight Days In My Veins
  03. The Well-wisher
  04. The Unstable Table & The Infamous Fable
  05. Viaticum
  06. In The Tail Of Her Eye
  07. Letter From The Leviathan
  08. A Picture Of Doris Travelling With Boris
  09. What Though The Way May Be Long

(ソニー/SUPER STUDIO GUL 2005年発売/SICP-764)
(ライナーノーツ/児山紀芳)

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ヒューマン・ソウル / ラブ・ベルズ4

LOVE BELLS-1 「ナニワ・エキスプレス」の解散後,ベーシスト清水興ドラマー東原力哉は行動を共にする。
 解散後すぐに「ナニワ・エキスプレス」の後継バンド→「ソウル・エキスプレス」を結成する。ズバリ,歌ものバンドである。

 この流れ,誰かと似ていない? 管理人にはカシオペア脱退後,ベーシスト櫻井哲夫ドラマー神保彰が結成した「シャンバラ」をイメージしてしまう。こちらもズバリ,歌ものバンドなのである。

 …ということで,人気フュージョン・バンドのベーシストドラマーが歌ものをやるという共通項で「ソウル・エキスプレス」と「シャンバラ」に注目し,比較していたのだが…。
 この両グループの活動は離陸間もなく頓挫してしまった。

 櫻井哲夫神保彰の「シャンバラ」の後継バンドは「ジンサク」というフュージョン・ユニットへと流れたが,清水興東原力哉の「ソウル・エキスプレス」の後継バンドが「ヒューマン・ソウル」。
 まさかの歌もの継続なのだが「ヒューマン・ソウル」に東原力哉は不参加。「ヒューマン・ソウル」は清水興のワンマン・バンドとして始動する。

 櫻井哲夫神保彰東原力哉が飽きてしまった?歌ものを継続させた清水興の大選択。
 大方の予想は失敗するとお思いでしょうが個人的には悪くはない。好みかと聞かれれば好みとは言わないが,これはこれでフュージョン名盤に肩を並べていると思う。

 『LOVE BELLS』(以下『ラブ・ベルズ』)が実に上質である。ジェイ&シルキーをヴォーカルに迎えて,甘いファンキー?の百花繚乱である。往年のモータウン・サウンドに似ていると思う。
 日本人がやるソウルとしては最高レベル,という音楽業界の評判にも頷ける。

LOVE BELLS-2 『ラブ・ベルズ』でのお洒落なツイン・ヴォーカルが,ぶつかり合ってハーモニーを生み出し,息を揃えてゴスペル系のコーラスを付けていく。
 「ヒューマン・ソウル」の“売り”である清水興の甘いファンキーグルーヴがブラック・ソウル・モータウン。

 ソウルであろうとフュージョンであろうと音楽はリズムなんだなぁ。リズムがクリエイトする音楽はインストでも歌ものでも面白いんだなぁ。

 櫻井哲夫さん,神保彰さん,東原力哉さん,清水興の音楽眼を侮ってはなりませんよ〜。誰も侮ってはいませんけど〜。

  01. THE CHRISTMAS SHUFFLE
  02. JEALOUS GUY
  03. LUV BELLS
  04. ROSE
  05. BABY, IT'S COLD OUTSIDE
  06. SPECIAL CLIMB

(フォーライフ/FOR LIFE 1993年発売/FLCF-25229)

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / セヴン・デイズ・オブ・フォーリング5

SEVEN DAYS OF FALLING-1 『FROM GAGARIN’S POINT OF VIEW』→『GOOD MORNING SUSIE SOHO』→『STRANGE PLACE FOR SNOW』の「怒涛の三部作」で“世界を獲った”「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」。

 しかし「怒涛の三部作」は,今振り返ると『SEVEN DAYS OF FALLING』(以下『セヴン・デイズ・オブ・フォーリング』)で幕開けする「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)第二章」の序章にすぎなかった。

 “最後にして最高の”ジャズ・アルバムの『FROM GAGARIN’S POINT OF VIEW』→「ロックするピアノ・トリオ」革命の『GOOD MORNING SUSIE SOHO』→時代の最先端を行く非ジャズ・ピアノの『STRANGE PLACE FOR SNOW』。
 それら「怒涛の三部作」で築き上げた1枚1枚の特長を全ての面で包含し,凌駕している。まさか『セヴン・デイズ・オブ・フォーリング』のようなアルバムが誕生するとは思ってもいなかった。

 そう。『セヴン・デイズ・オブ・フォーリング』における「e.s.t.」UPDATEの要因とは,トリオの中で一人突出していたエスビョルン・スヴェンソンピアノに,ベースダン・ベルグルンドドラムマグヌス・オストラムが追いつき覚醒した,3人が3人とも主役を張れる,バランスの取れたトリオ・ミュージック
 言ってみれば「e.s.t.」がSMAPのようなキャラクターを発揮し始めた新次元のグループ・サウンドへと変化したと思う。

 ただし,多分,事実ではない。ベースダン・ベルグルンドドラムマグヌス・オストラムの素晴らしさは『E.S.T. LIVE』を聴き直せばすぐに分かる。
 単純に「キース・ジャレット命」の管理人がエスビョルン・スヴェンソンだけを偏重してきたにすぎない。

 ダン・ベルグルンドのディストーションをかけたウッドベースはノイジーなロック・ギターのような演奏である。そのくせアルコが抜群に上手で正確無比な音取りは驚異のジャズ・ベースそのものである。
 マグヌス・オストラムドラムは,繊細なジャズであり大胆なテクノでもある。非常にドライで硬いビートを生み出している。

SEVEN DAYS OF FALLING-2 そう。「e.s.t.」の本当の魅力とは「最先端のリズム処理」にある。ベースドラムの演奏の幅の広さと連動性が素晴らしい。
 そのエキサイティングなリズム隊の上に,エスビョルン・スヴェンソンの「詩的でミニマルでアンビエントな」ピアノを重ねるのが「e.s.t.」のアイデンティティなのである。

 『セヴン・デイズ・オブ・フォーリング』を聴けば聴くほど「e.s.t.」のメンバーはこの3人でなければならないと強く思うようになった。
 『セヴン・デイズ・オブ・フォーリング』がきっかけとなり,自分の中の「e.s.t.」への印象が変化したと思う。エスビョルン・スヴェンソンの斬新なピアノを聴くという態度から「e.s.t.」というピアノ・トリオと向き合うようになった。

 ズバリ,管理にとって『セヴン・デイズ・オブ・フォーリング』とは「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の“ピアノ・トリオ”胎動作なのである。

  01. Ballad For The Unborn
  02. Seven Days Of Falling
  03. Mingle In The Mincing-Machine
  04. Evening In Atlantis
  05. Did They Ever Tell Consteau?
  06. Believe Beleft Below
  07. Elevation Of Love
  08. In My Garage
  09. Why She Couldn't Come?
  10. O.D.R.I.P./Love Is Real

(ソニー/SUPER STUDIO GUL 2003年発売/SICP-436)
(ライナーノーツ/渡辺亨)

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20171105 DIMENSION LIVE NO.2

 「LIVE DIMENSIONAL−2017 〜30〜」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 OPENINGでの勝田一樹の登場時,キャーという黄色い声援ではなく笑いが起こった。ミュージシャンではなく芸人登場のあれだった。
 「LIVE DIMENSIONAL−2017 〜30〜」福岡公演のハイライトは「勝田一樹のトークショー」。これである。

 サックスも絶好調であったわけだが,明らかに小野塚晃が「カツオどうした!」と突っ込んだのは,明らかにトークの切れっ切れ。
 マスヤン側から見るカツオの背中は「しゃべりたい」であった。

 勝田一樹もトークが止まらない自分に「肝心のサックスがぜえぜえしちゃう」宣言。何でそこまでトークが滑らかなのか?
 その理由とは勝田さん(福岡へ3日前から前ノリしていたのですが)3日間黙っていたから! だから話を聞いて! → 「今日は勝田さんの話を聞いてくれる人ばっかり」(by 小野塚晃)!
 「ダイレクトにおはよう」と言われた(by 増崎孝司) → 「オンステージのメンバーに会えてうれしい」(by 勝田一樹)。

 『30』発売で増崎孝司に印税が入る。ゲイツビルごと買い取っていただいて「ゲイツ7」ではなくて「マスザキタカシ」の表札 → 「えっ,今日どこでLIVE? マスザキタカシ」 → 「マツモトキヨシかマスザキタカシ」 → 何で博多はこうなるんだろうね?

 「25年やって30枚目を作って,大抵,いろんなバンドっていうのは節目節目に入っていくじゃないですか。僕ら節目ないです。いらないです。最後までやるって決めた以上は。こういうお客様の顔を見たら32枚目ぐらいまでしか出来ないです」。
 「例え,僕たちの人気が「ウナギ下がり」になってしまってもですよ。最後のお客さんが一人しか来なくてもですよ。僕らはいつも同じような演奏していますからね」 → 「違うな。もの凄い手抜きで」 → 「ハッシュタグ・ウナギ下がり」。

 そんな冷や汗で汗だくのMCと涼しい顔して演奏するギャップ!なDIMENSIONの「愛情たっぷりのサイン」がこちらです。ライブ終了後に行なわれたサイン会で握手もしていただきました。
( 「LIVE DIMENSIONAL−2017 〜BEST OF BEST TOUR〜」のツアーグッズ=25周年記念の「缶バッヂ」。今回の『30』の「缶バッヂ」を買った人には「則竹さんのハグが付く〜」をしっかりと覚えていた小野塚さんのMCに感心しました。なお今回は特別にマスヤンのハグも付きました!? )

DIMENSION サイン-8

 とにもかくにも管理人は世界中の音楽ファンへ向けて声を大にしてこう叫びたい! 「DIMENSIONは世界最高峰のライブ・バンドである」!

 アンコールの終わりでMC・カツオが「本日は特別に最後の一言をマイクを通してですね。一言ずついただきたいと思います」。
則竹裕之 → 「帰らない」→ 「でました」
小野塚晃 → 「博多の子になる」 → 「養子縁組から」
二家本亮介 → 「僕も今日から福岡出身のテイで行く」 → 「よろしくお願いします」
増崎孝司 → 「いやもう最高ばい。今日,みんなで飲もうで!」 → 「事務所経費で落とさせていただきます」

 「九州の大地が育んだスーパー・スター」川崎哲平は今回は不参加でしたが(有名人の仕事しか受けないらしい)しっかりと「メンバーいじり」のMCに登場してくれました。
 勝田一樹が名古屋公演中にココイチを2回食べた話(福岡公演当日もココイチ食べたとのこと)からココイチ→川崎哲平いじりがスタート。
 「博多出身のベーシストは忙しくて,なかなかスケジュールを空けてくれない」 → 「ご両親はいらっしゃってます」(管理人の左隣りの卓で楽しんでおられました)。

 地元で講演会をしたらしい → 「語りですよ。成功者が語るみたいな」。
 来年も一本講演が決まっている哲平くん,もうベース弾かなくてもいいらしいですよっ。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20171105 DIMENSION LIVE NO.1

 行ってきました! 11/5「Gate’s7」の「LIVE DIMENSIONAL−2017 〜30〜」!

 「LIVE DIMENSIONAL−2017 〜30〜」のツアー2本目にして早くもハイライトを迎える福岡公演。福岡公演が毎年一番盛り上がる。福岡公演では「値段以上の演奏をしている」の自覚有り。

 なぜなら小野塚さんが「騒ぎたい気分満々」だったから。カツオが「3日前から福岡へ前ノリしていた」から。1人でいけすのイカを3杯食べたから。LIVE当日も6時起きで6時半からホテルの朝食バイキングでフレッシュな健康食だけを食べてきたから。

 NO。「ゲイツ7」には,昨日日本一を決めたヤフオクドームの5倍ぐらいのお客さんが入っていたから? DIMENSIONはソフトバンクの優勝なんかに負けていません。
 最後は「胴上げ」はあるは,最後の最後に金のクズが落ちてくるは,アンコールでカツオが客席にダイブするは…。カツオのダイブはマイケル・ジャクソン並みでしたよっ。

 ただし,今回の福岡公演の入場順は14番。諸事情により例年よりもチケット入手が遅れてしまった。だから鼻からいつものスミイチの指定席はあきらめ,ステージ全体を見渡すべく中央ブロックの前から3卓目の数えで5列目。
 「胴上げ」前で「金クズ」前で「ダイブ」前の,管理人熱狂の証拠写真が clubdimension
 今回は熊本のディメ仲間Sさんとご一緒させていただきました〜。

CLUBDIMENSION-1

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 増崎 孝司 : Guitar
 ★ 小野塚 晃 : Keyboard
 ★ 勝田 一樹 : Alto Saxophone
 ☆ 二家本 亮介 : Bass
 ☆ 則竹 裕之 : Drums

 DIMENSIONライブこそが真のツンデレ。演奏のカッコ良さとMCの漫談とのギャップが大きすぎる〜。MCについては明日のLIVEレポートで書くとして,やはりDIMENSIONは“超絶技巧集団”を再認識。

 恐らくはDIMENSION史上最難解であろう『30』の超高速で目まぐるしく展開が変わっていくサウンド・アレンジに,LIVEでは再現不可能か?と思ってしまったが,そんな心配など無用の息をもつかせぬ“超絶技巧”! 世界最高の演奏であった。

 特に増崎孝司側から離れ,小野塚晃側からも離れた,勝田一樹の正面から見て聴いたDIMENSIONの音&音!
 増崎孝司の至近距離から離れて増崎孝司の偉大さを知ったものだが,今回は4年振りに小野塚晃から至近距離から離れて小野塚晃の偉大さを痛感させられた。
 4年振りに小野塚晃の正面からの表情を見ながら聴いた【AN EMPTY DREAM】でのキーボードソロ。何であんなにも心を打つのでしょう。涙出そうになって必死に我慢しました。

 要所要所で前に出て,瞬時にサウンド全体をコントロールしまとめ上げていく小野塚晃に寄り掛かれるから,増崎孝司が「いつも4速ぐらいで走っているところを25速で走っている」し,勝田一樹が「4回転半ジャンプ〜5回転半ジャンプ」を決めまくる! 超カッコ良かった! 

 そうして途中でステージ上からのオーダー通りに音を作れないローディーに切れる勝田一樹を初めて見た。プロなんだなぁ。しゃべりのプロではなくてサックスのプロなんだなぁ。
 いいや,アンコールの最後の【BRIGHTNESS OF THE MORNING SUN】の最後,予定外の長尺で「会場練り歩き」を一人続ける勝田一樹がプロのエンターテイナー。マスヤンの「帰ってこい」のアクションを振り切って会場一周を続けるカツオこそがプロのエンターテイナー。

 そう言えば,先日の名古屋公演で「時間通りに始めて時間通りに終わる」プロとして,サックスソロで「腕時計を見ちゃった」のが勝田一樹。「手を抜いたわけじゃないです。時間が限られちゃってるんで。ストップ・ウォッチ入れてんだけどなぁ〜」。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

30-1
30
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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ5

STRANGE PLACE FOR SNOW-1 管理人が初めて「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」を聴いたのは「怒涛の三部作」の第一作『STRANGE PLACE FOR SNOW』(以下『ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ』)であった。

 エスビョルン・スヴェンソンピアノが,一般的なジャズ・ピアノとは言い難く,ロックやポップスの心地よいラップトップ・サウンドを聴いているような感じがした。
 理由は主にうっすらとバックで流れているキーボードが大インパクト。サンプリングされているようでいて“生っぽい”アコースティックキーボードの“鳴り”にジャズピアニストとしての“誇り”を感じてしまう。

 軽い衝撃が持続する中『ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ』を聴き続けたある日のこと,ふとジャズ弾きでもフュージョン弾きでもない,エスビョルン・スヴェンソンの中のキース・ジャレットとつながった。

 今となっては信じられないかもしれないが,キース・ジャレットはかつてフォーク・ロックを積極的に採り入れたポップかつ前衛的な演奏をしていたことがある。ジャズ・ピアノに当時の流行を取り入れ,ジャズ・ピアノの新たな表現に挑戦したのだった。

 エスビョルン・スヴェンソンキーボードでエレクトロニックを,ドラムンベースでクラブ系を表現する「ジャズを越えていくための実験的な試み」は,かつてのキース・ジャレットが探求していた,新しいジャズ・ピアノの模索と同じなのでは?

 そう。キース・ジャレット・フォロワーを公言するエスビョルン・スヴェンソンは,新しいジャズ・ピアノの探求,その音楽性の実験という意味において,キース・ジャレットの精神性を継承したジャズピアニストなのである。

 『ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ』の時点で完成を迎えた「e.s.t.」の先進的なリズム・アプローチ,メロディックで多彩な曲調が“生っぽい”アコースティックキーボードで際立っている。
 『ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ』を聴いて,ピアノ・トリオの既成概念が幾らか崩されたと思う。初めは嫌いだった上原ひろみが好きになったのも『ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ』と同時期だったかなぁ。

 かつて,ピアノエスビョルン・スヴェンソンベースダン・ベルグルンドドラムマグヌス・オストラムの3人は「e.s.t.」について「『e.s.t.』はジャズ・バンドではなく,ジャズも演奏するポップ・バンドだ」と述べたことがある。

 管理人が『ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ』を聴いて感じた,非ジャズ・ピアノのニュアンスは当たっていたことになる。「ポピュラー音楽としてのジャズ」が,北欧のパラレルな視線でシームレスなジャズを照射している。

STRANGE PLACE FOR SNOW-2 しかしながら「e.s.t.」の考えるポップ・バンドとは,一般的なポップ・バンドではない。アルコとエレクトロックが映える複雑なリズムに,これ以上ないぐらいに見事なプリペアード・ピアノを織り交ぜたリリシズムが織りなす,奥深さに光り輝く新しいジャズ・ピアノに他ならない。

 『ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ』から始まる「e.s.t.」の新しいジャズ・ピアノは,様々な音楽を聴き続けている人だけが辿り着ける「オアシス」のような音楽だと思う。サウンドに込められたエモーションを拾い出して聴くことのできる人だけが,多くの愉しみを得ることができる音楽だと思う。

 プログレッシヴと評される通り,まさに時代の最先端を行くジャズ・ピアノ。単純にエスビョルン・スヴェンソンのヨーロッパ的で詩的なメロディ・センスだけが突出しているわけではない。
 3人の織りなすインタープレイジャズ以外の様々な要素を取り入れたグルーヴ,エフェクティヴな仕掛けの全てが時代の最先端を行く非ジャズ・ピアノを示している。「鳥肌もの」の思い出の1枚である。

  01. The Message
  02. Serenade For The Renegade
  03. Strange Place For Snow
  04. Behind The Yashmak
  05. Bound For The Beauty Of The South
  06. Years Of Yearning
  07. When God Created The Coffeebreak
  08. Spunky Sprawl
  09. Carcrash - September

(ソニー/SUPER STUDIO GUL 2002年発売/SICP-159)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1992年度(第26回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1992年度(第26回)の発表です。

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ロマンティック★【金賞】.ロマンティック
ゴンサロ・ルバルカバ


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Spirits of Our Ancestors★【銀賞】.アフリカ(われらが祖先のスピリッツ)
ランディ・ウエストン


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Here's to Life★【ボーカル賞】.ヒアズ・トゥ・ライフ
シャーリー・ホーン・ウイズ・ストリングス


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クルディッシュ・ダンス★【日本ジャズ賞】.クルディッシュ・ダンス
山下洋輔


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ヒア・アイ・アム★【日本ボーカル賞】.ヒア・アイ・アム
伊藤君子


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ビンテージ・トラックス・オブ・フュージョン〜ザ・ヒストリー・オブ・JVC’Sワークス★【編集企画賞】.ビンテージ・トラックス・オブ・フュージョン〜ザ・ヒストリー・オブ・JVC’Sワークス(JVC)


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ストレイト・トゥ・ザ・スタンダード★【制作企画賞】.ストレイト・トゥ・ザ・スタンダード
ザ・ジャズ・ネットワークス


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トライアングル★【制作企画賞】.トライアングル
テザード・ムーン


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Rachelle Ferrell★【録音賞(海外)】.ポートレイト
 ラシェル・フェレル


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酒とバラの日々★【録音賞(国内)】.酒とバラの日々
サイラス・チェスナット


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AN ALL-STAR TRIBUTE TO THE JAZZ MASTER [LaserDisc]★【最優秀ビデオ賞】.セレブレーション!
 ディジー・ガレスピー・バースディ・コンサート



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 「テザード・ムーン」の『トライングル』が【制作企画賞】受賞!
 キース・ジャレットトリオに“肩を並べる”の菊地雅章の新ピアノ・トリオの始動は,確かに【制作企画賞】ものであろう。

 なぜって? 管理人がもう一度聴きたいキース・ジャレットトリオは,ベースゲイリー・ピーコックドラムポール・モチアンと組んだ『AT THE DEER HEAD INNアゲイン
 キース・ジャレットトリオの編成からドラマーが1人交代しただけで,こうも変わるものなのか!?

 「テザード・ムーン」の『トライングル』を聴いた感想は,キース・ジャレットトリオの編成からピアニストが1人交代するだけで,こうも変わるものなのか!?
 菊地雅章が“唸りまくる”「テザード・ムーン」の『トライングル』は,確かに【制作企画賞】ものであろう。

 いいや,プーさんに【制作企画賞】なんて評価低すぎ〜。【日本ジャズ賞】→【銀賞】→【金賞】にも相応しい。素晴らしい。

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / グッド・モーニング・スージー・ソーホー5

GOOD MORNING SUSIE SOHO-1 『ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ』が大好き過ぎて「輸入盤が購入しない。なぜなら本当に良いものならば,日本盤も待てば出るのだから」という(恐らくは的外れを自覚している)自らに課した「縛り」を解いてまでも,エスビョルン・スヴェンソンの過去作を聴きたい衝動を我慢して手に入れた,日本盤同日発売の2枚が『フロム・ガガーリンズ・ポイント・オブ・ヴュー』と『GOOD MORNING SUSIE SOHO』(以下『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』)。

 この2枚の性格は異なる。『フロム・ガガーリンズ・ポイント・オブ・ヴュー』は,すんなりと受け入れることが出来た。『ストレンジ・プレイス・フォー・スノウ』以前の「未知のジャズ・ピアノ」として,例えるなら「スター・ウォーズ」の「エピソード4」から楽しむ「エピソード1・2・3」の気分がしたものだ。

 一方の『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』が引っ掛かる。キャッチーなメロディー・ラインは【GOOD MORNING SUSIE SOHO】と【SPAM−BOO−LIMBO】ぐらいであるが,聴き終わった後にもう一度再生ボタンを押したくなる。そんな空気感のアルバムだった。

 『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』を聴いていると「静と動」が交互に押し寄せてくるのを感じる。気分が上がってそのまま激しく突っ走ってほしいところで,抑え目で少しダークな世界観が浮かび上がってくる。
 これがクラシック大国に囲まれた「北欧ジャズ」の特徴なのだろうが,澄んだ空気の曇り空のような音風景…。

 そう。『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』で初体験した不思議サウンド。カラフルで万華鏡のようで,エモーショナルでアグレッシヴで,詩的で繊細にしてダーク…。そんな相反するような言葉のどれもが当てはまる不思議サウンド…。

 いつしか,大人しめで落ち着いたサウンドの『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』を一日に一度は聴かないとこちらが落ち着かなくなってしまった。
 ヨーロピアンジャズならではの耽美的なメロディーを紡ぎながらも,ドラムンベースのグルーヴ感を強調し,エフェクターを効果的に駆使した「プログレッシヴなピアノ・トリオ」が『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』の中で鳴っていたのだった。

 この時点ではまだ大声では言えなかったが『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』のサウンド・メイキングは真に「ジャズ・ピアノの革命の1枚」で間違いない。

GOOD MORNING SUSIE SOHO-2 オーソドックスなピアノ・トリオでありながら,リリカルにして凶暴なエスビョルン・スヴェンソンが繰り出す“ポスト・ロック的な”音楽表現が実に多彩である。
 控え目にエフェクトを使用し音色面での幅の広さをベースに,音楽性そのものも雑多なジャンルを消化・吸収し,自分たちの陰影あるカラーで再構築してアウトプットしてみせる。「ロックするピアノ・トリオ」が完成されている。 

 こう書きながらも「e.s.t.」の軸足は,いかにも白人的な音楽性というか「北欧ジャズ」らしい純粋培養な美しさで満ちている。
 基本的にはアコースティックで美しく,エレクトロニックで装飾し,時にラジカルでアグレッシブになるが,それこそ今息づいている“ジャズ表現そのもの”なのである。

 ジャズの中でユニークな開拓をやってのけるのは並大抵の事ではない。その大仕事を北欧スウェーデンの3人の若者たち,ピアノエスビョルン・スヴェンソンベースダン・ベルグルンドドラムマグヌス・オストラムがやってのけたのだ。

 「e.s.t.」の挑戦的な姿勢が素晴らしい。洗練されているのにそれでも相当に斬新なのだ。「e.s.t.」の独創的な創造性は称賛に値すると管理人は思う。

  01. SOMEWHERE ELSE BEFORE
  02. DO THE JANGLE
  03. SERENITY
  04. THE WRAITH
  05. LAST LETTER FROM LITHUANIA
  06. GOOD MORNING SUSIE SOHO
  07. PROVIDENCE
  08. PAVANE - THOUGHTS OF A SEPTUAGENARIAN
  09. SPAM-BOO-LIMBO
  10. THE FACE OF LOVE
  11. REMINISCENCE OF A SOUL 〜 (Hidden Track) UNTITLED

(ソニー/SUPER STUDIO GUL 2000年発売/SICP-349)
(ライナーノーツ/青木啓)

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安藤 まさひろ / メロディ・ゴー・ラウンド4

MELODY GO ROUND-1 “メロディー・メーカー”安藤まさひろ2ndMELODY GO ROUND』(以下『メロディ・ゴー・ラウンド』)は“スクェアそのまんま”なソロ・アルバムである。

 1stメロディー・ブック』に続く「スクェアの外典」をソロ・アルバムで作り続ける意味はあるのだろうか?
 その答えが【湖の恐竜】にあるように思う。【湖の恐竜】とは則ち【SNOWBIRD】のことである。

 T−スクェアの『NATURAL』収録の【SNOWBIRD】は『NATURAL−U.S.VERSION』にも収録済。つまり公式には3番目の【SNOWBIRD】が【湖の恐竜】なのである。

 【SNOWBIRD】のメロディは美しい。これはギターで弾くから“様になる”名バラードである。
 しかし【SNOWBIRD】が真価を発揮するにはカッティング・ギターがどうしても必要だった。そのことを作者である安藤まさひろが十分心得ているがゆえの再演であろう。
 客演は“あの”山下達郎山下達郎って,実は有名なギター職人なのであ〜る。

 そう。安藤まさひろソロ・アルバムで「スクェアの外典」を作り続ける意味とは「理想とするスクェア・サウンドの追求」なのだと思う。
 言うまでもなくT−スクェアはバンドである。安藤まさひろT−スクェアのリーダーではあるが独裁者ではない。自分の意見が通らないこともあるだろう。例えば【SNOWBIRD】のガス抜きが【湖の恐竜】で形になったのだと思う。

 こう考えると全てがつながる。『メロディ・ゴー・ラウンド』が“スクェアそのまんま”なのは,もしかしたら『NATURAL』用に準備した没テイク? だから『NATURAL』発売の半年後に『メロディ・ゴー・ラウンド』をリリースできた?

MELODY GO ROUND-2 個人的に『メロディ・ゴー・ラウンド』は楽曲が暗いイメージ(いいえ,アダルトなだけでした)。ただし,スクェア恒例の選考会でボツになった理由はアダルト路線のせいではなく,単純にギターソロが長かっただけ!
 『メロディ・ゴー・ラウンド』の功績の1つは,安藤まさひろがこんなにも表情豊かなギタリストであったとは…という「新鮮な驚き」にある。

 “メロディー・メーカー”安藤まさひろは当然ながらギター・メインの曲を書くが,サックスEWIキーボード・メインの曲も書く。
 サックスEWIキーボード・メインの曲ならば,バンドの話し合いで決まったアレンジで妥協することも許せるであろう。
 しかしギター・メインの楽曲で譲るのは「顔で笑って心で泣いて」なのかもしれない…。

  01. Tonight's the night
  02. 三月のライオン
  03. Blackeyed Susan
  04. 湖の恐竜
  05. Mystery
  06. Knock on the door, Look for happiness
  07. Mr. Moon
  08. Cool
  09. 摩天楼の殺人者
  10. Good-bye blue wind

(CBSソニー/CBS/SONY 1990年発売/CSCL-1545)

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / フロム・ガガーリンズ・ポイント・オブ・ヴュー5

FROM GAGARIN'S POINT OF VIEW-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」こそが,解散後,誰にも受け継がれることのなかった,キース・ジャレットアメリカン・カルテットの後継バンドと認識する。
 同じピアノ・トリオキース・ジャレット・トリオでもなく,同じ北欧出身のヨーロピアン・カルテットでもなく,絶対にアメリカン・カルテットであると認識する。

 その確信の根拠を問われれば『FROM GAGARIN’S POINT OF VIEW』(以下『フロム・ガガーリンズ・ポイント・オブ・ヴュー』)を聴いてほしい,と答えることにしている。
 (全曲いいのだが)【DEFINITION OF DOG】を聴いてほしい。『フロム・ガガーリンズ・ポイント・オブ・ヴュー』は【DEFINITION OF DOG】の1曲に億千万の価値がある。

 なぜならば【DEFINITION OF DOG】こそが,キース・ジャレットアメリカン・カルテットの『SHADES』収録【SOUTHERN SMILES】の変奏曲。
 つまりはエスビョルン・スヴェンソンによるキース・ジャレットへ捧げたオマージェの発露であり,誰も継承することのできなかったアメリカン・カルテットの後継バンド宣言に思えるからだ。

 一般にアメリカン・カルテットと来れば,土臭くアバンギャルドで濃厚な演奏をイメージしてしまい,人気の点でヨーロピアン・カルテットの後塵を拝しているようだが,オリジナリティー,洗練度,斬新さ,美しさの点で他のプロジェクトを凌駕しているように思う。
 ほぼ全てのアルバムが「オール5」のキース・ジャレット名盤群の中にあって,異質な美しさが頭一つ抜きん出ている。

 聞けばエスビョルン・スヴェンソンキース・ジャレット好きを公言しているようだ。
 でもそんな言葉など必要ない。管理人のようなキース・ジャレットの大ファンなら【SOUTHERN SMILES】“一発”でエスビョルン・スヴェンソンの中に宿っているキース・ジャレットの音楽観を聴き取れるものと思っている。

 切れ目なく3曲一気に疾走する,リリカルなミディアム・テンポの【DATING】【PICNIC】【CHAPEL】が管理人の大好物! スタートから一気に惹き込まれる。エスビョルン・スヴェンソンによる16分音符の息の長いパッセージを昇降するピアノが最高にクリティカル!
 そうして地ならしされた後に登場するキラー・チューン=4曲目【DODGE THE DODO】の新録バージョンが最高に“COOL”なジャム・ポップ。ドラムン・ベース炸裂のシャウト感がたまらない! 素晴らしい仕掛けであろう。
 5曲目【FROM GAGARIN’S POINT OF VIEW】で,静かに流れ出す美旋律バラードは,深い藍色を呈するバルト海をゆっくり遊覧する豪華客船から眺めるフィヨルドを想起させてくれる。

( 6曲目【THE RETURN OF MOHAMMED】の緩やかに浮遊する優しいメロディーは,これまた管理人の鉄板=パット・メセニー・グループを連想させてくれる。余談だが「e.s.t.」と“相思相愛”なのはキース・ジャレットだけではない。何を隠そうパット・メセニーも「e.s.t.」を大絶賛していた。キース・ジャレットパット・メセニーなのだから管理人が“のぼせる”気持ちも分かるでしょ? )

FROM GAGARIN'S POINT OF VIEW-2 そう。『フロム・ガガーリンズ・ポイント・オブ・ヴュー』での「e.s.t.」がワイルドなのに美しい。とにかく異次元の美しさを感じる。とにかく最初の一音から最後の一音までが感動する。
 『フロム・ガガーリンズ・ポイント・オブ・ヴュー』を耳にして,ずっとこんなアルバムを聴きたいと願っていたことを思い出した。キース・ジャレットアメリカン・カルテットのような音楽を探していた。そしてついに巡り会えたのだ。この管理人の喜びを理解していただけますか?

 管理人の結論。『フロム・ガガーリンズ・ポイント・オブ・ヴュー批評

 「e.s.t.」の真髄とは『GOOD MORNING SUSIE SOHO』以降の「ロックするピアノ・トリオ」で間違いない。
 その意味でエフェクター,ディストーション,ディレイにリズムマシンまでも駆使したアコースティック楽器の電気武装以前 → アコースティックの鳴りそのまんまな『フロム・ガガーリンズ・ポイント・オブ・ヴュー』は「e.s.t.」の“最後にして最高の”ジャズ・アルバムである。

  01. Dating
  02. Picnic
  03. Chapel
  04. Dodge The Dodo
  05. From Gagarin's Point Of View
  06. The Return Of Mohammed
  07. Cornette
  08. In The Face Of Day
  09. Subway
  10. Definition Of Dog
  11. Southwest Loner

(ソニー/SUPER STUDIO GUL 1999年発売/SICP-348)
(ライナーノーツ/杉田宏樹)

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難波 弘之 / ゴールデン☆ベスト 難波 弘之 WORKS4

HIROYUKI NAMBA WORKS GOLDEN☆BEST-1 『ゴールデン☆ベスト』シリーズで所有しているのは『HIROYUKI NAMBA WORKS GOLDEN☆BEST』(以下『ゴールデン☆ベスト 難波弘之 WORKS』)と『JUN FUKAMACHI GOLDEN☆BEST』の2枚だけである。

 本当は『ゴールデン☆ベスト 難波弘之 WORKS』を欲しかったわけではなかったのだが,唯一「EXHIVISION」の未発表曲を聴きたかったので購入した。

 お目当ての【NEVERMORE】は期待通りの名演であった。雰囲気としては【DIMENSION TRAVELLER】に似ているかなぁ。
 “超絶技巧”の難波弘之和田アキラ永井敏己長谷川浩二がメロディアス。譜面通りなのに譜面以上の快演である。素晴らしい。

 でもでも,そんな「EXHIVISION」としての難波弘之は『ゴールデン☆ベスト 難波弘之 WORKS』の名曲群を前にしたら,多彩な活動のほんの一面に過ぎないことがよ〜く理解できた。

 個人的に難波弘之と来れば“プログレフュージョンの人”であって,これまで「SENSE OF WONDER」の難波弘之と「野獣王国」の難波弘之と「EXHIVISION」の難波弘之としか接してこなかった。
( あっ,難波弘之との一番の思い出は,NHK教育で見ていた「ベストサウンド」であって,ドラムそうる透の講義が好きだった! )

 ゆえに『ゴールデン☆ベスト 難波弘之 WORKS』で,初めて「MARI & BUX BUNNY」の難波弘之に「NUOVO IMMIGRATO」の難波弘之に「A.P.J.」の難波弘之に「VIBES」の難波弘之に接して,氏のロック志向を理解できた気分である。

HIROYUKI NAMBA WORKS GOLDEN☆BEST-2 そう。難波弘之がいつも凄い演奏に没頭できるのは「予防線としての歌える楽曲作り」に端を発している。
 どんなに演奏で熱くなったとしても“歌もの”の意識が離れないからアドリブが破たんすることはない。曲作りの段階から事前にそういうガードを張っていることが,年代順に編集された『ゴールデン☆ベスト 難波弘之 WORKS』から伝わってくる。

 ただし,難波弘之の“ロックの人”が理解できたからといって,深町純のように過去作を掘り続けようとは思いません。
 管理人の大好きな難波弘之とは“ロックの人”ではなく“プログレフュージョンの人”難波弘之なのです。

  01. 化石の街
  02. 空中の音楽
  03. 碧い星で
  04. DIMENSION TRAVELER
  05. Fly Away
  06. SKELETON CREW
  07. Labyrinthos
  08. いつか,青空のように…
  09. Voice
  10. Little mermaid 〜星に願いを〜
  11. Metal Snow
  12. Nevermore

(ユニバーサル・ミュージック/UNIVERSAL MUSIC 2008年発売/UPCY-6485)
(ライナーノーツ/難波弘之)

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / E.S.T. ライヴ5

E.S.T. LIVE-1 管理人は「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」が大好きである。現代最高のピアノ・トリオの1つで間違いない。

 こう書いてはいるが実は管理人「e.s.t.」に惹かれたのは,エスビョルン・スヴェンソンピアノというよりも,歪んだ電子音のキーボードがきっかけであった。
 正統派なアコースティック・ピアノの後ろで,随分と変態チックなキーボードが被さっている。そのキーボードが絶対にピアノの前に出ない所にエスビョルン・スヴェンソンのポリシーを感じて大好きになった。
 キーボードっていうところが,現代のジャズ・ピアノの「革新」のように思う部分があったからだ。

 だから『STRANGE PLACE FOR SNOW』→『FROM GAGARIN’S POINT OF VIEW』→『GOOD MORNING SUSIE SOHO』(日本盤リリース順)の次に買った『E.S.T. LIVE』(以下『E.S.T. ライブ』)に「怒涛の三部作」以上の衝撃を受けた。
 「エスビョルン・スヴェンソンという人は,ピアノを弾くサウンド・クリエイターなどではなく,超一流のジャズ・ピアニストだったんだ…」。

 そう。だからこそエスビョルン・スヴェンソンというジャズ・ピアニストに,ピアノだけでなくソプラノサックスパーカッションを演奏していた,アメリカン・カルテット活動時のキース・ジャレットを重ね見るようになった。
 キース・ジャレットの後継者としてよく名前が挙がるのはブラッド・メルドーであるが,個人的にはキース・ジャレットの真の後継者はエスビョルン・スヴェンソンの方だと思っている。

 …ということはエスビョルン・スヴェンソンが没した今,もはやキース・ジャレットの後継者は現れることはない。こうなりゃ,一心不乱に「e.s.t.」を聴き込むのみ!

 エスビョルン・スヴェンソンキース・ジャレットと同様,唸るんだよなぁ。エスビョルン・スヴェンソンの唸りは『GOOD MORNING SUSIE SOHO』で確認済であったが,ライブ盤である『E.S.T. ライブ』を聴いて確信へと変わった。

E.S.T. LIVE-2 管理人の結論。『E.S.T. ライブ批評

 【SAY HELLO TO MR.D(TO MR.S)】【THE RUBE THING】【MR.&MRS.HANDKERCHIEF】【DODGE THE DODO】の4トラックが最高にCOOL!
 ロック的なリフやゴスペル的響き,エスビョルン・スヴェンソンのメロディックなアドリブは「e.s.t.」だけのものであろう。

 『E.S.T. ライブ』は『FROM GAGARIN’S POINT OF VIEW』以前の,未だジャズの範疇にいた「e.s.t.」の貴重な記録である。
 オーソドックスなジャズからスタートして,未知の音楽を切り開いた「e.s.t.」の偉大さを,今,俯瞰的に知ることができる。

 ピアノだけに専念するエスビョルン・スヴェンソン。いいですよっ。

  01. Say Hello To Mr.D (to Mr.S)
  02. The Rube Thing
  03. Happy Heads And Crazy Feds
  04. The Day After (leaving)
  05. Like Wash It Or Something
  06. Breadbasket
  07. What Did You Buy Today
  08. Hymn Of The River Brown
  09. Same As Before
  10. Mr.&Mrs. Handkerchief
  11. Dodge The Dodo

(アクト/ACT 2002年発売/DICT-24018)
(ライナーノーツ/多田雅範)

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上原 ひろみ×エドマール・カスタネーダ / ライヴ・イン・モントリオール5

LIVE IN MONTREAL-1 ちょっとした予備知識はあったのだが『LIVE IN MONTREAL』(以下『ライヴ・イン・モントリオール』)を初めて聴いて「あれっ,これってデュエットではなくバンドだったんだ」と思ってしまった。

 実は管理人と同じような経験をした上原ひろみ・ファンは多いのではないだろうか? 素直に『ライヴ・イン・モントリオール』を「音から入る」と,エドマール・カスタネーダハーブの他に,ギタリストとのベーシストが参加しているように聴こえてしまう。

 こんな体験が出来るのが『ライヴ・イン・モントリオール』の醍醐味である。南米のハーブ奏者=エドマール・カスタネーダ名演に何度驚かされてしまったことだろう。
 そうして,そんなエドマール・カスタネーダと新しい音楽を創造する喜びを感じている上原ひろみがこれまた凄い! 『ライヴ・イン・モントリオール』の大胆にして細やかな丁々発止は,まさしく新鮮にして超ジャンルな広がりと甚大な訴求力を持っている!

 そう。上原ひろみとしては,音の響きが珍しい。ピアノハーブとのデュエットにチャレンジしたというよりは,エドマール・カスタネーダというジャズマンとのデュエットにチャレンジしたのだと思う。

 エドマール・カスタネーダの“超絶技巧”の音楽性,リズムの取り方も個性的だし,アドリブやハーモニーの付け方が真に素晴らしい。上原ひろみエドマール・カスタネーダにメロメロになったのはこの部分なんだろうなぁ。管理人も上原ひろみ同様にメロメロになってしまいましたとさっ。

LIVE IN MONTREAL-2 過去にチック・コリア矢野顕子との(近年はタップダンスの熊谷和徳とも)名盤を残したデュエットの名手=上原ひろみ

 しかし,エドマール・カスタネーダとのデュエットは,過去の3枚のデュエット作とはテイストが異なる。
 ズバリ『ライヴ・イン・モントリオール』における,上原ひろみエドマール・カスタネーダデュエットの真髄は「同時代バイブレーション」にある。

 これまでは,どうしても敬愛の気持ちが溢れたデュエットであって「追いつけ追い越せ」の上原ひろみと「私だって,ほら,ここまでできるんですよ」的な上原ひろみの“ミテミテ病”が入っていたように思う。

 その意味では「胸を借りる」ではなく「胸を貸す」立場になって初めてのデュエットである『ライヴ・イン・モントリオール』における上原ひろみの変化は,相手の一挙手一投足をこれまで以上に観察していること。つまりはリターンを得意とする上原ひろみの新カットマン・スタイル。

LIVE IN MONTREAL-3 自分自身が前に出るだけではなく,エドマール・カスタネーダを前に押し出す意識が,これまでのデュエット・アルバムの何倍も強い。

 そう。『ライヴ・イン・モントリオール』はデュエット・アルバムのお手本のようなアルバムである。
 あっ,上原ひろみのお師匠さん=チック・コリアにもゲイリー・バートンとのデュエット・アルバムのお手本のようなアルバムがありましたねっ。

PS 「LIVE IN MONTREAL-3」は販促用のボールペンです。

  CD
  01. HARP IN NEW YORK
  02. FOR JACO
  03. MOONLIGHT SUNSHINE
  04. CANTINA BAND
    THE ELEMENTS
  05. AIR
  06. EARTH
  07. WATER
  08. FIRE
  09. LIBERTANGO

  DVD
  01. THE ELEMENTS "FIRE" - LIVE CLIP
  02. HAZE - LIVE CLIP
  03. CANADIAN TOUR DOCUMENTARY AND INTERVIEWS

(テラーク/TELARC 2017年発売/UCCO-8018)
★【初回限定盤】 SHM−CD+DVD
★スリーヴ・ケース仕様
★8Pブックレット

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チャーリー・ヘイデン & ハンク・ジョーンズ / スピリチュアル5

STEAL AWAY-1 テンポの遅いデュエットを演らせたら,やはりチャーリー・ヘイデンが一番手であろう。とにかく軒並み出来が良い。
 キース・ジャレットパット・メセニーから始まって,ケニー・バロンしかり,ジム・ホールしかり,エグベルト・ジスモンチしかり…。

 そんな中,管理人がチャーリー・ヘイデンデュエット“最高傑作”として推すのが,ピアノの“御大”ハンク・ジョーンズとのデュエットSTEAL AWAY』(以下『スピリチュアル』)である。

 ハンク・ジョーンズの,リリカルで,それでいて万人受けするストレートなフレージングの説得力が,チャーリー・ヘイデンの朴訥で,斜に構えがちな重いフレージングとの絶大なる「相性の良さ」を感じさせる。
( チャーリー・ヘイデンハンク・ジョーンズによる続編『カム・サンデイ』はハンク・ジョーンズの遺作である。ハンク・ジョーンズにとっても特別だった? )

 同じピアニストであってもくすみがちの美しさのキース・ジャレットとストレートに煌びやかなハンク・ジョーンズでは全然違う。
 しかし,キース・ジャレットにしてもハンク・ジョーンズにしても,チャーリー・ヘイデンデュエットしている間は,類まれなる個性を捨てて,どちらも一介のジャズ・ピアニストに戻っている。

 ここにチャーリー・ヘイデンの個性が聴こえる。チャーリー・ヘイデンはまず共演者の音楽をじっくりと聴いている。そしてそのジャズメンの本音が聴こえ出すまで待つことができる人である。
 そうしてついに本音が聴こえ出した瞬間に共演者の意図を汲み取り,その場にふさわしい最高の音を選択する名手。表に出ようと裏に回ろうとも,いつでも音楽全体を優しく包み込み,自慢のベースをいつでも意識的に消すことができる。

 そう。チャーリー・ヘイデンは音楽の土台を支えるベーシストにして,共演者がどんなアドリブで弾けようとも,最後にはちゃんと帰って来る受け皿を準備している。
 デュエット中の共演者は,チャーリー・ヘイデンと2人でシーソーにでも乗ったかのような楽しい気分になるのだと思う。要するにチャーリー・ヘイデンとはバランサーなのだ。

 チャーリー・ヘイデンハンク・ジョーンズが『スピリチュアル』で選んだテーマは,古くから歌われてきた黒人霊歌や教会の賛美歌である。
 黒人音楽への敬意,普通の暮らしへの敬意,普通に生きている人々の日々の営みへの敬意,そういう暮らしを繰り返してきた先人たちへの敬意がアルバム全体に貫かれている。ここにアドリブは要らない。新しいアレンジも要らない。

STEAL AWAY-2 ズバリ『スピリチュアル』の聴き所は,円熟とも枯れとも何とも形容し難い,音数の少ないベースピアノの“エイジングされた”静かな語らいにある。

 チャーリー・ヘイデンベースが丸みを帯びている。ただ丸いだけではない。長い年月を経て熟成されて角がとれてきたような丸み,と書けばよいのだろうか,芯の部分では強い意思を保っていて,それが深いコクとまろやかさのある極上の味わいになっている。
 ハンク・ジョーンズピアノには,既に心に刻まれている,お馴染のメロディーをただなぞっただけの雰囲気がある。シンプルに,そしてたんたんと,リラックスした演奏が進行していく…。

 本を片手にぼんやりと『スピリチュアル』に向き合う幸福感がたまらない。ながら聴きの最中に,ふと音楽に耳を傾けたその瞬間,まるでシャッターで切り取られたかのような,極上のメロディーが耳に飛び込んでくる…。
 教会の机の木の香り,ひんやりとした空気,ステンドグラスの不思議な色合い,その向こうに見えた大きな木に揺れる緑の葉っぱ,薄い水色の高い空。そんなことを思い出す。ぼんやりとした記憶…。けれどもはっきりとした記憶…。

  01. IT'S ME, O LORD (STANDIN' IN THE NEED OF PRAYER)
  02. NOBODY KNOWS THE TROUBLE I'VE SEEN
  03. SPIRITUAL
  04. WADE IN THE WATER
  05. SWING LOW, SWEET CHARIOT
  06. SOMETIMES I FEEL LIKE A MOTHERLESS CHILD
  07. L'AMOUR DE MOY
  08. DANNY BOY
  09. I'VE GOT A ROBE, YOU GOT A ROBE (GOIN' TO SHOUT ALL
     OVER GOD'S HEAV'N)

  10. STEAL AWAY
  11. WE SHALL OVERCOME
  12. GO DOWN, MOSES
  13. MY LORD, WHAT A MORNIN'
  14. HYMN MEDLEY;
    ABIDE WITH ME
    JUST AS I AM WITHOUT ONE PLEA
    WHAT A FRIEND WE HAVE IN JESUS
    AMAZING GRACE

(ヴァーヴ/VERVE 1995年発売/POCJ-1273)
(ライナーノーツ/モーリス・ジャクソン,チャーリー・ヘイデン,アビー・リンカーン)

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MALTA / MALTA4

MALTA-1 管理人がMALTAを初めて聴いたのは,NHK−FM「SESSION’84」だったと記憶する。
 その日は特別MALTAを聴こう!と思ったわけではなく,ただ毎週の習慣でNHK−FM「SESSION〇〇」を聴いていた。だからMALTAについての予備知識など一切なしに,あの音色に直面した時の何とも言えない喜びの感情を覚えている。

 デビュー当時のMALTAのサウンドは,日本っぽくもあり日本っぽくない,そしてジャズっぽくもありジャズっぽくない,フュージョンっぽくもありフュージョンっぽくない「お洒落なシティ・ジャズ」だと思った。

 今思えば,あの時感じた「お洒落なシティ・ジャズ」とは,MALTAのオリジナリティであって褒め言葉になるのだろうが,正直,中学生には退屈なジャズであった。
 だから逆説的に,管理人にとってのMALTAとは,美しいサックス吹き,ただそれだけである。

 それゆえMALTAデビュー・アルバム『MALTA』を買って,ライナーノーツのクレジットを見て驚いてしまった。
 『MALTA』のサイドメンとして参加したのは,ピアノキーボード深町純野力奏一佐藤允彦ギターエリック・ゲイル松原正樹今剛ベース岡沢章ドラム渡嘉敷裕一山木秀夫。えっ,えっ,え〜!

 この豪華すぎるサイドメンのラインナップは渡辺貞夫と同格である。無名の新人と思って聴いていたMALTAは,ただの美しいサックス吹きではなかったのだ。

 しかし,管理人にとってMALTAの『MALTA』の印象は,何度聴いてもやっぱり「お洒落なシティ・ジャズ」止まり。
 こんなに豪華なサイドメンが揃っているのに,肝心のメロディーが頭の中に全く入って来ないし,お気に入りのアドリブもついに見つけることはできなかった。
 バブル期のJVCはジャパン・マネーの垂れ流し〜 ← 管理人はMALTA国府弘子も後追いの再評価組なのです。

( ジャズフュージョンを定期的に行き来するのがMALTAの音楽性の特長であるのは百も承知であるが「フュージョン8割:ジャズ2割」のMALTAが,そして「サックスジャズ,バック・サウンドはフュージョン」のMALTAこそが最高の仕上りだと思っている )

MALTA-2 管理人の結論。『MALTA批評

 MALTAの『MALTA』は「お洒落なシティ・ジャズ」アルバム。
 今でも聴いているのは,キュートなフュージョン系の【SHINY LADY】と絶品バラードの【EVENING CALM】の2トラックだけである。

 いいや,本気で聴いているのはアルトサックスの甘美な音色である。← MALTAアルトの音色はこの後メタリックへと徐々に変化していきます。真にアルトサックスの甘美な音色が聴けるのは『MALTA』と『SWEET MAGIC』の最初期の2枚だけ!

  01. SHINY LADY
  02. AMONG THE CLOUDS
  03. DANCE AFTER DANCE
  04. IN YOUR DREAM
  05. BRIGHT SILVER MOON
  06. NIGHT MAGIC
  07. EVENING CALM
  08. WHAT'S UP
  09. CRYSTAL RAINDROPS
  10. BE MINE

(ビクター/JVC 1984年発売/VDP-7)
(ライナーノーツ/波野未来)

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エルダー・ジャンギロフ / エルダー4

ELDAR-1 管理人にとって「新世代の天才」の称号にふさわしいのは“ジャズ・ピアニストエルダー・ジャンギロフが最後のように思う。
 実に10年以上,10代の「天才」ジャズメンが出現していない,という事実。ちょうどあの頃,エルダー・ジャンギロフ松永貴志上原ひろみ(ついでに矢野沙織ちゃん)がバンバン台頭していた時代の勢いが懐かしいもあり淋しくもあり…。

 でも多分そうではない。ここ10年,現代のジャズ・シーンにはきっと何人もの「新世代のスター」たちがデビュー飾っているはずである。
 そうであっても,管理人にはエルダー・ジャンギロフが最後の「新世代の天才」なのである。実に10年以上,時間がエルダー・ジャンギロフで止まっている。
 その理由は明白である。未だエルダー・ジャンギロフの『ELDAR』(以下『エルダー』)を超える“衝撃作”と出会えていない。ただそれだけのことであろう。 

 思うにこれが真実の理由であるのなら,もうしばらくエルダー・ジャンギロフに続く「新世代の天才」は現われないように思う。
 矢野沙織の場合がそうであったが,お〜っと,ジャズ・ピアニストを例に出した方が早いのかっ。ゴンサロ・ルバルカバの場合がそうであったが「新人」とか「10代」というキーワード抜きに音だけを聴いたら,もはや熟練のジャズ・ピアニストとウソの紹介をされても信じ込んでしまう。“天才”は若い頃から老いてもなお“天才”なのだから…。

 エルダー・ジャンギロフの“天才”の所以が『エルダー』の中にたっぷり濃縮。それは“超絶技巧”と“名作曲家”の2面にある。
 “ジャズ・ピアニスト”としてのエルダー・ジャンギロフのスゴ技は,正確無比な早弾きであろう。1曲目の【SWEET GEORGIA BROWN】で脳天かち割られてしまった後,マイケル・ブレッカーとの【SWEET GEORGIA BROWN】でのがっぷりヨツからの高速【MAIDEN VOYAGE】とダンシング【WATERMELON ISLAND】でのハービー・ハンコック祭りが素晴らしい。
 こう書くと“COOL”な演奏を思い浮かべるかもしれないが,実際は“HOT”で情感が乗っている。「オスカー・ピーターソンがインテリしている感じ」で良いと思う。

 もう1つの“名作曲家”としてのエルダー・ジャンギロフの“才”にも惚れ惚れする。この辺りのエルダー・ジャンギロフの“文才”が松永貴志上原ひろみと同列で比較される要因だと思うが,ジャズスタンダードのアレンジを聴く限り,既存曲を完全消化できたエルダー・ジャンギロフだから,スタンダードとは全く異なる“新しいもの”が出て来た感じでワクワクする。
 うん。『エルダー』は名盤である。「平成の怪物」盤の1枚に数えて良いと思う。

ELDAR-2 ただし,管理人は『エルダー』をもう10年は聴いていない。
 『エルダー批評の執筆のため,久しぶりに聴いてみたが,恐らく最後に『エルダー』を聴いた時10年前の感想と印象に変化はない。きっとこれからも『エルダー』を聴く機会は少ないことだろう。

 なぜなら『エルダー』を初めて聴いた瞬間の,あの“衝撃”が薄れる感じがする。聴き込めば聴き込むほどに,あの日の感動の“衝撃”が弱くなっていく…。
 あの日には感じなかったエルダー・ジャンギロフの「独りよがり」に気付いてしまった。例えば“超絶技巧”ベーシストジョン・パティトゥッチを置いてけぼりにする「我関せず」風の高速ドライブに,名手同士だけに許された絡みの楽しさを奪われたように感じてしまったから…。

 だ・か・ら・エルダー・ジャンギロフは『エルダー』以降は購入していない。きっとエルダー・ジャンギロフ自身が『エルダー』の“衝撃”を超えきれていないから…。
 だ・か・ら・エルダー・ジャンギロフに続く「新世代の天才」が現われない。敵はエルダー・ジャンギロフというジャズメンではなく『エルダー』という「平成の怪物」盤なのだから…。

  01. SWEET GEORGIA BROWN
  02. NATURE BOY
  03. MOANIN'
  04. POINT OF VIEW
  05. RAINDROPS
  06. LADY WICKS
  07. MAIDEN VOYAGE
  08. 'ROUND MIDNIGHT
  09. ASK ME NOW
  10. WATERMELON ISLAND
  11. FLY ME TO THE MOON

(ソニー/SONY 2005年発売/SICP 802)
(ライナーノーツ/ビリー・テイラー,小川隆夫)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1991年度(第25回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1991年度(第25回)の発表です。

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アース・ウォーク★【金賞】.アース・ウォーク
ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション


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ウェルカム・トゥ・ラブ★【銀賞】.ウエルカム・トゥ・ラブ
ファラオ・サンダース


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ユ−・ガッタ・ペイ・ザ・バンド★【ボーカル賞】.ユー・ガッタ・ペイ・ザ・バンド
アビー・リンカーン・ウイズ・スタン・ゲッツ


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プレイズ・ビバップ Vol.1★【日本ジャズ賞】.プレイズ・ビ・バップ Vol.1
富樫雅彦 & J.J.スピリッツ


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ヴォイス★【日本ボーカル賞】.ヴォイス
中本マリ


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シャキルの戦士★【制作企画賞】.シャキルの戦士
デビッド・マレイ〜ドン・プーレン〜スタンリー・フランクス〜アンドリュー・シリル

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日本ジャズ体系★【編集企画賞】.日本ジャズ体系 (King)



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ドン・キホーテ★【録音賞(海外)】.ドン・キホーテ
 チャールス・ファンブロー


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アース・ウォーク★【録音賞(国内)】.アース・ウォーク
ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション


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ジョン・コルトレーンの世界 [DVD]★【最優秀ビデオ賞】.ジョン・コルトレーンの世界
 ジョン・コルトレーン



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 ジャック・デジョネット・スペシャル・エディションの『アース・ウォーク』が【金賞】受賞。
 出すアルバムが全て絶賛されてきたジャック・デジョネットの「スペシャル・エディション」。そんな「スペシャル・エディション」が,史上最高のアルバムを作ったのだから【金賞】受賞も当然だと思う。

 アルバム毎にほぼメンバーが入れ替わってきた「スペシャル・エディション」。『アース・ウォーク』のフロントは,ゲイリー・トーマスグレッグ・オズビーツインサックスに,新加入のマイケル・ケインキーボード

 ゲイリー・トーマスグレッグ・オズビーがクリエイティブ。そんな2人の熱演をスケール豊かに包み込み,最終的な音の表情を作り上げるマイケル・ケインが八面六臂の大活躍。

 トンガリ系でぶっ飛び系なのに,最新テクノロジー化された手作りの音がそこはかとなく温かい。ジャック・デジョネット=素晴らしいセンスの“音楽家”爆発アルバムである。

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チック・コリア・アコースティック・バンド / ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京5

LIVE FROM THE BLUE NOTE TOKYO-1 移り気なチック・コリアの膨大なプロジェクトの中にあっても“瓢箪から駒”の「アコースティック・バンド」。
 だからデイブ・ウェックルのトラとしてヴィニー・カリウタが参加したと聞いてはいても「気が動転する」ようなことはなかった。

 でも『LIVE FROM THE BLUE NOTE TOKYO』(以下『ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京』)を実際に耳にしたとき「気が動転して」しまった。

 なんだかこれまでチック・コリアを聴いて時を過ごしてきた様々な思い出,その時々の感情,そしてチック・コリアに関連して貯め込んできた知識がフラッシュバックの如く頭の中を一気に駆け巡ったことをよく覚えている。

 チック・コリアドラマーと来れば,スティーヴ・ガッドデイブ・ウェックルにような「正確無比」なバカテク・フュージョン系のドラマーの名前を真っ先にイメージしてしまうのだが,例えばジャズ系のロイ・ヘインズジェフ・バラード,ロック系のレニー・ホワイトと共演した時のチック・コリアも一興である。
 そう。チック・コリアベーシストの変更以上にドラマーの個性に感化されるタイプだと思う。

 その意味で「“NEW”AKOUSTIC BAND」とクレジットされたヴィニー・カリウタドラミングに,チック・コリアがこれまでになく創造力を刺激された演奏を聞くにつれ,デイブ・ウェックルのことが気になるし,ジョン・パティトゥッチの心情も気になってくる。
 音楽以外の事で「胸騒ぎを覚える」。『ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京』はそんなアルバムであった。

 ズバリ『ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京』のハイライトは,これまでのデイブ・ウェックルとの蜜月を吹き飛ばす,ヴィニー・カリウタの譜面上から“飛び出す”ドラミングに尽きる!

LIVE FROM THE BLUE NOTE TOKYO-2 ヴィニー・カリウタシンバルバスドラの「乱れ打ち」に驚愕してしまう。しなやかなのに大きくウネリながらポリリズムばりに4ビートで疾走するドラミングに狂喜乱舞してしまう。
 そう。『ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京』とは,ヴィニー・カリウタチック・コリアを“吹き飛ばした”瞬間の記録である。

 チック・コリアヴィニー・カリウタが良く言うと「ユニゾン」している。まっ,普通に語ると「音が被って」いる。結果,ぶつかり合ったピアノドラムではドラムが優勢となっている。
 素晴らしいのは『ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京』でのアドリブ合戦の全てが全て,音楽的である。そのことに尽きる。

 チック・コリアヴィニー・カリウタが共に“歌っている”。2人の作曲家が「ブルーノート東京」のステージ上で共作を産み落としていく。
 そしてジョン・パティトゥッチのコンテンポラリー系のベースが,抜群の対応力がいつも以上に素晴らしい。ウッドベース1本なのに「AKOUSTIC」にも「ELEKTRICK」にも“七変化”しつつスイングしている。鬼の職人の仕事ぶりだと思う。

 とにもかくにも,ここまでチック・コリアが押されるアルバムはそう滅多に聴けやしない。
 ヴィニー・カリウタに,自身の体内に宿る,新しい音楽のツボを押されたチック・コリアは,メンバーを一新して「チック・コリア・エレクトリック・バンド」へと舞い戻る〜!

LIVE FROM THE BLUE NOTE TOKYO-3 う〜む。ヴィニー・カリウタを擁する「“NEW”AKOUSTIC BAND」がその後も継続していたら…。夢は膨らむ…。管理人の妄想も膨らむ…。

 チック・コリアヴィニー・カリウタが再演した「FIVE PEACE BAND」でのスーパー・ライブは,ジョン・マクラフリンヴィニー・カリウタ以上に共演を“待ち設けていた”ケニー・ギャレットへの思い入れがめちゃめちゃ強く「ケニー・ギャレット一色」になってしまったわけだが,落ち着いて繰り返し聴いてみると“ヴィニー・カリウタ祭り”の匂いがプンプン!

 チック・コリアさん(ヴィニー・カリウタのギャラが高額だとしても)もう一度,ヴィニー・カリウタとの再演を!
 もう一度,ヴィニー・カリウタさんへの「夢や憧れ」を「形として」現実化してくださ〜い。

  01. HUMPTY DUMPTY
  02. NEW WALTSE
  03. WITH A SONG IN MY HEART
  04. CHASIN' THE TRAIN
  05. SUMMER NIGHT
  06. TUMBA
  07. AUTUMN LEAVES

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 1996年発売/MVCR-240)
(ライナーノーツ/成田正)

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高中 正義 / SUPER TAKANAKA BEST4

SUPER TAKANAKA BEST-1 何度も書いているが,管理人はベスト盤は買わない主義。なぜならオリジナル・アルバムをコンプリートすればベスト盤は「無用の長物」となってしまうから! 管理人は気に入ったジャズメンは全部買い集める主義なのだ。

 その上で書く。高中正義については既にキティ時代のベスト盤『TAKANAKA’S COCKTAIL』を購入済。
 な・の・に・高中正義2枚目のベスト盤『SUPER TAKANAKA BEST』を買ってしまった。

 一番の理由は(未だに検索キーワード:「レコードショップ・まさ」で訪問者がある)閉店セールで,新品CD50%OFFだったからなのだが,選曲を見て心動かされてしまったのも事実。
 【黒船(嘉永六年六月四日)】である。サディスティック・ミカ・バンド・オリジナルの【黒船(嘉永六年六月四日)】である。これが欲しかったのだ〜。

 この理論は今までのセオリーと矛盾しない。“ジャズフュージョンくくり”において,サディスティック・ミカ・バンドを1枚も購入することはないのだから…。

 でっ,個人的には『SUPER TAKANAKA BEST』は,未所有のトラックと【黒船(嘉永六年六月四日)】だけを聴いていたのだが,今回の『SUPER TAKANAKA BEST批評に合わせて,久方ぶりに頭から聴き通してみた。

 でっ,感想。高中正義には3回のピークが存在する。1回目の山がキティ時代の永遠に色褪せない「夏ソング」の名曲群。2回目の山が東芝EMI移籍後ダッシュの『TRAUMATIC 極東探偵団』と『JUNGLE JANE』の2枚組。3回目の山が東芝後期の「TAKANAKA・AOR」時代である。
 どちらにしても「夏音」なのだが,3回のピークがそれぞれ表情の異なる「夏音」が奏でられていて聴き比べが興味深い。 

SUPER TAKANAKA BEST-2 管理人の結論。『SUPER TAKANAKA BEST批評

 『SUPER TAKANAKA BEST』に「MASAYOSHI TAKANAKA」の歴史あり!

 「スーパーベスト盤」なので星5つに値するのだが,やっぱり【MALIBU】と【JUMPING TAKE OFF】が選外なので,イマイチ気持ちが入らない。星4つ。

  01. OH! TENGO SUERTE
  02. READY TO FLY
  03. BLUE LAGOON
  04. ALONE
  05. SAUDADE
  06. 渚・モデラート
  07. SHAKE IT
  08. THE PARTY'S JUST BEGUN
  09. SAY YOU'RE MY BABY
  10. MY LOVE
  11. BLUE STRIPE
  12. ANOTHER SUMMER DAY
  13. GUITAR WONDER
  14. INTO THE SKY
  15. 黒船(嘉永六年六月四日)

(エキスプレス/EXPRESS 1997年発売/TOCT-10150)

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エディ・ハリス / カモン・ダウン4

COME ON DOWN!-1 エディ・ハリスと来れば「電気サックスの人」として有名であるが,それって新しもの好きで新しい楽器も流ちょうに演奏できるエディ・ハリスのマルチな才能の表われであって,エディ・ハリスの根っ子には「ファンキー」を感じている。

 そんな「ファンキー・キング」エディ・ハリスが,例の新しもの好きに惹かれて,サザン・ロックで「ファンク」したのが『COME ON DOWN!』(以下『カモン・ダウン』)である。

 要するに,流行りの音楽を最新の楽器で演奏したわけなのだが,エディ・ハリス特有の“緩いノリ”がロック・ビートと相まって,ジャズの枠を超えてダンサブル。本当に「器用貧乏」の貧乏くじを引いた人なのだと思っている。

 スタイルをチェンジし続けるエディ・ハリスの『カモン・ダウン』は,サザン・ソウル的なファンキー・ジャズ
 サザン・ロックの陽気なサウンドがエディ・ハリスの「電気サックス」で見事になぞらえていく。これは楽しいポップ・アルバムと捉えてしまいがちであるが,繰り返し聴いているとエディ・ハリスの根っ子=「ファンキー」が聴こえてくる。

 サックス・プレイヤーとしてのエディ・ハリスには,それこそ「怪人二十面相」を実現したキワモノの趣きが漂っているが,エディ・ハリスの音楽性には,いつでも「ファンキー」が混ざっている。

COME ON DOWN!-2 管理人の結論。『カモン・ダウン批評

 前ノリ,後ノリ,タテノリ,ヨコノリ,何でも来い! 全てのノリを乗りこなすエディ・ハリスがサザン・ロックの“緩いノリ”でまどろんだのが『カモン・ダウン』。
 ファンキー・ジャズの軽めの演奏に「電気サックス」が映えている。

PS エディ・ハリスは,その昔,某友人からCDを貸りてアルバム10枚は聴いていましたが,敬愛するブランフォード・マルサリスをして「唯一のサックスの巨人」と言わしめたエディ・ハリスには未だ出会えないでいます。今回,もしやと思って購入した『カモン・ダウン』の1枚だけがエディ・ハリスコレクションです。

  01. DON'T YOU KNOW YOUR FUTURE'S IN SPACE
  02. LIVE RIGHT NOW
  03. REALLY
  04. NOWHERE TO GO
  05. FOOLTISH
  06. WHY DON'T YOU QUIT

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1970年発売/WPCR-27921)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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高中 正義 / アクアプラネット4

AQUAPLANET-1 高中正義→「夏」→「海」である。『AQUAPLANET』(以下『アクアプラネット』)では,さらに一歩進めて「水族館」へと寄せて来た。
 『アクアプラネット』=「水族館」であるだけに『アクアプラネット』=「TAKANAKA・AOR」のショーケースの趣きである。

 『アクアプラネット』での高中正義が実にスムージー。「水族館」に行って“心洗われる”と同じように『アクアプラネット』が流れてくると“心洗われる”。
 『アクアプラネット』を聴いていると海中の世界の美しさとか透明感がイメージとして伝わってくる。とってもカラフルな「音の玉手箱」。だからショーケースのように感じてしまうのだ。

 『アクアプラネット』での高中正義ギターの響きがおとなしすぎず,激しすぎずで絶妙である。レゲエやラテンのリズムが軽い。基本となる「タカナカ・サウンド」は同じなのだが,従来とは異なる“心地良い風”が吹き出している。

 購入当初はサンタナの【哀愁のヨーロッパ】のカヴァーである【EUROPE】目当てで『アクアプラネット』を聴いていた。う〜む。それほど入り込めない。この演奏であれば本家サンタナの方がいいよなぁ。
 特に嫌いになったわけではないが,何となく管理人の中の「TAKANAKA熱」も下火になっていた。

AQUAPLANET-2 しかし,いつしか【AQUAPLANET】と【THE LAST FISH】にドハマリしていた。何度聴いてもワクワクするしジワジワ来る。

 コンセプトからして異質な“ルアー曲”【EUROPE】を飛ばして聴くと全体がゴキゲンに響くのが『アクアプラネット』というアルバムなのです! 

  01. PROLOGUE 〜WHY?〜
  02. AQUAPLANET
  03. BLUE STRIPE
  04. NAPOLEON FUNK
  05. EUROPE
  06. SOLDIERFISH
  07. 夢色
  08. HAWAIIAN WEDDING SONG
  09. TRIGGERFISH
  10. POISON
  11. THE LAST FISH
  12. EPILOGUE

(東芝EMI/EASTWORLD 1993年発売/TOCT-8080)

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エディ・ゴメス / ストリート・スマート4

STREET SMART-1  エディ・ゴメスというジャズ・ベーシストは,無数のレコーディングセッションに参加する「ファーストコール」のベーシストである。
 圧倒的な量だけではない。むしろ質で語られるべきジャズ・ジャイアンツの一人である。

 そう。エディ・ゴメスこそが,ビル・エヴァンストリオの最長ベーシストである。あるいはエディ・ゴメスこそが,チック・コリアの絶頂期のソロ活動を支え続けた稀代の名手なのである。

 だからエディ・ゴメスと来れば,どうしても“生粋の”ダブル・ベースをブイブイいわせるイメージが強かったのだが,管理人はエディ・ゴメスのたった1枚のリーダー・アルバムを聴いて「エディ・ゴメスエレアコベーシスト」のイメージの方が強くなってしまった。

 そのアルバムこそが『STREET SMART』(以下『ストリート・スマート』)である。『ストリート・スマート』を買って聴いて本当に驚いた。仮に『ストリート・スマート』をビル・エヴァンスが聴いたとしたら,エディ・ゴメスは“即刻クビ”になってしまったかもしれないと思ったのだ。

 『ストリート・スマート』には,それこそ「バブルの音」がする。これって,実は『ストリート・スマート』のメンバーが豪華すぎるのだが,そのことを直接的に言っているのではない。そうではなく『ストリート・スマート』の「バブルの音」とは,ズバリ“売れ線”なのである。
 そう。エディ・ゴメスの“生粋の”ダブル・ベースがアンプリファイドされて,王道フュージョンをフロント楽器以上の存在感でリードしている。

 具体的には,ジャズにしては1曲毎にテーマがしっかり主張しているし,メンバーのソロ即興的ではなく,曲の流れを考えた短めのアドリブでまとまりがある。
 ジャズ系のFMラジオで『ストリート・スマート』の中から数曲が一部分,番組内のジングルとして使われていたことも相まって,レーベルとしてエディ・ゴメスを(あるいは同時進行中だった「ザ・ガッド・ギャング」を)積極的に売りに出していた時の“音の香り”がするのだ。

 これはどうしても主観的な話で終わるしかないのだが,エディ・ゴメスダブル・ベースが“電化”されてしまった瞬間,エディ・ゴメスの「別人格」が“起動”してしまった。そんな感じがするのである。
 エディ・ゴメスのアンプリファイドされた「エレアコダブル・ベースが“ビンビンに”GROOVEしまくっている!
 エディ・ゴメスダブル・ベースが“鳴れば鳴るほど”ジャズから遠ざかっていく感じ!?

 そう。『ストリート・スマート』での,ジャズから遠ざかっていく,エディ・ゴメスがトラウマとなってしまったのか? 最近のエディ・ゴメスの演奏にはどうにも感情移入できないままでいる。
 管理人にとってエディ・ゴメスは『ストリート・スマート』の迷演?で止まってしまっているのが無念である。

 幸い『ストリート・スマート』以前のエディ・ゴメスの演奏は,昔のまんまで聴き入れる。
 やっぱりビル・エヴァンスチック・コリアに見初められたエディ・ゴメスは素ん晴らしいジャズ・ベーシストだと思う。

STREET SMART-2 個人的に『ストリート・スマート』の思い出を書いておくと『ストリート・スマート』は「ザ・ガッド・ギャング」の別プロジェクト扱いで間違いなし。
 「ザ・ガッド・ギャング」との個性の違いは「ザ・ガッド・ギャング」は,スティーブ・ガッドがメインでエディ・ゴメスがサブ。『ストリート・スマート』は,エディ・ゴメスがメインでスティーブ・ガッドがサブで間違いなし。

 そんな“エディ・ゴメス一色”のアルバムの中にあって,ディック・オーツソプラノテナーばかりを追いかけてリピートするようになってしまった。
 なのにディック・オーツ。国内盤のアルバムは出ていないようのです。こんなにも素晴らしいサックス・プレイヤーを眠らせておくなんて…。エディ・ゴメスさん,またディック・オーツと共演したアルバムを作ってくださ〜い。これだけが言いたかったの巻〜。

  01. When You Wish Upon A Star
  02. My Funny Valentine
  03. Detour Ahead
  04. Beautiful Love
  05. Dance Only With Me
  06. Danny Boy
  07. All This And Heaven Too
  08. Yellow Days
  09. Skylark
  10. Again
  11. You Don't Know What Love Is
  12. Over The Rainbow

(EPIC/SONY/A TOUCH 1989年発売/28・8P-5303)
(ライナーノーツ/小川隆夫,エディ・ゴメス)

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中洲ジャズ2017 / THE KINGFISH,石原顕三郎,ウィリアムス浩子,高岡早紀,JABBERLOOP,バンバンバザール,西田尚美GROP,TOKU,ADVANCED MUSIC GALLERY

 行ってきました! 中洲ジャズ2017! 9/9の『THE KINGFISH,石原顕三郎,ウィリアムス浩子,高岡早紀,JABBERLOOP,バンバンバザール,西田尚美GROUP,TOKU,ADVANCED MUSIC GALLERY』の8ステージ!

 中洲ジャズも2017年で9回目。人出は多い。そのおかげで中洲の街は潤うのだろう。だから無料のジャズ・フェスティバルが継続しているのだろう。
 無料なのだから文句など言えない。嫌なら行かなければいいだけだ。でもなぁ。本当にジャズを目当てに集まっている人も少なからずいるわけだし,本気でジャズを演奏している出演者たちはどうなのだろう。
 ニワカであったとしても,あんなに大勢の観客が集まる機会は他にないのだろうから,気持ちいいだけ? あるいはアピール演奏として燃えるのでしょうか?

 個人的には昨年の中洲ジャズから,純粋のジャズ・イベントではなく,ロックやポップス・メインの野外フェスに様変わりしたと思っている。
 今や旬の人となった日野皓正が今年も来なかったのは良かったのだが,小沼ようすけも来なくなったし,レギャラー出演しているのはTOKUJINOSHIHOくらい。
 数年前までの“見たい人が同じ時間帯にカブッテしまう”「中洲ジャズあるある」が懐かしい!

 …と言うことで,2017年の中洲ジャズで狙ったのは「TOKU MEET ADVANCED MUSIC GALLERY」の一本釣り!
 そうであるならば本気でSTAGE・Bの「REDステージ」へ直行すればいいのだが,ジャズ・ファンたるもの「浮気性」である。まだまだ時間があるのだから,ちょっと他のステージへ寄り道していこうと考えたのがまずかった。

 まっ,中洲という街には誘惑が多いのさ。だって結婚3周年の思い出の場所が「GATE’Sビル」。そこの7Fが「GATE’S7」8Fが「ファーストキャビン博多」11Fが「アンウエディングウイズ」。そして2Fが「ドン・キホーテ」1Fが「イタリアン・ジェラート VITO」B1F「ドラッグセガミ」。ちなみに1Fの「リストランテ・ヒロ」は閉店しておりました。あとは「GATE’Sビル」のすぐそばにある「プリシラネイル」と「宝石のエトウ」〜。素晴らしい〜。

 …で,そんなこんなで「THE KINGFISH」をまともに聞いて「清流公園」に向かったつもりが,間違えに気付かず「貴賓館」で「ウィリアムス浩子」を聞いてしまった。慌てて「清流公園」に向かう途中で聞こえてきたのは「入場規制」のアナウンス。まさか…。
 「TOKU MEET ADVANCED MUSIC GALLERY」の前が「高岡早紀」である。まさかの〜。
 一応,会場へ向かう。通路へと流される。でも大渋滞のおかげで牛歩だったのでちょっとは観れた。雰囲気で美人なのだけは伝わった。それでよしとしよう。TOKUはあきらめよう。

 仕切り直しで予定を変えて,再び「中洲大通り」で「JABBERLOOP」。「JABBERLOOP」が大人気!
 通勤ラッシュ並みのおしくらまんじゅう事故直前,超ラッキーなタイミングで最高の場所に入れ替え潜り込み。【しろくま】が聴けたのがよかった!

 「石原顕三郎」と「バンバンバザール」と「西田尚美GROUP」はさわりぐらい。結局「TOKU MEET ADVANCED MUSIC GALLERY」は帰り道の川沿いで偶然,漏れた音が聞こえてきました。

 これだけ盛大なジャズ・フェスティバルに成長したのはうれしい反面「入場制限」の洗礼を初体験してしまった2017年の中洲ジャズ
 中洲ジャズ2018はもっと弊害が大きい気がするなぁ。もう来年は行くまいかなぁ。でも多分行くんだろうなぁ。夫婦でジャズを聞くのは年唯一の機会だからなぁ。

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高中 正義 / フェイド・トゥ・ブルー4

FADE TO BLUE-1 『FADE TO BLUE』(以下『フェイド・トゥ・ブルー』)と過ごす「夏」。それはどこかのリゾート・ホテルで過ごす「夏」。それもホテルの目の前が貸し切りのプライベート・ビーチではなく,ホテル内のプールサイドで寝そべりながら過ごす「夏」。

 つまりはリッチな「夏」。優雅な「夏」。上質な「夏」。それまでは身近に感じていた高中正義の「夏サウンド」が,富裕層向けの,自分には手の届かないグレードの「夏サウンド」に響いてしまったのが,今となっては残念である。

 『フェイド・トゥ・ブルー』は多分,名盤である。その思いは管理人が大人になればなるほど(中身は置いておいて,時間の経過と共に)強く意識するようになった。
 東芝EMI移籍後の高中正義は『フェイド・トゥ・ブルー』に限らず,そのどれもが洋楽っぽいのだが,こと『フェイド・トゥ・ブルー』では「AOR」に流れていると思う。

 『フェイド・トゥ・ブルー』での高中正義は,以前と比べてギターの音数を減らしてきている。その分,キーボードが前面に出てきている。何だかギター・フュージョンというより「映画音楽」に近い譜面割がなされている。

 思い返せば,高中正義のアルバムは全て,ギターをどう歌わせるか?の一点集中型であったが,ついに高中正義も大人になったというか,高中正義の興味がギター以外に向けられたというか…。

 前半の5曲=【TURQUOISE SUMMER】〜【ONCE IN A BLUE MOON】〜【SHADES OF MORNING】〜【MY LOVE】〜【HEAVEN】の流れは,苦味の全く無いクリアーな味わいで,それこそ新しいビールの宣伝に持ってこいである。
 後半の6曲は共同プロデューサーとして参加したカシオペア向谷実松岡直也グループ津垣博通の「非・タカナカ・サウンド」の音がゴージャス・チックに仕上がっている。

FADE TO BLUE-2 管理人の結論。『フェイド・トゥ・ブルー批評

 極論を書くと『フェイド・トゥ・ブルー』は高中正義が「自分の好きなもの」ではなく「本当に良い音楽」「みんなが良いと思う音楽」に初めて正面から取り組んだ雰囲気がある。
 力一杯ではなく余裕を残して“自慢の”「タカナカ・サウンド」を別の視点で見つめ直してリメイクした感じのアルバムである。

 ホテルのプールサイドで『フェイド・トゥ・ブルー』の構想を練っていた高中正義。もしかしてニーチェでも読んだのかな? それともアガサ・クリスティーだったのか?

 どちらにしても「TAKANAKA・AOR」な『フェイド・トゥ・ブルー』は大人の「脱力感」が産み落とした「裏名盤」の1枚である。

  01. Turquoise Summer
  02. Once In A Blue Moon
  03. Shades Of Morning
  04. My Love
  05. Heaven
  06. Bahama Mama
  07. T.G.I.F.
  08. Oh! Tengo Suerte
  09. Talk To The Wind
  10. Besame Mucho
  11. Ballade 2U

(東芝EMI/EASTWORLD 1992年発売/TOCT-6538)
(デジパック仕様)

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アラン・エヴァンス / レット・イット・ライド4

LET IT RIDE…-1 アラン・エヴァンスと来ればFUNKYなドラミングが代名詞。その真骨頂とはソウライヴでありアラン・エヴァンストリオであり,つまりはオルガン・ジャズである。

 何故にオルガン・ジャズばかりなのか?と言う問いに対して,アラン・エヴァンス自身は「オルガン・ジャズが得意だから」と答えている。
 これがアラン・エヴァンスの本音なのかもしれないが,管理人に言わせれば「ご謙遜を」である。

 なぜならば,アラン・エヴァンスにはソウライヴからニール・エヴァンスサム・キニンジャーをゲストで迎えた,非オルガン・ジャズの1stソロLET IT RIDE…』(以下『レット・イット・ライド』)があるのだから…。

 そう。『レット・イット・ライド』こそが,アラン・エヴァンスの頭の中のファンキー・ジャズ
 “得意の”オルガン・ジャズもあるのだがオルガン以上にギターベースサックスの上物が目立っている。同じくファンキー・ジャズでありながら,オルガン抜きの“アンビエントでダークな曲想”が主張する。

 FUNKYなドラムに,全くそれっぽくないテーマ・メロディーを付けて,一つの新しいブラック・ミュージックの音世界を醸し出している。アングラ系の現代のジャズ・ファンクのハイセンスである。

LET IT RIDE…-2 管理人の結論。『レット・イット・ライド批評

 『レット・イット・ライド』は,いつになく深い味わいのファンク・アルバム。スローで重厚感がある「古き良きファンク」が味わえる。
 跳ねるリズムと全体的に漂うワウな感じがとても心地よい。

 ソウライヴを聴いて暴れまくった後は『レット・イット・ライド』でしっとりエロスを味わいたい。

  01. Do It Again
  02. Break It Down
  03. Let It Ride
  04. Are You With Me
  05. Hot n' Greezy
  06. Uh Ha
  07. To The World
  08. What People Say
  09. Low Down Low
  10. Do It Again (outro)

(ヴィレッジ・アゲイン/VILLAGE AGAIN 2004年発売/VIA-0025)
(ライナーノーツ/松永誠一郎)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1990年度(第24回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1990年度(第24回)の発表です。

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ザ・ゲイト・イズ・オープン★【金賞】.ザ・ゲイト・イズ・オープン
ゲイリー・トーマス


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THE NURTURER★【銀賞】.ザ・ナーチュラー
ジェリ・アレン


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Dream Keeper★【銅賞】.ドリーム・キーパー
チャーリー・ヘイデン&リベレイション・ミュージック・オーケストラ・ウイズ・オークランド・ユース・コーラス

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カーメン・シングス・モンク★【ボーカル賞】.カーメン・シングス・モンク
カーメン・マクレエ


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RANDOOGA〜SELECT LIVE UNDER THE SKY '90-1★【日本ジャズ賞】.ランドゥーガ〜セレクト・ライヴ・アンダー・ザ・スカイ '90
佐藤允彦

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ブルーノートSP時代1939-1952★【制作企画賞】.ブルーノートSP時代1939-1952



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★【編集企画賞】.ジャズ・イン・パリ(Odeon)

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★【制作企画賞】.ナウズ・ザ・タイム・ワークショップ(Fun)

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バック・オン・マイ・フィンガーズ★【制作企画賞】.バック・オン・マイ・フィンガーズ
本田竹曠


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HE SAID・・・・★【制作企画賞】.He Said…
今津雅仁


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ネイティヴ・ハート★【録音賞(海外)】.ネイティブ・ハート
 トニー・ウイリアムス


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旅の終りに★【録音賞(国内)】.旅の終りに
ケニー・ドリュー


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リー・リトナー&フレンズ・ライヴ Vol.2 [DVD]★【最優秀ビデオ賞】.リー・リトナー&フレンズ・ライブ Vol.1&2
 リー・リトナー


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 ゲイリー・トーマス強し! 『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』が【銅賞】受賞→『ザ・ゲイト・イズ・オープン』が【金賞】受賞→来年度には「ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション」の『アース・ウォーク』で【金賞】受賞。
 加えてジェリ・アレンも来た。時代は「M−BASE」である。

 なのに佐藤允彦が【日本ジャズ賞】で受賞したのは『ランドゥーガ〜セレクト・ライヴ・アンダー・ザ・スカイ '90』での“民謡”であった。

 そう。「伝統と革新」にフォーカスした1990年代の幕開けにふさわしいラインナップ。一皮むけた「伝統と革新」の表現手法もジャズなのである。

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高中 正義 / ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ5

JUNGLE JANE TOUR LIVE-1 『JUNGLE JANE』を高中正義の“最高傑作”に指名したのは『JUNGLE JANE TOUR LIVE』(以下『ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ』)の「相互作用」の後押しが大きい。

 順当なら高中正義の“最高傑作”は『夏・全・開』になったと思う。でも『夏・全・開』は「TUBE」みたいなもので冬には聴こうと思わない。その点で『ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ』は気分を上げたい時に丁度良い。
 そう。『ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ』こそが,管理人の高中正義一番の愛聴盤なのである。

 管理人の「高中聴き」のスタイルは,ほぼスピーカー再生であって,ながら聴きで聴くことの方が多い。いつものヘッドフォンでのリスニングはしない。
 これは悪口ではない。「タカナカ・サウンド」の真髄はメロディーであってテクニックではない。ギターであってヴォーカルではない。だからいつでも取っ付きやすく聴きやすいのだ。

 その意味で『JUNGLE JANE』が“最高傑作”で悔いはない。これぞ高中正義の「エンターテイーナー」のピークに違いない。
 特にライブ盤『ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ』が生バンドだから感じることだが,高中正義の緻密なスタジオ・ワークが素晴らしいことを何度も再確認させられた。

 高中正義は「ライブではエフェクターを極力少なく,レコーディングでは多く」と何かの記事で読んだ記憶があるが「スタジオではライブでの再現など考えず,今本気で聴かせたいギターフュージョンを追及していたことが「後から後から」発見できた。

JUNGLE JANE TOUR LIVE-2 …で,逆に言えば,高中正義ライブではライブでしかできないギターフュージョンを聴かせている。
 そう。『ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ』での高中正義が大熱演。こんなにも高中正義ライブアドリブを弾きまくるとは予想していなかった。

 キーボード森村献キーボード石川清澄ベースデレク・ジャクソンドラム北村健太コーラス大滝裕子吉川智子が見事に高中正義エレキと一体化している。素晴らしい。

 【BLUE LAGOON’86】におけるトリガー音源でのギターシンセソロが会場を煽りまくる様が圧巻。
 【渚・モデラート】も寂しい夏の終わりではなく,情熱的なライブ演奏の方が高中っぽくて好みである。

  01. JUNGLE JANE
  02. BAY STREET FIX
  03. WARM SUMMER WOMAN
  04. エピダウロスの風
  05. BLUE LAGOON '86
  06. CHASE
  07. JACKIE'S TRAIL
  08. CHINA
  09. JUMPING TAKE OFF
  10. SHAKE IT
  11. 渚・モデラート

(東芝EMI/EASTWORLD 1986年発売/CA32-1349)

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ボニー・ジェイムス / スウィート・シング(ニュー・エディション)4

SWEET THING-1 スムーズ系のサックス・プレイヤーと来れば「昔・グローヴァー・ワシントンJR.,今・ケニー・G」で決まりだと思う。
 ただし,グローヴァー・ワシントンJR.にしてもケニー・GにしてもBIGすぎる。声高に「グローヴァー・ワシントンJR.スムーズ・ジャズだ。ケニー・Gスムーズ・ジャズだ」と叫ぼうものなら異論噴出になるだろう。

 そう。グローヴァー・ワシントンJR.にしてもケニー・Gにしても,もはやスムーズ・ジャズのカテゴリーを超えている。ガッチリと自分の音世界を確立してる。イメージが出来上がりすぎている。
 ゆえに管理人はスムーズ系のお奨めサックス・プレイヤーと問われれば,最近はもっぱらボニー・ジェイムスと答えることが多い( ← たまに気分でネルソン・ランジェルだったりする )。

 ボニー・ジェイムスの答えは,絶対にグローヴァー・ワシントンJR.ケニー・Gの「格落ち」などではない。
 ボニー・ジェイムスグローヴァー・ワシントンJR.ケニー・Gに引けを取らない実力者。何よりも一音聴いてボニー・ジェイムスと認識できる個性を確立している。
 じわじわとBIG2との距離を縮めている。「全米ジャズ・チャート19週間NO.1」を獲ったのだから,グローヴァー・ワシントンJR.は超えたのかも?

 そんなボニー・ジェイムスの“売れに売れた代表作”が『SWEET THING』(以下『スウィート・シング』)!
 管理人が持っているのは『スウィート・シング(ニュー・エディション)』なる再発盤。エリック・ベネイヴォーカルを1トラック追加収録してロングセラーを狙ったわけなのです。それ位売れるアルバムです。

 売れる理由はすぐに分かります。この雰囲気なのです。軽い,それでいて軽くないのです。テクニックに裏付けられた高度なフレージングが多く登場するのに非常に耳馴染みが良い。聞き流しても良いし,聞き入っても良い。「メロディーが連続している」感じなのです。

SWEET THING-2 『スウィート・シング』が流れていると気分が落ちついてくる。無心になってくる。
 そう。なんだかんだで管理人は『スウィート・シング(ニュー・エディション)』の10曲の楽曲ではなく,ボニー・ジェイムスサックスの音だけを無意識のうちに聴いている。無心になって追いかけている。そんな自分に気付くことがある。

 ボニー・ジェイムスはいい。絶対にいい。まだまだ『スウィート・シング(ニュー・エディション)』が聴き飽きない。

  01. East Bay
  02. Nothin' But Love
  03. Words (Unspoken)
  04. Sweet Thing
  05. It's All Good
  06. After The Rain
  07. Innocence
  08. I Still Dream
  09. Ivory Coast
  10. It's All Good (Bonus Remix)

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1999年発売/WPCR-10611)
(ライナーノーツ/中田利樹)

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高中 正義 / ジャングル・ジェーン5

JUNGLE JANE-1 『JUNGLE JANE』(以下『ジャングル・ジェーン』)こそが高中正義の“最高傑作”である。

 とにかく曲が良い。全曲口ずさめるキャッチーなメロディー。鼻歌で歌うことはできるのだが,でもやっぱりギターでないと歌えない。
 もっと言うと『ジャングル・ジェーン』は高中正義でなければ歌えない。同じギタリストであっても『ジャングル・ジェーン』の名曲は野呂一生安藤正容和田アキラではこんなにも歌うことはできないのだ。

 そう。『ジャングル・ジェーン』こそが,管理人のイメージする「タカナカ・サウンド」の理想形。
 『ジャングル・ジェーン』以前は『夏・全・開』での「夏サウンド」ベッタリだったのだが『ジャングル・ジェーン』は,もはや「夏一本」を離れて“ギターフュージョン”に寄せているから表現できる,高中正義独自の世界観,が眼前にそびえ立っている。

 こんな「タカナカ・サウンド」は,大好きなキティ時代には予想できなかった。東芝EMIに移籍してブラコンをやったからこそ!

 そう。ブラコンをやって“リリカルに歌う”術を身に着けた高中正義が「これまで誰も作ることのできなかったギターでないと歌えないインスト」を作り上げた“作品”が『ジャングル・ジェーン』なのだろうと思う。

 「ザ・タカナカ・サウンド」の総決算的な【JUNGLE JANE】と【SHAKE IT】が盛り上がる。
 「トロピカル・サウンド」の総決算的な【WARM SUMMER WOMAN】と【BAY STREET FIX】が気分アゲアゲ。

JUNGLE JANE-2 つべこべ言うのは『ジャングル・ジェーン』には似つかわしくない。管理人が『ジャングル・ジェーン』を絶賛する理由は,第一に理屈ではなく他との比較でもなく素晴らしいアルバムだから…。

 『ジャングル・ジェーン』を聴いていると,アルバムの最初の1秒から最後の1秒に至るまで,楽曲に磨きをかけた高中正義の強烈な自我に一瞬で引きずり込まれてしまう…。
 こんな体験,音楽でないと味わえない。『ジャングル・ジェーン』でないと味わえない。高中正義でないと味わえない。とにかく最高なのである。

  01. JUNGLE JANE
  02. EXOTICA
  03. WARM SUMMER WOMAN
  04. SHAKE IT
  05. ILLUSION
  06. SONNA BAHAMA!
  07. BAY STREET FIX
  08. WHEN YOU'RE NEAR ME
  09. RA-KU-DA

(東芝EMI/EASTWORLD 1986年発売/CA32-1262)

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チック・コリア / ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク5

THE MUSICIAN-1 『THE MUSICIAN』(以下『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』)は,チック・コリアの音楽生活50周年を記念して,と書き始めたのは『ランデヴー・イン・ニューヨーク』の紹介方法であるが『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』の紹介方法は,チック・コリアの生誕70周年記念と書くのが良いようである。

 『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』は,2011年11月にニューヨークブルーノートで行なわれた,全部で10バンド,総勢27名のジャズメンが共演した全23日間連続公演のハイライトを記録した「超豪華」3枚組みスペシャル・ライブ盤。

 プログラムは収録順に,スタンリー・クラークレニー・ホワイトフランク・ギャンバレとによるリターン・トゥ・フォーエヴァーアンプラグドゲイリー・ピーコックブライアン・ブレイドとによるチック・コリアトリオジョン・マクラフリンケニー・ギャレットジョン・パティトゥッチブライアン・ブレイドとによるファイヴ・ピース・バンドボビー・マクファーリンとのデュオゲイリー・バートンとのデュオ(WITH ハーレム・ストリング・カルテット・フューチャリング・ゲイル・モラン・コリア),ウォレス・ルーニーゲイリー・バーツエディ・ゴメスジャック・ディジョネットとによるフロム・マイルスコンチャ・ブイカカルレス・ベナベントホルヘ・パルドジェフ・バラードニーニョ・ホセレとによるフラメンコ・ハートマーカス・ロバーツとのデュオ(フューチャリング・ウィントン・マルサリス),ハービー・ハンコックとのデュオフランク・ギャンバレエリック・マリエンサルジョン・パティトゥッチデイヴ・ウェックルとによるエレクトリックバンド

 『ランデヴー・イン・ニューヨーク』での2枚組から『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』では3枚組へとスケールアップしているが,演奏の量だけではなく演奏の質までが更に良くなっているように思う。

 中には眉間にシワ的なお披露目エキシビションも含められていると予想したのが大間違い。全セット&全トラックが最高に素晴らしい。どれがどうだと細かく指摘するのは意味を持たない。「軒並み」最高の演奏が続くので「月並み」最高という言葉で統一しようと結論したい。

 『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』を聴く限り,他の誰よりもチック・コリアが一番この演奏を楽しんでいる!
 全ての主演者,関係者,観客からの祝福を受けたチック・コリアさん,音楽生活50周年おめでとうございます!

 チック・コリアが『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』でのスペシャル・ライブを楽しんだ最大の理由は,それぞれの経験を糧にしたフレンズたちとの「新感覚のコミュニケーション」にあると思う。
 それぞれのユニット毎に,そのユニットでの代表曲を演奏しているのだが,単なる過去の焼き直しでは終わらない,斬新なアレンジで歌い上げるチック・コリアの極上のピアノが響いている。

 『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』は,スペシャル・ライブの性質上,チック・コリアの“音楽性の広さ”を堪能するためのプロジェクトであるが,どの演奏にもグッと来てしまう“音楽性の深いつながり”も感じられる。
 やっぱりチック・コリアこそが「ジャズフュージョン」界の“スーパー・スター”であった。

 『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』を聴いていると,何だか『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』がダイジェスト盤のように感じてくる。この後に発売される「本編プロモーションのための予告編」のように思えてくる。
 そう。『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』における「チック・コリア・オールスターズ」の“演り逃げ”を聴かされては,到底満足などできやしない。2枚組では足りないのだ。1ユニット1曲か2曲では欲求不満を覚えてしまう。あの23日間連続公演のコンプリート盤を渇望してしまう。

 それにしても『ランデヴー・イン・ニューヨーク』と『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』とでは,ほとんどのセットリストが被っていないではないか!
 この事実に本当に驚かされた。そして改めてチック・コリアの音楽性の「幅と深さ」に圧倒されてしまった!

 特に(チック・コリア・フリークとしては恥ずかしいのだが)管理人的に“初共演”となる,ゲイリー・ピーコックとのトリオマーカス・ロバーツとのデュオウィントン・マルサリス,そして「タッチストーン」の後釜となった「フラメンコ・ハートセッション。これらの名演を聴き逃してきたのは猛反省! またチック・コリアを集め始めます!

THE MUSICIAN-2 あとチック・コリアだけを純粋に聴いていられない,自分自身のキース・ジャレット体質とも対峙した。チック・コリアトリオを組んだゲイリー・ピーコックの,いつになく重いベースに焼きもちを焼く。

 久々に聞いたチック・コリアジャック・ディジョネットとの共演も判断基準として,どうしてもキース・ジャレットを聴いてしまう。キース・ジャレットを離れたジャック・ディジョネットも自由なのが鼻につく。なんでなのだ〜。

 あるいはハービー・ハンコックつながりのはずのウィントン・マルサリスが,なんでハービー・ハンコックではなくマーカス・ロバーツなのだろう。いろんな知識が邪魔をして来るんだな。これがっ。

 『ランデヴー・イン・ニューヨーク』ではアコースティック・バンドオリジン。『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』ではリターン・トゥ・フォーエヴァーエレクトリック・バンド。憎いね〜,チック・コリア

 『ランデヴー・イン・ニューヨーク』と『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』でのレギュラーはゲイリー・バートンボビー・マクファーリン。憎いね〜,チック・コリア

 …で,実は『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』の発売時点で,チック・コリアの生誕75周年記念のスペシャル・ライブが既に決行済と来た。ますます憎いね〜,チック・コリア。第3弾は4枚組確定なのかな?

  CD1
  <RETURN TO FOREVER UNPLUGGED>
  01. Captain Marvel
  02. Light as a Feather
  <CHICK COREA TRIO WITH GARY PEACOCK & BRIAN BLADE>
  03. I Hear a Rhapsody
  <FIVE PEACE BAND>
  04. Spirit Rides
  05. Special Beings
  <CHICK COREA & BOBBY McFERRIN DUET>
  06. I've Got the World on a String
  07. Spain

  CD2
  <CHICK COREA & GARY BURTON WITH HARLEM STRING
   QUARTET
>
  01. Overture
  02. Your Eyes Speak to Me
  <FROM MILES>
  03. If I Were a Bell
  04. Nefertiti
  <FLAMENCO HEART>
  05. Zyryab
  06. Mi Nina Lola

  CD3
  <CHICK COREA & MARCUS ROBERTS DUET>
  01. CC's Birthday Blues
  02. Caravan
  <CHICK COREA & HERBIE HANCOCK DUET>
  03. Hot House
  04. Dolphin Dance
  05. Cantaloupe Island
  <THE CHICK COREA ELEKTRIC BAND>
  06. Ritual
  07. Silver Temple

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2016年発売/UCCO-1185/7)
(☆SHM−CD仕様)
(CD3枚組)
(ライナーノーツ/ロビン・D.G.ケリー,熊谷美広)

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高中 正義 / TRAUMATIC 極東探偵団4

TRAUMATIC 極東探偵団-1 レコード会社移籍が先なのか? 音楽性の変化が先なのか? 『TRAUMATIC 極東探偵団』で「タカナカ・サウンド」の“夏サウンド”が変化した。

 『TRAUMATIC 極東探偵団』も高中正義の基本である,夏は夏なのだが「灼熱」でも「トロピカル」でもなく「哀愁の夏」へと変化した。
 『TRAUMATIC 極東探偵団』が「寂しい夏の終わり」のBGMの一番手である。

 管理人の抱いた「時期遅れの夏」のイメージ。9月と10月の「誰も遊んでいない海」。これって【渚・モデラート】1曲の印象なのだろう。
 『TRAUMATIC 極東探偵団』は1曲1曲の個性が強い。しかし他のトラック全部をブッチギッて【渚・モデラート】1曲のインパクトがアルバム全体のイメージを支配している。

 『TRAUMATIC 極東探偵団』のテーマは「東南アジアの夏サウンド」。だから9月や10月でもまだまだ熱い「時期遅れの夏」のイメージがするのだろう。
 『TRAUMATIC 極東探偵団』で高中正義が目を付けたのは「極東とは危険な場所」→「波止場・埠頭」。その香港マフィア?系の危うさのエッセンスが見事に“デジタル・ファンク”の大仕事で散りばめられている。

 ズバリ,高中正義が『CAN I SING?』『夏・全・開』で打ち込みを採用してきたのは,来るべき『TRAUMATIC 極東探偵団』のようなブラコンとかダンス・ミュージックへとシフトするための布石であったと思う。

 『TRAUMATIC 極東探偵団』のキーワードはデジタル・チックとヴォーカルヴォイス)である。
 ザックリと分かりやすくイメージだけを書き記すと,過去に共演したオルケスタ・デ・ラ・ルスのようなサウンドであり,この後共演することになるマイアミ・サウンド・マシーンのようなサウンド,その中での「ギター1強」なのである。
 「ギター1強」と,ギターを補完する打ち込みとヴォーカルの「黄金のバランス比」が完成している。素晴らしい。

 高中正義と来れば,今となってはキティ時代の「初夏〜盛夏」の夏サウンドが大好きなのだが,学生時代には東芝EMI時代の「残暑〜晩夏」の夏サウンドがたまらなく好きだった。
 (ビジュアル的には)ダサイ系の高中正義が,見事に垢抜けて,都会的で,何となくオシャレになって,やんちゃな大人に背伸びしたイメージに共感していたのだろう。

 【渚・モデラート】に日本版シャカタクの【NIGHT BIRDS】や【INVITATIONS】を思い重ねていたりして…。
 あっ,シャカタクもこの時期『DOWN ON THE STREET』『CITY RHYTHM』でデジタル・ファンク路線を進んでいたんだっけ?

 『TRAUMATIC 極東探偵団』のレヴューを書いていて,初めて気付いてしまった?
 もしかして・タ・カ・ナ・カ〜。確信犯だったのか〜。

※ 『TRAUMATIC 極東探偵団批評ジャケット写真はミュージック・カセット・テープ版です。

  01. Teaser
  02. China
  03. The Line Is Busy
  04. 渚・モデラート
  05. Traumatic
  06. Jackie's Trail
  07. Chase
  08. Struttin' on Broadway
  09. Lagoon Music

(東芝EMI/EASTWORLD 1985年発売/ZH28-1545)

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エバーハルト・ウェーバー/ヤン・ガルバレク/パット・メセニー/ゲイリー・バートン / オマージュ5

HOMMAGE A EBERHARD WEBER-1 エフェクターで加工したアコースティックベースの独特な響きがトレードマークのエバーハルト・ウェーバー

 エバーハルト・ウェーバーECMベーシストとして重要な位置付けにあるのは事実だと思うが,個人的にエバーハルト・ウェーバーの演奏目当てでCDを買った経験がない者としては,生誕75周年記念のトリビュートライブが豪勢に執り行なわれ,尚且つ,その場に“ギターの巨匠”のパット・メセニーサックスの巨匠”のヤン・ガルバレクヴァイヴの巨匠”のゲイリー・バートンが“揃い踏み”してしまったとは…。

 その上で『HOMMAGE A EBERHARD WEBER』(以下『オマージュ』)と題されたライブ盤としてリリースされてしまうとは…。

 実は『オマージュ』をパット・メセニー目当てで購入した管理人としては,エバーハルト・ウェーバーの偉大さ,人徳と言うものをこのアルバムで初めて認識した次第なのです。
 『オマージュ』にサブタイトルを付けるなら「ついに明らかにされたエバーハルト・ウェーバーの偉人ぶり」ってのはどうですか?

 『オマージュ』の主役であるエバーハルト・ウェーバー。実は2007年に脳梗塞で倒れ,せっかくの晴れ舞台でベースを演奏することはできなかった。
 ゆえに『オマージュ』のトリビュートライブは,過去のエバーハルト・ウェーバーの「テープ音源」を流し,その上に生演奏を被せるという変則のステージ進行。

 そんな「キワモノ」な企画だったのに『オマージュ』のステージに上がったジャズメン全員が,非常に真摯でクリエイトしているのが素晴らしい。エバーハルト・ウェーバーへの“リスペクト”がそこはかとなく感じられる。ECMらしくない?温かい音がする。

 そうは言っても『オマージュ』のトリビュートライブの主役を張ったのは,ECMに久しぶりに帰ってきたパット・メセニーであった。
 『オマージュ』でのパット・メセニーの出演は【HOMMAGE】1曲のみ。でもこの1曲が完璧であって,見事にエバーハルト・ウェーバーの過去の演奏テープとシンクロしてみせている。
 エバーハルト・ウェーバーのテクスチャーを彷彿とさせる響きが,31分を超えるメセニー・サウンドの文脈の中で結実している。素晴らしい「長編小説」としてのオマージュなのだと思う。

HOMMAGE A EBERHARD WEBER-2 いいや,パット・メセニーの演奏がここまで光っているのはパット・メセニー1人の力量ではない。
 『オマージュ』のトリビュートライブのステージに上がったヤン・ガルバレクソプラノサックスゲイリー・バートンヴィブラフォンの演奏が相当にいい。

 そんな全ての“お膳立て”の上に乗ったパット・メセニーギター! そしてその頂点に祭り上げられているのがエバーハルト・ウェーバーベース・ヴァーチャル〜!

 ECMのかつてのスター・プレイヤーが再集結してエバーハルト・ウェーバーへのオマージュを奏でる。ビッグ・バンドの雄大なアンサンブルがシンフォニーしている。

 全編統一感のある『オマージュ』の「音の香り」の好感度が非常に高い。新旧ECMの空気感を堪能できる『オマージュ』の至福に聴き入っていると「夢の中を彷徨っている」ような豊かな気分に満たされる。

 『オマージュ』はECMレーベルの長い歴史が産み落とした,名盤ライブの1枚だと思う。

  01. RESUME VARIATIONS
  02. HOMMAGE
  03. TOUCH
  04. MAURIZIUS
  05. TUBINGEN
  06. NOTES AFTER AN EVENING

(ECM/ECM 2015年発売/UCCE-1151)
(スリーブケース仕様)
(ライナーノーツ/パット・メセニー,エバーハルト・ウェーバー,原田和典)

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高中 正義 / タカナカ・カクテル5

TAKANAKA'S COCKTAIL-1 管理人が中学高校時代に高中正義を聴いていたのは7枚のLPと1本のカセット・テープと2枚のCD。で,就職で上京してからはLPは聴けなくなってしまった。つまりはキティ時代の名盤は全部聴けなくなってしまった。

 …で,CDを買うことになるのだが,高中正義のアルバムばかり7枚も買い替える気などさらさらなし。で,普段は買わないベスト盤で手を打つことを考えた。
 これがキティ時代のベスト盤『TAKANAKA’S COCKTAIL』(以下『タカナカ・カクテル』)の購入の経緯である。

 本当はLPで所有していたキティ時代のオリジナル・アルバムをCDで買い替えるつもりだったのに,実際に買い替えたのは,どうしても聴きたくなった『夏・全・開』と紙ジャケットになって再発された『SAUDADE』と『CAN I SING?』だけである。

TAKANAKA'S COCKTAIL-2 えっ? 怠慢ですって? そんなことは断じてありません。『タカナカ・カクテル』の選曲のセンスが素晴らしいだけなのです。

 もう30年も『虹伝説』と『ALONE』は『タカナカ・カクテル』で聴いていることになるんだなぁ。
 買い替えそびれた『TAKANAKA』と『JOLLY JIVE』はもう30年も聴けていないんだよなぁ。

 って『タカナカ・カクテル』の選曲理由は,アルバムからピックアップされた人気曲のベスト盤というよりも「シングルとカップリングのベスト盤」でしたねっ。ちゃんちゃん。

  01. JUMPING TAKE OFF
  02. 我ら星の子
  03. SEVEN GOBLINS
  04. THE MOON ROSE
  05. PENGUIN DANCER
  06. TO YOU
  07. CHILL ME OUT
  08. RETURN ACE
  09. SAUDADE
  10. NEPTUNE
  11. SUMMERTIME BLUES
  12. CRY BABE CRY
  13. EONA

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1984年発売/3133-24)
(ジャケット一体型帯仕様)

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ボブ・ジェームス / フォクシー4

FOXIE-1 サントリーTVCMと来れば,今でも“我らが”ザ・スクェア“我らが”伊東たけし出演の「サントリー・ホワイト」。【TRAVELERS】と【ALL ABOUT YOU】での「ネシロ」である。

 しかし,今でも忘れられない映像のインパクトで語るなら「リザーブ」の方。伊東たけしTVCMの前バージョンで放送されていたボブ・ジェームスの【マルコ・ポーロ】の方である。
 今でも【マルコ・ポーロ】が流れてくると,ホウキでエア・ギターを弾きながら踊り出すメイドさんの妖しい雰囲気の記憶がよみがえる〜。


 とにもかくにも【マルコ・ポーロ】なのである。自分の中で【マルコ・ポーロ】に関してはボブ・ジェームスというよりも,あの踊り子さんだし,サントリーなのだった。
 だから【マルコ・ポーロ】目当てで【マルコ・ポーロ】収録アルバム『FOXIE』(以下『フォクシー』)を買った。

 『フォクシー』収録の【マルコ・ポーロ】のフル・バージョン。これってマーカス・ミラーの後半,大盛り上がりするベースを聴くためにあると思う。
 名プロデューサーでもあるボブ・ジェームスが,マーカス・ミラーのために作ったベース・ラインの大名演として捉えても良い。管理人がマーカス・ミラーを初めて意識したのが【マルコ・ポーロ】であったと思う。

 多感な青春時代に【マルコ・ポーロ】に出会えて良かった。ボブ・ジェームスマーカス・ミラー伊東たけし〜。でもでも一番はあのメイドさんで決まりである。
 ( サンボーン・フリークとしてはデヴィッド・サンボーンソプラノサックスが貴重なのは当然! )

FOXIE-2 さて,肝心の『フォクシー』の評価であるが,正直『フォクシー』には【マルコ・ポーロ】以外にいい曲がない。
 平均点を超えてはいるが『フォクシー』の時点では,アナログ・シンセフュージョンからデジタル・シンセフュージョンへとサウンドも中身も変革しようとしているイメージが根強い。

 誰かとボブ・ジェームスの過渡期について語る機会があるならば,管理人は持ちネタとして“鉄板”【マルコ・ポーロ】1曲で語りきろうと思う。

  01. LUDWIG
  02. CALABAN
  03. FIREBALL
  04. ZEBRA MAN
  05. MIRANDA
  06. MARCO POLO

(CBS/ソニー/CBS SONY 1983年発売/35DP 92)
(ライナーノーツ/上田力)

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20170730 T-SQUARE LIVE NO.2

 「T−SQUARE CONCERT TOUR 2017 『REBIRTH』」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 『REBIRTH』が好きになって,再び安藤正容が大好きになってしまった管理人。本編もアンコールも最高のLIVE
 『REBIRTHツアーの詳細については,管理人以上に大興奮していたブロ友の LIVEレポート をどうぞ。

 …ということで,アドリブログでは『REBIRTHツアーの「おまけ」=管理人初めての「anmi2」の生演奏。
 ズバリ「T−SQUARE & anmi2 CONCERT TOUR 2017 『REBIRTH』」について書く。

 「anmi2」とは,安藤正容みくりや裕二によるギターデュオ。おおっと,福岡公演は淡谷のり子とクリヤ・マコトのユニットのことでしたね?

 管理人のスクェア・ファン歴は『LIGHT UP(BEST SELECTION)』からだから,既にみくりや裕二は脱退後。
 その後の「T−SQUARE SUPER BAND」にもみくりやさんは不参加ですから,今回のオープニングアクトが,管理人の人生初の生・みくりや裕二だったのです!

 …って,これを書いたら全部終了です! 後は事務所OKの(Wアンコール代わりの)「公式撮影会」でのお写真をどうぞ!
( 個人的に記念写真を撮れてそれはそれでうれしいのですが,伊東さんの「福岡最高〜」を叫ぶチャンスがなくなったのは微妙です )

T-SQUARE 2017 アンコール・公式撮影会-1

T-SQUARE 2017 アンコール・公式撮影会-2

T-SQUARE 2017 アンコール・公式撮影会-3


 「T−SQUARE CONCERT TOUR 2017 『REBIRTH』」の感動は言葉では言い表わせません。ということで田中晋吾のように「ちゃちゃっと終わらせて」もらいます? ← この発言にネギ臭かった晋吾くんへ会場から大ブーイング〜。
 いえいえ,そういうことではなくて,青木さんらが「SNSにUP可」→「SNSで宣伝してほしい」を全うしただけですから〜。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

続きを読む

20170730 T-SQUARE LIVE NO.1

 行ってきました! 7/30「電気ビルみらいホール」での「T−SQUARE CONCERT TOUR 2017 『REBIRTH』」!

 まずはLIVEレポートの前にCD批評の訂正をしよう。『REBIRTH』はいい!
 実は『REBIRTH』が気に入らずにCD棚に放置して数カ月。気乗りしないがLIVEの予習のために数カ月ぶりに引っ張り出した『REBIRTH』が“熟成”したのか? 本当にいいアルバムだと思うようになったのだ。

 だ・か・ら「T−SQUARE CONCERT TOUR 2017 『REBIRTH』」の楽しみは,旧曲以上に『REBIRTH』の新曲がどう化けるか?である。こんなウキウキ気分で新作目当てに聴きに出掛けたのは『NEXT』以来のように思う。
 
 『REBIRTHツアーに対する管理人の意気込み&本気度が伝わりますかっ。前日の「荒江団地祭り」をキャンセルして向かった社員旅行(とうか単なる大酒飲みの大宴会:数名ダウン)をウコンで乗り切りブチぎって,当日は日田から朝6時起きで自腹で一人早めに帰宅しました。酷暑で連日すでにお疲れモードでしたが,LIVEの夜も「おばんざい・菜な」での打ち上げ〜翌日はNASで2時間トレーニング〜さらに翌日は14人で大濠花火大会〜さらに翌日は妻が〇添の妻より傷に塩を塗られての号泣を慰めながらこちらがダウン。予定外の予定通りの過密スケジュールで睡眠時間が削られていく中で,数年に一度の「這ってでも向かったであろう」それはそれは楽しみにしていたLIVEだったのです。

 それくらいに頭の中は『REBIRTH(リバース)』が「REVERSEリバース」で「Wリバースカセット・デッキ」。 ← このダジャレ。会場の物販コーナーに行ったマニアなら分かりますよね!? 5万円が5千円の伊東たけし〜! 安藤正容ギターの音が太く聴こえる〜!

 今回の福岡公演の座席は2列目。しかも中央ブロック。大分のスクェア仲間に感謝。いつもなら自分自身の備忘録として座席番号を記しておくのだが,今回は T-Square Staff & PAGE をリンク貼付けさせていただきます。意味の説明は不要ですよねっ。

T-SQUARE & STAFF PAGE-2

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 安藤 正容 : Guitar
 ★ 伊東 たけし : Alto Saxophone,EWI,Flute
 ★ 河野 啓三 : Keyboard
 ★ 坂東 慧 : Drums
 ☆ 田中 晋吾 : Bass

 『REBIRTHツアーの主役は,実は前座(オープニングアクト)の出演者であった。
 メインの(冗談)anmi2のステージが終わったのに,T−SQUAREのステージに居残ってくれた安藤正容が『REBIRTH』する,ロック・ギターフュージョンライブ

 anmi2のステージを含め,ギターソロがなかったのは【かわらぬ想い】だけだったのでは? それもちょいと短いギターソロではないのです。ガッツリと(多分新調した)「漆黒のギター」でのメロディアスなアドリブが素ん晴らしすぎ〜! 【THROUGH THE THUNDERHEAD】での“キレッキレなカッティング”に乗せられてしまった。
 あっ,安藤さんの「印象的な」フレーズに伊東さんもついついつられてしまったそうですよっ。

 そしてこれまた伊東たけしアルトの生音がビシビシ響く〜。
 バラードなしの『REBIRTH』だから,何がバラードとして演奏されるか期待していたのですが,期待通りに【かわらぬ想い】キターッ! そしてこちらは期待以上の,伊東たけしの感情が込めまくりの大名演がハイライト!
 本田期からは唯一の演目となった【PLAY FOR YOU】でのフルート・バージョンも良かった。毎回フルートも聴きたいものです。

 そんな“絶好調”安藤正容伊東たけしの「御大二人」の掛け合いは,昨日の名古屋と全く違っていたようで「一緒に演ってる僕も楽しい」と語ったのは晋吾くんでしたが,会場中が「持ってこーい」でしたよっ(あっ,これってお祭り好きの博多ではなく長崎でしたね)。

 そうして個人的に最高にうれしかったのは坂東くんの不安一掃(FAN一層)のドラミング! 伊東さんのフルートでの横槍に負けずに務め上げたメンバー紹介コーナーでの新MC。定着するといいですねっ。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1989年度(第23回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1989年度(第23回)の発表です。

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コンセクレイション~ザ・ラスト・コンプリート・コレクション★【金賞】.コンセクレイション〜ザ・ラスト
ビル・エヴァンス


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ブルーストラック★【銀賞】.ブルーストラック
日野皓正


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バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー★【銅賞】.バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー
ゲイリー・トーマス


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ジャスト・フレンズ★【ボーカル賞】.ジャスト・フレンズ
ヘレン・メリル&スタン・ゲッツ


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MASATO★【日本ジャズ賞】.MASATO
今津雅仁


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J.S.バッハ: ブランデンブルグ協奏曲第1, 3&amp;5番★【制作企画賞】.J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第1,3&5番
ニューヨーク・オーケストラ

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ライブ・アット・スイート・ベイジル★【編集企画賞】.ギル・エバンス・アット・スイート・ベイジル〜集大成版
ギル・エバンス

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チャーリー・パーカー・オン・サボイ~完全版~★【編集企画賞】.チャーリー・パーカー・オン・サボイ〜集大成版
チャーリー・パーカー

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トリオ・ジーピー★【最優秀録音賞】.トリオ・ジーピー
 ブランフォード・マルサリス


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AURORA★【最優秀録音賞】.オーロラ
ピーター・アースキン


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LIVE AT THE MONTREAL JAZZ FESTIVAL 1988★【最優秀ビデオ賞】.ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション・ライブ88
 ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション



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 ゲイリー・トーマスの『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』が【銅賞】受賞。

 管理人とゲイリー・トーマスとの出会いは「ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション」での斬新すぎる演奏であった。全てをジャック・デジョネットの力量と讃えることもできるが,ゲイリー・トーマスグレッグ・オズビーが組んだフロントの破壊力に度胆を抜かれた。

 その流れで手に取ったゲイリー・トーマスの『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』に再び度胆を抜かれてしまった。
 ゲイリー・トーマス → 「M−BASE」 → 『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』 → 第二のジャズ・ルネッサンスを意識する。

 ウイントン・マルサリスが始めた「新伝承派」のムーヴメントが「M−BASE」を生み出し「M−BASE」がゲイリー・トーマスを,そして『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』に結実した。これは大仰などではない。

 『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』に,今となっては時代を感じる部分もあるが『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』を通過したからこそ,その後の「テナーの豊作」があると思う。

 影響力の点ではブランフォード・マルサリスの次に来るのがゲイリー・トーマスと『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』に翌年【金賞】を受賞した『ザ・ゲイト・イズ・オープン』に違いない。

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高中 正義 / 夏・全・開5

夏・全・開-1 高中正義と来れば「夏」の定番イメージが決定付けられたのが『夏・全・開』であろう。
 いいや,これは世間一般の固定観念である。管理人的には『夏・全・開』と来れば「夏」を飛び越えて「海」を連想するアルバムなのである。

 『夏・全・開』のジャケット写真がそうさせるのか? はたまた『夏・全・開』のアーティスト名が「高中正義 and 楽園ガールズ」になっているせいなのか? 「CLUB TROPICALYPSO」の文字がそうさせるのか?
 とにかく高中正義と来れば「夏」であり「海」。その強烈なイメージは『夏・全・開』から来ているのだと思う。

 まぁ,もはや理由などどうでもよい。管理人は毎年夏になると『夏・全・開』を1回は聴いている。1984年のリリースだから実に30年間以上,高中正義を,そして『夏・全・開』を聴き続けている。
 な・の・に・全く飽きが来ない! 管理人がシビアに拝聴するのではなく,日常的なBGMとしてドツボにハマった名盤の1枚が高中正義の『夏・全・開』なのである。

 やっぱり曲がいいんだよなぁ。そして音楽以外の部分でも思い入れが強いんだよなぁ。
 例えば『夏・全・開』で,打ち込みもイケルようになった。逆に打ち込みっていいじゃん,と思うようなった。そしてヴォーカルものもイケルようになった。逆にコーラスっていいじゃん,と思うようなった。きっと他にも…。

 そして『夏・全・開』を基準として,他の夏アルバムを評価するようになってしまった。同じ夏アルバムであっても,例えば松岡直也の『夏の旅』のイメージは「海」というより「山」に聴こえるよう変化した。『夏の旅』の「夏」とは「田舎のお盆の夏」のイメージ…。

夏・全・開-2 そう。それくらい強烈に脳内に「海」が擦り込まれた『夏・全・開』は「真夏のど真ん中」である。
 実は“高中正義の夏”にもいろんな夏があって,爽やかな『CAN I SING?』は“初夏”のイメージだし,東芝EMI移籍後の『TRAUMATIC 極東探偵団』は“9月の海”だし『JUNGLE JANE』は“残暑”のような夏アルバム…。

 お祭り気分の遊びの部分とバリエーションの豊富さで群を抜く『夏・全・開』こそが“高中正義の夏”の「王道中の王道」なのだと思っている。

 そんな「王道中の王道」『夏・全・開』の全10曲の中でも「王道中の王道」トラックが5曲。【EYELAND】【CUBAN HEELS】【SUMMERTIME BLUES】【RETURN ACE】【NEPTUNE】である。
 この5トラックの神曲こそが「タカナカ・サウンド」を象徴する代表曲である。

  01. ようこそ,夏の王国へ
  02. PARADIZZY
  03. EYELANDS
  04. CUBAN HEELS
  05. 大航海時代
  06. DANCING TO CAT GUITAR
  07. SUMMERTIME BLUES
  08. RETURN ACE
  09. NEPTUNE
  10. OYASUMI

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1984年発売/KTCR-1023)

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20170723 CASIOPEA 3RD LIVE NO.2

 「CASIOPEA 3rd “VESTIGE SUMMER TOUR 2017”」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 ニュー・アルバムなしなのだから,その分「オール・ヒット・ソング集」になると予想していた「VESTIGE TOUR」のセットリストが凄い!
 フタを開けたら『VESTIGE』に入らなかった【EYES OF THE MIND】【GALACTIC FUNK】【DOMINO LINE】【TOKIMEKI】の往年のファン目線の名曲がズラリ!

( って言うか『VESTIGE』は野呂一生が1人でセレクションしたはずなのに??の選曲だと思っています )

 「VESTIGE TOUR」のセットリストについて3つ,4つ注文するとナルチョ曲は【AKAPPACHI−ISM】だし,神保曲は【MID−MANHATTAN】だし,バラードなしとは有り得ないし,ラストが【TAKE ME】だったのはやっぱり不満かなぁ。
 でもそれだけカシオペアには管理人好みの名曲が多いってことなのです! 野呂さんからのご褒美に満足しなければ〜!

 そういうことで管理人の結論。「VESTIGE TOUR批評

 カシオペアには1期も2期も3期もない。「カシオペアは40年間カシオペアであり続けていた」ということを再認識させられた。
 野呂一生のエフェクターが今回のツアーから新しくなったとのことだったが,1人のベーシスト桜井から鳴瀬に改名しても,1人のキーボード・プレイヤーが男性から女性に性転換しても「カシオペアは40年間カシオペアであり続けていた」。素晴らしい。

 そんな“カシオペア魂”を守るために奮闘する「リーダーにして唯一のオリジナル・メンバー」が野呂一生である。野呂一生が“大汗からの汗だっくだく”でタオル拭き拭きフュージョンギターを弾きまくる〜。

 “カシオペア魂”を守るために奮闘するのは,一番新しいカシオペアのレギュラー・メンバー=大高清美も同じであって,大高さん,長めのオルガンソロの途中で指ツッタ〜!

 “カシオペア魂”を守るために安いギャラで奮闘するのがナルチョである。1曲にコードが40個もある。音符の数が多い「薄利多売」のベーシストは音符1個2円いかない〜。

 “カシオペア魂”を守るために全力でサポートするのが神保彰である。全曲カウントからのドラムソロ状態だし「FLASH!」の声張りすぎて声が出なくなった様子。
 それにしても神保さん,ナルチョに呼び込まれて初めてステージ前まで出てMCしてくれましたが,相当身長が高いです。初めて知りました。
 そして相変わらずの営業上手。『VESTIGE』と同日発売「ISSEI NORO INSPIRITS」のニュー・アルバム『TURNING』も売り込んでいました。ドラム神保彰〜。

 「CASIOPEA 3rd “VESTIGE SUMMER TOUR 2017”」のハイライトはバラードなしの直球勝負!
 「夏よりも熱い!」カシオペア40年目の「夏」こそが日本の「夏」!

PS 1曲の演奏が濃すぎるのに2時間ガンガン弾きっぱなしでは後半バテバテでも仕方がありません。アンコールは【TAKE ME】ぐらいしか演奏できる体力が残っていなかった?

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20170723 CASIOPEA 3RD LIVE NO.1

 行ってきました! 7/23「イムズホール」の「CASIOPEA 3rd “VESTIGE SUMMER TOUR 2017”」!

 2017年の「カシオペア・サード」はオリジナル・ニュー・アルバムの発売はなし。結成40周年の「アニヴァーサリー・イヤー」なのにである。
 その代わりに「1stから1枚,2ndから1枚,3rdから1枚」をセレクションした合計3枚組のベスト盤VESTIGE』をリリースする。

 『VESTIGE』をどう読んだらよいのか? 単純に自信作の新作ができなかったからなのか? それとも本当に40周年記念を“集大成イヤー”と位置付けてのことなのか?

 その答えを紐解くために「CASIOPEA 3rd “VESTIGE SUMMER TOUR 2017”」へといざ出陣の管理人!
 果たして「約1名で構成された選曲委員会の委員長」野呂一生が提示した,カシオペア40年の歴史から選ばれた『VESTIGE』のセットリストとは…。

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 野呂 一生 : Guitar
 ★ 鳴瀬 喜博 : Bass
 ★ 大高 清美 : Keyboard
 ☆ 神保 彰 : Drums

 今回の座席は2列3番。これが残念なのか? 大当たりなのか? たまたま前回とは真反対=左列の一番大外。事実,今回も神保彰は死角。大高清美野呂一生にカブルことが多く,事実上,野呂一生鳴瀬喜博の「2人カシオペア」+「2人のサポート・ミュージシャン」のような構図。

 しか〜し,ステージが進むにつれ,何とも乙な光景にウットリ! 前回の経験が生きている!? LIVE前半は2列目の椅子に座って,野呂一生鳴瀬喜博の「2人カシオペア」の熱演をじっくりと鑑賞。

 LIVE中盤にナルチョの「ラジオ体操第八」→「ラジオ体操第九」→「ラジオ体操第十(盆踊り)」の練習タイムで起立させられた中高年の観客が腰かけない。最後まで全員が総立ちの予想外の展開が起こるが,この展開は管理人のもの!

 LIVE終盤は2列目にして1.5列目状態だし,時に1列目,あるいは0.5列目で会場の最前列でダンシング!
 視界の自由が利く大外だから野呂一生鳴瀬喜博の「2人カシオペア」が,最前列に飛び出すと野呂一生大高清美の「2人カシオペア」へと様変わり! 意識的にソロイストに合わせて野呂一生鳴瀬喜博大高清美の「2人カシオペア」がメンバー・チェンジ。そういうことなのです!

 オーラスでのナルチョよ,管理人の声援に視線とポージングで応えてくれてどうもありがとう。ナルチョと管理人の2人だけの世界がうれしすぎでした〜。 
 「夏よりも熱い!」カシオペア40年目の「夏」こそが日本の「夏」!

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

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アール・クルー / ウィスパーズ・アンド・プロミス5

WHISPERS AND PROMISES-1 『WHISPERS AND PROMISES』(以下『ウィスパーズ・アンド・プロミス』)こそがアール・クルーの“ショーケース”にしてアール・クルーの“最高傑作”である。

 『ウィスパーズ・アンド・プロミス』でアール・クルーが追求してきた“繊細なアコースティックフュージョン・ギターのオーケストレーション”が色とりどりに咲き乱れている。
 とにかくカラフルなアルバムである。そしてそこにあるべき色調でアコースティックギター鳴っている。本当に聴き終わると気分が“うっとり”するのである。

 そう。『ウィスパーズ・アンド・プロミス』の印象は,アコースティックギター以上に,時代を先取りしたスムーズ・ジャズ・ギターである。
 生バンド・スタイルに打ち込みにとリズミックな演奏が続いているはずなのに,静かで美しくメロディアス,そして豪華で煌びやかなメロディックな展開で見事に全体がまとまっている。

 全10曲が全く違う曲調なのに“繊細なアコースティックフュージョン・ギター”というワントーンで統一感あるアルバムに仕上げている。
 アール・クルーの柔らかなギター・サウンドと溶け合うビッグ・バンドストリングスの“淡い音色”が音場の空気を支配している。

 『ウィスパーズ・アンド・プロミス』におけるアール・クルーのサウンド・メイキングを冷静に分析してみると,デイブ・グルーシンボブ・ジェームスのようなアレンジャーにアール・クルーが重用されてきた理由が良く分かる〜。

 これって実はアール・クルーを語る上で非常に重要なファクターであって,簡単に言えば,アール・クルーアコースティックギターが様々な音楽ファンにアピールしたのは,アール・クルーが開拓した形式や様式の魅力ではなかったという事実である。
 そう。アール・クルーの音楽性の真髄が,アール・クルーの人間性の真髄,つまり非常にヒューマンなレベルで演奏されているということを証ししているのである。

 管理人は未だアール・クルー本人以外に“アール・クルーっぽい”ギタリストと出会ったことがない。そんな“ワン・アンド・オンリー”なアール・クルーのミュージシャン・シップが『ウィスパーズ・アンド・プロミス』で,アール・クルーの目指した形に花開いている!

WHISPERS AND PROMISES-2 管理人の結論。『ウィスパーズ・アンド・プロミス批評

 『ウィスパーズ・アンド・プロミス』は幾つもの添え木を使った「盆栽」作品のように思う。アール・クルーがセルフ・プロデュースで完璧に仕上げた「盆栽」の音である。
 全体の調和と細部の調和をじっくりと見つめる。やがてアルバムの本質だけに耳が行くようになる。絶対に感動を覚えますよっ。

  01. WHAT LOVE CAN DO
  02. MASTER OF SUSPENSE
  03. WATER SONG
  04. STRAWBERRY AVENUE
  05. FALL IN LOVE
  06. SUMMER NIGHTS
  07. JUST YOU AND ME
  08. WHISPER AND PROMISES
  09. FRISKY BISCUITS
  10. TANGO CLASSICO

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1989年発売/22P2-2714)
(ライナーノーツ/成田正)

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高中 正義 / CAN I SING?4

CAN I SING?-1 管理人は知っている。タカナカ・フリークの間で『CAN I SING?』は余り人気がないことを…。

 確かに『CAN I SING?』のバックサウンドは,高中正義本人に加えて,高橋ゲタ夫鳴瀬喜博ザ・スクェア中村裕二の大物ベーシスト陣や鳥山雄司のリズム・ギター以上に打ち込みシンセの方が目立っているし,ヴォーカル・ナンバーも目立っている。そのことも知っている。

 でも,それでも,管理人にとって高中正義の夏アルバムと来れば何はさておき『CAN I SING?』である。
 「夏だ! 祭りだ! TAKANAKAだ!」。高中正義の「夏」と来れば『CAN I SING?』なのである。

 …と昨日までは思っていた。今夜『CAN I SING?』を聴き直すまではそう思っていた。
 『CAN I SING?批評で『CAN I SING?』を夏アルバムの一番手にまで押し上げるつもりで絶賛するつもりだった。

 今夜『CAN I SING?』を聴き直して「アレッ」と思った。昔抱いていた強烈な「夏」のイメージが跡形もない。
 おいおい。こんなはずでは…。ハシゴを外された気分になる…。

 『CAN I SING?批評を熱く語るつもりが,戦意喪失してしまいました。自分にだけはウソはつけません。やはり世間の評価は正しいのかもしれませんねぇ。

CAN I SING?-2 ただし,今でもブレないのは【JUMPING TAKE OFF】が大名曲であるということ。

 【JUMPING TAKE OFF】については学生時代にたくさんの良い思い出があって,それは「夏」であり「海」であり「恋」であり,そして競艇のCM曲としてヘビロテされていたのが印象深い。
 でもでも『CAN I SING?』の【JUMPING TAKE OFF】はシングル・カット曲の短縮バージョン。なんでこうなるの!?

  01. TOKYO・・・・・・SINGIN’IN THE CITY
  02. 我ら星の子
  03. SAIL ON FIRE
  04. STRAIGHT FROM YOUR HEART
  05. JUMPING TAKE OFF
  06. SANTIGO BAY RENDEZ-VOUS
  07. FUNK'N'ROLL TRAIN
  08. CRY BABY CRY
  09. NOON
  10. CAN I SING・・・・・・FOR YOU

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1983年発売/UPCY-9060)
(紙ジャケット仕様)

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