アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

FUSION

高中 正義 / CAN I SING?4

CAN I SING?-1 管理人は知っている。タカナカ・フリークの間で『CAN I SING?』は余り人気がないことを…。

 確かに『CAN I SING?』のバックサウンドは,高中正義本人に加えて,高橋ゲタ夫鳴瀬喜博ザ・スクェア中村裕二の大物ベーシスト陣や鳥山雄司のリズム・ギター以上に打ち込みシンセの方が目立っているし,ヴォーカル・ナンバーも目立っている。そのことも知っている。

 でも,それでも,管理人にとって高中正義の夏アルバムと来れば何はさておき『CAN I SING?』である。
 「夏だ! 祭りだ! TAKANAKAだ!」。高中正義の「夏」と来れば『CAN I SING?』なのである。

 …と昨日までは思っていた。今夜『CAN I SING?』を聴き直すまではそう思っていた。
 『CAN I SING?批評で『CAN I SING?』を夏アルバムの一番手にまで押し上げるつもりで絶賛するつもりだった。

 今夜『CAN I SING?』を聴き直して「アレッ」と思った。昔抱いていた強烈な「夏」のイメージが跡形もない。
 おいおい。こんなはずでは…。ハシゴを外された気分になる…。

 『CAN I SING?批評を熱く語るつもりが,戦意喪失してしまいました。自分にだけはウソはつけません。やはり世間の評価は正しいのかもしれませんねぇ。

CAN I SING?-2 ただし,今でもブレないのは【JUMPING TAKE OFF】が大名曲であるということ。

 【JUMPING TAKE OFF】については学生時代にたくさんの良い思い出があって,それは「夏」であり「海」であり「恋」であり,そして競艇のCM曲としてヘビロテされていたのが印象深い。
 でもでも『CAN I SING?』の【JUMPING TAKE OFF】はシングル・カット曲の短縮バージョン。なんでこうなるの!?

  01. TOKYO・・・・・・SINGIN’IN THE CITY
  02. 我ら星の子
  03. SAIL ON FIRE
  04. STRAIGHT FROM YOUR HEART
  05. JUMPING TAKE OFF
  06. SANTIGO BAY RENDEZ-VOUS
  07. FUNK'N'ROLL TRAIN
  08. CRY BABY CRY
  09. NOON
  10. CAN I SING・・・・・・FOR YOU

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1983年発売/UPCY-9060)
(紙ジャケット仕様)

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アール・クルー / フィンガー・ペインティング5

FINGER PAINTINGS-1 世はフュージョン・ブームも真っ只中! 多くのフュージョンギタリストが「スピード感」を求めてエレクトリック・サウンドを追求する中,アコースティックギターで「スピード感」あるフュージョン・サウンドを追及したギタリストがいた。それがアール・クルー“その人”である。

 そして,そんな“エレクトリックをも凌駕する”アコースティックフュージョンの“最高峰”に位置する1枚が『FINGER PAINTINGS』(以下『フィンガー・ペインティング』)であろう。
 『フィンガー・ペインティング』というアルバム・タイトルは本来「指で絵を描く画法」のことを指すのだが,ピックを使わず10本の指弾きでガット・ギターを自在に操るアール・クルーギター演奏法を端的に言い表わしているように思う。

 ズバリ,アール・クルーの「超絶技巧」と「優しさ」を表現するのに最適な楽器こそがアコースティックギター。それもスチール弦ではない
ナイロン弦の所謂クラシック・ギター
 並みのエレクトリックギタリスト以上に,爽やかなフュージョン・サウンドを届けてくれる〜!

 なぜに管理人がアール・クルーの紹介文として,アール・クルー最大の魅力である「美しいメロディー・ライン」を差し置いて“アール・クルーアコースティックギタリスト”と押しているかと言うと,本来アール・クルーは「凄腕のエレクトリックギタリスト」だったという過去を知ってほしいから…。

 そう。アール・クルーは「リターン・トゥ・フォーエヴァー」のエレクトリックギタリスト
 ビル・コナーズの後任としてチック・コリアが声をかけたのはアル・ディメオラではなくアール・クルーだっという事実!

 残念ながらアール・クルーは2カ月間で「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を離れたらしく音源が手に入らない。どうしてもアール・クルー入りのRTFを聴いてみたい欲求と,どうあがいても聴くことのできないこの悶々感…。
 チック・コリアのフォロワーでしたらお分かりいただけますよね?

 『フィンガー・ペインティング』をまだ未聴の読者の皆さんがいらしたら,こんな予備知識を持ってアール・クルーを,そして『フィンガー・ペインティング』を聴いてみてほしい。

 絶対に軟派だとか「ソフト&メロウ」路線だとは言い切れない“疾走する”アール・クルーの純白無垢にしてエレクトリックピアノエレクトリックベースと自然に溶け込む“エレクトリックアコースティックフュージョン・ギター”の世界観にKOされてしまうこと請け合い!

 エレクトリックギターという刺激的な相棒を手放し,角の無いサウンド・コンセプトを表現するためガット・ギターの“ヴィヴィッドな響き”へと乗り換えたアール・クルーの“ギタリズム”が素晴らしい。
 とりわけエレクトリックアコースティック特有の個性を引き立て合う,メリハリのある音造りが実に素晴らしい。

 ナイロン弦と来れば管理人にはボサノヴァである。だからアール・クルーの演奏スタイルにはリズミックな楽曲が似合うと思っている。
 例えば【DR.MACUMBA】の前奏のリフが流れ出すと,今でもすぐに足でリズムを取ってしまう。弾むような爽やかなリズムに乗ってアール・クルーのラテン・フレイバーなガット・ギターがス〜ッと入ってくる瞬間の最高のワクワク感は日産車以上のものがある。

FINGER PAINTINGS-2 管理人が『フィンガー・ペインティング』を特別視しているのは『フィンガー・ペインティング』で共演したのがリー・リトナーの「ジェントル・ソウツ」だから!
 特にリー・リトナーがサイド・ギターに徹したカッテイングとバックのタイトなノリが最高であって,そこに絡むアール・クルーがこれまた最高〜!

 『フィンガー・ペインティング』の“売り”はアール・クルーの柔らかなギター・サウンドと溶け合うストリングスローズ・ピアノの淡い音色の空気感にある。
 『フィンガー・ペインティング』をプロデュースしたデイブ・グルーシンボブ・ジェームスのようなアレンジャーにアール・クルーが重用されてきた理由が良く分かる〜。

 『フィンガー・ペインティング』の大ヒット以降,アール・クルーは本格的に「ソフト&メロウ」路線に進んでいく。リズムがシンプルになって面白みが薄まったと思う。
 それがアール・クルーの初めからの狙いであり,そのためのガット・ギターへの転身であったことは承知の上だが,もっとリズミカルなフュージョン・ギターも弾いてほしい。

 そう。『フィンガー・ペインティング』と来れば「リターン・トゥ・フォーエヴァー」の「隠の2代目」ギタリストアール狂う”を惜しげもなく披露してほしい,と真っ先に口から出てしまう「無いものねだり」の管理人なのであります。

  01. DR. MACUMBA
  02. LONG AGO AND FAR AWAY
  03. CABO FRIO
  04. KEEP YOUR EYE ON THE SPARROW (BARETTA'S THEME)
  05. CATHERINE
  06. DANCE WITH ME
  07. JOLANTA
  08. SUMMER SONG
  09. THIS TIME

(ブルーノート/BLUE NOTE 1977年発売/TOCP-8903)
(ライナーノーツ/成田正)

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高中 正義 / サダージ5

SAUDADE-1 高中正義のアルバムは基本的に楽曲重視。だから「タカナカ・サウンド」では打ち込みが多いし,生楽器を使用することはあってもギタリストのバックバンド的で共演者の個性はほとんど目立たない。

 その意味で豪華メンバーと「初めて対等に共演した」『SAUDADE』(以下『サダージ』)がいい。高中正義ギターがいつも以上に素晴らしい。
 『サダージセッションの大盛り上がりが「タカナカ・サウンド」に艶を与えているのだ。

 共演者からの熱い刺激を受けて“フュージョンギタリスト高中正義が「ギター小僧」のバイブルとでも言えそうなバリバリにメロディアスなギターを弾いている。弾きまくっている。

 ズバリ『サダージ』の聴き所は,いつもの自己プロデュースを封印し(『サダージ』は高中正義が初めて他人にプロデュースを依頼したアルバム)高中正義自身は1人の“フュージョンギタリスト”に徹している演奏にある。
 
 『サダージ』の参加メンバーとは,ドラムナラダ・マイケル・ウォルデンギターワーキン・リエヴァノベースT.M.スティーブンスキーボードフランク・マーティンパーカッションシーラ・E。本場の洋楽っぽい高揚感あるバック・サウンドが真にカッコイイ!

 サンフランシスコの強力なリズム隊に乗せられて高中正義ギターが“軽やかに”歌いまくっている。実に楽しそうな「ギター小僧」高中正義の参上である。

SAUDADE-2・風を切って走るような【A FAIR WIND】が爽快で,高中正義ギターで「夏を連れてくる」。
スチール・ドラムパーカッションがカリビアンなのに,マイナー調で日本的な哀愁がはじける名曲【SAUDADE】。
・ブルージーなバラードEONA】の世界観が実に切ない。何度でも聞きたくなる味が沁み出している。
・シャッフル・ビートの上を歌謡ロックでモッタリ弾きまくる【BREAKIN’ LOOSE】。
・能天気でファンキーな,これぞサンフランシスコのJAM・ナンバー的な【RIDE’EM HIGH】。
・Aメロ,Bメロのみの,お洒落でメロディックなディスコ・チューンの【CHILL ME OUT】。
・【NEW YORK STRUT】の最高のタイム感。展開が変わろうともギターのノリは最後まで〜。
・泣きたくなるほど甘く切ないギターが染み入る【THE FOREST OF MY HEART】。
・【MANIFESTATION】で,狂ったようにロック・ギターを弾きまくる高中正義こそが“ギター・ヒーロー”である。

  01. A Fair Wind
  02. Saudade
  03. Eona
  04. Breakin' Loose
  05. Ride'em High
  06. Chill Me Out
  07. New York Strut
  08. The Forest of My Heart
  09. Manifestation

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1982年発売/UPCY-9059)
(紙ジャケット仕様)

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アラン・エヴァンス・トリオ / マカバ4

MERKABA-1 『MERKABA』(以下『マカバ』)でのオルガン・ジャズソウライヴでは表現できない。
マカバ』のような“電化オルガン”はアラン・エヴァンストリオでないと表現することができない。

 『マカバ』でアラン・エヴァンスは,ソウライヴは“COOLなジャズ・ファンク”。アラン・エヴァンストリオは“混沌のファンク・ロック”と音造りを明確に区別してきたように思う。

 『マカバ』は「スペース・ファンク」を名乗るまさかのコンセプト・アルバム。ここまで見事に“電化オルガン”されるとスピリチュアルでカオスっぽい仕上り。深いリバーブのギターのリフがオルガン・ジャズの魅力を,そしてアラン・エヴァンストリオ特有のオルガン・ジャズを引きたてている。

 恐らくはソウライヴの大ファンであったとしても『マカバ』を聴いて,アラン・エヴァンスGROOVEを言い当てることは難しいのではなかろうか?
 事実,アラン・エヴァンス自身の言葉によると,そもそも『マカバ』は全くのプライベート録音であって,日の目を見ることなど想定外の音源だそうである。

 そう。アラン・エヴァンストリオGROOVEとは,ソウライヴから派生したオルガン・ジャズではなく,アラン・エヴァンスがゼロから温めてきた“電化オルガン”のGROOVEなのである。

MERKABA-2 管理人の結論。『マカバ批評

 アラン・エヴァンスがロケットの如く発射するFUNKYなドラミングダニー・メイヤーの無重力のギター・リフ,ボウ・サッサーのスモーキーでコズミックな“電化オルガン”が爪痕を残しスペーシーに響いている。

 『マカバ』→「スペース・ファンク」→アラン・エヴァンス“電化オルガントリオ

  01. THOR
  02. GONE
  03. LIFE IS HARDER TO LIVE
  04. COSMIC HAZEL DUST
  05. WHO DARE KNOCK
  06. THEY CALL ME VELVET
  07. HAVE YOU SEEN HIM
  08. HOTCAKES MELTDOWN
  09. BISCUITS
  10. GIVIN' TO YOU

(Pヴァイン/P-VINE 2013年発売/PCD-17615)
(☆直輸入盤仕様 デジパック仕様)
(ライナーノーツ/松永誠一郎)

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高中 正義 / AN INSATIABLE HIGH5

AN INSATIABLE HIGH-1 インスト好きなら誰もが接したであろうギタリストが一人いる。絶対に避けて通ることのできないギタリストが一人いる。
 そう。高中正義というギタリストジャズフュージョンというカテゴリーを超越したギタリストである。高中正義は「高中正義というジャンル」のギタリストなのである。大好き!

 大好き!なのは本当なのだが,実はテクニカルなギタリストとしての高中正義はそれほどでもない。
 正直,高中正義ギターを聴いてグッと来るのは,ヤマハSGの“輝くフォルム”とエフェクターで仕上げに仕上げた“輝く音色”だけである。

 ズバリ,管理人の大好き!な高中正義の魅力とは「タカナカ・サウンド」。高中正義の“ギターという楽器で歌う”ための「作曲と編曲のハイセンス」にいつでも惚れてしまうのである。
 そういう意味では「タカナカ・サウンド」にはカシオペアスクェアと通ずる部分も多いと思う。気持ち良い&心地良い。「気分爽快・タカナカ・サウンド」。

 こんなにも「トータル・サウンド」で自己プロデュースできるミュージシャンは高中正義サンタナぐらいなものであろう。ギター・ラインをヴォーカル・ライン並みに人々の頭の中に焼きつける〜。

 そんな高中正義の「タカナカ・サウンド」を1番実感できる曲が【MALIBU】である。
 【MALIBU】が好きになったきっかけは,某FM放送でのBGMとして【MALIBU】が流れていたからである。女性DJが【MALIBU】をバックにトークする。そんな放送を中学生〜高校生の頃に毎週聴いて過ごしていた。

 番組のトーク・コーナーのBGMなのだから,曲名もアーティスト名も紹介されるわけがない。「この曲いいなぁ。誰の曲かなぁ」。多分,気になって中学生なりに,高校生なりに本気で調べたはずである。でも当時は分からなかった。そのうち番組も終了し,BGMが気になっていたことすら忘れていた時に【MALIBU】が【MALIBU】であったことを知った。社会人になってのことである。

 …で,重要なのは,そして衝撃だったのは曲名ではなかった。アーティスト名=高中正義を知った時の戸惑い。まさか!?の高中正義。管理人の動揺が伝わりますか?
 だって,高中正義って結構聴きまくっていたはずじゃん。アルバムも10枚は聴いていたはず。なのに運悪くかすらなかった。ベスト盤に入れておいてよ。ベスト盤に入れるべきでしょ?

 っていうか【MALIBU】はギターじゃないでしょ? メインはエレピでしょ? パトリース・ラッシェンだったんですね。ここから高中正義につながるわけないでしょ?

AN INSATIABLE HIGH-2 探し求めていた楽曲をついに聴き当てた喜びに満たされた。しかし,それがまさかの高中正義作ということで【MALIBU】の存在1曲だけで,中学高校時代に抱いていた高中正義に対する“ギター・ヒーロー”としてのイメージが変化した。

 高中正義は幾人かいる“ギター・ヒーロー”の一人などではない。稀代のサウンド・クリエイターである。【MALIBU】がそのことを保証している。

 管理人の中で『AN INSATIABLE HIGH』と来れば【MALIBU】である。そして(これから始まる高中正義批評に登場してくる【BLUE LAGOON】【JUMPING TAKE OFF】【SAUDADE】等の幾多の大名曲があるにしても)高中正義と来れば,どうしても管理人には【MALIBU】一択なのである。 

  01. SEXY DANCE
  02. MALIBU
  03. AN INSATIABLE HIGH
  04. E.S.P.
  05. M5
  06. SUNDROPS
  07. GOOD(BAD?)OLD DAYS

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1977年発売/UPCY-9049)
(紙ジャケット仕様)

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アラン・エヴァンス・トリオ / ドロップ・ホップ5

DROP HOP-1 かつてキース・ジャレットアメリカン・カルテットヨーロピアン・カルテットという2つのバンドを同時並行で運営していたことがある。それは「美女と野獣」のような性格の異なる音楽表現のためには2つのバンドが必要だったからだ。

 キース・ジャレットに限らず,ジャズメンが同時期にバンドを2つ運営する場合,その2つは性格が異なるものであろう。既存のバンドでは表現できない音楽欲求があるからこそ,今とは別の第二のバンドを結成する。今と同じ音楽を続けるのなら,第二のバンドは必要ない。今のバンドに不満があるなら,解散あるいはメンバー・チェンジ。無理に2つのバンドを運営する必然性などないのである。

 管理人はこれまでそう思っていた。アラン・エヴァンストリオの『DROP HOP』(以下『ドロップ・ホップ』)を聴くまでは…。

 ソウライヴオルガン・ジャズトリオである。アラン・エヴァンストリオオルガン・ジャズトリオである。
 ソウライヴのバンド・リーダーであるアラン・エヴァンスが,ソウライヴを解散するわけではなく,ソウライヴとは違うメンバー,オルガンボウ・サッサーギターダニー・メイヤーと組んでソウライヴと同じオルガン・ジャズ・フォーマットの新バンドを運営する。

 なぜ? どうして? その疑問に見事に『ドロップ・ホップ』が答えてくれる。『ドロップ・ホップ』を聴いてみると,同じバンドを2つ同時進行したくなる気持ちが分からないでもない。
 いいや,アラン・エヴァンスにとってはソウライヴも,アラン・エヴァンストリオも,どっちも必要なのだ。アラン・エヴァンスとしては2つのバンドあっての1つの音楽=「アラン・エヴァンスオルガン・ジャズ」をやっているように思う。

DROP HOP-2 管理人の結論。『ドロップ・ホップ批評

 ソウライヴが「POP」であるなら,アラン・エヴァンストリオは「HOP」である。息着く暇もなく刻まれるGROOVYなリズムに興奮しっぱなし。ゴリっとした王道ファンクがハードコアに響いている。

 理知的なソウライヴとストレートなアラン・エヴァンストリオ。この違いこそが『ドロップ・ホップ』におけるアラン・エヴァンスの“狙い”なのであろう。

 つ・ま・り・分かりやすく例えると,アラン・エヴァンスにとってのソウライヴアラン・エヴァンストリオの位置付けは,野呂一生にとってのカシオペアと「野呂一生インスピリッツ」のような位置付けなのである。

  01. AUTHORITAY
  02. CHECK YOUR LUGNUTS
  03. WHISTLIN' WILLIE
  04. DROP HOP
  05. RUM RUNNER
  06. IF YOU WANT MY LOVE (GIVE IT UP)
  07. THE METER'S RUNNIN'
  08. CROOOOZ
  09. AFTER EVERYONE'S GONE
  10. DROP HOP (LIVE VERSION)
  11. THE LAY DOWN (LIVE VERSION)
  12. CROOOOZ (LIVE VERSION)

(Pヴァイン/P-VINE 2012年発売/PCD-93596)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/松永誠一郎)

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野呂 一生 インスピリッツ / ビューティー4

BEAUTY-1 「野呂一生と来ればカシオペアである」。管理人はずっとそう思ってきたが,この持論に訂正を加えたい。
 「野呂一生と来ればカシオペアである。しかしカシオペア以上に,野呂一生と来れば『野呂一生インスピリッツ』である」。

 カシオペアの活動休止宣言後,野呂一生がバンド活動の母体としたのが,エレクトリックギター野呂一生ドラム神保彰ベース箭島裕治エレクトリックピアノ扇谷研人シンセサイザー林良から成る5人組「野呂一生インスピリッツ」である。

 カシオペアから神保彰を,ソロ・プロジェクトから林良を連れてきたバンドのメンバー構成からして「野呂一生インスピリッツ」は,野呂一生そのまんまのカシオペアと,ソロ・アルバムでは意識的にカシオペアっぽさを消してきた野呂一生が有する2つの音楽性を1つにドッキングさせて凝縮したバンドこそが「野呂一生インスピリッツ」なのである。

 事実「INSPIRITS」というバンド名は「ISSEI NOROの頭文字(IN)+精神(SPIRITS)から取られているし「野呂一生インスピリッツ」で発表してきた全楽曲が野呂一生の作編曲。いくら人気ギタリストとはいえ,徹頭徹尾“野呂一生づくし”なのが凄すぎる〜。

 『BEAUTY』(以下『ビューティー』)を聴いてみた。第一印象は「カシオペアっぽい。看板だけを掛け変えたカシオペアの復活?」な印象であった。
 しか〜し『ビューティー』を聴き込んでゆくにつれ,カシオペアのサウンド・イメージから離れ出し,野呂一生ソロ・アルバムに寄り出した。

 ズバリ「野呂一生インスピリッツ」の真実とは,野呂一生ソロ・プロジェクトを根っ子にしたバンドである。「野呂一生インスピリッツ」の真実とは「野呂一生 & フレンズ」なワンマン・バンドなのである。

 この感覚は長年カシオペアを聴き続けてきたマニアには重要なファクターとなる。なぜならカシオペア・サウンドの真髄とは「4人の個性が溶け合った鉄壁のアンサンブル」にあるからだ。
 1st→2nd→3rdとメンバー・チェンジに伴なってバンド・サウンドが変化してきた。だからカシオペア・ファンは1st→2nd→3rdの優劣について論戦するのが常なのだ。

 その意味で「野呂一生インスピリッツ」の場合,向谷実櫻井哲夫日山正明ナルチョ熊谷徳明大高清美のような灰汁がない。
 (ワンマン・バンドの宿命であるが)議論以前に,箭島裕治扇谷研人林良の個性が薄い。

BEAUTY-2 3人ともバカテクなスタジオ・ミュージシャンだと思うが,個性を主張するでも野呂一生にぶつかってみるでもなく,スタジオ・ミュージシャンそのまんまな,自らは一歩引いて野呂一生メロディー・ラインを前面に押し出した演奏に終始している。
 ぶっちゃけ,ベースエレクトリックピアノシンセサイザーのバンド内での役割はレギュラー・メンバーとしての音使いではなくサポート・メンバーとしての音使いだと思う。

 だ・か・ら「野呂一生カシオペア」の法則からして「野呂一生インスピリッツ」にカシオペアを感じたのも当然であって『ビューティー』の深い部分に耳を向けると,そこにはカシオペアとは全く異なる,野呂一生の新しいソロ・アルバムの世界が聴こえてくる。

 「野呂一生カシオペア野呂一生」の新法則=「ISSEI NORO INSPIRITS」!

 「野呂一生インスピリッツ」が「第二のカシオペア」になる日,つまり本当の意味でバンドになる日が来るとすれば,それは箭島裕治扇谷研人林良の“アドリブ”がフィーチャリングされた時ではなく,箭島裕治扇谷研人林良の個性を生かした“アンサンブル”が鳴りだす時であろう。

  01. WIND'S COLOR
  02. APHRODITE
  03. HIGH-FIVE
  04. A BEAUTIFUL THING
  05. PURPLE IN THE SKY
  06. MEMORY DAYS
  07. THE NIGHT VIEW
  08. SWEETNESS
  09. SQUEEZE
  10. A PIECE OF THE DREAM

(ハッツ・アンリミテッド/HATS UNLIMITED 2011年発売/HUCD-10087)

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ダスコ・ゴイコヴィッチ / テン・トゥ・ツー・ブルース4

TEN TO TWO BLUES-1 管理人は『スインギン・マケドニア』派であるが,一般的にはダスコ・ゴイコヴィッチの代表作として『スインギン・マケドニア』以上の人気を誇るのが『TEN TO TWO BLUES』(以下『テン・トゥ・ツー・ブルース』)である。

 『テン・トゥ・ツー・ブルース』は,ダスコ・ゴイコヴィッチのワン・ホーン・アルバム。ダスコ・ゴイコヴィッチトランペットの魅力をストレートに堪能できるのが人気の秘密なのだろう。
 しかし,そんな理由は建前であって,実際には演奏とは別の部分で評価が“盛られている”気分がする。
 あっ,これから少しネガティブなことを書きますが『テン・トゥ・ツー・ブルース』は管理人もダスコ・ゴイコヴィッチ名盤として高く評価しています。誤解のないように。

 『テン・トゥ・ツー・ブルース』は1971年のリリース。世間ではフュージョンの嵐が吹き荒れ,ジャズの伝統は風前の灯であった。
 そんな時代にオーソドックスなワン・ホーンでのハード・バップ。しかもヨーロピアンジャズらしからぬ,アメリカン・ジャズ・ブルースの大連発!
 肩身の狭い思いをしてきた昔かたぎのジャズ・ファンに勇気を与えたのが『テン・トゥ・ツー・ブルース』でのアメリカン・ジャズ・ブルースの大連発! 
 正直,王道を待望していたファン心理に押し上げられたがゆえの「名盤格上げ」のように思っている。

 あるいはこういう論調もある。『テン・トゥ・ツー・ブルース』の主役はダスコ・ゴイコヴィッチトランペットではなく“盲目のピアニストテテ・モントリューの熱いピアノである。
 テテ・モントリューのダイナミックにドライブするラテンピアノが所狭しと駆け巡る。ダスコ・ゴイコヴィッチの哀愁を帯びたバラード・プレイを何倍にも膨らませて光らせる。説得されてしまうピアノである。
 正直,テテ・モントリュー名演に押し上げられたがゆえの「名盤格上げ」のようにも思っている。

 そして,そんな『テン・トゥ・ツー・ブルース』の再ブレイクが“新伝承派”ウィントン・マルサリスが登場した10年後のこと。
 管理人はウィントン・マルサリスを最後の最後まで擁護しますが,ウィントン・マルサリスを罵倒してきたのが,これまた管理人の“フェイバリット”であるキースジャレット本人,そしてダスコ・ゴイコヴィッチのファンたちなのです。

TEN TO TWO BLUES-2 『テン・トゥ・ツー・ブルース』を聴いていると,キースジャレットダスコ・ゴイコヴィッチのファンたちの主張も理解できてしまう。
 『テン・トゥ・ツー・ブルース』でのダスコ・ゴイコヴィッチの方が「ジャズの王道」なのであって,ウィントン・マルサリスのような“新伝承派”こそが「異端」である。そう主張するのに「もってこいの1枚」が『テン・トゥ・ツー・ブルース』であったのだと思う。

 こうして1度ならず2度までも「ジャズの王道」として引用されることになった『テン・トゥ・ツー・ブルース』。
 実は管理人のようなウィントン・マルサリス大好き人間には,さほど痛くもかゆくもなかったりする「小さな名盤」なのであります。

 これが『テン・トゥ・ツー・ブルース』ではなく『スインギン・マケドニア』を持ち出されたら,ちと手強いなと。中々太刀打ちできないかと。

  01. TEN TO TWO BLUES
  02. REMEMBER THOSE DAYS ( I REMEMBER O.P. )
  03. OLD FISHERMAN'S DAUGHTER
  04. I LOVE YOU
  05. A CHILD IS BORN
  06. LAST MINUTE BLUES ( BLUES TO LINE )

(エンサヨ/ENSAYO 1971年発売/MZCE-3010)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1988年度(第22回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1988年度(第22回)の発表です。

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V★【金賞】.
ラルフ・ピーターソン


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パリ北駅着,印象★【銀賞】.パリ北駅着,印象
ケニー・ドリュー


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枯葉★【銅賞】.枯葉
キース・ジャレット・トリオ


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リユニオン★【ボーカル賞】.リユニオン
メル・トーメ&マーティ・ペイチ


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プレイズ・マイルス&ギル★【日本ジャズ賞】.プレイズ・マイルス&ギル
高橋達也と東京ユニオン


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ラスト・コンサート(完全盤)★【編集企画賞】.ラスト・コンサート〜完全盤
モダン・ジャズ・カルテット


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ダブル・エクスポージャー★【制作企画賞】.ダブル・エクスポージャー
佐藤允彦フィーチャリング・エディ・ゴメス&スティーブ・ガッド

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Tribute to Count Basie★【録音賞(海外)】.カウント・ベイシーに捧ぐ
 ジーン・ハリス


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V★【録音賞(国内)】.
ラルフ・ピーターソン


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Blues & Swing [DVD]★【最優秀ビデオ賞】.ブルース・アンド・スイング
 ウイントン・マルサリス



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 キース・ジャレットトリオの『枯葉』が【銅賞】受賞。。

 個人的に『枯葉』が【銅賞】とは納得できない。キース・ジャレットトリオの大量名盤群の中でも『枯葉』の演奏力が頭一つ分抜け出していると思うからだ。

 そう。『枯葉』の全トラックが横並びの名演ばかり。『枯葉』の全楽曲が『枯葉』全体の代表曲であり,キース・ジャレットトリオの代表曲である。
 スタンダードスタンダードの新アレンジとして演奏されるではなく,スタンダードキース・ジャレットトリオオリジナル曲として演奏されるような感覚がある。

 かつてフリージャズの洗礼を通過してきた,キース・ジャレットゲイリー・ピーコックジャック・デジョネットの名手3人がトリオを組んだからこそ表現できた「スタンダードはこういう言語で演奏されるべきである」という確たる信念がベースにあるのだと思う。

 キース・ジャレットトリオの「押し付け」から「お」が取れたら「しつけ」に変わる。全てのジャズ・ファンはキース・ジャレットトリオの「しつけ」を受けてこそ成長できる!

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梅津 和時 KIKI BAND / LAND DIZZY〜眩暈の国4

LAND DIZZY-1 梅津和時って,ドクトル梅津を名乗るアルトサックス・プレイヤーという程度の知識しかない。実はほとんど聴いたことがない。所有しているCD渡辺香津美絡みが数枚ある程度である。

 そんなビッグネームなのに,ほぼ初対面で聴いてた「梅津和時 KIKI BAND」名義の『LAND DIZZY〜眩暈の国』にやられてしまった。
 ゲッ,梅津和時って,こんなにもエモーシャナルなアルトサックス・プレイヤーだったんだ。全然似ていないはずなのに『LAND DIZZY〜眩暈の国』を聴いている管理人の脳内は,あのデヴィッド・サンボーンとか,あのケニー・ギャレットを聴いているのと同じアドレナリンが出てきたのだ。

 もっとフリーっぽい,ジョン・コルトレーンアーチー・シェップの「アグレッシブに吹きまくる系」かと思って手を付けずにいたのに,そうではない。
 梅津和時アルトサックスは「歌うたい系」であった。歌心があって,これだけは伝えたいという感情が込められたサビでの絶唱が来る。でも全く重く響かない。メロディーが駆け抜ける感じの「キレイ系」のアルトサックスであった。

 そう。『LAND DIZZY〜眩暈の国』を聴いてアドレナリンが出たのは事実であるが,その要因は残念ながら梅津和時アルトサックスではなかった。
 『LAND DIZZY〜眩暈の国』の主役は,こちらこそがジョン・コルトレーンのような鬼怒無月ギターと,ことらこそがアーチー・シェップのような早川岳晴ベースである。

 そう。鬼怒無月プログレギター早川岳晴のファズ・ベースの音圧に負けてしまった。
 プログレギターとファズ・ベースの組み合わせと来れば,やはり渡辺香津美ジェフ・バーリンとの『THE SPICE OF LIFE』や,渡辺建との「PRISM」や永井敏己との「EXHIVISION」を思い浮かべるが,特に早川岳晴の“野獣”が特筆ものである。

 ズバリ「梅津和時 KIKI BAND」が目指しているのは「アヴァンギャルドなジャズ・バンド」であろう。「梅津和時 KIKI BAND」より激しいジャズ・バンドなんて幾らでもある。でもこんなにも“危うい”ジャズ・バンドは他にはない。

 「梅津和時 KIKI BAND」とは,鬼怒無月プログレギター早川岳晴のファズ・ベースの“暴走”を梅津和時が「つないでまとめあげてメロディアスに聴かせる」ジャズ・バンドである。

LAND DIZZY-2 梅津和時の押し付けがなければ,本当にバラバラに空中分解しそうな勢いのギターベースが“やさぐれている”。

 実は鬼怒無月早川岳晴を聴いたのも『LAND DIZZY〜眩暈の国』で初めて聴いたのだが,この両雄もすでにビッグネームだったらしく「自分の世界」に誇りを持っている。
 ギリギリでジャズしているし,ギリギリで「梅津和時 KIKI BAND」している。超高速ビートなど使っていないのに,少しでも油断すると脳内が破壊されそうな勢いの演奏。途切れることなくビートがうねっている。ビートが牙を剥いている。要は前衛なのだ。

 前衛と書くしか管理人の表現力では他にないので矛盾があったら申し訳ないが「梅津和時 KIKI BAND」の音楽は分かりやすい。その秘密こそが「歌うたい系」梅津和時の統率力ということであろう。

 まとまっているのに危ういアヴァンギャルドな『LAND DIZZY〜眩暈の国』。管理人のような“電化マイルス”好きにはたまらない1枚であろう。

  01. IZUMOYA
  02. Crawler
  03. UNI
  04. 玄武
  05. 地上の月
  06. IZUMOYA

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2002年発売/EWCD-0053)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/松山晋也)

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ダスコ・ゴイコヴィッチ / スインギン・マケドニア5

SWINGING MACEDONIA-1 読者の皆さんが「自分の1枚」を選べと言われたなら一体何を選ぶのだろう。迷いに迷う選考過程を覗き見すると,きっと頭の中で名盤と言われるタイトルが行き来することだろうし“ジャズ・ジャイアント”と称えられる名前が行き来することと思う。

 …で,あるジャズ・アルバムのコレクターが出した「自分の1枚」の答えがこれ。
 ダスコ・ゴイコヴィッチの『SWINGING MACEDONIA』(以下『スインギン・マケドニア』)である。

 この事実に管理人は度胆を抜かれた。この答えにひれ伏した。確かに『スインギン・マケドニア』は大好きだけど,ダスコ・ゴイコヴィッチも大好きだけど,他の何百枚もの有名盤を押しのけて『スインギン・マケドニア』が指名されたという事実が受け入れ難かった。

 ジャズ批評のセオリーでは絶対に導き出せないマニアック盤=『スインギン・マケドニア』。『スインギン・マケドニア』が選ばれるなど想像したこともなかったのだが,言われてみればアリっちゃアリかも?
 ある素人ジャズ・ファンの出した答えに管理人も大いに勇気をもらったものだし『スインギン・マケドニア』を聴き返す度に合点がいったし納得するようにもなった。

 『スインギン・マケドニア』が大好きになったのは「自分の1枚」に関するエピソードを知ったから。だから,その理由を確認すべく普通のアルバム以上に注意深く聴き込んだのだと思う。そして本当に大好きになった。愛聴盤になった。
 田中さん,一生に1枚の出会いをありがとう。

SWINGING MACEDONIA-2 さぁ,読者の皆さん。この記事で興味が湧いたら次はあなたの番です。ジャズ・ファンなら死ぬまでに1度は聴いて欲しい1枚だと思っています。一部のマニアにしか知られていないとしても,名演,名盤の評価は時代が変わっても一致するものなのです。

 バルカン・マケドニアスイングは1曲として緩みがありません。ダスコ・ゴイコヴィッチの哀愁漂う美しいトランペットを,時に無意識のうちに鼻歌で歌って失敗することがあるんです。

 …ということで『スインギン・マケドニア』の細かな内容については敢えて言及しないことにします。これだけ書けばもう十分でしょ?

  01. MACEDONIA
  02. OLD FISHERMAN'S DAUGHTER
  03. JUMBO UGANDA
  04. THE GYPSY
  05. MACEDONIAN FERTILITY DANCE
  06. BEM-BASHA
  07. SAGA SE KARAME
  08. WEDDING MARCH OF ALEXANDER THE MACEDONIAN
  09. THE NIGHTS OF SKOPJE
  10. BALCAN BLUE

(フィリップス/PHILLIPS 1966年発売/TKCB-71979)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/青木和富,田中博)

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山中 千尋 / モンク・スタディーズ5

MONK STUDIES-1 痛快・爽快・セロニアス・モンクトリビュート! 『MONK STUDIES』(以下『モンク・スタディーズ』)で「変態チック」な山中千尋が帰ってきた!

 『モンク・スタディーズ』のテーマが,あのセロニアス・モンクなのだから,山中千尋の「変態」も想定内なのだったが,ここまで“狂気のエレピ”を弾かれたら山中千尋に「現代のセロニアス・モンク」の称号を与えないわけにはいかないように思う。

 「変態」が「変態」を演奏するのだから,これはもう普通の演奏で終わるわけはないのだけども,山中千尋が真面目に「ザ・セロニアス・モンク」の世界観を掘り下げていく。「前人未到のユニークなアレンジを施しモンクス・ミュージックの核心部」へと迫っていく。

 『モンク・スタディーズ』は,完全に山中千尋の音楽している。しかし,これがどこからどう聴いてもセロニアス・モンクっぽい。ここまで雰囲気としてのセロニアス・モンクを味わえて,かつ,ジャズメンの個性を感じさせるアルバムはなかったのではなかろうか?

 アルバム・タイトルは『モンク・スタディーズ』。セロニアス・モンクから学ぼうなのか? 学んだなのか? 答えはそのどちらでもないように思う。
 【パノニカ】【ミステリオーソ】【イン・ウォークト・バド】【リズマニング】【ルビー,マイ・ディア】【クリス・クロス】【ハッケンサック】を,嬉々として,型にはまらず演奏する姿からは「これぞ,山中千尋の音楽」としての自負,誇りを感じて圧倒されてしまう。

 そう。山中千尋の「変態チック」はセロニアス・モンクという大巨匠をも呑み込んで,完全なる“山中千尋オリジナル”を確立している。
 特にそう感じるのが山中千尋エレピ使い! ローズにしてもシンセにしてもオルガンにしても,この楽曲にはこれしかない!という見事な音色のマッチングである。

MONK STUDIES-2 基本セロニアス・モンクの楽曲はどれも男っぽい。ブツ切れでゴツゴツした後味が残る。だから女性的なエレピは逃げのように思ったのだが,真実はその逆であって,もの凄い攻撃的なエレピ演奏である。
 先に書いた“狂気”を感じるのは,ガンガン叩きつける生ピアノの方ではなくエレピの長押しの方なのである。

 減衰音のピアノでは表現できない持続音のエレピの何とも伸びやかなこと! モンクス・ミュージックエレピの使用で,どこまでもいつまでも広がっていく感覚が最高なのである。
 柔らかいエレピで奏でられる朴訥なメロディーが危険度ゼロで狂っている。真面目な前衛ポップスへとモンクス・ミュージックが昇華している。

 そんな山中千尋の魅力大爆発の『モンク・スタディーズ』であるが,成功の秘訣は新リズム隊の存在にある。
 マーク・ケリーベースディーント二・パークスドラムという,HIPでHOPな非ジャズの倍音ビートが,天然産のモンクス・ミュージックを席巻していく。

 モンクス・ミュージックから,全速力で離れていく瞬間が楽しくてしょうがない! どこまで離れようともマーク・ケリーディーント二・パークス山中千尋の快感のツボを突きまくって「変態体質」のアクネを刺激している。

 そう。『モンク・スタディーズ』の真実とは「変態」の山中千尋が「変態」のリズム隊と「変態」のセロニアス・モンクを演奏する「2017年版・モンクス・ミュージックの音楽実験」なのだと思う。

MONK STUDIES-3 管理人の結論。『モンク・スタディーズ批評

 山中千尋セロニアス・モンクトリビュートが『モンク・スタディーズ』の聴き所ではなく,モンクス・ミュージックをネタとして,既存のセロニアス・モンク像を意のままにブチ壊し続ける歓びこそが『モンク・スタディーズ』の聴き所であろう。

 もっともっとモンクス・ミュージックを触媒とした山中千尋の「かわゆい顔したド変態」の本性を聴かせてほしいと思う。

PS 「MONK STUDIES-3」は販促用のクリアファイルです。

  DISC 1 CD
  01. Heartbreak Hill
  02. Pannonica
  03. Nobody Knows〜Misterioso
  04. New Days, New Ways
  05. In Walked Bud
  06. Rhythm-a-ning
  07. Ruby, My Dear
  08. Criss Cross
  09. Hackensack
  10. Abide With Me

  DISC 2 DVD
  01. Hackensack
  02. Criss Cross
  03. Rhythm-a-ning

(ブルーノート/BLUE NOTE 2017年発売/UCCQ-9303)
★【初回限定盤】 UHQCD+DVD

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アル・ディ・メオラ,ジョン・マクラフリン,パコ・デ・ルシア / フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!5

FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO-1 管理人は趣味でアルトサックスを吹きますが,一番好きな楽器は?と問われればサックスではなく(多分)ギターです。う〜む。超絶ベースだったかもです。この辺りは情緒不安定ですので…。

 それで,何が書きたいのかと問われれば,管理人は音楽にのめり込んだ中学時代から現在まで,ジャズギターギターフュージョンのアルバムで,名盤と称されるものは大抵聴いてきたということです。

 ただし,今夜取り上げる,通称「スーパー・ギター・トリオ」による『FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO』(以下『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』)は,つい最近聴いたばかりなのです。

 ゆえに“若気の至り”で,アル・ディ・メオラジョン・マクラフリンパコ・デ・ルシアによる「超高速・超絶ギター・バトル」を聴きまった思い出はありません。
 3人のスーパー・ギタリストのテクニックの応酬を聴き比べるパワーなど,40代も半ばになった今の管理人にはないことでしょう。もっと若い頃に聴いておけばよかった。

 でも逆に聴くのが遅くなったから,今なら説得力を持つのかもしれません。これまで何百枚も「ギター名盤」を聴いてきた耳を持ってして『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』の衝撃は「前代未聞」!

 『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』レベルの高速バトルは過去に例がなかったと断言できる!
 そして今後,未来永劫『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』に肩を並べるギター・アルバムも出ないように思うのです。

 今や管理人の耳は,音符以上に間の取り方にジャズっぽさを感じてしまいます。その意味でも『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』が図抜けている!
 アル・ディ・メオラジョン・マクラフリンパコ・デ・ルシアのレベルになると“超絶技巧”なる言葉では表現不足。早弾きなど「出来て当然」であって,その上でいかに音楽的なギターの“鳴り”を聴かせるか!

 『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』の聴き始めは,とにかく超高速カッティング&ピッキングに耳が奪われる。そして次第に早弾きと早弾きの間を埋める“メロディアスな”バッキングやフレージングに耳が行く。

 そう。『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』は,アコースティックギター2本だけ,3本だけのジャズギターによる“アンサンブル”集。
 サンフランシスコでのライヴ・ステージに上がった2人か3人は,時に自分が主役でもあり脇役でもあるのだった。

 ズバリ,自分の陣地に相手を引き込もうというスタイルのアル・ディ・メオラ,逆に相手の陣地に入り込むスタイルのジョン・マクラフリン,そして一番の自信家=パコ・デ・ルシアの「ついて来れるものならついて来い」スタイルの違いが『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』の白熱のアンサンブルであるバトルの真相だと思っている。

FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO-2 管理人の結論。『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!批評

 『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』は“売り”である,アクロバティックなギターの“名人芸”が聴き所に違いないがハイライトは「上質のジャズ・ギター」に違いない。

 そう。『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』は,一部のギター・キッズだけが楽しむためのアルバムではない。実に音楽的なジャズ・ギターの“鳴り”に毎回魅了されてしまう。素晴らしい。

  01. TEN TO TWO BLUES
  02. REMEMBER THOSE DAYS ( I REMEMBER O.P. )
  03. OLD FISHERMAN'S DAUGHTER
  04. I LOVE YOU
  05. A CHILD IS BORN
  06. LAST MINUTE BLUES ( BLUES TO LINE )

(ソニー/SONY 1981年発売/SICP 30304)
(☆BLU−SPEC CD2仕様)
(ライナーノーツ/成田正)

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南 博 トリオ / THE GIRL NEXT DOOR4

THE GIRL NEXT DOOR-1 『THE GIRL NEXT DOOR』は,南博ではなく「ベース鈴木正人買い」である。
 ゆえに管理人は『THE GIRL NEXT DOOR』を鈴木正人ピアノ南博ドラム芳垣安洋と組んだピアノ・トリオとして聴いている。

 感想としては鈴木正人はやっぱりいい。鈴木正人に引っ張られたのか南博ピアノもいつになく良い。
 鈴木正人は本来ジャズベーシストではないのだが,ジャズ方面でも引っ張りだこ。そうなる理由は分かる。こんなに正統派のベース・ラインを新鮮な浮遊感覚で弾き込まれたらクラクラ&キラキラする。

 『THE GIRL NEXT DOOR』で鈴木正人が演奏するのは“珠玉の”ジャズスタンダード鈴木正人コンテンポラリー寄りだとしても,当然知っているであろう名曲ばかり。
 でも鈴木正人はそこまで弾き込んではいない。弾きながら「こんな感じ?」と正解を探し当てている感じ? そこがたまらく気持ちいいベーシストなのだ。

 …と,鈴木正人を語ってみたが,管理人以上にメロメロなのが南博であろう。
 鈴木正人ベース・ラインに「ツボを突かれた」南博が,嬉々としてピアノを転がしていく。それこそ何百回も演奏してきたであろうジャズスタンダードのスタイルそのままに,インタープレイを繰り返しながら方向性を固めているように聴こえる。

THE GIRL NEXT DOOR-2 菊池成孔南博を「最も敬愛するジャズピアニスト」と呼んだ理由はこれだったんだ…。
 鈴木正人ベース・ラインの揺れに応じて,南博ピアノも揺れる。バッチリ呼吸が合っている。無理に飛翔しようとせず,駈けずり廻ろうともしない。全く考えていなそうなのに,やっぱり理知的で耽美的なんだよなぁ。

 南博の美意識『THE GIRL NEXT DOOR』に極まりけり!

  01. The Girl Next Door
  02. Bye-Ya
  03. But Not For Me
  04. I Love You Porgy
  05. Nefertiti
  06. Doxy
  07. Blame It On My Youth
  08. Goodbye Pork Pie Hat
  09. Epilogue

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2010年発売/EWCD-0174)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/村井康司)

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チャールス・ミンガス / チェンジズ・トゥー5

CHANGES TWO-1 チャールス・ミンガスが「『CHANGES ONE』(以下『チェンジズ・ワン』)と『CHANGES TWO』(以下『チェンジズ・トゥー』は,僕がこれまでに作ったベスト・アルバムだ」と語ったと聞いたら,にわかミンガス・ファンだとしても,これは聴くしかないでしょう。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』におけるミンガス・ミュージックが最高にロマンティックしている。
 強面のチャールス・ミンガスであるが,中身=チャールス・ミンガスの音楽家魂が「恋愛小説の乙女」している。甘美なメロディーなのに全くエロさがない。綿密で洗練されたドラマティックなラブ・ソングの大名盤の誕生である。

 そう。『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』には,チャールス・ミンガスの理想が素直に音楽で記録されている。ケダモノのようなチャールス・ミンガスが本当に強力で,かつ優雅で美しいと思う。
 真に音楽を聴いて感動する。そんな経験が普段音楽に接することのない人でも経験できる大名盤に違いないのだ。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』の基本はハード・バップである。ただし,単なるハード・バップへの回帰作ではない。チャールス・ミンガスが真正面からジャズを捉えている。これこそがチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」!

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』でのチャールス・ミンガスの「CHANGE」は2つ。
 1つ目の「CHANGE」はミンガス・コンボの再編である。女房役のドラマーダニー・リッチモンドだけを残留させて,新メンバーとして,トランペットジャック・ウォルカステナーサックスジョージ・アダムスピアノドン・ピューレンという若き名手たちを起用している。「ミンガス・スクール」の発掘力は真に凄い。

 2つ目の「CHANGE」はミンガスの作編曲に表われた作風の変化である。敬愛するデューク・エリントンの死,そのデューク・エリントンオーケストラの重鎮だったハリー・カーネイの死を受けて,チャールス・ミンガスの創造性が再び爆発している。
 自分の思いの丈,そして新メンバーの煌めく個性に接して,チャールス・ミンガスの特長である雄大なスケール感が更に増している。
 そして表面に現れるチャールス・ミンガスの1番の変化が「怒りの感情の消失」である。

 例えば『チェンジズ・トゥー』収録の【F監房はアメリカ版ナチ収容所】とは,黒人差別に抗議する反白人のメッセージ・ソングであるが,そんな背景など知らずにメロディーだけを聴いていると,実に軽やかで優しい音楽である。厳しさの裏に愛情を感じる音楽である。チャールス・ミンガスの“懐の深さ”を感じずにはいられない。

CHANGES TWO-2 なぜチャールス・ミンガスは「チェンジ」を宣言したのだろう? 
 それこそが,永遠の師匠=デューク・エリントンの「遺志を継ぐ」「位牌を継ぐ」ことにあると思う。怒りの感情を捨て【敬愛する・エリントン・サウンド】を継続・発展させることに残りの人生を費やす腹づもりだったと思う。
 つまりチャールス・ミンガスは自分の我を捨て去った。これこそが最大の「チェンジ」である。

 バラク・オバマさん。世界平和を作り出すには怒りではなく愛や自己犠牲の精神が必要なのです。そのことをチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」から学んでほしかった。
 管理人にとって「CHANGE」と来れば,オバマ元大統領ではなくチャールス・ミンガスのことなのである。ちゃんちゃん。

  01. FREE CELL BLOCK F, 'TIS NAZI U.S.A.
  02. ORANGE WAS THE COLOR OF HER DRESS, THEN SILK BLUE
  03. BLACK BATS AND POLES
  04. DUKE ELLINGTON'S SOUND OF LOVE
  05. FOR HARRY CARNEY

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1975年発売/WPCR-27144)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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NHORHM / NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL4

NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL-1 古くからジャズという音楽は,クラシック,ポップス,ミュージカル,ロックの有名曲を取り込んで「ジャズ化」してきた。
 その結果,今では原曲以上に有名なジャズスタンダードとして演奏され続ける名曲が多数存在する。それも当然!
 ジャズの魅力はアドリブにある。手癖のつきまくった美メロを,如何に自分流に料理するか? どこまで崩せるか?に命を燃やすのだから…。

 さて,西山瞳が主宰する「NHORHMNEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL)」のモチーフはヘヴィ・メタルである。
 ヘヴィ・メタルの名曲を「ジャズ化」した企画は斬新ではあるが,上記に記した通り,原曲がヘヴィ・メタルかどうかはほとんど関係ない。

 『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』を語る上で重要なのは(ヘヴィ・メタルに限らず)西山瞳自身がカヴァーしたいと熱望する曲をカヴァーしたという事実。この1点に尽きる。

 極論を語れば,仮にカヴァー曲の題材がクラシック集であったとしても,西山瞳のテンションは『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』の雰囲気とそう変わらないのでは?
 それくらいに完璧に「ジャズ化」が完了していると思う。「これぞ,西山瞳の世界」というレベルにまで落とし込まれている。

 管理人の結論。『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL批評
 西山瞳と来れば「北欧ジャズ」とか「ヨーロピアン・ジャズ」のイメージが強いが『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』もどことなく“ヨーロピアンの香り”漂う,完全なるコンテンポラリー・ジャズ・アルバムである。

 その意味で,元ネタなどは関係なしに,いつも通りの西山瞳のアルバムとして受け止めることができる。ゆえに西山瞳の大暴れを期待するファン,あるいはヘヴィ・メタル好きがジャズ方面への第一歩として聴くアルバムとしては不向きだと思う。
( ヘヴィ・メタル好きの皆さんは西山瞳ではなくて上原ひろみを聴いてください! )

 『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』を「ヘヴィ・メタルの「ジャズ化」アルバムとして売り出すのは無理がある。
 緻密でスリリングな展開は原曲の魅力なのでしょう。演奏自体は巷のピアノ・トリオと比較しても激しい部類には入らない「陰影系」だと思うのですが…。

NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL-2 管理人も中坊時代はメタルにハマっておりましたが『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』収録曲は1曲も知らない。
 だから管理人にとっては全曲が新曲。新曲を西山瞳が妙に気合いを入れて演奏している。『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』の聴き所はそこにある。それだけで十分楽しめる。

 ジャズスタンダードピアノで弾いても,ヘヴィ・メタルピアノで弾いても,西山瞳西山瞳
 西山瞳さん,今も昔も心の中はロックン・ロールしてたのですねっ。

  01. In the Dead of Night
  02. Walk
  03. Man on the Silver Mountain
  04. Skin O' My Teeth
  05. Fear of the Dark
  06. Upper Levels
  07. 悪夢の輪舞曲
  08. Demon's Eye
  09. The Halfway to Babylon
  10. Green-Tinted Sixties Mind

(アポロサウンズ/APOLLO SOUNDS 2015年発売/APLS1510)
(ライナーノーツ/西山瞳,KIKO LOUREIRO,マーティ・フリードマン,大村孝佳,鈴木ヤスナリオ)

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チャールス・ミンガス / チェンジズ・ワン5

CHANGES ONE-1 チャールス・ミンガスが「『CHANGES ONE』(以下『チェンジズ・ワン』)と『CHANGES TWO』(以下『チェンジズ・トゥー』は,僕がこれまでに作ったベスト・アルバムだ」と語ったと聞いたら,にわかミンガス・ファンだとしても,これは聴くしかないでしょう。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』におけるミンガス・ミュージックが最高にロマンティックしている。
 強面のチャールス・ミンガスであるが,中身=チャールス・ミンガスの音楽家魂が「恋愛小説の乙女」している。甘美なメロディーなのに全くエロさがない。綿密で洗練されたドラマティックなラブ・ソングの大名盤の誕生である。

 そう。『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』には,チャールス・ミンガスの理想が素直に音楽で記録されている。ケダモノのようなチャールス・ミンガスが本当に強力で,かつ優雅で美しいと思う。
 真に音楽を聴いて感動する。そんな経験が普段音楽に接することのない人でも経験できる大名盤に違いないのだ。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』の基本はハード・バップである。ただし,単なるハード・バップへの回帰作ではない。チャールス・ミンガスが真正面からジャズを捉えている。これこそがチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」!

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』でのチャールス・ミンガスの「CHANGE」は2つ。
 1つ目の「CHANGE」はミンガス・コンボの再編である。女房役のドラマーダニー・リッチモンドだけを残留させて,新メンバーとして,トランペットジャック・ウォルカステナーサックスジョージ・アダムスピアノドン・ピューレンという若き名手たちを起用している。「ミンガス・スクール」の発掘力は真に凄い。

 2つ目の「CHANGE」はミンガスの作編曲に表われた作風の変化である。敬愛するデューク・エリントンの死,そのデューク・エリントンオーケストラの重鎮だったハリー・カーネイの死を受けて,チャールス・ミンガスの創造性が再び爆発している。
 自分の思いの丈,そして新メンバーの煌めく個性に接して,チャールス・ミンガスの特長である雄大なスケール感が更に増している。
 そして表面に現れるチャールス・ミンガスの1番の変化が「怒りの感情の消失」である。

 例えば『チェンジズ・ワン』収録の【アッテカ刑務所事件のロックフェラーを忘れるな】とは,黒人差別に抗議する反白人のメッセージ・ソングであるが,そんな背景など知らずにメロディーだけを聴いていると,実に軽やかで優しい音楽である。厳しさの裏に愛情を感じる音楽である。チャールス・ミンガスの“懐の深さ”を感じずにはいられない。

CHANGES ONE-2 なぜチャールス・ミンガスは「チェンジ」を宣言したのだろう? 
 それこそが,永遠の師匠=デューク・エリントンの「遺志を継ぐ」「位牌を継ぐ」ことにあると思う。怒りの感情を捨て【敬愛する・エリントン・サウンド】を継続・発展させることに残りの人生を費やす腹づもりだったと思う。
 つまりチャールス・ミンガスは自分の我を捨て去った。これこそが最大の「チェンジ」である。

 バラク・オバマさん。世界平和を作り出すには怒りではなく愛や自己犠牲の精神が必要なのです。そのことをチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」から学んでほしかった。
 管理人にとって「CHANGE」と来れば,オバマ元大統領ではなくチャールス・ミンガスのことなのである。ちゃんちゃん。

  01. REMEMBER ROCKEFELLER AT ATTICA
  02. SUE'S CHANGES
  03. DEVIL BLUES
  04. DUKE ELLINGTON'S SOUND OF LOVE

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1975年発売/WPCR-27143)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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KK JAM / KK JAM II4

KK JAM II-1 「KK JAM」の2ndKK JAM 』を聴いて感じるのは,窪田宏キーボードの充実ぶりである。

 「KK JAM」とは,窪田宏メロディー勝田一樹と分け合い,リズムを石川雅春と分け合い,それ以外の音は全て窪田宏キーボードで演奏する“GROOVEトリオ”だということ。

 「KK JAM」の全ての要素に首を突っ込む(手と足を突っ込む)窪田宏が「一切のギミックを排したGROOVYオルガン」を演奏している。エレクトーンの延長線上には,こんなにも凄い音楽が待ち受けていたのだった。凄いぞ,窪田宏〜!

 さて『KK JAM 』を今度は勝田一樹の視点から見つめてみれば「これって,初期“超絶技巧”夜明け前なDIMENSION」の再演では?と思ってしまうのだから面白い。
 『KK JAM』にはなかったメロディアスな【KOOL TIME】【STREAM LINE】なんかは『SECOND DIMENSION』とか『THIRD DIMENSION』辺りの香りがプンプン。← ここに石川雅春の存在価値があると言ったら失礼なのですが…。

 実は勝田一樹のファンとしては「JAFROSAX」と「KK JAM」の位置付けと言うか棲み分けと言うか,2つのプロジェクトが被って聴こえて,明確な違いが分からなかった。
 だから「KK JAM」の立ち上げは,いつものダンス系,クラブ系の病気が発症したとしか思えていなかった。

KK JAM II-1 2ndKK JAM 』を聴いてみて,やっと「JAFROSAX」と「KK JAM」が区別できた思いがする。
 どちらのプロジェクトも共通してクラブ・ジャズを演奏しているに違いはないが「JAFROSAX」とは「JAZZTRONIK」方面の「クラブ・ジャズのポップス化」にあるとすれば(つまりはもっとメジャーに!)「KK JAM」の方は「クラブ・ジャズの文脈におけるセッションの意義」にあるのだと思う(つまりはもっとマイナーに!)。

 『KK JAM 』を聴いてみて「勝田一樹はこうでなくっちゃ!」と一人合点がいった今日この頃である。

  01. Funky D Town
  02. Kool Tune
  03. The Joker
  04. Stream Line
  05. Summertime
  06. Side Slip
  07. Trans Fuse
  08. High Spirits

(ヒヨレコード/HIYO RECORDS 2008年発売/XQBD-1006)
(ライナーノーツ/櫻井隆章)

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CTIオールスターズ / リズムスティック5

RHYTHMSTICK-1 「CTIオールスターズ」の大名盤RHYTHMSTICK』(以下『リズムスティック』)が素晴らしい。
 ここまで完璧な「ブラジリアン・アフロ・キューバン」なのに「アフリカン・ジャズ」って,後にも先にも前例がない。

 唯一『リズムスティック』を聴いていると,自然と頭に浮かぶのがデオダートの『ツァラトゥストラはかく語りき』である。
 両者共にクリード・テイラー印の歴史的名盤なのだからサウンドの傾向は似ているのだろう。しかし,理由はそうでない。
 管理人は『リズムスティック』と『ツァラトゥストラはかく語りき』の2枚だけに,他の名盤のどれとも異なる独特の興奮を覚える。何十回聴いても気分が高揚する。人生の楽しみというか,ワクワク感というか,子供の頃に抱いていた明るい未来を完璧にハーモニーで表現出来ている。

 『リズムスティック』は「CTIオールスターズ」名義(のサウンドトラックらしい)。
 トランペットディジー・ガレスピートランペットアート・ファーマートランペットランディ・ブレッカートランペットジョン・ファディスアルトサックスフィル・ウッズテナーサックスソプラノサックスボブ・バーグパーカッションアイアート・モレイラパーカッションティト・プエンテヴォーカルフローラ・プリムドラムマーヴィン・スミッティ・スミスギターロメロ・ルバンボギタージョン・スコフィールドギターロベン・フォードベースチャーリー・ヘイデンベースアンソニー・ジャクソンシンセサイザージム・ベアード ETC

 『リズムスティック』の最高は,上記クリード・テイラー人脈の超豪華スーパースター軍団の演奏の良さに秘密があるのか? それとも名曲ばかりの選曲の良さに秘密があるのか? いやいや,演奏とメロディーの相乗効果にある!でしょう。

 とにかく曲がいいのだが「CTIオールスターズ」の名手たちが,美メロをこれ以上ないハーモニーで表現しきっている。凄いんだけど聴き馴染みが本当に良い。頭の中でいつまでもリフレインする名曲&名演集の決定版の1枚である。

RHYTHMSTICK-2 きっと『リズムスティック』を脳細胞が受け入れている。『リズムスティック』の美メロが身体全体に沁み込んでいく。そう感じるジャズフュージョンは『リズムスティック』と『ツァラトゥストラはかく語りき』の2枚だけなのです。

 …ということで管理人の薀蓄はおしまいです。『リズムスティック』は,とにかく食べて飲んでみる! 身体が喜ぶ「ブラジリアン・アフロ・キューバン・アフリカン・ジャズ」の最高峰!

  01. CARIBE
  02. FRIDAY NIGHT AT THE CADILLAC CLUB
  03. QUILOMBO
  04. BARBADOS
  05. WAITING FOR ANGELA
  06. NANA
  07. SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE
  08. COLD DE RIO
  09. PALISADES IN BLUES
  10. WANBA

(CTI/CTI 1990年発売/POCJ-2332)
(ライナーノーツ/ジーン・リース)

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KK JAM / KK JAM4

KK JAM-1 「KK JAM」とは,サックス勝田一樹の「」とキーボード窪田宏の「」のダブルの「」にドラム石川雅春をリーダーとする“GROOVEトリオ”。

 石川雅春が目指した「KK JAM」とは,小野塚晃にはない,窪田宏特有の「GROOVEDIMENSION」であろう。
 しかし「KK JAM」の1stCDKK JAM』は,石川雅春勝田一樹DIMENSIONの3分の2が揃っているにも関わらず,イメージとしてはDIMENSIONではないし,勿論,窪田宏TRIX寄りでもない。
 ベースレスのトリオなのに,身体の底からグングンくるビート・イン・ビートは,窪田宏の足鍵でのバッキングとハーモニー!

 どんなに難しいユニゾンをキメまくっていようと『KK JAM』の印象は,窪田宏の作り出す“GROOVEの渦”を下から支える石川雅春+上から混ぜる勝田一樹の“SOLID”すぎる「KK JAM」のジャム・セッション
 それくらいに「KK JAM」=窪田宏の個性=エレクトーンシンセサイザー・サウンドが“光っている”&“際立っている”!

 そう。「KK JAM」とは,基本ジャム・セッション・スタイルでの音と音とのぶつかり合い! これがコアすぎてメロディーを追いかけている時間などほぼ残されていない。
 と言うか『KK JAM』の印象は,ほぼ一本調子。緊張感で張りつめた空気感が伝わってくる。この「場の空気」を変える唯一の武器が窪田宏の必殺・足鍵盤でのベース・ライン。勝田一樹サックスの動きに合わせて,1曲毎に表情を変えるベース・ラインの展開を耳で追うのが最高に楽しい。

 個人的にはラストのバラード・ナンバー【TUNE REQ】で“GROOVEの渦”をクールダウンする3人のミュージシャン・シップが気持ち良い。【TUNE REQ】を聴くために“アゲアゲのムチャブリ”で6曲30分間の間,アクセル全開でぶっ飛ばしてきたような気分なのです。

KK JAM-2 【TUNE REQ】のバラードなのに“GROOVEする”窪田宏の足ベースを聴いてみて欲しい。
 本当に足で弾いてるの?と思わせる,全く狂いなくピタっとハマる“静かなGROOVE”!

 おおっと,石川雅春の重いビートにキレが加わる,大技&小技でフロントを引き締めるドラミングもお聴き逃しなく!
 おおっと,勝田一樹の「ファズで泣き,フラジオで叫ぶ」テナーサックスもお聴き逃しなく!

  01. Duration
  02. Wind It Up
  03. Moment
  04. Obsession
  05. Latch Mode
  06. Groove Jam
  07. Tune Req

(ヒヨレコード/HIYO RECORDS 2006年発売/XQBD-1002)
(ライナーノーツ/櫻井隆章)

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デイヴ・ウェックル・アコースティック・バンド feat. 小曽根真,トム・ケネディ,ゲイリー・ミーク / オブ・ザ・セイム・マインド5

OF THE SAME MIND-1 「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」というバンド名は,かつてデイヴ・ウェックル自身が在籍した「チック・コリアアコースティック・バンド」を想起させる。
 しかし「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」とは,チック・コリアが「エレクトリック・バンド」と「アコースティック・バンド」を音楽性によって使い分けていたような「デイヴ・ウェックル版」の“派生バンド”などではない。

 あのデイヴ・ウェックルが,あの小曽根真が,あのトム・ケネディが,あのゲイリー・ミークが,ガチンコでインプロヴィゼーションの完璧な出来に酔いしれている。
 あのデイヴ・ウェックルが,あの小曽根真が,あのトム・ケネディが,あのゲイリー・ミークが,前のめりなアンサンブルに酔いしれている。

 ズバリ「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」の真実とは,プロのジャズメンが背負っているコマーシャリズム抜きに,自分たちが今本当に演奏したい音楽を純粋に演奏するためのバンドである。超多忙な“売れっ子”4人が結成した「自分たちの楽しみのための」リハーサル・バンドで間違いない。

 しか〜し,このリハーサル・バンドは,仕事以上に真剣勝負。事実,こんなにも本気で,こんなにも聴いて疲れるジャズバンドを聴いたのは久しぶりのことである。
 「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」の「音楽の会話」が周囲に漏れ出してしまっている。『OF THE SAME MIND』(以下『オブ・ザ・セイム・マインド』)に充満している,音の密度,音の鮮度に「完敗」してしまったのだ。

 デイヴ・ウェックルドラム小曽根真ピアノトム・ケネディベースゲイリー・ミークサックスが全て『オブ・ザ・セイム・マインド』の譜面通りに演奏されてはいない。
 小曽根真の仕掛けがバレテ,ニヤツイテいる瞬間や,トム・ケネディの難解な結び目を,デイヴ・ウェックルがまず見つけ,次に小曽根真が紐解いたものの,ついにゲイリー・ミークが最後まで解読できずに終わった瞬間の爆笑ムードたるや,これぞエンターテイメントの極致であろう。

 4人が4人とも,同じ空気を吸い,同じことを考え,新しいアプローチを試みる実験の場としての「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」。
 デイヴ・ウェックルのキメッキメはいつも通りなのではあるが,構成を練り上げた商業作品とは一線を画す,勢い一発で手加減知らずの「ケンカ」ジャズバンドなのに,誰がどう崩しても最終的には合ってしまうのだから・た・ま・ら・な・い!

 ズバリ『オブ・ザ・セイム・マインド』のまとまりの秘訣とは,デイヴ・ウェックルスティック1本の指揮にある。
 華々しいソロの裏側で,こんなにも丁寧に音を重ね,刺激を送り続け,献身的にサポートしている小曽根真は聴いたことがない。超絶技巧で弾き倒すトム・ケネディにしても,ゲイリー・ミークにしても,バンドマンのスタンスで自らの個性を鳴らしていく。

 そう。デイヴ・ウェックルが,小曽根真が,トム・ケネディが,ゲイリー・ミークが「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」のサウンドの一部として機能することを自ら熱望している。
 4人が4人とも,このバンド・サウンドこそが「ガチの自分」という思いなのだろう。

OF THE SAME MIND-2 自分の趣味を追及するために結成したバンドのはずだったのに,演奏を重ねるにつれ,実は自分のやりたい音楽とはデイヴ・ウェックルが志向するジャズだったことに気付いてしまった?
 実は自分のやりたい音楽とは他のメンバーへのサポートだったことに気付いてしまった?

 デイヴ・ウェックルの持つバカテクとユーモアが,小曽根真トム・ケネディゲイリー・ミークを魅了してやまない「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」のバンド・サウンド。

 世界的名手4人による,手加減なしの全力投球,が駆け出しのプロだった頃の瑞々しさに熟練のパワーを兼ね備えた大名盤。こんなにもワクワクするジャズバンドは自分だけのものしておきたい。

 そう。リハーサル・バンド=「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」の結成を決めた瞬間のデイヴ・ウェックル小曽根真トム・ケネディゲイリー・ミークのように…。

  01. What Happened To My Good Shoes
  02. Something's Happening
  03. Songo Mikele
  04. Stay Out
  05. Koolz
  06. Stella On The Stairs
  07. Pacific Grove Fog
  08. Agua De La Musica
  09. All Blues
  10. Nothing Personal

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2015年発売/UCCU-1493)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1987年度(第21回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1987年度(第21回)の発表です。

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STANDARD★【金賞】.スタンダード・タイム VOL.1
ウイントン・マルサリス


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Civilization★【銀賞】.シビリゼーション
トニー・ウイリアムス


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バド・アンド・バード★【銅賞】.バド・アンド・バード
ギル・エバンス&ザ・マンデイ・ナイト・オーケストラ


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ダイアン・シューア&ザ・カウント・ベイシー・オーケストラ★【ボーカル賞】.ダイアン・シューア&カウント・ベイシー・オーケストラ
ダイアン・シューア

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スクロール★【日本ジャズ賞】.スクロール
加古隆


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The Complete Vol.2★【編集企画賞】.ザ・コンプリート・ダイナ・ワシントン・オン・マーキュリー VOL.1(1946〜49)VOL.2(1950〜52)ダイナ・ワシントン

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ジョージ川口プレイズ・ハービー・ハンコック★【制作企画賞】.ジョージ川口プレイズ・ハービー・ハンコック
ジョージ川口

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Magical Trio 1★【録音賞】.マジカル・トリオ1
 ジェームズ・ウイリアムス〜レイ・ブラウン〜アート・ブレイキー

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 ウイントン・マルサリスの『STANDARD TIME,VOL.1』が【金賞】受賞。。

 『STANDARD TIME,VOL.1』は「新伝承派」のウイントン・マルサリス“らしい”スタンダード集で,演奏の質が素晴らしい。

 そうして「現在進行形のジャズの伝統」を演奏している点が何にも増して素晴らしい。1987年という時代の空気感を身にまとった,真新しいスタンダード集として聴けてしまう。
 ただし前面に出ているのは,偉大なスタンダード・タイムに対する「新伝承派」としてのリスペクトなのである。

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ジャンゴ・ラインハルト / ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション5

DJANGOLOGY-1 管理人にとってジャンゴ・ラインハルトと来れば,ジャンゴ・ラインハルト本人ではなく,モダン・ジャズ・カルテットMJQ)の【DJANGO】である。

 MJQの【DJANGO】がとにかく好きで【DJANGO】を演奏しているアルバムがあると片っ端から買い漁った時期がある。
 だから管理人はジャンゴ・ラインハルト本人を聴く前に擦り込まれた【DJANGO】に対するイメージで,実は全く無関係なジャンゴ・ラインハルトのイメージを形作っていた。
 【DJANGO】は買い集めるも,ジャンゴ・ラインハルト本人は聴いていない。このいびつな状態が10年間は続いていたように思う。

 なぜジャンゴ・ラインハルト本人の演奏は聴かなかったのか? それはジャズ好き=オーディオ好き!
 演奏内容に興味はあるが,あの古臭い音質で聴く気にはなれない。以前にチャーリー・パーカーの全曲集を買ったのだが,あれがトラウマになった。チャーリー・パーカーは,チャーリー・パーカー本人でなくても「パーカー派」を聴いていればよい,と思っていたものである。← 深く反省。

 だから『DJANGOLOGY』(以下『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』)の購入理由はリマスタリング!
 聴いてみた感想は,それなり,であったが,それほどまでに聞き難くはない。聴き続けるうちに耳が慣れて気にならなくなるレベル。「OK GOOGLE」からの「HEY SIRI」。

 『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』における「古き良き時代の音造り」に「うっとり」! とても心地良くゆったりと和んでしまう。最新マスタリングを施そうとも,この手の音が流れ出すとモノクロのヨーロッパ映画の世界に連れて行かれてしまう。雰囲気あるよなぁ。
 しかもそれだけではなくスリリング! ジャンゴ・ラインハルトが演奏するシャンソン・ナンバー,クラシック・ナンバーがジャズしている!

 ジャンゴ・ラインハルトの奏でるギターのアプローチは,同時代のジャズ・ギタリストたち,例えばジム・ホールケニー・バレルジョー・パスウェス・モンゴメリー等と比較すると,バンジョー仕込みの演奏スタイルが異質に響く。
 元来,ジャンゴ・ラインハルトはジプシーなのだから,ジャズギターに“おフランス的な哀愁が漂っている”のも当然であろ。

 でもでも,ジャンゴ・ラインハルトジャズギターに付随するエスプリ,渋さ,歌心などは「ツボ中のツボ」!
 『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』はクインテット編成での録音であるが,ステファン・グラッペリとのヴァイオリンデュオで聴かれる「アドリブの応酬」が「ジャズの王道中の王道」!

 成功の秘密はジャンゴ・ラインハルトステファン・グラッペリを,ステファン・グラッペリジャンゴ・ラインハルトを,それぞれ生かすためにフロントで演奏していてもバッキングに回っても“相手を活かし自分も活かす”表情豊かな模範演奏にあると思う。
 ステファン・グラッペリジャズヴァイオリンもまた『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』の聴き所の1つであろう。素晴らしい。

DJANGOLOGY-2 最良のパートナーを得て,創造性豊かなアドリブを演奏する“小粋さ”にグイグイ引き込まれてしまう。アーリー・ジャズだからと言って放置したのは間違いだった。
 と言うよりも,この演奏スタイルには古い録音の方が合っている,となんだか訳の分からない信念を抱くようになったオーディオ・マニアとしては「失格選手」な管理人…。

 最後に,管理人のような「ジャズは高音質で楽しないと!」主義の読者の皆さんへ。
 『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』だけはポリシーから積極的に除外すべき1枚です。是非,騙されたと思って聴いてみてくださいねっ。すぐに音質のことは忘れて演奏に耳が向いてしまうこと間違いなし。本当に音も悪くないから。

  01. I Saw Stars
  02. After You've Gone
  03. Heavy Artillery (Artillerie Lourde)
  04. Beyond The Sea (La Mer)
  05. Minor Swing
  06. Menilmontant
  07. Brick Top
  08. Swing Guitars
  09. All The Things You Are
  10. Daphne
  11. (It's Only A) Paper Moon
  12. Improvisation on Tchaikovsky'S "Pathetique" (Andante)
  13. The World Is Waiting For the Sunrise
  14. Djangology
  15. Ou es-tu, mon amour? (Where Are You, My Love?)
  16. Marie
  17. I Surrender, Dear
  18. Hallelujah
  19. Swing 42
  20. I'll Never Be The Same
  21. Honeysuckle Rose
  22. Lover Man (Oh, Where Can You Be?)
  23. I Got Rhythm

(BMG/BLUEBIRD 1949年発売/BVCJ-37330)
(ライナーノーツ/フランク・ヴィニョーラ,ドン・ゴールド)

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国府 弘子 / ピアノ一丁!4

ピアノ一丁!-1 国府弘子の次の新作を早く聴いてみたい。
 これが8年間,楽しみに待ち続けた『ピアノ一丁!』を聴き終わったばかりの管理人の感想である。

 フォローでも何でもなく『ピアノ一丁!』はいいアルバムだと思う。国府弘子ソロ・ピアノの一音一音が上品で美しい。真に芳醇なピアノである。アルバム単体として評価できるのなら,文句なしの「名演集」であろう。
 しかし『ピアノ一丁!』は国府弘子名義のアルバムである。国府弘子名盤群の中に入れてみると,どうにも異質である。管理人の愛する“弘子さま”が感じられないのだ。

 ズバリ,自分の感情を素直に告白すると『ピアノ一丁!』で,国府弘子が随分遠くへ行ってしまったように感じてしまった。何だかサバサバした感じの歌い方であって,メロディーが少し憂いを帯びている。
 元来,国府弘子は,ジャズ・ピアニストでも,フュージョンピアニストでもなかったのだが『ピアノ一丁!』では,意識的にヒーリング系を演じているように思う。

 そう。『ピアノ一丁!』のテーマは“癒し”であろう。国府弘子自身が乳がんとの闘病生活を送っている間に,近しい調律師の小沼則仁さん,敬愛する松岡直也さん,大好きな寅さんの訃報も聞いて過ごした( ← この3人については『ピアノ一丁!』で楽曲を選び各人へのレクイエムとして演奏している )。
 3部からなる組曲「ピアノテラピー」は,そのものズバリの,不調期の自分を癒すための作品だそうだ。

 だから『ピアノ一丁!』からは,国府弘子の憂いや悲しみ,そして慈愛が聴こえてくるようで,じっくりと聴いていられなくなる。一番聴きたかった【サクセス・ムーン・ダンス】でさえ,慰められているような気がして物悲しくなってしまう。
 いつもの元気調子なのは【ピアノ一丁!のテーマ】だけだったなぁ。

ピアノ一丁!-2 そう言えばキース・ジャレットにも同じようなアルバムがあった。慢性疲労症候群からの回復途上に録音された『THE MELODY AT NIGHT,WITH YOU』も,個人的には過大評価だと思っている。
 あれって本当にキース・ジャレットの最高を知っているなら評価できない“最右翼の迷盤”であろう。

 真にキース・ジャレットの実力を知り(自称)真に国府弘子の実力を知る者(自称)としては『ピアノ一丁!』を評価はできない。
 元気でそれでいてオセンチな“弘子さま”が戻ってきた時,盛大に国府弘子の快気祝いをしたいと思っている。

  01. Theme from Piano Iccho!
  02. You Tune My Heart
  03. So In Love
  04. Somewhere
  05. I. Time On My Own (SUITE "PIANO THERAPY")
  06. II. The Forest In My Dreams (SUITE "PIANO THERAPY")
  07. III. Meditation (SUITE "PIANO THERAPY")
  08. Success Moon Dance
  09. Goldern Slumbers
  10. Rhapsody In Blue
  11. Blood Circulation
  12. Starland
  13. Happy
  14. Cosmos Avenue
  15. Otoko Wa Tsuraiyo

(ビクター/JVC 2015年発売/VICJ-61708)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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デューク・ピアソン / イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー5

IT COULD ONLY HAPPEN WITH YOU-1 『HOW INSENSITIVE』のB面から『IT COULD ONLY HAPPEN WITH YOU』(以下『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』)へと続くブラジリアン・フュージョンの大名演…。

 アイアート・モレイラフローラ・プリムを起用したブラジリアン・フレイバーは,出来上がりこそ異なれど,チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」と同じ方向性を見据えていたように思う。

 デューク・ピアソンピアノではなくエレピを中心に据えている。デューク・ピアソンエレピコンビを組むのがエルミート・パスコアールフルートである。
 フローラ・プリムヴォーカルが不安定で「ギャル」しているところも『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』特有の“味”である。

 『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』の録音年は1970年。あの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』より2年も前のことである。
 『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』の発売年は1974年。あの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』より先にリリースされてさえいれば…。

 デューク・ピアソンは,今では「知る人ぞ知る」存在である。だからマニアックなジャズ・ファンとしては「自分だけの」デューク・ピアソンみたいな感じがして熱狂度が上がるのだと思う。
 だから『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』の4年間の「遅れ」が惜しまれる。デューク・ピアソンの「地位向上」という意味合いが強いのだが『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』の4年間の「遅れ」は,ジャズフュージョン界にとっても損失であった。

 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』とか『ウェザー・リポート』が,すぐに爆発的なヒット作と成り得たのは,チック・コリアジョー・ザビヌルウェイン・ショーターが「マイルス・スクール」の卒業生だったからだろう。
 その意味で,マイルス絡みではないデューク・ピアソンブラジリアン・フュージョンが「天下」を取ろうものなら,ジャズフュージョン界の動向は,チック・コリアに“先んじた”デューク・ピアソンに大いに影響されていたことであろう。
 ドナルド・バードマイルス・デイビスを押さえて“新・帝王”として君臨していたのかも?

IT COULD ONLY HAPPEN WITH YOU-2 管理人の結論。『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー批評。 

 “SOFTLY”な【IT COULD ONLY HAPPEN WITH YOU】〜【STORMY】〜【EMILY】の3連チャンのジャズヴォッサが艶やかすぎて『リターン・トゥ・フォーエヴァー』の衝撃クラスの快感である。

 単純に気分が良くなるという楽曲ではない。ジャズにブラジルのエッセンス,ジャズボサノヴァのエッセンスというものではなく,ジャズの本質とフュージョンの本質が絶妙に入り混じった,全く新しい音楽の誕生なのである。

  01. GIRA. GIROU (ROUND AND ROUND)
  02. HERMETO
  03. LOST IN THE STARS
  04. IT COULD ONLY HAPPEN WITH YOU
  05. STORMY
  06. EMILY
  07. BOOK'S BOSSA

(ブルーノート/BLUE NOTE 1974年発売/TOCJ-50526)
(ライナーノーツ/高井信成)

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国府 弘子 / オラ!5

HOLA!-1 「非主流のジャズ・ピアニスト国府弘子ピアノ・トリオ第二作『HOLA!』(以下『オラ!』)は,10年以上の“レギュラー”ピアノ・トリオを組む,ベース八尋洋一ドラム岩瀬立飛との「国府弘子・スペシャル・トリオ」での初レコーディング。

 ライヴで鍛え上げられた,国府弘子八尋洋一岩瀬立飛との「鉄壁のコンビネーション」は,あのクリスチャン・マクブライドミノ・シネル組のピアノ・トリオを凌駕している。

 「スペイン」をテーマとした『オラ!』の楽曲は,情熱的なのに緩急自在のアレンジが施されており,緻密で細やかな展開で盛り上がり続ける。国府弘子ジャズ・ピアノでここまで大立ち回りできたのは,国府弘子のリクエストを一音だけで察知できるベーシストドラマーがいればこそ! 「書き譜のようなカチッとしたアドリブを武器に」実に気持ち良く暴れ回っている。

 国府弘子ドラムを叩き,八尋洋一ピアノを弾き,岩瀬立飛ベースを弾いているような“以心伝心”のピアノ・トリオが,3人で“国府ワールド”を奏でている。
 国府弘子さん,こんな「秘蔵」世界レベルのピアノ・トリオを有していたのでしたら,もっと早く聴かせてくれてもよかったのにぃ。最高です。本当に涙ちょちょ切れてしまいました。心震える〜。

 国府弘子の長年の大ファンである管理人が『オラ!』で見つけた「国府弘子の新発見」は,これまでずっとメロディー偏重主義を貫いてきた国府弘子が,初めてリズム重視でアレンジしてみせたアルバムだと思っている。スパニッシュラテンに4ビートに8ビートにクラシック調…。

 これぞ「スペイン」効果! 4ビートの【SPAIN】が映える映える〜! 国府弘子が叩いているかのような岩瀬立飛の超絶ドラミングばかりを耳で追ってしまう。絶品の【THE BALLAD】が白眉である。

 やっぱりリズムが“クリエイトする”ジャズっていいよなぁ。その上を奏でる美メロっていいよなぁ。腰を動かしていると笑顔になれるジャズっていいよなぁ。

HOLA!-2 世界TOPのリズム隊と組んだ『ニューヨーク・アンカヴァード』の肝がミノ・シネルであるとすれば,国内TOPのリズム隊と組んだ『オラ!』の肝は岩瀬立飛のようで,そうではない。
 気後れしていた『ニューヨーク・アンカヴァード』から,威風堂々と貫録を感じる『オラ!』の肝は国府弘子ジャズ・ピアノである。

 「オラ!オラ!,どけどけ。弘子様が通る〜」。
 国府弘子の揺るぎない自信が音となって迫ってくる。爽やかな風が吹いているのだが,微塵も動じない,国府弘子の貫禄と風格を感じずにはいられない。

 管理人は国府弘子の“裏名盤”として『オラ!』を推薦いたします。

  01. Hola!
  02. Mi Tesoro
  03. Catedral
  04. Soiree Dans Grenade
  05. Danza Ritual Del Fuego
  06. Gypsy Baroque
  07. Coccala
  08. Wings
  09. Spain
  10. The Ballad
  11. Mis Amigos

(ビクター/JVC 2007年発売/VICJ-61528)

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デューク・ピアソン / ハウ・インセンシティヴ5

HOW INSENSITIVE-1 デューク・ピアソン自身が参加し,作り上げたドナルド・バードの超名盤ア・ニュー・パースペクティヴ』から5年。
 『HOW INSENSITIVE』(以下『ハウ・インセンシティヴ』)はデューク・ピアソンが考える『ア・ニュー・パースペクティヴ』のUPDATE作である。

 「VOICES & JAZZ」で“ゴスペルを聴かせるためのエッセンス”としてのジャズが『ア・ニュー・パースペクティヴ』ならば「VOICES & JAZZ」で“ブラジルを聴かせるためのエッセンス”としてのジャズが『ハウ・インセンシティヴ』なのである。

 ブルーノートの看板を背負い,もはや押しも押されぬ大物となったデューク・ピアソンの視線は,この時期,ジャズの枠を広げることに向けられていた。
 そうして見つけた(魅せられた)ブラジリアン・フレイバーで『ア・ニュー・パースペクティヴ』をUPDATEしてみせた。

 ズバリ『ハウ・インセンシティヴ』を聴いて感じるのが,デューク・ピアソンの,そしてジャズという音楽の“奥深さ”である。
 『ア・ニュー・パースペクティヴ』の「完全盤」となる『ハウ・インセンシティヴ』での試みは,楽器でコーラスする,そして楽器でエスコートするというものである。

 『ハウ・インセンシティヴ』の肝はジャズスタンダードの【STELLA BY STARLIGHT】である。
 この超スタンダードデューク・ピアソンは『ア・ニュー・パースペクティヴ』の“売り”であった「ゴスペル・コーラス」で“スピリチュアル”してみせる。優雅さと軽やかさを感じる洒落た「17名のコーラスの波」が絶妙である。

 そう。『ハウ・インセンシティヴ』の聴き所は,デューク・ピアソンの「静物画」である。ほんのりと温かい「静物画」である。【STELLA BY STARLIGHT】がジャズ史上最高に涼しい。清々しい。

HOW INSENSITIVE-2 ただし,世評では『ハウ・インセンシティヴ』と来れば「クラブ・ジャズ」であって【STELLA BY STARLIGHT】以上に【SANDALIA DELA】【LAMENT】の人気が高い。
 特に島田奈央子さんに代表される【SANDALIA DELA】の「女子受け」は抜群のように思う。

 そう。『ハウ・インセンシティヴ』こそが,ジャズの将来を見据えたデューク・ピアソンの「先見の明」。
 デューク・ピアソン自身もアコースティックピアノに加えエレクトリックピアノフリューゲルホーンまでプレイしてみせている。

 ジャズを根っ子に持ちつつ,ジャズに固執せず,新しい音楽やリズムを取り入れ,ジャズに新たな息吹を吹き込み続けたのがデューク・ピアソン“その人”である。
 感度の高いDJたちに最高評価されたジャズメンはデューク・ピアソン以外に存在しない!

  01. STELLA BY STARLIGHT
  02. CLARA
  03. GIVE ME YOUR LOVE
  04. CRISTO REDENTOR
  05. LITTLE SONG
  06. HOW INSENSITIVE
  07. SANDALIA DELA
  08. MY LOVE WAITS (O MEU AMOR ESPERA)
  09. TEARS (RAZAO DE VIVA)
  10. LAMENTO

(ブルーノート/BLUE NOTE 1969年発売/UCCQ-9135)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,佐藤英輔)

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国府 弘子 / ニューヨーク・アンカヴァード4

NEW YORK UNCOVERED-1 国府弘子の立ち位置は,ジャズ・ピアニストでもなくフュージョンピアニストでもない。もっと言えばポップス系のピアニストと呼んでも悪くはない。
 そんな国府弘子の多面性の中心である“ジャズ・ピアニスト”と言う柱を理解するのに『NEW YORK UNCOVERED』(以下『ニューヨーク・アンカヴァード』)を指針として,他のアルバムに接する時,唯一無二の“国府ワールド”を心の底から楽しめるように思う。

 『ニューヨーク・アンカヴァード』は,それだけコアな部分の国府弘子の音楽性が聴けると思う。
 ジャズ・スタンダードを中心としたオーソドックスなピアノ・トリオの「王道」である。派手さや色味の少ないアプローチである。

 国府弘子ピアノ・トリオジャズ・スタンダードというテーマに「じっくりと正面から向き合っている」。
 共演したのは“百戦錬磨な”リズム隊,ベースクリスチャン・マクブライドドラムパーカッションミノ・シネルである。

 世界最高峰のリズム隊を得て,これまでの国府弘子だったら我武者羅に“ガッついた”のであろうが“世界の国府”は“ガッつかない”。
 『ニューヨーク・アンカヴァード』は,基本的に抑え目のジャズ・ピアノであって,敢えて余韻を残すようなジャズ・ピアノを弾いている。
 ただし『ニューヨーク・アンカヴァード』の演奏レベルは高いが内容は面白みがなく星4つ。国府弘子“らしくない”真面目で静かな演奏であるが,これって,録音エンジニアとの打ち合わせなのか?

 管理人は今回の『ニューヨーク・アンカヴァード』をCD盤ではなくXRCD盤で購入した。理由はスチューダーのテープ・レコーダーを使った「ライヴ・トゥ・2トラック」のアナログ録音という触れ込みに目が留まったからだった。
 個人的には(経験がそう多くないので説得力はありませんが)XRCDこそが「世界最高の音源」だと思っている。XRCDSACDは追いつけていないとまで思っている。

 そう。国府弘子が『ニューヨーク・アンカヴァード』で挑戦したのは,ピアノ・トリオジャズ・スタンダードの2大要素に加え,第3にして“本丸の”超高音質録音への挑戦でもあったのだった。

NEW YORK UNCOVERED-2 素晴らしい音質である。国府弘子ピアノの響きが最高である。
 ヤマハのピアノの広告塔としては,チック・コリア小曽根真上原ひろみなどが有名であるが国府弘子の美音も広告塔に割って入るべきであろう。国府弘子ピアニストとして素晴らしいテクニックを有している。

 そしてミノ・シネルの“生きている”パーカッションには度肝を抜かれる。XRCD盤『ニューヨーク・アンカヴァード』に,オーディオの楽しさを思い起こしてもらった気がする。

 さて,クリスチャン・マクブライドミノ・シネルとの共演だけでもビビルのに,海外での超高音質録音という「シビレル」環境でのレコーディングだと言うのに,やっぱり国府弘子はエレガントで聴きやすい。これが天性の“弘子節”の真骨頂なのだろう。

 『ニューヨーク・アンカヴァード』で,国府弘子は「非主流のジャズ・ピアノ」を弾いている。唯一無二の“国府ワールド”とは「非主流のジャズ・ピアノ」のことなのである。

  01. BESAME MUCHO
  02. STELLA BY STARLIGHT
  03. KEY LARGO
  04. TICO TICO
  05. MALAIKA (P.D.)〜SAFARI
  06. ANTONIO'S SONG
  07. JU-GE-MU
  08. THREE VIEWS OF A SECRET
  09. MIAGETE GORAN YORU NO HOSHI WO
  10. ONLY TRUST YOUR HEART

(ビクター/JVC 2004年発売/VICJ-61241)
(☆XRCD仕様)
(ライナーノーツ/児山紀芳,山下洋輔)

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デューク・ピアソン / ナウ・ヒア・ジス5

NOW HERE THIS-1  デューク・ピアソンソロ名義になっているが『NOW HERE THIS』(以下『ナウ・ヒア・ジス』)は「デューク・ピアソンビッグ・バンド」の第二弾である。

 前作『INTRODUCING DUKE PEARSON’S BIG BAND』からは「あれもこれもという印象」を受けたが『ナウ・ヒア・ジス』のトータル・サウンドはまとまっている。

 抜きん出た奇抜さなどは感じないが,いわゆる伝統的なビッグ・バンドとは一味違うモーダルな仕上りである。維持費のかかるビッグ・バンドをここまでチューンアップしてくるとは,デューク・ピアソンの本気度を感じないわけにはいかない。

 真にデューク・ピアソンが「本当にやりたいことをやりきったフォーマット」とは「デューク・ピアソンビッグ・バンド」ではなかろうか?
 作曲もそうなのだが,特に編曲の魅力に“憑りつかれた”デューク・ピアソンが“自腹を切ってまで”大盤振る舞いした『ナウ・ヒア・ジス』の“鳴りっぷり”が最高に素晴らしい。

 『ナウ・ヒア・ジス』のメンバーは,トランペットジム・ボッシーランディ・ブレッカーバート・コリンズジョー・シェプリーマービン・スタムトロンボーンガーネット・ブラウンジミー・クリーブランドベニー・パウエルケニー・ラップサックスジェリー・ドジオンアル・ギボンズフランク・フォスタールー・タバキンペッパー・アダムスに,ピアノデューク・ピアソンベースボブ・クランショードラムミッキー・ローカーの17名編成。

 こんな凄腕ジャズメンばかりを起用するとは「デューク・ピアソンビッグ・バンド」は,ブルーノートのプロデューサーとしての立場を私的に利用した,デューク・ピアソンの「職権濫用」の結晶であろう。

 こんなにも重量級の面々なのに軽やかなサウンドが“飛び出してくる”秘訣こそが,ブルーノートのプロデューサーとして数多くのレコーディングに立ち会いながら「こうでもない。ああでもない」と常に自らのビッグ・バンドの構想を練っていたデューク・ピアソンの“粘り勝ち”にあると思う。

NOW HERE THIS-2 惜しむべきは『ナウ・ヒア・ジス』の次が出なかったこと。もう1作出ていたなら,デューク・ピアソンピアノ・トリオではなく,デューク・ピアソンビッグ・バンドになっていた。そう本気で思っている今日この頃の管理人…。

 管理人の結論。『ナウ・ヒア・ジス批評

 デューク・ピアソンが,メンバーを吟味し,アレンジを吟味し,自らの夢を追い続けた「デューク・ピアソンビッグ・バンド」とは「デューク・ピアソンの,デューク・ピアソンによる,デューク・ピアソンのためのビッグ・バンド」。
 『ナウ・ヒア・ジス』は相当いいですよっ!

  01. DISAPPROACHMENT
  02. I'M TIRED CRYIN' OVER YOU
  03. TONES FOR JOAN'S BONES
  04. AMANDA
  05. DAD DIGS MOM (AND MOM DIGS DAD)
  06. MINOR LEAGUE
  07. HERE'S THAT RAINY DAY
  08. MAKE IT GOOD
  09. THE DAYS OF WINE AND ROSES

(ブルーノート/BLUE NOTE 1969年発売/TYCJ-81064)
(ライナーノーツ/マイケル・カスクーナ,岡崎正通)

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20170507 DIMENSION LIVE NO.2

 「LIVE DIMENSIONAL−2017 〜BEST OF BEST TOUR〜」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 管理人のDIMENSIONLIVEの楽しみは「演奏5:MC5」。
 演奏中に誰かのフレージングに呼応したソロのモチーフが連動していくように,トーク・コーナーで誰かが発した一言から膨らんでいくエピソードが重ねられるMCは真にコント職人を超えていると思っているし,真面目にオフレコ満載の裏話などは聴いてためになるものだ。

 今回のMCで言えばカツオオーディオ・マニア論。デジタルは帯域が限られているがアナログは無限大ですから! ラッカー盤のレアモノのLPですからブルーノートだと10万円! ETC

 そう。勝田一樹が“DIMENSIONの声”と呼ばれるのはサックスの意味ではない。勝田一樹のMCこそが“DIMENSIONの声”と呼ばれる所以なのだと思っている。

 「LIVE DIMENSIONAL−2017 〜BEST OF BEST TOUR〜」が外した最大の原因は,カツオがほとんどマイクを握らなかったから。
 久しぶりに小野塚さんがメインMCを務めたので「ソツのない」ステージの進行役が素晴らしいかった。クスクス系の大笑いもあった。でもいつもの腹を抱えての大爆笑はなかったかなぁ。管理人はマイクを握ろうとしないカツオの元気のなさが心配になったものでした。

 事実,打数は少ないにしてもカツオが絡んだ時間帯はホームラン。なになにぃ。マスヤンに「今年ブレイクしたいんですよ。本当にブレイクさせてくれ〜」の真意を尋ねて「数字が欲しい」→「地位が欲しい」の言葉を引き出したカツオのテク! ← 地元ではなく都内に家を買った増崎孝司。地元だと言うことが生々しい〜。

 【JAZZ CIGARETTE】を弾きながら「ショッピング・ディメンション」の昨年の名残BGMを探し当てた“天才”小野塚晃は「DIMENSIONの宣伝部長」がピッタリかなぁ。
 つまりDIMENSIONのメインMCは,外向けには「ほぼ身体は焼酎で出来ている」小野塚晃で,内向けには「客席に媚びを売っている」勝田一樹で決まりである。増崎孝司はいつでも両雄の相方役がピッタリである。小野塚晃が相手ならボケる増崎孝司勝田一樹が相手ならツッコミの増崎孝司

 うん。管理人的には「東京03」か「ディメンション」か,って感じ。増崎孝司は吉本NSCではなく「早引きクリニック」を設立したい? 「ニュー・ディメンション」か「ディメンション・ジェネレーションズ」か「ディメンション四代目」か「ディメンション48」と対バンしたいそうです。

 「BEST OF BEST TOUR」での「ショッピング・ディメンション(活動の糧/フルオケ・バージョン)」の備忘録。
T−シャツの色は白と黒2種類。清い心の人は白。腹黒い方は黒。エルメス製です。中洲の繰り出すとNO.1の女の子が付いてくれる。
・25周年記念の「缶バッヂ」も白と黒の2種類。1つだけ空いている場所にこの秋発売される『30』の「缶バッヂ」のスペース。「缶バッヂ」をコンプリートした方から抽選で数名の方に「則竹さんのハグが付く〜」。 ← いつしか【TRUTH】のジングルがエンディング〜。

 次回秋口の「LIVE DIMENSIONAL−2017 〜30〜」のサブタイトルは「DIMENSION30』をGETして『則竹さんとハグをしよう』キャンペーン・ツアー」が大決定! 福岡公演は2Daysの予定です。初日を見たお客さんとは「いろは」でパーティー付きだそうですよっ。

PS 昨夜ブログをUPして20分後にTKY子さんからメールが届きました。内容は何で【RISE】の大事件を書かないのよ的なクレーム?でした。どう書いても自慢にしかならないし,サラッとねっ。【RISE】での客席乱入で,勝田さん,管理人の前で左歩行へ歩くのを止め,立ち止まって4小節?も(管理人のためだけに!)吹き上げてくれたのです。管理人に演奏中のアサガオをバッチリ覗かせてくださいました。「おお。おお。おお」と声が漏れてしまいました。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20170507 DIMENSION LIVE NO.1

 行ってきました! 5/7「Gate’s7」の「LIVE DIMENSIONAL−2017 〜BEST OF BEST TOUR〜」!

 DIMENSION25周年のベスト盤『BEST OF BEST 25TH ANNIVERSARY』のフォロー・ツアーなのだから,これは凄いセットリストになる! これは凄い演奏になる! 円熟+超絶技巧=もう2度と見れない「超絶技巧・アイドル・フュージョン」復活祭!

 こんなビッグ・ニュースが舞い込んできたのですから,妻との約束=GW当初の鹿児島&霧島ツアーをキャンセルしてまで,なにわともあれ馳せ参じましたよ。DIMENSIONをGWに福岡で見れるなんて何と幸せ者なのだろう。

 でもね。でもね。でもね。今回の「LIVE DIMENSIONAL−2017 〜BEST OF BEST TOUR〜」が外した。
 「帰ってきたばい。毎回毎回ここに帰ってくると,ここのLIVEだけはDIMENSIONLIVEの中でもかなり特別なものになるんですよ。今日は僕の中でもフツフツと来るものがあるんで」「時間制限のないフル・ショウ。今日のためにとっておいたんですけどね。お客さんの盛り上がりによって変わっていくわけですよ。楽しい時間は長く共有したいじゃないですか。今日のLIVE,どうにでも変化できるんで。云々」マスヤンが福岡公演に対するハードルを上げていたので,結果,不発に終わったと思う。

 …というかラストは明らかにテンションだだ下がり〜。アンコール,何でみんな立ち上がらなかったんだろう。マスヤンが3回もスタンディングを要求したと言うのに…。

 最前列にいたのだから自分一人ででも立てば良かった。「あぁっ」ていう増崎孝司小野塚晃勝田一樹の表情など見たくなかった。マスヤンなんてモロ「ヤッテモウタ,ヤラカシタ」って感じでいたたまれない?
 過去にスクェアでも,全く同じことがあったわけでして。気にしない&気にしない。前向きに書くぞ〜!

 2017年GWの入場順は7番。会場で偶然ご一緒したNさんと(特に好きで選んでいるわけではないのですが,またしても!)左側スミ1とスミ2のテーブル席から,カツオマスヤンの絡みをメインに小野塚さんのキーボードをチラ見した際の絶景がたまりません。デジャヴ!

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 増崎 孝司 : Guitar
 ★ 小野塚 晃 : Keyboard
 ★ 勝田 一樹 : Alto Saxophone
 ☆ 二家本 亮介 : Bass
 ☆ 則竹 裕之 : Drums

 『BEST OF BEST 25TH ANNIVERSARY』は買わなかった。だってディメの既発表曲は全部コンプリートしているのだから。
 でも,何だか買わないといけないなぁ。「これがDIMENSIONとしてのベストだ」とブラッシュアップされていることが小野塚晃増崎孝司の説明でよ〜く理解できた。
 “いつもそばに置いておいてほしい”『BEST OF BEST 25TH ANNIVERSARY』は“外タレ”ディメンションの「半分新作」なベスト盤であった。
 新しいミックス。リマスタリング。増崎孝司については今まで使っていなかったギターのテイクを使用しているそうな。ヒョエー。

 そんな『BEST OF BEST 25TH ANNIVERSARY』のリミックから更にリミックスされたようなLIVEであった。往年の名曲を現在の熟練のテクニックで“磨き上げた”初期DIMENSIONが中洲の夜に降臨していた。
 「今日のために各地で練習してきました」という“超絶技巧”系のナンバーが新アレンジで演奏される悶絶〜。管理人の頭の中は,あの当時のDIMENSIONを聴くとリンクする思い出が幾つかあって,込み上げてくる感情と必死に戦いながらの観戦となった。

セラビー,冷静になれ。【SE.LE.NE】が来た。【IF】が来た。でも泣くんじゃない。攻撃的な【LOST IN A MAZE】で今夜は二家本亮介が見失わなかった。帯広の夜→【GO UP STREAM】→中洲の夜なのである。

 勝田一樹の【RISE】で固まった。大好きな【BRIGHTER IN YOUR LIFE】で突き抜けた。
 でも勝田一樹2度目の【TONE】なのに,今度は悪い意味で固まってしまった。真後ろに立った勝田一樹の元に駆け寄ってゆけば良かった。九州のお客さんって本当に温かいのかい?

 どうにも尻つぼみだったのはDIMENSIONLIVE終演後のお約束「サイン会」に不参加だったこともある。だって愛する妻が別の友達と出かけた鹿児島&霧島ツアー帰りのお迎えの時間があったのです。
 アンコール終了後,すぐに地下鉄で博多バスターミナルへ。でも不思議と後ろ髪は引かれない。盛り下がったアンコールの後に笑顔でメンバーと話なんてできないよぅ…。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

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国府 弘子 / ピアノ・ヴォイセス5

PIANO VOICES-1 『PIANO VOICES』(以下『ピアノ・ヴォイセス』)を聴いて,今までは単なる『PIANO〜』シリーズでのネーミングだと思い込み気に留めていなかった『PIANO LETTER』〜『PIANO TAPESTRY』〜『PIANO ANNIVERSARY』のアルバム・タイトルが絶妙だと思うようになった。

 『PIANO LETTER』は「ピアノで書いた手紙」そのものである。『PIANO TAPESTRY』は「ピアノで織り上げた一枚の布」そのものである。『PIANO ANNIVERSARY』。こちらは15周年記念アルバムということで良い。
 この3枚の『PIANO〜』シリーズについての言及はこれ位で良い。今夜の主役は『ピアノ・ヴォイセス』である。

 そう。『ピアノ・ヴォイセス』とは「ピアノの歌声」そのものである。つまり国府弘子の「心の歌声」がダイレクトにピアノで表現されている。
 いや〜,参った。“弘子節”にやられてしまった。聴いていて涙がこぼれてしまった。何度聴いても感動で心が震えてしまう…。

 基本『ピアノ・ヴォイセス』は『PIANO TAPESTRY』に続く「ピアノソロ」の第2弾。
 【家路】〜【アメイジング・グレース】と来て,こんなに奥深い表現を聴いたのは久しぶりだと“聴き耳立てて”迎えた【ムーン・リバー〜酒とバラの日々】が相当にヤバイ。

 ハーモニカトゥーツ・シールマンス名演は多いが『ピアノ・ヴォイセス』の【ムーン・リバー〜酒とバラの日々】での演奏も,指折りの名演の1つに数えられるべきだと思っている。
 【ムーン・リバー】のイントロが流れてきただけで,もはや管理人は「パブロフの犬」である。条件反射的に泣けてくる体質になってしまった。

 この感動はトゥーツ・シールマンスハーモニカだけではない。しっかりとバッキングする国府弘子ピアノハーモニカとシンクロして“歌っている”のだ。刺激的かつナイーブなピアノの落差がド・ストライク!
 続く【見つめていたい】と【遥かなる影〜やさしく歌って〜ウスクダラ(トルコ民謡)〜黒いオルフェ(カーニヴァルの朝)】を聴く頃にはCDプレイヤーの前で“耳をソバダテ”猪突猛進のイノシシ状態で,国府弘子の「心の歌声」を一音たりとも聴き逃すまい,との臨戦態勢で息を詰めるようになる…。

PIANO VOICES-2 そうして『ピアノ・ヴォイセス』の2度目の山場がやって来る。【SUCCESS MOON DANCE】である。
 【SUCCESS MOON DANCE】を聴いた瞬間,自分の中では間違いなくミシェル・ペトルチアーニカヴァーだと思ってしまった。
 それくらいに“すがすがしい”メロディー・ラインである。途中【BIRDLAND】のメロディーが飛び出してくるところも冴えている。なんつったって【SUCCESS MOON DANCE】はスティール・パンとのデュオである。スティール・パンジャコ・パストリアスウェザー・リポート=【BIRDLAND】なのだから…。と脱線スマヌ…。

 しか〜し【SUCCESS MOON DANCE】は国府弘子の作曲であったのだ。この事実に直面して管理人の中で“国府ワールド”が“ワールド・ワイド”してしまった。

 管理人の「ジャズ批評家」人生をかけてこう叫ぼう! 国府弘子は「世界的な“ジャズ・ピアニスト”」! 国府弘子ピュアなのに相当深い!

  01. Going Home
  02. Amazing Grace
  03. Moon River 〜 The Days Of Wine And Roses
  04. Every Breath You Take
  05. (They Long To Be) Close To You 〜 Killing Me Softly With His
     Song 〜 Uskadara 〜 Manha De Carnaval

  06. Success Moon Dance
  07. Summertime
  08. Shangri-La
  09. When You Wish Upon A Star
  10. Angelus
  11. Happiest You (For Your Wedding)

(ビクター/JVC 2003年発売/VICJ-61151)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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デューク・ピアソン / ザ・ファントム5

THE PHANTOM-1 管理人の大好きなデューク・ピアソンが『THE PHANTOM』(以下『ザ・ファントム』)の中にいる。
 『ザ・ファントム』の中に,知的なバランサーという表の顔から見え隠れしている,アヴァンギャルドなデューク・ピアソンの本性がこぼれ落ちている。
 デューク・ピアソンの多面性が1枚のアルバムとしてバランスよくまとまっているのだから,デューク・ピアソンのハイセンスはとんでもない!

 『ザ・ファントム』は,モーダル&スピリチュアルの極みの【THE PHANTOM】と趣味の良いピアノ・トリオな【SAY YOU’RE MINE】の2曲に尽きる。
 この2曲の存在が「陰と陽」的に輝いて『ザ・ファントム』を味わい深い,そして忘れがたいアルバムへと昇華させている。この「足し算と引き算」の塩梅がこそが“天才”デューク・ピアソンの魅力に尽きる。

 ミステリアスなエキゾチック風の【THE PHANTOM】は聴けば聴くほど深みにハマル。管理人には耳タコな1曲であって,ムーディーなフルートが森の中を旋回し,地上ではジャングルの奥地から2台のコンガの音が地鳴りしている。
 なのにビシッと均整の取れたアングルで画角に全体がきれいに収まっている。ふとした瞬間にイマジネーションの世界からスタジオで演奏している現実に引き戻されてしまう。ボビー・ハッチャーソンヴァイブが人工的なのだ。心のヒダにヒリヒリくるのだ。

 そんなモーダルなサウンド・メイキングが何度聴いても快感である。疑似コンクリート・ジャングル・サウンドがたまらなく刺激的である。
 ブラジル有のラテン有のボッサ有の「ブラジリアン・エキゾチック・コラージュ」期の計算されたノリと計算以上のノリ。デューク・ピアソンは『ザ・ファントム』の時点ではすでに「脱・王道」「脱・アメリカ」で世界を見据えている。

 そうして,ジャズの枠を飛び出しそうで,ギリギリで枠内に留まっている。過剰で,贅沢で,誘うようで,悪趣味の直前ぎりぎりで留まってみせる「禁断の果実」に手を伸ばしている。妖しくはない。でもイケナイ音楽を聴いているようで,いつ聴いてもドキマギしてしまう。好きなんだよなぁ。この感じ。

 『ザ・ファントム』のもう一方の雄=【SAY YOU’RE MINE】は,涼しい顔して笑い飛ばす,デューク・ピアソンの哀愁のピアノに心を打たれてしまう。
 悲しみを乗り越えるには可憐さ,すなわち勇気や強さが必要であることを【SAY YOU’RE MINE】を聴く度に思い起こされる。

THE PHANTOM-2 ズバリ【SAY YOU’RE MINE】が,バラードのクセして?自己主張している。遠慮がちというか,自信なさげにというか,でもハッキリと自己主張してくる。普段とは違う何か,に引っ掛かる。
 そう。デューク・ピアソンは悲しみの全てをすでに知っている。でっ,どれだけ伝えるべきか? どこをどう伝えるべきか?だけを迷っているのだ。

 リリカルな演奏だ。感情を抑えた演奏だ。それでもデューク・ピアソン“らしさ”の残るファンキーな演奏だ。悲しみを吹き飛ばしてしまうバラードなのだ。愕然とするノリのバラードに興じるしか道はない。

 【THE PHANTOM】にしても【SAY YOU’RE MINE】にしても,常に時代の先を見つめていたデューク・ピアソンだからこそ作り上げることのできた楽曲である。
 『ザ・ファントム』は,ジワジワと感動が後から押し寄せてくるアルバムである。自分が成長すればそれだけ大きな感動を手に入れることのできるアルバムだと思う。

  01. THE PHANTOM
  02. BLUES FOR ALVINA
  03. BUNDA AMERELA (LITTLE YELLOW STREETCAR)
  04. LOS OJOS ALEGRES (THE HAPPY EYES)
  05. SAY YOU'RE MINE
  06. THE MOANA SURF
  07. THEME FROM ROSEMARY'S BABY

(ブルーノート/BLUE NOTE 1968年発売/UCCQ-5075)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,マイケル・カスクーナ,行方均)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1986年度(第20回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1986年度(第20回)の発表です。

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星影のステラ★【金賞】.星影のステラ
キース・ジャレット・トリオ


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Jムード★【銀賞】.Jムード
ウイントン・マルサリス


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ウェイ・アウト・ウエスト★【最優秀CD賞】.ウェイ・アウト・ウエスト
ソニー・ロリンズ


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エニイ・オールド・タイム★【ボーカル賞】.エニイ・オールド・タイム
カーメン・マクレエ


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キーピング・カウント★【日本ジャズ賞】.キーピング・カウント
高橋達也と東京ユニオン


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キーピング・カウント★【制作企画賞】.キーピング・カウント
高橋達也と東京ユニオン


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枯葉★【制作企画賞】.デビッド・マシューズ一連のプロジェクト [3作]


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THE COMPLETE KEYNOTE COLLECTION★【編集企画賞】.ザ・コンプリート・キーノート・コレクション


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L・イズ・フォー・ラバー★【録音賞 LP】.L・イズ・フォー・ラバー
アル・ジャロウ


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マイ・ファニー・バレンタイン★【録音賞】.マイ・ファニー・バレンタイン
 マンハッタン・ジャズ・クインテット


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 キース・ジャレットトリオの『星影のステラ』が【金賞】受賞。。

 『星影のステラ』の成功があったからこそ,キース・ジャレットトリオライブ盤ばかりをレコーディングするようになったと思う。

 それぐらいの集中力。完全燃焼するアドリブ。こんな解釈で過去にスタンダードが演奏されることがあったであろうか?
 ただし『星影のステラ』は,余りにも完璧で美しすぎた。これは最高レベルの中での優劣の話にあるが,最初から「究極の完成形」を見せられてしまったので,後は「いじる外に道はない」の選択肢の狭さが惜しまれる。

 【星影のステラ】のイントロから3分半のキース・ジャレットソロピアノを聴いていただきたい。完全に自分の世界に入り込んだアドリブが【星影のステラ】の「どこに行くのか分からない → しかし最初から完成形は見えていたでしょ?」的な即興演奏へと導いていく。

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T−スクェア / REBIRTH4

REBIRTH-1 レコードデビュー39年目のアルバム・タイトルが『REBIRTH』である。
 これがデビュー40周年というのなら「再び生まれる」→「心機一転」とか「初心に帰る」の『REBIRTH』の意味だと分かる。

 だから『REBIRTH』と聞いて,昨年の「君の名は。」の「前前前世から〜」を思い浮かべた。あるいはこの4月クールのTBS系のドラマ「リバース」とのタイアップなのか?とも思った。少々ネタ切れゆえ安易に流行に乗っかってみただけかも?

 果たして,安藤正容も真意を探るべく目的で『REBIRTH』のSACDをプレイ。
 結論としては,後者のような流行性はなし。つまり新鮮味は感じられない。そう。『REBIRTH』には,T−スクェアの魂以上にザ−スクェアの魂が蘇っている。
 THEからTになって30枚目だから「前前前世の前が29個ついた感じ」のザ−スクェアっぽいT−スクェアの「ポップ・インストゥルメンタルフュージョン」という結論で良いと思う。

 『REBIRTH』の1曲1曲は安定のクオリティである。【REBIRTH】〜【彼方へ】〜【SPLASH BROTHERS】〜【LITTLE VIOLET】の流れが最高! でもグッと感情&愛情が湧き上がってくる感じがないのはなぜだろう?

 その第一原因はバラードなしに尽きる。伊東たけしサックスではなくEWIをメインに持ってきて久しいが,伊東たけしの“泣きのサックス”が皆無の事実には驚いた。
 特に『NEXT』での【WISH】。『PARADISE』での【ETERNAL GLORY】。『TREASURE HUNTER』での【LAST SCENE】と小バラードではなく大バラードが3作も続いていたものだから,ついつい河野啓三坂東慧に“和泉バラード”を期待していたものだから…。

 『REBIRTH』での伊東たけしアルトサックスの役所は「ポップ・インストゥルメンタルフュージョンサックス」である。
 そして『REBIRTH』での安藤正容ギターの役所は「ポップ・インストゥルメンタル・ロック・ギター」である。

 つまり『REBIRTH』で,伊東たけしは「ザ・スクェアの1期」に戻った感じだし,安藤正容は「ザ・スクェアT−スクェアの3期」に戻った感じがする。

 う〜ん。違うなぁ。ここまでは自分で正論だけを書いてきた気がする。ここまで書いたもの全部が正直な感想ではあるが,心のどこかで感じた違和感はそんな細かいレベルの話ではない。

 ズバリ『REBIRTH』で感じたバンド・サウンドの変化は,ザ・スクェア時代に揺り戻ったわけではなく,現「河野坂東時代」のスタートに揺り戻ったわけでもなく,何となくアバウトだが5年くらい前の「T−スクェアのバンド・カラー」に舞い戻ったような感じがする。

REBIRTH-2 極論を言えば,坂東慧が「王様」として君臨する前のスクェアに近いと思う。『PARADISE』〜『TREASURE HUNTER』で成功してきたスクェアのデジタル・ハイブリット化とかクラブ・ジャズ路線が控えられている?

 前作『TREASURE HUNTER批評で書いた,問題の「T−スクェアのデジタル路線」が止まってくれたのは良かったが,ちょっとずつ,ほんのちょっとずつ,流行を取り入れて新しいサウンドを提供する,スクェアの“らしさ”までが無くなってしまった。

 「変わらないために変わり続ける」のがT−スクェアの真骨頂ではなかったのか? その意味でアルバム・タイトル『REBIRTH』ではなかったのか? 5年前に「再び生まれる」では『REBIRTH』の履き違えであって,ファンとしては「違う」と思う。

 これがスクェアのメンバー4人の総意であるのなら少しも気にならないが,そうではなく坂東慧のモチベーションの低下だとしたら…。ドリカムからの影響とか,ゴスペラーズからの影響だとしたら…。
 これってスクェアの一大事ではないですか?

 だから・お願い・坂東くん。管理人の目の前でいつも通りに大暴れして,この不安な気持ちを吹き飛ばしてください。
 「王様」のそれは熱い熱いドラムソロを期待しております。

  DISC 1
  01. REBIRTH
  02. 彼方へ
  03. SPLASH BROTHERS
  04. LITTLE VIOLET
  05. NOTHING I CAN SAY
  06. SEASON OF GOLD
  07. TRIP!
  08. DROPS OF HAPPINESS
  09. CHANGE BY CHANGE

  DISC 2 DVD
  01. Midnight Lover
  02. TRUTH 〜Special Acoustic Version〜
  03. Teasing'

(オレンジレディ/ORANGE LADY 2017年発売/OLCH 10007〜8)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
★【初回生産限定盤】ボーナスDVD付 2枚組
★【初回生産限定盤】三方背BOX仕様
★音匠仕様レーベルコート

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デューク・ピアソン・BIG BAND / イントロデューシング・デューク・ピアソン・BIG BAND4

INTRODUCING DUKE PEARSON'S BIG BAND-1 トリオクインテットセクステットオクテットノネットまでやったデューク・ピアソンの“大編成志向”はまだまだ終わらない。
 ついにデューク・ピアソン念願の&デューク・ピアソン待望の「デューク・ピアソンビッグ・バンド」の誕生である。

 タイトルが良い。『INTRODUCING DUKE PEARSON’S BIG BAND』(以下『イントロデューシング・デューク・ピアソン・BIG BAND』)。
 そう。デューク・ピアソンによる「ビッグ・バンドの紹介」なのである。
 こんな音楽は如何ですか? こんなジャズはどうですか? こんなビッグ・バンドもあるんですよ?

 「デューク・ピアソンビッグ・バンド」の結成はデューク・ピアソン長年の夢であり野望であったことだろう。
 そんな夢であり野望の実現は,ブルーノートの“天才”プロデューサーとして活躍し始めたデューク・ピアソンの頑張りが認められたこともあるだろうが,それ以上に「サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」から“火が付いた”ビッグ・バンド再評価の流れと無関係ではないと思う。

 とは言え「デューク・ピアソンビッグ・バンド」は「サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」の音とは趣向が違う。
 最大の理由は「サド=メル」がジャズ・ロック的なバンド・サウンドを特徴としているのに対し「デューク・ピアソンビッグ・バンド」は,ほぼデューク・ピアソンの個性そのまんまのサウンドである。

 デューク・ピアソンの頭の中を具現化してくれるビッグ・バンド・サウンドを手に入れて,デューク・ピアソンの“天才”が爆発している。
 自由気ままなリハーサル・オーケストラにして,デューク・ピアソンの特徴であるスマートな音階がバッチリ出ている。デューク・ピアソンのもとに定期的に集まる仲間たちがイメージする,これぞ「真のデューク・ピアソン・ミュージック」なのだと思う。

INTRODUCING DUKE PEARSON'S BIG BAND-2 一方のデューク・ピアソンにしても,様々なタイプの楽曲を準備し,自分のもとに集まったジャズメンたちの特徴を引き出すべくアレンジの才を大いに発揮している。

 『WAHOO』〜『HONEYBUNS』〜『SWEET HONEY BEE』で1度は完結した「デューク・ピアソン・ミュージック」であったが,ダイナミックに“管が鳴り響く”『イントロデューシング・デューク・ピアソン・BIG BAND』こそが「真のデューク・ピアソン・ミュージック」であり,大編成を得意とする類稀なる才能に“聴き耳を立てるべき”ビッグ・バンドの登場である。

 ただし,勢いとまとまりで「サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」には追いつけていない。比較すべきでないことは心得ているのだけれど…。

  01. GROUND HOG
  02. NEW GIRL
  03. BEDOUIN
  04. STRAIGHT UP AND DOWN
  05. READY WHEN YOU ARE C.B.
  06. NEW TIME SHUFFLE
  07. MISSISSIPPI DIP
  08. A TASTE OF HONEY
  09. TIME AFTER TIME

(ブルーノート/BLUE NOTE 1968年発売/TOCJ-4276)
(ライナーノーツ/アラン・グラント,上条直之,瀬川昌久)

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国府 弘子 / ピアノ・アニヴァーサリー4

PIANO ANNIVERSARY-1 管理人が国府弘子を初めて“ジャズ・ピアニスト”と意識して聴いた『PIANO ANNIVERSARY』(以下『ピアノ・アニヴァーサリー』)が逆戻り。う〜む。何とも勿体ない。

 タイミングも悪かったのだと思う。『ピアノ・アニヴァーサリー』は国府弘子デビュー15周年記念の第2弾(第1弾はベスト盤の『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』)。
 『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』が国府弘子のヒット曲の「総決算」であるならば『ピアノ・アニヴァーサリー』は国府弘子のプロ生活の「総決算」。
 そう。『ピアノ・アニヴァーサリー』の主旨とは国府弘子デビューからの軌跡をたどりながら「UPDATE」するというもの。

PIANO ANNIVERSARY-2 だからオスカー・カストロネヴィスエイブ・ラボリエルアレックス・アクーニャの参加するフュージョン路線の復活は外せない。いい曲なんだけど,どうも管理人の期待値を下回ってしまって…。

 1曲1曲の出来はいい。ピアノ・ソロもいいものだしピアニカだって負けてはいない。なのにアルバム単位で流して聴くと,余りにも曲と曲のイメージが離れすぎていて散漫な印象。

 裏を返せば,それだけ国府弘子の幅広い音楽性を証ししているとも言えるのだろうが,やっぱり15周年を12曲にまとめるのは国府弘子でなくても難しい。
 フュージョン,ポップス,クラシック,ラテンにヴォーカルやらストリングスやら盛りだくさんで,一番期待していた“ジャズ・ピアニスト国府弘子の存在感は薄い。

PIANO ANNIVERSARY-3 『ピアノ・アニヴァーサリー』みたいな「バラエティもの」を作っていたらジャズ・ピアノ好きは,山中千尋アキコ・グレースに流れてしまいます。
 う〜む。『ピアノ・アニヴァーサリー』での逆戻りが何とも勿体ない。

PS 「PIANO ANNIVERSARY-3」は「付録:「Piano Anniversary PIANO SCORE」です。

  01. Always
  02. Tomorrow Never Knows
  03. Fiesta
  04. Sing For Love
  05. Little Anniversary
  06. Lifeline
  07. Starland
  08. Easter Egg
  09. Chiffon Cake Bossa
  10. You're My Moose
  11. I Wish
  12. Nostalgia

(ビクター/JVC 2002年発売/VICJ-60970)
(デジパック仕様)
(付録:「Piano Anniversary PIANO SCORE」)

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デューク・ピアソン / ザ・ライト・タッチ5

THE RIGHT TOUCH-1 トランペットフレディ・ハバードトロンボーンガーネット・ブラウンアルトサックスジェームス・スポールディングフルートアルトサックスジェリー・ドジオンテナーサックススタンリー・タレンタインという,超個性派5管フロントの『THE RIGHT TOUCH』(以下『ザ・ライト・タッチ』)。

 これだけのツワモノが揃った5管編成の『ザ・ライト・タッチ』がシンプルに響く。『ザ・ライト・タッチ』の主役はデューク・ピアソンピアノである。
 それというのも『ザ・ライト・タッチ』で腕を振るったデューク・ピアソンの絶品アレンジは,いつものアンサンブルではなくソロイストのピックアップにある。

 5管フロントがユニゾンするのではなく,5人中1人だけがメロディーを吹き,デューク・ピアソンピアノデュエットしている瞬間がある。
 そう。『ザ・ライト・タッチ』で『プロフィール』と『テンダー・フィーリンズ』で鳴らしたのピアノ・トリオデューク・ピアソンが帰ってきている。かつてなくデューク・ピアソンピアノが前に出ている。

 ズバリ『ザ・ライト・タッチ』でデューク・ピアソンが追求したのは,アンサンブルとソロの対比の中で響くジャズ・ピアノであろう。
 ピアノを効果的に響かせるための,サビでの分厚い5管フロントであり,ピックアップされた5人のソロイストとのハーモニーである。“豪華なのに静かに動く”超個性派5管フロントの「あっさり・タッチ」。
 これぞ『THE LIGHT TOUCH』→『THE RIGHT TOUCH』の真骨頂なのであろう。

 久しぶりに前に出ることにしたデューク・ピアソンピアノが実にスムーズに動く。
 コードはファンキーだがサバサバした運指に聴こえる。部分部分ではリズミックに感じるのだが知的で軽やかにまとめ上げる。出来上がりが上品である。キレイなジャズ・ピアノなのである。

 大編成の中で弾くピアニストは難しい役回りだと思う。肝心要のピアニストが乱れるとセッションっぽく聴こえてしまうし,カチッと譜面通りに弾くわけにもいかない。
 重くもならず軽くもならない。黒いのだが黒すぎない。そんな“ジャズ・ピアニストデューク・ピアソンのハイセンスが実に素晴らしい。

THE RIGHT TOUCH-2 キラー・チューンの【CHILI PEPPERS】収録。【MAKE IT GOOD】〜【MY LOVE WAITS(O MEU AMOR ESPERA)】〜【LOS MALOS HOMBRES】まで一気に引き込まれる。

 惜しむべきは【SCRAP IRON】での落とし方である。それまで『THE RIGHT TOUCH』で推してきた流れが【SCRAP IRON】1曲でアルバム全体が見事に不安定化して聴こえてしまう。

 でも【SCRAP IRON】のハズシを含めての『THE LIGHT TOUCH』→『THE RIGHT TOUCH』。
 この不思議な魅力が耳から離れない愛聴盤なのです。

  01. CHILI PEPPERS
  02. MAKE IT GOOD
  03. MY LOVE WAITS (O MEU AMOR ESPERA)
  04. LOS MALOS HOMBRES
  05. SCRAP IRON
  06. ROTARY

(ブルーノート/BLUE NOTE 1967年発売/TOCJ-9251)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/岡崎正通)

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国府 弘子 / ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜5

WELCOME HOME-1 国府弘子の2枚目となるベスト盤の『WELCOME HOME』(以下『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』)。

 『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』も発売当初からスルーを決め込んでいたのだが,結局は買ってしまった。お目当ては『PIANO TAPESTRY』の未収録トラック【INTERLUDE】である。どうしても聴きたい。この1曲のために所有済音源ばかりのベスト盤を買ってしまうのだからレコード会社のカモである。『PIANO TAPESTRY』はツルである。

 そんな【INTERLUDE】だったが【INTERLUDE】は【INTERLUDE】止まりであった。
 ただし【INTERLUDE】にガッカリしても『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』にガッカリはしない。最初から最後まで何度繰り返し聴いたことか…。管理人好みの曲ばかりが集められている。選曲者は管理人の感性と近いと思った。

 そう。『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』での“ジャズ・ピアニスト国府弘子が最高であるが,それ以上に“名コンポーザー”国府弘子が最高なのである。
 NO。『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』での“名コンポーザー”国府弘子が最高であるが“ジャズ・ピアニスト国府弘子がそれ以上に最高なのである。

 サンバ調でノリノリのビル・エヴァンスの【MY ROMANCE】がいい。天野清継との絶品のコンビネーション【FOR MY FRIEND】がいい。とにかくピアノがいいのだ。
 「目から鱗」の国府弘子ジャズ・ピアノ。『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』以降,国府弘子の聴き方が変わった。

WELCOME HOME-2 これまで国府弘子に対してはフュージョン系のイメージが強く“ジャズ・ピアニスト国府弘子としては余り注目してこなかった。

 あんなにもピアノをガンガン弾きまくる【MY ROMANCE】は聴いたことがないのではないか? あんなにもギターに寄り添う【FOR MY FRIEND】でのピアノは聴いたことがないのではないか?
 プレイヤーとしての国府弘子フュージョンではなくジャズそのものを弾いている。素晴らしい。

 『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』以降,管理人の中で国府弘子フュージョンピアニストから“ジャズ・ピアニスト”になった! 大西順子木住野佳子に次ぐ“ジャズ・ピアニスト”になった!

  01. Vitamina
  02. Going, Going On
  03. Listen To My Heatbeat
  04. Passarada
  05. Lady Moonlight
  06. Baked Potato Man
  07. Keep Hope Alive
  08. Go Go Godzilla
  09. Interlude
  10. Sky Dancing
  11. Luck In The Rain
  12. For My Friend
  13. My Romance
  14. I Do What I Want
  15. Slingshot
  16. 忘れないよ

(ビクター/JVC 2002年発売/VICJ-60946)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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デューク・ピアソン / スイート・ハニー・ビー5

SWEET HONEY BEE-1 『HONEYBUNS』の次は,同じ『HONEY』でも『SWEET HONEY BEE』(以下『スイート・ハニー・ビー』)。

 『スイート・ハニー・ビー』とは確かに「甘いミツバチ」である。明るくサンサンと,しかし少し色褪せたオレンジとイエローの「ミツバチ」カラーのジャケット写真同様,レトロでお洒落なミツバチのダンス・ミュージックの完成である。
 これぞデューク・ピアソンによる“ピアソン・ハーモニー”そのものである。一度聴いたら忘れられない,歌って踊れるアンサンブル。スマートな演奏がお洒落だと思う。ハッピーだと思う。

 だから『スイート・ハニー・ビー』でのデューク・ピアソンが心底ジャズしていると思うのである。管理人はデューク・ピアソンを聴くと,大抵,一人悦に入っている。だって最高なんだもん。
 
 【SWEET HONEY BEE】における心躍るジャズ・ロック・タッチ系の軽快なビート。フルートが奏でる,浮き立つようなメロディー。これに応える楽しいホーンのアンサンブル。
 これがブルーノートの曲なのか? デューク・ピアソンCTIを先取りしているのだ。

 そう。『スイート・ハニー・ビー』こそが,デューク・ピアソンの“最高傑作”である。
 フレディ・ハバードトランペットジェームス・スポールディングアルトサックスジョー・ヘンダーソンテナーサックスという個性派のアドリブ以上に,デューク・ピアソンメロディー・ラインが打ち勝っている。美メロがアドリブに打ち勝っている。
 どこからどう聴こうとも『スイート・ハニー・ビー』からは“ピアソン・ハーモニー”ばかりが聴こえてくるのだ。

SWEET HONEY BEE-2 『スイート・ハニー・ビー』はとにかく軽くて聴きやすい。その理由は,演者を譜面に落とし込める“ピアソン・ハーモニー”の「支配力」にある。

 デューク・ピアソンは大物に成り損なったかもしれないが,個人的にはベニー・ゴルソンの“ゴルソン・ハーモニー”に対抗できるのは,デューク・ピアソンの“ピアソン・ハーモニー”だけだと思う。
 アルフレッド・ライオンが自分の後釜として,こんなにもデューク・ピアソンを重用した気持ちが良く分かる。

 ハービー・ハンコックの『スピーク・ライク・ア・チャイルド』をプロデュースしたデューク・ピアソンのハイセンスなんかは,今で言うフィリップ・セスのようである。

  01. SWEET HONEY BEE
  02. SUDEL
  03. AFTER THE RAIN
  04. GASLIGHT
  05. BIG BERTHA
  06. EMPATHY
  07. READY RUDY?

(ブルーノート/BLUE NOTE 1967年発売/TOCJ-6591)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,杉田宏樹)

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国府 弘子 / ピアノ・タペストリー5

PIANO TAPESTRY-1 タペストリー,それは織物。タペストリー,それは綴織。『PIANO TAPESTRY』(以下『ピアノ・タペストリー』),それは国府弘子による公式「鶴の恩返し」。

 そう。『ピアノ・タペストリー』とは「一枚の布を織り上げるように音の響きを紡いで生まれた珠玉のソロ・ピアノ即興による有名曲のカヴァー集」。
 レコーディングまでの準備期間はゼロ。国府弘子ピアノに向かうまで譜面や構成を一切準備しなかったという。
 あの日あの時,国府弘子が自然に弾きたいと思った馴染みの美メロが「表われては消えてゆく」…。記憶と音と創造の糸を縦横に織り込んで出来上がった『ピアノ・タペストリー』…。

 国府弘子の心象風景の移ろいを感じられるような音の連なりが絶妙であって,1つ1つの曲の構成よりも18曲全てを聴き通して1つの大きな曲が完成している。事実『ピアノ・タペストリー』は,曲間わずかに1秒な感じで,18曲がコンパクトに連続で一気に流れていく。
 ピアノが優しくしっとりと詩情豊かに絡み合ってくる感じで,曲が変わっても静かに数曲前のメロディー語りかけてくる。最高の完成度である。
 あれっ,これってDJが2台のターンテーブルで曲をつなぎ合わせる手法と似ているのか? “DJ国府”の絶妙なつなぎに「萌え」〜。

 NO! 本来『ピアノ・タペストリー』は繰り返し聴き込む種類のアルバムではないが,気持ち良くて何度も聴いているうちに気付いたことがある。
 『ピアノ・タペストリー』の真髄とは,タペストリーとは真逆の「解体新書」なのだと思う。
 音を紡いでいるはずなのに,実際には音のひだをほどいていく感覚…。国府弘子が自分の心を覆う内面のベールを,1枚1枚剥ぎ取っては聴かせてくれるような感覚…。

 国府弘子の体内の膨大な美メロのデータベースの中からセレクトされた名曲中の名曲が18曲。その中でも“最も美味しい”メロディー・ラインが切り抜かれて提示されている。
 そう。『ピアノ・タペストリー』がカヴァー集なのに名盤と称される理由とは,アルバムを織り成す1本1本の糸が強く美しいからである。

PIANO TAPESTRY-2 国府弘子自身は『ピアノ・タペストリー』を「鶴の恩返し」を例に解説している。鶴の化身が部屋に隠れて機を織る様子をソロ・ピア
のスタジオ作業に重ねている。
 スタジオの中にはピアニストが一人ぼっち。そのピアニストは,誰かの喜びのために,一人せっせと作業をしている。名曲を1度完全に解体して,その中で使用されていた糸を取り出して再構築してみせたのが『ピアノ・タペストリー』なのである。

 とは言え『ピアノ・タペストリー』はスタジオ・ライブ・レコーディング。“DJ国府”の解体力と構築力が図抜けている。いい演奏である。

  01. OVERTURE
  02. MAIDEN VOYAGE
  03. CHANGE THE WORLD
  04. REQUIEM
  05. INVENTION
  06. IN MY LIFE
  07. FIELDS OF GOLD
  08. SCARBOROUGH FAIR / CANTICLE
  09. PASTORALE〜BURGMULLER FROM “25 EASY STUDIES OP.100”
  10. OVER THE RAINBOW〜IT MIGHT AS WELL BE SPRING〜MY
     GRAND FATHER'S CLOCK

  11. LADY MOONLIGHT
  12. KAERENAI-FUTARI
  13. WHAT A WONDERFUL WORLD〜MIAGETEGORAN-
     YORUNOHOSHIWO

  14. PASSARADA〜LUCK IN THE RAIN
  15. SUNSHINE DAY
  16. 'ROUND MIDNIGHT
  17. SUNSET BEACH
  18. CLIMB EV'RY MOUNTAIN

(ビクター/JVC 2001年発売/VICJ-60746)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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デューク・ピアソン / プレイリー・ドッグ4

PRAIRIE DOG-1 デューク・ピアソン大好き人間として断言しよう。『PRAIRIE DOG』(以下『プレイリー・ドッグ』)でデューク・ピアソンは「一度壊れてしまった」のだと思う。
 『プレイリー・ドッグ』で,初期のデューク・ピアソンが逝っている。『プレイリー・ドッグ』こそが,デューク・ピアソン「バージョン2」の始まりなのである。

 “天才”ゆえの悩みなのか,初めてブチ当たった壁なのか,デューク・ピアソンが“リリカル&ファンキー”路線の「自分の殻を打ち破ろうと」必死にもがいている。

 5拍子と6拍子が交錯する【THE FAKIR】は,なぜに今更な【TAKE FIVE】と【MY FAVORITE THINGS】的なフルートソプラノサックスの,いいとこどりな合作である。

 【PRAIRIE DOG】も,ゴスペルチックなデューク・ピアソンのリバイバル・ソングであって,ギターホーンのアンサンブルが延々続くカントリー・ソング。【PRAIRIE DOG】こそがアメリカン・フォークの「王道」である。

 ブルース調の【SOULIN’】とモーダルな【LITTLE WALTZ】では「新主流派」的な“リリカル&ファンキー”であって,この2トラックがデューク・ピアソンの“らしさ”&“さすが”が“COOL”に伝わってくる。
 他のアルバムに入っていたなら名演として押されたのかもしれないが,個性派揃いの『プレイリー・ドッグ』の中に入っていては,平凡すぎて埋没しているのかなぁ。

 【HUSH−A−BYE】と【ANGEL EYES】は,共にジャズライン時代に取り上げたデューク・ピアソンの愛想曲の再演。
 アレンジを前回から思いっきり変えて,チェレスタデューク・ピアソンベーシストボブ・クランショウとの白眉のデュエット
 美しいオルゴールの世界の後ろでボブ・クランショウの「ブンブン」弾きまくる低音をフィーチャリングしたアイディアが素晴らしいと思う。

PRAIRIE DOG-2 そう。『プレイリー・ドッグ』は,デューク・ピアソンによる「本当にやりたかったいジャズの総決算」的なアルバムである。
 果たして,その出来映えであるが,デューク・ピアソンが自分自身で過去のデューク・ピアソンを否定したかのようなアルバムに聴こえる。

 やりたいことが多すぎて,どうまとめたらよいのか先が見えずに,自分をコントロールできなくなったデューク・ピアソンの“知性派”が初めて乱れている。トータル・イメージが散漫なデューク・ピアソンの“闘争本能”が露わにされている。

 でもそこがたまらなくいいのだ。まとまりなど二の次なのだ。出来は一段落ちる。
 でも「完全に壊れてしまった」デューク・ピアソンが聴ける。これこそが『プレイリー・ドッグ』最大の聴き所なのだ。

 出来の悪い子供こそ「情が移る」というものだ。時間をおいて練り上げられた名盤SWEET HONEY BEE』への初期の制作過程を聴いている気分になれるのも良い。
 だ・か・ら『プレイリー・ドッグ』は聴き飽きない。

  01. THE FAKIR
  02. PRAIRIE DOG
  03. HUSH-A-BYE
  04. SOULIN'
  05. LITTLE WALTZ
  06. ANGEL EYES

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1966年発売/WPCR-27166)
(ライナーノーツ/ジャック・ショー,岡崎正通)

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国府 弘子 / モーメンツ5

MOMENTS-1 『DIARY』〜『PIANO LETTER』と来て,国府弘子に“お熱を出した”管理人は過去作を漁るアクション〜。

 ただし,その時,たまたまだったのだろうが,千葉市内,習志野市内,船橋市内を数軒回ってCD屋で買えた国府弘子の過去作は『PURE HEART』1枚のみ。
 もやもやしつつ,東京へ買いに出かけようかというタイミングでリリースされたのが,国府弘子初の日本向けとなるベスト盤『MOMENTS』(以下『モーメンツ』)。

( 注:国府弘子は海外進出のため1996年に,同じアルバム・タイトルにして内容は別物のUS向けベスト盤『MOMENTS』をリリース済です )

 『モーメンツ』は,これまた通常のベスト盤とは異なる,バラードベストなのが気になる部分だが,未発表曲が3曲もあるという理由付けですぐさま購入。
 正しくベスト盤『モーメンツ』とは“国府ワールド”が生み出されてきた一瞬一瞬の『MOMENTS』。素晴らしい。

 フュージョンっぽい展開が顔をのぞかせるバラード・ナンバーの中にあって,しっとりと雄大なドラマを見せられている気分に“うっとり”浸れます。
 国府弘子アコースティックピアノだけを演奏しているのだが,実際にピアノの音から出て来るのは色彩豊かなピアノオーケストラ
 ピアノを引き立てるバックのシンセサイザーが効果的に流れているので,聴き所となる美メロの波長がダイレクトに飛び込んでくる。

 さて,当分は『モーメンツ』で満足していた管理人だが,やっぱり国府弘子の本質は「生粋のジャズメン」にある。
 【スムーズ・ストラッティン】や【ゴーイング・ゴーイング・オン】のようなエネルギッシュで超カッコイイ演奏ももっと聴いてみたい。そんな「静から動」への好転反応を目論んでいたとしたならばJVCに,まんまとやられてしまいましたな。

MOMENTS-2 『モーメンツ』とは,そんな国府弘子・ファンとしての欲求のマグマが押し上げられるかのようなバラードベストだと思う。
 もっともそんな衝動を一番感じたのは当の国府弘子本人だと思う。国府弘子さん,バイタリティに富んだ本当のあなたを聴いて欲しいですよね?
 だ・か・ら・管理人は国府弘子初心者の皆さんには『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』から入ることをお奨めいたします。

 管理人の結論。『モーメンツ批評

 だ・か・ら・2・『モーメンツ』は回り回って,未発表曲3曲を聴くためのバラードベスト。“弘子節”が生み出されてきた一瞬一瞬の『MOMENTS』が素晴らしい。

  01. Horizon
  02. In Your Arms
  03. Essence
  04. Somewhere In Time
  05. Etude
  06. Over The Sevem Seas
  07. Gone...
  08. Sunset Beach
  09. Playing Love (from "The Legend Of 1900")
  10. Lady Moonlight
  11. Once And Forever
  12. Happiest You (For Your Wedding)
  13. Apres L'amour (Missing You)
  14. Night In Capri
  15. Calling You

(ビクター/JVC 2000年発売/VICJ-60554)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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デューク・ピアソン / ハニーバンズ5

HONEYBUNS-1 『HONEYBUNS』(以下『ハニーバンズ』)は「デューク・ピアソン・ノネット」名義。デューク・ピアソンをリーダーとする9人編成による6管オーケストラ。中型のコンボと呼んで良いだろう。

 3管ハード・バップの『WAHOO』で芽生えていたデューク・ピアソンの「オーケストレーションの才能」が花開いている。
 『ハニーバンズ』が“ポップなジャズ・ロック調”だからなのだろう。「デューク・ピアソン・ノネット」を聴いていると「サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」のイメージと被る瞬間がある。

 そう。「デューク・ピアソン・ノネット」の真髄とはデューク・ピアソンのリハーサル・オーケストラ。デューク・ピアソンとその仲間たちが,思う存分,自分たちで楽しむために集まったジャズ・オーケストラ
 デューク・ピアソン印でスマートにアレンジ演奏された,ファンキーで楽しい演奏がレコーディングされたのはアトランティック・ジャズの実験作=3002番の巡り会わせだったから!

 すなわち『ハニーバンズ』の録音メンバーは,ピアノデューク・ピアソントランペットジョニー・コールズアルトサックスジェームス・スポールディングテナーサックスジョージ・コールマンバリトンサックスペッパー・アダムストロンボーンガーネット・ブラウンフルートレス・スパンベースボブ・クランショウドラムミッキー・ローカーの9名なのだが,本当はここにブルーノート専属ゆえ参加できなかったドナルド・バードハンク・モブレイジャッキー・マクリーンジョー・ヘンダーソン辺りも加わったイメージで「聴いて楽しめる」のがデューク・ピアソンのリハーサル・オーケストラ!

 先に『ハニーバンズ』について“ポップなジャズ・ロック調”と書いてみたが『ハニーバンズ』は,ジャズ・ロックの仮面の裏でデューク・ピアソンと仲間たちが“遊んでいる”のは「新しいモード・ジャズ」である。

 同じ音のメロディーに対してコードが半音ずつ下降する複雑なモチーフが転調しながら繰り返される。このように文章にすると小難しく感じるかもしれないが,実際に音として聴いてみると6管がスインギーに“ねちっこいハーモニー”していて新鮮に響いている。2017年の耳にも新鮮なリリカルが響く。
 やっぱりデューク・ピアソンのハイセンスは凄かった!

HONEYBUNS-2 管理人の結論。『ハニーバンズ批評

 『ハニーバンズ』は『WAHOO』でレコーディングのリハーサルを終えたデューク・ピアソンのリハーサル・オーケストラによる本番セッション。

 「デューク・ピアソン・ノネット」の“夜な夜なの音遊び”は,毎回毎回凄かった。1回1回の演奏が『ハニーバンズ2』『ハニーバンズ3』だったと想像する。

  01. HONEYBUNS
  02. NEW GIRL
  03. YOU KNOW I CARE
  04. IS THAT SO
  05. OUR LOVE
  06. HEAVY LEGS

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1966年発売/WPCR-27121)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,後藤誠)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1985年度(第19回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1985年度(第19回)の発表です。

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ライブ・アット・スイート・ベイジル★【金賞】.ライブ・アット・スイート・ベイジル
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ


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アウト・オブ・ザ・ブルー★【銀賞】.アウト・オブ・ザ・ブルー
OTB


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枯葉★【最優秀CD賞】.枯葉
マンハッタン・ジャズ・クインテット


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Vocalese★【ボーカル賞】.ボーカリーズ
マンハッタン・トランスファー


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ラウンド・ミッドナイト★【日本ジャズ賞】.ラウンド・ミッドナイト
宮沢昭


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グルーヴィー★【編集企画賞】.プレスティッジ&リバーサイド・CD・マスターピース・シリーズ [全30作]


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プレリュードとフーガ Vol.1★【制作企画賞】.プレリュードとフーガ
ジョン・ルイス


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ザ・サード・ディケイド★【最優秀録音賞 LP】.ザ・サード・ディケイド
アート・アンサンブル・オブ・シカゴ


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スポーティン・ライフ★【最優秀録音賞】.スポーティン・ライフ
 ウェザー・リポート


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 新生ブルーノートの“旗印”となる若手6人組のオーディション・バンド=OTBの『アウト・オブ・ザ・ブルー』が【銀賞】受賞。

 OTB,そして『OUT OF THE BLUE』とは「ブルー(従来のブルーノート)から外れていく」というレーベルの願いが込められた,マイケル・カスクーナ“肝入り”の新プロジュクトで,結成当初はメンバーを入れ替えながらグループとしては存続し続けるという,モーニング娘。やAKBの先がけのようなレーベル・バンドとして一世を風靡したことを鮮烈に覚えている。

 OTBのメンバーは,トランペットマイケル・モスマンアルトサックスケニー・ギャレットテナーサックスラルフ・ボーエンピアノハリー・ピケンズベースボブ・ハーストドラムラルフ・ピーターソン

 果たして,振り返れば今でもジャズ・シーンの最前線にいるのはケニー・ギャレットボブ・ハーストの2名のみ。ジャズとはそれくらいに厳しい音楽ということであろう。

 しかし『OUT OF THE BLUE』発売当時のOTBには,他とは違う桁外れのパワーを感じていたものだ。
 『OUT OF THE BLUE』という言葉には,もう一つ「青天の霹靂」という意味もある。新進気鋭の若手ジャズメン6人による「予想もしなかったような事件や変動」の心意気を読者の皆さんにも感じてほしい。

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デューク・ピアソン / ワフー4

WAHOO-1 『WAHOO』(以下『ワフー』)=『和風』である。これはダジャレでも,もっと言えば『YAHOO』でもない。

 管理人は『ワフー』を聴く度に,自分がなぜにそこまでデューク・ピアソンが大好きなのか,その理由を再確認させられてしまう。
 ズバリ,タイトル・トラック【WAHOO】はデューク・ピアソン版の【リンゴ追分】だと言い切ってしまおう。

 デューク・ピアソンを語る際,デューク・ピアソンが持つ「異国情緒」は外せないのだが,特にデューク・ピアソンは他の外国人ジャズメン以上に日本人的である。
 デューク・ピアソンの楽曲に,雅楽とか三味線が登場してもおかしくない。あるいは演歌が登場してもおかしくない。そんな日本人的なメロディー・ラインに惚れてしまうのだと自己分析している。

 後の「デューク・ピアソンビッグ・バンド」の出発点となる『ワフー』が織りなす3管ハード・バップが,日本の歌番組で歌謡曲を演奏するビッグ・バンド和風』に聴こえてしまう。
 この意見に同意する人は少ないのかもしれないが,偶然,この『ワフー批評を目にした方は,そんな視点で聴いてみてほしい。一度そう思ってしまうとそのように聴こえると思うから…。その方が後々幸福だと思うから…。

( 個人的には「デューク・ピアソンビッグ・バンド」を「NEW HERD」だと思いたい! ただし,デューク・ピアソンは,こればかりではなく正統派のジャズも生涯続けた「二刀流」「三刀流」のハイセンス・マルチ・ミュージシャンの筆頭格。聴けば聴くほど素晴らしい才能にメロメロきます )

 まっ,そういうことで『PROFILE』『TENDER FEELIN’S』と“ジャズ・ピアニスト”としてブルーノートで活動してきたデューク・ピアソンだったが『ワフー』以降は“プレイング・マネージャー”として,アレンジャーやプロデューサーの視点で,非アメリカ的なブルーノートジャズを創造していくことになる。

 興味深いのは,デューク・ピアソンと同時期のブルーノートというレコード会社は,ハービー・ハンコックウェイン・ショーターに代表される「新主流派」のリリース・ラッシュ。
 それなのに,デューク・ピアソンの思うがままに『和風』3管ハード・バップを作らせたアルフレッド・ライオンデューク・ピアソンに対する信頼とは如何許りであろうか?

WAHOO-2 さて,ここまで書いてきてあれなのたが,個人的には『ワフー』は,デューク・ピアソン名盤群からはワンランク落ちる。理由は全体のトーンが落ち着いて重い。
 『ワフー』で,グッと来るのは【FAREWELL MACHELLE】【WAHOO】の2トラックのみ。

 これは『ワフー』の制作を許したブルーノートアルフレッド・ライオンにとっての悲しいお知らせであるが『ワフー』でデューク・ピアソンが取り組んだ“管を鳴らす”アイディアが音楽として完成したのは,後の『INTRODUCING DUKE PEASON’S BIG BAND』ではなく,アトランティック・ジャズからリリースされた『HONEYBUNS』と『PRAIRIE DOG』の方である。

 しかし,そうではあってもデューク・ピアソン・フリークにとって『ワフー』の重要性はやっぱり外せない。
 ドナルド・バードトランペットジェームス・スポールディングアルトサックスジョー・ヘンダーソンテナーサックスを3管アンサンブルとしてではなく,美空ひばりばりのソウルフルなソロイストとしても起用したデューク・ピアソンのハイセンスな音楽眼は聴き逃せない。

  01. AMANDA
  02. BEDOUIN
  03. FAREWELL MACHELLE
  04. WAHOO
  05. ESP(EXTRASENSORY PERCEPTION)
  06. FLY LITTLE BIRD FLY

(ブルーノート/BLUE NOTE 1965年発売/TOCJ-4191)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,上条直之,福山誠)

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国府 弘子 / ピアノ・レター5

PIANO LETTER-1 国府弘子の“最高傑作”が『PIANO LETTER』(以下『ピアノ・レター』)である。

 『ピアノ・レター』には管理人のド・ストライク=【さくら便り】と【忘れないよ】が収録されている。ただそれだけで“最高傑作”に決まったわけなのだが,こんな名曲&名演が2曲も入っているアルバムなんて,そう多くはありません。
 4曲目で大泣きして9曲目でむせび泣く。CD1枚で映画1本分の涙が出てスッキリ。しかも感動が1週間も長続きするのです。

 『ピアノ・レター』の「愛と希望,そして勇気」な音造りは,基本『DIARY』の延長線上に生まれた“国府ワールド”の最終完成作である。
 『ピアノ・レター』での国府弘子は,ジャズピアニストであり,ピアノ・フュージョンなプレイヤーなのだが,全体の印象としては「バンド・リーダー」のように感じてしまう。

 日本人なら心の琴線に触れまくってしまうであろう,満開の【さくら便り】の三好功郎の“別れのギター”のフィルイン一発の破壊力から一転した八尋洋一の“グイグイ”ベース
 そうして,懐かしい故郷,子供の頃に感じた夏の終わりとか,幸福な瞬間のアルバムをめくっているような気分に襲われる【忘れないよ】での篠崎正嗣ストリングスは,共に美しいピアノメロディーではなく,ギターベースストリングスで「思いの丈」を表現したからこその感動ものだと思っている。

 そう。国府弘子は,もはや自らピアノを弾かなくとも,自分の音を狙い通りに奏でることができるコンポーザーにしてアレンジャー「ザ・国府弘子」なのである。
 これまでは都会的でハートフルな表現を得意としてきた国府弘子が,ポップスに寄ってエンターテイメントなピアノを弾いていく。しかし,どうしようもなくJAZZYである。書き譜のPOPなメロディー・ラインがアドリブで跳ねているように聴こえてしまう。

 国府弘子の人一倍感傷的なのに,明るく前向きな音楽が前面に出てきている。しかし,そこにはどうしても隠せない国府弘子の個性=女性らしさ,優しさ,弱さ,もろさが同居して響いている。
 ピアノを弾いて,一生懸命に励ましてくれてありがとう。優しさに包まれ癒されました。今度は僕が君を励ましてあげる番だから…。

PIANO LETTER-2 『ピアノ・レター』で,国府弘子デビュー当時の「不思議ちゃん」から「大人のジャズピアニスト」へと見事に変貌を遂げている。ジャズピアニストとして,表現の幅が広がったのだと思う。

 アコースティックピアノ・トリオを基本としつつ,例えばピアノソロ曲【スノー・ホワイト】などは,従来の国府弘子が積み重ねてきた“国府ワールド”がより鮮明に浮かび上がっており,国府弘子が伝えたかった音楽の本質が露わになったように思う。

 管理人の結論。『ピアノ・レター批評

 『ピアノ・レター』は「大人のジャズピアニスト国府弘子直筆の「ピアノで書き記された手紙」である。
 心のひだを震わせる,幾重にも重ね塗りされたPOPにして奥深い音選びによる「唯一無二の表現力」は,日本の文学史上?かなりの名文だと思われます。

  01. RIVER DANCE
  02. GO GO GODZILLA
  03. FOR YOUR BIRTHDAY
  04. SAKURA-DAYORI
  05. SNOW WHITE
  06. AZZURRO FANTASIA
  07. THE STRANGER
  08. ACROSS THE MILES
  09. WASURENAI-YO
  10. SEKAI WA MELODY

(ビクター/JVC 1999年発売/VICJ-60420)

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デューク・ピアソン / エンジェル・アイズ5

ANGEL EYES-1 デューク・ピアソンの“幻の名盤”というか“幻のレーベル”「JAZZ LINE」の1枚が『ANGEL EYES』(以下『エンジェル・アイズ』)。

 「JAZZ LINE」から正式にカタログとしてリリースされた『ハッシュ!』はまだしも『エンジェル・アイズ』の方は未発表音源のお蔵入り。
 リリースして回収するまでの資金がショートしただけの,内容は完璧&発売目前でのお蔵入り。
 そう。『エンジェル・アイズ』こそが真に“幻の名盤”である。

 『エンジェル・アイズ』は,ピアノデューク・ピアソンベーストーマス・ハワードドラムレックス・ハンフリーズによるピアノ・トリオ作。
 デューク・ピアソンピアノ・トリオと来れば,やはりブルーノートの2枚『PROFILE』と『TENDER FEELIN’S』がいい。いいのだが,ちょっと新感覚すぎるかもしれない。

 その点で『エンジェル・アイズ』でのデューク・ピアソンは,古風で正統派で“センス一本勝負の”ピアノ・スタイル。
 ブルーノート盤のリリカルで色鮮やかなピアノから離れて,何の気負いもなくピアノを楽しみながら弾いているだけなのだが,この心底上品な演奏に心揺さぶられてしまう。
 良く知られたジャズスタンダードを「慈しみながら」デューク・ピアソン流に弾いているのだが,鼻歌まじりのアドリブの美メロが素敵すぎる。メロディーが心に沁み渡ってくる。

 そう。『エンジェル・アイズ』でのデューク・ピアソンのオーソドックスなジャズ・ピアノには雰囲気がある。そして色気がある。

ANGEL EYES-2 管理人の結論。『エンジェル・アイズ批評

 デューク・ピアソンのさりげなく小技を効かせた,あっさり味の「後を引かない」ジャズ・ピアノが聴き流せない。逆に聴けば聴くほどクセになる。

 クライマックスを作らない,自由自在のアドリブメロディーの良さを伝えてくる。これって簡単そうで並みのピアニストには出来ない芸当だと思う。
 デューク・ピアソンの“さらりとした”ジャズ・ピアノが,どうにも心に引っ掛かる。いい演奏である。
 
  01. Bags' Groove
  02. Le Carrousel
  03. Angel Eyes
  04. I'm An Old Cow Hand
  05. Jeannine
  06. Say You're Mine
  07. Exodus
  08. Le Carrousel (alternate take)
  09. I'm An Old Cow Hand (alternate take)
  10. Say You're Mine (alternate take)

(ジャズライン/JAZZLINE 1962年発売/MZCB-1184)
(☆HQCD仕様)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/後藤誠,小川充)

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国府 弘子 / ダイアリー5

DIARY-1 『DIARY』(以下『ダイアリー』)は国府弘子の7ヶ月間のロサンゼルス生活からの帰還報告。
 『ダイアリー』の音楽日記から聴こえてくるのは国府弘子の充実ぶり! 国府弘子が心温まるメロディー・ラインでガンガン押してくる!

 最初に耳が行くのは有名曲4曲のカヴァーであろう。
 国府弘子パトリース・ラッシェン杏里の純POP。ビートルズの手を離れた国府弘子の考える「ザ・ビートルズ」のホーン隊を引き連れたドライブとピアノ・トリオEL&Pの大噴火カヴァー上原ひろみプログレ・パンク・フュージョンに負けない“跳ね具合”にニッコリである。

 その後,このニッコリは国府弘子オリジナル5曲に完全移行する。オリジナルメロディー・ラインがとにかく最高。
 【ゴーイング・ゴーイング・オン】での“COOL”な「国府弘子は決める時は決める」カッコ良さ。心がかき乱された後に落ち着く,一晩中聴いていたい【サンセット・ビーチ】の哀愁バラード。ドラマティックなフルートを“プッシュ”するラテン・ピアノの【アイ・ドゥ・ホワット・アイ・ウォント】。キース・ジャレットケルン・コンサート』ばりの【アプレ・ラムール(ミッシング・ユー)】の甘くロマンティックソロ・ピアノ。【シティ・オブ・エンジェルス】での“せつない系”スムーズ・ジャズ

DIARY-2 『ダイアリー』を実際に手に取るまでは,どうやらロサンゼルス,なにやらアメリカの香りいっぱいなアルバムだろうと予想した。
 しかし,本当の『ダイアリー』は「日本大好き」国府弘子の『ダイアリー』であった。

 国府弘子がロサンゼルスに行って外から自分を見つめ直した?美メロに毎回心を射抜かれてしまう。何度聴いても感動する。ますます感動が深まっていく。
 特に八尋洋一ベース村石雅行ドラムとのコンビネーションが完璧すぎてゾクゾクする。

 あ・れ・れ・っ。セラビーってこんなにも国府弘子が好きだったっけ? もはや国府弘子なしでは生きていけない感じ?
 セラビーは『ダイアリー』以降の国府弘子を一人のクラスメートではなく一人の女性としてハッキリ意識するようになりました。← なんでやねん。

  01. GOING, GOING ON
  02. REMIND ME
  03. DRIVE MY CAR
  04. LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS
  05. TARKUS:ERUPTION〜STONES OF YEARS
  06. SUNSET BEACH
  07. I DO WHAT I WANT
  08. APRES L'AMOUR
  09. CITY OF ANGELS

(ビクター/JVC 1998年発売/VICJ-60210)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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デューク・ピアソン・クインテット / ハッシュ!5

HUSH!-1 デューク・ピアソンの“幻の名盤”というか“幻のレーベル”「JAZZ LINE」の1枚が『HUSH!』(以下『ハッシュ!』)。

 デューク・ピアソンの才能に目を留めたのはブルーノートの「総裁」アルフレッド・ライオンだけではなかった。パシフィック・ジャズ出身のフレッド・ノースワーシーなる人物である。
 そんなフレッド・ノースワーシーが設立したのが「JAZZ TIME」レーベルであり,後の「JAZZ LINE」レーベルであるが,すぐに倒産してしまった。倒産の理由はフレッド・ノースワーシーの好みのジャズメンがマニアックすぎたから,と言われている。

 そんな玄人好みの「JAZZ TIME」が3枚+「JAZZ LINE」が2枚の合計5枚の貴重なレコーディング・メンバーにデューク・ピアソンが含まれている。
 少量生産の完全なるコレクター・アイテムである。レア品なのである。内容が良くても会社がなくなったのだから陽の目を見ない。だから“幻の名盤”なのである。

 さて,こんな書き出しで紹介した『ハッシュ!』=“幻の名盤”説であるが,管理人は『ハッシュ!』=“幻の名盤”説にはもう1つの意味があると思っている。
 それはデューク・ピアソン名盤群の中で『ハッシュ!』だけが,ツイン・トランペットによる「異色の編成」で制作されている事実。

 そう。デューク・ピアソンのファンが『ハッシュ!』について“幻の名盤”と語る時,それは「JAZZ LINE」だからではなく“管を鳴らす”デューク・ピアソンが手掛けた,唯一のツイン・トランペット編成のことを指すのである。

HUSH!-2 『ハッシュ!』のメンバーは,ピアノデューク・ピアソンベースボブ・クランショウドラムウォルター・パーキンスによるピアノ・トリオに,トランペットドナルド・バードジョニー・コールズ

 ドナルド・バードジョニー・コールズのスタイルが近いせいなのか,ツイン・トランペットならではのホーン・アンサンブルが美味い。同じ音域のトランペットの2台のズレが旨い。
 この辺のアレンジメントがデューク・ピアソンの“らしさ”である。『ハッシュ!』の中に充満している,後年のプロデューサー的な秀逸なバランス感覚にアルフレッド・ライオンフレッド・ノースワーシーも惹かれてしまったのだろう。

 渋い演奏である。それだけではなく温かい演奏である。素朴な旋律のジャズ・ピアノに乗ったツイン・トランペットのライン取りが『ハッシュ!』を,デューク・ピアソン・ファンが選んだ“幻の名盤”へと押し上げた要因である。

  01. Hush!
  02. Child's Play
  03. Angel Eyes
  04. Smoothie
  05. Sudel
  06. Friday's Child
  07. Out Of This World
  08. Hush! (alternate take)
  09. Child's Play (alternate take)
  10. Sudel (alternate take)
  11. Groovin' For Nat' (Unissued take)

(ジャズライン/JAZZLINE 1962年発売/MZCB-1183)
(☆HQCD仕様)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/後藤誠,馬場雅之,原田和典)

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