アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

フュージョン

難波 弘之 / ゴールデン☆ベスト 難波 弘之 WORKS4

HIROYUKI NAMBA WORKS GOLDEN☆BEST-1 『ゴールデン☆ベスト』シリーズで所有しているのは『HIROYUKI NAMBA WORKS GOLDEN☆BEST』(以下『ゴールデン☆ベスト 難波弘之 WORKS』)と『JUN FUKAMACHI GOLDEN☆BEST』の2枚だけである。

 本当は『ゴールデン☆ベスト 難波弘之 WORKS』を欲しかったわけではなかったのだが,唯一「EXHIVISION」の未発表曲を聴きたかったので購入した。

 お目当ての【NEVERMORE】は期待通りの名演であった。雰囲気としては【DIMENSION TRAVELLER】に似ているかなぁ。
 “超絶技巧”の難波弘之和田アキラ永井敏己長谷川浩二がメロディアス。譜面通りなのに譜面以上の快演である。素晴らしい。

 でもでも,そんな「EXHIVISION」としての難波弘之は『ゴールデン☆ベスト 難波弘之 WORKS』の名曲群を前にしたら,多彩な活動のほんの一面に過ぎないことがよ〜く理解できた。

 個人的に難波弘之と来れば“プログレフュージョンの人”であって,これまで「SENSE OF WONDER」の難波弘之と「野獣王国」の難波弘之と「EXHIVISION」の難波弘之としか接してこなかった。
( あっ,難波弘之との一番の思い出は,NHK教育で見ていた「ベストサウンド」であって,ドラムそうる透の講義が好きだった! )

 ゆえに『ゴールデン☆ベスト 難波弘之 WORKS』で,初めて「MARI & BUX BUNNY」の難波弘之に「NUOVO IMMIGRATO」の難波弘之に「A.P.J.」の難波弘之に「VIBES」の難波弘之に接して,氏のロック志向を理解できた気分である。

HIROYUKI NAMBA WORKS GOLDEN☆BEST-2 そう。難波弘之がいつも凄い演奏に没頭できるのは「予防線としての歌える楽曲作り」に端を発している。
 どんなに演奏で熱くなったとしても“歌もの”の意識が離れないからアドリブが破たんすることはない。曲作りの段階から事前にそういうガードを張っていることが,年代順に編集された『ゴールデン☆ベスト 難波弘之 WORKS』から伝わってくる。

 ただし,難波弘之の“ロックの人”が理解できたからといって,深町純のように過去作を掘り続けようとは思いません。
 管理人の大好きな難波弘之とは“ロックの人”ではなく“プログレフュージョンの人”難波弘之なのです。

  01. 化石の街
  02. 空中の音楽
  03. 碧い星で
  04. DIMENSION TRAVELER
  05. Fly Away
  06. SKELETON CREW
  07. Labyrinthos
  08. いつか,青空のように…
  09. Voice
  10. Little mermaid 〜星に願いを〜
  11. Metal Snow
  12. Nevermore

(ユニバーサル・ミュージック/UNIVERSAL MUSIC 2008年発売/UPCY-6485)
(ライナーノーツ/難波弘之)

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / E.S.T. ライヴ5

E.S.T. LIVE-1 管理人は「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」が大好きである。現代最高のピアノ・トリオの1つで間違いない。

 こう書いてはいるが実は管理人「e.s.t.」に惹かれたのは,エスビョルン・スヴェンソンピアノというよりも,歪んだ電子音のキーボードがきっかけであった。
 正統派なアコースティック・ピアノの後ろで,随分と変態チックなキーボードが被さっている。そのキーボードが絶対にピアノの前に出ない所にエスビョルン・スヴェンソンのポリシーを感じて大好きになった。
 キーボードっていうところが,現代のジャズ・ピアノの「革新」のように思う部分があったからだ。

 だから『FROM GAGARIN’S POINT OF VIEW』→『GOOD MORNING SUSIE SOHO』→『STRANGE PLACE FOR SNOW』の次に買った『E.S.T. LIVE』(以下『E.S.T. ライブ』)に「怒涛の三部作」以上の衝撃を受けた。
 「エスビョルン・スヴェンソンという人は,ピアノを弾くサウンド・クリエイターなどではなく,超一流のジャズ・ピアニストだったんだ…」。

 そう。だからこそエスビョルン・スヴェンソンというジャズ・ピアニストに,ピアノだけでなくソプラノサックスパーカッションを演奏していた,アメリカン・カルテット活動時のキース・ジャレットを重ね見るようになった。
 キース・ジャレットの後継者としてよく名前が挙がるのはブラッド・メルドーであるが,個人的にはキース・ジャレットの真の後継者はエスビョルン・スヴェンソンの方だと思っている。

 …ということはエスビョルン・スヴェンソンが没した今,もはやキース・ジャレットの後継者は現れることはない。こうなりゃ,一心不乱に「e.s.t.」を聴き込むのみ!

 エスビョルン・スヴェンソンキース・ジャレットと同様,唸るんだよなぁ。エスビョルン・スヴェンソンの唸りは『GOOD MORNING SUSIE SOHO』で確認済であったが,ライブ盤である『E.S.T. ライブ』を聴いて確信へと変わった。

E.S.T. LIVE-2 管理人の結論。『E.S.T. ライブ批評

 【SAY HELLO TO MR.D(TO MR.S)】【THE RUBE THING】【MR.&MRS.HANDKERCHIEF】【DODGE THE DODO】の4トラックが最高にCOOL!
 ロック的なリフやゴスペル的響き,エスビョルン・スヴェンソンのメロディックなアドリブは「e.s.t.」だけのものであろう。

 『E.S.T. ライブ』は『FROM GAGARIN’S POINT OF VIEW』以前の,未だジャズの範疇にいた「e.s.t.」の貴重な記録である。
 オーソドックスなジャズからスタートして,未知の音楽を切り開いた「e.s.t.」の偉大さを,今,俯瞰的に知ることができる。

 ピアノだけに専念するエスビョルン・スヴェンソン。いいですよっ。

  01. Say Hello To Mr.D (to Mr.S)
  02. The Rube Thing
  03. Happy Heads And Crazy Feds
  04. The Day After (leaving)
  05. Like Wash It Or Something
  06. Breadbasket
  07. What Did You Buy Today
  08. Hymn Of The River Brown
  09. Same As Before
  10. Mr.&Mrs. Handkerchief
  11. Dodge The Dodo

(アクト/ACT 2002年発売/DICT-24018)
(ライナーノーツ/多田雅範)

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上原 ひろみ×エドマール・カスタネーダ / ライヴ・イン・モントリオール5

LIVE IN MONTREAL-1 ちょっとした予備知識はあったのだが『LIVE IN MONTREAL』(以下『ライヴ・イン・モントリオール』)を初めて聴いて「あれっ,これってデュエットではなくバンドだったんだ」と思ってしまった。

 実は管理人と同じような経験をした上原ひろみ・ファンは多いのではないだろうか? 素直に『ライヴ・イン・モントリオール』を「音から入る」と,エドマール・カスタネーダハーブの他に,ギタリストとのベーシストが参加しているように聴こえてしまう。

 こんな体験が出来るのが『ライヴ・イン・モントリオール』の醍醐味である。南米のハーブ奏者=エドマール・カスタネーダ名演に何度驚かされてしまったことだろう。
 そうして,そんなエドマール・カスタネーダと新しい音楽を創造する喜びを感じている上原ひろみがこれまた凄い! 『ライヴ・イン・モントリオール』の大胆にして細やかな丁々発止は,まさしく新鮮にして超ジャンルな広がりと甚大な訴求力を持っている!

 そう。上原ひろみとしては,音の響きが珍しい。ピアノハーブとのデュエットにチャレンジしたというよりは,エドマール・カスタネーダというジャズマンとのデュエットにチャレンジしたのだと思う。

 エドマール・カスタネーダの“超絶技巧”の音楽性,リズムの取り方も個性的だし,アドリブやハーモニーの付け方が真に素晴らしい。上原ひろみエドマール・カスタネーダにメロメロになったのはこの部分なんだろうなぁ。管理人も上原ひろみ同様にメロメロになってしまいましたとさっ。

LIVE IN MONTREAL-2 過去にチック・コリア矢野顕子との(近年はタップダンスの熊谷和徳とも)名盤を残したデュエットの名手=上原ひろみ

 しかし,エドマール・カスタネーダとのデュエットは,過去の3枚のデュエット作とはテイストが異なる。
 ズバリ『ライヴ・イン・モントリオール』における,上原ひろみエドマール・カスタネーダデュエットの真髄は「同時代バイブレーション」にある。

 これまでは,どうしても敬愛の気持ちが溢れたデュエットであって「追いつけ追い越せ」の上原ひろみと「私だって,ほら,ここまでできるんですよ」的な上原ひろみの“ミテミテ病”が入っていたように思う。

 その意味では「胸を借りる」ではなく「胸を貸す」立場になって初めてのデュエットである『ライヴ・イン・モントリオール』における上原ひろみの変化は,相手の一挙手一投足をこれまで以上に観察していること。つまりはリターンを得意とする上原ひろみの新カットマン・スタイル。

LIVE IN MONTREAL-3 自分自身が前に出るだけではなく,エドマール・カスタネーダを前に押し出す意識が,これまでのデュエット・アルバムの何倍も強い。

 そう。『ライヴ・イン・モントリオール』はデュエット・アルバムのお手本のようなアルバムである。
 あっ,上原ひろみのお師匠さん=チック・コリアにもゲイリー・バートンとのデュエット・アルバムのお手本のようなアルバムがありましたねっ。

PS 「LIVE IN MONTREAL-3」は販促用のボールペンです。

  CD
  01. HARP IN NEW YORK
  02. FOR JACO
  03. MOONLIGHT SUNSHINE
  04. CANTINA BAND
    THE ELEMENTS
  05. AIR
  06. EARTH
  07. WATER
  08. FIRE
  09. LIBERTANGO

  DVD
  01. THE ELEMENTS "FIRE" - LIVE CLIP
  02. HAZE - LIVE CLIP
  03. CANADIAN TOUR DOCUMENTARY AND INTERVIEWS

(テラーク/TELARC 2017年発売/UCCO-8018)
★【初回限定盤】 SHM−CD+DVD
★スリーヴ・ケース仕様
★8Pブックレット

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チャーリー・ヘイデン & ハンク・ジョーンズ / スピリチュアル5

STEAL AWAY-1 テンポの遅いデュエットを演らせたら,やはりチャーリー・ヘイデンが一番手であろう。とにかく軒並み出来が良い。
 キース・ジャレットパット・メセニーから始まって,ケニー・バロンしかり,ジム・ホールしかり,エグベルト・ジスモンチしかり…。

 そんな中,管理人がチャーリー・ヘイデンデュエット“最高傑作”として推すのが,ピアノの“御大”ハンク・ジョーンズとのデュエットSTEAL AWAY』(以下『スピリチュアル』)である。

 ハンク・ジョーンズの,リリカルで,それでいて万人受けするストレートなフレージングの説得力が,チャーリー・ヘイデンの朴訥で,斜に構えがちな重いフレージングとの絶大なる「相性の良さ」を感じさせる。
( チャーリー・ヘイデンハンク・ジョーンズによる続編『カム・サンデイ』はハンク・ジョーンズの遺作である。ハンク・ジョーンズにとっても特別だった? )

 同じピアニストであってもくすみがちの美しさのキース・ジャレットとストレートに煌びやかなハンク・ジョーンズでは全然違う。
 しかし,キース・ジャレットにしてもハンク・ジョーンズにしても,チャーリー・ヘイデンデュエットしている間は,類まれなる個性を捨てて,どちらも一介のジャズ・ピアニストに戻っている。

 ここにチャーリー・ヘイデンの個性が聴こえる。チャーリー・ヘイデンはまず共演者の音楽をじっくりと聴いている。そしてそのジャズメンの本音が聴こえ出すまで待つことができる人である。
 そうしてついに本音が聴こえ出した瞬間に共演者の意図を汲み取り,その場にふさわしい最高の音を選択する名手。表に出ようと裏に回ろうとも,いつでも音楽全体を優しく包み込み,自慢のベースをいつでも意識的に消すことができる。

 そう。チャーリー・ヘイデンは音楽の土台を支えるベーシストにして,共演者がどんなアドリブで弾けようとも,最後にはちゃんと帰って来る受け皿を準備している。
 デュエット中の共演者は,チャーリー・ヘイデンと2人でシーソーにでも乗ったかのような楽しい気分になるのだと思う。要するにチャーリー・ヘイデンとはバランサーなのだ。

 チャーリー・ヘイデンハンク・ジョーンズが『スピリチュアル』で選んだテーマは,古くから歌われてきた黒人霊歌や教会の賛美歌である。
 黒人音楽への敬意,普通の暮らしへの敬意,普通に生きている人々の日々の営みへの敬意,そういう暮らしを繰り返してきた先人たちへの敬意がアルバム全体に貫かれている。ここにアドリブは要らない。新しいアレンジも要らない。

STEAL AWAY-2 ズバリ『スピリチュアル』の聴き所は,円熟とも枯れとも何とも形容し難い,音数の少ないベースピアノの“エイジングされた”静かな語らいにある。

 チャーリー・ヘイデンベースが丸みを帯びている。ただ丸いだけではない。長い年月を経て熟成されて角がとれてきたような丸み,と書けばよいのだろうか,芯の部分では強い意思を保っていて,それが深いコクとまろやかさのある極上の味わいになっている。
 ハンク・ジョーンズピアノには,既に心に刻まれている,お馴染のメロディーをただなぞっただけの雰囲気がある。シンプルに,そしてたんたんと,リラックスした演奏が進行していく…。

 本を片手にぼんやりと『スピリチュアル』に向き合う幸福感がたまらない。ながら聴きの最中に,ふと音楽に耳を傾けたその瞬間,まるでシャッターで切り取られたかのような,極上のメロディーが耳に飛び込んでくる…。
 教会の机の木の香り,ひんやりとした空気,ステンドグラスの不思議な色合い,その向こうに見えた大きな木に揺れる緑の葉っぱ,薄い水色の高い空。そんなことを思い出す。ぼんやりとした記憶…。けれどもはっきりとした記憶…。

  01. IT'S ME, O LORD (STANDIN' IN THE NEED OF PRAYER)
  02. NOBODY KNOWS THE TROUBLE I'VE SEEN
  03. SPIRITUAL
  04. WADE IN THE WATER
  05. SWING LOW, SWEET CHARIOT
  06. SOMETIMES I FEEL LIKE A MOTHERLESS CHILD
  07. L'AMOUR DE MOY
  08. DANNY BOY
  09. I'VE GOT A ROBE, YOU GOT A ROBE (GOIN' TO SHOUT ALL
     OVER GOD'S HEAV'N)

  10. STEAL AWAY
  11. WE SHALL OVERCOME
  12. GO DOWN, MOSES
  13. MY LORD, WHAT A MORNIN'
  14. HYMN MEDLEY;
    ABIDE WITH ME
    JUST AS I AM WITHOUT ONE PLEA
    WHAT A FRIEND WE HAVE IN JESUS
    AMAZING GRACE

(ヴァーヴ/VERVE 1995年発売/POCJ-1273)
(ライナーノーツ/モーリス・ジャクソン,チャーリー・ヘイデン,アビー・リンカーン)

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MALTA / MALTA4

MALTA-1 管理人がMALTAを初めて聴いたのは,NHK−FM「SESSION’84」だったと記憶する。
 その日は特別MALTAを聴こう!と思ったわけではなく,ただ毎週の習慣でNHK−FM「SESSION〇〇」を聴いていた。だからMALTAについての予備知識など一切なしに,あの音色に直面した時の何とも言えない喜びの感情を覚えている。

 デビュー当時のMALTAのサウンドは,日本っぽくもあり日本っぽくない,そしてジャズっぽくもありジャズっぽくない,フュージョンっぽくもありフュージョンっぽくない「お洒落なシティ・ジャズ」だと思った。

 今思えば,あの時感じた「お洒落なシティ・ジャズ」とは,MALTAのオリジナリティであって褒め言葉になるのだろうが,正直,中学生には退屈なジャズであった。
 だから逆説的に,管理人にとってのMALTAとは,美しいサックス吹き,ただそれだけである。

 それゆえMALTAデビュー・アルバム『MALTA』を買って,ライナーノーツのクレジットを見て驚いてしまった。
 『MALTA』のサイドメンとして参加したのは,ピアノキーボード深町純野力奏一佐藤允彦ギターエリック・ゲイル松原正樹今剛ベース岡沢章ドラム渡嘉敷裕一山木秀夫。えっ,えっ,え〜!

 この豪華すぎるサイドメンのラインナップは渡辺貞夫と同格である。無名の新人と思って聴いていたMALTAは,ただの美しいサックス吹きではなかったのだ。

 しかし,管理人にとってMALTAの『MALTA』の印象は,何度聴いてもやっぱり「お洒落なシティ・ジャズ」止まり。
 こんなに豪華なサイドメンが揃っているのに,肝心のメロディーが頭の中に全く入って来ないし,お気に入りのアドリブもついに見つけることはできなかった。
 バブル期のJVCはジャパン・マネーの垂れ流し〜 ← 管理人はMALTA国府弘子も後追いの再評価組なのです。

( ジャズフュージョンを定期的に行き来するのがMALTAの音楽性の特長であるのは百も承知であるが「フュージョン8割:ジャズ2割」のMALTAが,そして「サックスジャズ,バック・サウンドはフュージョン」のMALTAこそが最高の仕上りだと思っている )

MALTA-2 管理人の結論。『MALTA批評

 MALTAの『MALTA』は「お洒落なシティ・ジャズ」アルバム。
 今でも聴いているのは,キュートなフュージョン系の【SHINY LADY】と絶品バラードの【EVENING CALM】の2トラックだけである。

 いいや,本気で聴いているのはアルトサックスの甘美な音色である。← MALTAアルトの音色はこの後メタリックへと徐々に変化していきます。真にアルトサックスの甘美な音色が聴けるのは『MALTA』と『SWEET MAGIC』の最初期の2枚だけ!

  01. SHINY LADY
  02. AMONG THE CLOUDS
  03. DANCE AFTER DANCE
  04. IN YOUR DREAM
  05. BRIGHT SILVER MOON
  06. NIGHT MAGIC
  07. EVENING CALM
  08. WHAT'S UP
  09. CRYSTAL RAINDROPS
  10. BE MINE

(ビクター/JVC 1984年発売/VDP-7)
(ライナーノーツ/波野未来)

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エルダー・ジャンギロフ / エルダー4

ELDAR-1 管理人にとって「新世代の天才」の称号にふさわしいのは“ジャズ・ピアニストエルダー・ジャンギロフが最後のように思う。
 実に10年以上,10代の「天才」ジャズメンが出現していない,という事実。ちょうどあの頃,エルダー・ジャンギロフ松永貴志上原ひろみ(ついでに矢野沙織ちゃん)がバンバン台頭していた時代の勢いが懐かしいもあり淋しくもあり…。

 でも多分そうではない。ここ10年,現代のジャズ・シーンにはきっと何人もの「新世代のスター」たちがデビュー飾っているはずである。
 そうであっても,管理人にはエルダー・ジャンギロフが最後の「新世代の天才」なのである。実に10年以上,時間がエルダー・ジャンギロフで止まっている。
 その理由は明白である。未だエルダー・ジャンギロフの『ELDAR』(以下『エルダー』)を超える“衝撃作”と出会えていない。ただそれだけのことであろう。 

 思うにこれが真実の理由であるのなら,もうしばらくエルダー・ジャンギロフに続く「新世代の天才」は現われないように思う。
 矢野沙織の場合がそうであったが,お〜っと,ジャズ・ピアニストを例に出した方が早いのかっ。ゴンサロ・ルバルカバの場合がそうであったが「新人」とか「10代」というキーワード抜きに音だけを聴いたら,もはや熟練のジャズ・ピアニストとウソの紹介をされても信じ込んでしまう。“天才”は若い頃から老いてもなお“天才”なのだから…。

 エルダー・ジャンギロフの“天才”の所以が『エルダー』の中にたっぷり濃縮。それは“超絶技巧”と“名作曲家”の2面にある。
 “ジャズ・ピアニスト”としてのエルダー・ジャンギロフのスゴ技は,正確無比な早弾きであろう。1曲目の【SWEET GEORGIA BROWN】で脳天かち割られてしまった後,マイケル・ブレッカーとの【SWEET GEORGIA BROWN】でのがっぷりヨツからの高速【MAIDEN VOYAGE】とダンシング【WATERMELON ISLAND】でのハービー・ハンコック祭りが素晴らしい。
 こう書くと“COOL”な演奏を思い浮かべるかもしれないが,実際は“HOT”で情感が乗っている。「オスカー・ピーターソンがインテリしている感じ」で良いと思う。

 もう1つの“名作曲家”としてのエルダー・ジャンギロフの“才”にも惚れ惚れする。この辺りのエルダー・ジャンギロフの“文才”が松永貴志上原ひろみと同列で比較される要因だと思うが,ジャズスタンダードのアレンジを聴く限り,既存曲を完全消化できたエルダー・ジャンギロフだから,スタンダードとは全く異なる“新しいもの”が出て来た感じでワクワクする。
 うん。『エルダー』は名盤である。「平成の怪物」盤の1枚に数えて良いと思う。

ELDAR-2 ただし,管理人は『エルダー』をもう10年は聴いていない。
 『エルダー批評の執筆のため,久しぶりに聴いてみたが,恐らく最後に『エルダー』を聴いた時10年前の感想と印象に変化はない。きっとこれからも『エルダー』を聴く機会は少ないことだろう。

 なぜなら『エルダー』を初めて聴いた瞬間の,あの“衝撃”が薄れる感じがする。聴き込めば聴き込むほどに,あの日の感動の“衝撃”が弱くなっていく…。
 あの日には感じなかったエルダー・ジャンギロフの「独りよがり」に気付いてしまった。例えば“超絶技巧”ベーシストジョン・パティトゥッチを置いてけぼりにする「我関せず」風の高速ドライブに,名手同士だけに許された絡みの楽しさを奪われたように感じてしまったから…。

 だ・か・ら・エルダー・ジャンギロフは『エルダー』以降は購入していない。きっとエルダー・ジャンギロフ自身が『エルダー』の“衝撃”を超えきれていないから…。
 だ・か・ら・エルダー・ジャンギロフに続く「新世代の天才」が現われない。敵はエルダー・ジャンギロフというジャズメンではなく『エルダー』という「平成の怪物」盤なのだから…。

  01. SWEET GEORGIA BROWN
  02. NATURE BOY
  03. MOANIN'
  04. POINT OF VIEW
  05. RAINDROPS
  06. LADY WICKS
  07. MAIDEN VOYAGE
  08. 'ROUND MIDNIGHT
  09. ASK ME NOW
  10. WATERMELON ISLAND
  11. FLY ME TO THE MOON

(ソニー/SONY 2005年発売/SICP 802)
(ライナーノーツ/ビリー・テイラー,小川隆夫)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1991年度(第25回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1991年度(第25回)の発表です。

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アース・ウォーク★【金賞】.アース・ウォーク
ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション


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ウェルカム・トゥ・ラブ★【銀賞】.ウエルカム・トゥ・ラブ
ファラオ・サンダース


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ユ−・ガッタ・ペイ・ザ・バンド★【ボーカル賞】.ユー・ガッタ・ペイ・ザ・バンド
アビー・リンカーン・ウイズ・スタン・ゲッツ


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プレイズ・ビバップ Vol.1★【日本ジャズ賞】.プレイズ・ビ・バップ Vol.1
富樫雅彦 & J.J.スピリッツ


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ヴォイス★【日本ボーカル賞】.ヴォイス
中本マリ


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シャキルの戦士★【制作企画賞】.シャキルの戦士
デビッド・マレイ〜ドン・プーレン〜スタンリー・フランクス〜アンドリュー・シリル

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日本ジャズ体系★【編集企画賞】.日本ジャズ体系 (King)



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ドン・キホーテ★【録音賞(海外)】.ドン・キホーテ
 チャールス・ファンブロー


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アース・ウォーク★【録音賞(国内)】.アース・ウォーク
ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション


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ジョン・コルトレーンの世界 [DVD]★【最優秀ビデオ賞】.ジョン・コルトレーンの世界
 ジョン・コルトレーン



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 ジャック・デジョネット・スペシャル・エディションの『アース・ウォーク』が【金賞】受賞。
 出すアルバムが全て絶賛されてきたジャック・デジョネットの「スペシャル・エディション」。そんな「スペシャル・エディション」が,史上最高のアルバムを作ったのだから【金賞】受賞も当然だと思う。

 アルバム毎にほぼメンバーが入れ替わってきた「スペシャル・エディション」。『アース・ウォーク』のフロントは,ゲイリー・トーマスグレッグ・オズビーツインサックスに,新加入のマイケル・ケインキーボード

 ゲイリー・トーマスグレッグ・オズビーがクリエイティブ。そんな2人の熱演をスケール豊かに包み込み,最終的な音の表情を作り上げるマイケル・ケインが八面六臂の大活躍。

 トンガリ系でぶっ飛び系なのに,最新テクノロジー化された手作りの音がそこはかとなく温かい。ジャック・デジョネット=素晴らしいセンスの“音楽家”爆発アルバムである。

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チック・コリア・アコースティック・バンド / ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京5

LIVE FROM THE BLUE NOTE TOKYO-1 移り気なチック・コリアの膨大なプロジェクトの中にあっても“瓢箪から駒”の「アコースティック・バンド」。
 だからデイブ・ウェックルのトラとしてヴィニー・カリウタが参加したと聞いてはいても「気が動転する」ようなことはなかった。

 でも『LIVE FROM THE BLUE NOTE TOKYO』(以下『ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京』)を実際に耳にしたとき「気が動転して」しまった。

 なんだかこれまでチック・コリアを聴いて時を過ごしてきた様々な思い出,その時々の感情,そしてチック・コリアに関連して貯め込んできた知識がフラッシュバックの如く頭の中を一気に駆け巡ったことをよく覚えている。

 チック・コリアドラマーと来れば,スティーヴ・ガッドデイブ・ウェックルにような「正確無比」なバカテク・フュージョン系のドラマーの名前を真っ先にイメージしてしまうのだが,例えばジャズ系のロイ・ヘインズジェフ・バラード,ロック系のレニー・ホワイトと共演した時のチック・コリアも一興である。
 そう。チック・コリアベーシストの変更以上にドラマーの個性に感化されるタイプだと思う。

 その意味で「“NEW”AKOUSTIC BAND」とクレジットされたヴィニー・カリウタドラミングに,チック・コリアがこれまでになく創造力を刺激された演奏を聞くにつれ,デイブ・ウェックルのことが気になるし,ジョン・パティトゥッチの心情も気になってくる。
 音楽以外の事で「胸騒ぎを覚える」。『ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京』はそんなアルバムであった。

 ズバリ『ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京』のハイライトは,これまでのデイブ・ウェックルとの蜜月を吹き飛ばす,ヴィニー・カリウタの譜面上から“飛び出す”ドラミングに尽きる!

LIVE FROM THE BLUE NOTE TOKYO-2 ヴィニー・カリウタシンバルバスドラの「乱れ打ち」に驚愕してしまう。しなやかなのに大きくウネリながらポリリズムばりに4ビートで疾走するドラミングに狂喜乱舞してしまう。
 そう。『ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京』とは,ヴィニー・カリウタチック・コリアを“吹き飛ばした”瞬間の記録である。

 チック・コリアヴィニー・カリウタが良く言うと「ユニゾン」している。まっ,普通に語ると「音が被って」いる。結果,ぶつかり合ったピアノドラムではドラムが優勢となっている。
 素晴らしいのは『ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート東京』でのアドリブ合戦の全てが全て,音楽的である。そのことに尽きる。

 チック・コリアヴィニー・カリウタが共に“歌っている”。2人の作曲家が「ブルーノート東京」のステージ上で共作を産み落としていく。
 そしてジョン・パティトゥッチのコンテンポラリー系のベースが,抜群の対応力がいつも以上に素晴らしい。ウッドベース1本なのに「AKOUSTIC」にも「ELEKTRICK」にも“七変化”しつつスイングしている。鬼の職人の仕事ぶりだと思う。

 とにもかくにも,ここまでチック・コリアが押されるアルバムはそう滅多に聴けやしない。
 ヴィニー・カリウタに,自身の体内に宿る,新しい音楽のツボを押されたチック・コリアは,メンバーを一新して「チック・コリア・エレクトリック・バンド」へと舞い戻る〜!

LIVE FROM THE BLUE NOTE TOKYO-3 う〜む。ヴィニー・カリウタを擁する「“NEW”AKOUSTIC BAND」がその後も継続していたら…。夢は膨らむ…。管理人の妄想も膨らむ…。

 チック・コリアヴィニー・カリウタが再演した「FIVE PEACE BAND」でのスーパー・ライブは,ジョン・マクラフリンヴィニー・カリウタ以上に共演を“待ち設けていた”ケニー・ギャレットへの思い入れがめちゃめちゃ強く「ケニー・ギャレット一色」になってしまったわけだが,落ち着いて繰り返し聴いてみると“ヴィニー・カリウタ祭り”の匂いがプンプン!

 チック・コリアさん(ヴィニー・カリウタのギャラが高額だとしても)もう一度,ヴィニー・カリウタとの再演を!
 もう一度,ヴィニー・カリウタさんへの「夢や憧れ」を「形として」現実化してくださ〜い。

  01. HUMPTY DUMPTY
  02. NEW WALTSE
  03. WITH A SONG IN MY HEART
  04. CHASIN' THE TRAIN
  05. SUMMER NIGHT
  06. TUMBA
  07. AUTUMN LEAVES

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 1996年発売/MVCR-240)
(ライナーノーツ/成田正)

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高中 正義 / SUPER TAKANAKA BEST4

SUPER TAKANAKA BEST-1 何度も書いているが,管理人はベスト盤は買わない主義。なぜならオリジナル・アルバムをコンプリートすればベスト盤は「無用の長物」となってしまうから! 管理人は気に入ったジャズメンは全部買い集める主義なのだ。

 その上で書く。高中正義については既にキティ時代のベスト盤『TAKANAKA’S COCKTAIL』を購入済。
 な・の・に・高中正義2枚目のベスト盤『SUPER TAKANAKA BEST』を買ってしまった。

 一番の理由は(未だに検索キーワード:「レコードショップ・まさ」で訪問者がある)閉店セールで,新品CD50%OFFだったからなのだが,選曲を見て心動かされてしまったのも事実。
 【黒船(嘉永六年六月四日)】である。サディスティック・ミカ・バンド・オリジナルの【黒船(嘉永六年六月四日)】である。これが欲しかったのだ〜。

 この理論は今までのセオリーと矛盾しない。“ジャズフュージョンくくり”において,サディスティック・ミカ・バンドを1枚も購入することはないのだから…。

 でっ,個人的には『SUPER TAKANAKA BEST』は,未所有のトラックと【黒船(嘉永六年六月四日)】だけを聴いていたのだが,今回の『SUPER TAKANAKA BEST批評に合わせて,久方ぶりに頭から聴き通してみた。

 でっ,感想。高中正義には3回のピークが存在する。1回目の山がキティ時代の永遠に色褪せない「夏ソング」の名曲群。2回目の山が東芝EMI移籍後ダッシュの『TRAUMATIC 極東探偵団』と『JUNGLE JANE』の2枚組。3回目の山が東芝後期の「TAKANAKA・AOR」時代である。
 どちらにしても「夏音」なのだが,3回のピークがそれぞれ表情の異なる「夏音」が奏でられていて聴き比べが興味深い。 

SUPER TAKANAKA BEST-2 管理人の結論。『SUPER TAKANAKA BEST批評

 『SUPER TAKANAKA BEST』に「MASAYOSHI TAKANAKA」の歴史あり!

 「スーパーベスト盤」なので星5つに値するのだが,やっぱり【MALIBU】と【JUMPING TAKE OFF】が選外なので,イマイチ気持ちが入らない。星4つ。

  01. OH! TENGO SUERTE
  02. READY TO FLY
  03. BLUE LAGOON
  04. ALONE
  05. SAUDADE
  06. 渚・モデラート
  07. SHAKE IT
  08. THE PARTY'S JUST BEGUN
  09. SAY YOU'RE MY BABY
  10. MY LOVE
  11. BLUE STRIPE
  12. ANOTHER SUMMER DAY
  13. GUITAR WONDER
  14. INTO THE SKY
  15. 黒船(嘉永六年六月四日)

(エキスプレス/EXPRESS 1997年発売/TOCT-10150)

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エディ・ハリス / カモン・ダウン4

COME ON DOWN!-1 エディ・ハリスと来れば「電気サックスの人」として有名であるが,それって新しもの好きで新しい楽器も流ちょうに演奏できるエディ・ハリスのマルチな才能の表われであって,エディ・ハリスの根っ子には「ファンキー」を感じている。

 そんな「ファンキー・キング」エディ・ハリスが,例の新しもの好きに惹かれて,サザン・ロックで「ファンク」したのが『COME ON DOWN!』(以下『カモン・ダウン』)である。

 要するに,流行りの音楽を最新の楽器で演奏したわけなのだが,エディ・ハリス特有の“緩いノリ”がロック・ビートと相まって,ジャズの枠を超えてダンサブル。本当に「器用貧乏」の貧乏くじを引いた人なのだと思っている。

 スタイルをチェンジし続けるエディ・ハリスの『カモン・ダウン』は,サザン・ソウル的なファンキー・ジャズ
 サザン・ロックの陽気なサウンドがエディ・ハリスの「電気サックス」で見事になぞらえていく。これは楽しいポップ・アルバムと捉えてしまいがちであるが,繰り返し聴いているとエディ・ハリスの根っ子=「ファンキー」が聴こえてくる。

 サックス・プレイヤーとしてのエディ・ハリスには,それこそ「怪人二十面相」を実現したキワモノの趣きが漂っているが,エディ・ハリスの音楽性には,いつでも「ファンキー」が混ざっている。

COME ON DOWN!-2 管理人の結論。『カモン・ダウン批評

 前ノリ,後ノリ,タテノリ,ヨコノリ,何でも来い! 全てのノリを乗りこなすエディ・ハリスがサザン・ロックの“緩いノリ”でまどろんだのが『カモン・ダウン』。
 ファンキー・ジャズの軽めの演奏に「電気サックス」が映えている。

PS エディ・ハリスは,その昔,某友人からCDを貸りてアルバム10枚は聴いていましたが,敬愛するブランフォード・マルサリスをして「唯一のサックスの巨人」と言わしめたエディ・ハリスには未だ出会えないでいます。今回,もしやと思って購入した『カモン・ダウン』の1枚だけがエディ・ハリスコレクションです。

  01. DON'T YOU KNOW YOUR FUTURE'S IN SPACE
  02. LIVE RIGHT NOW
  03. REALLY
  04. NOWHERE TO GO
  05. FOOLTISH
  06. WHY DON'T YOU QUIT

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1970年発売/WPCR-27921)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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高中 正義 / アクアプラネット4

AQUAPLANET-1 高中正義→「夏」→「海」である。『AQUAPLANET』(以下『アクアプラネット』)では,さらに一歩進めて「水族館」へと寄せて来た。
 『アクアプラネット』=「水族館」であるだけに『アクアプラネット』=「TAKANAKA・AOR」のショーケースの趣きである。

 『アクアプラネット』での高中正義が実にスムージー。「水族館」に行って“心洗われる”と同じように『アクアプラネット』が流れてくると“心洗われる”。
 『アクアプラネット』を聴いていると海中の世界の美しさとか透明感がイメージとして伝わってくる。とってもカラフルな「音の玉手箱」。だからショーケースのように感じてしまうのだ。

 『アクアプラネット』での高中正義ギターの響きがおとなしすぎず,激しすぎずで絶妙である。レゲエやラテンのリズムが軽い。基本となる「タカナカ・サウンド」は同じなのだが,従来とは異なる“心地良い風”が吹き出している。

 購入当初はサンタナの【哀愁のヨーロッパ】のカヴァーである【EUROPE】目当てで『アクアプラネット』を聴いていた。う〜む。それほど入り込めない。この演奏であれば本家サンタナの方がいいよなぁ。
 特に嫌いになったわけではないが,何となく管理人の中の「TAKANAKA熱」も下火になっていた。

AQUAPLANET-2 しかし,いつしか【AQUAPLANET】と【THE LAST FISH】にドハマリしていた。何度聴いてもワクワクするしジワジワ来る。

 コンセプトからして異質な“ルアー曲”【EUROPE】を飛ばして聴くと全体がゴキゲンに響くのが『アクアプラネット』というアルバムなのです! 

  01. PROLOGUE 〜WHY?〜
  02. AQUAPLANET
  03. BLUE STRIPE
  04. NAPOLEON FUNK
  05. EUROPE
  06. SOLDIERFISH
  07. 夢色
  08. HAWAIIAN WEDDING SONG
  09. TRIGGERFISH
  10. POISON
  11. THE LAST FISH
  12. EPILOGUE

(東芝EMI/EASTWORLD 1993年発売/TOCT-8080)

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エディ・ゴメス / ストリート・スマート4

STREET SMART-1  エディ・ゴメスというジャズ・ベーシストは,無数のレコーディングセッションに参加する「ファーストコール」のベーシストである。
 圧倒的な量だけではない。むしろ質で語られるべきジャズ・ジャイアンツの一人である。

 そう。エディ・ゴメスこそが,ビル・エヴァンストリオの最長ベーシストである。あるいはエディ・ゴメスこそが,チック・コリアの絶頂期のソロ活動を支え続けた稀代の名手なのである。

 だからエディ・ゴメスと来れば,どうしても“生粋の”ダブル・ベースをブイブイいわせるイメージが強かったのだが,管理人はエディ・ゴメスのたった1枚のリーダー・アルバムを聴いて「エディ・ゴメスエレアコベーシスト」のイメージの方が強くなってしまった。

 そのアルバムこそが『STREET SMART』(以下『ストリート・スマート』)である。『ストリート・スマート』を買って聴いて本当に驚いた。仮に『ストリート・スマート』をビル・エヴァンスが聴いたとしたら,エディ・ゴメスは“即刻クビ”になってしまったかもしれないと思ったのだ。

 『ストリート・スマート』には,それこそ「バブルの音」がする。これって,実は『ストリート・スマート』のメンバーが豪華すぎるのだが,そのことを直接的に言っているのではない。そうではなく『ストリート・スマート』の「バブルの音」とは,ズバリ“売れ線”なのである。
 そう。エディ・ゴメスの“生粋の”ダブル・ベースがアンプリファイドされて,王道フュージョンをフロント楽器以上の存在感でリードしている。

 具体的には,ジャズにしては1曲毎にテーマがしっかり主張しているし,メンバーのソロ即興的ではなく,曲の流れを考えた短めのアドリブでまとまりがある。
 ジャズ系のFMラジオで『ストリート・スマート』の中から数曲が一部分,番組内のジングルとして使われていたことも相まって,レーベルとしてエディ・ゴメスを(あるいは同時進行中だった「ザ・ガッド・ギャング」を)積極的に売りに出していた時の“音の香り”がするのだ。

 これはどうしても主観的な話で終わるしかないのだが,エディ・ゴメスダブル・ベースが“電化”されてしまった瞬間,エディ・ゴメスの「別人格」が“起動”してしまった。そんな感じがするのである。
 エディ・ゴメスのアンプリファイドされた「エレアコダブル・ベースが“ビンビンに”GROOVEしまくっている!
 エディ・ゴメスダブル・ベースが“鳴れば鳴るほど”ジャズから遠ざかっていく感じ!?

 そう。『ストリート・スマート』での,ジャズから遠ざかっていく,エディ・ゴメスがトラウマとなってしまったのか? 最近のエディ・ゴメスの演奏にはどうにも感情移入できないままでいる。
 管理人にとってエディ・ゴメスは『ストリート・スマート』の迷演?で止まってしまっているのが無念である。

 幸い『ストリート・スマート』以前のエディ・ゴメスの演奏は,昔のまんまで聴き入れる。
 やっぱりビル・エヴァンスチック・コリアに見初められたエディ・ゴメスは素ん晴らしいジャズ・ベーシストだと思う。

STREET SMART-2 個人的に『ストリート・スマート』の思い出を書いておくと『ストリート・スマート』は「ザ・ガッド・ギャング」の別プロジェクト扱いで間違いなし。
 「ザ・ガッド・ギャング」との個性の違いは「ザ・ガッド・ギャング」は,スティーブ・ガッドがメインでエディ・ゴメスがサブ。『ストリート・スマート』は,エディ・ゴメスがメインでスティーブ・ガッドがサブで間違いなし。

 そんな“エディ・ゴメス一色”のアルバムの中にあって,ディック・オーツソプラノテナーばかりを追いかけてリピートするようになってしまった。
 なのにディック・オーツ。国内盤のアルバムは出ていないようのです。こんなにも素晴らしいサックス・プレイヤーを眠らせておくなんて…。エディ・ゴメスさん,またディック・オーツと共演したアルバムを作ってくださ〜い。これだけが言いたかったの巻〜。

  01. When You Wish Upon A Star
  02. My Funny Valentine
  03. Detour Ahead
  04. Beautiful Love
  05. Dance Only With Me
  06. Danny Boy
  07. All This And Heaven Too
  08. Yellow Days
  09. Skylark
  10. Again
  11. You Don't Know What Love Is
  12. Over The Rainbow

(EPIC/SONY/A TOUCH 1989年発売/28・8P-5303)
(ライナーノーツ/小川隆夫,エディ・ゴメス)

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中洲ジャズ2017 / THE KINGFISH,石原顕三郎,ウィリアムス浩子,高岡早紀,JABBERLOOP,バンバンバザール,西田尚美GROP,TOKU,ADVANCED MUSIC GALLERY

 行ってきました! 中洲ジャズ2017! 9/9の『THE KINGFISH,石原顕三郎,ウィリアムス浩子,高岡早紀,JABBERLOOP,バンバンバザール,西田尚美GROUP,TOKU,ADVANCED MUSIC GALLERY』の8ステージ!

 中洲ジャズも2017年で9回目。人出は多い。そのおかげで中洲の街は潤うのだろう。だから無料のジャズ・フェスティバルが継続しているのだろう。
 無料なのだから文句など言えない。嫌なら行かなければいいだけだ。でもなぁ。本当にジャズを目当てに集まっている人も少なからずいるわけだし,本気でジャズを演奏している出演者たちはどうなのだろう。
 ニワカであったとしても,あんなに大勢の観客が集まる機会は他にないのだろうから,気持ちいいだけ? あるいはアピール演奏として燃えるのでしょうか?

 個人的には昨年の中洲ジャズから,純粋のジャズ・イベントではなく,ロックやポップス・メインの野外フェスに様変わりしたと思っている。
 今や旬の人となった日野皓正が今年も来なかったのは良かったのだが,小沼ようすけも来なくなったし,レギャラー出演しているのはTOKUJINOSHIHOくらい。
 数年前までの“見たい人が同じ時間帯にカブッテしまう”「中洲ジャズあるある」が懐かしい!

 …と言うことで,2017年の中洲ジャズで狙ったのは「TOKU MEET ADVANCED MUSIC GALLERY」の一本釣り!
 そうであるならば本気でSTAGE・Bの「REDステージ」へ直行すればいいのだが,ジャズ・ファンたるもの「浮気性」である。まだまだ時間があるのだから,ちょっと他のステージへ寄り道していこうと考えたのがまずかった。

 まっ,中洲という街には誘惑が多いのさ。だって結婚3周年の思い出の場所が「GATE’Sビル」。そこの7Fが「GATE’S7」8Fが「ファーストキャビン博多」11Fが「アンウエディングウイズ」。そして2Fが「ドン・キホーテ」1Fが「イタリアン・ジェラート VITO」B1F「ドラッグセガミ」。ちなみに1Fの「リストランテ・ヒロ」は閉店しておりました。あとは「GATE’Sビル」のすぐそばにある「プリシラネイル」と「宝石のエトウ」〜。素晴らしい〜。

 …で,そんなこんなで「THE KINGFISH」をまともに聞いて「清流公園」に向かったつもりが,間違えに気付かず「貴賓館」で「ウィリアムス浩子」を聞いてしまった。慌てて「清流公園」に向かう途中で聞こえてきたのは「入場規制」のアナウンス。まさか…。
 「TOKU MEET ADVANCED MUSIC GALLERY」の前が「高岡早紀」である。まさかの〜。
 一応,会場へ向かう。通路へと流される。でも大渋滞のおかげで牛歩だったのでちょっとは観れた。雰囲気で美人なのだけは伝わった。それでよしとしよう。TOKUはあきらめよう。

 仕切り直しで予定を変えて,再び「中洲大通り」で「JABBERLOOP」。「JABBERLOOP」が大人気!
 通勤ラッシュ並みのおしくらまんじゅう事故直前,超ラッキーなタイミングで最高の場所に入れ替え潜り込み。【しろくま】が聴けたのがよかった!

 「石原顕三郎」と「バンバンバザール」と「西田尚美GROUP」はさわりぐらい。結局「TOKU MEET ADVANCED MUSIC GALLERY」は帰り道の川沿いで偶然,漏れた音が聞こえてきました。

 これだけ盛大なジャズ・フェスティバルに成長したのはうれしい反面「入場制限」の洗礼を初体験してしまった2017年の中洲ジャズ
 中洲ジャズ2018はもっと弊害が大きい気がするなぁ。もう来年は行くまいかなぁ。でも多分行くんだろうなぁ。夫婦でジャズを聞くのは年唯一の機会だからなぁ。

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高中 正義 / フェイド・トゥ・ブルー4

FADE TO BLUE-1 『FADE TO BLUE』(以下『フェイド・トゥ・ブルー』)と過ごす「夏」。それはどこかのリゾート・ホテルで過ごす「夏」。それもホテルの目の前が貸し切りのプライベート・ビーチではなく,ホテル内のプールサイドで寝そべりながら過ごす「夏」。

 つまりはリッチな「夏」。優雅な「夏」。上質な「夏」。それまでは身近に感じていた高中正義の「夏サウンド」が,富裕層向けの,自分には手の届かないグレードの「夏サウンド」に響いてしまったのが,今となっては残念である。

 『フェイド・トゥ・ブルー』は多分,名盤である。その思いは管理人が大人になればなるほど(中身は置いておいて,時間の経過と共に)強く意識するようになった。
 東芝EMI移籍後の高中正義は『フェイド・トゥ・ブルー』に限らず,そのどれもが洋楽っぽいのだが,こと『フェイド・トゥ・ブルー』では「AOR」に流れていると思う。

 『フェイド・トゥ・ブルー』での高中正義は,以前と比べてギターの音数を減らしてきている。その分,キーボードが前面に出てきている。何だかギター・フュージョンというより「映画音楽」に近い譜面割がなされている。

 思い返せば,高中正義のアルバムは全て,ギターをどう歌わせるか?の一点集中型であったが,ついに高中正義も大人になったというか,高中正義の興味がギター以外に向けられたというか…。

 前半の5曲=【TURQUOISE SUMMER】〜【ONCE IN A BLUE MOON】〜【SHADES OF MORNING】〜【MY LOVE】〜【HEAVEN】の流れは,苦味の全く無いクリアーな味わいで,それこそ新しいビールの宣伝に持ってこいである。
 後半の6曲は共同プロデューサーとして参加したカシオペア向谷実松岡直也グループ津垣博通の「非・タカナカ・サウンド」の音がゴージャス・チックに仕上がっている。

FADE TO BLUE-2 管理人の結論。『フェイド・トゥ・ブルー批評

 極論を書くと『フェイド・トゥ・ブルー』は高中正義が「自分の好きなもの」ではなく「本当に良い音楽」「みんなが良いと思う音楽」に初めて正面から取り組んだ雰囲気がある。
 力一杯ではなく余裕を残して“自慢の”「タカナカ・サウンド」を別の視点で見つめ直してリメイクした感じのアルバムである。

 ホテルのプールサイドで『フェイド・トゥ・ブルー』の構想を練っていた高中正義。もしかしてニーチェでも読んだのかな? それともアガサ・クリスティーだったのか?

 どちらにしても「TAKANAKA・AOR」な『フェイド・トゥ・ブルー』は大人の「脱力感」が産み落とした「裏名盤」の1枚である。

  01. Turquoise Summer
  02. Once In A Blue Moon
  03. Shades Of Morning
  04. My Love
  05. Heaven
  06. Bahama Mama
  07. T.G.I.F.
  08. Oh! Tengo Suerte
  09. Talk To The Wind
  10. Besame Mucho
  11. Ballade 2U

(東芝EMI/EASTWORLD 1992年発売/TOCT-6538)
(デジパック仕様)

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アラン・エヴァンス / レット・イット・ライド4

LET IT RIDE…-1 アラン・エヴァンスと来ればFUNKYなドラミングが代名詞。その真骨頂とはソウライヴでありアラン・エヴァンストリオであり,つまりはオルガン・ジャズである。

 何故にオルガン・ジャズばかりなのか?と言う問いに対して,アラン・エヴァンス自身は「オルガン・ジャズが得意だから」と答えている。
 これがアラン・エヴァンスの本音なのかもしれないが,管理人に言わせれば「ご謙遜を」である。

 なぜならば,アラン・エヴァンスにはソウライヴからニール・エヴァンスサム・キニンジャーをゲストで迎えた,非オルガン・ジャズの1stソロLET IT RIDE…』(以下『レット・イット・ライド』)があるのだから…。

 そう。『レット・イット・ライド』こそが,アラン・エヴァンスの頭の中のファンキー・ジャズ
 “得意の”オルガン・ジャズもあるのだがオルガン以上にギターベースサックスの上物が目立っている。同じくファンキー・ジャズでありながら,オルガン抜きの“アンビエントでダークな曲想”が主張する。

 FUNKYなドラムに,全くそれっぽくないテーマ・メロディーを付けて,一つの新しいブラック・ミュージックの音世界を醸し出している。アングラ系の現代のジャズ・ファンクのハイセンスである。

LET IT RIDE…-2 管理人の結論。『レット・イット・ライド批評

 『レット・イット・ライド』は,いつになく深い味わいのファンク・アルバム。スローで重厚感がある「古き良きファンク」が味わえる。
 跳ねるリズムと全体的に漂うワウな感じがとても心地よい。

 ソウライヴを聴いて暴れまくった後は『レット・イット・ライド』でしっとりエロスを味わいたい。

  01. Do It Again
  02. Break It Down
  03. Let It Ride
  04. Are You With Me
  05. Hot n' Greezy
  06. Uh Ha
  07. To The World
  08. What People Say
  09. Low Down Low
  10. Do It Again (outro)

(ヴィレッジ・アゲイン/VILLAGE AGAIN 2004年発売/VIA-0025)
(ライナーノーツ/松永誠一郎)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1990年度(第24回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1990年度(第24回)の発表です。

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ザ・ゲイト・イズ・オープン★【金賞】.ザ・ゲイト・イズ・オープン
ゲイリー・トーマス


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THE NURTURER★【銀賞】.ザ・ナーチュラー
ジェリ・アレン


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Dream Keeper★【銅賞】.ドリーム・キーパー
チャーリー・ヘイデン&リベレイション・ミュージック・オーケストラ・ウイズ・オークランド・ユース・コーラス

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カーメン・シングス・モンク★【ボーカル賞】.カーメン・シングス・モンク
カーメン・マクレエ


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RANDOOGA〜SELECT LIVE UNDER THE SKY '90-1★【日本ジャズ賞】.ランドゥーガ〜セレクト・ライヴ・アンダー・ザ・スカイ '90
佐藤允彦

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ブルーノートSP時代1939-1952★【制作企画賞】.ブルーノートSP時代1939-1952



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★【編集企画賞】.ジャズ・イン・パリ(Odeon)

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★【制作企画賞】.ナウズ・ザ・タイム・ワークショップ(Fun)

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バック・オン・マイ・フィンガーズ★【制作企画賞】.バック・オン・マイ・フィンガーズ
本田竹曠


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HE SAID・・・・★【制作企画賞】.He Said…
今津雅仁


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ネイティヴ・ハート★【録音賞(海外)】.ネイティブ・ハート
 トニー・ウイリアムス


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旅の終りに★【録音賞(国内)】.旅の終りに
ケニー・ドリュー


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リー・リトナー&フレンズ・ライヴ Vol.2 [DVD]★【最優秀ビデオ賞】.リー・リトナー&フレンズ・ライブ Vol.1&2
 リー・リトナー


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 ゲイリー・トーマス強し! 『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』が【銅賞】受賞→『ザ・ゲイト・イズ・オープン』が【金賞】受賞→来年度には「ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション」の『アース・ウォーク』で【金賞】受賞。
 加えてジェリ・アレンも来た。時代は「M−BASE」である。

 なのに佐藤允彦が【日本ジャズ賞】で受賞したのは『ランドゥーガ〜セレクト・ライヴ・アンダー・ザ・スカイ '90』での“民謡”であった。

 そう。「伝統と革新」にフォーカスした1990年代の幕開けにふさわしいラインナップ。一皮むけた「伝統と革新」の表現手法もジャズなのである。

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高中 正義 / ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ5

JUNGLE JANE TOUR LIVE-1 『JUNGLE JANE』を高中正義の“最高傑作”に指名したのは『JUNGLE JANE TOUR LIVE』(以下『ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ』)の「相互作用」の後押しが大きい。

 順当なら高中正義の“最高傑作”は『夏・全・開』になったと思う。でも『夏・全・開』は「TUBE」みたいなもので冬には聴こうと思わない。その点で『ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ』は気分を上げたい時に丁度良い。
 そう。『ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ』こそが,管理人の高中正義一番の愛聴盤なのである。

 管理人の「高中聴き」のスタイルは,ほぼスピーカー再生であって,ながら聴きで聴くことの方が多い。いつものヘッドフォンでのリスニングはしない。
 これは悪口ではない。「タカナカ・サウンド」の真髄はメロディーであってテクニックではない。ギターであってヴォーカルではない。だからいつでも取っ付きやすく聴きやすいのだ。

 その意味で『JUNGLE JANE』が“最高傑作”で悔いはない。これぞ高中正義の「エンターテイーナー」のピークに違いない。
 特にライブ盤『ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ』が生バンドだから感じることだが,高中正義の緻密なスタジオ・ワークが素晴らしいことを何度も再確認させられた。

 高中正義は「ライブではエフェクターを極力少なく,レコーディングでは多く」と何かの記事で読んだ記憶があるが「スタジオではライブでの再現など考えず,今本気で聴かせたいギターフュージョンを追及していたことが「後から後から」発見できた。

JUNGLE JANE TOUR LIVE-2 …で,逆に言えば,高中正義ライブではライブでしかできないギターフュージョンを聴かせている。
 そう。『ジャングル・ジェーン・ツアー・ライブ』での高中正義が大熱演。こんなにも高中正義ライブアドリブを弾きまくるとは予想していなかった。

 キーボード森村献キーボード石川清澄ベースデレク・ジャクソンドラム北村健太コーラス大滝裕子吉川智子が見事に高中正義エレキと一体化している。素晴らしい。

 【BLUE LAGOON’86】におけるトリガー音源でのギターシンセソロが会場を煽りまくる様が圧巻。
 【渚・モデラート】も寂しい夏の終わりではなく,情熱的なライブ演奏の方が高中っぽくて好みである。

  01. JUNGLE JANE
  02. BAY STREET FIX
  03. WARM SUMMER WOMAN
  04. エピダウロスの風
  05. BLUE LAGOON '86
  06. CHASE
  07. JACKIE'S TRAIL
  08. CHINA
  09. JUMPING TAKE OFF
  10. SHAKE IT
  11. 渚・モデラート

(東芝EMI/EASTWORLD 1986年発売/CA32-1349)

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ボニー・ジェイムス / スウィート・シング(ニュー・エディション)4

SWEET THING-1 スムーズ系のサックス・プレイヤーと来れば「昔・グローヴァー・ワシントンJR.,今・ケニー・G」で決まりだと思う。
 ただし,グローヴァー・ワシントンJR.にしてもケニー・GにしてもBIGすぎる。声高に「グローヴァー・ワシントンJR.スムーズ・ジャズだ。ケニー・Gスムーズ・ジャズだ」と叫ぼうものなら異論噴出になるだろう。

 そう。グローヴァー・ワシントンJR.にしてもケニー・Gにしても,もはやスムーズ・ジャズのカテゴリーを超えている。ガッチリと自分の音世界を確立してる。イメージが出来上がりすぎている。
 ゆえに管理人はスムーズ系のお奨めサックス・プレイヤーと問われれば,最近はもっぱらボニー・ジェイムスと答えることが多い( ← たまに気分でネルソン・ランジェルだったりする )。

 ボニー・ジェイムスの答えは,絶対にグローヴァー・ワシントンJR.ケニー・Gの「格落ち」などではない。
 ボニー・ジェイムスグローヴァー・ワシントンJR.ケニー・Gに引けを取らない実力者。何よりも一音聴いてボニー・ジェイムスと認識できる個性を確立している。
 じわじわとBIG2との距離を縮めている。「全米ジャズ・チャート19週間NO.1」を獲ったのだから,グローヴァー・ワシントンJR.は超えたのかも?

 そんなボニー・ジェイムスの“売れに売れた代表作”が『SWEET THING』(以下『スウィート・シング』)!
 管理人が持っているのは『スウィート・シング(ニュー・エディション)』なる再発盤。エリック・ベネイヴォーカルを1トラック追加収録してロングセラーを狙ったわけなのです。それ位売れるアルバムです。

 売れる理由はすぐに分かります。この雰囲気なのです。軽い,それでいて軽くないのです。テクニックに裏付けられた高度なフレージングが多く登場するのに非常に耳馴染みが良い。聞き流しても良いし,聞き入っても良い。「メロディーが連続している」感じなのです。

SWEET THING-2 『スウィート・シング』が流れていると気分が落ちついてくる。無心になってくる。
 そう。なんだかんだで管理人は『スウィート・シング(ニュー・エディション)』の10曲の楽曲ではなく,ボニー・ジェイムスサックスの音だけを無意識のうちに聴いている。無心になって追いかけている。そんな自分に気付くことがある。

 ボニー・ジェイムスはいい。絶対にいい。まだまだ『スウィート・シング(ニュー・エディション)』が聴き飽きない。

  01. East Bay
  02. Nothin' But Love
  03. Words (Unspoken)
  04. Sweet Thing
  05. It's All Good
  06. After The Rain
  07. Innocence
  08. I Still Dream
  09. Ivory Coast
  10. It's All Good (Bonus Remix)

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1999年発売/WPCR-10611)
(ライナーノーツ/中田利樹)

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高中 正義 / ジャングル・ジェーン5

JUNGLE JANE-1 『JUNGLE JANE』(以下『ジャングル・ジェーン』)こそが高中正義の“最高傑作”である。

 とにかく曲が良い。全曲口ずさめるキャッチーなメロディー。鼻歌で歌うことはできるのだが,でもやっぱりギターでないと歌えない。
 もっと言うと『ジャングル・ジェーン』は高中正義でなければ歌えない。同じギタリストであっても『ジャングル・ジェーン』の名曲は野呂一生安藤正容和田アキラではこんなにも歌うことはできないのだ。

 そう。『ジャングル・ジェーン』こそが,管理人のイメージする「タカナカ・サウンド」の理想形。
 『ジャングル・ジェーン』以前は『夏・全・開』での「夏サウンド」ベッタリだったのだが『ジャングル・ジェーン』は,もはや「夏一本」を離れて“ギターフュージョン”に寄せているから表現できる,高中正義独自の世界観,が眼前にそびえ立っている。

 こんな「タカナカ・サウンド」は,大好きなキティ時代には予想できなかった。東芝EMIに移籍してブラコンをやったからこそ!

 そう。ブラコンをやって“リリカルに歌う”術を身に着けた高中正義が「これまで誰も作ることのできなかったギターでないと歌えないインスト」を作り上げた“作品”が『ジャングル・ジェーン』なのだろうと思う。

 「ザ・タカナカ・サウンド」の総決算的な【JUNGLE JANE】と【SHAKE IT】が盛り上がる。
 「トロピカル・サウンド」の総決算的な【WARM SUMMER WOMAN】と【BAY STREET FIX】が気分アゲアゲ。

JUNGLE JANE-2 つべこべ言うのは『ジャングル・ジェーン』には似つかわしくない。管理人が『ジャングル・ジェーン』を絶賛する理由は,第一に理屈ではなく他との比較でもなく素晴らしいアルバムだから…。

 『ジャングル・ジェーン』を聴いていると,アルバムの最初の1秒から最後の1秒に至るまで,楽曲に磨きをかけた高中正義の強烈な自我に一瞬で引きずり込まれてしまう…。
 こんな体験,音楽でないと味わえない。『ジャングル・ジェーン』でないと味わえない。高中正義でないと味わえない。とにかく最高なのである。

  01. JUNGLE JANE
  02. EXOTICA
  03. WARM SUMMER WOMAN
  04. SHAKE IT
  05. ILLUSION
  06. SONNA BAHAMA!
  07. BAY STREET FIX
  08. WHEN YOU'RE NEAR ME
  09. RA-KU-DA

(東芝EMI/EASTWORLD 1986年発売/CA32-1262)

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チック・コリア / ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク5

THE MUSICIAN-1 『THE MUSICIAN』(以下『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』)は,チック・コリアの音楽生活50周年を記念して,と書き始めたのは『ランデヴー・イン・ニューヨーク』の紹介方法であるが『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』の紹介方法は,チック・コリアの生誕70周年記念と書くのが良いようである。

 『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』は,2011年11月にニューヨークブルーノートで行なわれた,全部で10バンド,総勢27名のジャズメンが共演した全23日間連続公演のハイライトを記録した「超豪華」3枚組みスペシャル・ライブ盤。

 プログラムは収録順に,スタンリー・クラークレニー・ホワイトフランク・ギャンバレとによるリターン・トゥ・フォーエヴァーアンプラグドゲイリー・ピーコックブライアン・ブレイドとによるチック・コリアトリオジョン・マクラフリンケニー・ギャレットジョン・パティトゥッチブライアン・ブレイドとによるファイヴ・ピース・バンドボビー・マクファーリンとのデュオゲイリー・バートンとのデュオ(WITH ハーレム・ストリング・カルテット・フューチャリング・ゲイル・モラン・コリア),ウォレス・ルーニーゲイリー・バーツエディ・ゴメスジャック・ディジョネットとによるフロム・マイルスコンチャ・ブイカカルレス・ベナベントホルヘ・パルドジェフ・バラードニーニョ・ホセレとによるフラメンコ・ハートマーカス・ロバーツとのデュオ(フューチャリング・ウィントン・マルサリス),ハービー・ハンコックとのデュオフランク・ギャンバレエリック・マリエンサルジョン・パティトゥッチデイヴ・ウェックルとによるエレクトリックバンド

 『ランデヴー・イン・ニューヨーク』での2枚組から『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』では3枚組へとスケールアップしているが,演奏の量だけではなく演奏の質までが更に良くなっているように思う。

 中には眉間にシワ的なお披露目エキシビションも含められていると予想したのが大間違い。全セット&全トラックが最高に素晴らしい。どれがどうだと細かく指摘するのは意味を持たない。「軒並み」最高の演奏が続くので「月並み」最高という言葉で統一しようと結論したい。

 『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』を聴く限り,他の誰よりもチック・コリアが一番この演奏を楽しんでいる!
 全ての主演者,関係者,観客からの祝福を受けたチック・コリアさん,音楽生活50周年おめでとうございます!

 チック・コリアが『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』でのスペシャル・ライブを楽しんだ最大の理由は,それぞれの経験を糧にしたフレンズたちとの「新感覚のコミュニケーション」にあると思う。
 それぞれのユニット毎に,そのユニットでの代表曲を演奏しているのだが,単なる過去の焼き直しでは終わらない,斬新なアレンジで歌い上げるチック・コリアの極上のピアノが響いている。

 『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』は,スペシャル・ライブの性質上,チック・コリアの“音楽性の広さ”を堪能するためのプロジェクトであるが,どの演奏にもグッと来てしまう“音楽性の深いつながり”も感じられる。
 やっぱりチック・コリアこそが「ジャズフュージョン」界の“スーパー・スター”であった。

 『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』を聴いていると,何だか『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』がダイジェスト盤のように感じてくる。この後に発売される「本編プロモーションのための予告編」のように思えてくる。
 そう。『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』における「チック・コリア・オールスターズ」の“演り逃げ”を聴かされては,到底満足などできやしない。2枚組では足りないのだ。1ユニット1曲か2曲では欲求不満を覚えてしまう。あの23日間連続公演のコンプリート盤を渇望してしまう。

 それにしても『ランデヴー・イン・ニューヨーク』と『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』とでは,ほとんどのセットリストが被っていないではないか!
 この事実に本当に驚かされた。そして改めてチック・コリアの音楽性の「幅と深さ」に圧倒されてしまった!

 特に(チック・コリア・フリークとしては恥ずかしいのだが)管理人的に“初共演”となる,ゲイリー・ピーコックとのトリオマーカス・ロバーツとのデュオウィントン・マルサリス,そして「タッチストーン」の後釜となった「フラメンコ・ハートセッション。これらの名演を聴き逃してきたのは猛反省! またチック・コリアを集め始めます!

THE MUSICIAN-2 あとチック・コリアだけを純粋に聴いていられない,自分自身のキース・ジャレット体質とも対峙した。チック・コリアトリオを組んだゲイリー・ピーコックの,いつになく重いベースに焼きもちを焼く。

 久々に聞いたチック・コリアジャック・ディジョネットとの共演も判断基準として,どうしてもキース・ジャレットを聴いてしまう。キース・ジャレットを離れたジャック・ディジョネットも自由なのが鼻につく。なんでなのだ〜。

 あるいはハービー・ハンコックつながりのはずのウィントン・マルサリスが,なんでハービー・ハンコックではなくマーカス・ロバーツなのだろう。いろんな知識が邪魔をして来るんだな。これがっ。

 『ランデヴー・イン・ニューヨーク』ではアコースティック・バンドオリジン。『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』ではリターン・トゥ・フォーエヴァーエレクトリック・バンド。憎いね〜,チック・コリア

 『ランデヴー・イン・ニューヨーク』と『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』でのレギュラーはゲイリー・バートンボビー・マクファーリン。憎いね〜,チック・コリア

 …で,実は『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』の発売時点で,チック・コリアの生誕75周年記念のスペシャル・ライブが既に決行済と来た。ますます憎いね〜,チック・コリア。第3弾は4枚組確定なのかな?

  CD1
  <RETURN TO FOREVER UNPLUGGED>
  01. Captain Marvel
  02. Light as a Feather
  <CHICK COREA TRIO WITH GARY PEACOCK & BRIAN BLADE>
  03. I Hear a Rhapsody
  <FIVE PEACE BAND>
  04. Spirit Rides
  05. Special Beings
  <CHICK COREA & BOBBY McFERRIN DUET>
  06. I've Got the World on a String
  07. Spain

  CD2
  <CHICK COREA & GARY BURTON WITH HARLEM STRING
   QUARTET
>
  01. Overture
  02. Your Eyes Speak to Me
  <FROM MILES>
  03. If I Were a Bell
  04. Nefertiti
  <FLAMENCO HEART>
  05. Zyryab
  06. Mi Nina Lola

  CD3
  <CHICK COREA & MARCUS ROBERTS DUET>
  01. CC's Birthday Blues
  02. Caravan
  <CHICK COREA & HERBIE HANCOCK DUET>
  03. Hot House
  04. Dolphin Dance
  05. Cantaloupe Island
  <THE CHICK COREA ELEKTRIC BAND>
  06. Ritual
  07. Silver Temple

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2016年発売/UCCO-1185/7)
(☆SHM−CD仕様)
(CD3枚組)
(ライナーノーツ/ロビン・D.G.ケリー,熊谷美広)

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高中 正義 / TRAUMATIC 極東探偵団4

TRAUMATIC 極東探偵団-1 レコード会社移籍が先なのか? 音楽性の変化が先なのか? 『TRAUMATIC 極東探偵団』で「タカナカ・サウンド」の“夏サウンド”が変化した。

 『TRAUMATIC 極東探偵団』も高中正義の基本である,夏は夏なのだが「灼熱」でも「トロピカル」でもなく「哀愁の夏」へと変化した。
 『TRAUMATIC 極東探偵団』が「寂しい夏の終わり」のBGMの一番手である。

 管理人の抱いた「時期遅れの夏」のイメージ。9月と10月の「誰も遊んでいない海」。これって【渚・モデラート】1曲の印象なのだろう。
 『TRAUMATIC 極東探偵団』は1曲1曲の個性が強い。しかし他のトラック全部をブッチギッて【渚・モデラート】1曲のインパクトがアルバム全体のイメージを支配している。

 『TRAUMATIC 極東探偵団』のテーマは「東南アジアの夏サウンド」。だから9月や10月でもまだまだ熱い「時期遅れの夏」のイメージがするのだろう。
 『TRAUMATIC 極東探偵団』で高中正義が目を付けたのは「極東とは危険な場所」→「波止場・埠頭」。その香港マフィア?系の危うさのエッセンスが見事に“デジタル・ファンク”の大仕事で散りばめられている。

 ズバリ,高中正義が『CAN I SING?』『夏・全・開』で打ち込みを採用してきたのは,来るべき『TRAUMATIC 極東探偵団』のようなブラコンとかダンス・ミュージックへとシフトするための布石であったと思う。

 『TRAUMATIC 極東探偵団』のキーワードはデジタル・チックとヴォーカルヴォイス)である。
 ザックリと分かりやすくイメージだけを書き記すと,過去に共演したオルケスタ・デ・ラ・ルスのようなサウンドであり,この後共演することになるマイアミ・サウンド・マシーンのようなサウンド,その中での「ギター1強」なのである。
 「ギター1強」と,ギターを補完する打ち込みとヴォーカルの「黄金のバランス比」が完成している。素晴らしい。

 高中正義と来れば,今となってはキティ時代の「初夏〜盛夏」の夏サウンドが大好きなのだが,学生時代には東芝EMI時代の「残暑〜晩夏」の夏サウンドがたまらなく好きだった。
 (ビジュアル的には)ダサイ系の高中正義が,見事に垢抜けて,都会的で,何となくオシャレになって,やんちゃな大人に背伸びしたイメージに共感していたのだろう。

 【渚・モデラート】に日本版シャカタクの【NIGHT BIRDS】や【INVITATIONS】を思い重ねていたりして…。
 あっ,シャカタクもこの時期『DOWN ON THE STREET』『CITY RHYTHM』でデジタル・ファンク路線を進んでいたんだっけ?

 『TRAUMATIC 極東探偵団』のレヴューを書いていて,初めて気付いてしまった?
 もしかして・タ・カ・ナ・カ〜。確信犯だったのか〜。

※ 『TRAUMATIC 極東探偵団批評ジャケット写真はミュージック・カセット・テープ版です。

  01. Teaser
  02. China
  03. The Line Is Busy
  04. 渚・モデラート
  05. Traumatic
  06. Jackie's Trail
  07. Chase
  08. Struttin' on Broadway
  09. Lagoon Music

(東芝EMI/EASTWORLD 1985年発売/ZH28-1545)

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エバーハルト・ウェーバー/ヤン・ガルバレク/パット・メセニー/ゲイリー・バートン / オマージュ5

HOMMAGE A EBERHARD WEBER-1 エフェクターで加工したアコースティックベースの独特な響きがトレードマークのエバーハルト・ウェーバー

 エバーハルト・ウェーバーECMベーシストとして重要な位置付けにあるのは事実だと思うが,個人的にエバーハルト・ウェーバーの演奏目当てでCDを買った経験がない者としては,生誕75周年記念のトリビュートライブが豪勢に執り行なわれ,尚且つ,その場に“ギターの巨匠”のパット・メセニーサックスの巨匠”のヤン・ガルバレクヴァイヴの巨匠”のゲイリー・バートンが“揃い踏み”してしまったとは…。

 その上で『HOMMAGE A EBERHARD WEBER』(以下『オマージュ』)と題されたライブ盤としてリリースされてしまうとは…。

 実は『オマージュ』をパット・メセニー目当てで購入した管理人としては,エバーハルト・ウェーバーの偉大さ,人徳と言うものをこのアルバムで初めて認識した次第なのです。
 『オマージュ』にサブタイトルを付けるなら「ついに明らかにされたエバーハルト・ウェーバーの偉人ぶり」ってのはどうですか?

 『オマージュ』の主役であるエバーハルト・ウェーバー。実は2007年に脳梗塞で倒れ,せっかくの晴れ舞台でベースを演奏することはできなかった。
 ゆえに『オマージュ』のトリビュートライブは,過去のエバーハルト・ウェーバーの「テープ音源」を流し,その上に生演奏を被せるという変則のステージ進行。

 そんな「キワモノ」な企画だったのに『オマージュ』のステージに上がったジャズメン全員が,非常に真摯でクリエイトしているのが素晴らしい。エバーハルト・ウェーバーへの“リスペクト”がそこはかとなく感じられる。ECMらしくない?温かい音がする。

 そうは言っても『オマージュ』のトリビュートライブの主役を張ったのは,ECMに久しぶりに帰ってきたパット・メセニーであった。
 『オマージュ』でのパット・メセニーの出演は【HOMMAGE】1曲のみ。でもこの1曲が完璧であって,見事にエバーハルト・ウェーバーの過去の演奏テープとシンクロしてみせている。
 エバーハルト・ウェーバーのテクスチャーを彷彿とさせる響きが,31分を超えるメセニー・サウンドの文脈の中で結実している。素晴らしい「長編小説」としてのオマージュなのだと思う。

HOMMAGE A EBERHARD WEBER-2 いいや,パット・メセニーの演奏がここまで光っているのはパット・メセニー1人の力量ではない。
 『オマージュ』のトリビュートライブのステージに上がったヤン・ガルバレクソプラノサックスゲイリー・バートンヴィブラフォンの演奏が相当にいい。

 そんな全ての“お膳立て”の上に乗ったパット・メセニーギター! そしてその頂点に祭り上げられているのがエバーハルト・ウェーバーベース・ヴァーチャル〜!

 ECMのかつてのスター・プレイヤーが再集結してエバーハルト・ウェーバーへのオマージュを奏でる。ビッグ・バンドの雄大なアンサンブルがシンフォニーしている。

 全編統一感のある『オマージュ』の「音の香り」の好感度が非常に高い。新旧ECMの空気感を堪能できる『オマージュ』の至福に聴き入っていると「夢の中を彷徨っている」ような豊かな気分に満たされる。

 『オマージュ』はECMレーベルの長い歴史が産み落とした,名盤ライブの1枚だと思う。

  01. RESUME VARIATIONS
  02. HOMMAGE
  03. TOUCH
  04. MAURIZIUS
  05. TUBINGEN
  06. NOTES AFTER AN EVENING

(ECM/ECM 2015年発売/UCCE-1151)
(スリーブケース仕様)
(ライナーノーツ/パット・メセニー,エバーハルト・ウェーバー,原田和典)

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高中 正義 / タカナカ・カクテル5

TAKANAKA'S COCKTAIL-1 管理人が中学高校時代に高中正義を聴いていたのは7枚のLPと1本のカセット・テープと2枚のCD。で,就職で上京してからはLPは聴けなくなってしまった。つまりはキティ時代の名盤は全部聴けなくなってしまった。

 …で,CDを買うことになるのだが,高中正義のアルバムばかり7枚も買い替える気などさらさらなし。で,普段は買わないベスト盤で手を打つことを考えた。
 これがキティ時代のベスト盤『TAKANAKA’S COCKTAIL』(以下『タカナカ・カクテル』)の購入の経緯である。

 本当はLPで所有していたキティ時代のオリジナル・アルバムをCDで買い替えるつもりだったのに,実際に買い替えたのは,どうしても聴きたくなった『夏・全・開』と紙ジャケットになって再発された『SAUDADE』と『CAN I SING?』だけである。

TAKANAKA'S COCKTAIL-2 えっ? 怠慢ですって? そんなことは断じてありません。『タカナカ・カクテル』の選曲のセンスが素晴らしいだけなのです。

 もう30年も『虹伝説』と『ALONE』は『タカナカ・カクテル』で聴いていることになるんだなぁ。
 買い替えそびれた『TAKANAKA』と『JOLLY JIVE』はもう30年も聴けていないんだよなぁ。

 って『タカナカ・カクテル』の選曲理由は,アルバムからピックアップされた人気曲のベスト盤というよりも「シングルとカップリングのベスト盤」でしたねっ。ちゃんちゃん。

  01. JUMPING TAKE OFF
  02. 我ら星の子
  03. SEVEN GOBLINS
  04. THE MOON ROSE
  05. PENGUIN DANCER
  06. TO YOU
  07. CHILL ME OUT
  08. RETURN ACE
  09. SAUDADE
  10. NEPTUNE
  11. SUMMERTIME BLUES
  12. CRY BABE CRY
  13. EONA

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1984年発売/3133-24)
(ジャケット一体型帯仕様)

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ボブ・ジェームス / フォクシー4

FOXIE-1 サントリーTVCMと来れば,今でも“我らが”ザ・スクェア“我らが”伊東たけし出演の「サントリー・ホワイト」。【TRAVELERS】と【ALL ABOUT YOU】での「ネシロ」である。

 しかし,今でも忘れられない映像のインパクトで語るなら「リザーブ」の方。伊東たけしTVCMの前バージョンで放送されていたボブ・ジェームスの【マルコ・ポーロ】の方である。
 今でも【マルコ・ポーロ】が流れてくると,ホウキでエア・ギターを弾きながら踊り出すメイドさんの妖しい雰囲気の記憶がよみがえる〜。


 とにもかくにも【マルコ・ポーロ】なのである。自分の中で【マルコ・ポーロ】に関してはボブ・ジェームスというよりも,あの踊り子さんだし,サントリーなのだった。
 だから【マルコ・ポーロ】目当てで【マルコ・ポーロ】収録アルバム『FOXIE』(以下『フォクシー』)を買った。

 『フォクシー』収録の【マルコ・ポーロ】のフル・バージョン。これってマーカス・ミラーの後半,大盛り上がりするベースを聴くためにあると思う。
 名プロデューサーでもあるボブ・ジェームスが,マーカス・ミラーのために作ったベース・ラインの大名演として捉えても良い。管理人がマーカス・ミラーを初めて意識したのが【マルコ・ポーロ】であったと思う。

 多感な青春時代に【マルコ・ポーロ】に出会えて良かった。ボブ・ジェームスマーカス・ミラー伊東たけし〜。でもでも一番はあのメイドさんで決まりである。
 ( サンボーン・フリークとしてはデヴィッド・サンボーンソプラノサックスが貴重なのは当然! )

FOXIE-2 さて,肝心の『フォクシー』の評価であるが,正直『フォクシー』には【マルコ・ポーロ】以外にいい曲がない。
 平均点を超えてはいるが『フォクシー』の時点では,アナログ・シンセフュージョンからデジタル・シンセフュージョンへとサウンドも中身も変革しようとしているイメージが根強い。

 誰かとボブ・ジェームスの過渡期について語る機会があるならば,管理人は持ちネタとして“鉄板”【マルコ・ポーロ】1曲で語りきろうと思う。

  01. LUDWIG
  02. CALABAN
  03. FIREBALL
  04. ZEBRA MAN
  05. MIRANDA
  06. MARCO POLO

(CBS/ソニー/CBS SONY 1983年発売/35DP 92)
(ライナーノーツ/上田力)

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20170730 T-SQUARE LIVE NO.2

 「T−SQUARE CONCERT TOUR 2017 『REBIRTH』」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 『REBIRTH』が好きになって,再び安藤正容が大好きになってしまった管理人。本編もアンコールも最高のLIVE
 『REBIRTHツアーの詳細については,管理人以上に大興奮していたブロ友の LIVEレポート をどうぞ。

 …ということで,アドリブログでは『REBIRTHツアーの「おまけ」=管理人初めての「anmi2」の生演奏。
 ズバリ「T−SQUARE & anmi2 CONCERT TOUR 2017 『REBIRTH』」について書く。

 「anmi2」とは,安藤正容みくりや裕二によるギターデュオ。おおっと,福岡公演は淡谷のり子とクリヤ・マコトのユニットのことでしたね?

 管理人のスクェア・ファン歴は『LIGHT UP(BEST SELECTION)』からだから,既にみくりや裕二は脱退後。
 その後の「T−SQUARE SUPER BAND」にもみくりやさんは不参加ですから,今回のオープニングアクトが,管理人の人生初の生・みくりや裕二だったのです!

 …って,これを書いたら全部終了です! 後は事務所OKの(Wアンコール代わりの)「公式撮影会」でのお写真をどうぞ!
( 個人的に記念写真を撮れてそれはそれでうれしいのですが,伊東さんの「福岡最高〜」を叫ぶチャンスがなくなったのは微妙です )

T-SQUARE 2017 アンコール・公式撮影会-1

T-SQUARE 2017 アンコール・公式撮影会-2

T-SQUARE 2017 アンコール・公式撮影会-3


 「T−SQUARE CONCERT TOUR 2017 『REBIRTH』」の感動は言葉では言い表わせません。ということで田中晋吾のように「ちゃちゃっと終わらせて」もらいます? ← この発言にネギ臭かった晋吾くんへ会場から大ブーイング〜。
 いえいえ,そういうことではなくて,青木さんらが「SNSにUP可」→「SNSで宣伝してほしい」を全うしただけですから〜。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20170730 T-SQUARE LIVE NO.1

 行ってきました! 7/30「電気ビルみらいホール」での「T−SQUARE CONCERT TOUR 2017 『REBIRTH』」!

 まずはLIVEレポートの前にCD批評の訂正をしよう。『REBIRTH』はいい!
 実は『REBIRTH』が気に入らずにCD棚に放置して数カ月。気乗りしないがLIVEの予習のために数カ月ぶりに引っ張り出した『REBIRTH』が“熟成”したのか? 本当にいいアルバムだと思うようになったのだ。

 だ・か・ら「T−SQUARE CONCERT TOUR 2017 『REBIRTH』」の楽しみは,旧曲以上に『REBIRTH』の新曲がどう化けるか?である。こんなウキウキ気分で新作目当てに聴きに出掛けたのは『NEXT』以来のように思う。
 
 『REBIRTHツアーに対する管理人の意気込み&本気度が伝わりますかっ。前日の「荒江団地祭り」をキャンセルして向かった社員旅行(とうか単なる大酒飲みの大宴会:数名ダウン)をウコンで乗り切りブチぎって,当日は日田から朝6時起きで自腹で一人早めに帰宅しました。酷暑で連日すでにお疲れモードでしたが,LIVEの夜も「おばんざい・菜な」での打ち上げ〜翌日はNASで2時間トレーニング〜さらに翌日は14人で大濠花火大会〜さらに翌日は妻が〇添の妻より傷に塩を塗られての号泣を慰めながらこちらがダウン。予定外の予定通りの過密スケジュールで睡眠時間が削られていく中で,数年に一度の「這ってでも向かったであろう」それはそれは楽しみにしていたLIVEだったのです。

 それくらいに頭の中は『REBIRTH(リバース)』が「REVERSEリバース」で「Wリバースカセット・デッキ」。 ← このダジャレ。会場の物販コーナーに行ったマニアなら分かりますよね!? 5万円が5千円の伊東たけし〜! 安藤正容ギターの音が太く聴こえる〜!

 今回の福岡公演の座席は2列目。しかも中央ブロック。大分のスクェア仲間に感謝。いつもなら自分自身の備忘録として座席番号を記しておくのだが,今回は T-Square Staff & PAGE をリンク貼付けさせていただきます。意味の説明は不要ですよねっ。

T-SQUARE & STAFF PAGE-2

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 安藤 正容 : Guitar
 ★ 伊東 たけし : Alto Saxophone,EWI,Flute
 ★ 河野 啓三 : Keyboard
 ★ 坂東 慧 : Drums
 ☆ 田中 晋吾 : Bass

 『REBIRTHツアーの主役は,実は前座(オープニングアクト)の出演者であった。
 メインの(冗談)anmi2のステージが終わったのに,T−SQUAREのステージに居残ってくれた安藤正容が『REBIRTH』する,ロック・ギターフュージョンライブ

 anmi2のステージを含め,ギターソロがなかったのは【かわらぬ想い】だけだったのでは? それもちょいと短いギターソロではないのです。ガッツリと(多分新調した)「漆黒のギター」でのメロディアスなアドリブが素ん晴らしすぎ〜! 【THROUGH THE THUNDERHEAD】での“キレッキレなカッティング”に乗せられてしまった。
 あっ,安藤さんの「印象的な」フレーズに伊東さんもついついつられてしまったそうですよっ。

 そしてこれまた伊東たけしアルトの生音がビシビシ響く〜。
 バラードなしの『REBIRTH』だから,何がバラードとして演奏されるか期待していたのですが,期待通りに【かわらぬ想い】キターッ! そしてこちらは期待以上の,伊東たけしの感情が込めまくりの大名演がハイライト!
 本田期からは唯一の演目となった【PLAY FOR YOU】でのフルート・バージョンも良かった。毎回フルートも聴きたいものです。

 そんな“絶好調”安藤正容伊東たけしの「御大二人」の掛け合いは,昨日の名古屋と全く違っていたようで「一緒に演ってる僕も楽しい」と語ったのは晋吾くんでしたが,会場中が「持ってこーい」でしたよっ(あっ,これってお祭り好きの博多ではなく長崎でしたね)。

 そうして個人的に最高にうれしかったのは坂東くんの不安一掃(FAN一層)のドラミング! 伊東さんのフルートでの横槍に負けずに務め上げたメンバー紹介コーナーでの新MC。定着するといいですねっ。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1989年度(第23回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1989年度(第23回)の発表です。

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コンセクレイション~ザ・ラスト・コンプリート・コレクション★【金賞】.コンセクレイション〜ザ・ラスト
ビル・エヴァンス


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ブルーストラック★【銀賞】.ブルーストラック
日野皓正


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バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー★【銅賞】.バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー
ゲイリー・トーマス


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ジャスト・フレンズ★【ボーカル賞】.ジャスト・フレンズ
ヘレン・メリル&スタン・ゲッツ


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MASATO★【日本ジャズ賞】.MASATO
今津雅仁


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J.S.バッハ: ブランデンブルグ協奏曲第1, 3&amp;5番★【制作企画賞】.J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第1,3&5番
ニューヨーク・オーケストラ

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ライブ・アット・スイート・ベイジル★【編集企画賞】.ギル・エバンス・アット・スイート・ベイジル〜集大成版
ギル・エバンス

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チャーリー・パーカー・オン・サボイ~完全版~★【編集企画賞】.チャーリー・パーカー・オン・サボイ〜集大成版
チャーリー・パーカー

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トリオ・ジーピー★【最優秀録音賞】.トリオ・ジーピー
 ブランフォード・マルサリス


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AURORA★【最優秀録音賞】.オーロラ
ピーター・アースキン


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LIVE AT THE MONTREAL JAZZ FESTIVAL 1988★【最優秀ビデオ賞】.ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション・ライブ88
 ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション



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 ゲイリー・トーマスの『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』が【銅賞】受賞。

 管理人とゲイリー・トーマスとの出会いは「ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション」での斬新すぎる演奏であった。全てをジャック・デジョネットの力量と讃えることもできるが,ゲイリー・トーマスグレッグ・オズビーが組んだフロントの破壊力に度胆を抜かれた。

 その流れで手に取ったゲイリー・トーマスの『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』に再び度胆を抜かれてしまった。
 ゲイリー・トーマス → 「M−BASE」 → 『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』 → 第二のジャズ・ルネッサンスを意識する。

 ウイントン・マルサリスが始めた「新伝承派」のムーヴメントが「M−BASE」を生み出し「M−BASE」がゲイリー・トーマスを,そして『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』に結実した。これは大仰などではない。

 『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』に,今となっては時代を感じる部分もあるが『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』を通過したからこそ,その後の「テナーの豊作」があると思う。

 影響力の点ではブランフォード・マルサリスの次に来るのがゲイリー・トーマスと『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』に翌年【金賞】を受賞した『ザ・ゲイト・イズ・オープン』に違いない。

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高中 正義 / 夏・全・開5

夏・全・開-1 高中正義と来れば「夏」の定番イメージが決定付けられたのが『夏・全・開』であろう。
 いいや,これは世間一般の固定観念である。管理人的には『夏・全・開』と来れば「夏」を飛び越えて「海」を連想するアルバムなのである。

 『夏・全・開』のジャケット写真がそうさせるのか? はたまた『夏・全・開』のアーティスト名が「高中正義 and 楽園ガールズ」になっているせいなのか? 「CLUB TROPICALYPSO」の文字がそうさせるのか?
 とにかく高中正義と来れば「夏」であり「海」。その強烈なイメージは『夏・全・開』から来ているのだと思う。

 まぁ,もはや理由などどうでもよい。管理人は毎年夏になると『夏・全・開』を1回は聴いている。1984年のリリースだから実に30年間以上,高中正義を,そして『夏・全・開』を聴き続けている。
 な・の・に・全く飽きが来ない! 管理人がシビアに拝聴するのではなく,日常的なBGMとしてドツボにハマった名盤の1枚が高中正義の『夏・全・開』なのである。

 やっぱり曲がいいんだよなぁ。そして音楽以外の部分でも思い入れが強いんだよなぁ。
 例えば『夏・全・開』で,打ち込みもイケルようになった。逆に打ち込みっていいじゃん,と思うようなった。そしてヴォーカルものもイケルようになった。逆にコーラスっていいじゃん,と思うようなった。きっと他にも…。

 そして『夏・全・開』を基準として,他の夏アルバムを評価するようになってしまった。同じ夏アルバムであっても,例えば松岡直也の『夏の旅』のイメージは「海」というより「山」に聴こえるよう変化した。『夏の旅』の「夏」とは「田舎のお盆の夏」のイメージ…。

夏・全・開-2 そう。それくらい強烈に脳内に「海」が擦り込まれた『夏・全・開』は「真夏のど真ん中」である。
 実は“高中正義の夏”にもいろんな夏があって,爽やかな『CAN I SING?』は“初夏”のイメージだし,東芝EMI移籍後の『TRAUMATIC 極東探偵団』は“9月の海”だし『JUNGLE JANE』は“残暑”のような夏アルバム…。

 お祭り気分の遊びの部分とバリエーションの豊富さで群を抜く『夏・全・開』こそが“高中正義の夏”の「王道中の王道」なのだと思っている。

 そんな「王道中の王道」『夏・全・開』の全10曲の中でも「王道中の王道」トラックが5曲。【EYELAND】【CUBAN HEELS】【SUMMERTIME BLUES】【RETURN ACE】【NEPTUNE】である。
 この5トラックの神曲こそが「タカナカ・サウンド」を象徴する代表曲である。

  01. ようこそ,夏の王国へ
  02. PARADIZZY
  03. EYELANDS
  04. CUBAN HEELS
  05. 大航海時代
  06. DANCING TO CAT GUITAR
  07. SUMMERTIME BLUES
  08. RETURN ACE
  09. NEPTUNE
  10. OYASUMI

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1984年発売/KTCR-1023)

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20170723 CASIOPEA 3RD LIVE NO.2

 「CASIOPEA 3rd “VESTIGE SUMMER TOUR 2017”」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 ニュー・アルバムなしなのだから,その分「オール・ヒット・ソング集」になると予想していた「VESTIGE TOUR」のセットリストが凄い!
 フタを開けたら『VESTIGE』に入らなかった【EYES OF THE MIND】【GALACTIC FUNK】【DOMINO LINE】【TOKIMEKI】の往年のファン目線の名曲がズラリ!

( って言うか『VESTIGE』は野呂一生が1人でセレクションしたはずなのに??の選曲だと思っています )

 「VESTIGE TOUR」のセットリストについて3つ,4つ注文するとナルチョ曲は【AKAPPACHI−ISM】だし,神保曲は【MID−MANHATTAN】だし,バラードなしとは有り得ないし,ラストが【TAKE ME】だったのはやっぱり不満かなぁ。
 でもそれだけカシオペアには管理人好みの名曲が多いってことなのです! 野呂さんからのご褒美に満足しなければ〜!

 そういうことで管理人の結論。「VESTIGE TOUR批評

 カシオペアには1期も2期も3期もない。「カシオペアは40年間カシオペアであり続けていた」ということを再認識させられた。
 野呂一生のエフェクターが今回のツアーから新しくなったとのことだったが,1人のベーシスト桜井から鳴瀬に改名しても,1人のキーボード・プレイヤーが男性から女性に性転換しても「カシオペアは40年間カシオペアであり続けていた」。素晴らしい。

 そんな“カシオペア魂”を守るために奮闘する「リーダーにして唯一のオリジナル・メンバー」が野呂一生である。野呂一生が“大汗からの汗だっくだく”でタオル拭き拭きフュージョンギターを弾きまくる〜。

 “カシオペア魂”を守るために奮闘するのは,一番新しいカシオペアのレギュラー・メンバー=大高清美も同じであって,大高さん,長めのオルガンソロの途中で指ツッタ〜!

 “カシオペア魂”を守るために安いギャラで奮闘するのがナルチョである。1曲にコードが40個もある。音符の数が多い「薄利多売」のベーシストは音符1個2円いかない〜。

 “カシオペア魂”を守るために全力でサポートするのが神保彰である。全曲カウントからのドラムソロ状態だし「FLASH!」の声張りすぎて声が出なくなった様子。
 それにしても神保さん,ナルチョに呼び込まれて初めてステージ前まで出てMCしてくれましたが,相当身長が高いです。初めて知りました。
 そして相変わらずの営業上手。『VESTIGE』と同日発売「ISSEI NORO INSPIRITS」のニュー・アルバム『TURNING』も売り込んでいました。ドラム神保彰〜。

 「CASIOPEA 3rd “VESTIGE SUMMER TOUR 2017”」のハイライトはバラードなしの直球勝負!
 「夏よりも熱い!」カシオペア40年目の「夏」こそが日本の「夏」!

PS 1曲の演奏が濃すぎるのに2時間ガンガン弾きっぱなしでは後半バテバテでも仕方がありません。アンコールは【TAKE ME】ぐらいしか演奏できる体力が残っていなかった?

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20170723 CASIOPEA 3RD LIVE NO.1

 行ってきました! 7/23「イムズホール」の「CASIOPEA 3rd “VESTIGE SUMMER TOUR 2017”」!

 2017年の「カシオペア・サード」はオリジナル・ニュー・アルバムの発売はなし。結成40周年の「アニヴァーサリー・イヤー」なのにである。
 その代わりに「1stから1枚,2ndから1枚,3rdから1枚」をセレクションした合計3枚組のベスト盤VESTIGE』をリリースする。

 『VESTIGE』をどう読んだらよいのか? 単純に自信作の新作ができなかったからなのか? それとも本当に40周年記念を“集大成イヤー”と位置付けてのことなのか?

 その答えを紐解くために「CASIOPEA 3rd “VESTIGE SUMMER TOUR 2017”」へといざ出陣の管理人!
 果たして「約1名で構成された選曲委員会の委員長」野呂一生が提示した,カシオペア40年の歴史から選ばれた『VESTIGE』のセットリストとは…。

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 野呂 一生 : Guitar
 ★ 鳴瀬 喜博 : Bass
 ★ 大高 清美 : Keyboard
 ☆ 神保 彰 : Drums

 今回の座席は2列3番。これが残念なのか? 大当たりなのか? たまたま前回とは真反対=左列の一番大外。事実,今回も神保彰は死角。大高清美野呂一生にカブルことが多く,事実上,野呂一生鳴瀬喜博の「2人カシオペア」+「2人のサポート・ミュージシャン」のような構図。

 しか〜し,ステージが進むにつれ,何とも乙な光景にウットリ! 前回の経験が生きている!? LIVE前半は2列目の椅子に座って,野呂一生鳴瀬喜博の「2人カシオペア」の熱演をじっくりと鑑賞。

 LIVE中盤にナルチョの「ラジオ体操第八」→「ラジオ体操第九」→「ラジオ体操第十(盆踊り)」の練習タイムで起立させられた中高年の観客が腰かけない。最後まで全員が総立ちの予想外の展開が起こるが,この展開は管理人のもの!

 LIVE終盤は2列目にして1.5列目状態だし,時に1列目,あるいは0.5列目で会場の最前列でダンシング!
 視界の自由が利く大外だから野呂一生鳴瀬喜博の「2人カシオペア」が,最前列に飛び出すと野呂一生大高清美の「2人カシオペア」へと様変わり! 意識的にソロイストに合わせて野呂一生鳴瀬喜博大高清美の「2人カシオペア」がメンバー・チェンジ。そういうことなのです!

 オーラスでのナルチョよ,管理人の声援に視線とポージングで応えてくれてどうもありがとう。ナルチョと管理人の2人だけの世界がうれしすぎでした〜。 
 「夏よりも熱い!」カシオペア40年目の「夏」こそが日本の「夏」!

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

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アール・クルー / ウィスパーズ・アンド・プロミス5

WHISPERS AND PROMISES-1 『WHISPERS AND PROMISES』(以下『ウィスパーズ・アンド・プロミス』)こそがアール・クルーの“ショーケース”にしてアール・クルーの“最高傑作”である。

 『ウィスパーズ・アンド・プロミス』でアール・クルーが追求してきた“繊細なアコースティックフュージョン・ギターのオーケストレーション”が色とりどりに咲き乱れている。
 とにかくカラフルなアルバムである。そしてそこにあるべき色調でアコースティックギター鳴っている。本当に聴き終わると気分が“うっとり”するのである。

 そう。『ウィスパーズ・アンド・プロミス』の印象は,アコースティックギター以上に,時代を先取りしたスムーズ・ジャズ・ギターである。
 生バンド・スタイルに打ち込みにとリズミックな演奏が続いているはずなのに,静かで美しくメロディアス,そして豪華で煌びやかなメロディックな展開で見事に全体がまとまっている。

 全10曲が全く違う曲調なのに“繊細なアコースティックフュージョン・ギター”というワントーンで統一感あるアルバムに仕上げている。
 アール・クルーの柔らかなギター・サウンドと溶け合うビッグ・バンドストリングスの“淡い音色”が音場の空気を支配している。

 『ウィスパーズ・アンド・プロミス』におけるアール・クルーのサウンド・メイキングを冷静に分析してみると,デイブ・グルーシンボブ・ジェームスのようなアレンジャーにアール・クルーが重用されてきた理由が良く分かる〜。

 これって実はアール・クルーを語る上で非常に重要なファクターであって,簡単に言えば,アール・クルーアコースティックギターが様々な音楽ファンにアピールしたのは,アール・クルーが開拓した形式や様式の魅力ではなかったという事実である。
 そう。アール・クルーの音楽性の真髄が,アール・クルーの人間性の真髄,つまり非常にヒューマンなレベルで演奏されているということを証ししているのである。

 管理人は未だアール・クルー本人以外に“アール・クルーっぽい”ギタリストと出会ったことがない。そんな“ワン・アンド・オンリー”なアール・クルーのミュージシャン・シップが『ウィスパーズ・アンド・プロミス』で,アール・クルーの目指した形に花開いている!

WHISPERS AND PROMISES-2 管理人の結論。『ウィスパーズ・アンド・プロミス批評

 『ウィスパーズ・アンド・プロミス』は幾つもの添え木を使った「盆栽」作品のように思う。アール・クルーがセルフ・プロデュースで完璧に仕上げた「盆栽」の音である。
 全体の調和と細部の調和をじっくりと見つめる。やがてアルバムの本質だけに耳が行くようになる。絶対に感動を覚えますよっ。

  01. WHAT LOVE CAN DO
  02. MASTER OF SUSPENSE
  03. WATER SONG
  04. STRAWBERRY AVENUE
  05. FALL IN LOVE
  06. SUMMER NIGHTS
  07. JUST YOU AND ME
  08. WHISPER AND PROMISES
  09. FRISKY BISCUITS
  10. TANGO CLASSICO

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1989年発売/22P2-2714)
(ライナーノーツ/成田正)

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高中 正義 / CAN I SING?4

CAN I SING?-1 管理人は知っている。タカナカ・フリークの間で『CAN I SING?』は余り人気がないことを…。

 確かに『CAN I SING?』のバックサウンドは,高中正義本人に加えて,高橋ゲタ夫鳴瀬喜博ザ・スクェア中村裕二の大物ベーシスト陣や鳥山雄司のリズム・ギター以上に打ち込みシンセの方が目立っているし,ヴォーカル・ナンバーも目立っている。そのことも知っている。

 でも,それでも,管理人にとって高中正義の夏アルバムと来れば何はさておき『CAN I SING?』である。
 「夏だ! 祭りだ! TAKANAKAだ!」。高中正義の「夏」と来れば『CAN I SING?』なのである。

 …と昨日までは思っていた。今夜『CAN I SING?』を聴き直すまではそう思っていた。
 『CAN I SING?批評で『CAN I SING?』を夏アルバムの一番手にまで押し上げるつもりで絶賛するつもりだった。

 今夜『CAN I SING?』を聴き直して「アレッ」と思った。昔抱いていた強烈な「夏」のイメージが跡形もない。
 おいおい。こんなはずでは…。ハシゴを外された気分になる…。

 『CAN I SING?批評を熱く語るつもりが,戦意喪失してしまいました。自分にだけはウソはつけません。やはり世間の評価は正しいのかもしれませんねぇ。

CAN I SING?-2 ただし,今でもブレないのは【JUMPING TAKE OFF】が大名曲であるということ。

 【JUMPING TAKE OFF】については学生時代にたくさんの良い思い出があって,それは「夏」であり「海」であり「恋」であり,そして競艇のCM曲としてヘビロテされていたのが印象深い。
 でもでも『CAN I SING?』の【JUMPING TAKE OFF】はシングル・カット曲の短縮バージョン。なんでこうなるの!?

  01. TOKYO・・・・・・SINGIN’IN THE CITY
  02. 我ら星の子
  03. SAIL ON FIRE
  04. STRAIGHT FROM YOUR HEART
  05. JUMPING TAKE OFF
  06. SANTIGO BAY RENDEZ-VOUS
  07. FUNK'N'ROLL TRAIN
  08. CRY BABY CRY
  09. NOON
  10. CAN I SING・・・・・・FOR YOU

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1983年発売/UPCY-9060)
(紙ジャケット仕様)

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アール・クルー / フィンガー・ペインティング5

FINGER PAINTINGS-1 世はフュージョン・ブームも真っ只中! 多くのフュージョンギタリストが「スピード感」を求めてエレクトリック・サウンドを追求する中,アコースティックギターで「スピード感」あるフュージョン・サウンドを追及したギタリストがいた。それがアール・クルー“その人”である。

 そして,そんな“エレクトリックをも凌駕する”アコースティックフュージョンの“最高峰”に位置する1枚が『FINGER PAINTINGS』(以下『フィンガー・ペインティング』)であろう。
 『フィンガー・ペインティング』というアルバム・タイトルは本来「指で絵を描く画法」のことを指すのだが,ピックを使わず10本の指弾きでガット・ギターを自在に操るアール・クルーギター演奏法を端的に言い表わしているように思う。

 ズバリ,アール・クルーの「超絶技巧」と「優しさ」を表現するのに最適な楽器こそがアコースティックギター。それもスチール弦ではない
ナイロン弦の所謂クラシック・ギター
 並みのエレクトリックギタリスト以上に,爽やかなフュージョン・サウンドを届けてくれる〜!

 なぜに管理人がアール・クルーの紹介文として,アール・クルー最大の魅力である「美しいメロディー・ライン」を差し置いて“アール・クルーアコースティックギタリスト”と押しているかと言うと,本来アール・クルーは「凄腕のエレクトリックギタリスト」だったという過去を知ってほしいから…。

 そう。アール・クルーは「リターン・トゥ・フォーエヴァー」のエレクトリックギタリスト
 ビル・コナーズの後任としてチック・コリアが声をかけたのはアル・ディメオラではなくアール・クルーだっという事実!

 残念ながらアール・クルーは2カ月間で「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を離れたらしく音源が手に入らない。どうしてもアール・クルー入りのRTFを聴いてみたい欲求と,どうあがいても聴くことのできないこの悶々感…。
 チック・コリアのフォロワーでしたらお分かりいただけますよね?

 『フィンガー・ペインティング』をまだ未聴の読者の皆さんがいらしたら,こんな予備知識を持ってアール・クルーを,そして『フィンガー・ペインティング』を聴いてみてほしい。

 絶対に軟派だとか「ソフト&メロウ」路線だとは言い切れない“疾走する”アール・クルーの純白無垢にしてエレクトリックピアノエレクトリックベースと自然に溶け込む“エレクトリックアコースティックフュージョン・ギター”の世界観にKOされてしまうこと請け合い!

 エレクトリックギターという刺激的な相棒を手放し,角の無いサウンド・コンセプトを表現するためガット・ギターの“ヴィヴィッドな響き”へと乗り換えたアール・クルーの“ギタリズム”が素晴らしい。
 とりわけエレクトリックアコースティック特有の個性を引き立て合う,メリハリのある音造りが実に素晴らしい。

 ナイロン弦と来れば管理人にはボサノヴァである。だからアール・クルーの演奏スタイルにはリズミックな楽曲が似合うと思っている。
 例えば【DR.MACUMBA】の前奏のリフが流れ出すと,今でもすぐに足でリズムを取ってしまう。弾むような爽やかなリズムに乗ってアール・クルーのラテン・フレイバーなガット・ギターがス〜ッと入ってくる瞬間の最高のワクワク感は日産車以上のものがある。

FINGER PAINTINGS-2 管理人が『フィンガー・ペインティング』を特別視しているのは『フィンガー・ペインティング』で共演したのがリー・リトナーの「ジェントル・ソウツ」だから!
 特にリー・リトナーがサイド・ギターに徹したカッテイングとバックのタイトなノリが最高であって,そこに絡むアール・クルーがこれまた最高〜!

 『フィンガー・ペインティング』の大ヒット以降,アール・クルーは本格的に「ソフト&メロウ」路線に進んでいく。リズムがシンプルになって面白みが薄まったと思う。
 それがアール・クルーの初めからの狙いであり,そのためのガット・ギターへの転身であったことは承知の上だが,もっとリズミカルなフュージョン・ギターも弾いてほしい。

 そう。『フィンガー・ペインティング』と来れば,絶賛を口にしつつも「リターン・トゥ・フォーエヴァー」の「隠の2代目」ギタリストアール狂う”を惜しげもなく披露してほしい,と真っ先に口から出てしまう「無いものねだり」の管理人なのであります。

  01. DR. MACUMBA
  02. LONG AGO AND FAR AWAY
  03. CABO FRIO
  04. KEEP YOUR EYE ON THE SPARROW (BARETTA'S THEME)
  05. CATHERINE
  06. DANCE WITH ME
  07. JOLANTA
  08. SUMMER SONG
  09. THIS TIME

(ブルーノート/BLUE NOTE 1977年発売/TOCP-8903)
(ライナーノーツ/成田正)

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高中 正義 / サダージ5

SAUDADE-1 高中正義のアルバムは基本的に楽曲重視。だから「タカナカ・サウンド」では打ち込みが多いし,生楽器を使用することはあってもギタリストのバックバンド的で共演者の個性はほとんど目立たない。

 その意味で豪華メンバーと「初めて対等に共演した」『SAUDADE』(以下『サダージ』)がいい。高中正義ギターがいつも以上に素晴らしい。
 『サダージセッションの大盛り上がりが「タカナカ・サウンド」に艶を与えているのだ。

 共演者からの熱い刺激を受けて“フュージョンギタリスト高中正義が「ギター小僧」のバイブルとでも言えそうなバリバリにメロディアスなギターを弾いている。弾きまくっている。

 ズバリ『サダージ』の聴き所は,いつもの自己プロデュースを封印し(『サダージ』は高中正義が初めて他人にプロデュースを依頼したアルバム)高中正義自身は1人の“フュージョンギタリスト”に徹している演奏にある。
 
 『サダージ』の参加メンバーとは,ドラムナラダ・マイケル・ウォルデンギターワーキン・リエヴァノベースT.M.スティーブンスキーボードフランク・マーティンパーカッションシーラ・E。本場の洋楽っぽい高揚感あるバック・サウンドが真にカッコイイ!

 サンフランシスコの強力なリズム隊に乗せられて高中正義ギターが“軽やかに”歌いまくっている。実に楽しそうな「ギター小僧」高中正義の参上である。

SAUDADE-2・風を切って走るような【A FAIR WIND】が爽快で,高中正義ギターで「夏を連れてくる」。
スチール・ドラムパーカッションがカリビアンなのに,マイナー調で日本的な哀愁がはじける名曲【SAUDADE】。
・ブルージーなバラードEONA】の世界観が実に切ない。何度でも聞きたくなる味が沁み出している。
・シャッフル・ビートの上を歌謡ロックでモッタリ弾きまくる【BREAKIN’ LOOSE】。
・能天気でファンキーな,これぞサンフランシスコのJAM・ナンバー的な【RIDE’EM HIGH】。
・Aメロ,Bメロのみの,お洒落でメロディックなディスコ・チューンの【CHILL ME OUT】。
・【NEW YORK STRUT】の最高のタイム感。展開が変わろうともギターのノリは最後まで〜。
・泣きたくなるほど甘く切ないギターが染み入る【THE FOREST OF MY HEART】。
・【MANIFESTATION】で,狂ったようにロック・ギターを弾きまくる高中正義こそが“ギター・ヒーロー”である。

  01. A Fair Wind
  02. Saudade
  03. Eona
  04. Breakin' Loose
  05. Ride'em High
  06. Chill Me Out
  07. New York Strut
  08. The Forest of My Heart
  09. Manifestation

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1982年発売/UPCY-9059)
(紙ジャケット仕様)

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アラン・エヴァンス・トリオ / マカバ4

MERKABA-1 『MERKABA』(以下『マカバ』)でのオルガン・ジャズソウライヴでは表現できない。
マカバ』のような“電化オルガン”はアラン・エヴァンストリオでないと表現することができない。

 『マカバ』でアラン・エヴァンスは,ソウライヴは“COOLなジャズ・ファンク”。アラン・エヴァンストリオは“混沌のファンク・ロック”と音造りを明確に区別してきたように思う。

 『マカバ』は「スペース・ファンク」を名乗るまさかのコンセプト・アルバム。ここまで見事に“電化オルガン”されるとスピリチュアルでカオスっぽい仕上り。深いリバーブのギターのリフがオルガン・ジャズの魅力を,そしてアラン・エヴァンストリオ特有のオルガン・ジャズを引きたてている。

 恐らくはソウライヴの大ファンであったとしても『マカバ』を聴いて,アラン・エヴァンスGROOVEを言い当てることは難しいのではなかろうか?
 事実,アラン・エヴァンス自身の言葉によると,そもそも『マカバ』は全くのプライベート録音であって,日の目を見ることなど想定外の音源だそうである。

 そう。アラン・エヴァンストリオGROOVEとは,ソウライヴから派生したオルガン・ジャズではなく,アラン・エヴァンスがゼロから温めてきた“電化オルガン”のGROOVEなのである。

MERKABA-2 管理人の結論。『マカバ批評

 アラン・エヴァンスがロケットの如く発射するFUNKYなドラミングダニー・メイヤーの無重力のギター・リフ,ボウ・サッサーのスモーキーでコズミックな“電化オルガン”が爪痕を残しスペーシーに響いている。

 『マカバ』→「スペース・ファンク」→アラン・エヴァンス“電化オルガントリオ

  01. THOR
  02. GONE
  03. LIFE IS HARDER TO LIVE
  04. COSMIC HAZEL DUST
  05. WHO DARE KNOCK
  06. THEY CALL ME VELVET
  07. HAVE YOU SEEN HIM
  08. HOTCAKES MELTDOWN
  09. BISCUITS
  10. GIVIN' TO YOU

(Pヴァイン/P-VINE 2013年発売/PCD-17615)
(☆直輸入盤仕様 デジパック仕様)
(ライナーノーツ/松永誠一郎)

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高中 正義 / AN INSATIABLE HIGH5

AN INSATIABLE HIGH-1 インスト好きなら誰もが接したであろうギタリストが一人いる。絶対に避けて通ることのできないギタリストが一人いる。
 そう。高中正義というギタリストジャズフュージョンというカテゴリーを超越したギタリストである。高中正義は「高中正義というジャンル」のギタリストなのである。大好き!

 大好き!なのは本当なのだが,実はテクニカルなギタリストとしての高中正義はそれほどでもない。
 正直,高中正義ギターを聴いてグッと来るのは,ヤマハSGの“輝くフォルム”とエフェクターで仕上げに仕上げた“輝く音色”だけである。

 ズバリ,管理人の大好き!な高中正義の魅力とは「タカナカ・サウンド」。高中正義の“ギターという楽器で歌う”ための「作曲と編曲のハイセンス」にいつでも惚れてしまうのである。
 そういう意味では「タカナカ・サウンド」にはカシオペアスクェアと通ずる部分も多いと思う。気持ち良い&心地良い。「気分爽快・タカナカ・サウンド」。

 こんなにも「トータル・サウンド」で自己プロデュースできるミュージシャンは高中正義サンタナぐらいなものであろう。ギター・ラインをヴォーカル・ライン並みに人々の頭の中に焼きつける〜。

 そんな高中正義の「タカナカ・サウンド」を1番実感できる曲が【MALIBU】である。
 【MALIBU】が好きになったきっかけは,某FM放送でのBGMとして【MALIBU】が流れていたからである。女性DJが【MALIBU】をバックにトークする。そんな放送を中学生〜高校生の頃に毎週聴いて過ごしていた。

 番組のトーク・コーナーのBGMなのだから,曲名もアーティスト名も紹介されるわけがない。「この曲いいなぁ。誰の曲かなぁ」。多分,気になって中学生なりに,高校生なりに本気で調べたはずである。でも当時は分からなかった。そのうち番組も終了し,BGMが気になっていたことすら忘れていた時に【MALIBU】が【MALIBU】であったことを知った。社会人になってのことである。

 …で,重要なのは,そして衝撃だったのは曲名ではなかった。アーティスト名=高中正義を知った時の戸惑い。まさか!?の高中正義。管理人の動揺が伝わりますか?
 だって,高中正義って結構聴きまくっていたはずじゃん。アルバムも10枚は聴いていたはず。なのに運悪くかすらなかった。ベスト盤に入れておいてよ。ベスト盤に入れるべきでしょ?

 っていうか【MALIBU】はギターじゃないでしょ? メインはエレピでしょ? パトリース・ラッシェンだったんですね。ここから高中正義につながるわけないでしょ?

AN INSATIABLE HIGH-2 探し求めていた楽曲をついに聴き当てた喜びに満たされた。しかし,それがまさかの高中正義作ということで【MALIBU】の存在1曲だけで,中学高校時代に抱いていた高中正義に対する“ギター・ヒーロー”としてのイメージが変化した。

 高中正義は幾人かいる“ギター・ヒーロー”の一人などではない。稀代のサウンド・クリエイターである。【MALIBU】がそのことを保証している。

 管理人の中で『AN INSATIABLE HIGH』と来れば【MALIBU】である。そして(これから始まる高中正義批評に登場してくる【BLUE LAGOON】【JUMPING TAKE OFF】【SAUDADE】等の幾多の大名曲があるにしても)高中正義と来れば,どうしても管理人には【MALIBU】一択なのである。 

  01. SEXY DANCE
  02. MALIBU
  03. AN INSATIABLE HIGH
  04. E.S.P.
  05. M5
  06. SUNDROPS
  07. GOOD(BAD?)OLD DAYS

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1977年発売/UPCY-9049)
(紙ジャケット仕様)

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アラン・エヴァンス・トリオ / ドロップ・ホップ5

DROP HOP-1 かつてキース・ジャレットアメリカン・カルテットヨーロピアン・カルテットという2つのバンドを同時並行で運営していたことがある。それは「美女と野獣」のような性格の異なる音楽表現のためには2つのバンドが必要だったからだ。

 キース・ジャレットに限らず,ジャズメンが同時期にバンドを2つ運営する場合,その2つは性格が異なるものであろう。既存のバンドでは表現できない音楽欲求があるからこそ,今とは別の第二のバンドを結成する。今と同じ音楽を続けるのなら,第二のバンドは必要ない。今のバンドに不満があるなら,解散あるいはメンバー・チェンジ。無理に2つのバンドを運営する必然性などないのである。

 管理人はこれまでそう思っていた。アラン・エヴァンストリオの『DROP HOP』(以下『ドロップ・ホップ』)を聴くまでは…。

 ソウライヴオルガン・ジャズトリオである。アラン・エヴァンストリオオルガン・ジャズトリオである。
 ソウライヴのバンド・リーダーであるアラン・エヴァンスが,ソウライヴを解散するわけではなく,ソウライヴとは違うメンバー,オルガンボウ・サッサーギターダニー・メイヤーと組んでソウライヴと同じオルガン・ジャズ・フォーマットの新バンドを運営する。

 なぜ? どうして? その疑問に見事に『ドロップ・ホップ』が答えてくれる。『ドロップ・ホップ』を聴いてみると,同じバンドを2つ同時進行したくなる気持ちが分からないでもない。
 いいや,アラン・エヴァンスにとってはソウライヴも,アラン・エヴァンストリオも,どっちも必要なのだ。アラン・エヴァンスとしては2つのバンドあっての1つの音楽=「アラン・エヴァンスオルガン・ジャズ」をやっているように思う。

DROP HOP-2 管理人の結論。『ドロップ・ホップ批評

 ソウライヴが「POP」であるなら,アラン・エヴァンストリオは「HOP」である。息着く暇もなく刻まれるGROOVYなリズムに興奮しっぱなし。ゴリっとした王道ファンクがハードコアに響いている。

 理知的なソウライヴとストレートなアラン・エヴァンストリオ。この違いこそが『ドロップ・ホップ』におけるアラン・エヴァンスの“狙い”なのであろう。

 つ・ま・り・分かりやすく例えると,アラン・エヴァンスにとってのソウライヴアラン・エヴァンストリオの位置付けは,野呂一生にとってのカシオペアと「野呂一生インスピリッツ」のような位置付けなのである。

  01. AUTHORITAY
  02. CHECK YOUR LUGNUTS
  03. WHISTLIN' WILLIE
  04. DROP HOP
  05. RUM RUNNER
  06. IF YOU WANT MY LOVE (GIVE IT UP)
  07. THE METER'S RUNNIN'
  08. CROOOOZ
  09. AFTER EVERYONE'S GONE
  10. DROP HOP (LIVE VERSION)
  11. THE LAY DOWN (LIVE VERSION)
  12. CROOOOZ (LIVE VERSION)

(Pヴァイン/P-VINE 2012年発売/PCD-93596)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/松永誠一郎)

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野呂 一生 インスピリッツ / ビューティー4

BEAUTY-1 「野呂一生と来ればカシオペアである」。管理人はずっとそう思ってきたが,この持論に訂正を加えたい。
 「野呂一生と来ればカシオペアである。しかしカシオペア以上に,野呂一生と来れば『野呂一生インスピリッツ』である」。

 カシオペアの活動休止宣言後,野呂一生がバンド活動の母体としたのが,エレクトリックギター野呂一生ドラム神保彰ベース箭島裕治エレクトリックピアノ扇谷研人シンセサイザー林良から成る5人組「野呂一生インスピリッツ」である。

 カシオペアから神保彰を,ソロ・プロジェクトから林良を連れてきたバンドのメンバー構成からして「野呂一生インスピリッツ」は,野呂一生そのまんまのカシオペアと,ソロ・アルバムでは意識的にカシオペアっぽさを消してきた野呂一生が有する2つの音楽性を1つにドッキングさせて凝縮したバンドこそが「野呂一生インスピリッツ」なのである。

 事実「INSPIRITS」というバンド名は「ISSEI NOROの頭文字(IN)+精神(SPIRITS)から取られているし「野呂一生インスピリッツ」で発表してきた全楽曲が野呂一生の作編曲。いくら人気ギタリストとはいえ,徹頭徹尾“野呂一生づくし”なのが凄すぎる〜。

 『BEAUTY』(以下『ビューティー』)を聴いてみた。第一印象は「カシオペアっぽい。看板だけを掛け変えたカシオペアの復活?」な印象であった。
 しか〜し『ビューティー』を聴き込んでゆくにつれ,カシオペアのサウンド・イメージから離れ出し,野呂一生ソロ・アルバムに寄り出した。

 ズバリ「野呂一生インスピリッツ」の真実とは,野呂一生ソロ・プロジェクトを根っ子にしたバンドである。「野呂一生インスピリッツ」の真実とは「野呂一生 & フレンズ」なワンマン・バンドなのである。

 この感覚は長年カシオペアを聴き続けてきたマニアには重要なファクターとなる。なぜならカシオペア・サウンドの真髄とは「4人の個性が溶け合った鉄壁のアンサンブル」にあるからだ。
 1st→2nd→3rdとメンバー・チェンジに伴なってバンド・サウンドが変化してきた。だからカシオペア・ファンは1st→2nd→3rdの優劣について論戦するのが常なのだ。

 その意味で「野呂一生インスピリッツ」の場合,向谷実櫻井哲夫日山正明ナルチョ熊谷徳明大高清美のような灰汁がない。
 (ワンマン・バンドの宿命であるが)議論以前に,箭島裕治扇谷研人林良の個性が薄い。

BEAUTY-2 3人ともバカテクなスタジオ・ミュージシャンだと思うが,個性を主張するでも野呂一生にぶつかってみるでもなく,スタジオ・ミュージシャンそのまんまな,自らは一歩引いて野呂一生メロディー・ラインを前面に押し出した演奏に終始している。
 ぶっちゃけ,ベースエレクトリックピアノシンセサイザーのバンド内での役割はレギュラー・メンバーとしての音使いではなくサポート・メンバーとしての音使いだと思う。

 だ・か・ら「野呂一生カシオペア」の法則からして「野呂一生インスピリッツ」にカシオペアを感じたのも当然であって『ビューティー』の深い部分に耳を向けると,そこにはカシオペアとは全く異なる,野呂一生の新しいソロ・アルバムの世界が聴こえてくる。

 「野呂一生カシオペア野呂一生」の新法則=「ISSEI NORO INSPIRITS」!

 「野呂一生インスピリッツ」が「第二のカシオペア」になる日,つまり本当の意味でバンドになる日が来るとすれば,それは箭島裕治扇谷研人林良の“アドリブ”がフィーチャリングされた時ではなく,箭島裕治扇谷研人林良の個性を生かした“アンサンブル”が鳴りだす時であろう。

  01. WIND'S COLOR
  02. APHRODITE
  03. HIGH-FIVE
  04. A BEAUTIFUL THING
  05. PURPLE IN THE SKY
  06. MEMORY DAYS
  07. THE NIGHT VIEW
  08. SWEETNESS
  09. SQUEEZE
  10. A PIECE OF THE DREAM

(ハッツ・アンリミテッド/HATS UNLIMITED 2011年発売/HUCD-10087)

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ダスコ・ゴイコヴィッチ / テン・トゥ・ツー・ブルース4

TEN TO TWO BLUES-1 管理人は『スインギン・マケドニア』派であるが,一般的にはダスコ・ゴイコヴィッチの代表作として『スインギン・マケドニア』以上の人気を誇るのが『TEN TO TWO BLUES』(以下『テン・トゥ・ツー・ブルース』)である。

 『テン・トゥ・ツー・ブルース』は,ダスコ・ゴイコヴィッチのワン・ホーン・アルバム。ダスコ・ゴイコヴィッチトランペットの魅力をストレートに堪能できるのが人気の秘密なのだろう。
 しかし,そんな理由は建前であって,実際には演奏とは別の部分で評価が“盛られている”気分がする。
 あっ,これから少しネガティブなことを書きますが『テン・トゥ・ツー・ブルース』は管理人もダスコ・ゴイコヴィッチ名盤として高く評価しています。誤解のないように。

 『テン・トゥ・ツー・ブルース』は1971年のリリース。世間ではフュージョンの嵐が吹き荒れ,ジャズの伝統は風前の灯であった。
 そんな時代にオーソドックスなワン・ホーンでのハード・バップ。しかもヨーロピアンジャズらしからぬ,アメリカン・ジャズ・ブルースの大連発!
 肩身の狭い思いをしてきた昔かたぎのジャズ・ファンに勇気を与えたのが『テン・トゥ・ツー・ブルース』でのアメリカン・ジャズ・ブルースの大連発! 
 正直,王道を待望していたファン心理に押し上げられたがゆえの「名盤格上げ」のように思っている。

 あるいはこういう論調もある。『テン・トゥ・ツー・ブルース』の主役はダスコ・ゴイコヴィッチトランペットではなく“盲目のピアニストテテ・モントリューの熱いピアノである。
 テテ・モントリューのダイナミックにドライブするラテンピアノが所狭しと駆け巡る。ダスコ・ゴイコヴィッチの哀愁を帯びたバラード・プレイを何倍にも膨らませて光らせる。説得されてしまうピアノである。
 正直,テテ・モントリュー名演に押し上げられたがゆえの「名盤格上げ」のようにも思っている。

 そして,そんな『テン・トゥ・ツー・ブルース』の再ブレイクが“新伝承派”ウィントン・マルサリスが登場した10年後のこと。
 管理人はウィントン・マルサリスを最後の最後まで擁護しますが,ウィントン・マルサリスを罵倒してきたのが,これまた管理人の“フェイバリット”であるキースジャレット本人,そしてダスコ・ゴイコヴィッチのファンたちなのです。

TEN TO TWO BLUES-2 『テン・トゥ・ツー・ブルース』を聴いていると,キースジャレットダスコ・ゴイコヴィッチのファンたちの主張も理解できてしまう。
 『テン・トゥ・ツー・ブルース』でのダスコ・ゴイコヴィッチの方が「ジャズの王道」なのであって,ウィントン・マルサリスのような“新伝承派”こそが「異端」である。そう主張するのに「もってこいの1枚」が『テン・トゥ・ツー・ブルース』であったのだと思う。

 こうして1度ならず2度までも「ジャズの王道」として引用されることになった『テン・トゥ・ツー・ブルース』。
 実は管理人のようなウィントン・マルサリス大好き人間には,さほど痛くもかゆくもなかったりする「小さな名盤」なのであります。

 これが『テン・トゥ・ツー・ブルース』ではなく『スインギン・マケドニア』を持ち出されたら,ちと手強いなと。中々太刀打ちできないかと。

  01. TEN TO TWO BLUES
  02. REMEMBER THOSE DAYS ( I REMEMBER O.P. )
  03. OLD FISHERMAN'S DAUGHTER
  04. I LOVE YOU
  05. A CHILD IS BORN
  06. LAST MINUTE BLUES ( BLUES TO LINE )

(エンサヨ/ENSAYO 1971年発売/MZCE-3010)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1988年度(第22回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1988年度(第22回)の発表です。

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V★【金賞】.
ラルフ・ピーターソン


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パリ北駅着,印象★【銀賞】.パリ北駅着,印象
ケニー・ドリュー


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枯葉★【銅賞】.枯葉
キース・ジャレット・トリオ


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リユニオン★【ボーカル賞】.リユニオン
メル・トーメ&マーティ・ペイチ


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プレイズ・マイルス&amp;ギル★【日本ジャズ賞】.プレイズ・マイルス&ギル
高橋達也と東京ユニオン


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ラスト・コンサート(完全盤)★【編集企画賞】.ラスト・コンサート〜完全盤
モダン・ジャズ・カルテット


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ダブル・エクスポージャー★【制作企画賞】.ダブル・エクスポージャー
佐藤允彦フィーチャリング・エディ・ゴメス&スティーブ・ガッド

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Tribute to Count Basie★【録音賞(海外)】.カウント・ベイシーに捧ぐ
 ジーン・ハリス


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V★【録音賞(国内)】.
ラルフ・ピーターソン


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Blues &amp; Swing [DVD]★【最優秀ビデオ賞】.ブルース・アンド・スイング
 ウイントン・マルサリス



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 キース・ジャレットトリオの『枯葉』が【銅賞】受賞。。

 個人的に『枯葉』が【銅賞】とは納得できない。キース・ジャレットトリオの大量名盤群の中でも『枯葉』の演奏力が頭一つ分抜け出していると思うからだ。

 そう。『枯葉』の全トラックが横並びの名演ばかり。『枯葉』の全楽曲が『枯葉』全体の代表曲であり,キース・ジャレットトリオの代表曲である。
 スタンダードスタンダードの新アレンジとして演奏されるではなく,スタンダードキース・ジャレットトリオオリジナル曲として演奏されるような感覚がある。

 かつてフリージャズの洗礼を通過してきた,キース・ジャレットゲイリー・ピーコックジャック・デジョネットの名手3人がトリオを組んだからこそ表現できた「スタンダードはこういう言語で演奏されるべきである」という確たる信念がベースにあるのだと思う。

 キース・ジャレットトリオの「押し付け」から「お」が取れたら「しつけ」に変わる。全てのジャズ・ファンはキース・ジャレットトリオの「しつけ」を受けてこそ成長できる!

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梅津 和時 KIKI BAND / LAND DIZZY〜眩暈の国4

LAND DIZZY-1 梅津和時って,ドクトル梅津を名乗るアルトサックス・プレイヤーという程度の知識しかない。実はほとんど聴いたことがない。所有しているCD渡辺香津美絡みが数枚ある程度である。

 そんなビッグネームなのに,ほぼ初対面で聴いてた「梅津和時 KIKI BAND」名義の『LAND DIZZY〜眩暈の国』にやられてしまった。
 ゲッ,梅津和時って,こんなにもエモーシャナルなアルトサックス・プレイヤーだったんだ。全然似ていないはずなのに『LAND DIZZY〜眩暈の国』を聴いている管理人の脳内は,あのデヴィッド・サンボーンとか,あのケニー・ギャレットを聴いているのと同じアドレナリンが出てきたのだ。

 もっとフリーっぽい,ジョン・コルトレーンアーチー・シェップの「アグレッシブに吹きまくる系」かと思って手を付けずにいたのに,そうではない。
 梅津和時アルトサックスは「歌うたい系」であった。歌心があって,これだけは伝えたいという感情が込められたサビでの絶唱が来る。でも全く重く響かない。メロディーが駆け抜ける感じの「キレイ系」のアルトサックスであった。

 そう。『LAND DIZZY〜眩暈の国』を聴いてアドレナリンが出たのは事実であるが,その要因は残念ながら梅津和時アルトサックスではなかった。
 『LAND DIZZY〜眩暈の国』の主役は,こちらこそがジョン・コルトレーンのような鬼怒無月ギターと,ことらこそがアーチー・シェップのような早川岳晴ベースである。

 そう。鬼怒無月プログレギター早川岳晴のファズ・ベースの音圧に負けてしまった。
 プログレギターとファズ・ベースの組み合わせと来れば,やはり渡辺香津美ジェフ・バーリンとの『THE SPICE OF LIFE』や,渡辺建との「PRISM」や永井敏己との「EXHIVISION」を思い浮かべるが,特に早川岳晴の“野獣”が特筆ものである。

 ズバリ「梅津和時 KIKI BAND」が目指しているのは「アヴァンギャルドなジャズ・バンド」であろう。「梅津和時 KIKI BAND」より激しいジャズ・バンドなんて幾らでもある。でもこんなにも“危うい”ジャズ・バンドは他にはない。

 「梅津和時 KIKI BAND」とは,鬼怒無月プログレギター早川岳晴のファズ・ベースの“暴走”を梅津和時が「つないでまとめあげてメロディアスに聴かせる」ジャズ・バンドである。

LAND DIZZY-2 梅津和時の押し付けがなければ,本当にバラバラに空中分解しそうな勢いのギターベースが“やさぐれている”。

 実は鬼怒無月早川岳晴を聴いたのも『LAND DIZZY〜眩暈の国』で初めて聴いたのだが,この両雄もすでにビッグネームだったらしく「自分の世界」に誇りを持っている。
 ギリギリでジャズしているし,ギリギリで「梅津和時 KIKI BAND」している。超高速ビートなど使っていないのに,少しでも油断すると脳内が破壊されそうな勢いの演奏。途切れることなくビートがうねっている。ビートが牙を剥いている。要は前衛なのだ。

 前衛と書くしか管理人の表現力では他にないので矛盾があったら申し訳ないが「梅津和時 KIKI BAND」の音楽は分かりやすい。その秘密こそが「歌うたい系」梅津和時の統率力ということであろう。

 まとまっているのに危ういアヴァンギャルドな『LAND DIZZY〜眩暈の国』。管理人のような“電化マイルス”好きにはたまらない1枚であろう。

  01. IZUMOYA
  02. Crawler
  03. UNI
  04. 玄武
  05. 地上の月
  06. IZUMOYA

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2002年発売/EWCD-0053)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/松山晋也)

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ダスコ・ゴイコヴィッチ / スインギン・マケドニア5

SWINGING MACEDONIA-1 読者の皆さんが「自分の1枚」を選べと言われたなら一体何を選ぶのだろう。迷いに迷う選考過程を覗き見すると,きっと頭の中で名盤と言われるタイトルが行き来することだろうし“ジャズ・ジャイアント”と称えられる名前が行き来することと思う。

 …で,あるジャズ・アルバムのコレクターが出した「自分の1枚」の答えがこれ。
 ダスコ・ゴイコヴィッチの『SWINGING MACEDONIA』(以下『スインギン・マケドニア』)である。

 この事実に管理人は度胆を抜かれた。この答えにひれ伏した。確かに『スインギン・マケドニア』は大好きだけど,ダスコ・ゴイコヴィッチも大好きだけど,他の何百枚もの有名盤を押しのけて『スインギン・マケドニア』が指名されたという事実が受け入れ難かった。

 ジャズ批評のセオリーでは絶対に導き出せないマニアック盤=『スインギン・マケドニア』。『スインギン・マケドニア』が選ばれるなど想像したこともなかったのだが,言われてみればアリっちゃアリかも?
 ある素人ジャズ・ファンの出した答えに管理人も大いに勇気をもらったものだし『スインギン・マケドニア』を聴き返す度に合点がいったし納得するようにもなった。

 『スインギン・マケドニア』が大好きになったのは「自分の1枚」に関するエピソードを知ったから。だから,その理由を確認すべく普通のアルバム以上に注意深く聴き込んだのだと思う。そして本当に大好きになった。愛聴盤になった。
 田中さん,一生に1枚の出会いをありがとう。

SWINGING MACEDONIA-2 さぁ,読者の皆さん。この記事で興味が湧いたら次はあなたの番です。ジャズ・ファンなら死ぬまでに1度は聴いて欲しい1枚だと思っています。一部のマニアにしか知られていないとしても,名演,名盤の評価は時代が変わっても一致するものなのです。

 バルカン・マケドニアスイングは1曲として緩みがありません。ダスコ・ゴイコヴィッチの哀愁漂う美しいトランペットを,時に無意識のうちに鼻歌で歌って失敗することがあるんです。

 …ということで『スインギン・マケドニア』の細かな内容については敢えて言及しないことにします。これだけ書けばもう十分でしょ?

  01. MACEDONIA
  02. OLD FISHERMAN'S DAUGHTER
  03. JUMBO UGANDA
  04. THE GYPSY
  05. MACEDONIAN FERTILITY DANCE
  06. BEM-BASHA
  07. SAGA SE KARAME
  08. WEDDING MARCH OF ALEXANDER THE MACEDONIAN
  09. THE NIGHTS OF SKOPJE
  10. BALCAN BLUE

(フィリップス/PHILLIPS 1966年発売/TKCB-71979)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/青木和富,田中博)

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山中 千尋 / モンク・スタディーズ5

MONK STUDIES-1 痛快・爽快・セロニアス・モンクトリビュート! 『MONK STUDIES』(以下『モンク・スタディーズ』)で「変態チック」な山中千尋が帰ってきた!

 『モンク・スタディーズ』のテーマが,あのセロニアス・モンクなのだから,山中千尋の「変態」も想定内なのだったが,ここまで“狂気のエレピ”を弾かれたら山中千尋に「現代のセロニアス・モンク」の称号を与えないわけにはいかないように思う。

 「変態」が「変態」を演奏するのだから,これはもう普通の演奏で終わるわけはないのだけども,山中千尋が真面目に「ザ・セロニアス・モンク」の世界観を掘り下げていく。「前人未到のユニークなアレンジを施しモンクス・ミュージックの核心部」へと迫っていく。

 『モンク・スタディーズ』は,完全に山中千尋の音楽している。しかし,これがどこからどう聴いてもセロニアス・モンクっぽい。ここまで雰囲気としてのセロニアス・モンクを味わえて,かつ,ジャズメンの個性を感じさせるアルバムはなかったのではなかろうか?

 アルバム・タイトルは『モンク・スタディーズ』。セロニアス・モンクから学ぼうなのか? 学んだなのか? 答えはそのどちらでもないように思う。
 【パノニカ】【ミステリオーソ】【イン・ウォークト・バド】【リズマニング】【ルビー,マイ・ディア】【クリス・クロス】【ハッケンサック】を,嬉々として,型にはまらず演奏する姿からは「これぞ,山中千尋の音楽」としての自負,誇りを感じて圧倒されてしまう。

 そう。山中千尋の「変態チック」はセロニアス・モンクという大巨匠をも呑み込んで,完全なる“山中千尋オリジナル”を確立している。
 特にそう感じるのが山中千尋エレピ使い! ローズにしてもシンセにしてもオルガンにしても,この楽曲にはこれしかない!という見事な音色のマッチングである。

MONK STUDIES-2 基本セロニアス・モンクの楽曲はどれも男っぽい。ブツ切れでゴツゴツした後味が残る。だから女性的なエレピは逃げのように思ったのだが,真実はその逆であって,もの凄い攻撃的なエレピ演奏である。
 先に書いた“狂気”を感じるのは,ガンガン叩きつける生ピアノの方ではなくエレピの長押しの方なのである。

 減衰音のピアノでは表現できない持続音のエレピの何とも伸びやかなこと! モンクス・ミュージックエレピの使用で,どこまでもいつまでも広がっていく感覚が最高なのである。
 柔らかいエレピで奏でられる朴訥なメロディーが危険度ゼロで狂っている。真面目な前衛ポップスへとモンクス・ミュージックが昇華している。

 そんな山中千尋の魅力大爆発の『モンク・スタディーズ』であるが,成功の秘訣は新リズム隊の存在にある。
 マーク・ケリーベースディーント二・パークスドラムという,HIPでHOPな非ジャズの倍音ビートが,天然産のモンクス・ミュージックを席巻していく。

 モンクス・ミュージックから,全速力で離れていく瞬間が楽しくてしょうがない! どこまで離れようともマーク・ケリーディーント二・パークス山中千尋の快感のツボを突きまくって「変態体質」のアクネを刺激している。

 そう。『モンク・スタディーズ』の真実とは「変態」の山中千尋が「変態」のリズム隊と「変態」のセロニアス・モンクを演奏する「2017年版・モンクス・ミュージックの音楽実験」なのだと思う。

MONK STUDIES-3 管理人の結論。『モンク・スタディーズ批評

 山中千尋セロニアス・モンクトリビュートが『モンク・スタディーズ』の聴き所ではなく,モンクス・ミュージックをネタとして,既存のセロニアス・モンク像を意のままにブチ壊し続ける歓びこそが『モンク・スタディーズ』の聴き所であろう。

 もっともっとモンクス・ミュージックを触媒とした山中千尋の「かわゆい顔したド変態」の本性を聴かせてほしいと思う。

PS 「MONK STUDIES-3」は販促用のクリアファイルです。

  DISC 1 CD
  01. Heartbreak Hill
  02. Pannonica
  03. Nobody Knows〜Misterioso
  04. New Days, New Ways
  05. In Walked Bud
  06. Rhythm-a-ning
  07. Ruby, My Dear
  08. Criss Cross
  09. Hackensack
  10. Abide With Me

  DISC 2 DVD
  01. Hackensack
  02. Criss Cross
  03. Rhythm-a-ning

(ブルーノート/BLUE NOTE 2017年発売/UCCQ-9303)
★【初回限定盤】 UHQCD+DVD

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アル・ディ・メオラ,ジョン・マクラフリン,パコ・デ・ルシア / フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!5

FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO-1 管理人は趣味でアルトサックスを吹きますが,一番好きな楽器は?と問われればサックスではなく(多分)ギターです。う〜む。超絶ベースだったかもです。この辺りは情緒不安定ですので…。

 それで,何が書きたいのかと問われれば,管理人は音楽にのめり込んだ中学時代から現在まで,ジャズギターギターフュージョンのアルバムで,名盤と称されるものは大抵聴いてきたということです。

 ただし,今夜取り上げる,通称「スーパー・ギター・トリオ」による『FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO』(以下『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』)は,つい最近聴いたばかりなのです。

 ゆえに“若気の至り”で,アル・ディ・メオラジョン・マクラフリンパコ・デ・ルシアによる「超高速・超絶ギター・バトル」を聴きまった思い出はありません。
 3人のスーパー・ギタリストのテクニックの応酬を聴き比べるパワーなど,40代も半ばになった今の管理人にはないことでしょう。もっと若い頃に聴いておけばよかった。

 でも逆に聴くのが遅くなったから,今なら説得力を持つのかもしれません。これまで何百枚も「ギター名盤」を聴いてきた耳を持ってして『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』の衝撃は「前代未聞」!

 『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』レベルの高速バトルは過去に例がなかったと断言できる!
 そして今後,未来永劫『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』に肩を並べるギター・アルバムも出ないように思うのです。

 今や管理人の耳は,音符以上に間の取り方にジャズっぽさを感じてしまいます。その意味でも『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』が図抜けている!
 アル・ディ・メオラジョン・マクラフリンパコ・デ・ルシアのレベルになると“超絶技巧”なる言葉では表現不足。早弾きなど「出来て当然」であって,その上でいかに音楽的なギターの“鳴り”を聴かせるか!

 『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』の聴き始めは,とにかく超高速カッティング&ピッキングに耳が奪われる。そして次第に早弾きと早弾きの間を埋める“メロディアスな”バッキングやフレージングに耳が行く。

 そう。『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』は,アコースティックギター2本だけ,3本だけのジャズギターによる“アンサンブル”集。
 サンフランシスコでのライヴ・ステージに上がった2人か3人は,時に自分が主役でもあり脇役でもあるのだった。

 ズバリ,自分の陣地に相手を引き込もうというスタイルのアル・ディ・メオラ,逆に相手の陣地に入り込むスタイルのジョン・マクラフリン,そして一番の自信家=パコ・デ・ルシアの「ついて来れるものならついて来い」スタイルの違いが『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』の白熱のアンサンブルであるバトルの真相だと思っている。

FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO-2 管理人の結論。『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!批評

 『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』は“売り”である,アクロバティックなギターの“名人芸”が聴き所に違いないがハイライトは「上質のジャズ・ギター」に違いない。

 そう。『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』は,一部のギター・キッズだけが楽しむためのアルバムではない。実に音楽的なジャズ・ギターの“鳴り”に毎回魅了されてしまう。素晴らしい。

  01. TEN TO TWO BLUES
  02. REMEMBER THOSE DAYS ( I REMEMBER O.P. )
  03. OLD FISHERMAN'S DAUGHTER
  04. I LOVE YOU
  05. A CHILD IS BORN
  06. LAST MINUTE BLUES ( BLUES TO LINE )

(ソニー/SONY 1981年発売/SICP 30304)
(☆BLU−SPEC CD2仕様)
(ライナーノーツ/成田正)

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南 博 トリオ / THE GIRL NEXT DOOR4

THE GIRL NEXT DOOR-1 『THE GIRL NEXT DOOR』は,南博ではなく「ベース鈴木正人買い」である。
 ゆえに管理人は『THE GIRL NEXT DOOR』を鈴木正人ピアノ南博ドラム芳垣安洋と組んだピアノ・トリオとして聴いている。

 感想としては鈴木正人はやっぱりいい。鈴木正人に引っ張られたのか南博ピアノもいつになく良い。
 鈴木正人は本来ジャズベーシストではないのだが,ジャズ方面でも引っ張りだこ。そうなる理由は分かる。こんなに正統派のベース・ラインを新鮮な浮遊感覚で弾き込まれたらクラクラ&キラキラする。

 『THE GIRL NEXT DOOR』で鈴木正人が演奏するのは“珠玉の”ジャズスタンダード鈴木正人コンテンポラリー寄りだとしても,当然知っているであろう名曲ばかり。
 でも鈴木正人はそこまで弾き込んではいない。弾きながら「こんな感じ?」と正解を探し当てている感じ? そこがたまらく気持ちいいベーシストなのだ。

 …と,鈴木正人を語ってみたが,管理人以上にメロメロなのが南博であろう。
 鈴木正人ベース・ラインに「ツボを突かれた」南博が,嬉々としてピアノを転がしていく。それこそ何百回も演奏してきたであろうジャズスタンダードのスタイルそのままに,インタープレイを繰り返しながら方向性を固めているように聴こえる。

THE GIRL NEXT DOOR-2 菊池成孔南博を「最も敬愛するジャズピアニスト」と呼んだ理由はこれだったんだ…。
 鈴木正人ベース・ラインの揺れに応じて,南博ピアノも揺れる。バッチリ呼吸が合っている。無理に飛翔しようとせず,駈けずり廻ろうともしない。全く考えていなそうなのに,やっぱり理知的で耽美的なんだよなぁ。

 南博の美意識『THE GIRL NEXT DOOR』に極まりけり!

  01. The Girl Next Door
  02. Bye-Ya
  03. But Not For Me
  04. I Love You Porgy
  05. Nefertiti
  06. Doxy
  07. Blame It On My Youth
  08. Goodbye Pork Pie Hat
  09. Epilogue

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2010年発売/EWCD-0174)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/村井康司)

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チャールス・ミンガス / チェンジズ・トゥー5

CHANGES TWO-1 チャールス・ミンガスが「『CHANGES ONE』(以下『チェンジズ・ワン』)と『CHANGES TWO』(以下『チェンジズ・トゥー』は,僕がこれまでに作ったベスト・アルバムだ」と語ったと聞いたら,にわかミンガス・ファンだとしても,これは聴くしかないでしょう。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』におけるミンガス・ミュージックが最高にロマンティックしている。
 強面のチャールス・ミンガスであるが,中身=チャールス・ミンガスの音楽家魂が「恋愛小説の乙女」している。甘美なメロディーなのに全くエロさがない。綿密で洗練されたドラマティックなラブ・ソングの大名盤の誕生である。

 そう。『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』には,チャールス・ミンガスの理想が素直に音楽で記録されている。ケダモノのようなチャールス・ミンガスが本当に強力で,かつ優雅で美しいと思う。
 真に音楽を聴いて感動する。そんな経験が普段音楽に接することのない人でも経験できる大名盤に違いないのだ。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』の基本はハード・バップである。ただし,単なるハード・バップへの回帰作ではない。チャールス・ミンガスが真正面からジャズを捉えている。これこそがチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」!

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』でのチャールス・ミンガスの「CHANGE」は2つ。
 1つ目の「CHANGE」はミンガス・コンボの再編である。女房役のドラマーダニー・リッチモンドだけを残留させて,新メンバーとして,トランペットジャック・ウォルカステナーサックスジョージ・アダムスピアノドン・ピューレンという若き名手たちを起用している。「ミンガス・スクール」の発掘力は真に凄い。

 2つ目の「CHANGE」はミンガスの作編曲に表われた作風の変化である。敬愛するデューク・エリントンの死,そのデューク・エリントンオーケストラの重鎮だったハリー・カーネイの死を受けて,チャールス・ミンガスの創造性が再び爆発している。
 自分の思いの丈,そして新メンバーの煌めく個性に接して,チャールス・ミンガスの特長である雄大なスケール感が更に増している。
 そして表面に現れるチャールス・ミンガスの1番の変化が「怒りの感情の消失」である。

 例えば『チェンジズ・トゥー』収録の【F監房はアメリカ版ナチ収容所】とは,黒人差別に抗議する反白人のメッセージ・ソングであるが,そんな背景など知らずにメロディーだけを聴いていると,実に軽やかで優しい音楽である。厳しさの裏に愛情を感じる音楽である。チャールス・ミンガスの“懐の深さ”を感じずにはいられない。

CHANGES TWO-2 なぜチャールス・ミンガスは「チェンジ」を宣言したのだろう? 
 それこそが,永遠の師匠=デューク・エリントンの「遺志を継ぐ」「位牌を継ぐ」ことにあると思う。怒りの感情を捨て【敬愛する・エリントン・サウンド】を継続・発展させることに残りの人生を費やす腹づもりだったと思う。
 つまりチャールス・ミンガスは自分の我を捨て去った。これこそが最大の「チェンジ」である。

 バラク・オバマさん。世界平和を作り出すには怒りではなく愛や自己犠牲の精神が必要なのです。そのことをチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」から学んでほしかった。
 管理人にとって「CHANGE」と来れば,オバマ元大統領ではなくチャールス・ミンガスのことなのである。ちゃんちゃん。

  01. FREE CELL BLOCK F, 'TIS NAZI U.S.A.
  02. ORANGE WAS THE COLOR OF HER DRESS, THEN SILK BLUE
  03. BLACK BATS AND POLES
  04. DUKE ELLINGTON'S SOUND OF LOVE
  05. FOR HARRY CARNEY

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1975年発売/WPCR-27144)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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NHORHM / NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL4

NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL-1 古くからジャズという音楽は,クラシック,ポップス,ミュージカル,ロックの有名曲を取り込んで「ジャズ化」してきた。
 その結果,今では原曲以上に有名なジャズスタンダードとして演奏され続ける名曲が多数存在する。それも当然!
 ジャズの魅力はアドリブにある。手癖のつきまくった美メロを,如何に自分流に料理するか? どこまで崩せるか?に命を燃やすのだから…。

 さて,西山瞳が主宰する「NHORHMNEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL)」のモチーフはヘヴィ・メタルである。
 ヘヴィ・メタルの名曲を「ジャズ化」した企画は斬新ではあるが,上記に記した通り,原曲がヘヴィ・メタルかどうかはほとんど関係ない。

 『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』を語る上で重要なのは(ヘヴィ・メタルに限らず)西山瞳自身がカヴァーしたいと熱望する曲をカヴァーしたという事実。この1点に尽きる。

 極論を語れば,仮にカヴァー曲の題材がクラシック集であったとしても,西山瞳のテンションは『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』の雰囲気とそう変わらないのでは?
 それくらいに完璧に「ジャズ化」が完了していると思う。「これぞ,西山瞳の世界」というレベルにまで落とし込まれている。

 管理人の結論。『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL批評
 西山瞳と来れば「北欧ジャズ」とか「ヨーロピアン・ジャズ」のイメージが強いが『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』もどことなく“ヨーロピアンの香り”漂う,完全なるコンテンポラリー・ジャズ・アルバムである。

 その意味で,元ネタなどは関係なしに,いつも通りの西山瞳のアルバムとして受け止めることができる。ゆえに西山瞳の大暴れを期待するファン,あるいはヘヴィ・メタル好きがジャズ方面への第一歩として聴くアルバムとしては不向きだと思う。
( ヘヴィ・メタル好きの皆さんは西山瞳ではなくて上原ひろみを聴いてください! )

 『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』を「ヘヴィ・メタルの「ジャズ化」アルバムとして売り出すのは無理がある。
 緻密でスリリングな展開は原曲の魅力なのでしょう。演奏自体は巷のピアノ・トリオと比較しても激しい部類には入らない「陰影系」だと思うのですが…。

NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL-2 管理人も中坊時代はメタルにハマっておりましたが『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』収録曲は1曲も知らない。
 だから管理人にとっては全曲が新曲。新曲を西山瞳が妙に気合いを入れて演奏している。『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』の聴き所はそこにある。それだけで十分楽しめる。

 ジャズスタンダードピアノで弾いても,ヘヴィ・メタルピアノで弾いても,西山瞳西山瞳
 西山瞳さん,今も昔も心の中はロックン・ロールしてたのですねっ。

  01. In the Dead of Night
  02. Walk
  03. Man on the Silver Mountain
  04. Skin O' My Teeth
  05. Fear of the Dark
  06. Upper Levels
  07. 悪夢の輪舞曲
  08. Demon's Eye
  09. The Halfway to Babylon
  10. Green-Tinted Sixties Mind

(アポロサウンズ/APOLLO SOUNDS 2015年発売/APLS1510)
(ライナーノーツ/西山瞳,KIKO LOUREIRO,マーティ・フリードマン,大村孝佳,鈴木ヤスナリオ)

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チャールス・ミンガス / チェンジズ・ワン5

CHANGES ONE-1 チャールス・ミンガスが「『CHANGES ONE』(以下『チェンジズ・ワン』)と『CHANGES TWO』(以下『チェンジズ・トゥー』は,僕がこれまでに作ったベスト・アルバムだ」と語ったと聞いたら,にわかミンガス・ファンだとしても,これは聴くしかないでしょう。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』におけるミンガス・ミュージックが最高にロマンティックしている。
 強面のチャールス・ミンガスであるが,中身=チャールス・ミンガスの音楽家魂が「恋愛小説の乙女」している。甘美なメロディーなのに全くエロさがない。綿密で洗練されたドラマティックなラブ・ソングの大名盤の誕生である。

 そう。『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』には,チャールス・ミンガスの理想が素直に音楽で記録されている。ケダモノのようなチャールス・ミンガスが本当に強力で,かつ優雅で美しいと思う。
 真に音楽を聴いて感動する。そんな経験が普段音楽に接することのない人でも経験できる大名盤に違いないのだ。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』の基本はハード・バップである。ただし,単なるハード・バップへの回帰作ではない。チャールス・ミンガスが真正面からジャズを捉えている。これこそがチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」!

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』でのチャールス・ミンガスの「CHANGE」は2つ。
 1つ目の「CHANGE」はミンガス・コンボの再編である。女房役のドラマーダニー・リッチモンドだけを残留させて,新メンバーとして,トランペットジャック・ウォルカステナーサックスジョージ・アダムスピアノドン・ピューレンという若き名手たちを起用している。「ミンガス・スクール」の発掘力は真に凄い。

 2つ目の「CHANGE」はミンガスの作編曲に表われた作風の変化である。敬愛するデューク・エリントンの死,そのデューク・エリントンオーケストラの重鎮だったハリー・カーネイの死を受けて,チャールス・ミンガスの創造性が再び爆発している。
 自分の思いの丈,そして新メンバーの煌めく個性に接して,チャールス・ミンガスの特長である雄大なスケール感が更に増している。
 そして表面に現れるチャールス・ミンガスの1番の変化が「怒りの感情の消失」である。

 例えば『チェンジズ・ワン』収録の【アッテカ刑務所事件のロックフェラーを忘れるな】とは,黒人差別に抗議する反白人のメッセージ・ソングであるが,そんな背景など知らずにメロディーだけを聴いていると,実に軽やかで優しい音楽である。厳しさの裏に愛情を感じる音楽である。チャールス・ミンガスの“懐の深さ”を感じずにはいられない。

CHANGES ONE-2 なぜチャールス・ミンガスは「チェンジ」を宣言したのだろう? 
 それこそが,永遠の師匠=デューク・エリントンの「遺志を継ぐ」「位牌を継ぐ」ことにあると思う。怒りの感情を捨て【敬愛する・エリントン・サウンド】を継続・発展させることに残りの人生を費やす腹づもりだったと思う。
 つまりチャールス・ミンガスは自分の我を捨て去った。これこそが最大の「チェンジ」である。

 バラク・オバマさん。世界平和を作り出すには怒りではなく愛や自己犠牲の精神が必要なのです。そのことをチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」から学んでほしかった。
 管理人にとって「CHANGE」と来れば,オバマ元大統領ではなくチャールス・ミンガスのことなのである。ちゃんちゃん。

  01. REMEMBER ROCKEFELLER AT ATTICA
  02. SUE'S CHANGES
  03. DEVIL BLUES
  04. DUKE ELLINGTON'S SOUND OF LOVE

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1975年発売/WPCR-27143)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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KK JAM / KK JAM II4

KK JAM II-1 「KK JAM」の2ndKK JAM 』を聴いて感じるのは,窪田宏キーボードの充実ぶりである。

 「KK JAM」とは,窪田宏メロディー勝田一樹と分け合い,リズムを石川雅春と分け合い,それ以外の音は全て窪田宏キーボードで演奏する“GROOVEトリオ”だということ。

 「KK JAM」の全ての要素に首を突っ込む(手と足を突っ込む)窪田宏が「一切のギミックを排したGROOVYオルガン」を演奏している。エレクトーンの延長線上には,こんなにも凄い音楽が待ち受けていたのだった。凄いぞ,窪田宏〜!

 さて『KK JAM 』を今度は勝田一樹の視点から見つめてみれば「これって,初期“超絶技巧”夜明け前なDIMENSION」の再演では?と思ってしまうのだから面白い。
 『KK JAM』にはなかったメロディアスな【KOOL TIME】【STREAM LINE】なんかは『SECOND DIMENSION』とか『THIRD DIMENSION』辺りの香りがプンプン。← ここに石川雅春の存在価値があると言ったら失礼なのですが…。

 実は勝田一樹のファンとしては「JAFROSAX」と「KK JAM」の位置付けと言うか棲み分けと言うか,2つのプロジェクトが被って聴こえて,明確な違いが分からなかった。
 だから「KK JAM」の立ち上げは,いつものダンス系,クラブ系の病気が発症したとしか思えていなかった。

KK JAM II-1 2ndKK JAM 』を聴いてみて,やっと「JAFROSAX」と「KK JAM」が区別できた思いがする。
 どちらのプロジェクトも共通してクラブ・ジャズを演奏しているに違いはないが「JAFROSAX」とは「JAZZTRONIK」方面の「クラブ・ジャズのポップス化」にあるとすれば(つまりはもっとメジャーに!)「KK JAM」の方は「クラブ・ジャズの文脈におけるセッションの意義」にあるのだと思う(つまりはもっとマイナーに!)。

 『KK JAM 』を聴いてみて「勝田一樹はこうでなくっちゃ!」と一人合点がいった今日この頃である。

  01. Funky D Town
  02. Kool Tune
  03. The Joker
  04. Stream Line
  05. Summertime
  06. Side Slip
  07. Trans Fuse
  08. High Spirits

(ヒヨレコード/HIYO RECORDS 2008年発売/XQBD-1006)
(ライナーノーツ/櫻井隆章)

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CTIオールスターズ / リズムスティック5

RHYTHMSTICK-1 「CTIオールスターズ」の大名盤RHYTHMSTICK』(以下『リズムスティック』)が素晴らしい。
 ここまで完璧な「ブラジリアン・アフロ・キューバン」なのに「アフリカン・ジャズ」って,後にも先にも前例がない。

 唯一『リズムスティック』を聴いていると,自然と頭に浮かぶのがデオダートの『ツァラトゥストラはかく語りき』である。
 両者共にクリード・テイラー印の歴史的名盤なのだからサウンドの傾向は似ているのだろう。しかし,理由はそうでない。
 管理人は『リズムスティック』と『ツァラトゥストラはかく語りき』の2枚だけに,他の名盤のどれとも異なる独特の興奮を覚える。何十回聴いても気分が高揚する。人生の楽しみというか,ワクワク感というか,子供の頃に抱いていた明るい未来を完璧にハーモニーで表現出来ている。

 『リズムスティック』は「CTIオールスターズ」名義(のサウンドトラックらしい)。
 トランペットディジー・ガレスピートランペットアート・ファーマートランペットランディ・ブレッカートランペットジョン・ファディスアルトサックスフィル・ウッズテナーサックスソプラノサックスボブ・バーグパーカッションアイアート・モレイラパーカッションティト・プエンテヴォーカルフローラ・プリムドラムマーヴィン・スミッティ・スミスギターロメロ・ルバンボギタージョン・スコフィールドギターロベン・フォードベースチャーリー・ヘイデンベースアンソニー・ジャクソンシンセサイザージム・ベアード ETC

 『リズムスティック』の最高は,上記クリード・テイラー人脈の超豪華スーパースター軍団の演奏の良さに秘密があるのか? それとも名曲ばかりの選曲の良さに秘密があるのか? いやいや,演奏とメロディーの相乗効果にある!でしょう。

 とにかく曲がいいのだが「CTIオールスターズ」の名手たちが,美メロをこれ以上ないハーモニーで表現しきっている。凄いんだけど聴き馴染みが本当に良い。頭の中でいつまでもリフレインする名曲&名演集の決定版の1枚である。

RHYTHMSTICK-2 きっと『リズムスティック』を脳細胞が受け入れている。『リズムスティック』の美メロが身体全体に沁み込んでいく。そう感じるジャズフュージョンは『リズムスティック』と『ツァラトゥストラはかく語りき』の2枚だけなのです。

 …ということで管理人の薀蓄はおしまいです。『リズムスティック』は,とにかく食べて飲んでみる! 身体が喜ぶ「ブラジリアン・アフロ・キューバン・アフリカン・ジャズ」の最高峰!

  01. CARIBE
  02. FRIDAY NIGHT AT THE CADILLAC CLUB
  03. QUILOMBO
  04. BARBADOS
  05. WAITING FOR ANGELA
  06. NANA
  07. SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE
  08. COLD DE RIO
  09. PALISADES IN BLUES
  10. WANBA

(CTI/CTI 1990年発売/POCJ-2332)
(ライナーノーツ/ジーン・リース)

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