アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

ジャズ

デクスター・ゴードン / アワ・マン・イン・パリ5

OUR MAN IN PARIS-1 『OUR MAN IN PARIS』(以下『アワ・マン・イン・パリ』)の『OUR MAN』とはデクスター・ゴードン
 そう。『アワ・マン・イン・パリ』とはデクスター・ゴードンパリセッションのこと。

 だから『アワ・マン・イン・パリ』は,いつもの(アメリカの)デクスター・ゴードンの雰囲気とはちょっと違う。
 「芸術の都」と呼ばれるパリの空気を吸って,ジャズスタンダードを,ヨーロッパ調に?芸術っぽく?カッコヨク?吹き上げている,デクスター・ゴードンが“お上品”なのだ。

 デクスター・ゴードン・ファンからすると異色盤の『アワ・マン・イン・パリ』であるが,これがいいのだ。
 ジャズメン=アーティスト扱いのスタジオ録音で,生真面目にして弾んだ演奏&意気揚々と屈託のない演奏で,デクスター・ゴードンの「おめかしした演奏」と「リラックスした演奏」の両面が聴けるのは『アワ・マン・イン・パリ』だけである。

 良く知られたスタンダード集ゆえに,細かく途切れるように,語尾を伸ばさない“デックス節”が全開。
 テナーサックス本来の“低音の唸り”も迫力満点であるが,大らかな高音部の響きがどこまでも力強く,優しさに溢れた「ダンディな男」デックス。例の「後ノリ」が鳴りだすと「いよっ,待ってました」な「千両役者」の登場であろう。

 テナーサックスの音色についても,いつもと違う「ヨーロピアンな」雰囲気がある。いつもの豪放で男性的で野太いトーンはそのまんまにして,荒々しい感じだけが消えた「ダンディな男」デックステナーが「渋い声」で大鳴りしている。
 何とも言えない余裕というか大人の貫録というか「大物感」がある。これぞ最大の“PARIS”効果なのであろう。

 【チュニジアの夜】が最高である。本来熱いグルーヴが似合う曲なのに,デクスター・ゴードンの“ワンホーン”で延々と歌い上げられるこの演奏には,どこか透き通ったような寂しさを感じる。
 狂騒的な熱帯の夜の雰囲気はない。いい意味でムーディーでエキゾチックな夜という感じで,太くてたくましいがまろやかな音で,余裕しゃくしゃくの演奏に“うっとり”してしまう。本当に大好き。

OUR MAN IN PARIS-2 デックス自らが“最高傑作”と公言する『GO!』の中にデクスター・ゴードンの全ての魅力が詰まっているのは間違いない。
 レベル的にはデクスター・ゴードンの,というよりも,ジャズサックスを代表する,あるいはモダン・ジャズを代表する名盤の1枚であろう。

 しかし『アワ・マン・イン・パリ』での“余所行き感”を知ってしまうと,幸福そうなデクスター・ゴードンの笑顔が見えてくるように感じて,たまらない愛着を感じてしまう。
 『OUR MAN』=私たちの大男=アメリカを代表するテナーサックス奏者=デクスター・ゴードンを知って欲しいし,聴いて欲しい。

 そう。管理人が選ぶデクスター・ゴードンの愛聴盤は『GO!』ではなく『アワ・マン・イン・パリ』の方なのである。

PS 『アワ・マン・イン・パリ』に“ピンと来たら”やっぱり映画「ラウンド・ミッドナイト」を見てみないと! “俳優”デクスター・ゴードンが見事に“奇人”バド・パウエルを演じています。ベーシストピエール・ミシュロも“ちょい役”で出演しています。

  01. SCRAPPLE FROM THE APPLE
  02. WILLOW WEEP FOR ME
  03. BROADWAY
  04. STAIRWAY TO THE STARS
  05. A NIGHT IN TUNISIA

(ブルーノート/BLUE NOTE 1963年発売/TOCJ-9045)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,小川隆夫)

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20161105 DIMENSION LIVE NO.2

 「LIVE DIMENSIONAL−2016 〜29〜」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 「LIVE DIMENSIONAL−2016 〜29〜」のセットリストを眺めてみて『29』の新曲が,定番の人気曲に馴染んでいる,と思ってしまった。殊に【THE SECOND PLACE】から【YELLOW SUNSHINE】への“繋ぎ”がDJっぽくて,あの部分だけでもいつの日か正式に音源化してほしい,と思ってしまう。
 ズバリ,新旧入り混じることで,お互いの旨味を引き出す“スパイス”になっている。

 DIMENSIONの“リーダー”増崎孝司が『29』の曲作りについて,真面目に語るコーナーがあった。
「曲を書く時とかは歌詞がないのでイメージをまず持つんですけども。自分が年を取れば取るほど,自分が生まれ育った故郷の空とかを考えますね。それが結構反映されたかなぁと。澄んでいるんだけども,ちょっとこう靄がかかった部分があったりとか,後は海の色も所謂絵で見るような青ではなくて,ちょっとグリーンっぽいとか。本当にいいところを取った感じのアルバムだと思いますよ」。

 続いて『29』でも“センター”を務めた「川に挟まれた場所(中洲)が大好きな」勝田一樹が語る。
「そうですね。長崎と言えばロサンゼルスと姉妹都市ですからね。(そうなの? 姉妹都市にしておきましょう。西同士だから)。
増崎さんのギターは目をつぶって聴くとね,ロサンゼルスに今いるのかな。そんな気がしますけどね」。
「やはりDIMENSIONは毎回そうなんですけども,作品のハイライトの部分には必らず彼のギターがあるんですよ(昨日思いついたフレーズとのこと)。冗談抜きに,今回もだから一番いい所は増崎さんのギターでビシッと押さえていただいてね。誠に痛み入ります」。

 続いて『29』を「悪魔新聞」という真っ黒な譜面を駆使して“全曲アレンジし,プロデュースをし,監修をし,カツオが散らかした所を拾ってキレイにした”小野塚晃が語る。
「今マエストロから話があったように,故郷のね,景色を思い浮かぶ,と言いましたよね。マエストロが島原半島の空の色はこんな色,というのを僕が具体的に形にする役ですから,島原の空と海。ねっ。いろいろ細かいところ試行錯誤するんですよ。島原っぽい音色あるかな? それじゃあ小浜だな。口之津だなみたいな」。

 そう。『29』とは,そしてDIMENSIONとは,増崎孝司の思い描いた楽譜のイメージを,勝田一樹が譜面から取り出して,生命の息吹きを吹きかけた最高の素材を,小野塚晃が最高の音楽センスでまとめ上げるバンドなのだ。

 だから昔の曲を演奏しても陳腐にならないし「近未来系」の新曲を演奏しても,どこか遠くで鳴るのではなく,心の故郷へと響いてくる。
 DIMENSIONの楽曲は全部が「兄弟」なのだ。早生まれの『LE MANS』でも,遅生まれの『29』でも…。

 ただし,管理人は知っている。会場にいた観客みんなも知っている。DIMENSIONは,ベースとなる「音楽の根っ子」は変わらないが,それ以外の部分で随分と進化を遂げている。
 “恒例”「ショッピング・ディメンション」が年々上手くなっている。「上達しているのが分かります。人間って凄いですね」(by 小野塚晃)。

 事実,小野塚さんは今回のレコーディングから機材を新調したそうですが,その目的とは『29』のためではなく「ショッピング・アドバイザー」のBGMのリニューアル!?
 今年から「あなたのお家のいらなくなったパーカーを下取り」の新商法が登場し,住宅ローンの返済がきついカツオに「住宅ローン抱えてたって払えるなぁ」「俺ちょっとすぐそこのキャッシング・コーナー行ってくるわ」「カローラのローン組むより安いな」「住宅ローンが後30年あっても大丈夫」と言わせてしまった!
 おお,流石はジャパネットの高田明さんの弟分。「ショッピング・ブラザー」。人呼んで「アキラーズ」。

 『29』のオリコン・アルバム・デイリーチャートは25位で「悪くない」。「今週のベスト10。第3位。ディメンションさんで〜す」。「黒柳さ〜ん(マッチ風)」。
 ジャズ・チャートは軒並み1位獲得。「特に驚かない。毎年毎年のことですけどもの。ジャズ・チャートじゃ,敵いないんじゃない。いる,誰か?」と「いろんな人を敵に回す」のMCが炸裂する。

 そんな冷や汗で汗だくのMCと涼しい顔して演奏するギャップ!なDIMENSIONの「愛情たっぷりのサイン」がこちらです。ライブ終了後に行なわれたサイン会で握手もしていただきました。

DIMENSION サイン-7

 とにもかくにも管理人は世界中の音楽ファンへ向けて声を大にしてこう叫びたい! 「DIMENSIONは世界最高峰のライブ・バンドである」!

 ただ惜しまれるべきは最後の最後。【JUNGLE DANCER】における山本真央樹のとんでもない大ミス。あれはないんじゃないの!?
 折しもマスヤンから「今日は持ち曲全曲演りますんで」宣言が出ていたんだし,お詫びにもう1曲やってほしかった〜!

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20161105 DIMENSION LIVE NO.1

 行ってきました! 11/5「Gate’s7」の「LIVE DIMENSIONAL−2016 〜29〜」!

 「LIVE DIMENSIONAL−2016 〜29〜」のツアー3本目にして早くもハイライトを迎える福岡公演。
 OPENINGの2曲で1年振りの思いを全部ぶつけたかのごとく「やったぜ! 本日はどうもありがとうございました」とのカツオの終演のご挨拶。そこからが「今夜はNON STOP」状態の「総仕上げ&大騒ぎ」!

 なぜかって? マスヤンが本当にボリュームを下げて小声で言う。「今日のために2日間(広島&神戸)で練習してきました」。
 カツオが言う。「九州のDIMENSIONファンの方々に喜んでいただけるような演奏をして帰ろうかな,と1ヶ月前から心に誓っておりました」。

 なぜかって?パート2。増崎孝司川崎哲平の「故郷」であり,勝田一樹の「第二の故郷」九州で,熊本で地震があった。
 ゆ・え・に・合言葉は「九州を元気にするにはDIMENSIONから!」なのである。だ・か・ら「今日はベストなレコーディング以上の演奏をしたい!」(by 増崎孝司)なのである。

 NO。最高の演奏の源は福岡のディメ・マニアの愛情にある。
 「今日ですね。マエストロの方からいつも通り演ろうね。と言われましたけど,いつも通りなんてできるわけないじゃないですか!」(by 小野塚晃)。
 「福岡の皆さんに,いつも以上の力を引き出してもらっているみたいで,本当にありがとうございます」(by 増崎孝司)。

 それでっ,DIMENSIONの拠点を博多に移すんでしたよね? 福岡で「放送事故と言えば勝田一樹」の「NGワードを紙で渡される」ラジオ番組を持つんですよね? 博多どんたくにふんどしで出るのが夢なんでしょ? 多分,もう生きて東京には帰れませんね。
 DIMENSIONと博多は,居酒屋メニューで例えれば「ゴマサバ」級の相性の良さ! 昨夜はゲイツ7で開催予定のカウトダウンのプレ・ライブを楽しんできたと思っておりますので。はい。

 2016年の入場順は10番。ご一緒したNさんと(特に好きで選んでいるわけではないのですが,またしても!)左側スミ1とスミ2のテーブル席から,カツオマスヤンの絡みをメインに小野塚さんのキーボードをチラ見した際の絶景がたまりません。デジャヴ!

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 増崎 孝司 : Guitar
 ★ 小野塚 晃 : Keyboard
 ★ 勝田 一樹 : Alto Saxophone
 ☆ 川崎 哲平 : Bass
 ☆ 山本 真央樹 : Drums

 DIMENSIONライブこそが真のツンデレ。演奏のカッコ良さとMCの漫談とのギャップが大きすぎる〜。MCについては明日のLIVEレポートで書くとして,やはりDIMENSIONは“超絶技巧集団”を再認識。

 でも今回のライブでの「一番の再認識」というか4回目にして「新発見」は“第二の大物ベーシスト川崎哲平の“スゴ腕”である。
 なぜ今まで気付かなかったのか? ディメベースは「永遠に青木智仁」という思いが無意識に邪魔していたのだろうが,もはや大絶賛するしかないグルーヴの嵐&大嵐!

 【YELLOW SUNSHINE】のミディアム・ナンバーでのグルーヴが超快感! 凄い&凄すぎる“第二の大物グルーヴ・マスター”川崎哲平参上〜!
 だ〜って,川崎哲平とは,NHKの「歌コン」に出てて演歌なのに振りが大きくて,誰がタレントか分からない時があるベーシスト。所属の事務所の人にも「あれは,川崎さんやりすぎです。若干クレームが出ています。もうちょっと動かないでください」と怒られてしまう,これもんで動きまくるベーシスト

 でもしょうがないのだ。自ら繰り出すグルーヴで自分自身が横ノリしてしまうグルーヴ・マスター。「細かいことを弾けるベーシストはいっぱいいる。でも細かいのを弾くだけじゃなくて彼が弾くとそこにグルーヴが乗ってくるんですね。それがないとベーシストとして大きなもの(銭ゲバ印)はもらえない」(by 勝田一樹)。

 「至るところで僕らよりも上の世代のミュージシャンがね,ベース川崎くんというのはDIMENSIONでやってるんだって? だからあんな上手いんだね」→「そうですよ!」。
 「でもうれしいよね。やっぱこう自分のところでやってくれてる人が,いや,川崎くん,凄い良くなったね」→「だよね〜」→「誰のおかげか分かってんの〜」→「前から知ってますけどね」。
 「川崎哲平を育てたのは『俺たち』になってますよね。3人の時は『俺たち』ですけど,俺一人の時は『俺』って言ってます」。「あっ,川崎だろ? あれは俺の子分なんだよ。俺通してくれる。何でも」。

 「LIVE DIMENSIONAL−2016 〜29〜」。本当に良かった。日々成長する川崎哲平が,ついにディメ・マニアたちに準メンバーとして認められたのだ。
 個人的にDIMENSIONと来れば,最初に増崎孝司,次に一番長かったのが勝田一樹,そして最近は小野塚晃だったのが,今年はついに川崎哲平目当てとなってしまった。

 川崎哲平が,あのDIMENSIONメンバーである,増崎孝司勝田一樹小野塚晃を三人まとめて“喰ってしまった”のだった。
 ついに時代は川崎哲平へと回ってきた。ただし川崎哲平フュージョンの世界だけではなくJ−POPの世界でも引っ張りだこ。どっちもギャラがいいらしい。いろいろな大きなものを手に入れているようです。

 哲平くん,DIMENSIONの「二次使用料」も貰っているらしいですよっ。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

29-1
29
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デクスター・ゴードン / ゴー!5

GO!-1 デクスター・ゴードン自らが公言する“最高傑作”が『GO!』(以下『ゴー!』)である。
 デクスター・ゴードン自らが『ゴー!』を“最高傑作”と公言したくなる理由も理解できる。『ゴー!』こそがデクスター・ゴードンの“ジャズメン・シップ”の生きた証しなのだから…。

 ビ・バップからハード・バップへと移ろう50年代。第一線で活躍していたデクスター・ゴードンジャズ・シーンから突然消えた。よくある麻薬禍である。
 デクスター・ゴードンと同じパターンのジャズ・サックス・プレイヤーにアート・ペッパーがいるのだが,アート・ペッパーの場合は「前期」「後期」と呼ばれるように,麻薬休業の「以前」「以後」では音楽性がガラリと一変した。アート・ペッパーは監獄の中で聴いたジョン・コルトレーンから影響を受けてしまったから…。

 デクスター・ゴードンの場合は,麻薬休業中にハード・バップの洗礼を受けない「ガラパゴス」ジャズメン。ジャズの潮目が変わろうとも,カムバック後のデックスは引退前のデックスと同じ。
 そんな「浦島太郎」的なデックスだったから,時代がデクスター・ゴードンの“ジャズメン・シップ”に追いついた時,他の追随を許さない圧倒的な王者の演奏で輝くことができたのだ。

 基本,デクスター・ゴードンは,誰と共演しようが,ただひたすら自分のスタイルで悠然とプレイする。だからデクスター・ゴードンには,全てを受け止め,あの「ゴツゴツとした」テナーサックスを「丸く転がしてくれる」共演者を必要としている。

 『ゴー!』で共演したピアニストが“ブルーノートの秘蔵っ子”であるソニー・クラークである。主役に優しく寄り添いながらもブリリアントに響くソニー・クラークピアノが,デクスター・ゴードンテナーサックスの響きに立体感と奥行きをもたらしている。暗く“マイナー系”の独特の雰囲気が演奏に適度な粘りと黒さを与える“秀才”である。

 そう。『ゴー!』は“泰然自若”としたデクスター・ゴードンと“マイナー系”ソニー・クラークの「運命の巡り会わせ」無くしては成立することのできなかった大名盤である。
 デクスター・ゴードンが,以前と変わらぬビ・バップ気質を持ち合わせていたがゆえの「時代の巡り会わせ」というものだろう。

 デクスター・ゴードンの代表曲である【CHEESE CAKE】を聴いてほしい。哀愁溢れるマイナー・チューンが,程良くノリのいいテンポで演奏されるから余計に切なさが際立つ“切ない疾走系”の名曲である。
 ソニー・クラークピアノに「気持ち良く乗せられてしまった」デクスター・ゴードンが,軽快に駆け足するビートをバックに得意のやや遅れたタイミングで語りかけるようにブロウする。スピード感のある演奏なのに,たっぷりと息を吹き込んだデクスター・ゴードンの“可憐な”テナーサックスの音色にグッと来る。

GO!-2 デクスター・ゴードンテナーサックスが,いつにも増して朗々と伸びやかに響き渡る。ノン・ビブラートで発せられる力強い音には芯があり“大鳴り”している。

 デクスター・ゴードンの特徴である「後ノリ」が,これ以上遅れるともたついてしまうという“ギリギリの快感”を呼び起こし,一音一音に躍動感とインパクトを与えている。絶妙な「タメ」の存在がフレーズが滑らかに流れ過ぎないアクセントになっている。

 そう。デクスター・ゴードンテナーサックスを耳で追い続けるだけで,ドキドキ&ワクワクの楽しい時間があっという間に過ぎていく。
 アップ・テンポでは『ゴー!』と豪快にブロウし,スロー・テンポでは,微妙に陰りの情感を漂せて“たまらない”気分にさせてくれる大名盤である。

 ズバリ『ゴー!』の聴き所は,時代が一周回ってきた感じの「バップの雰囲気」にある。ソニー・クラーク名演とバップ期のイデオロギーへの揺るぎない確信がデックスの“無双”気分をプッシュしている。

 その実,豪快極まりない演奏なのだが,決して圧倒されることはない。奇をてらわないデクスター・ゴードンの“ジャズメン・シップ”が,これぞモダン・ジャズ的な雰囲気を持っている。大好物! 

  01. CHEESE CAKE
  02. I GUESS I'LL HANG MY TEARS OUT TO DRY
  03. SECOND BALCONY JUMP
  04. LOVE FOR SALE
  05. WHERE ARE YOU
  06. THREE O'CLOCK IN THE MORNING

(ブルーノート/BLUE NOTE 1962年発売/TOCJ-6479)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー,皸羶成)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1980年度(第14回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1980年度(第14回)の発表です。

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ナイト・パッセージ★【金賞】.ナイト・パッセージ
ウェザー・リポート


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IN CONCERT, ZURICH, OCTOBER 28, 1979★【金賞】.イン・コンサート
チック・コリア&ゲイリー・バートン


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ニューヨーク1980 ギル・エヴァンス・ライブ・アット・ザ・パブリック・シアター(紙ジャケット仕様)★【銀賞】.ライブ・アット・ザ・パブリック・シアター
ギル・エバンス


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カミング・ホーム・アゲイン (HQCD)★【ボーカル賞】.カミング・ホーム・アゲイン
カーメン・マクレエ


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Amtrak Blues★【ボーカル賞】.アムトラック・ブルース
アルバータ・ハンター


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兆★【日本ジャズ賞】.
富樫雅彦〜山下洋輔


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ウィズアウト・ライム・オア・リーズン★【録音賞(海外)】.ウィズアウト・ライム・オア・リーズンスコット・ジャレット


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マイ・リトル・スエード・シューズ(紙ジャケット仕様)★【録音賞(国内)】.マイ・リトル・スエード・シューズ
西直樹


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ビング・クロスビーの想い出★【編集企画賞】.ビング・クロスビーの想い出



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セッション・イン・パリ VOL.1 ソング・オヴ・ソイル★【制作企画賞】.富樫雅彦セッション・イン・パリ VOL.1,VOL.2


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 ウェザー・リポート強し! 1979年,1980年と2年連続【金賞】受賞!
 激動の70年代を締めくくり,成熟の80年代の幕開けを告げるにふさわしい『ナイト・パッセージ』こそが“ウェザー・リポートの時代”であったことの証しである。

 ただし,ネタバレになるがしょうがない。1981年の【金賞】受賞はジャコ・パストリアスの『ワード・オブ・マウス』。つまりジャコ・パストリアス個人としては3年連続の【金賞】受賞なのである。

 ウェザー・リポートにおけるジャコパスの役割は,絶対にジョー・ザビヌルウェイン・ショーターの2トップには敵わないが,ジャコ・パストリアスがいたからこそのウェザー・リポートの「黄金期」!
 “世紀の名バラードジャコ・パストリアス印の【THREE VIEWS OF A SECRET】が生まれて良かった!

 おおっと! ウェザー・リポートエレクトリックジャズで世界を席巻している最中に誕生した,真にHOTでCRYSTALアコースティックジャズの「伝説のライヴ盤」=チック・コリア&ゲイリー・バートンの『イン・コンサート』も【金賞】受賞!

 『イン・コンサート』の本物は「永遠に色褪せない」。「永遠のバイブレーション」に心が震えるのだろう。

 エレクトリックでもアコースティックでもジャズジャズ。バンド・サウンドならではの「強烈なカラーとパワー」が聴こえてくる。デュエットならではの「音の会話」が聴こえてくる。

 そう。ジャズとは「試行錯誤の瞬間芸術」である。
 ウェザー・リポートの5人とチック・コリア&ゲイリー・バートンの2人。なんだか2015年の芥川賞を受賞した又吉直樹と羽田圭介みたいな関係ですよね?

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DIMENSION / 294

29-1 2016年10月12日にリリースが決定していたDIMENSIONの『29』の発売日が延期になった。変更後の発売日は2016年10月26日。つまり2週間の延期とのこと。

 SMAPの解散が発表された時,解散は単純に5人だけ,あるいはジャニーズ事務所だけの問題ではなく,SMAP解散による“経済損失”は,直接効果,一次波及効果,二次波及効果を計算すると,たった1年間で636億円だという記事を読んだ。つまりはレコード会社やジャケット写真の撮影などなど,SMAPの周囲で働く何千人もの生活に影響が及ぶという事実。

 SMAPクラスでこの数字なのだから,DIMENSIONCDリリース延期による“経済損出”は1000億オーバー? DIMENSIONの周囲で働く何万人もの生活に影響が及ぶのを覚悟の上で2週間も延期するとは…。なあ〜んてね。

 でも冗談ではなく,一旦決まった発売日を延期するとは一大事である。その理由が公式Webサイトの説明によると「制作上の都合により」と書かれている。
 この文言だけでは何も分からなかったが,10月26日(フラゲした管理人は10月25日)に店頭に到着した『29』を聴いてみて納得。

 DIMENSIONCDはいつだって,練りに練り上げられており,徹底的に作り込まれたものばかりだが『29』に織り込まれた細かい無数のディテールを発見する時,こんな大仕事をよくぞ2週間の延期でまとめたなぁ,という感想しか出ない。作り“込み方”がとにかく凄い!

( 先の公式Webサイトには「楽曲制作にかなりの時間を費やしたとだけあって,今まで以上の練りに練られた極上のサウンドプロダクツに加え,随所に散りばめられた絶妙なメロディラインがアルバム全編を通して聴く者の心を捉えて離しません。聴くたびに新たな発見がある最上級のインストゥルメンタルミュージック...この秋,是非お聴き下さい!」との文言あり。やっぱり『29』のサウンドプロダクツはただごとではない )

 アッパレ! DIMENSION! アッパレ! 増崎孝司! アッパレ! 小野塚晃! アッパレ! 勝田一樹! さすがは『29』次元!

 『LE MANS』『FIRST DIMENSION』から『28』までDIMENSIONは一貫してメロディー良し。アドリブ良し。アレンジ良しの演奏良し。
 そんなDIMENSIONが『29』次元で勝負してきたのは,曲想とかAメロとかBメロとかサビといった大枠ではなく,メロディー自体が難易度の高いテクニカル・メロディーであろう。

 ズバリ『29』の聴き所は,このメロの展開だから放たれたと確信できるアドリブの完成度であろう。
 めまぐるしく展開していくメロディーから垣間見れる美しいアドリブが,何度聴いても新鮮で,何度聴いても「これしかない!」。
 個人的にはかつて本田雅人がそうであったように,何か新しいものが生まれるまでに何回も何回もアドリブを録り直したのではなかろうか?

 増崎孝司のロック・テイスト,小野塚晃ジャズ・テイスト,勝田一樹ファンクネスが,楽曲のカラーに合わせてテクニカルに混ざり合い,DIMENSIONらしい“深い色合い”で見事に表現されている。
 【THE ROAD TO PEACE】〜【3 FOCUS】〜【GROOVOLOGY】〜【THE SECOND PLACE】の流れが『29』の個性を特徴付ける,実にカラフルなアルバム・カラー!

29-2 これは“百戦錬磨”のスタジオ・ミュージシャンにとっては「至難の業」に違いない。
 大枠なんかはとっくに完成していたのだから「生みの苦しみ」とはちょっと違う。最後の最後“残りコンマ1秒のディテール探し”のために制作スケジュールがオーバーするまでに膨大な時間がかかったのだ。納得のいくアドリブが降りてくるまでに膨大な時間がかかったのだ。管理人はそう思う。

 こう考えるようになったのが『29』を聴き始めて3日後のこと。すでに全曲のメロディーが頭に入った状態でテクニカル・メロディーではなくアドリブを聴きまくって丸2日が経過した。その結果がこうである。

 管理人の結論。『29批評

 全ての道はローマに通ず。改め『29』の全ては【BLUE ROOM】に通ず。
 ラストの【BLUE ROOM】1曲を聴かせるがために【BLUE ROOM】前の9曲が伏線を張っている! アドリブの全てが実はハーモニーだった,という“大どんでん返し”!

 いや〜,2017年のノーベル賞はボブ・ディランに続いてDIMENSIONが受賞します。ジャズ通の村上春樹さん,お先にごめんなさい。

PS 逆に言うと“凝りに凝ったイントロダクション”の『29』はお目当て=美メロの少ない星4つ。CDと同じソロLIVEでは弾かないだろうから『29』がLIVEでどう演奏されるかが楽しみでなりません!

  01. The Road To Peace
  02. Night Bird
  03. Timeline
  04. Get Up With It
  05. 3 Focus
  06. Groovology
  07. The Second Place
  08. Hope
  09. Keep Going
  10. Blue Room

(ザイン/ZAIN RECORDS 2016年発売/ZACL-9094)
(☆スリップ・ケース仕様)
(☆BLU−SPEC CD2仕様)

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デクスター・ゴードン / ドゥーイン・オールライト4

DOIN' ALLRIGHT-1 デクスター・ゴードンと言うと“ワンホーン”のイメージが強い。映画「ラウンド・ミッドナイト」での,椅子に腰掛けながらの演奏シーンがイメージとして強く残っているから。
 映画「ラウンド・ミッドナイト」を見ていないデクスター・ゴードン・ファンの中にも,デックス=“ワンホーン”のイメージを抱いているのでなかろうか? なぜならデクスター・ゴードンの代表作である『GO!』や『OUR MAN IN PARIS』が“ワンホーン”だから。

 しかしデクスター・ゴードンについて回る“ワンホーン”のイメージは単純に編成の問題ではない。デクスター・ゴードンは,いつでも,どんな編成で吹いても“ワンホーン”のデックスのままなのである。

 『DOIN’ ALLRIGHT』(以下『ドゥーイン・オールライト』)を聴いてみて,デックス=“ワンホーン”と感じる理由を再認識することができた。
 『ドゥーイン・オールライト』は,デクスター・ゴードンにしては貴重なトランペットフレディ・ハバードとの2管フロント。
 フレディ・ハバードの“パリッ”としたトランペットは超個性的であるが,その隣りで鳴り響く“男性的で野太くゴツゴツとした”デクスター・ゴードンテナーサックスの存在感たるや,王将格のトランペットを「捻りつぶして」しまっている。

 ズバリ『ドゥーイン・オールライト』は事実上,2管ではなくデクスター・ゴードンの“ワンホーン”として楽しむべきアルバムである。
 このように書くとソニー・ロリンズのような“ワンマン”を連想されるかも知れないが,デクスター・ゴードンはそうではない。あくまで“ワンマン”ではなく“ワンホーン”のデックスである。
 デクスター・ゴードンテナーサックスが鳴れば,フレディ・ハバードトランペットでさえハーモニー楽器に成り下がってしまう。

 ソニー・ロリンズのような天才的なアドリブがあるわけではなく,ジョン・コルトレーンのような神々しさも無いのだが,明快で,颯爽としたテナーの胴鳴りを聴いていると「あっ,自分ってテナーサックスに一番ジャズを感じてしまうんだな」と自覚させられてしまう。
 この辺の感覚が“ジャズ・ジャイアント”の一人として,デクスター・ゴードンは「絶対に外せない」と思わせる魅力なのだと思う。

 なんだかフランク・シナトラのようでもあり,一転して演歌歌手のようでもある。ビートに対してほんのわずか遅らせて吹くから,あのゆったりしたノリが出てくる。ディレイがかって聴こえる。そこが何とも言えないデクスター・ゴードン特有の“味”だと思う。

DOIN' ALLRIGHT-2 デクスター・ゴードン特有の“味”に,ピアノホレス・パーランベースジョージ・タッカードラムアル・ヘアウッドが耳をそばだて聴き入っている。
 デクスター・ゴードンの大らかなスケール感がトランペットフレディ・ハバードをも説得し,場の空気を支配していく。

 読者の皆さんにも『ドゥーイン・オールライト』におけるデクスター・ゴードンの「アメとムチ」を聴いてほしい。
 デクスター・ゴードンの,ゆったりと包み込むようにブロウするテナーサックスの“味”にハマってしまうと,ソニー・ロリンズジョン・コルトレーンが繰り出す高速パッセージが,何だか無意味で過剰でせわしなく聴こえてしまうようになる。

 改めて思う。デクスター・ゴードンほど“ワンホーン”が似合う男はいないのではなかろうか? デクスター・ゴードンの,太く豪快にして,ほろりとくるテナーサックスがあれば,余計なものは要らないと思う。

 そう。デクスター・ゴードンテナーサックスの中に“ワンホーン”の醍醐味が全部詰まっている。ずっと聴き続けていたい…。

  01. I WAS DOING ALL RIGHT
  02. YOU'VE CHANGED
  03. FOR REGULARS ONLY
  04. SOCIETY RED
  05. IT'S YOU OR NO ONE

(ブルーノート/BLUE NOTE 1961年発売/TOCJ-4077)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー,後藤誠,辻昇)

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渡辺 香津美 / MOBO倶楽部5

MOBO CLUB-1 「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」( by 踊る大捜査線 )と渡辺香津美も考えたのだろう。
 “時代の遥か先を行く音楽”『MOBO』を遠い将来でも近い将来でもなく,今,この現場で鳴らしたい! アメリカではなくここ日本で鳴らしたい!

 そんな渡辺香津美の「日本で,今,この現場で」欲求に駆られて作り上げたのが“セッション三昧”するための「MOBOバンド」。
 そんな「MOBOバンド」の貴重なセッションの記録こそが『MOBO CLUB』(以下『MOBO倶楽部』)である。

 「MOBOバンド」とは『MOBO』の“売り”であったツイン・ベースツイン・ドラム編成を踏襲した,ベースグレッグ・リー渡辺建ドラム村上“ポンタ”秀一パーカッション仙波清彦による“凄腕”純国産での『MOBO』の発展バンド。

 いや〜,ロビー・シェイクスピアスライ・ダンバーのジャマイカ隊とマーカス・ミラーオマー・ハキムのニューヨーク隊も凄かったけど「MOBOバンド」の超重量級リズム隊ももの凄い! 自由闊達,変幻自在,縦 横無尽の超弩級のセッション大会に一発KO!

 個人的にはグレッグ・リーベース・ラインが最高で,このベース・ラインを追いかけていると,いつでもあの頃の「MOBOバンド」。そして「MOBO」にTRIPしてしまう!
 ノリノリで大暴れな“和製”ツイン・ベースの躍動感こそが『MOBO倶楽部』の肝であろう。

 しかし『MOBO倶楽部』を聴いていると『MOBO』以上にカズミ・バンドの『GANAESIA』からの影響を感じてしまう。
 これって“怪人”坂田明アルトサックスヴォイスというよりもラップのせい? 『MOBO』の完成された世界観以上に,混沌と整然が絶妙に同居する抽象性に『GANAESIA』からの影響を感じてしまう。

 ズバリ『MOBO倶楽部』における「MOBOバンド」の真髄とは,面白さと過激さを本気で追求したプログレ・フュージョン
 『MOBO倶楽部』における「MOBOバンド」とは,カズミ・バンドが演奏するキングクリムゾンである。渡辺香津美ギターシンセが,かなり挑戦的というか挑発的というか,アヴァンギャルドで“ぶっ飛んでしまっている”。

 シンプルなペンタトニックの,だけど,どこか壊れたメロディが,グギグギのディストーションで鳴り響く。ノリノリのスケール・オンから瞬間的にアウト・オブ・スケールの強烈なフレーズが攻めてくる。
 本気でヤンチャする渡辺香津美に「向かうところ敵なし」。渡辺香津美に「恐いものなし」。

MOBO CLUB-2 そう。渡辺香津美は『MOBO倶楽部』で完璧にプログレを消化したのだと思う。それが「今,現場で起きている」渡辺香津美のプログレ・フュージョンなのである。
 
 ただし『MOBO倶楽部』の「今」は一晩だけ楽しめる音楽などではない。ジャズを消化しフュージョンを消化しロックとプログレをも消化してきた渡辺香津美だから作ることのできた「連綿と続く構築された快楽」。

 『MOBO』が“時代の遥か先を行く音楽”であったならば『MOBO倶楽部』は“未来永劫鳴り続ける音楽”である。素晴らしい。

  01. 風連
  02. 予感
  03. つるかめひなタンゴ
  04. 危険がいっぱい
  05. 強制接吻
  06. サッちゃん
  07. CIRCADIAN RHYTHM
  08. Σ

(ポリドール/DOMO 1984年発売/UCCJ-4114)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/中原仁,石沢弘治)

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ビル・エヴァンス / ビル・エヴァンス・トリオ・ウィズ・シンフォニー・オーケストラ5

BILL EVANS TRIO WITH SYMPHONY ORCHESTRA-1 リリカルなビル・エヴァンスのバックにシンフォニーオーケストラ。この組み合わせが悪いはずがない。
 ただし,ビル・エヴァンスピアノはかなりの強面ゆえに,このアイディアを実際に具現化するのは思いの外,容易ではない。

 “天才アレンジャー”クラウス・オガーマンの選択肢は,ピアノを前面に押し出して鳴らすべきか? それともオーケストラピアノと対立,あるいは共存させるべきか?

 かくして完成された『BILL EVANS TRIO WITH SYMPHONY ORCHESTRA』(以下『ビル・エヴァンス・トリオ・ウィズ・シンフォニー・オーケストラ』)が何ともスッキリ!

 リリカルなビル・エヴァンスが大好きであれば,ド・ストライクなシンフォニーオーケストラとの共演盤。『ビル・エヴァンス・トリオ・ウィズ・シンフォニー・オーケストラ』を聴かずして,ビル・エヴァンスを語ってはいけない“極上”レベルの共演盤。

 有名クラシック曲の選曲と控えめながら音楽の躍動感を意識させる名アレンジに耳がくすぐられる…。
 ゆえに『ビル・エヴァンス・トリオ・ウィズ・シンフォニー・オーケストラ』の成功の主役はクラウス・オガーマンと思われがちだが,絶対にそうではない。この全てはビル・エヴァンス側の“大仕事”の結果である。

 ズバリ『ビル・エヴァンス・トリオ・ウィズ・シンフォニー・オーケストラ』の構図とは,ビル・エヴァンスクラウス・オガーマンの編曲を“聴き分けた”大名盤である。

  思えばピアノ・トリオの印象が強いビル・エヴァンスであるが,ヴァーヴへの吹き込みは冒険作の方が多く,ヴァーヴビル・エヴァンスと来ればピアニストというよりもジャズメンと呼ぶにふさわしい活動のピークの時期。
 サックスフルートの特徴を引き出すことに成功させていたビル・エヴァンスが,シンフォニーオーケストラが有する“カラフルな甘さ”を見事に引き出している。

 オーケストラの音色をサックスフルートなど,1つの共演楽器に見立てた感じで,いつも通りに“ジャズの言語で”ピアノのバランスを合わせていく。
 ビル・エヴァンスとしては,相手が大物オーケストラであろうと気に留めてやいない。よく聴くとピアノシンフォニーオーケストラがバラバラな時間が随所にある。

BILL EVANS TRIO WITH SYMPHONY ORCHESTRA-2 これを偶然と取るか,必然と取るかは聴き手の判断次第であろうが,交わりそうで交わらない両者が絶妙にシンクロした瞬間が『ビル・エヴァンス・トリオ・ウィズ・シンフォニー・オーケストラ』のハイライト!

 ビル・エヴァンスには自分の個性を薄めて「伴奏役」に徹する気などさらさらない。爽やかなストリングズに溶け込むわけでもなく,対立するわけでもなく,ただシンフォニーオーケストラと同じ時間,同じ場所で,互いの考えを共有しながら,同時に音を発しているだけ…。

 そう。『ビル・エヴァンス・トリオ・ウィズ・シンフォニー・オーケストラ』でのビル・エヴァンスは,いつも通りのビル・エヴァンスである。いつも通りにビル・エヴァンスが超然としている。

 シンフォニーオーケストラと共演しようとも,有名クラシック曲を演奏しようとも,やはりビル・エヴァンスビル・エヴァンスであった。ビル・エヴァンスをなめてはならない。

  01. GRANADAS
  02. VALSE
  03. PRELUDE
  04. TIME REMEMBERED
  05. PAVANE
  06. ELEGIA (ELEGY)
  07. MY BELLS
  08. BLUE INTERLUDE

(ヴァーヴ/VERVE 1966年発売/UCCU-9285)
(ライナーノーツ/ビル・エヴァンス,ルイス・フリードマン,藤本史昭,中山康樹)

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和泉 宏隆 / ビヨンド・ザ・リバー5

BEYOND THE RIVER-1 『BLUE IN RED』で同時期にT−スクェアを退団した本田雅人和泉宏隆だが,2人の卒業に対する印象は真逆…。
 そう。自らの意思ではなく「追い出された」本田雅人と,自らの意思で「飛び出していった」和泉宏隆のイメージがある。事の真相は定かではない(ということにしておこう)…。

 だから和泉宏隆の場合,そこまでして演り始めたピアノ・トリオなのに…。周りに迷惑をかけてまで始めたピアノ・トリオなのに…。これ位の出来だったら何で…。
 そんな思いがあったから,個人的に厳しい態度で和泉宏隆の新作を評価している自分がいた。和泉さん,心無い対応を本当にごめんなさい。

 しかし,そんな謝罪を必要としない大満足なアルバムが出た。和泉宏隆ピアノ・トリオによる『BEYOND THE RIVER』(以下『ビヨンド・ザ・リバー』)である。

 ついに好き嫌いを超えた部分で和泉宏隆名盤に出会えた「喜び」を感じた。「星4つ」で評価していた『LIGHTS IN A DISTANCE』と『A SQUARE SONG BOOK』には,それでも多少,贔屓目の部分があったように思う。

 ただし,名盤ビヨンド・ザ・リバー』にしても,管理人が和泉宏隆に当初期待していたピアノ・トリオ・アルバムとは随分違っていた。
 T−スクェアで得た「栄光と名声と高収入」の全てを振り捨ててまで独立した和泉宏隆に,例えば年棒20億円の提示を蹴ってまで広島東洋カープに復帰した黒田博樹の「男気」のようなものを期待していた。

 一から武者修行に出掛け,一日10時間ピアノを練習し“孤高の人”として,5年後にジャズ・シーンに華々しく再登場してくるような和泉宏隆の姿を想像していた。ここで再び和泉さん,無茶苦茶な想像を本当にごめんなさい。

 ズバリ『ビヨンド・ザ・リバー』で登場した“NEW・和泉宏隆”とは,実に柔らかな“ヒーリング・ピアニスト”であった。
 T−スクェア脱退直後の「気負い」など全く感じられない。それはそれは“清らかなピアノ”が響かせていく。今聴いているピアニストが誰なのかを意識することはない。ただただ気持ち良いピアノの音が流れていく。

BEYOND THE RIVER-2 シンコペーションでフレージングの流れを生み出し,川や風といった移ろうもののイメージを浮かべさせる“ヒーリング・ピアニスト”。
 優しく柔らかくて,流れるようで情緒的で,それでいて一本の筋が通っていて…。目を閉じると白銀の世界。あぁ,切ないほどに美しすぎます。

 これには本当に驚いた。和泉宏隆が弾きたかったピアノが,スーッと身体の奥に沁み渡る…。
 和泉宏隆が目指していたのはメリハリ命の“ジャズ・ピアニスト”ではなかった。浮かんでは消えて無くなるピアノのBGMに,自らの我を押し殺した“NEW・和泉宏隆”の真実を見る。

  01. Heart Land
  02. Northern Island Breeze
  03. GladioluS
  04. Moon Palace
  05. Eyes Of Flora
  06. Prelude
  07. Snow Flower
  08. Spiral Fusion
  09. Golden Land
  10. Time Remembered

(アンドフォレスト・ミュージック/&FOREST MUSIC 2008年発売/NNCJ-1014)

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デューイ・レッドマン〜フィーチャリング・ジョシュア・レッドマン / アフリカン・ヴィーナス4

AFRICAN VENUS-1 管理人にとってデューイ・レッドマンの存在が大きすぎる。
 何と言ってもデューイ・レッドマンは,管理人の愛するキース・ジャレットアメリカン・カルテットテナーサックス・プレイヤー。加えて,これまた管理人の愛するパット・メセニーにとっても『80/81』から推し量るにマイケル・ブレッカーと同格の位置にいる。

 …にも関わらず,世間での評価は余りにも低い。管理人とすればジャズの偉大なサックス奏者の歴史において“絶対に欠かすことのできない存在”であるが,世間的にはそうではないのだ。

 追い込まれた管理人は,デューイ・レッドマンの偉大さを語るために,反則とは知りつつも,オーネット・コールマンの右腕であった事実やジョシュア・レッドマンの父である事実についても伝えるのだが,一向に響かない。
 なぜなのだ。管理人だけがデューイ・レッドマンを「過大評価」しているのか? そうなのかもしれない。

 でもそれでいい。あのキース・ジャレットが自分のレギュラー・バンドでフロントを任せたサックス奏者はデューイ・レッドマンヤン・ガルバレクの2人だけ。個人的にはキース・ジャレットの絶頂期は,間違いなくアメリカン・カルテットでの活動であると信じている。
 だからデューイ・レッドマンなのである。管理人にとってデューイ・レッドマンの存在が大きすぎる。

 『AFRICAN VENUS』(以下『アフリカン・ヴィーナス』)は,デューイ・レッドマン晩年の日本企画盤。
 どうやらこの『アフリカン・ヴィーナス』。純粋にデューイ・レッドマンCDを作ろうとしたわけではなく,当時,話題沸騰中だったジョシュア・レッドマンを引っ張り出すための“バーター”としてのデューイ・レッドマンのリーダー・アルバムだったとは…。

 マジでショックである。デューイ・レッドマンの市場価値とはジョシュア・レッドマンの父としてだけ? なんだかなぁ。

AFRICAN VENUS-2 確かに『アフリカン・ヴィーナス』における,デューイ・レッドマンジョシュア・レッドマンの“親子共演”を聴き比べた限り,音楽的にはデューイ・レッドマンの「大負け」である。
( というか“影の主役”ジョシュア・レッドマンの吹く「王道」が素晴らしすぎる。ここでのジョシュア・レッドマンの「覚醒」ぶりはマイケル・ブレッカー並み! )

 ただし,根っ子の部分では,流石のジョシュア・レッドマンも「偉大なる父」を超えることができていない。これこそがキース・ジャレットが見ていたデューイ・レッドマンの本物であり,パット・メセニーが見ていたデューイ・レッドマンの本物であり,オーネット・コールマンが見ていたデューイ・レッドマンの本物なのであろう。

 ズバリ,デューイ・レッドマンの本物とは「妖しさ」である。どうにも「情緒不安定」なテナーサックスである。何を演りたいのか伝わりにくいユニークなフリー・ブローの“パッション”に持っていかれる。

  01. AFRICAN VENUS
  02. VENUS AND MARS
  03. MR. SANDMAN
  04. ECHO PRAYER
  05. SATIN DOLL
  06. TAKE THE "A" TRAIN
  07. THE TURNE AROUND

(ヴィーナス/VENUS 1993年発売/TKCV-79013)
(ライナーノーツ/大村幸則)

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TVCM / 上原ひろみ / 伊藤園 TEAs’ TEA NEW AUTHENTIC(ティーズ ティー ニューオーセンティック)「走り出す旋律」篇

 最近の上原ひろみの活躍ぶりが目覚ましい。例えば「ザ・トリオ・プロジェクト」の『SPARK』が,全米ビルボードの「Top Jazz Albums」という総合ジャズ・チャートにおいて初登場1位を獲得したそうです。
 同時に全米ビルボードの「Traditional Jazz Albums部門」でも1位を獲得したそうで,これは『SPARK』の出来うんぬんではなく「HIROMI」ブランドの“名前で獲った”第1位に上原ひろみの凄さを感じた今日この頃…。

 でもでも。それってアメリカでのお話なのです。日本に住み福岡に住んでいる管理人には「HIROMI」のブランド力を実感することはなかったのです。
 でも,本当に上原ひろみが売れている。そのことを目に見える形で実感することになりました。それがこちらのTVCMです。


 茶系飲料ブランド「ティーズ ティー ニューオーセンティック」のコンセプトは『正統なのに,独創的』。
 “世界のHIROMI”がクラシックからジャズに移り変わるピアノに乗せて『正統なのに,独創的』なコンセプトを表現するとこうなるのでしょう。贔屓目なしに素晴らしいと思います。

 普段は“ジャズ・ピアニスト”というよりも「プログレ・キーボード・プレイヤー」の印象が強い上原ひろみに“ジャズ”を感じてしまいます。
 「走り出す旋律」篇のタイトル通りに,ピアノが,そして上原ひろみが走っている。見せる&魅せる→TVCM

 “手数王”サイモン・フィリップスと組んだアクロバティックな演奏が上原ひろみ「トレードマーク」に違いないが,個人的に上原ひろみの聴き所とは,感情が大爆発するバラードにこそあると信じている。

 ゆえに続編となる?「〇〇〇〇」篇では,しっとりとピアノを弾き上げる「大空を見つめる」上原ひろみを見てみたい…。
 お茶や紅茶って,ゆっくりと座って味わうものだと思うから〜。茶畑・静岡のお姫様「HIROMI」〜。

 うん。「TEAs’ TEA」を飲んでみようっと〜。

デオダート / ツァラトゥストラはかく語り5

PRELUDE-1 デオダートの【ツァラトゥストラはかく語りき】を部屋で聴いていると,妻が「なんでこんなの聴いているの?」と尋ねてきた。そう。管理人の家庭では日常的に,ジャズフュージョンか,そうでなければラジオが流れている。
 映画にも関心の薄い妻にとって「2001年宇宙の旅」という言葉は出なかったが【ツァラトゥストラはかく語りき】が有名映画のサウンドトラックであることまでは識別できたのだろう。そうしてポツリとこう言った。「この曲,こんなにカッコ良かったっけ?」。

 そう。それなのだ。【ツァラトゥストラはかく語りき】と来れば「2001年宇宙の旅」ではないのだ。【ツァラトゥストラはかく語りき】の「王道」と来ればCTIなのだ。デオダートの【ツァラトゥストラはかく語りき】こそが最高にカッコイイ!
 ズバリ,本家以上に「宇宙の旅」している交響曲! TOMORINCHAN発進〜! GO(ガオォ)!

 【ツァラトゥストラはかく語りき】について語りたいことも,語らねばならないこともあくさんあるが,とにかくカッコイイ。その一言で全てを言い得てしまう“類まれなる大名演”。
 管理人の【ツァラトゥストラはかく語りき】収録のアルバム・タイトル『PRELUDE』(以下『ツァラトゥストラはかく語りき』)のレビューは以上である。

( ここから先は読んでも読まなくても構わない。ここから先は管理人からジャズフュージョン批評家たちへの反論を記すことにする )

 世評では【ツァラトゥストラはかく語りき】について,やれ「フュージョン以前のクロスオーヴァーの名曲」だの,やれ「ジャズ・アレンジされたクラシックの代表曲」なのだと語られているが,それは違うと思う。

 デオダートの【ツァラトゥストラはかく語りき】とリヒャルト・シュトラウス作曲の交響詩【ツァラトゥストラはかく語りき】を聴き比べてみると分かる。デオダートの【ツァラトゥストラはかく語りき】の中に登場するシュトラウスの【ツァラトゥストラはかく語りき】の原型は,冒頭のキャッチャーな「金管楽器の雄叫び」だけである。
 つまりデオダートは,印象に残る冒頭の部分だけを素材として,後は卓越したアレンジ能力を駆使して,ピッカピカのCTIフュージョンに大変身させているのだった。

 デオダート版【ツァラトゥストラはかく語りき】のアレンジの肝はビリー・コブハムの実にタイトなドラミングである。ビリー・コブハムの“エレクトリック”志向のジャズドラムがあればこそのスタンリー・クラークエレクトリックベースだろうし,ジョン・トロペイのロックなエレクトリック“カッティング”ギターの素晴らしさであろう。

PRELUDE-2 そこへ乗っかる,ラテン・フュージョンデオダートの優雅なエレピと,アイアート・モレイラレイ・バレットパーカッションの“華やかさ”はどうだ?
 加えて,電化マイルスウェザー・リポート,それからマハヴィシュヌ・オーケストラまでもを呑み込んだデオダートが“隠し味”で準備したホーンストリングスによる「オブラート」はどうだ?

 「キタ,キタ,キターッ」な感じで登場するパーカッション,そしてホーンストリングスシンフォニーに,デオダートの中の“荘厳な音絵巻”を強く感じ取る。

 そう。デオダートが『ツァラトゥストラはかく語りき』で見据えていたのは,世評で語られている「ジャズとクラシックの融合」というコマーシャルな側面などではない。
 デオダートのアイディアは他の多くのミュージシャンに盗まれてしまったが,それらのほとんどはイミテーションであり,コピーの域にも達してはいない。

 ズバリ『ツァラトゥストラはかく語りき』の真髄とは,ジャズ,ロック,シンフォニーが「渾然一体」となった快感のサウンドであって,どんな切り口で聴こうとも,とにかく気持ちいい&カッコイイ。
 デオダートのサウンド・マジックよ,永遠なれ!

PS 『ツァラトゥストラはかく語りき批評=軸となる【ツァラトゥストラはかく語りき】のトラック批評となってしまったが,残る5トラックも【ツァラトゥストラはかく語りき】に負けず劣らずの名演集。繰り返すが,全曲がとにかく気持ちいい&カッコイイ。

  01. ALSO SPRACH ZARATHUSTRA (2001)
  02. SPIRIT OF SUMMER
  03. CARLY & CAROLE
  04. BAUBLES, BANGLES AND BEADS
  05. PRELUDE TO AFTERNOON OF A FAUN
  06. SEPTEMBER 13

(CTI/CTI 1973年発売/KICJ-8218)
(ライナーノーツ/豊島としき)

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フライド・プライド / MUSICREAM4

MUSICREAM-1 なんだかんだで『THAT’S MY WAY』で飽きがきて,5thTWO,TOO』をパスしたフライド・プライド
 6thMUSICREAM』では何と!邦楽のカヴァーが入っているとの情報につられてフラゲでGET(でも一番のお目当てはシャカタクの【NIGHTBIRDS】だったりする)。

 ふむふむ。やっぱりフライド・プライドの手にかかれば日本語も英語も区別なし。原曲がジャズでもフュージョンでもJ−POPでも洋楽でもR&Bであろうとも,全てを呑み込む「フライド・プライドオリジナル」の音楽が展開されている。

 『MUSICREAM』も“バッチリ”であった。でも正直,もうお腹一杯な気持ちになる。2,3回聴けばもう十分な気がする。
 振り返れば,現在のフラプラで演れるアイディアは「コンコード三部作」で全て演り尽くしてしまったように感じる。

 『HEAT WAVE』の時点で既に「最小公倍数が最大公約数」的なフラプラ特有の表現の限界にまで達していた。デュオという枠組みの中で,どこまで音楽性を拡げられるのか? 毎日が己(フラプラ)との“消耗戦”だったのだろう。

 フラプラ・ファンとしては,胸が締め付けられる思い出の『MUSICREAM』。
 「唯一無二」の存在であるがゆえに,レコーディングを重ねる度に新鮮味が失われてゆく…。「フライド・プライドオリジナル」の魅力が薄れてゆく…。

 『MUSICREAM』での「カンフル剤」=邦楽カヴァーはもうしばらくは使えない。
 残された道はオリジナル曲ということになるのだが,世界最高峰のカヴァー・アレンジを封印するのは“諸刃の剣”で悩ましい。

MUSICREAM-2 個人的には横田明紀男ギターがメロを弾きすぎていることが気掛かりである。もっとJAZZYにギターを弾きまくってほしい。
 メンタルを鍛え直して?もう一度,音数の多い“多弁な”リーダーに戻ってほしい。

 管理人の好きなフライド・プライドとは「ジャズ・ユニット」として“せめぎ合っている”フライド・プライドである。
 お洒落に聴かせるヴォーカル・ナンバーは『MUSICREAM』で終わりにしてくれたなら…。

 それにしてもSHIHOのドアップのジャケ写の大インパクト! こちらのビューティー路線は嫌いではありません…。

  01. CAN'T TAKE MY EYES OF YOU
  02. リバーサイド・ホテル
  03. 接吻 KISS
  04. Nightbirds
  05. Words With Wings
  06. Get Down To Me
  07. Midas Touch
  08. 永遠に
  09. Higher Ground
  10. La La Means I Love You

(ビクター/JVC 2006年発売/VICJ-61356)

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デヴィッド・T・ウォーカー / ドリーム・キャッチャー5

DREAM CATCHER-1 「なんだかノリに乗っているなぁ。『デヴィ爺』が若い!」。
 これが『DREAM CATCHER』(以下『ドリーム・キャッチャー』)を聴いた管理人のファースト・インプレッションであった。

 デヴィッド・T・ウォーカーの愛称とは「デヴィ爺」であるが“じいさん”呼ばわりするのはデヴィッド・T・ウォーカーが百戦錬磨の“いぶし銀”だから!
 真実のデヴィッド・T・ウォーカーとは“じいさん”とは対極にいる,さながら“永遠のギター・キッズ”! デヴィッド・T・ウォーカーに似つかわしい本来の愛称とは「デヴィ爺」改め「デヴィ造」なのであろう。 ← 造は若造の造。

 『ドリーム・キャッチャー』でのデヴィッド・T・ウォーカーこそが,実に楽し気にギターを弾く「デヴィ造」である。自分の大好きなジャズ系やR&B系,そしてブラック・コンテンポラリーなナンバーを「愉快な仲間たち」と自由気ままに演奏している。
 その意味で『ドリーム・キャッチャー』こそが,デヴィッド・T・ウォーカーにとっての“夢のアルバム”。だから『DREAM CATCHER』なのだろう。

 デヴィッド・T・ウォーカーは,ギター・ピックの角ではなく平らな背の部分を使用する。まるでギターではなくハーブでも奏でているかのような,時に激しくもとことん優しく“ギターを歌わせる”プレイ・スタイルが,デヴィッド・T・ウォーカーの“独特な音空間”を生んでいる。
 物腰柔らかな人柄がそのまんま音として出て来るタイプ。どんだけギターが上手いんじゃい!

 『ドリーム・キャッチャー』は,フュージョンを基本としたファンキー寄りのアルバムであって,デヴィッド・T・ウォーカーの“メロウ”が堪能できるギターフュージョン
 “本家”クルセイダーズのメンバーが脇を固めた前作『...FROM MY HEART』以上に“クルセイダーズっぽく”聴こえるのは,それだけクルセイダーズへの「デヴィ爺」の貢献が顕著な証し。

DREAM CATCHER-2 ズバリ,デヴィッド・T・ウォーカーというギタリストは,ファンキーな歌ものでこそ魅力を最大限に発揮する“心を揺さぶる”セッションギタリスト
 デヴィッド・T・ウォーカーの感情の噴出が,ギターからバンドへ,そしてリスナーへと伝播していく「感動の渦」…。

 デヴィッド・T・ウォーカーの場合も,きっかけはラリー・カールトンと同じ。クルセイダーズ「さまさま」である。
 ある意味,人気ロック・バンドのスーパー・ギタリストとは対極にいたはずの「黒子」のセッションギタリストたちがこれだけの人気を博すとは,いい時代になったものだ。

PS さすがに今ではそう思わないが,メディアにデヴィ夫人が露出し始めた頃のこと,デヴィ夫人の文字を見る度に「デヴィ爺」の夫人を想像してしまってニヤニヤするのが常でした。読者の皆さんの中にも?

  01. HEALING WHEELS
  02. AN-NOOR
  03. DREAM CATCHER
  04. THE BEST I'VE GOT
  05. STORYTELLERS
  06. TIME OF STILLNESS
  07. THE ONE
  08. SPIRITUALLY DRESSED
  09. RADIUS

(江戸屋/EDOYA 1994年発売/BVCM-35166)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/デヴィッド・T・ウォーカー,山岸潤史,ウエヤマシュウジ)

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フライド・プライド / THAT'S MY WAY4

THAT'S MY WAY-1 フライド・プライドとは,ヴォーカルSHIHOギター横田明紀男が組んだ「ジャズ・ユニット」なのだが,実際にはここに3番目のメンバーが加わっている。
 例えば,パーカッションNOGERAMEGUTOMMYシーラE.…。

 しかし,パーカッションが加わろうとも,フライド・プライドはあくまでもフライド・プライドのままである。
 そんなフライド・プライドが「ジャズ・ユニット」から「ジャズ・バンド」へと表現を拡大させて,新たに“世界一”を目指したのが,4thTHAT’S MY WAY』である。

 「ジャズ・ユニット」のフライド・プライドが,ピアノアコーディオンギル・ゴールドスタインヴィブラフォンマイク・マイニエリベースマーカス・ミラー高水健司ドラム村上“ポンタ”秀一等の「世界の猛者」たちの“GROOVE”を迎え撃つ!

 そう。世界最強の“GROOVE”を自らの体内に取り込もうとするのではなく,バンド編成を拒否したかのようなヴォーカルギターが素晴らしい。
 ズバリ『THAT’S MY WAY』の真実とは,フライド・プライドが考える「攻めのジャズ」なのであろう。

 横田明紀男ギターが,いつもの「裏メロ&リズム」の“超絶技巧”から解放されて「滅多に聴けない!」ストレートにSHIHOヴォーカルとユニゾンする場面が多いのが個人的には『THAT’S MY WAY』の大収穫である。

 しか〜し「攻めのジャズ」を志向した『THAT’S MY WAY』では,フライド・プライドフライド・プライドのままであり続ける,のは難しかった。従来の絶妙のバランスを気負いすぎて崩してしまったか?

THAT'S MY WAY-2 ギル・ゴールドスタインの演奏もマイク・マイニエリの演奏もマーカス・ミラーの演奏も高水健司の演奏も村上“ポンタ”秀一の演奏も大好きなのに,肝心要のSHIHOヴォーカル横田明紀男ギターが“空回りして聴こえる”のが残念である。

 管理人の結論。『THAT’S MY WAY批評

 『THAT’S MY WAY』でのバンド編成へのチャレンジは,フライド・プライドの「第二章」への模索だったと思うのだが,どうにも散漫な印象が拭えない。
 いつもの「最小公倍数が最大公約数」的なフラプラ“らしい”演奏での「第二章」を待っている。

  01. That's My Way
  02. Ribbon In The Sky
  03. Every Road Leads To You
  04. Between The Sheets
  05. Magic Eyes
  06. Universality
  07. Unbreakable
  08. Go Away Little Boy
  09. Moonlight
  10. Blackout
  11. Imagine

(ビクター/JVC 2004年発売/VICP-62778)
(ライナーノーツ/皸羶成)

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デヴィッド・T・ウォーカー / フロム・マイ・ハート5

...FROM MY HEART-1 デヴィッド・T・ウォーカーである。彼のファンは愛情を込めて「デヴィ爺」と呼んでいる。今回はそんな「デヴィ爺」についてのお話。

 本当はデヴィッド・T・ウォーカーギターが大好きなのだが,好きなギタリストの名前を聞かれると,いつもパット・メセニーやらジョン・スコフィールドやらビル・フリゼールやらリー・リトナーやらラリー・カールトン辺りのビッグでメジャーなアルバムの話に終始しつつ,最後に付け足し程度でランクインされてしまうのがデヴィッド・T・ウォーカー

 ただし,一旦,デヴィッド・T・ウォーカーの話題になると,そこからが長い。出るわ出るわ,延々と「デヴィ爺」の魅力について仲間内で盛り上がる。そんな不思議なセッションギタリストデヴィッド・T・ウォーカーなのである。

 まぁ,職人なんだよなぁ。いぶし銀なんだよなぁ。そんな魅力が分かる人には分かるし,分からない人にはさっぱりわからない。
 ギター・ヒーロー・タイプではなく,リード・ギターを弾くこともなく,サイド・ギターなのに,その音楽に欠かすことのできない“メロウなギタリスト”。

 そう。管理人がお題として「デヴィ爺」について論戦する場合は,デヴィッド・T・ウォーカーの万華鏡的なギターの魅力を“メロウ”の一言で押し通すことに決めている。
 デヴィッド・T・ウォーカーの特徴は,とにかく空気感にある。空気を切り裂くのではなく,空気を変えるのでもなく,空気に乗ってしまうギターを弾く男。ナチュラルで人肌的な温もりを感じるのだ。そして色気がある“メロウ”。

 『...FROM MY HEART』(以下『フロム・マイ・ハート』)を聴いてみてほしい。管理人の「デヴィ爺」への主張が,ほんのちょっとでも伝わると思うから…。

 『フロム・マイ・ハート』での「デヴィ爺」のギターが“笑顔が伝わってくるような”ギターなのである。軽快なフュージョン・サウンドが原因ではない。とにかく気心の知れた仲間とのセッションが“楽しくてしょうがない”感じのギターなのである。

...FROM MY HEART-2 こんなギターをサイドで弾かれたらたまらないだろうなぁ。ゲスト陣もリラックスして,知らず知らずに自分の全てを出し尽くしたに違いない。
 デヴィッド・T・ウォーカーの独特のタイム感やコードプレイの味が出ている。“メロウ”の味が沁みている。

 凄い小技が効いているのだろう。何だか分からない隠し味が仕込まれているのだろう。聴いていて“感触の残る”ギターである。
 でもそんなの一切気にならない。「この小技は,この隠し味は,この感触は」の話はナシにしよう。四角四面に分析しながら聴くなんて勿体なさすぎる。

 そう。『フロム・マイ・ハート』の聴き所は,デヴィッド・T・ウォーカーの“HEART”である。デヴィッド・T・ウォーカーが“心から捧げた”ギターの優しさを感じてほしい。

  01. THANKS TO YOU
  02. MEMORY AND THE REALITY
  03. A PLACE FOR US
  04. THE SIDEWALK TODAY
  05. EMPATHY SYSTEM
  06. SHARING WALLS
  07. IN LOVE AND LIFE
  08. SPEAK OF BALANCE
  09. FROM MY HEART

(江戸屋/EDOYA 1993年発売/BVCM-35165)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/デヴィッド・T・ウォーカー,吉成伸幸)

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フライド・プライド / ヒート・ウェイヴ5

HEAT WAVE-1 フライド・プライドの“最高傑作”が『HEAT WAVE』(以下『ヒート・ウェイヴ』)である。
 いいや,それだけではない。『ヒート・ウェイヴ』こそが「ヴォーカルギタージャズ・ユニット」の“最高傑作”の1枚でもある。

 タック&パティを取るか,フライド・プライドを取るかは,もはや好みの問題である。そう。『ヒート・ウェイヴ』でフライド・プライドタック&パティの肩を並べている。
 次作『THAT’S MY WAY』で方向転換しなければタック&パティを間違いなく越えていたであろう。

 それ程管理人が入れ込む理由は『ヒート・ウェイヴ』が「ジャズ・ユニット」という枠を越え,ジャンルとしてのジャズも越え,フライド・プライドの輝く個性が鳴っているからである。

 『ヒート・ウェイヴ』の選曲を眺めると,CDショップで敢えてジャズ・コーナーへ置く必要などない。ポップスの売り場にもロックの売り場にも置ける。
 でもでも演奏を聴いてしまうと,絶対にジャズ・コーナーに置いてもらわないといけない。「スゴテク」から来るレパートリーの幅と高さは関係ない。つまりフライド・プライドは「何を演ってもフライド・プライド」になってしまう。これが実感できるのが凄いと思う。

 元来のジャズが持っていた自由な発想,心が欲する最高に気持ち良いアレンジが溢れ出ている。その意味では『ヒート・ウェイヴ』のフライド・プライドは「ジャズ・ユニット」ではなく「2人ジャズ・オーケストラ」している。つまりスケールの大きなジャズ演奏なのである。

 1stFRIED PRIDE』〜2ndSTREET WALKING WOMAN』とコンビネーションを高めてきて,迎えた3rdヒート・ウェイヴ』では,ヴォーカルSHIHOギター横田明紀男が,カッコイイと思うフレーズを互いに“ぶつけ合っている”。
 SHIHO横田明紀男の音楽的な信頼関係があればこその“我の張り合い”がとにもかくにもカッコイイ。

HEAT WAVE-2 SHIHOが「やってみろよコノヤロー!」と横田明紀男に罵声を浴びせれば,横田明紀男SHIHOに「とうとう本性を現しやがったな,この雌狐が!」とぶつかり合っている?

 そう。『ヒート・ウェイヴ』こそがSHIHO横田明紀男の熱き血潮の“最高傑作”。「鉄は鉄によって研がれる」を地で行く,SHIHO横田明紀男の「研ぎ合い」の美しさに「血湧き肉躍る」〜。

 「ヴォーカルギタージャズ・ユニット」としての「シンプルさ」がフライド・プライドの“弱みではなく強み”である。音楽ってこんなにも素晴らしい。

  01. SMOKE ON THE WATERSMOKE ON THE WATER
  02. MY ROMANCE
  03. THE SECOND STAR TO THE RIGHT
  04. COME TOGETHER
  05. MY CHERIE AMOUR
  06. FREE
  07. ALFIE
  08. NOW AND FOREVER
  09. FANTASY
  10. HUSH-A-BYE
  11. YOUR LOVE
  12. YESTERDAY

(コンコード/CONCORD 2003年発売/VICJ-61117)
(ライナーノーツ/皸羶成)

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チャールス・ロイド・カルテット / ドリーム・ウィーヴァー4

DREAM WEAVER-1 ジョン・コルトレーンから出発したチャールス・ロイドテナーサックスが,その当時まだ無名だったピアノキース・ジャレットベースセシル・マクビードラムジャック・デジョネットの個性をまとめてオリジナリティを確立した1枚が『DREAM WEAVER』(以下『ドリーム・ウィーヴァー』)。

 『ドリーム・ウィーヴァー』の決めごとの少ない演奏スタイルは,ジョン・コルトレーンモードジョン・コルトレーンフリージャズジョン・コルトレーンの民族音楽を,キース・ジャレットセシル・マクビージャック・デジョネットに“自由に解釈させるための仕掛け”である。

 これってチャールス・ロイドにとっては,最高に楽しいセッションでもあり,最高に苦しいセッションでもある。
 なぜならば4人4様の考える「コルトレーン・サウンド」は不安定そのもの。チャールス・ロイドカルテットが「卵の殻で海を渡」ろうとした実験作が『ドリーム・ウィーヴァー』の真実なのだと思う。

 『ドリーム・ウィーヴァー』を称して“フリー・ジャズのロック化”という言葉が使われるが,確かにチャールス・ロイドがリードした音楽手法はジャズの本流から距離を置いている。
 内面から迸るアドリブを中心に据えるのではなく,キース・ジャレットセシル・マクビージャック・デジョネットといった新世代のロック感覚を音楽の中心に据えている。

 うん。面白い演奏である。ただし『ドリーム・ウィーヴァー』の本質は「時代の音楽」であって,かつてジョン・コルトレーンが切り開いていた“新しいジャズ”ではない。

 “神童”キース・ジャレットフィーチャリングしたピアノソロの「おおっ!」という驚き。
 キース・ジャレットピアノを聴き漁ってきた耳からすると『ドリーム・ウィーヴァー』のピアノが別種類。ロック・ファンを魅了するアドリブ・ラインはチャールス・ロイドの功績として讃えられるべきであろう。

DREAM WEAVER-2 ただし,ロックに寄ったキース・ジャレットは評価できない。表面的な変化を追いかけるだけでは感動が伝わらない。キース・ジャレットとて「内なる衝動」のないピアノは“お飾りファッション”にすぎないと思う。

 そう。『ドリーム・ウィーヴァー』の真実とは,当時のフラワームーブメントとかヒッピーといった“時代の波に乗っかった!フリー・ジャズのロック化”に違いない。もっと掘れれば歴史的名盤…。

  01. AUTUMN SEQUENCE
     a) AUTUMN PRELUDE
     b) AUTUMN LEAVES
     c) AUTUMN ECHO
  02. DREAM WEAVER
     a) MEDITATION
     b) DERVISH DANCE
  03. BIRD FLIGHT
  04. LOVE SHIP
  05. SOMBRERO SAM

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1966年発売/WPCR-27030)
(ライナーノーツ/ジョージ・アバキャン,後藤誠)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1979年度(第13回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1979年度(第13回)の発表です。

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8:30★【金賞】.8:30(エイト・サーティー)
ウェザー・リポート


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塩銀杏★【銀賞】.塩銀杏
秋吉敏子〜ルー・タバキン・ビッグ・バンド


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アイ・ラヴ・ブラジル!★【ボーカル賞】.アイ・ラヴ・ブラジル!
サラ・ボーン


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陽光★【日本ジャズ賞】.陽光
富樫雅彦〜鈴木勲


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ジャスト・フレンズ★【録音賞(海外)】.ジャスト・フレンズ
L.A.4


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陽光★【録音賞(国内)】.陽光
富樫雅彦〜鈴木勲


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ザ・45・セッション★【編集企画賞】.ブルーノート世界初登場1800シリーズ [全12枚]


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奇妙な果実★【編集企画賞】.ジャズ・ライブラリー1500シリーズ <コモドア編> [全12枚]


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ジャズ・アドヴァンス★【編集企画賞】.幻の名盤1800シリーズ [全10枚]



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FIRST TIME★【制作企画賞】.ファースト・タイム
山下洋輔


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アフロディーテの祈り★【特別賞】.アフロディーテの祈り
中本マリ


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 ウェザー・リポートLP2枚組(A面・B面・C面がライブ+D面がスタジオ新曲)の『8:30(エイト・サーティー)』が【金賞受賞

 ついに「最後のピース」ピーター・アースキンが加入したからなのか,ライブだからなのか,ウェザー・リポートベスト盤的な人気曲が,スタジオ盤以上に爆発している。
 緻密な音造りを目指していたジョー・ザビヌルウェイン・ショーターだったが,ライブになると“ジャズメン魂”が顔を出し,ノリノリのシャッフルでグルーヴィージャコパスピーター・アースキンと対峙している。凄いテンションの演奏である。

 そうして一通り楽しんだ後に提示される「ジャズの未来型」「来るべき4ビート」の新曲が最高級。ジャズの多様性と原点重視の両立がメインストリームとなることを預言してみせた,歴史的な名盤である。

 過去の実験を「総決算」してみせたライブ録音への絶対的な自信がウェザー・リポートに新たなる「予報」を出させたスタジオ録音の実験作。
 エレクトリックジャズ「黄金時代」の到来であった。

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フライド・プライド / ストリート・ウォーキング・ウーマン5

STREET WALKING WOMAN-1 1stFRIED PRIDE』のような横田明紀男の「バカテク+SHIHOとのコンビネーション」を期待して買った,フライド・プライド2ndSTREET WALKING WOMAN』(以下『ストリート・ウォーキング・ウーマン』)にヤラレテしまった。

 フライド・プライドの魅力はテクニックではなかった。フライド・プライドの魅力はハートである。ソウルである。感情のアタックである。ガッツである。
 そう。フライド・プライドとは「気合いと根性」の「ジャズ・ユニット」なのである。

 もはやミス・タッチとかはお構いなし。感情の赴くままにヴォーカルギターが“シャウト”している。そして,その横田明紀男SHIHOの“シャウト”のタイミングが,時に同じく,時にバラバラでジャズを感じさせてくれる。
 なんだか突然「ヘタウマ」になった感のあるSHIHOヴォーカルが心に入ってきてヤラレテしまったのだ。

 ジャズ・ファンたるもの,メロディーよりもアドリブ目当てなのだけど,アドリブの楽しさを知るために,知識としての原曲のメロディー,そして歌ものなら歌詞も見聞きする。
 ただし,インスト・ファンにとって歌ものは何度聴いても雰囲気で終わる。細かな歌詞の意味までは気にしていない。サックスピアノが「カッコヨク歌い上げれば」それでいいのである。ジャズ・ファンにとっての元ネタはあくまで「資料」である。

 ゆえにSHIHOに限らず,基本的にジャズ・ヴォーカルとは,管理人にとっては「楽器の1つ」である。声帯を歪ませて“シャウト”する「楽器の1つ」である。
 だからSHIHOの突然の「ヘタウマ化」に戸惑った。いつもは「楽器」として聴いているジャズ・ヴォーカルが,ダイレクトに歌詞を心に届けてきた。

 記憶が定かではないのだが,個人的にライナーノーツの歌詞カードを真剣に読み返したのは『ストリート・ウォーキング・ウーマン』が初めての経験だと思う。

 たくさん聴いてきたはずの【クロス・トゥ・ユー】【イット・ドント・ミーン・ア・シング〜スイングしなけりゃ意味ないね】【エブリシング・ハプンス・トゥー・ミー】【イフ・アイ・ワー・ベル】【マイ・ファニー・バレンタイン】【ムーン・リバー】【ワッツ・ゴーイング・オン】【バーニン・アップ・ザ・カーニバル】って,実はこんな歌だったんだ〜。

STREET WALKING WOMAN-2 とにかくフライド・プライドは“リーダー”横田明紀男のワンマン・ユニットではない。フライド・プライドには“磨けば光る”SHIHOがいる。

 フラプラ贔屓としては,この認識を『ストリート・ウォーキング・ウーマン』の時点で持てたことがあとあと大きい。
 横田明紀男・偏重主義ではフライド・プライドをここまで楽しめない。ジャズ・ヴォーカル・楽器主義ではメロディーを,そしてアドリブをここまで楽しめてはいない。

  01. STREET WALKING WOMAN
  02. CLOSE TO YOU
  03. IT DON'T MEAN A THING
  04. EVERYTHING HAPPENS TO ME
  05. NORWEGIAN WOOD
  06. IF I WERE A BELL
  07. MY FUNNY VALENTINE
  08. ALMAZ
  09. MOON RIVER
  10. SUPERSTITION
  11. WHAT'S GOING ON
  12. BURNIN' UP THE CARNIVAL

(コンコード/CONCORD 2002年発売/VICJ-60965)
(ライナーノーツ/皸羶成)

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チャールス・ミンガス / クンビア&ジャズ・フュージョン5

CUMBIA & JAZZ FUSION-1 フュージョンという音楽は,一般的に「ジャズとロックとの融合」を意味しているが,チャールス・ミンガスの『CUMBIA & JAZZ FUSION』(以下『クンビア&ジャズ・フュージョン』)は「ジャズクンビアとの融合」。すなわち,ジャズとアフロ・アフリカンやトロピカルでネイティヴな音楽との融合を意味する。
 そう。『クンビア&ジャズ・フュージョン』によって,真の「ジャングル・サウンド」が登場したのである。

 個人的には『クンビア&ジャズ・フュージョン』を聴いていると,どうしてもウェザー・リポートの『ブラック・マーケット』を連想してしまう。
 あのチャールス・ミンガスジョー・ザビヌルに影響されている。

 とは言え,そこはチャールス・ミンガス。ただでは終わらない。『クンビア&ジャズ・フュージョン』は『ブラック・マーケット』へのアンサー・アルバムであり,メインストリームをフュージョンに奪われたジャズ・コンボ側からのフュージョン・グループへの回答なのである。

 『クンビア&ジャズ・フュージョン』には,演奏時間27分と22分の2曲の大曲が収録されているのだが,2曲目の【MUSIC FOR“TODO MODO”】はイタリア映画「トド・モード」のテーマ曲ゆえ,本来のテーマ「クンビア」とは無関係である。

 ただし,管理人的には,この2曲が揃っての『クンビア&ジャズ・フュージョン』の“破壊力”なのである。チャールス・ミンガスの音楽実験がトロピカルに向いたのが【CUMBIA & JAZZ FUSION】であって,ロマンティックに向いたのが【MUSIC FOR“TODO MODO”】であって,どちらも同じく「ジャングル・サウンド」していると思う。

 【CUMBIA & JAZZ FUSION】も【MUSIC FOR“TODO MODO”】も共に“長尺になるべくしてなった”長編エンターテイーナー。曲の途中途中で,その前の仕掛けが利いた見事な展開で,全てに無駄がない。
 果たして,チャールス・ミンガスは,ここまで細かな楽譜を準備していたのだろうか? 曲想の変化に合わせて積み重ねられたアドリブが,リスナーを「未曾有のジャングル・サウンド」へと誘っていく。

 そうしてチャールス・ミンガスが最後に辿り着いたのは,音楽のユートピア,音の桃源郷である。まるで“心の故郷”にでも帰って来たかのような,懐かしい感動がある。
 この辺りの快感の種類がウェザー・リポートの『ブラック・マーケット』と同じ系統なのである。

 ジョー・ザビヌルのようにエレクトリック・ジャズへとは向かわずに,それでもなお,新しいジャズの形を追い求めている“孤高の”チャールス・ミンガスが最後に行き着いた音世界は,最高にHAPPYな楽園サウンドであった。

CUMBIA & JAZZ FUSION-2 チャールス・ミンガスの人生は闘争そのものであった。ウッド・ベース一本で黒人差別の世の中と闘ってきた。そんなチャールス・ミンガスが死の目前に作り上げた『クンビア&ジャズ・フュージョン』では,音楽から怒りの感情が消えている。

 『クンビア&ジャズ・フュージョン』からは,怒りではなくチャールス・ミンガスの“静かなる笑い”が聴こえてくる。怒りでも悲しみでもなく,その先にある“達観した笑い”である。
 そう。チャールス・ミンガスの「ジャングル・サウンド」が,ついに目標であったデューク・エリントンを捉えている。

 先に『クンビア&ジャズ・フュージョン』は,ジョー・ザビヌルに対するチャールス・ミンガスからの回答と書いた。この言葉に二言はない。
 しかし『クンビア&ジャズ・フュージョン』の真実とは,チャールス・ミンガスが,どうしても思いを届けられずにいた,敬愛するデューク・エリントンの「ジャングル・サウンド」への回答でもあったと思う。

 チャールス・ミンガスの晩年は幸福であった。管理人はそう思うことにしている。チャールス・ミンガスよ,永遠なれ!

  01. CUMBIA & JAZZ FUSION
  02. MUSIC FOR "TODO MODO"

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1978年発売/WPCR-27254)
(ライナーノーツ/大村幸則)

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フライド・プライド / FRIED PRIDE4

FRIED PRIDE-1 “類まれなる歌唱力”を持つヴォーカリストSHIHOと“超絶技巧派”ギタリスト横田明紀男による「日本のタック&パティ」ことフライド・プライド
( タック&パティを知らない読者の皆さんはドリカムのようなものと思ってください )

 フライド・プライドのメインは,タック&パティパティ・キャスカートで,ドリームズ・カム・トゥルーが吉田美和であるように,ヴォーカリストSHIHOである。
 とにかく,SHIHOの「尖がっているのにシルキーでソウルフルな」ジャズヴォーカルが素晴らしい。

 でもタック&パティタック・アンドレスで,ドリームズ・カム・トゥルーが中村正人であるように,フライド・プライドの音楽を裏で実際に回しているのは“リーダー”横田明紀男“その人”である。

 そもそも,ヴォーカリストギタリストによるユニットではギタリストの負担が大きい。まだポップスやロック系の弾き語りならまだしもフライド・プライドが演奏するのはジャズである。

 歌伴としてのカッティング,バッキングに,間奏でのギターソロではアドリブまで披露する。基本的にはコード楽器としてリズムをキープしつつ,それでいて歌と絡みつつ,ヴォーカリストよりも前に出ない。
 大所帯のギター・ヒーロー役よりも敷居が高いのが「ジャズ・ユニットのギタリスト」なのだと思う。

 フライド・プライド1stFRIED PRIDE』を聴いていると,横田明紀男の「苦心の跡」が色濃い。
 フライド・プライドの場合,SHIHOの表現力が,2nd3rdと成長するにつれ,横田明紀男ギターがシンプルになっていく。

FRIED PRIDE-2 その意味で『FRIED PRIDE』の横田明紀男が,テクニック的には一番であろう。SHIHOの右へ左へ,SHIHOの前へ後ろへ,大忙し!

 SHIHOヴォーカルを先導する“アクロバティックな”ギターの動きを追いかけていると,SHIHOとの連動というよりはSHIHOを置き去りにする横田明紀男の“超絶技巧”にどうしても耳が行く。
 横田明紀男の突出に「ジャズ・ユニット」というよりも,ヴォーカルギターが別々のブースでレコーディングした雰囲気を感じたりして…。辛口ですみません…。

 とにもかくにも“ジャズ・ギタリスト横田明紀男“その人”を聴きたいのなら『FRIED PRIDE』を聴け〜!
 横田明紀男の多芸ぶりには,ただただ「スゲェー」!

  01. Love For Sale
  02. If
  03. Lately
  04. The Man I Love
  05. 'Round Midnight
  06. Morning Must Come
  07. Louisiana Sunday Afternoon
  08. 'S Wonderful
  09. Jumpin' Jack Flash
  10. Calling You
  11. Paradise

(コンコード/CONCORD 2001年発売/VICJ-60820)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/悠雅彦)

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デヴィッド・サンボーン / タイム・アンド・ザ・リヴァー4

TIME AND THE RIVER-1 フュージョン時代のデヴィッド・サンボーンが大好きなファンとしては「デヴィッド・サンボーンマーカス・ミラー」の15年振りとなるコラボレーションTIME AND THE RIVER』(以下『タイム・アンド・ザ・リヴァー』)にニンマリ。

 VERVEの2作とDECCAの2作が「シリアス&ヴィンテージ」路線だったから,待望の“売れ線”が聴けるとあって,フラゲでGETしたその日は『タイム・アンド・ザ・リヴァー』を10回連続で聴き続けた。
 デヴィッド・サンボーンの“泣きのブロー”にマーカス・ミラーの“ドンシャリ”なジャズベが最高に似合っている。やっぱりデヴィッド・サンボーンはこうでなくっちゃ…。
 15年振りの“ファンキー・サンボーン”の復活に一人悦に入ったものだ。数日後に『PEARLS』を聴き返してみるまでは…。

 まぁ,昔のデヴィッド・サンボーンを聴きたくなって選んだのが,デヴィッド・サンボーンの中で“一番煌びやかな”『PEARLS』だったのが運のつき。
 『タイム・アンド・ザ・リヴァー』のデヴィッド・サンボーンアルトサックスの音色が『PEARLS』と比べて,くすんでいる。濁っている。荒れている。
 フレージングが“サンボーン節”のままだったから気付かなかったが,これはデヴィッド・サンボーンの枯れではない。「栄枯盛衰」から来たすさみのように感じてしまった。

 そう。『タイム・アンド・ザ・リヴァー』における「デヴィッド・サンボーンマーカス・ミラー」復活の真実とは,デヴィッド・サンボーンマーカス・ミラーに「HELP」を求めたアルバムである。
 この視点でマーカス・ミラーの『AFRODEEZIA』を聴き直してみてほしい。『タイム・アンド・ザ・リヴァー』のサウンド・スケッチは『AFRODEEZIA』のそのまんま〜。

 過去に『INSIDE』で,マーカス・ミラーに主導権を握られたのがきっかけで袂を分けたはずだったのに,あのマーカス・ミラーのサウンドがどうしても忘れらないデヴィッド・サンボーンが,マーカス・ミラーの出した意見を丸呑みしてまで「デヴィッド・サンボーンマーカス・ミラー」の復活にこだわった。そんな流れ?

 デヴィッド・サンボーンにとってはモデル・チェンジを求められた15年であったが,マーカス・ミラーにとっては“天才”に磨きをかけた15年であった。
 
TIME AND THE RIVER-2 ズバリ『タイム・アンド・ザ・リヴァー』は,マーカス・ミラーが『AFRODEEZIA』で追求した「アフリカ路線」の続編である。
 極論を言えば,基本,同じサックス奏者のアレックス・ハンを「デヴィッド・サンボーンに差し替えただけ」である。

 『AFRODEEZIA』でアレックス・ハンが表現できなかったサックスを『タイム・アンド・ザ・リヴァー』でデヴィッド・サンボーンを使って表現している。
 くすんで,濁って,荒れて,すさんだ音を“苦味”としつつ,デヴィッド・サンボーンの体内に残された“旨味”を限界まで引き出している。マーカス・ミラーの「流石の仕事ぶり」である。

 そんなマーカス・ミラーが「山」と問えば,これまたデヴィッド・サンボーン的確に「川」(『TIME AND THE RIVER』)と答えている。
 「デヴィッド・サンボーンマーカス・ミラー」の夢のコラボ・アゲインは,何年間が空いたとしても,一音出した瞬間に“あの頃の2人に”戻れるんだなぁ。
 デヴィッド・サンボーンアルトサックスが「川」の流れのようにマーカス・ミラーの“心のヒダ”に流れていく。

 漢字の「川」を電話等で区別するために発音する→「三本川」→「サンボーン川」→アルバム・ジャケットがオツである。

  01. A LA VERTICALE
  02. ORDINARY PEOPLE
  03. DRIFT
  04. CAN'T GET NEXT TO YOU
  05. OUBLIE MOI
  06. SEVEN DAYS SEVEN NIGHTS
  07. WINDMILLS OF YOUR MIND
  08. SPANISH JOINT
  09. OVERTURE (from The Manchurian Candidate)
  10. DAYDREAMER
  11. LITTLE CHURCH

(ビクター/JVC 2015年発売/VICJ-61711)
(ライナーノーツ/佐藤英輔)

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渡辺 貞夫 / ナチュラリー4

NATURALLY-1 『NATURALLY』(以下『ナチュラリー』)が泣ける。2重の意味で泣ける。

 1つ目の涙は「絶賛の涙」である。
 渡辺貞夫アルトサックスこそが「世界一」である。こんなにも「美しく・優しく・温かい」アルトサックスは世界中を探し回っても見つからない。

 個人的には渡辺貞夫の音楽があれば何があっても生きていける。本気でそう思う。これまでのナベサダのアルバムは全部好きだ。そんな思いを持って聴いた『ナチュラリー』。1曲目の【NATURALLY】を聴いただけで涙が溢れてくる。そしてアルバムを全部聴き終えるまで,ずっと涙が止まらない。

 では読者の皆さんに『ナチュラリー』を奨めたいか,と問われればそうでもない。恐らく,他の音楽ファンの涙腺はゆるくならないかもしれないから。
 管理人と同じ経験ができる人とは,これまでの人生をずっと渡辺貞夫と共に生きてきた人だけなのだと思う。ずっとナベサダと時を過ごしてきたから,一音聴いただけで感動してしまう。渡辺貞夫の“今”が聴こえてくるからだ…。

 まだまだナベサダの体調は良さそうだ。いつもと変わらぬナベサダの音色を確認できて安心する。その上で,今までとは違ったナベサダを打ち出そうとしている姿勢に泣けてくる。
 「貞夫さん,マイペースで大丈夫ですから。そんなに飛ばさなくて大丈夫ですから。もう十分に満足していますし,心から感動しています。感謝しています」。

 2つ目の涙は「悲しみの涙」である。こちらは実際に涙することはないが“心の涙”ということで…。
 渡辺貞夫の老いを初めて,証拠として目のあたりにしてしまった。初めて直視させられてしまった。親の老いた姿を見た時の思い出とと被ることがあって…。

 管理人の知る渡辺貞夫とはオリジナル曲の制作にこだわり続ける男である。勿論,カヴァー曲も演奏する。有名スタンダード曲を取り上げ,自分の感じたままに新鮮なアレンジを施す渡辺貞夫も大好きである。

 それがどうだろう。『ナチュラリー』の【WATER COLORS】と【SPRING】に驚いた。
 何と!【WATER COLORS】は,ほぼ【MY DEAR LIFE】。【SPRING】は,ほぼ【TIMES WE SHARED】。あれ程「オリジナルオリジナル」と連呼してきた渡辺貞夫もついに…。

NATURALLY-2 だから管理人は思う。全てのナベサダ・ファンは『ナチュラリー』を聴くべきだと強く思う。
 『ナチュラリー』には,若い頃のナベサダはいない。でも今のナベサダがいる。老いを自覚し始め「自分の音と懸命に闘っている」ナベサダアルトサックスが記録されている。

 こんなにも「美しく・優しく・温かい」アルトサックス渡辺貞夫の他にはない。渡辺貞夫は命を懸けて,自分の音楽を守っている。自分の音楽を更に発展させようとしてもがいている。

 渾身のバラードSMILE】に,心が震えて止まらない。感動が止まらない。

  01. Naturally
  02. Junto Com Voce
  03. After Years
  04. Bem Agora
  05. Water Colors
  06. Na Lapa
  07. Carinhoso
  08. Bird's Song
  09. Spring
  10. Smile

(ビクター/JVC 2015年発売/VICJ-61742)
(ライナーノーツ/斉藤嘉久)

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デヴィッド・サンボーン / オンリー・エヴリシング4

ONLY EVERYTHING-1 “ニコイチ”のデヴィッド・サンボーンにふさわしく“レイ・チャールズトリビュート”の『HERE & GONE』の続編『ONLY EVERYTHING』(以下『オンリー・エヴリシング』)も“ハンク・クロフォードトリビュート”。

 所謂,デヴィッド・サンボーンの“ニコイチ”と来れば,前作の完成度を高めたものが多かったが,今回の『オンリー・エヴリシング』はいつもの続編ではない。
 『HERE & GONE』のレビジョンアップ,マイナーチェンジではなく,メジャーアップグレートでのバージョンアップ。同じブラスでも“ブラス・ロック”ではなく,R&Bにブラスが加えられた“ブルース”なのである。

 “ブルース”から出発して,カントリー,R&B,ジャズフュージョンファンクで頂点を極めたデヴィッド・サンボーンの「一周回って」演奏するオルガントリオが渋い。いい音だしている。
 ついにデヴィッド・サンボーンキャリアの初頭へ,いいや,デビュー以前の「サックス少年」にまで“原点回帰”。

 デヴィッド・サンボーンサックスを始めたエピソードのは小児麻痺のリハビリのためだが,デヴィッド・サンボーンがプロを志すようになったきっかけは,レイ・チャールズ・バンドでサックスを吹いていたハンク・クロフォードへの“憧れ”にあった。

 ただし,デヴィッド・サンボーンハンク・クロフォードのコピーは絶対にしない。と言うかレイ・チャールズの存在なしに,ハンク・クロフォードに近づくことなど出来やしない。
 ズバリ,デヴィッド・サンボーンが“憧れた”ハンク・クロフォードとは「レイ・チャールズがいてナンボ」のサックス奏者。

 『オンリー・エヴリシング』でデヴィッド・サンボーンが“仮想”レイ・チャールズに仕立て上げたは,ヴォーカルジョス・ストーンジェイムス・テイラーであり,ハモンドオルガンジョーイ・デフランセスコがキーマンである。
 ジョス・ストーンジェイムス・テイラーが歌い,ジョーイ・デフランセスコGROOVEする,レイ・チャールズばりの“ブルース”に触れて,ついに念願の“ハンク・クロフォード越え”を成し遂げている。

ONLY EVERYTHING-2 『オンリー・エヴリシング』はデヴィッド・サンボーンにとって「特別な意味を持つ」1枚になったのだと思う。ある意味,生涯の目標を初めて達成できたアルバムなのだから…。

 4ビート基調のオーセンティックなジャズをベースに,クレバーな“ブルース”が見事に融合している『オンリー・エヴリシング』。
 ジャズフュージョン・ファンの求めるデヴィッド・サンボーンのアルバムではないかもしれない。しかし,オールドスクールなジャズを演奏するデヴィッド・サンボーンを聴き込むのも,長年の“サンボーン・キッズ”にとってはオツである。

  01. THE PEEPER
  02. ONLY EVERYTHING (FOR GENEVIEVE)
  03. HARD TIMES
  04. LET THE GOOD TIMES ROLL
  05. BABY WON'T YOU PLEASE COME HOME
  06. YOU'VE CHANGED
  07. HALLELUJAH, I LOVE HER SO
  08. BLUES IN THE NIGHT
  09. SOMETIMES I FEEL LIKE A MOTHERLESS CHILD
  10. DAVENPORT BLUES

(デッカ/DECCA 2010年発売/UCCU-1262)
(ライナーノーツ/松下佳男)

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渡辺 貞夫 / カム・トゥデイ4

COME TODAY-1 『INTO TOMORROW』から『COME TODAY』(以下『カム・トゥデイ』)へ…。

 たかがアルバム・タイトルであるが,ここに渡辺貞夫の願いであり,祈りが込められている。そう。渡辺貞夫からのメッセージは「TOMORROW(明日)」ではなく「TODAY(今日)」である。

 明日に目を向けることは,今を見つめること以上に価値があると思っている。ただし,未来を見つめることと現実から目を背けることとは意味が違う。もっと言うと渡辺貞夫は,明日から今日を見つめている…。幸せな明日が待っているんだから,今日一日を何とか頑張んだ…。
 苦しみの真っ最中には考えられないかもしれないが,苦しみを乗り越えた先には,あんな日もあった,と笑って話せることだってある…。

 「冬の土の奥に
 芽生えのときを待つ生命があるように,
 悲しみや困難を乗り越えた先には
 希望があります。
 『痛みの度合いは 喜びの深さを知るためにある』
 これはチベットの格言ですが,
 僕のそうした想いを,このアルバムに
 感じてもらえればと願っています」。

 これは『カム・トゥデイ』のライナーノートの中に記されている渡辺貞夫の言葉である。
 ここに直接的な「頑張ろう」といった言葉はない。そうではなく渡辺貞夫は,自分のもう一つの言葉であるアルト・サックスを通じて,慰め,励まそうとしている。

 この姿勢こそが渡辺貞夫そのものだと思う。自分の音楽を通して,人々に笑顔を,人々に感動を,そしてこの度は慰めと励ましを…。
 そう。『カム・トゥデイ』とは渡辺貞夫から届けられた「東日本大震災」へのレクイエムである。渡辺貞夫自身も震災の前に,最愛の妻を亡くしたそうだ。そんな悲しみに暮れた渡辺貞夫だから“寄り添う”ことの出来たレクイエム…。

 さて,このように書くと『カム・トゥデイ』を,重いジャズ,と受け止められてしまいそうだがそうではない。
 『INTO TOMORROW』と同じく,ピアノジェラルド・クレイトンベースベン・ウィリアムスドラムジョナサン・ブレイクのNYの精鋭たちとのセッションにおいて,渡辺貞夫アルト・サックスを吹き鳴らしながら,踊り,跳びはねている。
 この“軽さ”こそが『カム・トゥデイ』の真髄だと思う。あらゆる困難を乗り越えた結果として,ついに手に入れた“軽さ”なのであろう。

COME TODAY-2 『カム・トゥデイ』の聴き所は“丁々発止とレクイエム”である。若手というより実力者の3人とのインタープレイである。
 ジェラルド・クレイトンベン・ウィリアムスジョナサン・ブレイクの演奏が『INTO TOMORROW』と比べて格段に良くなっている。

 この3人の成長の後ろに渡辺貞夫の存在あり。渡辺貞夫ジェラルド・クレイトンベン・ウィリアムスジョナサン・ブレイクの関係性が「凄腕の共演者たち」から「NYの3人の息子たち」へと変化している。
 だから渡辺貞夫アルト・サックスで徹底的に攻めているのに,穏やかな夕凪のような演奏に聴こえるのだろう。聞き流すことがもったいない“ハートフルな”ナベサダ・ミュージック。

 「TOMORROW(明日)」から見た「TODAY(今日)」は,決して悪いことばかりではないはずだ。将来から現在を見つめることができれば,つかの間の患難を忍耐できる。
 そうして忍耐して過ごした今日一日,気持ちが付いてこなくとも,明るい将来の希望を見つめ続けることができますように…。

  01. Come Today
  02. Warm Days Ahead
  03. Airy
  04. What I Should
  05. I Miss You When I Think of You
  06. Gemmation
  07. Vamos Juntos
  08. Simpatico
  09. She's Gone
  10. Lullaby

(ビクター/JVC 2011年発売/VICJ-61655)
(ライナーノーツ/渡辺貞夫,小沼純一)

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デヴィッド・サンボーン / ヒア・アンド・ゴーン

HERE & GONE-1 『TIMEAGAIN』『CLOSER』と変わらぬレコーディング・メンバーを見て「2枚で1セット」の掟を破る,デヴィッド・サンボーン初の「三部作」に突入したかと思ってしまった『HERE & GONE』(以下『ヒア・アンド・ゴーン』)であったが,そこは大丈夫。

 「名門=ヴァーヴ」から「老舗=デッカ」への電撃移籍。馴染みのメンバーを引き連れての移籍であるが,コンテンポラリージャズ路線は,しっかりと『TIMEAGAIN』『CLOSER』で終了させて『ヒア・アンド・ゴーン』では,同じメンバーでも「一味違う」新しい音楽の旅へと繰り出している。

 ズバリ,デッカのキーワードは“ブラス”である。トランペットテナーサックスバリトンサックステナートロンボーンバスクラリネット…。
 ついにブラス・バンドが投入されたデヴィッド・サンボーン流の“ブラス・ロック”なのである。だからゲストにエリック・クラプトン

 そうして『ヒア・アンド・ゴーン』のキーワードは“レイ・チャールズトリビュート”。その実,レイ・チャールズ・バンドのアルトサックス・プレイヤー“ハンク・クロフォードトリビュート”。
 そう。ハンク・クロフォードソウルジャズを鳴らすための“ブラス・ロック”アルバムなのである。

 ジャズ界随一であろう,ギターラッセル・マローンベースクリスチャン・マクブライトドラムスティーヴ・ガットによるエモーショナルにして絶対安定のリズムに乗ったブラス隊が,デヴィッド・サンボーンを前面に押し出していく。

 ブラス・バンドの“主役を張った”デヴィッド・サンボーンが絶好調。バックの細かな音の変化を見逃さず,拾っては膨らませ&拾っては膨らませできたのも,じっくりとブラス隊と向き合った賜物であろう。

 いいや,過去にデヴィッド・サンボーン自身がブラス・バンドの一員として活躍したキャリアからくる“ソロイスト”へのこだわりを感じる。
 結構ストイックなアルトソロを吹いていて,聞き流したいのに聞き流せない“サンボーン節”に「ヒイヒイ」である。

HERE & GONE-2 正直“ファンキー・サンボーン”から“アゲアゲ・サンボーン”までの黄金期が過ぎ去り「ヴィンテージ・ファンク」で延命を図ってきたデヴィッド・サンボーン名盤なんて期待していない。

 新作が出れば惰性で購入する。CDの代金は“サンボーン・キッズ”としてのお布施のようなものである。内容など確認することもなく,死ぬまで新作を買い続けることだろう。

 だから『ヒア・アンド・ゴーン』を聴いて,これが新しい“サンボーン節”なんだ。そう感じられた自分が,ちょっぴりうれしかった。
 もはやデヴィッド・サンボーンは,いい悪い,では判断できない“レジェンド”なのである。

  01. st. louis blues
  02. brother ray (featuring derek trucks)
  03. i'm gonna move to the outskirts of town
  04. basin street blues
  05. stoney lonesome
  06. i believe to my soul (featuring joss stone)
  07. what will i tell my heart
  08. please send me someone to love
  09. i've got news for you (featuring sam moore)

(デッカ/DECCA 2008年発売/UCCU-1179)
(ライナーノーツ/成田正)

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中洲ジャズ2016 / GAIA CUATRO,ヤヒロトモヒロ,金子飛鳥,K,TOKU,ADVANCED MUSIC GALLERY,中洲の山田さん

 行ってきました! 中洲ジャズ2016! 9/10の『GAIA CUATRO,ヤヒロトモヒロ,金子飛鳥,K,TOKU,ADVANCED MUSIC GALLERY,中洲の山田さん』の3ステージ!

 2016年の中洲ジャズは観戦するのが難しい。会場は例年通り野外が7ステージでインストアが3ステージ。つまり同時間帯に10個の選択肢があるのだが,実際には選択肢は2者択一。ハッキリ言って“目玉”が少ない。
 でもでも人出は過去最大級の大混雑。ゆえに管理人は会場をハシゴするため歩き回りたくない妻の希望を尊重して「FRIED PRIDE SPECIAL GUEST 佐藤竹善」を見るか「TOKU MEET ADVANCED MUSIC GALLERY」を見るかの二者一択。
 会場を動かない,という選択ゆえに「TOKU MEET ADVANCED MUSIC GALLERY」の前に「GAIA CUATRO」が演奏するので,他の会場の演奏が気になりつつも屋台を一通りチェックし終えてから「STAGE B:REDステージ」に居座ることとあいなった。

 1本目の「GAIA CUATRO」が凄い! ヤヒロトモヒロパーカッションが主役と思っていたが,実にキュートな金子飛鳥ヴァイオリン中洲の夕焼けに鳴り響く〜! ものの見事にヴァイオリンが青色から赤色へと塗り変える〜!

 金子飛鳥の演奏はCDでちょくちょく聴いてきたけれど,こんなにもジャズのフィーリングを持っていたなんて…。本日は金子飛鳥の手持ちの音源を,片っ端からひっかえとっかえ聴き返したのは言うまでもありません。
 金子飛鳥のついでに,同じジャズヴァイオリンつながりで,寺井尚子を“つまみ喰い”。CDではなく“動く”尚子様も見てみたい〜。

 2本目はKです。Kって? はい。韓国出身のJ−POPのKです。沢尻エリカのドラマ主題歌が大ヒットした,今や関根麻里の夫の登場なのです。
 はい。大物ジャズメンの出演が減っているにも関わらず,イベント全体の集客力が上がっているのはPOPS界のスターたちの出演が増えているせいだと思います。

 でもKのステージは良かった。こんな機会がなければ一生見ることのなかったであろうKの歌が好きになった。このまんまジャズヴォーカルの世界に足を踏み入れてくれたら…。
 最後にKくんからのお約束。「このイベントに感動した。陰で頑張っているスタッフの力なしでは…」と語ったKくんは凄くいい人でした,と書き込ませていただきます。

 3本目は「今年のこのステージは凄いお客さんがいっぱい集まっている。あっ,もしかしたら僕を見にきている方が多いのかな,と思っていたら,この後のTOKUさんがトリだからいっぱい集まっているんだ」と言わしめた,圧倒的な存在「TOKU MEET ADVANCED MUSIC GALLERY」。

 TOKUが歌うフランク・シナトラトリビュートの大名曲集が素晴らしい。流石のヴォーカルだったのですが,もっとTOKUトランペットを,もっとTOKUフリューゲル・ホーンを,と願ったのは贅沢でしょうか?
 個人的には昨年の小沼ようすけのステージに飛び入りしたTOKUに惚れ込んだので…う〜む…。

 MCでは「レコード会社とケンカしたとかしないとか。僕も頑張ったんですよ」。「でっきるかな でっきるかな TOKU TOKU TOKU♪」の【オープン・セサミ】を聴いた限り,きっとTOKU本人もフリューゲル・ホーンを吹きまくりたいんだと思う。そんな消化不良感がちょっぴり残るステージングでした。 

 3年振りに聴いたAMGでしたが,何だかメンバー交代が激しい感じ? 新メンバーに一切不満などありませんが馴染みのメンバーでの,あのアンサンブルが急に懐かしく思いました。でもそれだけプロ集団として育ってきたということなのでしょう。
 AZ井上高志北島佳乃子の独立はうれしい限りです。次は鬼塚康輔伊多倉潔が卒業なのでしょうか? 日高スクールの卒業生としてTOKUに追いつけ追い越せ〜。

 おおっと,ここで書き忘れるわけにはいかない。キャラ変した中洲の山田さん。終始上がりっぱなしのDUETで,どうしたTOGGY? 来年は持ち歌【中洲ブルース】を歌わせてもらいましょうよっ。

 それにしても今年は那珂川沿いにいたためなのか,風が吹いて気持ち良かった。中洲ジャズには「暑いか豪雨か」のイメージがあるので,こんなに天候に恵まれたのは初めてだった?

 中洲ジャズ2016最高! これはもう8年目にして日本を代表する御当地ジャズ・フェスティバルに育ったのでは? あのライブが全部タダ見って本当に凄い。お金を払ってでも見たいライブの3本立てでした。カモーン,中洲ジャズ2017

PS 中洲ジャズ観戦中に届いた広島東洋カープ25年振りのリーグ優勝! おめでとうございます!

デヴィッド・サンボーン / クローサー4

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CLOSER-1 『A CHANGE OF HEART』からの『CLOSE−UP』然り。『UPFRONT』からの『HEARSAY』然り。
 デヴィッド・サンボーンには前作と同じコンセプト,同じサイドメンで作られた2枚目の続編が存在する。そしてその出来がいい。荒削りのままであった細部が仕上がっている。

 ゆえに『タイムアゲイン』の続編となる『CLOSER』(以下『クローサー』)にも期待した。
 最初は「いいではないか!」と思った。でも聴き込んでいるうちに『CLOSE−UP』や『HEARSAY』では感じなかった不満が募ってきた。

 コンテンポラリージャズはやはりデヴィッド・サンボーンの音楽ではない。デヴィッド・サンボーンならではの“SOMETHING”が感じられない。
 コンテンポラリージャズという形式だけが浮かび上がって,デヴィッド・サンボーンの“SOUL”が聴こえてこない。そういう意味では『タイムアゲイン』の続編にして,遅れてきた『PEARLS』の続編のようでもある。

 要は「幸せボケ」なのだろう。特に苦労せずとも極上のサウンドが手に入る。『PEARLS』の時は「ウィズ・ストリングス」。『タイムアゲイン』『クローサー』の場合はヴァーヴの誇る「ジャズメン・オールスターズ」のバック・サウンドに“身を委ねる”デヴィッド・サンボーンの構図。

 デヴィッド・サンボーンマイ・フェイバリットものばかりを選曲して“悠悠自適に”アルトサックスを吹いている。
 だから<マイク・マイニエリ,STRONG>ラリー・ゴールディングス,ギル・ゴールドスタインラッセル・マローンクリスチャン・マクブライトスティーヴ・ガットが集結しているというのに,ほんま物のジャズではなくイージー・リスニング的なアルトサックスが鳴っている。

CLOSER-2 だから『クローサー』の第一印象は良かったのだ。でも繰り返しの視聴に耐えられる代物ではなかった。
 本来ならキャリアを積むと円熟し深みを増すものであろうが,デヴィッド・サンボーンほどの「成功者」は別のようだ。チャッチャでパッパと一丁上がり〜。

 『CLOSE−UP』と『HEARSAY』には必然性があった。だが『クローサー』には,敢えて続編を作った「大義」が見当たらない。なんとも雑な“手馴れの”2枚目である。
 「デヴィッド・サンボーン有りき」ではない,ジャズ初心者なら大いに楽しめるのではなかろうか…。

  01. Tin Tin Deo
  02. Senor Blues
  03. Don't Let Me Be Lonely Tonight
  04. Smile
  05. Enchantment
  06. Ballad of the Sad Young Men
  07. Another Time, Another Place
  08. Capetown Fringe
  09. Poinciana
  10. You Must Believe in Spring
  11. Sofia

(ヴァーヴ/VERVE 2004年発売/UCCV-1065)
(ライナーノーツ/工藤由美)

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テツジーノ(櫻井 哲夫×日野“JINO”賢二) / ダブル・トラブル5

DOUBLE TROUBLE-1 かつて「ベース・マガジン」誌の発行200号記念として企画されたセッション・バトルの相手として櫻井哲夫が指名したのが日野“JINO”賢二であった。

 その時のオファーの理由は日野賢二が,日野皓正の息子だし,ジャコ・パストリアスの弟子だし,マーカス・ミラーの高校の後輩だし…。
 NO! そんな肩書以上に何よりも日野賢二が「フロム・ニューヨーク」なパンチあるベーシストだったから!
(本当はJINOが,カシオペア時代の櫻井哲夫の大ファンだった,という噂を櫻井哲夫が聞いていたから!)。

 そんなカシオペアつながりの,一度限りのスペシャル・セッションが「TETSUJINO」の結成にまでつながった。ミュージシャンとしうものは,そしてベーシストというものは,一度音を合わせたら相手のことが全て分かるみたい!?
 「TETSUJINO」名義の『DOUBLE TROUBLE』(以下『ダブル・トラブル』)を聴いてそう思った。高いレベルでの相性の良さを感じる。低音楽器=ベーシストとしての相性以上に,意外や意外,中高音での相性の良さが詰まっている。

 櫻井哲夫日野“JINO”賢二の“超絶技巧”ベースデュオが弾きまくりで弾き倒し! 期待通りのベース・バトルゆえ,まずは買って大満足!
 でも管理人はそれだけでは満足しない。“あの”櫻井哲夫と“あの”日野“JINO”賢二デュオなのだから,ベース弾きまくり以外にも仕掛けがあるはず…。

 ズバリ『ダブル・トラブル』の仕掛けとは,ベースを主役とするための「中高音の音使い」である。いや〜,これが聴けて大満足。管理人はこんなベースデュオが聴きたかったのだ。
 櫻井哲夫日野“JINO”賢二ベーシストとしての会話は「低音の密度」に表われている。チョッパーで弾いてもツーフィンガーで弾いても,低い声で「語り合っている」。それも全く違う楽器で会話をしているかのように…。

 そう。違う切り口で相手のセンスが入ってくる。ソロの掛け合いで聴かせる豊富なバリエーションは“超絶技巧”ベーシストであればこそ! ベースばかりなのに“しつこくない”。

 要は相手の良さを引き出す“裏方稼業”のベーシスト。相手のベースを引き立たせるためなら,自分はギタリスト役でもピアニスト役でも務めてみせる。そんな気概がベースの音域を離れた「中高音の音使い」に表われていると思う。

DOUBLE TROUBLE-2 この全ての原動力は日野“JINO”賢二が抱く櫻井哲夫へのリスペクトであろうし,そんな日野“JINO”賢二の「少年の憧れ」を全身で受け止める櫻井哲夫の度量の大きさなのだろう。

 『ダブル・トラブル』の基本は“重戦車”デニス・チェンバースとの即興メロディアス路線のコンセプトであるが,相当に自由度の高いセッション集であって,高速チョッパー好きには「鳥肌モノ」! ベース・バトルってここまで出来ちゃうんだっ!

  01. BROTHA
  02. AALIYAH
  03. SOME SKUNK FUNK
  04. ELEBE-TA-IMU
  05. PHANTOM LADY -INTERLUDE-
  06. U' R SMILE -INTERLUDE-
  07. ETERNAL JOURNEY
  08. S.O.S. PLANET EARTH
  09. YOU MAKE ME FEEL BRAND NEW
  10. FOR THE FOUNDATION
  11. I'M OAN
  12. DIG ET VOUS? -INTERLUDE-
  13. GOODBYE BARON
  14. WANNA SEE U

(セブンシーズ/SEVEN SEAS 2008年発売/KICJ 545)
(ライナーノーツ/坂本信)

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デヴィッド・サンボーン / タイムアゲイン4

TIMEAGAIN-1 どうした“絶対王者”デヴィッド・サンボーン? あのデヴィッド・サンボーンリッキー・ピーターソンの「ヴィンテージ・ファンク」が,ヴァーヴから“刺客”として送り込まれてきた,ヴィブラフォンマイク・マイニエリピアノギル・ゴールドスタインギターラッセル・マローンベースクリスチャン・マクブライトドラムスティーヴ・ガットの「ジャズメン・オールスターズ」に“刺されてしまっている”。

 そう。『TIMEAGAIN』(以下『タイムアゲイン』)の真実とは,ジャズの名門レーベル=ヴァーヴに主導権を握られたコンテンポラリージャズ・アルバムであって,従来のデヴィッド・サンボーンの音楽ではない。

 デヴィッド・サンボーンジャズ・アルバムと来れば『ANOTHER HAND』が連想されるのだが『ANOTHER HAND』には,デヴィッド・サンボーンの“未来”があった。気概を感じたものだった。だから“サンボーン・キッズ”も受け入れることができた。

 対する『タイムアゲイン』には,ヴァーヴの思い描く“未来”がある。ズラリと並んだ有名ヒット・チューンのカヴァーからは,デヴィッド・サンボーンのブランド力で,多くのフュージョン・ファンをコンテンポラリージャズの世界へと引き入れたい,そんなレーベルの計算高さが透けて見える…。
 まぁ,これはこれでいい。管理人は基本ヴァーヴの創るジャズが大好きだし,コンテンポラリージャズも大好きなのだし…。

 でも『タイムアゲイン』は受け入れられない。どうにも納得いかない。
 このモヤモヤとした思いはヴァーヴに対してではない。かってのデヴィッド・サンボーンであれば,自分の意に添わずに仕組まれたコマーシャルなセッティングでも,一音で“ちゃぶ台をひっくり返す”ようなカリスマがあった。

 それが今回はどうだろう。『タイムアゲイン』でのデヴィッド・サンボーンは元気なく&あっけなく「ジャズメン・オールスターズ」に寄り切られている。え〜っ,デヴィッド・サンボーンって病気なのか?

 全世界の“サンボーン・キッズ”はうすうす感じている。『タイムアゲイン』でのデヴィッド・サンボーンモデル・チェンジは,デヴィッド・サンボーン自身が望んだことであろう。
 もはや“イケイケ”では走り続けられないことをデヴィッド・サンボーン自身が一番理解している。ジャズの名門レーベル=ヴァーヴ移籍はそんな自身の衰えを隠すための「隠れ蓑」なのである。ヴァーヴ移籍は悪評は全てヴァーヴのせいにするための戦略なのである。

TIMEAGAIN-2 デヴィッド・サンボーンが『タイムアゲイン』で使った戦略とは,敢えての「盛り上げなし」。じっくりと耳をそばだてながら聴きたくなる落ち着いた演奏である。

 流石のスティーヴ・ガットである。流石のクリスチャン・マクブライトである。こんなにも「間」を聴かせられるデヴィッド・サンボーンのアルバムはこれまでなかった。ゆったりとしたGROOVEに乗った“サンボーン節”がまだまだ第一線で通用することが証明されている…。

 管理人の結論。『タイムアゲイン批評

 『タイムアゲイン』は,アルトサックス奏者=デヴィッド・サンボーンにとっての「人生の曲がり角」。
 本格派から軟投派へ。速球派から変化球投手へ。フュージョンからコンテンポラリージャズへ。

 デヴィッド・サンボーンはまだまだ現役で通用する。ローテーション投手として10勝はできる。なせならバックが凄いから!
 常勝軍団=ヴァーヴ入団へ一言! デヴィッド・サンボーンよ,伝家の宝刀“泣きのブロー”でエースを狙え!

  01. comin' home baby
  02. cristo redentor
  03. harlem nocturne
  04. man from mars
  05. isn't she lovely
  06. suger
  07. tequila
  08. little flower
  09. spider b.
  10. delia

(ヴァーヴ/VERVE 2003年発売/UCCV-1043)
(ライナーノーツ/青木和富,鈴木雄一)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1978年度(第12回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1978年度(第12回)の発表です。

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クンビア&ジャズ・フュージョン★【金賞】.クンビア&ジャズ・フュージョン
チャールス・ミンガス


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サンベア・コンサート★【銀賞】.サンベア・コンサート
キース・ジャレット


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ハウ・ロング・ハズ・ディス・ビーン・ゴーイング・オン★【ボーカル賞】.ハウ・ロング・ハズ・ディス・ビーン・ゴーイング・オン
サラ・ボーン&オスカー・ピーターソン・ビッグ4

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BACK TO THE SEA★【日本ジャズ賞】.海の誘い
三木敏悟&インナー・ギャラクシー・オーケストラ


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ビッグ・ブルース★【録音賞(海外)】.ビッグ・ブルース
アート・ファーマー&ジム・ホール


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HUNT UP WIND★【録音賞(国内)】.ハント・アップ・ウインド
福村博・ウイズ・渡辺貞夫


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ジャズ栄光の巨人たち★【編集企画賞】.ジャズ栄光の巨人たち全20巻



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カリフォルニア・シャワー★【制作企画賞】.カリフォルニア・シャワー
渡辺貞夫


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 キース・ジャレット完全即興ソロ・ピアノの日本公演集『サンベア・コンサート』が【銀賞受賞

 『サンベア・コンサート』は,今でこそ「CD6枚組」(これでも凄い!)だが「ジャズ・ディスク大賞」選考時は「LP」10枚組。圧倒的なボリュームである。

 思うに,この「LP10枚組」なのが【銀賞】の理由である。内容で選べば突出した【金賞】もののLPが10枚。1枚1枚その全てが【金賞】ものなのだから1枚でも聴き終わると疲れが出る。

 それでも10枚が10枚ともオミットできないクオリティなのだから致し方ない。もやは大衆向けではない。もはや選考委員向けでもない。ただ美しい音楽が聴きたい,美しいピアノが聴きたい,芸術としてのジャズが聴きたい人のためにリリースされたのが『サンベア・コンサート』なのである。

 『サンベア・コンサート』が,LP1枚,あるいは2枚組,3枚組までであれば【金賞受賞は勿論のこと,あの『ケルン・コンサート』並みの人気を博したことと思っている。

 一般大衆にとって『サンベア・コンサート』の「質と量」が神すぎた。スイングジャーナルの読者としても「LP10枚組」を【金賞】に推されても困ってしまう?
 キース・ジャレットが【金賞】をチャールス・ミンガスに譲ったのは,ただそれだけの理由なのである…。

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USB DAC / KORG(コルグ) / DS-DAC-100m

 もう2年ほど前から管理人はPCオーディオにどっぷりです。いろいろと本も買いました。ネットでも調べまくりました。
 結局の所,オーディオはバランスです。入力から出力まで一定のレベルで揃えなければ,本当にいい音では鳴りません。

 ただし,PCオーディオの世界はピュア・オーディオの世界よりも単純です。デジタル機器の重量が音質にさほど影響を及ぼしません。ハイレゾ音源とハイレゾ対応ヘッドフォンさえあれば,並みのオーディオ・システムを凌駕してしまいます。

 でもそれだけではないんです。アンプにもお金をかけなければいけないのです。ヘッドフォンアンプがあるとないでは大違いなのです。
 ハイレゾ音源は世界的に同一品質。再生はデジタル一択。迷う必要などない。そして管理人の場合,アウトプットは高級ヘッドフォン一択。しかもゼンハイザー一択。ゼンハイザーの最高級モデル=「HD800」を所有した今,迷う必要はない。
 ゆえに管理人にとっての高音質の追求テーマは,どんなヘッドフォンアンプを選ぶか?の一択。

 現在の管理人の選択はKORGKORG)の「DS−DAC−100m」である。
 先にハイレゾ音源を入手すれば,再生環境は迷わないと書いたが,管理人はUSB DACの使用をお奨めする。それも単純にデジタル信号をアナログ信号に変換するだけでは意味がない。キーワードは「アップコンバート」であろう。

 「DS−DAC−100m」は,手元にあるFLACWAVファイルをDSDPCMハイレゾにアップコンバート再生できるのです。
 詳しくはオーディオの専門サイトを読んでくださればと思いますが,これが凄いったらなんの! DSDネイティブ再生も一度耳にしたら「もう元には戻れそうもない」劇薬! ご利用は計画的に〜!

 それと「DS−DAC−100m」には単体ソフトの決定版「AUDIOGATE 3」まで付属してくる。「AUDIOGATE 3」のフルバージョンを買ったお金で「DS−DAC−100m」まで付いてくる,という逆転現象に惹かれたマニアも多いと読む…。

 本当なら「DS−DAC−100」なのでしょうけど,どうしてもあのデザインに抵抗があって,ノートパソコンの隣りに置ける「DS−DAC−100m」を購入してから約2年。未だ「DS−DAC−100m」に不満は感じておりません。ネットで絶賛されている記事をそのまま信じてよいと思います。 ← ここから先は“丸投げ〜”!

 個別の高音質機能とか音色のクセ等が気になる方はメールで問い合わせいただければ,管理人の個人的な感想をお伝えしたいと思います。

20160825 CASIOPEA 3RD LIVE NO.2

 「CASIOPEA 3rd “I・BU・KI SUMMER TOUR 2016”」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 「CASIOPEA 3rd “I・BU・KI SUMMER TOUR 2016”」の演奏が本当に素晴らしかったのだが,会場の一番右隅から見た光景が特異すぎて,普段は気にならないダンスのノリを意識せざるを得なかったライブであった。

 「如何に魅せるか?」がテーマだった「カシオペア・ファースト」のライブでは,野呂一生櫻井哲夫の“ギターベースの踊るユニゾン”が強烈だった。
 あんなにも“超絶技巧”なのに,あんなにも“ダンスがシンクロしている”カシオペアを初めてビデオ映像で見た時の衝撃はメガトン級だった。ジャニーズでも絶対に真似できない“超カッコイイ”ダンシングに熱狂したのだ。少年だった管理人がカシオペアに憧れたのは,スーパーすぎる演奏力以上にスーパーすぎるダンシングにあったのかもしれない?

 そんな「スーパー・ダンス・ユニット」=カシオペアにおける野呂一生の新しいダンス・パートナーは鳴瀬喜博
 「カシオペア・セカンド」では完成しきれていなかった「野呂一生鳴瀬喜博」のシンクロするダンシングが「カシオペア・サード」で完成されている。
 これまで何十回も「野呂一生鳴瀬喜博」のダンス・ユニットを見ていたはずなのに,全くのノーマークであった。ズレて当然の思い思いのダンスが「CASIOPEA 3rd “I・BU・KI SUMMER TOUR 2016”」ではピタリ!

 いや〜,新しい発見であった。ライブは正面だけでなく,たまには斜めから見てみるものだ! 後姿ばかり見せられていた大高清美が,本編終了後,客席に挨拶するのだが,真っ先に自分の真後ろにいた右隅の私たちのところに出てきてくれた。細やかな気遣いのできるお方なんだなぁ。発見&発見!

 さて,そんな「三代目J SOUL BROTHERS」ばりのパフォーマンス集団=「カシオペア・サード」のライブ直前の練習時間は5時間。そのうち4時間半はブレイク・ダンスの練習に充てられている。スニーカー1個で全裸で練習。凄い腰の振りのヤツ。凄い付点がつく新しい音楽【FUNK U VERY MUCH☆】。

 …って鳴瀬さん,それ「ラジオ体操第八」ですから〜。カシオペアの“美保純”こと大高さんのネタバラシが会場で大ウケ!

カシオペアも70歳になる長老がいます。結成40周を目前にして,とうとうラジオ体操が入ってくるようになってしまいまして。
去年あたりから,あの〜,鳴瀬さんはですね。まっ元々,会場を皆さんの所に徘徊しに行ってましたけども,最初は乱入って言ってたんだね。
私が入部させていただいた頃は乱入って言ってたんですよ。途中から徘徊に変わりまして,そのうち鳴瀬さんはステージ上も徘徊するようになりました。とうとうラジオ体操が入ってきたという。
次回の多分ライブでは30分ぐらいなんか皆さんと体操の時間が増えるんじゃないかみたいな予感がしますけれども〜」。

 実際に会場全体で,歌手だった頃のナルチョを思い出しながら「ラジオ体操第八」を練習。その後,神保さんのコーナーでもまさかの【FLASH!】の掛け声を練習。さぁ,読者の皆さんも(CDには入っていませんが)リフが止まったらすかさず【FLASH!】。

 この練習,気を抜いてはいけないのです。なぜならナルチョベースソロでえらい目にあわされるのです。容赦されないのです。

 さて,1人おいてけぼりの野呂さんですが,野呂さんの中ですでにカシオペアは「サース(13)」へと突入?していたことが分かりました。
 そこで管理人から野呂さんへ「カシオペア・サース」のライブの選曲についてのお願いがあるのです。

 「カシオペア・サード」になってからのライブでは「カシオペア・ファースト」「カシオペア・セカンド」の名曲が再演されていますが,いずれも8ビートや16ビートのナンバーばかり。
 カシオペアの魅力の1つである野呂さん渾身のフレットレスギターによるバラード・ナンバーはまだありません。

 「カシオペア・サード」の全20曲のライブバラードがかかるのは「ニュー・アルバムからの1曲のみ」の法則。
 個人的には昔のフレットレスギターの大名曲もリアレンジで聴いてみたいのです! 夢よ叶え! 「カシオペア・サース」!

 ちなみにカシオペアは来週また福岡へ来るそうですよっ。「ラジオ体操第八」と【FLASH!】の掛け声の練習をしとこうっと!

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20160825 CASIOPEA 3RD LIVE NO.1

 行ってきました! 8/25「イムズホール」の「CASIOPEA 3rd “I・BU・KI SUMMER TOUR 2016”」!

 「3rd3rd」である『I・BU・KI』のフォロー・ツアーである。もう最高の出来である。こんなライブを見せつけられては“カシオペア復活”という表現は失礼だと思った。

 「CASIOPEA 3rd “I・BU・KI SUMMER TOUR 2016”」を体感した管理人の感想は,奇しくも『I・BU・KI批評と同一である。
 ズバリ『I・BU・KIツアーでの変化は『TA・MA・TE・BOXツアーや『A・SO・BOツアーの比ではない。

 前回の「CASIOPEA 3rd “A・SO・BO TOUR 2015”」では,野呂一生の充実ぶりに感動したが,今回の「CASIOPEA 3rd “I・BU・KI SUMMER TOUR 2016”」では,神保彰の充実ぶりに,鳴瀬喜博の充実ぶりに,大高清美の充実ぶりに目を見張った。

 そう。「カシオペア・サード」としての1回1回のライブを積み重ねて“大輪の花”を咲かせてくれた。本当の意味で「カシオペア・サード」が再スタートした瞬間を目撃したのだ。
 「カシオペア・サード」の『I・BU・KI』を目撃したのだ。「カシオペア・サード」の【ME・ZA・ME】を目撃したのだ。
 開演前の“コケコッコー”のSE&ナルチョの「おはようございます」のMCそのまんまだった! カシオペアが“再び生まれた”のだった!

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 野呂 一生 : Guitar
 ★ 鳴瀬 喜博 : Bass
 ★ 大高 清美 : Keyboard
 ☆ 神保 彰 : Drums

 今回の座席はA列26番。つまりは最前列の一番右端。本当は大外でイヤだった。事実,神保彰は死角。大高清美も背中越し。でもステージが進むにつれ,何とも乙な光景にウットリ。
 斜め越しに見る野呂一生の動き。鳴瀬喜博のノリ。野呂一生鳴瀬喜博のシンクロ・ダンシング。大高清美の運指が丸見えではないかっ!
 特に大高清美の首フリフリと自慢のオルガンの極意を見せつけられた感じが大収穫。野呂一生の視線は常に大高清美に向けられているではないかっ!
 大外は自由だ。管理人唯一人が0.5列目でライブを堪能できた。「変病死」と「変拍子」の境界線を堪能できた。

 中野横丁のテーマ曲【RARE ONE IN N.Y.】。16ビートの「若気の至り」で“裏ばっか”な【SUPER SONIC MOVEMENT】。【J.K.G.】って,すらっと言える気がしなかったのでDAIGO風に縮めてみた「上手な鍵盤ガール → 女子高生の痔 → ジャスト・キープ・ゴーイング」の意味だったのね。

 ナルチョベースソロでは初めてとなるピンマイク付きの実況中継がタマラナイ。野呂一生の管理人に向けての突進とアイコンタクトがタマラナイ。

 カシオペア・ファンで良かった。ファン冥利に尽きるライブだった。生涯忘れられないライブの1本に出会えました。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

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富樫 雅彦 & J.J.スピリッツ / ソー・ホワット〜ライヴ・アット・新宿ピット・イン5

SO WHAT〜LIVE AT PIT INN SHINJUKU-1 「富樫雅彦 & J.J.スピリッツ」のコンセプトは,フリージャズの名手4人だからアレンジできた,斬新でストレート・アヘッドなスタンダード演奏にある。

 過去においてメロディーを捨てて実験的な演奏活動に没頭してきた名手4人が“一球入魂的な”ハード・バップ・スタイルで美メロを吹き上げていく。恐ろしく洗練されたジャズスタンダードに脱帽である。もはや常人では太刀打ちできないハイ・レベルの演奏が続いている。

 …にも関わらず『SO WHAT〜LIVE AT PIT INN SHINJUKU』(以下『ソー・ホワット〜ライヴ・アット・新宿ピット・イン』)に美メロの印象はない。

 ズバリ『ソー・ホワット〜ライヴ・アット・新宿ピット・イン』とは,もの凄いスイング&もの凄いグルーヴ・アルバムである。
 耳タコなスタンダードのはずなのに「先が読めない」スリリングな演奏の連続に,気が張りつめていく。集中力が増していく。そうして大熱狂してしまう…。

 個人的には「富樫雅彦 & J.J.スピリッツ」を聴くまでは「富樫雅彦=作曲家」のイメージが強かったのだが『ソー・ホワット〜ライヴ・アット・新宿ピット・イン』を聴いてからは「富樫雅彦=「炎のパーカッショニスト」を強く意識するようになった。

 思うに「富樫雅彦 & J.J.スピリッツ」結成の真の目的とは「炎のドラマー」→「炎のパーカッショニスト」としてジャズ界に復活していた富樫雅彦が,再び「炎のドラマー」へと舞い戻るためのプロジェクトだったのではないか? 

 ライブ盤=『ソー・ホワット〜ライヴ・アット・新宿ピット・イン』での,スイングするパーカッショニストを聴いていると,下半身不随事件以前のドラマーとしてのイデオロギーが新しいものへと置き換えられていることが分かる。
 ハイハットとバスドラなしのパーカッション・セットをして,以前のスーパー・ドラマー富樫雅彦を超えてきている。素晴らしい。

SO WHAT〜LIVE AT PIT INN SHINJUKU-2 富樫雅彦パーカッションが,美メロを離れて好き放題にスネアのアクセントを入れていく。拍から解放され,奇数拍偶数拍の表裏,まったくこだわらずにぽんぽんと軽やかにスネアが鳴っている。
 リズム・キープを全うしつつ,繊細かつ自由奔放なスティック捌きがグルーヴをつかんで離さない。和音,リズム等の制約から自由になるフリージャズドラミングが,見事にハード・バップにハマッテいる。

 峰厚介テナーサックス佐藤允彦ピアノ井野信義ベースと,気心の知れた仲間を得て,安心してアクセルを踏み込んでいる。
 富樫雅彦シンバル1つが,3人をコントロールしていく。キメを外しながらもドライブ感する富樫雅彦に引きずられた「J.J.スピリッツ」=「JAPANESE JAZZ魂」な大熱演である。

 『ソー・ホワット〜ライヴ・アット・新宿ピット・イン』は「とにかく凄い,とにかく気合い」という言葉しか見当たらないJ−ジャズ屈指の大名盤! 管理人は体調の良い時にしか聴けません!

  01. Monk's Hat Blues〜Milestone
  02. All The Things You Are
  03. Autumn In New York
  04. It's You Or No On
  05. So What〜Monk's Hat Blues

(ヴィーナス/VENUS 1995年発売/TKCV-35149)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/青木和富)

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デヴィッド・サンボーン / インサイド4

INSIDE-1 『INSIDE』(以下『インサイド』)の発売時点では誰一人として,当のデヴィッド・サンボーンマーカス・ミラーでさえ知る由もなかったが『インサイド』以降『TIME AND THE RIVER』のリリースまでの15年間“蜜月関係”にあった「デヴィッド・サンボーンマーカス・ミラー」という“夢のコラボレーション”が封印されることになる。

 推測するに,その要因とは本来「親分」であるデヴィッド・サンボーンと本来「裏方」であるマーカス・ミラーの関係性が「デヴィッド・サンボーンマーカス・ミラー」から「マーカス・ミラーデヴィッド・サンボーン」へと「マーカス上位」へと変化したからである。

 そう。『インサイド』では「デヴィッド・サンボーンマーカス・ミラー」の黄金のバランスが崩壊している。
 デヴィッド・サンボーン名義のソロ・アルバムで,過去にここまでマーカス・ミラーが前面に出たことはなかったし,デヴィッド・サンボーンはというと“ちょい役”のように登場するばかりである。
 まっ,その“ちょい役”での存在感が半端ないのだけれども…。ここがマーカス・ミラーの“狙い”だったのかもしれないけども…。

 “ちょい役”デヴィッド・サンボーンソロ・アルバム=『インサイド』の参加メンバーは,レギュラー陣であるマーカス・ミラーリッキー・ピーターソンに加えて,テナーサックスマイケル・ブレッカートランペットウォレス・ルーニーキーボードギル・ゴールドスタインギターディーン・ブラウンビル・フリゼールドラムジーン・レイクパーカッションドン・アライアス,そうして!ヴォーカルカサンドラ・ウィルソンエリック・ベネイレイラ・ハサウェイスティング

 この超豪華メンバーから発せられる,深く沈み込んだ“ダーク・ビューティー”なR&Bなど一体誰が想像できようか?
 実際には“先手を打って”アルバム・タイトル=『インサイド』が暗示していたのだが,音楽のベクトルが「内へ内へ」と向かっている。ずしりと重い音楽パンチング。

 主役であるアルトサックスのバックで,マーカス・ミラーフレットレスベースが哀しく響き,バス・クラリネットの渋味が空間を支配するマーカス・ミラー一流のストイックな展開が続いてゆく。
 地味派手な「マーカス・ミラーフィーチャリング“シリアス”サンボーン」の登場である。

INSIDE-2 ただし『ソングス・フロム・ザ・ナイト・ビフォア』に続いて,昼のデヴィッド・サンボーンではなく夜のデヴィッド・サンボーン,夏のデヴィッド・サンボーンではなく秋のデヴィッド・サンボーンを聴かせられると,正直,複雑な思いに駆られてしまう。

 “天才”マーカス・ミラーの大名盤だと『インサイド』を褒めつつも,マーカス・ミラーデヴィッド・サンボーンの「内面を掘った」JAZZYでブラックな“シリアス・サンボーン”の“泣きのブロー”は今までのイメージと違うんだよなぁ。

 デヴィッド・サンボーンにはストリートにとどまっていてほしかった!

  01. Corners (for Herbie)
  02. Daydreaming
  03. Trance
  04. Brother Ray
  05. Lisa
  06. When I'm With You
  07. Naked Moon
  08. Cane
  09. Ain't No Sunshine
  10. Miss You

(エレクトラ/ELEKTRA 1999年発売/AMCY-2967)
(ライナーノーツ/佐藤英輔)

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坂東 慧 / STEP BY STEP!4

STEP BY STEP!-1 坂東慧ソロ・アルバム『STEP BY STEP!』を買った。
 『HAPPY LIFE!』を聴いてみて,坂東慧をもってしても,フュージョン・バンドのソロ・アルバムは「母体を越えられない法則」は破られなかったので,本当に買うつもりはなかったのだが,社交辞令などではなく安藤正容伊東たけしLIVEのMCで心から大絶賛していたので,突然,聴いてみたくなった。

 …で結論。やっぱりフュージョン・バンドのソロ・アルバムは「母体を越えることはできない」の持論に変更なし。ただし,T−スクェアにおける坂東慧の存在の大きさを改めて感じ取ることができたのは大収穫!

 ズバリ『STEP BY STEP!』は,見事に『TREASURE HUNTER』の“外典”しているではないかっ! やっぱり坂東慧こそが「Mr.T−SQUARE」なのであった。

 『STEP BY STEP!』のレコーディングは2セット。「BANDOBAND」の坂東慧の世界観をストレートに伝えるバンド・サウンドと「レジェンド」たちが感じたままに演奏するスクェアメロディーがカップリングされている。

 この2セットの“個性の違い”こそが『STEP BY STEP!』最大の聴き所。2方向を同時に追求する坂東慧の異なるアプローチが最高に面白い。
 坂東慧の作曲も編曲も,スーパー・ドラムソロもリズム・キープも「人が変われば世界も変わる」。同年代とレジェンド,日本人バンドと海外の大物スター,東京とLA,共演者で曲の雰囲気が変わったのか,はたまた共演者に合わせて坂東慧が変わったのか,クレジットを見比べながら聴き込む『STEP BY STEP!』が実に興味深い。

 そう。『STEP BY STEP!』の印象は,先にも書いたがアルバム1枚通して聴くと『TREASURE HUNTER』の“外典”が強いのだが,2セットに分けて聴くと「BANDOBAND」サイドの演奏は,サックス宮崎隆睦ベース田中普吾が入っているせいなのだろう『WONDERFUL DAYS』や『SMILE』といった「T−SQUARE SUPER BAND」をイメージする瞬間がある。

 一方の「レジェンド」サイドの演奏は,サックスエリック・マリエンサルブランドン・フィールズギターマイケル・ランドウキーボードフィリップ・セスという鉄壁の布陣ゆえに『FRIENDSHIP』『BRASIL』『NEW ROAD, OLD WAY』といった「ユニット体制」のスクェアだったり『SOLITUDE』『REFRESHEST』『MISS YOU IN NEW YORK』『T COMES BACK』といった「AND FRIENDS」のスクェアを想起してしまう。

STEP BY STEP!-2 いい曲がある。いい演奏がある。『HAPPY LIFE!』に【BOUNDLESS SKY】があるように『STEP BY STEP!』には【PLAISIR 〜喜び〜】がある。
 でもそれでも坂東慧の『STEP BY STEP!』は,「BANDOBAND」サイドに振れても「レジェンド」サイドに振れても,結局はT−スクェアの“外典”止まり。
 この点で公式に「ニセスクェア」を名乗っている本田雅人ソロ・アルバムとは趣きが決定的に違っている。

 管理人は坂東慧の,才能に胡坐をかかない,生真面目で努力を怠らないフュージョンスピリッツが大好きである。
 だから坂東慧ソロ・アルバムがどうにも物足りない。いっその事,本田雅人バリに“偽物”でもいいのではないかっ。

 次だ次だ。坂東慧よ,次こそはT−スクェア本体を超えて来い! 君なら出来る!

PS1 『STEP BY STEP!』が『TREASURE HUNTER』の“外典”であるならば『LET’S MOVE』は『SMILE』の“外典”なのか? 気になって買ってしまいそうになる今日この頃〜。
PS2 安藤“錦織圭”正容さん,96年振りとなるオリンピックでの銅メダル獲得,おめでとうございます!
PS3 どうせ『STEP BY STEP!』を買うのならスクェアLIVE会場で買って坂東くんのサイン会に参加すればよかった〜。

  DISC 1 <SUPER AUDIO CD HYBRID>
  01. Sunset Blvd.
  02. Headin' to Laguna Beach
  03. Feel So Good!
  04. next season
  05. 旅に出よう!
  06. Pretty Dance
  07. bb Freeway
  08. Step By Step!
  09. Plaisir 〜喜び〜

  DISC 2 <DVD>
  01. Headin' to Laguna Beach ミュージックビデオ
  02. 坂東慧によるライナーノーツコメント

(オレンジレディ/ORANGE LADY 2016年発売/OLCH-10005〜6)
(ライナーノーツ/坂東慧)
★SACDハイブリッド盤+DVD 2枚組
★音匠仕様レーベルコート

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デヴィッド・サンボーン / ソングス・フロム・ザ・ナイト・ビフォア4

SONGS FROM THE NIGHT BEFORE-1 イエーイ! デヴィッド・サンボーン待望のファンキー路線・復活〜!
 しかし,諸手を挙げて喜ぶことなどできない。『SONGS FROM THE NIGHT BEFORE』(以下『ソングス・フロム・ザ・ナイト・ビフォア』)について語ることは好きではない。

 なぜなら『ソングス・フロム・ザ・ナイト・ビフォア』はファンキー・チューンのオンパレードなのだが,聞いていても楽しくない。デヴィッド・サンボーンの様子がどうもおかしい。一言で言えば暗いのだ。

 ノリ一発というよりも渋いファンキー路線であって,思索的な演奏である。デヴィッド・サンボーンの内奥の気持ちが耳に入ってこない。もしかしてスランプなのか? あの大作=『パールズ』で調子を崩してしまったのか?

 まぁ『ソングス・フロム・ザ・ナイト・ビフォア』でデヴィッド・サンボーンが演ろうとした試みは容易に想像がつく。『ソングス・フロム・ザ・ナイト・ビフォア』の狙いは“COOL”なるファンキーであろう。

 きっとデヴィッド・サンボーンは若者受けする“アゲアゲ”の対極として,アダルトなファンキー路線に進出したかったのだと思う。「枯れ」のデヴィッド・サンボーンにも大きな魅力があることを“サンボーン・キッズ”は認めている。

 ただし,腹心の音楽監督=リッキー・ピーターソンが復活させた“ファンキー・サンボーン”は,かっての面影が残らないくらいまで,根こそぎ洗練されている。
 “アゲアゲ”からアダルトへ向けて削るべきマテリアルの中で,削るべきではないデヴィッド・サンボーン特有の“旨味”まで削ってしまっている。その結果,新しいアプローチなのに,どこにでもあるようなファンクフュージョンになってしまっている。

 この点でついに“蜜月関係”を解消したマーカス・ミラーの不在が痛い。デヴィッド・サンボーンの希望とはいえ,リッキー・ピーターソンの打ち込みビートはドライすぎて軽く感じる。

SONGS FROM THE NIGHT BEFORE-2 管理人の結論。『ソングス・フロム・ザ・ナイト・ビフォア批評

 『ソングス・フロム・ザ・ナイト・ビフォア』の黄昏というかセピア色というか,青春を謳歌した後の“ファンキー・サンボーン”のロスタイムの印象で,ついつい淋しさを覚えてしまう…。

 もはや黄金期のように,全力で“ファンキー・サンボーン”できないことを自覚してのモデル・チェンジなのだろう…。淋しい…。
 そう。『ソングス・フロム・ザ・ナイト・ビフォア』の真実とは,デヴィッド・サンボーンの「ヴィンテージ・ファンク」なのである。

  01. RELATIVITY
  02. D.S.P.
  03. RIKKE
  04. LISTEN HERE
  05. SPOOKY
  06. MISSING YOU
  07. RUMPLESTILSKIN
  08. INFANT EYES
  09. SOUTHERN EXPOSURE

(エレクトラ/ELEKTRA 1996年発売/WPCR-858)
(ライナーノーツ/工藤由美)

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カシオペア・サード / I・BU・KI5

I・BU・KI-1 「カシオペア・サード」が「カシオペア・ファースト」とも「カシオペア・セカンド」とも違うのは,一言で言えば「オルガン・サウンド」の導入にある。昨日までそう思っていた。

 野呂一生の活動再開に対する「熱い血潮」がビンビン伝わってきた「3rd1st」=『TA・MA・TE・BOX』。カシオペア「史上最大級」の自由すぎるリズムがビンビン伝わってきた「3rd2nd」=『A・SO・BO』。

 「カシオペア・サード」を聴く最大の楽しみは,向谷実キーボード大高清美キーボードの対比にあった。
 煌びやかなシンセサイザーが消え,ノリが持続するオルガンが加わることで「科学変化を起こした」バンドの新サウンド・カラーが楽しみであった。

 ただし「3rd3rd」となる『I・BU・KI』での変化は『TA・MA・TE・BOX』『A・SO・BO』の比ではない。「サード」での変化は大高清美オルガンだけが原因ではないのだ。

I・BU・KI-2 そう。『I・BU・KI』では,キーボード大高清美が前任の向谷実とチェンジしただけではなく,ギター野呂一生が以前の野呂一生ではなくなり,ベース鳴瀬喜博が以前の鳴瀬喜博ではなくなり,ドラム神保彰が以前の神保彰ではなくなっている。

 ついにメンバーの4人が4人とも「サード」になって,以前とは違った音の表情を見せている! ついに「カシオペア・サード」としての新しいバンド・カラーが「3rd3rd」で芽生えている!
 だから『I・BU・KI』であり【ME・ZA・ME】なのだろう。

( ただし【ME・ZA・ME】はオルガンではなく,かつてのカシオペアを彷彿とさせる,煌びやかなシンセ・サウンド。大高清美向谷実を演じても「ザ・大高清美」に聴こえるところが素晴らしい! )。

I・BU・KI-3 ズバリ『I・BU・KI』の聴き所は,バンド・サウンドの枝葉の部分ではなく幹の部分での大きな変化である。1,2回聴いただけでは体感できないが,10回も聴けば絶対に体感できる,カシオペア・サウンドの“大きなうねり”と“地殻変動”!

 もはや誰にも止められない,野呂一生でさえも止めることのできない“動き始めたバンド・サウンド”! これぞ「息吹き」! カシオペアの『I・BU・KI』!

 野呂一生が『TA・MA・TE・BOX』で“種を蒔き”『A・SO・BO』で“水を注いだ”「カシオペア・サード」のサウンドが『I・BU・KI』で胎動を始めた。急速な成長が始まった。

 より自由度が増したと言うか,年齢的な余裕みたいなものが感じられる。真面目にやっているが遊び心が上手くブレンドされている。

I・BU・KI-4 『I・BU・KI』における「カシオペア・サード」成長の原動力は,神保彰鳴瀬喜博大高清美が抱く野呂一生への“リスペクト”にある。

 『I・BU・KI』で貫かれている野呂一生の揺るぎないロック・スピリッツ。そんな野呂一生に魅了された神保彰鳴瀬喜博大高清美野呂一生が演じるロックを表現している。みんながきちっとロックしている。とことん“カシオペア野呂一生”を表現している。
 そう。「カシオペア・サード」は今,最高に素晴らしい信頼関係で結ばれているバンドの1つであろう。

 そんなメンバーからの絶大な信頼を一身に受けてプレイする野呂一生ギターが物凄くグッと来るんだよなぁ。管理人はそんな野呂一生が大好きなんだよなぁ。
 再び訪れた野呂一生の創作意欲のピーク期に「カシオペア・サード」の黄金期を重ね見る!

  CD
  01. ME・ZA・ME
  02. MOVE BY MOVE
  03. J.K.G.
  04. LIFE LINE
  05. Funk U Very Much☆
  06. PREMEDITATION
  07. LIKE A FLOWER
  08. NATURAL AFFECTION
  09. Flash!
  10. THE SPACE WE ARE
  11. WHITE TICKET

  BONUS DVD
  01. A・O・ZO・RA
  02. MODE TO START
  03. BACKTALK BABE
  04. Making & Interview_1
  05. ORGANIC EVOLUTION
  06. SMASH!
  07. Making & Interview_2
  08. GOOD LUCK!
  09. TAKE ME
  10. EYES OF THE MIND
  11. Making & Interview_3
  12. ASAYAKE
  13. PAL
  14. CATCH THE WIND

(ハッツ・アンリミテッド/HATS UNLIMITED 2016年発売/HUCD-10221/B)
(☆BLU−SPEC CD2+DVD仕様)
(☆スリップ・ケース仕様)
★16Pブックレット
★特典DVD:「LIVE CD Release Premium Live at Billboard Live TOKYO」の14曲の映像を完全収録

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デヴィッド・サンボーン / サンボーン・ベスト!〜ドリーミング・ガール4

SANBORN BEST!〜DREAMING GIRL-1 またまた普段めったと買わないベスト盤のレヴューです。ベスト盤を2枚も所有しているジャズメンは数えるほどなので,管理人がいかにデヴィッド・サンボーンに惚れ込んでいたかが分かっていただけると思います。そこんとこよろしくです。
 まっ,実際は「未発表音源入り」なので買っただけなんですけどね〜っ。

 『SANBORN BEST!〜DREAMING GIRL』(以下『サンボーン・ベスト!〜ドリーミング・ガール』)は,エレクトラ移籍後の4枚『ANOTHER HAND』『UPFRONT』『HEARSAY』『PEARLS』からのセレクション。
 この4枚を1枚にコンパイルして感じるのが,やはり『PEARLS』の“異質”ぶり。

 多分,世間的には,この4枚を並べてみると『PEARLS』ではなく『ANOTHER HAND』なのでしょうが,ストレート・ア・ヘッドジャズ・アルバム『ANOTHER HAND』と“アゲアゲ”ファンクグルーヴな『UPFRONT』『HEARSAY』の“根っこ”は同じ。

 対して『PEARLS』は,甘くロマンティックな歌もの集。描く世界観が全然違う。
 朗々と“美メロを吹き上げる”デヴィッド・サンボーンの命を削るかのような説得力が強烈すぎて『PEARLS』の中に秘められているパンチ力は,もしや『UPFRONT』『HEARSAY』を凌駕している?
 
SANBORN BEST!〜DREAMING GIRL-2 3枚:1枚のジャズファンク時代の構図の中で『サンボーン・ベスト!〜ドリーミング・ガール』のリリースのために新録音された【DREAMING GIRL】が『PEARLS』の援軍に回っている。
 『PEARLS』の“異端”ぶりが山下達郎松嶋菜々子のアシストで救われた〜。

 POPS&ROCK方面の「昔取った杵柄」で山下達郎以上に“歌い上げる”デヴィッド・サンボーンの正体とは,日本独自企画盤の『サンボーン・ベスト!〜ドリーミング・ガール』!

  01. DREAMING GIRL
  02. BANG BANG
  03. EVERYTHING MUST CHANGE
  04. BACK TO MEMPHIS
  05. FIRST SONG
  06. SAVANNA
  07. TRY A LITTLE TENDERNESS
  08. FULL HOUSE
  09. GOT TO GIVE IT UP
  10. SUPERSTAR
  11. HOBBIES
  12. SMOKE GETS IN YOUR EYES
  13. BENNY
  14. GEORGIA ON MY MIND

(エレクトラ/ELEKTRA 1996年発売/WPCR-762)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1977年度(第11回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1977年度(第11回)の発表です。

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V.S.O.P★【金賞】.ニューポートの追想
ハービー・ハンコック


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アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード★【銀賞】.ザ・グレイト・ジャズ・トリオ・アット・ザ・ビレッジ・バンガードVOL.1,2
ザ・グレイト・ジャズ・トリオ

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テイルズ・オブ・アナザー★【銀賞】.テイルズ・オブ・アナザー
ゲイリー・ピーコック


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HEAVY WEATHER★【銀賞】.ヘビー・ウェザー
ウェザー・リポート


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ハイフライ(紙)★【ボーカル賞】.ハイ・フライ
カーリン・クローグ&アーチー・シェップ


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北欧組曲[Blu-spec CD]★【日本ジャズ賞】.北欧組曲
高橋達也と東京ユニオン


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フィンガー・ペインティング★【録音賞(海外)】.フィンガー・ペインティング
アール・クルー


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ルビサ・パトロール★【録音賞(海外)】.ルビサ・パトロール
アート・ランディ


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LADY BIRD★【録音賞(国内)】.レディ・バード
八城一夫〜横内章次


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★【制作企画賞】.ジョン・コルトレーン没後10周年追悼企画 [3作]

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 全43回のジャズ・ディスク大賞であるが,個人的には1977年度のジャズ・ディスク大賞が一番熱い!
 なんてったって,選考が難航したのか【銀賞】が異例の3つ。その【銀賞】のどれもが【金賞】を獲ってもおかしくない超名盤の揃い踏み!

 ハービー・ハンコックの“最高傑作”『ニューポートの追想』。ハンク・ジョーンズの“最高傑作”『ザ・グレイト・ジャズ・トリオ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』。ゲイリー・ピーコックの“最高傑作”『テイルズ・オブ・アナザー』。ウェザー・リポートの“最高傑作”『ヘビー・ウェザー』。

 こんなことってある? 管理人も悩みに悩んで【金賞】はハービー・ハンコックの『ニューポートの追想』に決めましたが,お好みで『ザ・グレイト・ジャズ・トリオ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』にも『テイルズ・オブ・アナザー』にも『ヘビー・ウェザー』にも【金賞】を与えてOKですよっ。この年ばかりは許されますっ。

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ヘッドフォン / SENNHEISER(ゼンハイザー) / HD800

 ヘッドフォンを新調しました。SENNHEISERゼンハイザー)の「HD800」です。

 まぁ,以前から狙っていた「HD800」なのですが,購入動機は今月,手持ちのヘッドフォンを3つまとめて処分したことと,ヤフオクで状態の良い新古品が出品されたこと。
 SENNHEISERゼンハイザー)は「HD580 PRECISON」で体験済でしたので“高音質と掛け心地”の良さは保証済。後はタイミングの問題だけ。今回の一点ものとの出会いに大感謝です。新古品とはいえ破格の安さに大満足です。

 NO! 大満足なのは“高音質と掛け心地”の良さの方!
 音質の高さは今更管理人が語るまでもありません。「アドリブログ」の「オーディオビジュアル批評」の「HD800批評は,以下の受賞歴の掲載をもってかえさせていただきます。

受賞歴
iFプロダクトデザインアワード2010
reddot design award winner2010
innovation award 2010
オーディオ銘機賞2010「ヘッドホン部門トップ賞」
ビジュアルグランプリ2010「ピュアオーディオ金賞」
ビジュアルグランプリ2013「部門金賞」
VGP 2013 SUMMER 金賞
他多数
VGP受賞歴
VGP2015 開放型オーバーヘッド型ヘッドホン(10万円以上) 金賞
VGP2014SUMMER 開放型オーバーヘッド型ヘッドホン(10万円以上) 金賞
VGP2014 オーバーヘッド型ヘッドホン(10万円以上) 金賞
VGP2013SUMMER オーバーヘッド型ヘッドホン(10万円以上) 金賞
VGP2010 オーバーヘッド型ヘッドホン(10万円以上) 金賞

 なお,もう1つの掛け心地ですが「HD580 PRECISON」よりは劣るのが残念。眼鏡はズレるほどではありませんが,若干宙に浮き気味でして,今後の課題です。「HD800」の方に眼鏡を寄り添わせることになると思います。
 今となっては「HD800S」の掛け心地が気になる今日この頃?

 現在,管理人のオーディオ熱はPCオーディオ一辺倒! 書こう書こうと思いつつヘッドフォン・アンプについて書いていませんが,ハイレゾ音源にDSDやアップコンバータで楽しんでいます。
 この“チーム・セラビー”のシステム群に「三顧の礼」で迎え入れられた,大エース「HD800」の活躍を期待しております。

PS 気になる方は気になるシリアルナンバーは2万2千番台。箱にハイレゾ・マークは印字されていません。

デヴィッド・サンボーン / パールズ4

PEARLS-1 ジャズメンにとっての“憧れのフォーマット”が「ウィズ・ストリングス」であろう。
 ジャズ畑出身のデヴィッド・サンボーンなのだから,いつかは「ウィズ・ストリングス」という野望が頭の片隅にあったのかもしれない。

 しかし,ついに登場したデヴィッド・サンボーンの「ウィズ・ストリングス」アルバム『PEARLS』(以下『パールズ』)を聴いて,これはデヴィッド・サンボーンの意思ではなく,周りの人間がデヴィッド・サンボーンにセールス目当てで作らせたアルバムだと感じた。
 管理人の直感が正しかろうと間違っていようと,今となっては関係ない。そう感じてしまったことが全てである。だから『パールズ』の演奏自体は大名演なのだけど,好きという感情以前に「踏み込めない壁」というか「違和感」を感じてしまって…。

 そう。『パールズ』が“ジャズっぽくアウトしまくる”『アナザー・ハンド』の直後であれば,管理人もそれなりに納得できたと思う。しかし『パールズ』は『アップフロント』『ヒアセイ』での“アゲアゲ・サンボーン”の大ヒット直後…。予想外だった…。
 『アップフロント』『ヒアセイ』で“GROOVE”の楽しさを知ってしまったデヴィッド・サンボーンが,今更「ウィズ・ストリングス」に興味を持つとは思えなかった。
 だ〜って,メイシオ・パーカーが「ウィズ・ストリングス」に興味を持つとは思えないでしょ?

 デヴィッド・サンボーンというアルト・サックス・プレイヤーは,オリジナルを吹くにしてもカヴァーを吹くにしても,本質は所謂メロディー吹きである。
 その意味で『パールズ』のような,バラードスタンダードな「ウィズ・ストリングス」と来れば“ピシャリ”であろう。

 そう。『パールズ』が出来すぎている。「ウィズ・ストリングス」が出来すぎている。全ては“超大物”トミー・リピューマの音楽である。『ダブル・ヴィジョン』の頃のトミー・リピューマの音楽が“君臨”している。

 ゆえに『パールズ』のデヴィッド・サンボーンの役所は「一介のアルト・サックス・プレイヤー」にすぎない。“泣きのブロー”で叫べば叫ぶほど,デヴィッド・サンボーンの個性から離れてゆき「ウィズ・ストリングス」の美しさが際立つ算段である。

 ズバリ『パールズ』とは「ムーディーすぎる」バラード集であり,ポップスやジャズスタンダードの「甘すぎる」カヴァー集。
 管理人が『パールズ』に,デヴィッド・サンボーン以外の上からの力,を感じたのは『パールズ』のこのセッティングにある。

PEARLS-2 ではなぜデヴィッド・サンボーンはセールス目当てと分かった上で『パールズ』の企画に乗ったのだろうか?
 それはデヴィッド・サンボーンなしに,この豪華企画は成立しないと感じたからではないだろうか? あるいはこのゴージャスなバック・サウンドを他の誰にも渡したくない,という欲が出たのかもしれない。

 『パールズ』は『ダブル・ヴィジョン』の大成功があっての“渋目のムード・サックス”である。こんなにも美しく豊穣な「ウィズ・ストリングス」はデヴィッド・サンボーンでなければ作れやしない。
 「商業主義」の『パールズ』を認めるのはくやしいけれど『パールズ』は数ある「ウィズ・ストリングス」ものの中でも上位に来るべき優秀作品に違いない。

 管理人の結論。『パールズ批評

 『パールズ』での「ウィズ・ストリングス」は,デヴィッド・サンボーンにとっての「夢のアルバム」ではない。トミー・リピューマにとっての「夢のアルバム」なのである。

 ただし『パールズ』の真実とはトミー・リピューマの先にある。
 つまりはバラードスタンダードな「ウィズ・ストリングス」なんて絶対に演らないだろうと思っていた“サンボーン・キッズ”にとっても,これまた「夢のアルバム」なのである。

  01. WILLOW WEEP FOR ME
  02. TRY A LITTLE TENDERNESS
  03. SMOKE GETS IN YOUR EYES
  04. PEARLS
  05. FOR ALL WE KNOW
  06. COME RAIN OR COME SHINE
  07. THIS MASQUERADE
  08. EVERYTHING MUST CHANGE
  09. SUPERSTAR
  10. NOBODY DOES IT BETTER
  11. THE WATER IS WIDE

(エレクトラ/ELEKTRA 1995年発売/WPCR-215)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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20160724 T-SQUARE LIVE NO.2

 「T−SQUARE ライブツアー2016 『TREASURE HUNTER』」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 「CDライブは別物」のT−スクェアを体感できた要因は2つ。
 伊東たけしが「笑点で座布団をとられたような状況」と表現した「電気ビルみらいホール」のステージの低さとD列14番の座席にあった。

 そう。管理人の真正面には坂東慧。2時間半のライブ中,延べ1時間は坂東慧ドラミングを注視していた。坂東くんの真っ赤なドラム・セットは記憶にないのだが,果たして新調品なのかな? 直感としてはタムの数が少なくなったのかな?

 恐らく,ドラム・セットの変更が正しければ,その理由は【CHOPS!!】にある。
 「巷で話題のCHOPS。危なくまた坂東に騙されそうになりましたけど。本当にシンプルなメロディーですけどね。騙されるんですよ。手拍子もどこで打っていいかよく分からないでしょ? いいんです。それで。それが正しい人の感じだと思います。あんなことを分かったらとんでもないことになってしまいます。坂東CHOPS満載でお送りすることになると思います」との伊東たけしのMC通り,坂東慧CHOPS大炸裂〜!

 伊東さん,管理人は見ました。坂東くんに騙されたのは人間だけではありません。【FUTURE MAZE】での打ち込みが流れてきた瞬間の出来事,何と!まさか! あのドラム・マシーンが坂東くんのCHOPSに騙されていた!
 まぁ,実際にそんなことはないのだけれども,そう思ってしまうくらい,坂東慧ドラミングが,縦横無尽で変幻自在で,人間離れしていたってことなのです! それを可能にするための今回のドラム・セットの変更なのでしょう。はい。

 そんなバンドの中心人物=坂東くん。MCでも坂東くんのソロ・アルバム『STEP BY STEP!』の話題で持ちきりでした。
 いつもならイジリ倒しているはずの安藤正容伊東たけしですが,今回ばかりは坂東慧を大絶賛! …というより,ひがみ節?

 伊東たけしが自腹でダウンロードして聴いた『STEP BY STEP!』のハイレゾ音源を,安藤正容が「聴かせて&聴かせて」とやってきたが,曲の頭からじゃなくてギターソロのところだけ聴くらしい。なぜなら『STEP BY STEP!』のギタリストとは,安藤正容のアイドル=マイケル・ランドゥー

 安藤正容曰く「最近のマイケル・ランドゥーって割とブルースしかやんないんですよ。でも坂東の曲は所謂フュージョンですから,それをね,久しぶりに聴きました。おしゃれなコード・チェンジの中でソロをやる。ギター好きの人は必聴ですよ。うん」。
 でも,そんな坂東慧を絶賛するお言葉のふしぶしで「坂東が何でマイケルに頼んだのかなぁ。いやらしい感じ」「勝手に仲良ししやがって」と本音がポロリ?

 伊東たけし曰く「坂東バンドの編成がスクェアに凄く似ているんですよ。ケンカ売ってるのか〜っ!」。
 でも本音は「すげえ音いい。めちゃくちゃいい。サックスもね。コピーしちゃった。宮崎がダメは時は俺がやれる。全部曲を覚えた」と色気が出ている?

その他のネタとしては
安藤正容は,実は錦織圭だったとか。
●前日に17年振りに宮崎のジャズ・フェスUMK SEAGAIA JAMNIGHT2016“40TH ANNIVERSARY 〜FEEL THE GROOVE〜”」に,ジャズ・フェスが40周年でスクェアも結成40周年の40周年つながりで出演した。【IT’S MAGIC】で共演したマリーンに全部もっていかれた。「この次は17年僕らは待てません」 by 伊東たけしとか。
安藤正容が同じステージに出ていたデヴィッド・T・ウォーカーに影響されて【ANABELLE】でのギターが「ブルージーな渋いソロがワイルド」だった。 by 伊東たけしとか。
●同じくジャズ・フェスに出演していたベーシストチャック・レイニーに「僕のこと全然覚えていないって言われました。伊東さんは覚えていたんですが,お前誰だ。T−スクェアギターですって言ったら「ああ,そういや何かあったなぁ」。 by 安藤正容とか。 
●アンコールで伊東たけしが客席に着席を促したはずが安藤正容がステージ上の椅子に腰かけて叱られたとか。
伊東たけしの「みんな最高〜」「福岡最高〜」「もう1回行くぞ〜」が出たとか。
●【TRUTH】での河野啓三キーボードソロ中に,坂東慧以外のメンバーがキーボードの周りに集まって,楽しそうにちょっかいを出しているのを,坂東慧が遠目で淋しそうに?見つめていたとか。
●2回目のアンコール終わりのカーテン・コール風の一礼セレモニー時に安藤正容伊東たけしEWIを勝手に触りまくっていたとか。

●あと,昨日は「T−SQUARE ライブツアー2016 『TREASURE HUNTER』」のハイライトは【SCISSORS PAPER ROCK】と書きましたが2日経って気持ちが変わりました。ハイライトは伊東たけしアルトサックスが胸に沁みた【LAST SCENE】でした。今日なんかは1日中【LAST SCENE】のメロディーが頭の中を鳴り続けていました。
●【KISS】【ANABELLE】【THE FLIGHT OF THE PHOENIX】が聴けるとは…。
●【FUTURE MAZE】が流れた瞬間の客席の予想以上の戸惑いに伊東たけしが戸惑って…。

 トレジャー(それじゃー),この続きは「ライブハウス・ツアー2016」のLIVEレポートで…。そうですよね,伊東さん!?

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20160724 T-SQUARE LIVE NO.1

 行ってきました! 7/24「電気ビルみらいホール」での「T−SQUARE ライブツアー2016 『TREASURE HUNTER』」!

 イチローの3000本安打達成まであと4本という緊迫した中?(伊東たけし談)ホール・コンサート最終日を迎えた福岡公演。
 いやいや,緊迫とは真逆の実に心温まるホール・ツアーのファイナル公演であった。管理人なんかは,心の奥がじーんと感じてしまいました。本当に素晴らしいライブだった。後半の大盛り上がりの空気感は青春時代に舞い戻った感覚があった。
 安藤さん,伊東さん,本当にありがとうございました。

 今回,こんなに感激してしまったのは,個人的には約10か月ぶりとなる,間が空きすぎたスクェアライブということもあるだろう。何だか,随分久しぶりに伊東さんとお会いした感じがした。
 いや,そうではなくて“ザ・マスクマン”スクェア名義の『TREASURE HUNTER』を,ほぼ聴いてこなかったせいだろう。素顔のスクェアフュージョンをマスクで覆ってしまったように思えて『TREASURE HUNTER』の全9曲のうち【TREASURE HUNTER】と【LAST SCENE】の2曲しか聴かなくなってしまった。久々の「迷盤」に愛着が持てない。流石に昨日は何回も聴いて予習しましたけど…。

 だからGAPなのだろう。落ち着いたトーンの『TREASURE HUNTER』が,カラフルで素敵に聴こえて感激してしまったのだろう。過去に何回も体験してきたはずなのに「CDライブは別物」のスクェアにやられてしまったのだろう。

 いやいや,そうではなくて,こんなにも感激してしまった最大の理由は「スクェア・ファミリー」の雰囲気を感じたから。
 これはMCで伊東たけしが話していた実話なのだが,昨日の福岡公演には伊東たけしにとっては“あの”有名弟さんと親戚のおばちゃんが見守る「家族参観」ライブ
 でも伊東さん,他にも弟や妹や娘さんたちがたくさんいたでしょう? 我ら「スクェア・ファミリー」が見守っていたんですよっ。大きな拍手や晋吾くんが客席に求めた「フ〜ッ」という黄色い歓声が響いていたでしょ?

 管理人の元へ昨日のライブ終了後,ライブの感想を求めるメールが届いたのだが,そのメールへ「スクェア・ファンでいて良かった,と感慨深いものがありました」と書き送っていた。それが管理人の素直な感想だったのです!

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 安藤 正容 : Guitar
 ★ 伊東 たけし : Alto Saxophone,EWI
 ★ 河野 啓三 : Keyboard
 ★ 坂東 慧 : Drums
 ☆ 田中 晋吾 : Bass

 「T−SQUARE ライブツアー2016 『TREASURE HUNTER』」の特徴はニュー・アルバムの全曲演奏。どうせ全曲演奏を始めるのなら『TREASURE HUNTER』ではなくて『NEXT』『PARADISE』と2年前から始めてほしかった…。
 しかし「CDライブは別物」なのがT−スクェアというフュージョンバンドライブ仕様に新しくアレンジされた『TREASURE HUNTER』が聴けて良かった。

 メロが弱いと思っていた『TREASURE HUNTER』だったが,実はメロが弱いのではなくリズムが強すぎるだけだった! 坂東慧ドラム田中晋吾ベースが強すぎる! ついにドラム・マシーンをアクセントとして手名付けた“スーパー・ドラマー坂東慧

 ズバリ「T−SQUARE ライブツアー2016 『TREASURE HUNTER』」のハイライトはドラムソロベースソロが「グー,チョキ,パー」をキメまくる【SCISSORS PAPER ROCK】! あんな風にリズム中心で曲が作られる過程を見せつけられてしまっては,オジサンもうお手上げ,なのである。

 そう。『TREASURE HUNTER』はボトムである。安藤正容伊東たけしが機会ある度に,坂東慧田中晋吾の新時代のリズムを絶賛する意味がようやく管理人にも理解できた。
 個人的には【RONDO】の坂東慧ドラミングが変わったように感じました ←気のせいかも?

 そんな“最新型のリズム”に乗せられて迎えた後半戦〜ダブル・アンコールの大ヒット・パレードが胸に突き刺さる〜! 【RONDO】だけではなく,今まで何度も聴いてきたはずの【THE BIRD OF WONDER】【TAKARAJIMA】【OMENS OF LOVE】【TRUTH】までもが新鮮に聴こえる〜!

 頭の中はなぜの嵐? それが“少年の冒険”『TREASURE HUNTER』の「秘宝」なのだろう…。それが「スクェア・ファンでいて良かった」と語らせてくれた「魅力」なのだろう…。

 これだからT−スクェアのファンはやめられない…。これだからT−スクェアライブはやめられない…。
 妻よ,大分の次は神戸にも誘われているのだが,一緒に行ってくれないものか…。毎年おねだりしてごめんなさい。でも絶対楽しいに決まっているんだから…。 

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

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山中 千尋 / ギルティ・プレジャー5

GUILTY PLEASURE-1 『GUILTY PLEASURE』(以下『ギルティ・プレジャー』)はいいアルバムである。山中千尋の趣味の良さがストレートに実感できる。
 ついに山中千尋は,変態度を見せなくても,正攻法だけで勝負できる領域にまで到達してしまったのだと思う。

 管理人にとって山中千尋を聴く楽しみは,変態アレンジに尽きる。多くのジャズメンの「手垢のついた」有名なあんな曲こんな曲が,山中千尋の手にかかると,全く違った曲に生まれ変わる。その特異な才能,自由すぎる発想に強く惹かれてしまう。

 エレクトリック路線の『ABYSS』がそうであり“大人のジャズ・ピアニスト”路線の『BRAVOGUE』がそうであり,オリジナルのブチ壊し路線の『BECAUSE』がそうであった。好きなだけ遊び続けるちーたんに恋をしてきたのだ。

 それがどうだろう…。『ギルティ・プレジャー』の山中千尋は超真面目路線。管理人が期待していた変態チックな要素はないはずなのに,何度も繰り返し聴いてしまう。
 ズバリ『ギルティ・プレジャー』の聴き所は,ジャズ・ピアノを味付けではなく素材の良さで聴かせる,山中千尋「シェフ」の確かな腕前にある。

 メロディーの良さ,リズムの良さ,アドリブの良さ,アンサンブルの良さ,といった管理人がジャズに求める全ての要素が表現されている。
 山中千尋の緻密で繊細な表現手法が重なり合って,かつてない位に豊かな音楽性が表現されているのだ。

 元々「オールランダー」な山中千尋なのだがら『ギルティ・プレジャー』での「ザ・ジャズ・アルバム」なんかは,作ろうと思えば今回に限らずいつでも作ることができたはずである。なぜこのタイミングでの「正統派」路線なのだろうか?

 その答えは,山中千尋トリオが完成のピークに達した自信から来る“挑戦”なのだと思う。
 『ギルティ・プレジャー』のように,全体のバランスが細部までコントロールされたピアノ・トリオの完成には,相当な時間とエネルギーが必要だと思うが,そこはレギュラー・バンドのアドバンテージ!
 日々,山中千尋と“音楽で会話してきた”脇義典ベースジョン・デイヴィスドラムを“89番目と90番目の鍵盤のように”意のままに操り,山中千尋にしか表現することのできない,実にユニークで奥深いジャズ・ピアノを作り上げている。

GUILTY PLEASURE-2 こんなにもバランスの取れたアルバム作りは山中千尋にとっても初めてのことではなかろうか? 攻めでもなく受けでもなく,ひたすらジャズの「王道」で有り続けるために,己の個性と得意技全てを封印してみせたアルバム。
 そう。『ギルティ・プレジャー』は,キャリアのピークを迎えた今だから挑戦できた“左手一本で超真面目ぶった”山中千尋の,要するにいつものお遊びが存分に発揮された,正に真のちーたん・ファンのためのアルバムなのである。

 『ギルティ・プレジャー』からは「ピッカピカ」な輝かしい音が鳴っている。全身黒ずくめのはずの山中千尋が「フルカラー」で鳴っている。はたで聴いただけでは,これが“左手一本”のアルバムだとはにわかに信じられない。凄いぞっ!

 現在の山中千尋トリオは“左手一本”でも,名立たるピアノ・トリオと互角に戦うことができる。次回,山中千尋が右手も使って,あの変態の個性を爆発させる瞬間を想像するだけでヨダレが…。あぁ,ちーたん…。

 管理人の結論。『ギルティ・プレジャー批評
 …というか上原ひろみ山中千尋批評

 ミディアム・テンポ好きとしては上原ひろみではなく山中千尋こそが「日本の宝」なのだと思います!

PS1 『ギルティ・プレジャー』の成功の秘密は五十貝一氏の『EAST BROADWAY RUN DOWN』好きの影響があるのかも?
PS2 『ギルティ・プレジャー』の特典DVDに異議あり。なんでちーたんの顔出しNGなの? 横顔だけとか斜め45度では映像作品としてつまらない!

  DISC 1 CD
  01. CLUE
  02. GUILTY PLEASURE
  03. CAUGHT IN THE RAIN
  04. LIFE GOES ON
  05. THE NEARNESS OF YOU
  06. AT DAWN
  07. HEDGE HOP
  08. MOMENT OF INERTIA
  09. GUILTY PLEASURE REPRISE
  10. MEETING YOU THERE
  11. THANK YOU BABY

  DISC 2 DVD
  01. CAUGHT IN THE RAIN
  02. CLUE
  03. THE NEARNESS OF YOU
  04. AT DAWN
  05. RED DRAGONFLY

(ブルーノート/BLUE NOTE 2016年発売/UCCQ-9027)
★【初回限定盤】 SHM−CD+DVD

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デヴィッド・サンボーン / ベスト・オブ・サンボーン4

THE BEST OF DAVID SANBORN-1 サックス界のスーパー・スターとしては遅すぎる,デヴィッド・サンボーン初のベスト・アルバムが『THE BEST OF DAVID SANBORN』(以下『ベスト・オブ・サンボーン』)。

 「ベスト・アルバムは『無用の長物』。なぜならお気に入りのジャズメンのアルバムはオリジナルを全部集める主義」の管理人が『ベスト・オブ・サンボーン』を買ったのは,当時入手困難であった『夢魔』からの楽曲目的。
 『夢魔』の中から2曲選ばれた【夢魔へ】と【イッツ・ユー】は,以前から楽曲は聴いていたのだが,手元に未所有だったもので,ついつい禁断のベスト・アルバムに…。

 それにしても,なぜこのタイミングで『ベスト・オブ・サンボーン』。ワールド企画なのだが,個人的には日本市場向けのベスト・アルバムに思えて悔しかったかった。
 なぜなら『ベスト・オブ・サンボーン』のリリースが,缶コーヒー「GEORGIA」のTVCMで【ジョージア・オン・マイ・マインド】を吹くデヴィッド・サンボーンが大々的に放映されたジャストのタイミング。「便乗商法」を感じたものだから…。


THE BEST OF DAVID SANBORN-2 そしてこの選曲にも“売れ線”の色眼鏡を感じてしまいまして…。POP寄りでスムーズ系でバラード系が多く選曲された全16曲。
 微糖である。だから「GEORGIA」なのだろう。だから「TASTY」なのだろう。

 『ベスト・オブ・サンボーン』を聴きたくなくて『夢魔』のCDを後日購入させていただきました。

  01. Chicago Song
  02. The Dream
  03. Let's Just Say Goodbye
  04. Slam
  05. Lesley Ann
  06. Carly's Song
  07. Anything You Want
  08. A Tear For Crystal
  09. Over And Over
  10. It's You
  11. Hideaway
  12. Rain On Christmas
  13. Hideaway
  14. Lisa
  15. Neither One Of Us
  16. Lotus Blossom

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1994年発売/WPCR-131)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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お洒落なジャズトリオ & 海道美智恵 / ミッドナイト・ステージ4

MIDNIGHT STAGE-1 2002年11月に熊本県のとあるお店へ,山本英次ソロ・ピアノライブを数人の友人と数時間,車を飛ばして見に行った。
 自由席だったので管理人は山本英次ピアノの真横の座席を陣取った。
 そう。あの日のライブは音響など度外視して“ジャズ・ピアニスト山本英次のスーパー・テクニックを堪能するのが目的であった。

 1m以内の至近距離で観察する山本英次ピアノ・タッチは骨太であった。鍵盤をしっかりと押さえつけていた。ライブの後に山本英次と直接話する機会があったが「ピアノを鳴らしきることが大事」云々と語っていたのが,今でも記憶に残っている。

 …と山本英次の「超高音質」の秘密をのぞき見するために出掛けたソロ・ピアノライブだったのだが,途中からそんなことはどうでもよくなっていた。山本英次は“ジャズ・ピアニスト”だったのだ。

 記憶が定かではないのだが,多分,あれは何曲かをつなげたメドレーではなく,1曲の中の数小節を○○風に演奏するコーナーがあった。ジャズとかラテンとか,ノリをくるくる変えて演奏されていた。ジャズの楽しさを改めて体感して帰ってきた。

 その後の数日間は,山本英次ジャズ・アレンジが頭でくるくる〜。
 所有している『LULLABY OF PIANO MAN』『COFFEE BREAK WITH PIANO MAN』『TO FAZIOLI』のソロ・ピアノ3枚を聴き返してみたが,なんだか違う…。

 「お洒落なジャズトリオ」の『OJT IN KOBE』を聴く。ライブ盤だけあって,頭の中のモヤモヤが取れていく。うんうん。こんな感じのピアノだった。でも,ほんのちょっと違うかな。でも,もう『OJT IN KOBE』でいいや…。
 自分の中では終わった話だった。納得済の話だった。『MIDNIGHT STAGE』(以下『ミッドナイト・ステージ』)を聴くまでは…。

 『ミッドナイト・ステージ』と出会ったのは,管理人のオーディオ仲間でジャズ仲間のT君のお宅でのこと。実はT君。管理人の影響でオーディオにハマリ,ジャズにハマリ,山本英次に大ハマリ。今ではYPMCDコレクターと化している。最近はクラシックに傾倒しているようで,もはや管理人の手に届かない領域のマニアに到達している。

 そんな彼の100万円のオーディオ・システムで聴かされた『ミッドナイト・ステージ』の臨場感に,忘れていたはずの山本英次ソロ・ピアノライブを思い浮かべてしまった。胸を掻きむしられてしまった。
 今度は管理人が自宅に戻って『ミッドナイト・ステージ』をポチリ。

MIDNIGHT STAGE-2 『ミッドナイト・ステージ』の実にリアルな山本英次ピアノ吉田啓二ギター田野重松ベースの音色。この「超高音質」がなぜ無冠なの?
 そして海道美智恵ヴォーカルの生々しさ。肉声の再生能力が素晴らしい。T君のアコースティックで調整されたオーディオ・システムにKOされてしまったのだろう。

 ライブの感動を何度でも味わわせてくれるのが“オーディオの醍醐味”。『OJT IN KOBE』→『ミッドナイト・ステージ』で,山本英次ピアノを真横で聴いた『山本英次 IN 熊本』の感動が甦る。

 あっ,そう言えば『山本英次 IN 熊本』は山本英次ソロ・ピアノライブのはずだったのに,ゲストとして山本英次の息子=山本太郎クラリネットで出演していたよなぁ。
 海道美智恵ヴォーカル山本太郎クラリネットが被ってしまうのはそのせいなのかもしれないなぁ。

  01. 平成月見の舞
  02. サバ・ボサ
  03. シャイニー・ストッキング
  04. マガリバリ
  05. アズ・ロング・アイ・リブ
  06. 星に願いを
  07. バードランドの子守歌
  08. チェンジ・リズム
  09. プランツォ
  10. ミッドナイト・ステージ

(YPM/YPM 2001年発売/YPM-011)

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SALT IISALT II
塩谷哲

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Saya

地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
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