アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

ジャズ

TRIX / FANTASTIC4

FANTASTIC-1 TRIXの6th『FANTASTIC』のCD帯にこう書かれていた。
 『メンバー・チェンジ!?レーベル移籍!?一切無し!!! 第2期トリックスが描く,ポップ・フュージョンファンタスティックな未来!シツコイくらいに超キャッチーな6thアルバム!!』。

 『FANTASTIC』を聴き終えた。確かに「第2期トリックス」始動であった。
 TRIXは『FANTASTIC』で,一介のフュージョン・バンドとして超えてはならない一線をついに超えてしまったように思う。

 そう。「第1期トリックス」は「スーパー・ポップ・ハイパー・テクニカル“フュージョン”バンド」であったが「第2期トリックス」では「フュージョン“コミック”バンド」へと変貌を遂げてしまっている。

 『FANTASTIC』にはいい曲がいっぱいある。【SKIP AWAY】〜【SUPER LATINO】〜【VOLARE VIA】の3連投こそが,管理人が愛する「スーパー・ポップ・ハイパー・テクニカル・フュージョン・バンド」のTRIXである。

 でも『FANTASTIC』の“目玉”はどう譲歩しても【BOS(T)ON!】であろう。だから『FANTASTIC』の評価は舵盤方面へと転げ落ちてしまう。
 管理人のリアルTRIXは『FANTASTIC』だったのだが,その『FANTASTIC』はほとんど聴かずに(幸か不幸か)まだ聴き込みが足りなかった旧作で盛り上がっていた当時の記憶が今でも『FANTASTIC』に正当な評価を下す行為を邪魔してしまう。

 管理人はTRIXLIVEには未参戦ゆえ,はちゃめちゃな内容は噂でしか知らない。もしその噂が本当であるなら【BOS(T)ON!】は大盛り上がりのキラー・チューンになるのだろう。

 しかし『FANTASTIC』はLIVEではなくCDである。管理人はカッチョイイTRIXCDを買ったのであって,某スネークマンショーのCDを買ったのではない。

 熊ちゃん。おふざけはステージだけでやるのがフュージョン・バンドの礼儀なのではありませんか?

FANTASTIC-2 お〜っと,辛口すぎるのが管理人のいい面であり悪い面。最後にフォロー&フォロー。

 演芸におけるコミック・バンドは演奏が下手ではできないと思う。「第2期トリックス」は演奏がしっかりしているから成立する笑いである。
 「第2期トリックス」=「超絶フュージョン・エンタテインメント・バンド」の笑いはモノマネやパロディなどではなく,キメるところはキメまくる,あくまでも「フュージョン“バラエティ”バンド」なのである。

  01. 4.2.5.1.
  02. Skip Away
  03. Super Latino
  04. volare via
  05. S
  06. White Fairy
  07. Circulars
  08. Bos(t)on!
  09. Adoration

(キングレコード/KING RECORD 2009年発売/KICJ-563)

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エロール・ガーナー / コンサート・バイ・ザ・シー5

CONCERT BY THE SEA-1 同じ大衆芸能方面の“ジャズ・ピアニスト”であるが,オスカー・ピーターソンが「エンタメ系」であるならば,エロール・ガーナーは「演芸系」である。

 というのも,いつでもどこでもエンターテイナーしてしまうオスカー・ピーターソンに対して,エロール・ガーナーは劇場に立ってからが凄い! 最初の一音から最後の一音まで,観客を楽しませるためならどんなに過剰なサービスだってどんとこいの大盛り上がり大会! ノッタ時のエロール・ガーナーには手が付けられない!

 そんなエロール・ガーナーの,そしてジャズ・ピアノの歴史に残る決定的な名盤が『CONCERT BY THE SEA』(以下『コンサート・バイ・ザ・シー』)である。

 とにもかくにも『コンサート・バイ・ザ・シー』を聴いていると,その日の嫌なことは一遍に消えてしまう。いつの間にか「A HAPPY DAY!」(by UES)気分に浸ってしまう。「憂鬱を吹き飛ばす万能薬」な1枚だと思う。

 『コンサート・バイ・ザ・シー』の隙の無さは,エロール・ガーナーの名手ぶりを物語っている。エロール・ガーナーは“ピアノを歌わせる”名手である。
 退屈することなど一瞬もない。耳が釘付けとはこのことだ。本当にいい演奏を聴いた,という満足感が幸福感につながっていく…。

 音源が古いし,陰りもない。ピアノ以外に聴こえるのは聴衆の反応だけであって,ほぼベースドラムは聴こえない。エロール・ガーナーの代表曲【MISTY】も入っていない。
 これらが解決されていれば超名盤の仲間入りも出来たであろうに…。

CONCERT BY THE SEA-2 でもそんなの関係ない。『コンサート・バイ・ザ・シー』を聴いている間,脳裏に浮かぶはエロール・ガーナーの楽し気な顔と観客の満足げな顔だけである。
 マイナス要因など1つもない。『コンサート・バイ・ザ・シー』には,ジャズを聴く楽しみの全てが詰まっていると思う。

 観客全員をあっと言う間に「ワン・アンド・オンリー」の世界へと引きずり込む“芸達者”エロール・ガーナーの真骨頂! もはや「お手上げ」状態である。
 『コンサート・バイ・ザ・シー』の東映映画のロゴが似合いそうな荒波と岩場のアルバム・ジャケット。浮かれた女性が両手を広げて「お手上げ」ポージングは音楽の内容を表現しているのです!

  01. I'LL REMEMBER APRIL
  02. TEACH ME TONIGHT
  03. MAMBO CARMEL
  04. AUTUMN LEAVES
  05. IT'S ALL RIGHT WITH ME
  06. RED TOP
  07. APRIL IN PARIS
  08. THEY CAN'T TAKE THAT AWAY FROM ME
  09. HOW COULD YOU DO A THING LIKE THAT TO ME
  10. WHERE OR WHEN
  11. ERROLL'S THEME

(CBSソニー/CBS/SONY 1955年発売/32DP 660)
(ライナーノーツ/粟村政昭)

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TRIX / BESTRIX〜THE BEST OF TRIX5

BESTRIX〜THE BEST OF TRIX-1 長らく管理人のフュージョン人生はカシオペアスクェアの両雄,続いてDIMENSIONの3強体制。そこへ割り込んできたのがTRIXであった。( ← これは近年のお話。その昔はDIMENSIONTRIXの位置にはNANIWA松岡直也MALTAかW渡辺が3番手争いだった! )

 ただし初期TRIXは,元カシオペア熊谷徳明と元スクェア須藤満のバンドだけあって,DIMENSIONのようにカシオペアともスクェアとも違う,のではなくて,カシオペアスクェアのリニューアル兄弟バンド,と呼べるフュージョン・バンドだったと思う。

 だから興味が湧かなかったのかもしれないし,だからすんなり割り込んできたのかもしれないし,だから万年二番手でハマルのも遅くなったのかしれない。
 もたもたしていたせいで,管理人のTRIXデビューTRIXベスト盤『BESTRIX〜THE BEST OF TRIX』になってしまった。

 でもね。これって何という幸運! TRIXをたっぷりとまとめ聴きできる幸運! 遅れを取り戻そうと『BESTRIX〜THE BEST OF TRIX』を聴き狂った!
 ベスト盤なので,そりゃ全曲飛ばしているさ。一気に14曲聴けるのさ(【赤鼻のトナカイ】を除く)。

 でっ,1週回って?ラストの【BON VOYAGE】のキャッチーさだけが耳に残って頭から離れなくなった。美メロの13曲を【BON VOYAGE】1曲で覆い尽くす〜。
 カシオペアが【ASAYAKE】。スクェアが【TRUTH】。DIMENSIONが【JUNGLE DANCER】であるならば,TRIXなら【BON VOYAGE】なのかな?(いまだ未確認ですが)

BESTRIX〜THE BEST OF TRIX-2 最後に,TRIXのバンド編成はギターキーボードベースドラムの4ピースゆえ,同じ編成のカシオペアと比較される宿命にあると思うが,管理人が『BESTRIX〜THE BEST OF TRIX』を聴いていた時のカシオペアは活動休止中。個人的なマイブームとしてカシオペアよりもTRIXが「優勢」になっていたことを思い出す。

 もしかして野呂さん,カシオペア再始動のキーとしてキーボードオルガンに変えたのは,エレクトーン窪田宏の存在があったりして?
 個人的に野呂さんが語るTRIXについて聞いてみたいと思います。

  01. CORE
  02. Double Up
  03. Ramdash [BARSOOMM! ver.]
  04. An Index
  05. Malaga
  06. MA-TSU-TA-KE
  07. shadow puppet
  08. 毛根ファンク
  09. Passion
  10. FIRE
  11. Jungle Circuit
  12. puma
  13. サムライ
  14. Bon Voyage
  15. 赤鼻のトナカイ

(キングレコード/KING RECORD 2008年発売/KICJ-548)

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エロール・ガーナー / ミスティ5

ERROLL GARNER PLAYS MISTY-1 【MISTY】と来れば山本剛のことであって,エロール・ガーナーではない。

 これって単に山本剛が「ご贔屓」だからではない。感情的な思い入れではない。この思いはエロール・ガーナーのアルバム『ERROLL GARNER PLAYS MISTY』(以下『ミスティ』)の全10曲を聴いて,一層強くなった。
 【MISTY】の本家はエロール・ガーナーであるが,エロール・ガーナーは【MISTY】1曲だけの人ではないからだ。

 『ミスティ』を聴き終えた時の感想は,何度聴いても「あっ,もう終わった」である。それくらいに気持ち良くて,ずっと聴き続けていたくなる。いいや,漢字が違います。聞き続けていたくなる,が正解。
 ニュアンスとしてはジャズというよりも大衆音楽っぽい。事実【MISTY】は永遠のジャズスタンダードとして,ジャズヴォーカル・ナンバーとしてもヒットしている。ポピュラー音楽としても知られている。

 ここにエロール・ガーナーの本質があると思う。
 一般にエロール・ガーナーと来れば「ビハインド・ザ・ビート」が代名詞。「ビハインド・ザ・ビート」とは,左手のバッキングのタイミングを微妙に遅らせることで生まれるバック・ビートの独特なノリと右手を広げてオクターブで旋律を弾くことによってメロディ・ラインを強調した奏法のことである。
 もたもたした演奏という印象を持つ人もいるが「ビハインド・ザ・ビート」はエロール・ガーナーならではのスイング感とも受け取れる。

 実に“ジャズ・ピアニストエロール・ガーナーは興味深い。テクニシャンのピアニストでありエンターテイナーのピアニストである。
 しかし,だからと言って「ビハインド・ザ・ビート」でエロール・ガーナーを語るのは何か違うと思う。的外れだと思う。

MISTY】のこの世のものとも思えない美しさは格別である。ロマンスを音で表現すると【MISTY】が最適の選択と成り得る。しかし【MISTY】だけでエロール・ガーナーが語られるのも何か違うと思う。的外れだと思う。

ERROLL GARNER PLAYS MISTY-2 ズバリ,エロール・ガーナーについて絶対に語らなければならないのは,エロール・ガーナーピアノから溢れ出す“歌心”である。

 バラードでもスイングでもスタンダードでも,何を弾かせてもエロール・ガーナーピアノは一級品である。
 つまりは曲想を掴むのが得意であって,それを適度な塩梅で表現してくる。ツボを突いてくる。聞いていて気持ち良くなる。流れているだけで気分が良くなる。

 感動モノの【MISTY】を聴きたいのなら山本剛を聴けばよい。エロール・ガーナーの『ミスティ』は【MISTY】1曲だけではなく全曲平等に聴いてほしい。
 エロール・ガーナーは曲単位ではなくアルバム単位で評価されるべき“ジャズ・ピアニスト”なのである。

  01. MISTY
  02. EXACTLY LIKE YOU
  03. YOU ARE MY SUNSHINE
  04. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE
  05. FRANTENALITY
  06. AGAIN
  07. WHERE OR WHEN
  08. LOVE IN BLOOM
  09. THROUGH A LONG SLEEPLESS NIGHT
  10. THAT OLD FEELING

(マーキュリー/MERCURRY 1954年発売/UCCU-5039)
(ライナーノーツ/成田正,藤本史昭)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 2003年度(第37回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は2002年度(第36回)の発表です。

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アップ・フォー・イット〜ライヴ・イン・フランス★【金賞】.アップ・フォー・イット〜ライヴ・イン・フランスキース・ジャレット・トリオ


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With All My Heart★【銀賞】.ウイズ・オール・マイ・ハート
ハービー・メイソン・トリオズ


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ジャスト・ユー,ジャスト・ミー★【銀賞】.ジャスト・ユー,ジャスト・ミー
ハリー・アレン


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New York Style★【日本ジャズ賞】.ニューヨーク・スタイル
アキコ・グレース


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リトル・ムーンライト(CCCD)★【ボーカル賞(海外)】.リトル・ムーンライト
ダイアン・リーブス


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ムード・スウィングス★【ボーカル賞(国内)】.ムード・スウィングス
akiko


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スイング・ジャーナル誌選定”SJ名盤蒐集クラブ” コンプリート・アット・ザ・プレリュード★【編集企画賞】.コンプリート・アット・ザ・プレリュードレッド・ガーランド


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懐かしのストックホルム〜スイングジャーナル・リーダーズ・リクエスト★【製作企画賞】.懐かしのストックホルム〜スイングジャーナル・リーダーズ・リクエスト/あなたは恋を知らない/マイ・フーリッシュ・ハートエディ・ヒギンズ

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ケン・バーンズJAZZ★【最優秀ジャズ・ビデオ賞】.ケン・バーンズJAZZ
 Jazz Filmed By Ken


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あなたは恋を知らない★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.あなたは恋を知らないエディ・ヒギンズ


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サックス・ストーム★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.アルファ・ジャズ・マスターピース


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SAY IT★【ニュー・スター賞(海外)】.マンハッタン・ドリームス/セイ・イットドミニク・ファリナッチ


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MOKO-MOKO★【ニュー・スター賞(国内)】.TAKASHI/MOKO-MOKO松永貴志


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 キース・ジャレットトリオの『アップ・フォー・イット〜ライヴ・イン・フランス』が【金賞】受賞。。

 キース・ジャレットのファンにとって『アップ・フォー・イット〜ライヴ・イン・フランス』は特別な位置にあるアルバムだと思う。
 それは当然のこととしてキース・ジャレットトリオの演奏内容が別格の絶好調というのが全てなのだが,それだけではなく『アップ・フォー・イット〜ライヴ・イン・フランス』が“神格化”したのは,その後のトリオのリリース順が大いに影響している。

 長らく,キース・ジャレットトリオの最新アルバムは『アップ・フォー・イット〜ライヴ・イン・フランス』であったという事実。
 2002年録音の『アップ・フォー・イット〜ライヴ・イン・フランス』の次に発売されたのは,2001年録音の『ジ・アウト・オブ・タウナーズ』〜2001年録音の『マイ・フーリッシュ・ハート』〜2001年録音の『イエスタデイズ:東京2001』。

 そう。すなわち『アップ・フォー・イット〜ライヴ・イン・フランス』が2003年から2013年の『サムホエア』発売までの10年間の最新公式録音盤だったという事実。

 確かに“天才”キース・ジャレットをしても『アップ・フォー・イット〜ライヴ・イン・フランス』をそう簡単に超えることはできなかった。
 キース・ジャレットが10年間超えることのできなかった名演が『アップ・フォー・イット〜ライヴ・イン・フランス』の名盤を証ししている。

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TRIX / STYLE5

STYLE-1 TRIXの“最高傑作”が『STYLE』である。間違いない。

 その理由とはこれほどまでにバラエティに富んだ楽曲群を1枚のアルバムにまとめつつも,そのどれもがTRIX“らしさ”を感じさせる。大方の場合,アルバムのコンセプトが明確ではない場合,曲単位で評価されるわけで好きな曲しか聴かなくなる。
 しか〜し『STYLE』の場合は「好きな曲ばかりの大集結」ゆえに,何度聴き返しても飽きなど来ない。実際はその逆であり,聴き込めば聴き込むほどに好きになる。

 フュージョンであり,ロックであり,ポップスでもあるTRIXの名曲群。この面影こそが“摩天楼期”のDIMENSIONとイメージが被る。
 そして勿論,完成度の高いカシオペアがありスクェアもある。おまけに『STYLE』ではYMOまでぶっ込んできた。いや〜,新スルメ盤の誕生である。

 TRIXの“最高傑作”であり,TRIX一番の“愛聴盤”なのだから『STYLE』について語りたいことは山ほどある。
 でも全てを承知の上で『STYLE』とは【CECILIA】1曲の魅力に尽きる,と断言しよう。

 1曲目のテクノ・ナンバー【敦煌】がカッコイイ。2曲目の“超絶技巧”「ブッ飛び宇宙まで飛んで行く」系の【COMPLEX】がカッコイイ。3曲目のおバカ系【クワガッタン】がもはやキラー・チューン的にカッコイイ。4曲目の【LOOKING UP】へのオマージュ【PHOENIX】の中盤の展開力がカッコイイ。

 6曲目の【SHADOW PUPPET】のサビがたまらなくカッコイイ。7曲目の【狂騒曲「騎士」】はクラシカル系ではなく洋楽系なのがカッコイイ。8曲目のハード・ロック・ナンバー【PERFECT GAME】の猟奇的で凶暴的なユニゾンがカッコイイ。9曲目のお約束のルンルン系【JEUNESSE】が「いとしさと切なさ」が同居するマイナー調のノリノリでカッコイイ。

STYLE-2 そんな全8曲の名曲の中央に座すのが“涙ちょちょぎれる”大バラードの【CECILIA】である。管理人は【CECILIA】に何度泣かされたことだろう。
 悲しくなどない。むしろ元気ハツラツだと言うのに【CECILIA】が流れ出した瞬間に,情緒不安定のような体験を人生で初めて経験した。

 “JET”のギターが徐々に盛り上がってくるにつれ,管理人のハートも引っ張られていく,完全に曲の世界へとトリップしてしまう。
 【CECILIA】だけは“JET”の気持ちになりきれてしまう自信がある管理人は,仮想「平井武士・エアギター選手権」で【CECILIA】を演奏すれば絶対に優勝できる自信があります!?

PS1 『STYLE』で惜しむべき点が1つある。【JEUNESSE】のアッサリしたあの味気ない終わり方に,後少しの工夫があれば『STYLE』はTRIX史だけでなくJ−フュージョン史の「決定盤」として永遠に語り継がれたであろうに…。
PS2 北海道在住の「mususu」さん,改め「風の少年」さん,改め「クワガッタン」さん。お元気ですか? 地震は大丈夫でしたか? 写真とお仕事頑張っておられますか?

  01. 敦煌
  02. Complex
  03. クワガッタン
  04. Phoenix
  05. Cecilia
  06. shadow puppet
  07. 狂騒曲「騎士」
  08. Perfect Game
  09. jeunesse

(キングレコード/KING RECORD 2008年発売/KICJ-538)

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エリック・マリエンサル / オアシス5

OASIS-1 エリック・マリエンサルはなぜ熱狂的な人気がないのだろう。
 エリック・マリエンサルとは,なんてったってチック・コリアの「エレクトリック・バンド」のフロントマンであり,ラス・フリーマンの「リッピントンズ」のフロントマンなのである。
 どうにもこの2大フュージョン・バンドのフロントマンという輝かしい経歴からすると今の人気がどうにも物足りないのだ。

 『OASIS』(以下『オアシス』)を聴いて,そんな悶々とした思いが一層強くなった。
 『オアシス』が実に最高である。エリック・マリエンサルが実に最高なのである。もっともっと売れてほしい。もっともっと売れるべきだ。売れて当然の最高のアルトサックスだと思った。
 そう。エリック・マリエンサルこそが,フュージョン・サックス界のスターである。管理人は大声でそう叫びたい。

 『オアシス』が大名盤へと昇華した理由は,やっぱり豪華なゲスト陣による鉄壁のサウンドの上を走る“超絶”フュージョン・サックスの高速ブロウにある。
 ラッセル・フェランテジミー・ハスリップジョン・ロビンソンロベン・フォードによる「イエロージャケッツ」があれば,ジョン・パティトゥッチとの「エレクトリック・バンド」もある。
 ジェフ・ローバーアレックス・アクーニャの超大物がバックを固めてもいる。

 この完璧なるフュージョンのバック・サウンドを得てエリック・マリエンサルが爆走する。キメキメもあれば大甘もある。
 全てはエリック・マリエンサルアルトサックスの“鳴り”一つで曲の印象が変わっていく。こんな豪華なゲスト陣も全部まとめてエリック・マリエンサルの指一本,胸一つでどうにでも変わる雰囲気がある。

OASIS-2 管理人が『オアシス』を絶賛していたことを覚えていた友人から後日教えてもらったことだったが,何と!『オアシス』が「ビルボード」誌のジャズ・チャートで5位となり,それから「JAZZIZ MAGAZINE」誌の人気投票で「アルトサックス」部門の第1位になったとのこと。

 ただし1位は同数で3人が同率1位。残る2名はデヴィッド・サンボーンフィル・ウッズ。ついにエリック・マリエンサルフュージョン・サックスの第一人者とジャズ・サックスの第一人者と肩を並べた!

 なあんだ,みんなエリック・マリエンサルのことが好きなんだ。みんなエリック・マリエンサルのことを評価していたんだ。そりゃそうだよね〜。そうじゃなきゃおかしいよね〜。
 しか〜し,最近さっぱりエリック・マリエンサルの名前を聞かないよなぁ。こりゃあ,また『オアシス』を絶賛しまくるか〜。

  01. HUSTLIN'
  02. SEAFOOD TO GO
  03. OASIS
  04. UNDERSTANDING
  05. TRYIN' TO TELL YA
  06. BARCELONA
  07. BIG COUNTRY
  08. JUST TO SEE YOU AGAIN
  09. TURN OUT THE LIGHT
  10. ANOTHER SHORE

(GRP/GRP 1991年発売/MVCR-36)
(ライナーノーツ/内藤遊人)

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中洲ジャズ2018 / 日野皓正,日野賢二,石井彰,小沼ようすけ,武田真治,ROLLY,福岡城

 行ってきました! 中洲ジャズ2018! 9/15の『日野皓正,JINO(日野賢二),石井彰,小沼ようすけ,武田真治,ROLLY,福岡城』の4ステージ!

 いやいや,本当に今年は行けただけで十分だと思っていた。2014年の8月9月も相当に忙しかった記憶があるが2018年の酷暑から残暑も乗り越えることが出来ない,途中で潰れてしまいそうな綱渡りの毎日。実は当日も土曜日なのに朝から仕事。9月の休みはまだ一日だけである…。
 事実,今年は行けない宣言をして仕事に出掛けたのだが,最後の余力を使って中洲にはパンフレットだけでも買おうと妻と出掛けた。

 中洲に到着したのも19:30。パンフを買おうと通りに出たら「福岡城」のアルコベースの音に誘われて…。
 何だか一気に元気が出てきた〜。我ながら“生粋のジャズ・ファン”の血が騒ぐ〜。

 …ってわけで,通りをもう少し歩く力を得て,奥へ進むと「何と!小沼ようすけトリオ」へとバッタリ。実は管理人。忙しすぎて中洲ジャズ2018はノーチェック。小沼ようすけ最高〜!

 …ってわけで,更にもう1ステージを見る力を得た管理人&妻は,地獄の入場規制中の「日野皓正クインテット」の様子を探りに「KBC GREENステージ」へと突入〜。
 あれよあれよとステージ側まで近づけて「武田真治 guest ROLLY」終わりの入れ替えで,奇跡的に良席GET! いろいろあって管理人のお隣りまでが「座れ」コールで揉めていたが,おばちゃんパワーで管理人の列から立ち見が黙認。
 満員電車のような息苦しさから解放されたうえに視界良好。真横が座っているとこんなにも楽なものなんか〜。ヒノテルに集中できて超カッコイイ〜!

 日野皓正が世界一美しい音を出している。マイルス・デイビス・バンドの「和製フォーリー加藤一平が来ている。「日野皓正クインテット」を肉眼で見ることができたのはこの2人だけ。
 ステージの櫓に隠れて動きは見れなかったが,石井彰キーボードに悶絶したし,新ベーシスト杉本智和ベースソロヴィクター・ベイリーを感じたし,飛び入りのJINOよりも何よりも石若駿ドラミング! 連想したのは石若駿からの桑原あいなのでした〜。

 こんな感じです。本当は感想をちゃんとまとめてから書きたかったのですが,今晩は記事に費やせる時間が30分しかありません。今日も朝から昼から仕事のようなプライベートで帰宅してからも持ち帰りの内職仕事でしたので(泣)…。

 管理人の結論。中洲ジャズ2018批評

 中洲ジャズ2018は過去最高に超お得なジャズフェスティバル。もうこんな偶然に遭遇出来ないだろうなぁ。美味しかった!

 来年はちゃんとLIVEを見てLIVEレポートを書きますので。ごめんなさい。カモーン,中洲ジャズ2019

TRIX / FORCE4

FORCE-1 カシオペアスクェアのイメージから徐々に離れ出したTRIXDIMENSION“その2”を感じ始めたきっかけが『FORCE』である。

 なぜだろう。理由はきっと演奏に漲る“超絶技巧”である。遅まきながらTRIXに開眼した管理人にとって,長らくTRIXを聴くという行為は,熊谷徳明のPOPなインストを聴くという行為であり“JET”のギター・フュージョンを聴くという行為であったが『FORCE』以降は,TRIX=演奏力を聴くという行為に変わってきたように思う。

 ハードで複雑な変拍子なのにキメッキメッの演奏力は,熊谷徳明須藤満の“超絶技巧”あればこそ! 『FORCE』のリズム隊とはDIMENSIONのリズム隊なのか!? 凄い&凄い!

 TRIXDIMENSIONの“超絶技巧”を重ね合わせた別の理由は【PASSION】【PUMA】【DOUBLE UP】【JUSTICE】の神曲4トラック全てが高速テクニカル・ナンバーであること。
 高速テクニカル・ナンバーにあるまじき「余裕の雰囲気」が,練り上げられたアイディアと即席のサービス精神につながっている〜。

 ただし「ズンチャッチャー」の【LABYRINTH】と「パー,チ●コー」の【パチンカーZ】と「ドンドコドンドコからのヨッ!」がクセになる【MA−TSU−TA−KE】のお笑い系が「いつになくカッコ良い」と感じたのも事実でインパクト有り。

 【MA−TSU−TA−KE】って,これまで二枚目路線だった“貴公子”窪田宏の作曲なんだよなぁ。ああー,おおー。
 「窪田さん,お前もか〜!」でTRIXの「ハイパーテクニカルコミックフュージョンサービス団体」を強く意識した。

 演奏だけは“COOL”なDIMENSIONとは違って,TRIXは“COOL”な演奏から敢えて視線を逸らさせる「お笑い系」を前面に掲げている。“超絶”な演奏力を隠そうとしている。
 (ファンとしては余り語られる機会がないのが残念でたまらないのだが)TRIXの演奏力は,あのDIMENSIONが演奏しても四苦八苦の難曲多し。TRIXの演奏力とは,水面下では足バタバタの白鳥なのである。

FORCE-2 さて,TRIXファンからは人気の高い『FORCE』であるが,正直,個人的に『FORCE』を愛聴してはいない。

 決め手は泣きのバラードの不在と【ADIOS】の不発にあるのだが,それ以上に『MODE』『ART』のようなアルバムとしての「キャラ立ち」を感じないのが大きい。
 『FORCE』で感じた「バラバラの楽曲寄せ集め」のイメージが,自然と演奏力に目が向いてしまう仕掛けだったのかも? 管理人はアルバム・ジャケットのアートワーク同様に気付いてしまったんだもん!

 『FORCE』は“遊びすぎ”ですぞ,熊ちゃん&ストさん!

  01. Passion
  02. puma
  03. パチンカーZ
  04. Labyrinth
  05. Double Up
  06. Justice
  07. 夕暮れ
  08. MA-TSU-TA-KE
  09. adios

(キングレコード/KING RECORD 2007年発売/KICJ-519)

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エリック・クラズノ / レミニス4

REMINISCE-1 管理人の3ピース“アイドル”ファンク・バンドがソウライブソウライブは「完璧なトライアングル」バンドである。
 ドラムでリーダーのアラン・エヴァンスオルガンニール・エヴァンスエヴァンス兄弟2人だけではソウライブは成り立たない。

 エリック・クラズノーギターが“ガンガン鳴っての”ソウライブである。
 (エリック・クラズノーの1stソロREMINISCE』(以下『レミニス』)では突然の「エリック・クラズノ」表記ですが,管理人は馴染のエリック・クラズノー表記で行きます)。

 ギタリストエリック・クラズノーが弾くオルガン・トリオは,グラント・グリーンに代表されるソウルやファンク一辺倒とは異なる「メロディアス型」である。
 そう。ソウライブの3分の1をエリック・クラズノーが彩るゆえのジャム・バンドなのである。

 ソウライブのメンバーと共に制作された『レミニス』は,そんなエリック・クラズノーの幅広い音楽性がストレートに表現されたアルバムである。思うにアラン・エヴァンスニール・エヴァンスが「自分たちの勝手知ったる」エリック・クラズノーを世に紹介したかったのだろう。
 GROOVEよりもアンサンブルに軸足を置いたギターがメロディーをしっかりと歌い上げている。

 そんな“変芸自在の”ギター・ワークを聴いていると,エリック・クラズノーがあのバークリー音大出身だったことを想起させるに十分なテクニック。
 POPS有,ソウル有,ブルースの弾けるジャズ・ファンカーだからこそ作れた【GET BACK】は「SATURDAY MORNING EYE」のBGM!

REMINISCE-2 ただし,間口の広いエリック・クラズノーには,オールラウンダーなギター・ワークを突き進むのではなく,アラン・エヴァンスアラン・エヴァンストリオオルガン・ジャズを演ったように,エリック・クラズノーにもグラント・グリーンの流れをくむようなインストでオルガン系のジャズ・ファンクをやって欲しい!
 お願い! 大好きだから! エリック・クラズノー

  01. ROLL OUT
  02. 76
  03. GET BACK
  04. BE ALRIGHT
  05. ENHORABUENA
  06. TILT
  07. MANIC DEPRESSION
  08. SONG FOR DILLA
  09. UP AND OUT
  10. END OF THE MOVIE
  11. DOMINO

(ロイヤル・ファミリー/ROYAL FAMILY 2009年発売/PCD-93287)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/松永誠一郎)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 2002年度(第36回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は2002年度(第36回)の発表です。

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ディレクションズ・イン・ミュージック〜マイルス&コルトレーン・トリビュート★【金賞】.ディレクションズ・イン・ミュージック〜マイルス&コルトレーン・トリビュートハービー・ハンコック=マイケル・ブレッカー=ロイ・ハーグローブ

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SMOKE GETS IN YOUR EYES-1★【銀賞】.煙が目に染みる
エディ・ヒギンズ&スコット・ハミルトン


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KEIKO LEE SINGS SUPER STANDARDS★【日本ジャズ賞】.ケイコ・リー・シングス・スーパー・スタンダーズケイコ・リー


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アスク・ア・ウーマン・フー・ノウズ★【ボーカル賞(海外)】.アスク・ア・ウーマン・フー・ノウズナタリー・コール


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ソフトリー★【ボーカル賞(国内)】.ソフトリー
小林桂


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THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961-1★【編集企画賞】.コンプリート・ライブ・アット・ザ・ビレッジ・バンガードビル・エヴァンス


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マドンナの宝石★【製作企画賞】.悲しみのアンジー,マドンナの宝石
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ


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ライヴ・イン・パリ【一部日本語字幕付: BD】 [Blu-ray]★【最優秀ジャズ・ビデオ賞】.ライブ・イン・パリ
 ダイアナ・クラール


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アフロ・ブルー★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.アフロ・ブルー笹路正徳&LAオールスターズ


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ジャズ・ギター+1 (紙ジャケット仕様)★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.東芝EMI SUPER BIT JAZZ CLASICCS SERIES


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ヴォラーレ★【ニュー・スター賞(海外)】.ヴォラーレ
ステファノ・ボラーニ


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フロム・ニューヨーク★【ニュー・スター賞(国内)】.フロム・ニューヨーク
アキコ・グレース


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 2002年のジャズ・シーンは“ビル・エヴァンス一色”である。
 ビル・エヴァンスと言ってもマイルス・デイビスのバンドでプレイしていたサックスビル・エヴァンスの方ではない。
 死後,22年経過して,ますます存在感を増してきたピアニストビル・エヴァンスの方である。

 本来ならハービー・ハンコックマイケル・ブレッカーロイ・ハーグローブ,あるいはエディ・ヒギンズスコット・ハミルトン,またはステファノ・ボラーニとか笹路正徳とかにコメントすると思う。そうすべきだとも思う。

 しかし,管理人はその誰よりもビクターの制作チームに最大限の賞賛を送りたい! 日本独自規格の『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961』は,全世界のビル・エヴァンス・ファンにとっての「夢の贈り物」になったからだ。

 『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961』の音楽的な意義としては,初登場のテイク【グロリアス・ステップ】が1曲。これは突然の停電のため,録音が途中で途切れてしまいオクラ入りになっていた不完全テイクだが,ファンがその発表を熱望していた伝説的な演奏がついに日の目をみた意義は図りなく大きい。

 しかしそれ以上に『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961』発売の意義とは,当夜のしゃべりやアナウンス,メンバーとのやりとりまでを含め,そのままの状態で完全に再現した点にあると言ってよい。
 そう。生身のビル・エヴァンスに肉薄できるドキュメント性のこそ価値がある。

サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』と『ワルツ・フォー・デビイ』の2枚を所有していれば音楽的には十分であろう。
 しかし管理人は思う。『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961』は『サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』と『ワルツ・フォー・デビイ』の2枚を所有してるマニアにこそ聴いてほしい。

 『サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』と『ワルツ・フォー・デビイ』への思い入れが強ければ強いほど『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961』の感動が迫ってくる!

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TRIX / ART5

ART-1 『MODE』では(『BESTRIX〜THE BEST OF TRIX』を聴いた時にも)TRIXが元カシオペア熊谷徳明と元T−スクェア須藤満が組んだバンドだということを意識することはなかった。

 しかし『ART』を聴いて,初めてTRIXの中のある“カシオペアらしさ”や“スクェアっぽさ”に触れてしまった。
 …と同時にTRIXの中の“TRIXらしさ”や“TRIXっぽさ”も意識できた。『ART』はそんなアルバムだと思う。

 『ART』の名演によって,熊谷徳明から元カシオペアの冠が取れ,須藤満から元T−スクェアの冠が取れた。
 胸を張ってTRIX熊谷徳明,自信を持ってTRIX須藤満と紹介できるようになったと思う。← 後追いのお前が言うな?

 その理由が平井武士ギター・サウンド! “JET”の美メロこそがTRIXの個性!
 平井武士ギターが,時にカシオペアっぽくもあり,時にスクェアっぽくもあり,いいや,平井武士こそがCCEBの「日本のフランク・ギャンバレ」でもあり,管理人の大好きな“ロック・ギター鈴木賢司のようにも聞こえてしまう。
 平井武士のメラメラでキラキラな個性に萌え萌え〜。

 管理人は『ART』の時点で「TRIXとは平井武士ギターを聴くこと」になったと思う。
 だ・か・ら・TRIX平井武士ギター & 名コンポンザーの熊谷徳明 WITH 「ハイパーテクニカルコミックフュージョンサービス団体」の須藤満」というバンドである。 ← キーボード窪田宏の存在感を感じるのは『MODE』『ART』以降のことですが,窪田宏がいてのTRIXなのも間違いありません。

 『ART』のハイライトは“JET”が大活躍する【TRIP WONDERLAND】〜【WAITING FOR YOU】〜【LUNA PARK】の中盤3連弾!

 何回聴いても自然とCCEBをイメージしてしまう,異国情緒漂う【TRIP WONDERLAND】。キラキラとしたエレピに涙誘われる【WAITING FOR YOU】。軽めのキメが連発する【LUNA PARK】は文句なしにカッコイイ。この3連弾に恍惚〜。

ART-2 ただし『ART』のクライマックスは【SEE YOU】に違いない。TRIXのパターンとして,他のバンドだったら恐らくアルバムの顔である1曲目にもってくるに違いない「耳に残るスーパー・キャッチー&メロウ・ナンバー」がアルバムのラストを飾るパターン。
 『ART』の【SEE YOU】も相当耳に残り相当頭に残る。なんだかTRIXのアルバムってラスト・ナンバー1曲に総括される感じ? 

 【BON VOYAGE】がいいから『MODE』がいい! 【SEE YOU】がいいから『ART』がいい!

  01. Jungle Circuit
  02. Turkey
  03. 毛根ファンク
  04. Trip Wonderland
  05. Waiting for you
  06. luna park
  07. Redress
  08. Jumping Flash
  09. See you
  10. 「くりくり祭り!!」のテーマ

(キングレコード/KING RECORD 2006年発売/KICJ-506)

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エリック・ゲイル / フォアキャスト5

FORECAST-1 「スタッフ」の2枚看板であるエリック・ゲイルコーネル・デュプリーのツイン・ギター。 
 そんなエリック・ゲイルコーネル・デュプリーが「スタッフ」結成前の同時期にソロ・アルバムを発表していた。
 管理人が最初に聴いたのはコーネル・デュプリーの方だった。

 コーネル・デュプリーの『TEASIN’』を聴いてアレレ? 詳しくは『TEASIN’批評を読んでいただくとして「まっ,コーネル・デュプリーは,所詮サイド・ギターだから」という理由で納得したものだから,続くエリック・ゲイルの『FORECAST』(以下『フォアキャスト』)へのハードルが上がったように思う。

 そんな期待値の高まった『フォアキャスト』であったが,手放しで素直に素晴らしい。とにかく優しい音で聴きやすい。それでいてエリック・ゲイルの個性は薄まっていない。要は“見せ方の問題”なのであろう。

 『フォアキャスト』のプロデューサーは“CTIの総裁”クリード・テイラー。そしてディレクター&アレンジャーはボブ・ジェームス
 この2人が降り掛けたブラス・アンサンブルの“音のマジック”が実にチャーミング! 超一流の豪華ゲスト陣が実にチャーミング!

 『フォアキャスト』は,演奏云々と言うよりも曲の良さに素直に引き込まれてしまうが,そこはエリック・ゲイルである。ファンキーでメロウ,ブルージーで“むせび泣く”ように音が伸びる「泣きのギター」が冴えまくっている。

 そう。『フォアキャスト』は,エリック・ゲイルの「泣きのギター」とクリード・テイラーボブ・ジェームスの「ポップでソフト&メロウな“R&B”フュージョン」の両方が楽しめる!

FORECAST-2 『フォアキャスト』を聴いて「スタッフ」って,自分たちが楽しめる音楽を演奏するバンドだったことが理解できた。
 サイドメンとして無数のセッション・ワークを彩ってきたエリック・ゲイルのストレス発散が「スタッフ」のメンバーとの演奏にあった。

 「スタッフ」結成前のエリック・ゲイルでは『フォアキャスト』が一番楽しんでいる!

  01. Killing Me Softly With His Song
  02. Cleopatra
  03. Dindi
  04. White Moth
  05. Tonsue Corte
  06. Forecast

(CTI/KUDU 1973年発売/KICJ-2216)
(ライナーノーツ/ロバート・レヴィン,青木和富)

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TRIX / MODE5

MODE-1 TRIXって? 映画のMATRIX? 仲間由紀恵のTRICK? TRIXって知らないなぁ。
 元カシオペア熊谷徳明と元T−スクェア須藤満が組んだバンドがTRIXなのかぁ。ベースドラムがメインを張るJIMSAKUみたいな感じなのかなぁ。

 と言うことで気になってはいたのだがTRIXの1st『INDEX』は様子見でスルー。と言うか管理人のTRIX・デビューは『BESTRIX〜THE BEST OF TRIX』なので約4年間も様子見〜。

 でもその分,遡って聴いた『MODE』『ART』『FORCE』『STYLE』は一気に繰り返して聴いた。TRIXに大ハマリ。それこそ狂ったように毎日聴いた。→ 逆に,もう最初から本音を書くと新作がリリースされる度に薄くなってしまったオレって?

 そんな上記「後追い4部作」の中でも『MODE』が一番好き! なんてったって名曲の宝庫! TRIXって曲がいい。すなわち熊谷徳明ってJ−フュージョンを代表する指折りの名コンポンザーなのである。

 スクェア・ナンバーっぽい(中盤がもろ【TRUTH】っぽい)展開のロック・チューン【FIRE】。涙ちょちょぎれるバラードの【小樽】。スーパー・キャッチー・ナンバーの【BON VOYAGE】のスーパー神曲が3曲。

 でも管理人が本当に『MODE』を愛している理由は,カッコイイ・キメキメ・ミディアム【ROSSO LIQUIDO】〜CCEB調のハイパー・フュージョンMALAGA】〜ギンギンのヘビィ・メタル調の【ROAD STAR】と続く,終盤戦の「これでもか!っ」というくらいのギター・フュージョン祭り!

 名コンポンザー=熊谷徳明がテクニカルなドラミングで引っ張るのがTRIXだが,TRIXの聴き所はギター・フュージョン祭り!
 熊谷徳明須藤満のリズム隊は強力だが,TRIXには,ギターの“JET平井武士キーボードの“貴公子”窪田宏がいる!

MODE-2 そう。フュージョンの王道を走ってきた熊谷徳明須藤満が生み出すGROOVEと,フュージョンの王道から外れてきた平井武士窪田宏が生み出すメロウが融合して,TRIXの「歌うギター・フュージョン」が誕生したのだった。

 多くのTRIXファンはTRIXのコミカルなお笑いナンバーが好きなようだが,そういうファンはジャズは聴かないフュージョンの専業ファンなのだろう。管理人は【くりくり】はダメッ。
 ただし【ゴクロウサン】のようなボコーダー仕様の歌ものは「歌うギター・フュージョン」の範疇として支持できる。【ゴクロウサン】の美メロはインストとしても十分に名曲である。

 TRIXを聴いていると,いい意味で日本人らしい歌心が聴こえてくる。いつ聴いてもワビサビを押さえたギター・フュージョンに熱狂してしまう。

  01. くりくり
  02. ゴクロウサン
  03. FIRE
  04. Grass Island
  05. 小樽
  06. Punch Line
  07. rosso liquido
  08. Malaga
  09. Road Star
  10. Bon Voyage

(キングレコード/KING RECORD 2005年発売/KICJ-486)

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エリック・ドルフィー&ハービー・ハンコック / 伝説のイリノイ・コンサート4

THE ILLINOIS CONCERT-1 『THE ILLINIOIS CONCERT』(以下『伝説のイリノイ・コンサート』)は,あの“発掘王”マイケル・カスクーナが掘り当てた,あのエリック・ドルフィーとあのハービー・ハンコックとの『伝説のコンサート』音源である。

 録音当時の最重要人物=エリック・ドルフィーと新世代の重要人物=ハービー・ハンコックとの「幻の共演ライブ盤」ゆえ,発売前から情報が洩れては,その演奏内容が評判になったものだ。
 何故それほど評判になったのかは,冒頭の20分を超える【朝日のようにさわやかに】を聴けば納得&理解できる。

 【朝日のようにさわやかに】は,エリック・ドルフィーバスクラリネットに内臓をひっくり返されて,ハービー・ハンコックの端正なピアノで我に返る。あたかもジェットコースターに乗せられているような演奏である。
 エリック・ドルフィーの情念とハービー・ハンコックの理性の対比が名演を生んでいる。

 エリック・ドルフィーハービー・ハンコックの【朝日のようにさわやかに】には,あの美しいテーマは出て来ない。
 ハービー・ハンコックのきめ細かく繰り返されるバッキングに乗って,いつもよりフレーズとフレーズの間を大きめに空け,思索的なプレイを繰り広げている。

 エリック・ドルフィーが繰り出す短いフレージングは,その瞬間&瞬間においては素っ頓狂に聴こえるかもしれない。しかし,これらの集積が時間の経過とともに少しずつ意味をなしてゆくのだ。
 将棋で語れば,何十手も前に打った歩兵が,突然効いてくるかのように,エリック・ドルフィーは長尺演奏のフォーマットを最大限に活かし,未来への布石を一手,一手着実に打ち込むかのようなアドリブを積み重ねている。素晴らしい。

 そうして迎えたクライマックスが,エリック・ドルフィー渾身の“馬のいななき”と称されるバスクラリネットのカデンツァである。こんなにもスリルを覚える演奏にはそう滅多にお耳にかかれない。
 ここにエリック・ドルフィーハービー・ハンコックの共演の意味と価値を聴いている。エリック・ドルフィーハービー・ハンコックが真剣に自ら主張する音でぶつかり合って調和している。

THE ILLINOIS CONCERT-2 以前にも書いたが,エリック・ドルフィーは傑出したソロイストであるし,セッションに参加すれば「道場破り」のような演奏をする。
 一方,エリック・ドルフィーは自分のリーダー・バンドの演奏では,バックには王道の演奏を楽しんでもらい,自分はそんなバンドとの不協和音を1人楽しんでいるように思える節がある。
 そして不協和音を残したまま,意思の疎通を図ったハーモニーを全員で追求していく。

 『伝説のイリノイ・コンサート』でのハービー・ハンコックとの掛け合いを聴いてその思いを強くする。
 ハービー・ハンコックが響かせるモードフリーが同居したようなピアノのバッキングが作ったスペースを利用し,エリック・ドルフィーが時に不協和音を響かせる。敢えての歪みが実にエリック・ドルフィーらしい。

  01. SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE
  02. SOMETHING SWEET, SOMETHING TENDER
  03. GOD BLESS THE CHILD
  04. SOUTH STREET EXIT
  05. IRON MAN
  06. RED PLANET
  07. G.W.

(ブルーノート/BLUE NOTE 1999年発売/TOCJ-66066)
(ライナーノーツ/ウラジミール・シモスコ,ロン・カーター,藤本史昭)

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伊東 たけし / ダブル・サークル4

DOUBLE CIRCLE-1 ドッペルギャンガーフィリップ・セスと組んできた伊東たけしが“日本のフィリップ・セスクリヤ・マコトと組んだ『DOUBLE CIRCLE』(以下『ダブル・サークル』)。

 フィリップ・セスも先進的でトンガッテいたが“鬼才”クリヤ・マコトの作る「クラブ系」のサウンド・メイキングは,もはや伊東たけしフュージョンサックスの音楽ではない。
 ラップやスクラッチ,打ち込みやコーラス隊,トドメに【太陽にほえろ!のテーマ】まである。従来の伊東たけしのイメージからすると,オーッ!とドン引いてしまうくらいの過去最大のインパクト有!

 ちょっと待った〜! そこの“T.K.”ファンの皆さん。ここまで読んで「聞かず嫌い」とは何とも勿体ない!
 ズバリ『ダブル・サークル』とは,相当に聴きやすい「ジャム系」の名盤である。

 ただし,あの時代には早すぎた。あと数年後=「メデスキ,マーチン&ウッド」や「ソウライヴ」の「ジャム・バンド」が来た後だったなら大ヒット間違いなしの「早過ぎた名盤」だと思う。

 というのも管理人も『ダブル・サークル』の発売当初は「喰わず嫌い」。アルバムを聴く前に【太陽にほえろ!のテーマ】のサントラ盤を耳にしたものだから余計に「喰わず嫌い」に…。
 今でもラップは嫌いだし「喰わず嫌い」の『ダブル・サークル』には名盤ではなく迷盤?の予感がプンプン漂っていた。

 しか〜し「メデスキ,マーチン&ウッド」や「ソウライヴ」を経由した管理人にとって『ダブル・サークル』は耳に優しかった。
 特に【BELIEVE MY HEART】〜【FINESSE】〜【HIGH TIME】〜【MAGNUM】の連続する「ソフトなクラブ系」の流れがゴチソウすぎる!

 クリヤ・マコトの溢れ出る才能はフィリップ・セスと遜色なし。時代を先取りした強めの感覚が伊東たけしの「渋めの」サックスに妙に似合っている。
 雄大に朗々とサックスを気分良さそうに吹き上げる“T.K.”が素直にカッコイイと思ってしまう。

DOUBLE CIRCLE-2 でも逆にサックスがビートに追われる感じの曲には付いて行けないままでいる。クリヤ・マコトの“天才”に管理人が追いつくまであと何年かかることだろう…。

 『ダブル・サークル』の「喰わず嫌い」は勿体ないと力説してきましたが,ごめんなさい。
 ここ数年の管理人は大好きだった【BELIEVE MY HEART】も聴かなくなって【FINESSE】〜【HIGH TIME】〜【MAGNUM】の3曲ばかりなのです。ごめんなさい。

  01. Dawn out
  02. Quiet frequency
  03. Deeper than gravity
  04. Believe my heart
  05. Finesse
  06. High time
  07. Magnum
  08. Never again
  09. Dawn out 〜refrain
  10. I wish
  11. 太陽にほえろ!のテーマ (Take1025)

(キティ/KITTY 1999年発売/KTCR-1498)

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ドナルド・ハリソン & テレンス・ブランチャード / エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル4

ERIC DOLPHY & BOOKER LITTLE REMEMBERED LIVE AT SWEET BASIL-1 『ERIC DOLPHY & BOOKER LITTLE REMEMBERD LIVE AT SWEET BASIL』(以下『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』)とは,エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボの現代版の再演ライブ集である。

 場所はスイート・ベイジルでのライブ。メンバーはアルトサックスバスクラリネットドナルド・ハリソントランペットテレンス・ブランチャードピアノマル・ウォルドロンベースリチャード・デイビスドラムエド・ブラックウェルである。

 そう。“本家”エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボのリズム・セクションそのまんまに,新進気鋭のドナルド・ハリソンエリック・ドルフィー役を,トランペットテレンス・ブランチャードブッカー・リトル役を務めたリメイク集なのである。

 『アット・ザ・ファイブ・スポット』シリーズの25年振りのリメイク・ライブなのだから,単なる完コピでも単なる焼き直しでもあろうはずがない。
 しかし,管理人は『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』の出来上がりには満足した。よくある有名映画のハイウッドのリメイク集のような「中身空っぽ」ではないからだ。

 『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』におけるドナルド・ハリソンテレンス・ブランチャードエリック・ドルフィーブッカー・リトルの「意思」を受け継ぎつつも,自分なりのアプローチで「聴かせる」演奏をしている。

 エリック・ドルフィーの独特の音圧,独特のスピード感,独特の高低差を用いながらも,ドナルド・ハリソンは25年後のエリック・ドルフィーを想定しながら内容のあるアドリブを吹いていく。
 ブッカー・リトルの感情に流されず,それでいて興奮を忘れない語法を用いながらも,テレンス・ブランチャードが25年後のブッカー・リトルを想定しながら内容のあるアドリブを吹いていく。
 あのエリック・ドルフィーの役回りとあのブッカー・リトルの役回りの大役を見事に務め上げている。

 ドナルド・ハリソンテレンス・ブランチャードがプレッシャーなど微塵も感じさせない快演を披露できたのにはわけがある。それこそがピアノマル・ウォルドロンベースリチャード・デイビスドラムエド・ブラックウェルのリズム隊の存在である。

 管理人はこれまでエリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボの音源は,エリック・ドルフィーアルトサックスバスクラリネットブッカー・リトルトランペットばかりを聴いていた自負があった。
 しかしそれは事実ではなかった。アルトサックストランペットを集中して聴いていた“つもり”であった。

ERIC DOLPHY & BOOKER LITTLE REMEMBERED LIVE AT SWEET BASIL-2 『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』を聴いて始めて『アット・ザ・ファイブ・スポット』シリーズは,このリズム隊の存在なくしては生まれなかった名演であったことが分かった。

 そう。『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』に感じる『アット・ザ・ファイブ・スポット』シリーズの雰囲気こそが,このリズム隊の雰囲気であった。

 どんなにエリック・ドルフィーの演奏が熱く革新的で,ブッカー・リトルの演奏が叙情性豊かで時代の半歩先を行ったものであろうとも,それを引き立てるマル・ウォルドロンの和音の反復を繰り返す重たいピアノリチャード・デイビスの攻撃的なベースエド・ブラックウェルのパーカッシヴで拡散的なドラムがあればこそ!

 『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』には,追憶と復活,確認と伝承,今日と明日について語っている。
 過去を振り返ると同時に未来を見つめてきた,マル・ウォルドロンリチャード・デイビスエド・ブラックウェルの25年間の音楽が詰まっている。

  01. THE PROPHET
  02. AGGRESSION
  03. BOOKER'S WALTZ

(パドルホイール/PADDLE WHEEL 1987年発売/K32Y 6145)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー)

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カシオペア・サード / A・KA・RI4

A・KA・RI-1 『A・SO・BO』『I・BU・KI』に続く三文字シリーズ三部作の完結編が『A・KA・RI』。

 先日の「CASIOPEA 3rd 2018 A・KA・RI LIVE TOUR」のMCで野呂一生が語っていたが,この三部作,1作目の『A・SO・BO』を作っている時は全然そんなこと考えていなかったらしいが『I・BU・KI』辺りから「これは行けるかな」になって,知らないうちに三部作となっていたという。メンバーの皆さんは「あっ,そうなんだ」みたいな感じだったそうだ。

 つまり三文字シリーズとは後付であった。ただし三部作の完結編『A・KA・RI』だけは『A・SO・BO』と『I・BU・KI』を意識して作られたということになる。ストーリーなき帳尻合わせは非常に大変な作業であったことだろう。

 しか〜し,そんな困難をいとも簡単にクリアしてしまうのが野呂一生の“天才”であり「カシオペア・サード」の“円熟”である。
 『A・KA・RI』から響く,ヴァリエーションに富んだ美しい楽曲,個々の卓越した演奏能力にバンドとしての絶妙なアンサンブルと表現力が“カシオペア印”のど真ん中。
 うんうん。『A・KA・RI』を聴けば『A・SO・BO』と『I・BU・KI』との共通項が“浮かび上がって”聴こえてくる。

 『A・KA・RI』のハイライトは「カシオペア・サード」初の試み=ラスト2曲の【LAST DANCE】と【FLOWER OF LIFE】にある。
 【LAST DANCE】は6/8拍子で遊んでいる。【FLOWER OF LIFE】はディスコで遊んでいる。
 そう。「リズムで遊ぶ」が『A・SO・BO』であり「初の試み」が『I・BU・KI』である。だから「リズムで遊ぶ」+「初の試み」=『A・KA・RI』が誕生したのだ。

 大高清美の【URBAN STARS】なんかは,もろカシオペアのDNAなのだが,大高清美以外には考えつかないカシオペアのニュー・スタンダード・ナンバーだと思う。このリフが頭の中でループして離れない。
 鳴瀬喜博の【Ui Uiz U Uiz Us】はPOPでウキウキなカシオペア版の「TRIX」である。

 ズバリ『A・KA・RI』最大の魅力は「カシオペア・サード」の持つ「バンド力」だと思う。
 カシオペアというバンドは野呂一生のバンドである。しかし同時にメンバー全員が主役として輝けるバンドでもあるのだ。

A・KA・RI-2 『A・KA・RI』で三文字シリーズ三部作の完結を迎えた「カシオペア・サード」。ここでブーイング承知でカシオペアの次なるステージをリクエストする。
 それは『TA・MA・TE・BOX』の続編である。

 正直『A・SO・BO』『I・BU・KI』『A・KA・RI』の「カシオペア・サード」に『TA・MA・TE・BOX』を聴いた時のあの興奮を感じない。

 これって管理人だけなのかもしれない。新作を聴く度にバンド・アンサンブルもテクニックも向上していることは認めるのにやぶさかでない。でも管理人がカシオペアに求めているのは安定・安心ではないドキドキ・ワクワクなのだ。
 もはや『TA・MA・TE・BOX』を越えてくることなんて「ないものねだり」なのだろうか? 『A・KA・RI』がいいアルバムであるだけに余計に『TA・MA・TE・BOX』の新鮮味が恋しくなってしまいました。

PS 『A・KA・RI』は「LIVEが先でCDが後」になったカシオペアの初パターン。だからリスニングルームで聴く『A・KA・RI』は,第一印象よりも大人しく聴こえてしまいます。だから『A・KA・RI』に新鮮味を感じるのが【URBAN STARS】【Ui Uiz U Uiz Us】【LAST DANCE】【FLOWER OF LIFE】の4曲だけなの? オープナーの【TSU・BA・SA】が良い曲だったら良かったのになぁ。

  01. TSU・BA・SA
  02. MISSIONS
  03. I'LL BE RIGHT THERE
  04. URBAN STARS
  05. LIGHTS IN THE HEART
  06. Ui Uiz U Uiz Us
  07. GROUND FEELINGS
  08. MAGIC TOUCH
  09. ETHNIC STREET
  10. LAST DANCE
  11. FLOWER OF LIFE

(ハッツ・アンリミテッド/HATS UNLIMITED 2018年発売/HUCD-10263)
(☆BLU−SPEC CD2仕様)

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エリック・ドルフィー / メモリアル・アルバム5

MEMORIAL ALBUM-1 『MEMORIAL ALBUM』(以下『メモリアル・アルバム』)が,なぜ『ERIC DOLPHY AT THE FIVE SPOT,VOL.3』のタイトルにならなかったのかはヤボなので説明しないが,正真正銘『アット・ザ・ファイブ・スポット』シリーズの第3弾として崇められるべき名盤である。

 エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボの爆発力は,長尺2曲の『メモリアル・アルバム』でこそ発揮される。
 エリック・ドルフィーブッカー・リトルのアブストラクトでアバンギャルドで自由度の高い“双頭ブロー”が最高に素晴らしい。

 とは言え,アルトサックスフルートバスクラリネットエリック・ドルフィートランペットブッカー・リトルピアノマル・ウォルドロンベースリチャード・デイビスドラムエド・ブラックウェルのレギュラー・カルテットはファイブ・スポットの時点では未だ未完成。

 『メモリアル・アルバム』というか『アット・ザ・ファイブ・スポット』シリーズは「海の物とも山の物ともつかない」「伸るか反るか」の一発勝負。
 エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボが,何かをつかもうと必死にもがく一途な気持ちが感じられるが,その一方で未完成ゆえのもろさ,誰かがちょっとバランスを崩しただけで全体が崩壊してしまいそうな危うさが同居している。

 ただし,エリック・ドルフィーブッカー・リトルも,好きなように演奏しているようで実はバップのフォーマットを意識している。
 ズバリ,エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボの爆発力は,バップ・フォーマットの枠内という“縛り”があったからである。

 例えば,クラシックの演奏家は皆同じ楽譜で演奏したとしても,同じ演奏のはならない。作曲家はソナタ形式という決まりごとの中でもどこまでも自由を膨らませられる。枠の大きさとその中でやれることの自由度とは比例しない。決まりごとがあると自由にはできないということではない。
 そう。エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボは,外部から全く新しいものを創造したのではなく,既存のフォーマットの内部に残された可能性を解放するコンボなのである。

MEMORIAL ALBUM-2 普段はエリック・ドルフィーブッカー・リトルばかりを追いかけている管理人であるが【ナンバー・エイト】の主役は,ピアノマル・ウォルドロンドラムエド・ブラックウェルである。だから『メモリアル・アルバム』!

 マル・ウォルドロンの打楽器としてのピアノの連打に先導されたエド・ブラックウェルドラム・ソロ
 曲中でフィーチャリングされる長尺のドラム・ソロだが,曲の雰囲気をまったく壊すことなく,演奏の中に必然的に溶け込んでいるように感じるのは,マル・ウォルドロンのリフっぽいバッキングが脳に染み付いている状態の中で展開されるドラム・ソロだからだろう。

 実際にはピアノの音は鳴っていないにも関わらず,ピアノのバッキングにあわせてドラムが叩かれているかのような錯覚に陥る。荒っぽくも腰の高いドラミングがアブストラクトでアバンギャルドなエリック・ドルフィーブッカー・リトルを煽っていく。

  01. NUMBER EIGHT (POTSA LOTSA)
  02. BOOKER'S WALTZ

(プレスティッジ/PRESTIGE 1965年発売/VICJ-60012)
(ライナーノーツ/ロバート・レヴィン,青木和富)

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20180729 CASIOPEA 3RD LIVE NO.2

 「CASIOPEA 3rd 2018 A・KA・RI LIVE TOUR」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 カシオペアのファン層からすると40代の管理人は若輩者に入る。ゆえにカシオペアライブは大抵,会場の全員が座りっぱなし。各々が自分のカシオペア・ワールドに入った「音楽鑑賞会」な感じだと思う。
 そんないつも通りのライブ進行を予想していたが,今回の福岡公演は中盤からラストまでスタンディング。イェイ!

 いつものパターンだとナルチョベースソロでの“会場練り歩き”で強制的に起立されられるのだが,今年は中盤の「踊るコーナー」が終了しても誰も座らない。
 ここに昨日書いたカシオペア史上初の「立ち位置逆」の成果がある。これまでの大高清美のコーナー→鳴瀬喜博のコーナーのパターンは「80歳→70歳→69.5歳の長老」鳴瀬喜博の持ち時間(トーク)が長すぎるゆえ,どうにも間延びして凹凸。神保彰のコーナーがテキパキ進むのが好対照の印象。

 鳴瀬喜博大高清美神保彰の実にスムーズなこと。心地良さを体感したからこそ観客は最後まで総立ちだったのだと思う。
 そんな総立ちの観客を前に野呂一生が燃えないわけがない! 前記「踊るコーナー」とは別にクライマックスの序章としてナルチョベースソロ・コーナーがあるのだが,ベースソロから繋がって始まった【TOKIMEKI】での野呂一生の拳振り上げは,ナルチョベースソロ・コーナーから繋がっている。そんな野呂一生の拳振り上げを見たメンバーも目が点になって,次に全員が大爆笑〜。

 そんな,野呂一生が「顔」を務める「カシオペア・サード」のライブ会場限定特典の「ステッカー」「サイン色紙」「握手券」がこちらです。ライブ終了後に行なわれた握手会にも参加してきました。

A・KA・RI TOUR 特典-1A・KA・RI TOUR 特典-2A・KA・RI TOUR 特典-3

 「カシオペア・サード」としてはお初となる?握手会では神保さんと少し長話できました。ナルチョのMCの中で「汗いっぱいかかないんだけど,手足はず〜っと動いてます」と紹介されたことを話題にすると神保さん,ドラムはリラックスして叩く。盛り上がって思いっきり叩くと音がつぶれちゃう。濁っちゃう。軽く叩くのがドラムの音を美しくする秘訣なのだそう。だからドラマーは意外と疲れない,とのことでした。

 だから汗1つかかずにあんなに笑顔でドラム本来のふくよかな音色を鳴らせるのですねっ。神保さんのステージ上と握手会での笑顔を「神保推し」の武ちゃんさんとの打ち上げ会場「山ちゃん」までオカズとして持ち帰りましたとさ。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20180729 CASIOPEA 3RD LIVE NO.1

 行ってきました! 7/29「スカラエスパシオ」の「CASIOPEA 3rd 2018 A・KA・RI LIVE TOUR」!

 2018年の夏は記憶にも記録にも残る異常気象。普段は外回りの多い管理人としては7−9月の3ヵ月で使う体力を7月の1カ月間で消耗した感じ。体調不良の酷暑の中,爽やかな一日を楽しみにしていた「カシオペア・サード」の恒例サマー・ツアーにも異常気象が爪痕を残す〜。
 野呂一生の「雨風の中ようこそお越しいただきました」のMCズバリ「逆走台風」台風12号が公演時間に福岡大直撃。公演中止の発表がないか,何度も公式HPを確認しながら天神までタクシーで! ← この全ての送迎サービスは武ちゃんさんのおかげです。感謝&感謝!

 しか〜し,カシオペアの2018サマー・ツアーが記憶に残るライブになったのは「逆走台風」のせいだけではなかった。カシオペアの新しい取り組み(ワンドリンク制&握手会)の導入が効いている。
 しか〜し2,個人的には新作のフォロー・ツアーでは多分初めての予習なし。初めて新曲をライブ会場で聴くというスリリング。実は単なるボーンヘッドが棚ボタを呼び込んでくれました。事の詳細は『A・KA・RI批評をカミングスーン。

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 野呂 一生 : Guitar
 ★ 鳴瀬 喜博 : Bass
 ★ 大高 清美 : Keyboard
 ☆ 神保 彰 : Drums

 今回の座席は3列11番。中央ブロックだし,いつもの如く野呂一生のパフォーマンスをガン見してきましたが,前回のツアーからチェンジしたと噂の「左に大高清美オルガン,右に鳴瀬喜博ベースが揃い踏みする」カシオペア史上初の「立ち位置逆」を目撃証言。

 この光景が新鮮なのは置いといて,僕となって働いている「野呂一生&ザ・バンドマン」が,一躍主役に躍り出るソロ・コーナーの順番も(時計回りはそのまんまに)大高清美鳴瀬喜博から鳴瀬喜博大高清美の順番に変更。
 ただでさえエンゲル係数高い。ただでさえ一発単価安い。この順番変更が事件を起こす!

 エコノミー症候群から身体をほぐす?2018年は盆踊りではなくディスコ・フィーバー。鳴瀬喜博の【Ui Uiz U Uiz Us】が「フィーバー,フィーバー,レッツラゴー」。日大相撲部(中洲産業大学)のダンサーズが笑顔で登場。これが伏線?

 大高清美の【URBAN STARS】は「ちゃんと踊れるようにサンバ調にしました。夏ですから」。「三部作の最終章ということで私の中でのカシオペアというイメージ。16分音符がたくさん。16分音符のクイがたくさん。野呂一生の独自のコード進行がいっぱいみたいな。そういうのをてんこ盛りに入れてみました。ねっ」の振りに「私より難しいと思いますよ」と答える野呂さん。
 「この5年間で培った野呂一生のコード進行法をしっかりと入れさせていただきました」と返す刀で,ナルチョベースが本当に壊れた。

 「ベース壊れました。今の【アーバン】で。しゃべれってことかなあ。ちょっと【アーバン】何あの曲〜。今日さぁ,クイのところで手拍子が1個入っちゃって。お客様の手拍子〜」。
 日大相撲部の復旧作業でカエルさんが復活しました〜。

 【URBAN STARS】恐るべし。最近,大高さんの影響を受けて「奇数の7の倍数を4の中に織り込む」神保さんが言うところの「途中踊れなくなるところがある」「サンバなのに3拍子が入っている。あっ,サンバだから3でいいんですかね?」。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 2001年度(第35回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は2001年度(第35回)の発表です。

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ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック★【金賞】.ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック
マイケル・ブレッカー


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フレンチ・バラッズ (SACD盤)★【銀賞】.フレンチ・バラッズ
アーチー・シェップ


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しーそー★【日本ジャズ賞】.しーそー
渋谷毅&森山威男


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ザ・ルック・オブ・ラヴ★【ボーカル賞(海外)】.ザ・ルック・オブ・ラヴ
ダイアナ・クラール


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ミスティ K★【ボーカル賞(国内)】.ミスティ K
小林桂


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ジャズ・アドヴァンス★【編集企画賞】.スーパー・ビット・ジャズ・クラシックス・シリーズ


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ティーン・タウン★【製作企画賞】.ティーン・タウン
マンハッタン・ジャズ・クインテット


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IMAGINARY DAY LIVE-1★【最優秀ジャズ・ビデオ賞】.イマジナリー・デイ・ライブパット・メセニー・グループ


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ウッド★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.ウッド
ブライアン・ブロンバーグ


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コンテンポラリー・リーダーズ+3★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.“ヘリテッジ・オブ・ジャズ”シリーズ(Contemporary)


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Come Dream With Me★【ニュー・スター賞(海外)】.カム・ドリーム・ウィズ・ミージェーン・モンハイト


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ガール・トーク★【ニュー・スター賞(国内)】.ガール・トーク
akiko


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 マイケル・ブレッカーの『ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック』が【金賞】受賞。

 この時代に,いいや,この時代だからバラード・アルバムなのだろう。管理人的には『ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック』は,マイケル・ブレッカー1人のアルバムではない。
 プロデューサーを務めるパット・メセニーのアルバムとも言えるし,ハービー・ハンコックチャーリー・ヘイデンジャック・デジョネットのアルバムと言っても過言ではない。

 そう。『ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック』は,マイケル・ブレッカーの音で彩られた,オールスター・ジャズバラード
 マイケル・ブレッカーは自分の我を張るでもなくパット・メセニーと共演者のリクエストに応えて気持ち良く音を重ねていく。なんてったって最高のジャズメンに囲まれて,マイケル・ブレッカーの大好きなバラード・ナンバーを演奏できるのだから…。

 理性と感情が入り混じる『ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック』でのマイケル・ブレッカーテナーサックスが胸を打つ。メロディーをじっくりと吹き上げている。名演集の極みであろう。

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伊東 たけし / スケア・ヘッドライン5

SCARE HEADLINE-1 『VISIONS』以降の伊東たけし。すなわちT−スクェア退団後のソロ・アルバムはそのどれもハイ・ボルテージ。
 しかし,その中でもとびきり高電圧なのが『SCARE HEADLINE』(以下『スケア・ヘッドライン』)である。

 伊東たけしソロとしては,積み上げてきた“最高傑作”『T.K.BREEZE』を区切りとして『スケア・ヘッドライン』以降,意識してスクェア色を消し去ろうとしていたように感じている。

 そう。『スケア・ヘッドライン』での“イケイケの”伊東たけしを聴く限り,これが元スクェアのフロントマンの今なのか!と驚きを隠せない。
 ヒューマンなバンド・サウンドとは毛色の異なる,無機質な伊東たけしのインダストリアルなワンマン・サウンドが高電圧!

 ただし,あのくすんだアルトサックスの音色と独特のフレージングは“T.K.節”そのもの! 住友紀人の大暴れのバック・トラックに一歩も引かないハイ・ブロウに首ったけ(首っT.K.)!

SCARE HEADLINE-2 管理人のスクェア・ファンとしての黄金時代。それは本田期のスクェアの新作と伊東たけしの新作が毎年発売されていた黄金時代。
 その絶頂は『ブルー・イン・レッド』と『スケア・ヘッドライン』とのタイプの違う星5つが重なった1997年であったように思う。

 『ブルー・イン・レッド』を聴くと『スケア・ヘッドライン』を思い出し『スケア・ヘッドライン』を聴くと『ブルー・イン・レッド』を思い出してしまう。
 この2枚,相互補完の2枚であって,互いに互いの価値を高め合い,高みの頂点に達した印象を残している。

  01. Signs From You
  02. Scare Headline
  03. Mayuyama
  04. Phat Kat
  05. I Won’t Go Anywhere Without You
  06. Real Time Inverted
  07. Ma〜Pa
  08. Sure It Is
  09. Home,Sweet Home

(イーストウエスト/EASTWEST 1997年発売/AMCM-4293)

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エリック・ドルフィー / ラスト・デイト5

LAST DATE-1 長らくエリック・ドルフィーの「遺作」として知られた『LAST DATE』(以下『ラスト・デイト』)を管理人は「遺作」だとは思っていない。

 それって遅れてやってきた『LAST RECORDING』に遺作の立場を乗っ取られたという意味ではなくて『ラスト・デイト』の演奏内容が素晴らしすぎるからである。
 『ラスト・デイト』で最高に躍動しているエリック・ドルフィーが,死の病魔に侵されているなど微塵も感じさせない,熱のこもった演奏が繰り広げられている。
 (改変できるものならば)アルバム・タイトルは『ラスト・デイト』ではなく『ファースト・デイト』の方が似合っている。

 そう。『ラスト・デイト』のエリック・ドルフィーアルトサックスが,フルートが,バスクラリネットには「生命力が漲っている」。
 こちらは世評も正しく,エリック・ドルフィーの吹き上げた音が翼を着けて,今にも空中に羽ばたき舞い回るように感じられる。
 ん? 例の死の直前の輝きなのかっ? あれれっ? 矛盾?

 『ラスト・デイト』のエリック・ドルフィーが特別なのは,エリック・ドルフィー1人が突出したセッションではなく,エリック・ドルフィーが生涯恵まれることのなかった,エリック・ドルフィー・レギュラー・コンボの音になっていることが大きい。 
 『アット・ザ・ファイブ・スポット』がそうであるように,エリック・ドルフィーアドリブの人であると同時に,本当はセッションではなくコンボの方がハマル人だと思っている。

 『ラスト・デイト』のメンバーは,ワンホーンのエリック・ドルフィーピアノミッシャ・メンゲルベルクベースジャック・ショールスドラムハン・ベニンク
 そう。全員が名立たるヨーロピアン・ジャズの実力者であって,単なるサイドメンとしての参加ではないし『ラスト・デイト』でのテンションはエリック・ドルフィーとの共演に触発されてか,ヨーロピアンの白人のノリがエリック・ドルフィーの「軽いノリ」と絶妙なマッチングを聴かせてくれる。

 そんなお気に入りの自分のコンボをバックに従え(事実,エリック・ドルフィーはこのメンバーでコンボ結成の話を進めていた!)エリック・ドルフィーの奇抜なアドリブが大いに冴えわたる。
 一聴,調子っぱずれと聴こえてしまう特クネクネと飛躍する異なジャンピング・フレージングが理知的に構築されていく。長尺のソロを聴いても,定型を避けよう,常に違う地平へ,違う次元へ向かおうとする気概が伝わってくる。

LAST DATE-2 伝統的なコード進行を崩すことなく即興の新しい可能性を探求する『ラスト・デイト』の演奏内容に「遺作」の言葉は似合わない。
 『ラスト・デイト』のラストに「音楽は演奏と共に空に消え去ってしまい,2度とそれを取り戻すことはできない」と語るエリック・ドルフィーの肉声が収録されている。

 しかし空に消え去ってしまったのはエリック・ドルフィーの方であって,エリック・ドルフィーの音楽は,永遠に耳を傾ける者の心を揺さぶり続けている。
 音楽の99%はライブ演奏などメディアに記録されることなく消え去ってしまう儚さを指して語られたものだろうが,ほんの1フレーズであっても最高のアドリブ芸術は人々の心の書き板に刻まれ色褪せることはない。
 エリック・ドルフィーの最高のアドリブは永遠に消え去ることはない。

  01. HAT AND BEARD
  02. SOMETHING SWEET, SOMETHING TENDER
  03. GAZZELLONI
  04. OUT TO LUNCH
  05. STRAIGHT UP AND DOWN

(フォンタナ/FONTANA 1964年発売/UCCU-5034)
(ライナーノーツ/成田正,児山紀芳)

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チキンシャック / CHICKENSHACK III4

CHICKENSHACK III-1 チキンシャックとは,サックス土岐英史ギター山岸潤史を中心とした日本の凄腕スタジオ・ミュージシャンが集まったフュージョンバンド

 ゆえに3作目ともなればメンバー・チェンジが行なわれるのも普通の事であって(だってスクェアなんかは,デビュー後,アルバム発表の都度,メンバー・チェンジが行なわれている事実)『CHICKENSHACK 』ではドラムマービン・ベイカーにチェンジした。

 そうして出来上がった『CHICKENSHACK 』に土岐英史山岸潤史の本気度を聴いた気分がした。
 『CHICKENSHACK』『CHICKENSHACK 』で流れていた“URBANな”チキンシャックのバンド・サウンドが響いている。

 そう。チキンシャックは,スタジオ・ミュージシャンの単なる楽しみのためのセッション・バンドではなかった。セクシーでファンキーでメロディアスなサウンドを聴かせるフュージョンバンドだったのだ。

 とは言えチキンシャックのバンドとしての個性が固まったのは,ソウル・コーラス・グループのパーティ・セッション風な『CHICKENSHACK 』からだと思う。
 そう。『CHICKENSHACK 』は,ファンキーなヴォーカルをドカッと中心に据えて,ムードで流すというよりはノリで聴かせるアルバムである。

CHICKENSHACK III-2 要するにチキンシャックが目指したのは「メロウなファンク」である。ファンクと言ってもビートではなくソウルの方である。

 土岐英史山岸潤史の高い音楽性が融合し,本場アメリカのソウルのモノマネではなく日本特有のソウルを表現するとなると『CHICKENSHACK 』の“URBANな”ノリに行き着くのだろう。

  01. GROOVE LINE
  02. THE FUTURE FUNK
  03. HOLD ON
  04. LITTLE LIGHT
  05. RICKY
  06. BIG MAMA
  07. I'M A GOOD GIRL
  08. PERFUME
  09. GIVIN’MY LOVE FOR YOU
  10. WITH THIS LOVE
  11. SHIRLEY

(メルダック/MELDAC 1987年発売/MED-25)

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エリック・ドルフィー / アウト・トゥ・ランチ4

OUT TO LUNCH-1 エリック・ドルフィー唯一のブルーノート盤『OUT TO LUNCH』(以下『アウト・トゥ・ランチ』)を世評とは異なり管理人は評価していない。

 こう書くと駄盤だと思われるといけない。『アウト・トゥ・ランチ』の演奏は素晴らしいし,リハーサルをこなしたセクステット編成が細部までが練り上げられている。ブルーノートらしい音だと思う。
 しかし,そのカチッとした構成ゆえに音楽のレベルが高いのを認めるとしても,聴いて楽しいとは思えない。だから好きとは公言できない。

 管理人はエリック・ドルフィーはメロディーの人ではなくアドリブの人だと思っている。『アウト・トゥ・ランチ』のアドリブはそれほどではない。アドリブなら『アット・ザ・ファイブ・スポット』を聴くべきだろう。

 要するに『アウト・トゥ・ランチ』は,美味しいところがなくなった芸術作品であり,エリック・ドルフィーが「こじんまりとまとまっている」。アブノーマルな「お行儀の良さ」が鼻につく。
 そのせいか『アウト・トゥ・ランチ』でのエリック・ドルフィーって,結構,理知的なアドリブを吹いている。単なる激情の人ではなかったのだ。

 ゆえに『アウト・トゥ・ランチ』でのエリック・ドルフィーの演奏は新主流派のクインテットに迎えられた客演のようだ。サイドメン的な異色のアルトサックスが一音鳴れば,新主流派が“ひっくり返る”感じがする。

 暴言を吐けば『アウト・トゥ・ランチ』の音楽性の主役はボビー・ハッチャーソンの硬質で幾何学的なヴァイブであろう。ボビー・ハッチャーソン「世紀の大名演」の1枚として推薦したい。

OUT TO LUNCH-2 管理人の結論。『アウト・トゥ・ランチ批評

 『アウト・トゥ・ランチ』は,アウトローのエリック・ドルフィー最大の優良盤が裏目のアウトロー。
 まったく隙のない内容なのに,メロディーどころかハーモニー,リズムに至るまでその全てがことごとくアウトしまくりで,聴いてるこっちが吐きそうになるくらいのアブストラクト感。

 フリージャズ〜新主流派の名手たちが,こぞってエリック・ドルフィーの特異な音を共鳴させている。なんだか嗚咽が聴こえてくる気分になる。

  01. HAT AND BEARD
  02. SOMETHING SWEET, SOMETHING TENDER
  03. GAZZELLONI
  04. OUT TO LUNCH
  05. STRAIGHT UP AND DOWN

(ブルーノート/BLUE NOTE 1964年発売/UCCQ-9228)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/A.B.スペルマン,原田和典)

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テザード・ムーン / エクスピリエンシング・トスカ4

EXPERIENCING TOSCA-1 管理人のジャズ人生。キース・ジャレットトリオを選ばなかったなら「テザード・ムーン」を選んでいたのかもしれない。

 それくらい大好きな「テザード・ムーン」の『EXPERIENCING TOSCA』(以下『エクスピリエンシング・トスカ』)が難解である。
 『エクスピリエンシング・トスカ』はきっと名盤なのだろう。演奏は素晴らしいジャズ・ピアノである。でもどうにも感情移入できないでいる。

 理由は『TOSCA』にある。『TOSCA』とはジャコモ・プッチーニオペラのことである。
 だからオペラなど興味のない管理人でも『エクスピリエンシング・トスカ』を理解したいと思い『TOSCA』を見ました。しかもオペラのことに詳しい音楽仲間の解説付きで…。

 …で,オペラDVDを見た感想は『エクスピリエンシング・トスカ』とはつながらないなぁ。
 ちなみに『TOSCA』の終わりに,その友人T氏に『エクスピリエンシング・トスカ』も聞いてもらった。彼はジャズも嗜めるのだが「テザード・ムーン」の演奏は難しいそうだ。

EXPERIENCING TOSCA-2 だから管理人は『エクスピリエンシング・トスカ』を『TOSCA』とは無関係な菊地雅章ピアノ・トリオの1枚として楽しもうと努めてきた。

 でも薄々気付いている。『TOSCA』を超えなければ『エクスピリエンシング・トスカ』の凄さを見ることなどできないことを…。

 えっ,ジャズの次はオペラなのかっ!? オペラにハマってしまう前にどなたか『エクスピリエンシング・トスカ』の楽しみ方のご教授を!?

  01. Prologue
  02. Part I
  03. Part II
  04. Part III
  05. Homage to Puccini
  06. Ballad
  07. Blues for Tosca
  08. Part IV

(ウィンター&ウィンター/WINTER & WINTER 2004年発売/BOM-22197)
(☆直輸入盤仕様 ライナーノーツ/都並清史)

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エリック・ドルフィー / アット・ザ・ファイブ・スポット Vol.25

ERIC DOLPHY AT THE FIVE SPOT, VOL.2-1 エリック・ドルフィーのメインの楽器はアルトサックスなのだが,世間的にはフルート奏者,あるいはバスクラリネット奏者のイメージが強いように感じる。

 そんなフルート奏者のエリック・ドルフィーバスクラリネット奏者のエリック・ドルフィーの強烈なイメージ形成は『ERIC DOLPHY AT THE FIVE SPOT,VOL.2』(以下『アット・ザ・ファイブ・スポット VOL.2』)によるところが大きい。

 『アット・ザ・ファイブ・スポット VOL.2』でのエリック・ドルフィーは本職のアルトサックスを吹いていない。
 【アグレッション】ではバスクラリネットを吹き【ライク・サム・イン・ラヴ】ではフルートを吹いている。このアルトサックスからの持ち替えで名盤を作ったエリック・ドルフィーの凄さが伝わるだろうか?

 エリック・ドルフィーの吹くフルートバスクラリネットがまぁ凄い。怪物の登場のようである。ドスンと重いフレージングが軽やかに流れ続ける。何度聴き返しても本職のフルート奏者,バスクラリネット奏者以上の演奏力に驚愕してしまう。

 いいや,やっぱり聴き返すと,フルートバスクラリネットの細かな表現力はそれほどでもない。ただし,エリック・ドルフィーの伝える力,発信しているメッセージがメガトン級に重いのだ。

 どうしても耳から頭から離れないエリック・ドルフィーの驚異のフレージング。管理人はエリック・ドルフィーの吹くフルートバスクラリネットの奇抜なフレージングがどうやっても忘れられない。

 【アグレッション】の何分何秒とか【ライク・サム・イン・ラヴ】の何分何秒と言うわけではない。『アット・ザ・ファイブ・スポット VOL.2』はイメージとしてミニマル・ミュージックっぽいのだ。

 そう。エリック・ドルフィーは1曲1曲を大きなキャンバスに見立てて,そこへ木管楽器を筆として画を描いていくような芸術家に思う。エリック・ドルフィーの筆遣いは早い。瞬間的なタンギングが斬れ斬れで,サッササッサと筆を運んでいく。
 でも出来上がりを見てみれば,完璧な1枚の画が書き上げられている。右と左。上と下。前と後ろが非対称のようで調和しているのだった。常人には決してできない芸当であろう。

ERIC DOLPHY AT THE FIVE SPOT, VOL.2-2 管理人の結論。『アット・ザ・ファイブ・スポット VOL.2批評

 『アット・ザ・ファイブ・スポットVOL.2』のエリック・ドルフィーの魅力は,持ち替えのエリック・ドルフィーである。
 つまりアルトサックス奏者としては見せることのできなかった別の一面が解き放たれている。そしてそれこそが実は本当のエリック・ドルフィーなのではないか?と思わせるくらいに重く軽く強烈。決して脳裏から離れることのない衝撃波を放っている。

 エリック・ドルフィーアルトサックス奏者である。しかし,エリック・ドルフィーという名前を聞いて鮮明に思い浮かべてしまうのはフルート奏者のエリック・ドルフィーの方であり,バスクラリネット奏者のエリック・ドルフィーの方なのである。

  01. AGGRESSION
  02. LIKE SOMEONE IN LOVE

(プレスティッジ/PRESTIGE 1961年発売/VICJ-23512)
(ライナーノーツ/ロバート・レヴィン,悠雅彦)

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山中 千尋 / ユートピア4

UTOPIA-1 山中千尋ジャズ・クラシック・アルバムの第2弾が『UTOPIA』(以下『ユートピア』)。
 前回の『モルト・カンタービレ』が大好評。個人的にも『モルト・カンタービレ』の続編を期待していたので,今度は更に過激なアレンジで攻めてくるかと思いきや『ユートピア』には5年前に体感した“衝撃”があまり感じられなかった。

 勿論『ユートピア』もいい演奏ばかりである。特にモータウンな5拍子のビートがノリノリの【白鳥】には心底ヤラレテしまった。凄い&凄い。こんな【白鳥】を聴けるのは,世界中で山中千尋だけ!

 クラシックをカヴァーしたジャズ・アルバムと来ると,ジャズの特長であるリズムを変えるのがセオリー。『ユートピア』も山中千尋得意の「変拍子」の多投でガラッと印象を変えている。
 激変したリズムに耳も慣れ,いざメロディーに注意を向けていくと,ほぼオーソドックス。ここが何とももどかしい。山中千尋の個性であろう“遊び”の部分が薄いのだ。

UTOPIA-2 山中千尋の本気度を評価できるのは,曲の途中でピアノソロキーボードソロへの攻めた展開にある。ピアノキーボードによる語法の違いやズラシはあるが,1つの同じ世界なのに別々の世界が同居している感じがちーたんらしいのだ。

 弾き始めは有名クラシックを演奏しているつもりだろうが,やっぱり山中千尋は自身のオリジナル気分なんだよなぁ。そう感じるくらいにピアノキーボードを弾き倒している。
 これはアドリブではないよなぁ。全てが事前のアレンジであって計算されている。ここまでクラシックの所謂スタンダードを骨格の部分と上物の部分に分解し,壊してはならない柱には触らず,いじれる部分だけをいじり倒している。この「線引きの才能」が本当に素晴らしいと思う。

 一聴すると奇想天外なアレンジなのだが,何回も聴き込んでいくうちに実は緻密にアレンジされていることが伝わってくる。『ユートピア』はそんなアルバムだと思う。
 その視点で聴き返すと『モルト・カンタービレ』にも,クラシック出身の山中千尋ならではの教養の深さに説得されたことが分かるのだった。

UTOPIA-3 管理人の結論。『ユートピア批評

 『ユートピア』はクラシックも聞くジャズ・ファン向き,あるいはジャズも聞くクラシック・ファン向きであって,山中千尋ファンとしては,想定の範囲内での「なんでこうなるのっ」!的なアルバムである。

 …って『ユートピア批評も『モルト・カンタービレ批評の続編になっちゃいました。すみません。
 もっとちーたんのような深い解釈ができると良かったのですが『ユートピア』には正直,入れ込みが足りません。

PS 「UTOPIA-3」は販促用のクリアファイルです。

   CD
  01. Utopia
  02. La Piere D'une Vierge
  03. Mambo -from West Side Story-
  04. Rhapsody In Blue〜Strike Up The Band
  05. Le Cygne
  06. Piano Sonata No.4
  07. Orchestral Suite No.2 -Badinerie〜Ricochet
  08. Arpeggione Sonata
  09. I Loves You, Porgy
  10. Shinda Otokono Nokoshita Monowa〜Hope For Tomorrow
  11. Hungarian Dance No.5
  12. Songs My Mother Taught Me

   DVD
  01. La Piere D'une Vierge
  02. Rhapsody In Blue〜Strike Up The Band
  03. I Loves You, Porgy

(ブルーノート/BLUE NOTE 2018年発売/UCCJ-9215)
★【初回限定盤】 UHQCD+DVD

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エリック・アレキサンダー・カルテット / 真夜中のブルース4

BLUES AT MIDNIGHT-1 管理人はハロルド・メイバーンが大好きでエリック・アレキサンダー絡み以外でもハロルド・メイバーンソロ・アルバムも結構な枚数所有している。 ← ってハロルド・メイバーンピアノを一番聴いたのは矢野沙織ちゃんのアルバムで〜す。

 そんなハロルド・メイバーン・フリークとして自信を持ってお勧めできるのが,エリック・アレキサンダー名義の『BLUES AT MIDNIGHT』(以下『真夜中のブルース』)である。
 そう。『真夜中のブルース』は,エリック・アレキサンダーではなくハロルド・メイバーンを聴くためのブルース・アルバムなのである。

 『真夜中のブルース』でのエリック・アレキサンダーの出来は悪くはない。ブルースを題材に黒ノリの新境地にチャレンジしている。
 ただ悲しいかなエリック・アレキサンダーに感情過多は似合わない。オールド・スタイルは似合わない。自然発生的な極上のアドリブは吹き切れていない。

 いいや,エリック・アレキサンダーの出来が悪いのではなくて,ハロルド・メイバーンの出来が良すぎるのだ。
 …って,このままハロルド・メイバーン絶賛レビューを続けようかとも思ったが『真夜中のブルース』のリーダーはエリック・アレキサンダー“その人”であ〜る。

 ひとくちにブルースといっても,そこには様々なテイストがある。『真夜中のブルース』の選曲の中には,例えば12小節の繰り返しのテーマを持っていない,すなわち厳密なブルースではなく,ブルースっぽい曲も取り上げられている。

 そう。形式としてのブルースを基軸にすることによって,かえってエリック・アレキサンダーの持っているコンテンポラリーな個性がくっきり浮かび上がっている。
 ハロルド・メイバーンピアノ・トリオが生み落とす,大らかなスケールで絶妙なGROOVEに乗りまくるハロルド・メイバーンテナーサックスが『真夜中のブルース』の聴き所であろう。

BLUES AT MIDNIGHT-2 『真夜中のブルース』が証明するエリック・アレキサンダーの類まれな個性。エリック・アレキサンダーは保守的なテナーサックス・プレイヤーに違いはないが,ジャズのルーツやモダン・ジャズの伝統を大切にしながらも,様々な音楽的アイディアを盛り込んで,きわめて今日的な感覚で料理してみせる。

 ハロルド・メイバーン基準であれば星5つだが,エリック・アレキサンダー基準としては星4つの『真夜中のブルース』。それでも現代の「テナー・タイタン」エリック・アレキサンダーを「アレキサンダー大王」と呼ぶことに躊躇はない。

 個人的には『真夜中のブルース』から20年後のブルース・アルバムを早くも楽しみにしている。

  01. Sayonara Blues
  02. Hittin' The Jug
  03. Willow Weep For Me
  04. Dis Here
  05. Is It You
  06. Caribe
  07. Dance With Me
  08. St. Louis Blues
  09. Edward Lee

(ヴィーナス/VENUS 2013年発売/VHCD-1124)
(ライナーノーツ/岡崎正通)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 2000年度(第34回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は2000年度(第34回)の発表です。

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ウィスパー・ノット★【金賞】. ウィスパー・ノット
キース・ジャレット


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トリオ99→00★【銀賞】.トリオ99→00
パットメセニー


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ローマからの手紙★【日本ジャズ賞】.ローマからの手紙
ケイコ・リー


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ホールディング・バック・ジ・イヤーズ★【ボーカル賞(海外)】.ホールディング・バック・ジ・イヤーズジミー・スコット


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KIMIKO★【ボーカル賞(国内)】.KIMIKO
伊藤君子


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コンプリート・スタジオ・レコーディングス・オン・サヴォイ・イヤーズ Vol.4 (紙ジャケット仕様)★【編集企画賞】.サヴォイ創立60周年アニヴァーサリー・シリーズ


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ベッドで煙草はよくないわ★【製作企画賞】.ヴィーナス・ミレニアム・ピアノ・トリオ・シリーズ


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エラ・フィッツジェラルド〜サムシング・トゥ・リヴ・フォー〜 [DVD]★【最優秀ジャズ・ビデオ賞】.サムシング・トゥ・リブ・フォーエラ・フィッツジェラルド


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BIRDLAND★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.バードランド笹路正徳&LAオールスターズ


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ブライト・アンド・ブリージー★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.“ヘリテッジ・オブ・ジャズ”シリーズ(Riverside他)


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ヨーロピアン・クインテット★【ニュー・スター賞(海外)】.ヨーロピアン・クインテットジェシ・ヴァン・ルーラー


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ジャスト・ユー★【ニュー・スター賞(国内)】.ソー・ナイス/ジャスト・ユー小林桂


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 キース・ジャレットの『ウィスパー・ノット』が【金賞】受賞。

 キース・ジャレットが『ウィスパー・ノット』で“完全復活”ののろしを上げた。
 実は管理人のキース・ジャレットトリオの1枚は『マイ・フーリッシュ・ハート』が出るまでは,体調や季節の変化に合わせ『アット・ザ・ディア・ヘッド・イン』な時期があるにしろ,長らく『ウィスパー・ノット』が鎮座した。
 それ程までに強烈なスイング感と疾走感。キース・ジャレットが大爆発し,ゲイリー・ピーコックジャック・デジョネットキースに離されまいとして前がかりになって攻め上がっていく感じが素晴らしい。

 ところで今回は今までの1年1枚の掟を破っての【銀賞】『トリオ99→00』もお奨めする。パットメセニージャズ・サイドの活動の主軸であるギター・トリオの集大成。
 マニアックすぎないパットメセニーのポピュラリティーが素晴らしい。【銀賞】にして【金賞】と同格である。

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ライヴ・イン・ロンドン5

E.S.T. LIVE IN LONDON-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新譜が6年振りにリリースされた。ただし,直輸入盤を除いて国内盤購入括りの管理人からすると『301』は発売されていないに等しいゆえ( ← ネットで試聴して,輸入盤は買わない主義を本気で撤廃しようか迷い中 )セラビー宅には『LEUCOCYTE』以来,実に10年振りに到着した「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新譜となる。

 エスビョルン・スヴェンソンの残念な事故死から10年。この10年間で「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」を取り巻く環境は大きく変化した。ポスト・ロックの旗手であり「ジャズを演奏するポップ・バンド」としての評価が上がったのだ。

 エスビョルン・スヴェンソンの死と入れ替わるように登場してきたロバート・グラスパーゴー・ゴー・ペンギンピアノエスビョルン・スヴェンソンの影響が感じられる。
 いいや,巷は「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の起こした革新的な音楽スタイルで溢れている。もはや「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」は,現代の音楽シーンのバックグラウンドなのだと言い切ってしまおう。

 だ・か・ら『E.S.T. LIVE IN LONDON』(以下『ライヴ・イン・ロンドン』)を初めて聴いた時,特段の衝撃を感じなかった。「何だかいつも通りだなぁ」と思ってしまった。こんな感想「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」では初めてのことだった。
 そう。この「並みのアルバム」「普通のライブ」と聴こえてしまう感想こそが「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」がありふれてしまった証拠なのである。

 だ・か・ら『ライヴ・イン・ロンドン』は2週目からが本当に来る。『ライヴ・イン・ロンドン』は「並みのアルバム」「普通のライブ」ではなかった。
 巷に溢れるエスビョルン・スヴェンソンっぽいピアノエスビョルン・スヴェンソンピアノではなかった。

 エスビョルン・スヴェンソンピアノには,ダン・ベルグルンドベースマグヌス・オストラムドラムが必要なのだ。もの凄いリズム!
 10年振りの新作『ライヴ・イン・ロンドン』を聴いたことで「『e.s.t.』はジャズ・バンドではなく,ジャズも演奏するポップ・バンド」の明言を10年の時をかけて再認識させられてしまったように感じる。

E.S.T. LIVE IN LONDON-2 2枚組の『ライヴ・イン・ロンドン』はCD1が『VIATICUM』でCD2が『STRANGE PLACE FOR SNOW』中心のセットリスト。
 『VIATICUM』の楽曲も『STRANGE PLACE FOR SNOW』の楽曲も『ライヴ・イン・ロンドン』で成長している。

 『ライヴ・イン・ロンドン』は『VIATICUM』と『STRANGE PLACE FOR SNOW』の2枚組ライブ盤ではない。
 10年遅れでやってきた「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新作である。現在もエスビョルン・スヴェンソンピアノ・トリオの拍動と鼓動が聴こえてくる。

 そう。エスビョルン・スヴェンソンジャズ・ピアノの音楽は「リアル」である。エスビョルン・スヴェンソンは今だ生き続けている!

  CD 1
  01. Tide Of Trepidation
  02. Eighty-eight Days In My Veins
  03. Viaticum
  04. Mingle In The Mincing-Machine
  05. In The Tail Of Her Eye
  06. The Unstable Table & The Infamous Fable

  CD 2
  01. When God Created The Coffeebreak
  02. Behind The Yashmak
  03. Believe, Beleft, Below
  04. Spunky Sprawl

(キングインターナショナル/ACT 2018年発売/KKE-080)
(CD2枚組)
(☆直輸入盤仕様 ライナーノーツ/オラシオ)

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JAFROSAX / JAFROSAX4

JAFROSAX-1 勝田一樹ソロ・プロジェクト「JAFROSAX」とは「JAZZTRONIK」方面の「クラブ・ジャズのポップス化」である。

 しかし「JAFROSAX」の『JAFROSAX』を「野崎良太サックスヴァージョン」と片付けるのは本意ではない。CDジャケットジャミロクワイの風貌だし?
 いやいや,そうではなくて『JAFROSAX』には小野塚晃の陰が大きいと思うからだ。

 ズバリ『JAFROSAX』を語る際,忘れてならないのはDIMENSIONの『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』の存在である。

 『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』とはDIMENSION最大の問題作。要はDIMENSIONの手による“リスニング系”のクラブ・ジャズ・アルバムであった。
 無機質なループに生楽器がアクセントをつけている。乾いている。COOLである。耳につくのは一定したグルーヴであってメロディーではなかった。

 だから「JAFROSAX」=「JAZZTRONIK」方面の「クラブ・ジャズのポップス化」に至ったのだろう。基本クラブ・ジャズにしてグルーヴよりもメロディー重視なのだろう。
 勝田一樹野崎良太=「JAFROSAX」とはならない。勝田一樹野崎良太小野塚晃が揃っての「JAFROSAX」なのである。

 それくらいに小野塚晃の熱量を感じる。管理人の『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』への不満は(初めてハッキリと書くが)小野塚晃への不満であった。
 『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』に,小野塚晃得意のJAZZYなアプローチがあれば。オルガン・ジャズなアプローチがあれば。DIMENSIONのその後も変わっていた?

JAFROSAX-2 小野塚晃の『JAFROSAX』でのリベンジとは「機械音と生音のバランス」にある。
 打ち込みの上に勝田一樹が吹き上げるテナーサックスと7人のゲスト・ヴォーカリストが,とことんPOPなのにJAZZYなアプローチで攻める小野塚晃のリズム・トラックと無邪気に戯れている。おお,これだこれっ!

 きっと野崎良太は『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』が大好きなことことだろう。勝田一樹小野塚晃も『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』を客観視できるまで聴き込んだことだろう。

 そう。「クラブ・ジャズのポップス化」=『JAFROSAX』で勝田一樹が掲げた「裏テーマ」とは『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』のUPDATEアルバムなのである。

  01. Drawn 2 U
  02. In The Morning
  03. Going to the sky
  04. New Standard Of The Future
  05. Rollin'
  06. 真・空・感
  07. Wait & See
  08. Hi-Tech Jazz
  09. Just Like A Tiger's Eye
  10. Free
  11. Room In Your Heart

(コナミ/KMEWAVE 2004年発売/POCE-7318)

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エリック・アレキサンダー・カルテット / チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン4

CHIM CHIM CHEREE〜TRIBUTE TO JOHN COLTRANE-1 『CHIM CHIM CHEREE〜TRIBUTE TO JOHN COLTRANE』(以下『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』)とは,エリック・アレキサンダーによる「ジョン・コルトレーントリビュート」。

 エリック・アレキサンダーにとってジョン・コルトレーンとは,目標でありアイドルである。そんなエリック・アレキサンダーがアルバムの中に数曲ではなく,アルバム1枚まるまるジョン・コルトレーンと対峙すると知った時,管理人はエリック・アレキサンダーの「得も言われぬ覚悟」に期待してしまった。

 だから過去の「ジョン・コルトレーントリビュート」の系譜に流れている,例えばブランフォード・マルサリスの『至上の愛 ライヴ』とか,ケニー・ギャレットの『追求〜PURSUANCE〜コルトレーンに捧ぐ』のような,全身全霊を尽くした,超硬派で「命を削るような演奏」を勝手にイメージしてしまった。

 それがどうだろう。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』は,ゴキゲンに楽しい「ジョン・コルトレーントリビュート」であった。
 いや〜,またしてもエリック・アレキサンダーにヤラレテしまった。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』の印象はジョン・コルトレーンの手から離れて,完全に「アレキサンダー大王」の世界観に染め上げられてしまったのだ。

 そう。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』におけるエリック・アレキサンダーは,ジョン・コルトレーンの模倣者ではない。
 ジョン・コルトレーン名演で知られる愛想曲をエリック・アレキサンダーが自分流に料理している。それでいてエリック・アレキサンダーの朗々とした表現力は,確かにジョン・コルトレーンに通じるものがある。

 ブランフォード・マルサリスケニー・ギャレットエリック・アレキサンダーのアプローチの色合いを聴き比べる限り,80年代を代表するブランフォード・マルサリス,90年代を代表するケニー・ギャレットではなく,2000年代を代表するエリック・アレキサンダーそれぞれの「ジョン・コルトレーンへの思い」に時代の違いを感じ取る。

 ジョン・コルトレーンの音楽像をキャッチする感覚は時代と共に変化している。「コルトレーン派・第三グループ」のエリック・アレキサンダーに『至上の愛』のコピーを期待するには無理があるし,シリアスな「ジョン・コルトレーントリビュート」では意味がない。

 でもでもちょっぴり,他の誰にでもなくエリック・アレキサンダーご指名で,超硬派な「ジョン・コルトレーントリビュート」を演奏してほしかったなぁ。
 ぶっちゃけ『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』は,これじゃあ,ただの演奏集じゃん。

CHIM CHIM CHEREE〜TRIBUTE TO JOHN COLTRANE-2 管理人の結論。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン批評

 『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』のエリック・アレキサンダーカルテットに,現代に甦るジョン・コルトレーンカルテットを思い重ねてはいけない。

 ジョン・コルトレーンカルテットに色濃い「精神性」などエリック・アレキサンダーカルテットには感じない。
 エリック・アレキサンダーカルテットに感じるのは,ウキウキ・ノリノリ・ワクワクな現代のハード・バップだけである。

 『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』は全曲名演であるが,個人的には【ON THE MISTY NIGHT】である。
 【ON THE MISTY NIGHT】を選曲するとは,エリック・アレキサンダーさん,ジョン・コルトレーンの大ファンだと認めます!? 「アレキサンダー大王」は分かっている!

  01. You Don't Know What Love Is
  02. Dear Lord
  03. On The Misty Night
  04. Chim Chim Cheree
  05. Pursuance
  06. Afro Blue
  07. The Night Has A Thousand Eyes
  08. Wise One

(ヴィーナス/VENUS 2010年発売/VHCD-1038)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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山本 剛 トリオ / スピーク・ロウ5

SPEAK LOW-1 “山ちゃん山本剛は根っからの“ジャズ・ピアニスト”だとつくづく思う。
 何が書きたいのかと言うと音楽家とか作曲家ではなく“完全無欠のプレイヤー”だと言うことである。

 山本剛と来れば,代名詞は【MISTY】である。VENUSからリリースした『SPEAK LOW』(以下『スピーク・ロウ』)でも,やっぱり【MISTY】を演奏している。
 もしや“山ちゃん”こそが世界一【MISTY】の演奏回数の多いピアニストなのかも?

 いいや,回数の多さでは語らない。“山ちゃん”こそが【MISTY】を世界一輝かすことのできるピアニストである。
 もはや“本家”エロール・ガーナーを超えている。エロール・ガーナーの内奥の感情をエロール・ガーナー以上に感じているのだ。

 いいや,もっと言えば【MISTY】に限らず,有名ジャズスタンダードを最も輝かせることのできるピアニストの1人だと思う。
 そう。山本剛ピアノを弾けば,美メロが浮かび上がる。歌詞さえ聞こえてくる。歌そのものが実体となって鍵盤から飛び出してくる。

 このような御託を並べても伝わらない。まずは『スピーク・ロウ』に耳を傾けてみることだ。そこには“山ちゃん”のブルージィーでスインギーな音世界が待ち構えている。
 恐らくはジャズ・ピアノの何たるかを一発で教えてくれることだろう。とにかく分かりやすい。とにかく楽しい。

 その意味で山本剛が有名ジャズスタンダードを主戦場としてくれているのは実に有り難いことである。聞き馴染みのあるメロディーが「山ちゃん節」で奏でられた瞬間,身体が思わず横ノリしてしまう。

 『スピーク・ロウ』は山本剛の史上最高のブルース・アルバムだと思っている。スケールの大きなブルース・フィーリングを堪能できる。
 ズバリ『スピーク・ロウ』の成功の秘訣は岡田勉の大プッシュにある。  

 山本剛と来れば,代名詞2は「TBM」であろう。山本剛名演の宝庫が「TBM」にあることは間違いない。そんな「黄金期」の山本剛トリオの“ウォーキング・ベーシスト”こそが岡田勉なのである。

 VENUSの代表である原哲夫はそこのところをよ〜く分かっている。岡田勉のウォーキングに「TBM」以上の自由を与えている。
 20年以上の付き合いになるであろう山本剛岡田勉の関係が,生涯初となるであろう「ベース上位」で演奏されているのだ。

SPEAK LOW-2 『スピーク・ロウ』における岡田勉ベースは,もはや山本剛のサポート役ではない。そうではなくてピアノの先導役としてベースピアノにスペースを与えているような印象を受ける。

 そんな岡田勉ベースが心憎い。世界の誰よりも一番長い時間,一番近くで山本剛ピアノを聴いてきた岡田勉だから大プッシュすることの出来た「山本剛フィーチャリング山本剛」なアルバムなのである。

 “完全無欠のプレイヤー”山本剛ここに有り。ジャズスタンダードを最も歌わせることのできるピアニスト山本剛ここに有り。
 VENUSの考える山本剛の全てが『スピーク・ロウ』の名演にある。

  01. Cool Struttin'
  02. Black Is The Color
  03. Speak Low
  04. Misty
  05. Doxy
  06. Jealous Guy
  07. Yesterdays
  08. I've Never Been In Love Before
  09. Come In From The Rain
  10. Girl Blues
  11. Close To You

(ヴィーナス/VENUS 1999年発売/TKCV-35083)
(ライナーノーツ/藤本史昭)

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エリック・アレキサンダー・カルテット / ジェントル・バラッズ III4

GENTLE BALLADS III-1 管理人の選ぶジョン・コルトレーンの愛聴盤は『バラード』である。「シーツ・オブ・サウンド」よろしく,アグレッシヴな演奏こそがジョン・コルトレーンの真骨頂だと認めたうえでの『バラード』である。
 『バラード』には,他のアルバム10枚分の魅力がある。代えのきかない魅力があるのだ。

 さて「コルトレーン派・第三グループ」の筆頭格であるエリック・アレキサンダーが,ついにバラード・アルバムを演る。このビッグ・ニュースに管理人が飛びつかないわけがないのだが…。

 エリック・アレキサンダーバラード・アルバム『GENTLE BALLDS』(以下『ジェントル・バラッズ』)を買った。ジョン・コルトレーンの『バラード』を期待して買った。
 だが違っていた。一番ガッカリしたのは『ジェントル・バラッズ』は企画先行だったのだろう。エリック・アレキサンダーが乗っていない。

 バラード集だし,それも名曲のオンパレードのスタンダード集なのだが,これってエリック・アレキサンダーが吹かなくてもよいのではなかったか?
 管理人お目当ての“エリック・アレキサンダー印”が消えている。乗れないエリック・アレキサンダーなんて「ただの人」なのだ。

 だから『ジェントル・バラッズ』はすぐに処分した。続編の『ジェントル・バラッズ 』もパスである。当然『ジェントル・バラッズ 』もパスである。

 今こうして『ジェントル・バラッズ 』を手にしているのは,エリック・アレキサンダーバラードが聴きたくなったからではない。
 偶然,ラジオで流れているのを耳にした【サマータイム】にある。ノリノリの【サマータイム】&ノリノリのエリック・アレキサンダーがいい演奏だと思った。

 バラード・アルバムにビート・ナンバーが入っていてもいいではないか! 【サマータイム】で感じる「抜群のテクニックと歌心」! これぞ管理人の大好きなエリックアレキサンダー大王」降臨である!
 【ゼイ・セイ・イッツ・ワンダフル】はラテンである。【やさしく歌って】はミディアム・リズミックである。エリック・アレキサンダーにとっては原曲がバラードであればノリノリであってもそれでいいのだ。
 ラストの【煙が目にしみる】のスロー・バラードが光る光る!

 一旦『ジェントル・バラッズ 』が気に入ると,企画ものだと分かっていても音がグイグイ入ってくる。テナーサックスの説得力ある響きに,ジョン・コルトレーンの面影が宿っている。

GENTLE BALLADS III-2 おおっと危ない。絶賛するにはまだ早い。VENUSのドル箱=『ジェントル・バラッズ』シリーズは第5集まで出ている。過去作も買い直してみようかなぁ。続編も聴いてみようかなぁ。

 『ジェントル・バラッズ 』は普通にいい演奏だと思う。しかしその一方で『ジェントル・バラッズ』シリーズの真価は今ではなく,50年後に定められるのがふさわしいのでは?とも思ってしまう。
 エリック・アレキサンダーバラード批評するのが特に難しい。

  01. Little Girl Blue
  02. Don't Explain
  03. All The Way
  04. Summertime
  05. You'll Be Mine Tonight
  06. They Say It's Wonderful
  07. Killing Me Softly With His Song
  08. Smoke Gets In Your Eyes

(ヴィーナス/VENUS 2005年発売/VHCD-1011)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)

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KEEP / KEEP ALIVE4

KEEP ALIVE-1 『DG−581』と『ROCK’N ROCKED ROCK』の超名盤2枚を有する「KEEP」の,J−フュージョンのスーパー・バンドとしての認知度が低いのは『KEEP ALIVE』の存在にあると思っている。

 「KEEP」とは,バンドではなくセッション集団であると『DG−581批評の中ですでに書いたが『KEEP ALIVE』を聴くと,もう少し的が絞れてくる。
 ズバリ「KEEP」とは,ライブ・バンドではなくスタジオ・セッション集団というのが真実であろう。

 『KEEP ALIVE』の演奏は凄い。凄いんだが,残念なことに,それが目の前の観客には訴求していない。何となく内向きな演奏であって,何度聴いても共感を覚える一歩手前で白けてしまう。
 完全にマニアックで玄人志向のライブ演奏は,ヒリヒリするくらいの濃密なインタープレイの応酬であって,聴衆は置いてけぼりを喰わされている…。

 そんな「気合いの空回り」は『KEEP ALIVE』のために準備された「KEEP」10年振りの再結成が理由にある。
 『KEEP ALIVE』の名曲リスト。これは実に「KEEP」として10年振りの演奏なのである。そして全てが新曲のような響きをもっている。

 そう。「空白の10年」が「昔のようには演奏しない」という,深町純和田アキラ富倉安生山木秀夫の“ジャズメン魂”に火をつけた理由であり,それが『KEEP ALIVE』を(ライブ会場を舞台とした)スタジオ・セッションへと向かわせた最大の理由であろう。

KEEP ALIVE-2  管理人は思う。もしも『KEEP ALIVE』が“熱狂のライブ盤”であったなら「KEEP」は“伝説のフュージョン・バンド”として永遠に語られるユニットになったであろう。

 しかし,この全てが「完璧主義者」深町純の性分なのだから仕方がない。個人的には和田アキラギターにシビレ上がります。

 ですが,管理人は『KEEP ALIVE』での新アレンジよりも『DG−581』と『ROCK’N ROCKED ROCK』のオリジナルのスタジオ録音の方に愛着を覚えます。

  01. DEPARTURE IN THE DARK
  02. MODJA
  03. BATTERIA SOLO
  04. DANCE OF PARANOIA OPUS 3
  05. OWL FLIGHT
  06. MOON BEAM
  07. DANCE OF PARANOIA OPUS 2
  08. ROCK'N ROCKED ROCK

(イースタンゲイル/EASTERNGALE 1995年発売/EGCJ-8002)

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20180603 T-SQUARE LIVE NO.2

 「T−SQUARE コンサートツアー2018 『CITY COASTER』」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 電気ホールだけに“ビリビリに”盛り上がった「T−SQUARE コンサートツアー2018 『CITY COASTER』」のサブ・タイトルは「湯浅佳代子祭り」であった。コンサートの主役は“ボントロの歌姫”であった。間違いない。

 ライブ前は湯浅佳代子トロンボーン入りは『CITY COASTER』の楽曲だけだと思っていた。
 そこへelf51さんからのコメントが飛び込んできて,どうやら旧曲もやるらしいということが分かったが,過去にブラスが入っていた,例えば【DANS SA CHAMBRE】や【OMENS OF LOVE】は容易に予想できたが,今回の【SABANA HOTEL】での安藤正容伊東たけし湯浅佳代子ソロ廻しや【TWILIGHT IN UPPER WEST】での「かよボンです。たけサクです。(おぎやはぎですけど何か?風)」な伊東たけしとのデュオや【TRUTH】で見せたトロンボーンをコブシ代わりに振りかざした「ロック魂」など,大方のゲスト参加の枠を飛び越えて「スクェア6人目のメンバー=湯浅佳代子」参上であった。

 音楽的にもトロンボーンのまろやかで野太い音の厚みがアクセント・アンサンブルしている。途中で“かよボン”のトロンボーンからPA用のマイクが外れるアクシデントがあったのだが,動じることなく自分のパートが来たらそのまま吹き切ってしまった。2列目にいたのでマイクなしと変わりなしの大音量の生音が聴けたのだが,アサガオがこちらに向いた瞬間の音圧がハートに突き刺さってしまった!

 ズバリ“かよボン”の名演とは(名演奏+名演技)! キツネ目の湯浅佳代子の立ち振る舞いがクール・ビューティー!(お顔も美人な湯浅佳代子さんには土屋太鳳とか柴咲コウに似ている説有り)!
 私たちからしたら“舞い上がってしまう”であろう,両隣りに安藤正容伊東たけしですよ。肝が座っているというか度胸があるというか,変にサポート慣れしているのとは違う。こじんまりするのではなく「スクェア6人目のメンバー=湯浅佳代子」として威風堂々とステージに立っている。そんな感じがした。

 湯浅佳代子トロンボーンのスライドを振り下ろす度に「斬られた〜!」な電気ショックが走る。電気“ビリビリ”みらいホールで客席中が(特に私たちオッサン連中が)感電したような気分になる。湯浅佳代子の「殺陣」ショー・タイム。特に安藤さんがヤラレテいた!?

 終演後に青●社長にご挨拶できたのだが,その時の話から(オフレコです)残念ながら「6人組のスクェア」が見られるのはこのツアー限りとのこと。
 これだけの逸材。スクェアとの共演でソロとしてもますます人気でるわなぁ。可能なら田中普吾のように「スクェアの準メンバー」というさやにこのまま納まってくれたらいいのにぃ。来年訪れるであろう「かよボンロス」が早くも恐い?

 “湯浅佳代子入りスクェア”を見れるのもラスト2。東京近郊のスクェア・ファンなら絶対に見といた方がいいです。
 個人的には東京までは行けないからシューティング・ライブのビデオ撮影でもしてもらってDVDで発売してくれないかなぁ。伊東さんをあんまり見つめなかったことだし?

 真面目に書くと「T−SQUARE コンサートツアー2018 『CITY COASTER』」は“ブラス・ロック風のスクェア”がバンバンで音楽的にも貴重で面白い記録になったと思っております。
 そして,安藤正容が『CITY COASTER』で狙っていた「クルセイダーズっぽい」の意味がライブを見て少しは理解できたようにも思っております。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20180603 T-SQUARE LIVE NO.1

 行ってきました! 6/3「電気ビルみらいホール」での「T−SQUARE コンサートツアー2018 『CITY COASTER』」!

 河野くんが,品行方正な正しい少年のラップで「福岡,盛り上がって行こうか」と韻を踏めば,晋吾くんが「電気ホールをビリビリに盛り上げて」くれた5人プラス1人の「6人組のスクェア」が「40周年記念型T−スクェア」のスーパー・ライブ

 惜しむべきは「えっ,もう終わりなの?」な短時間公演(実際に例年よりも3曲少ない!)。ただしこの感想は公演時間に対するというよりも「最初で最後」の“かよボン”に対するものである。
 もっともっと湯浅佳代子トロンボーンを見たい&聴きたい! もしや『CITY COASTER』を聴き返すにつれ“かよボン”レスに襲われるかも? ← 湯浅佳代子さんの名演(名演奏+名演技)については明日改めて書こうと思います。

 今回の座席はB列12番。日本一のスク友と2列目のセンターから(アイドル=伊東たけしが真正面にいるにも関わらず)左手の湯浅佳代子を斜めから見るという,伊東たけしファンからすると「何とも勿体ない」良席の使い方。
 おかげで,いつもは伊東さんの何通りかある黒のステージ衣装を覚えているのですが,今回は記憶にございません。きっぱりと管理人は“たけサク”派ではなく“かよボン”派を宣言いたします!

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 安藤 正容 : Guitar
 ★ 伊東 たけし : Alto Saxophone,EWI,Flute
 ★ 河野 啓三 : Keyboard
 ★ 坂東 慧 : Drums
 ☆ 田中 晋吾 : Bass

 ☆ 湯浅 佳代子 : Trombone

 ツアー・タイトル「T−SQUARE コンサートツアー2018 『CITY COASTER』」なのだから大名盤CITY COASTER』が「6人組のスクェア」で「どう再現されるか?」に注目して出かけたライブ

 結論から書くと「リズム隊がライブでかなり遊んでいる」となる。個人的にはこの数年で俄然「河野啓三色」が出てきたように思う。
 演奏面で書けば,河野啓三がリズム隊入りしたな〜。これまでは坂東慧ドラム田中晋吾ベースの名コンビがバンドを引っ張っている感じだったのだが,今年ついに河野啓三キーボードがリズム隊の役割も果たすようになった。

 無論,キーボードはメロディーを奏でるフロント楽器なのだが,坂東くんの叩くオカズに狂喜してキーボードが大袈裟に反応してみせる。そのキーボードの返しを聴いて,坂東くんと晋吾くんが大笑い!
 いや〜,見ているこちらまでが爆笑してしまう「リズム隊の音遊び」が“ライブならでは”楽しみであり新たな発見なのであります。

 そうして「河野啓三色」が出まくっているのがセットリストである。今年の総立ち後半戦は3曲だけだったのだが(ごめんなさい。正確に書くと今年のライブで着席していたのは【FROM NOW ON】〜【IN MY DREAMS】〜【TWILIGHT IN UPPER WEST】までの3曲だけだったかも? 残りは全部スタンディング状態でした)その大盛り上がりの全3曲【幻想の世界】〜【THROUGH THE THUNDERHEAD】〜【RONDO】全3曲が河野啓三作!
 おまけにアンコール1曲目の【EVERLASTING DREAM PART】も河野啓三作だから河野啓三選曲4連続!

 素晴らしい。ライブ河野啓三はラップだけではない。【FROM NOW ON】で安藤さんがギターの音を外した時の河野啓三の大笑いを管理人は見逃してはいません。← 意味深々。 

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

PS Holyさんへ
ライブでは【EVERLASTING DREAM PART】がお披露目されたとのことでしたが,今回のホールツアーでは残念ながら選外でした。
坂東くんがMCの中で「試行錯誤のリハーサルが途中で険悪なムードになった」と述べていたのは【EVERLASTING DREAM PART】を,やるかやらないか,だったりして?

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1999年度(第33回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1999年度(第33回)の発表です。

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メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー★【金賞】.メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー
キース・ジャレット


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タイム・オブ・ジ・エッセンス★【銀賞】.タイム・オブ・ジ・エッセンス
マイケル・ブレッカー


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ホエン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ★【ボーカル賞(海外)】.ホエン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズダイアナ・クラール


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デイ・ドリーミング★【ボーカル賞(国内)】.デイ・ドリーミング
ケイコ・リー


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エッセンシャル・エリントン★【日本ジャズ賞】.エッセンシャル・エリントン
渋谷毅


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レフト・アローン+6(UHQCD限定盤)★【編集企画賞】.“ベツレヘム・オリジナル・CDコレクション”シリーズ


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プレイズ・エリントン・ソングス★【製作企画賞】.プレイズ・エリントン・ソングス
ハーリー・アレン


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ベース&ベース★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.ベース&ベースヴィノ・ロッソ(藤原清登&鈴木良雄)


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メイティング・コール★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.“ヘリテッジ・オブ・ジャズ”シリーズ(Prestige他)


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love★【ニュー・スター賞(海外)】.ラブ
ティル・ブレナー


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シンキング・オブ・ユー★【ニュー・スター賞(国内)】.シンキング・オブ・ユー
寺井尚子


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 キース・ジャレットの『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』が【金賞】受賞。

 『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』については,キース・ジャレットソロ・ピアノという紹介よりも,慢性疲労症候群からの「カムバック作」という紹介が優勢であろうが,実際にはカムバックを見据えた演奏にはほど遠い「リハビリ中のリハーサル作」と紹介するのが,より正確なのだと思っている。

 だ・か・ら『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』が【金賞】受賞と言われても,キース・ジャレットが好きなファンであればあるほどうれしくはない。

 『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』の信奉者たちよ。復帰作のご祝儀は“天才”キース・ジャレットには非礼にあたる。“ジャズ・ピアニストキース・ジャレットだけを拝聴せよ!

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ビル・シャープ / フェイマス・ピープル4

FAMOUS PEOPLE-1 シャカタクのリーダーであるビル・シャープの1stソロ・アルバムが『FAMOUS PEOPLE』(以下『フェイマス・ピープル』)。

 管理人は大好きなフュージョン・グループ・メンバーのソロ・アルバムは追いかけていない。意図的に避ける習慣がついてしまった。
 理由は大好きなバンド・サウンドとあまりにもかけ離れているものが多くソロ・アルバムは何回か聞いたら終わりのお蔵行き。それどころか実験的な音造りの,そこまでやるか!的な大変化に,本体まで嫌いになってしまいそうで…。要は手に取ると危ない盤。

 しか〜し,ビル・シャープの『フェイマス・ピープル』は,シャカタク名義のアルバムの1枚にラインナップしてもおかしくない出来である。要は手にして安心盤。
 シャカタク本体の同時期のアルバム『ダウン・オン・ザ・ストリート』の先鋭的な音造りよりも『フェイマス・ピープル』の方が意外にしっくりきた記憶がある。

 特に前半のハイライト・トラック=【愛のシルエット】【ザ・シャッフル】【ウォッシュト・アウェイ】の3曲にはブリティッシュジャズファンクの伝統を感じてしまうし,後半【チェンジ・ユア・マインド】【フェイマス・ピープル】以降のダンス・ビートの連続には,シャカタク以上に“エレガント・ポップ”を感じてしまう。

 ズバリ『フェイマス・ピープル』の聴き所はビル・シャープキーボードではなく,ヴォーカルと電子リズムを使った“仮想”シャカタク・サウンドにある。
 『フェイマス・ピープル』には,シャカタクの頭脳であるビル・シャープの“ロマンシズム”が溢れている。

 シャカタク・サウンドの個性とは,美メロはビル・シャープキーボードジャズファンク色はロジャー・オデルドラム,という明確な役割分担で構築されているのだが,そのリズム部分を『フェイマス・ピープル』ではビル・シャープが操るエレクトロ・ドラムベースの打ち込みでカバーしている。

FAMOUS PEOPLE-2 そう。シャカタクロジャー・オデルのリズムであるなら『フェイマス・ピープル』はビル・シャープのリズムである。
 ロジャー・オデルビル・シャープのアプローチの違いが自然と聞こえてきて,シャカタク・ファンなら俄然楽しめる。

 ただし『フェイマス・ピープル』では電子リズムの存在を忘れさせるほどにヴォーカルの存在が際立っている。
 シャカタクレヴェル42化とも捉えることのできる「本格的なヴォーカル・アルバム」を聴かせられると,シャカタクの今後が心配になる?

 う〜む。やっぱり。内容が良くても悪くてもバンドの行く末が不安になる? やはりフュージョン・グループ・メンバーのソロ・アルバムは追いかけてはいけない。

  01. SILHOUETTES
  02. THE SURVIVOR
  03. BILL'S BLUES
  04. THE SHUFFLE
  05. WASHED AWAY
  06. PEACE
  07. SONG FOR LISA
  08. CHANGE YOUR MIND
  09. FAMOUS PEOPLE
  10. FOOLS IN A WORLD OF FIRE
  11. CATCHING A TRAIN
  12. REMIX, REMAKE, REMODEL
  13. FAIRWEATHER GIRL

(ポリドール/POLYDOR 1984年発売/P33P-20004)
(ライナーノーツ/川名雄二)

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KEEP / ロックン・ロックド・ロック5

ROCK'N ROCKED ROCK-1 「KEEP」の楽曲単位としての“最高傑作”が【SONATINE】であるなら,アルバム単位としての“最高傑作”が『ROCK’N ROCKED ROCK』(以下『ロックン・ロックド・ロック』)である。

 『ロックン・ロックド・ロック』は問答無用で素晴らしい。本職のロック・バンドではなくフュージョン・バンドの「KEEP」が提示するロックゆえに,色眼鏡で見られてしまうのも致し方なことだろうが,フュージョン・バンドが本気で演奏するロックとは「本家」を超えて,真のロック音楽が目指した「理想の高み」に達しているように思う。

 それくらいに深町純キーボードが,和田アキラギターが,富倉安生ベースが,山木秀夫ドラムが,狂ったようにロックン・ロールしまくっている。ギンギンに跳ねているのだ。

 【SONATINE】のような「美して激しいドラマティック・フュージョン」を聴きたくて『ロックン・ロックド・ロック』を購入した人間とすれば,非フュージョンへの音楽性の変化にガッカリするのかもしれないが『ロックン・ロックド・ロック』の“魂”を前にして,ただただ賛辞の言葉しかなかった。

 ズバリ『ロックン・ロックド・ロック』は,最初の一音から最後の一音まで,怒涛のロックン・ロール・ショー。和田アキラをして,バカテクの早弾きなのにロックギターの境界線に踏みとどまっており,決してプログレフュージョンしてはいない。

 深町純という音楽家はソロ・アルバムを追いかけたファンならお分かりかと思うが,発表するアルバム毎にコンセプトを変えてくるミュージシャンである。
 ただし,その変化はクロスオーヴァーとかフュージョンとか呼ばれるジャンルの中での変化であって,ここまでロックに振られたことは1度もなかった。

 思うに『ロックン・ロックド・ロック』の制作理由は,J−フュージョン黎明期をリードしてきた深町純が,ついに花開いた自分抜きの日本のフュージョン・ブームへの嫉妬かも?
 深町純が追い求めても手に入れられなかった,プリズムカシオペアザ・スクェアの大ヒットを目の当たりにして,それらを全て否定してみたくなった?

 自らが活躍すべく開拓してきたフォーマットだったのに,自分1人だけがフュージョン・ブームに乗り遅れた悲哀。これは自らの手でブチ壊さねば! いざ,ビルド・アンド・クラッシュ!

 そう。『ロックン・ロックド・ロック』の真実とは,軽快なフュージョンをブチ壊すために「KEEP」がフュージョン・シーンに放り込んだ“刺客”なのである。

 ズバリ『ロックン・ロックド・ロック』の音作りは,曲調こそロック的とは言え,メロディーやハーモニーが複雑で音楽の細部のバランスがバカテクの上に成り立っていればこそ!
 弾きまくり&叩きまくりにして,アドリブよりもアレンジで聴かせる展開力こそが,ギター・メインのロック野郎ではなく,複数の楽器で同時にユニゾンするあの快感を味わってきた“フュージョン目線な”ロック・サウンドのハイライトなのである。

ROCK'N ROCKED ROCK-2 お互いを完璧に支えあう主従の切り替え。時にユニゾン。暴走するアドリブの一瞬の隙を突いて切り込むオブリガード。リズム隊の一糸乱れぬフレームワークが最高に素晴らしい。

 『ロックン・ロックド・ロック』を聴いた直後に,軽快なフュージョンを聴くと,あの軽さに嫌悪感を抱いてしまうのでご注意を!
 フュージョン・バンドが本気で演奏するロックとは重い音楽なのである。歌詞不要の「怒涛の音圧」が全てなのである。

  01. Rock'n Rocked Rock
  02. Moonbeam
  03. Modja
  04. Aristocrat bachelor
  05. Ballad

(トリオ/TRIO 1982年発売/CRCD5053)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/深町純)

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エリック・アレキサンダー・カルテット / ニューヨークの休日5

SUNDAY IN NEW YORK-1 『SUNDAY IN NEW YORK』(以下『ニューヨークの休日』)こそがエリック・アレキサンダーの“最高傑作”である。

 管理人がエリック・アレキサンダーを愛する理由は,とにかく豪快に「男気テナー」を吹きまくるテクニシャンにして,音楽が生き生きと躍動する豊かな表現力にある。
 エリック・アレキサンダーテナーサックスの響きにジョン・コルトレーンソニー・ロリンズが同居し,エリック・アレキサンダーが息を吹き込む度に,コルトレーンロリンズが一緒に降臨したかのようである。

 “有名過ぎない”ハード・バップ・スタンダード集の『ニューヨークの休日』が,エリック・アレキサンダーの資質にハマッテいる。
 ダイナミックにスイングするストレート・アヘッドなバップだけが持ち合わせている痛快さが宿っているのだ。

 『ニューヨークの休日』は,エリック・アレキサンダーの過去のリーダー・アルバムと比較して「音の出方,音の傾向,音の雰囲気」なるものが異なっている。音が“一丸となって襲ってくる”感じに仕上がっている。
 これは高音質が売りのVENUSのせいではない。もしそうなら以前よりも一層,各楽器が分離して聴こえるはずである。

 ズバリ『ニューヨークの休日』でのサウンドの変化は,ピアニストジョン・ヒックスの参加が全てである。
 ジョン・ヒックスのアグレッシブでクリティカルでスタイリッシュな演奏スタイルが,エリック・アレキサンダーと,時にぶつかり合い,時に調和しながら,全てを受け入れていく…。全てを包み込んでいく…。全てを呑み込んでいく…。

 エリック・アレキサンダージョン・ヒックスの共同アレンジ的な“丁々発止”に魂を射抜かれてしまう。
 ジョン・ヒックスの「自分を活かし相手も活かす」ジャズ・ピアノのハイセンスが,バリバリ・タイプのエリック・アレキサンダーとの共演で彩りを添える「一枚岩」と化している。
 最高に“HOT”なのに最高に“COOL”な現代のバップ・テナーに打ちのめされてしまった。

SUNDAY IN NEW YORK-2 管理人の結論。『ニューヨークの休日批評

 要は「現代のスイング」の代表盤なのであろう。愛聴盤の1枚として10年以上『ニューヨークの休日』を手に取ってきたが,何度聴き返しても,前回聴いたことを忘れてしまったかのように本気で興奮してしまう。素晴らしい。

  01. Sunday In New York
  02. Avotcja
  03. Dearly Beloved
  04. Like Someone In Love
  05. Watch What Happens
  06. My Girl Is Just Enough Woman For Me
  07. Alone Together
  08. My Romance

(ヴィーナス/VENUS 2005年発売/VHCD-4099)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/児山紀芳)

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KEEP / DG-5815

DG-581-1 「KEEP」の骨格は深町純の細部まで書き込んだ譜面でまず間違いないだろう。
 「KEEP」結成に至るまでの深町純は,本場アメリカの凄腕プレイヤーたちとの交流を深めることによって,自らの思い描くフュージョン・サウンドを追及してきた。

 しかし,出来上がったフュージョン・サウンドは,それが深町純のペンによるものだとしても,どうしても&何回演っても,スタッフブレッカー・ブラザーズっぽさが感じられる「アメリカン・フュージョン・タッチ」。
 当然である。フュージョンの主役は曲ではなく演者の方なのだから…。

 そこで深町純が考えたのが,オール日本人によるフュージョン・バンドの結成である。
 ニューヨーク・オールスターズで“天下を獲った”深町純が欲したのは,世界的にも稀有なミュージシャンがガラパゴス化している「J−フュージョン・オールスターズ」を率いる深町純であった。

 しかし,ここが最高に面白い部分なのだが,深町純の細部まで書き込まれた譜面を,すでにビッグネームとなっていたギター和田アキラベース富倉安生ドラム山木秀夫の3人が「自分ならどう表現しようか」と譜面と格闘しているのが「KEEP」なのである。
 深町純の願いかなわず,深町純の狙いとは真反対に「バンドの力学」が動いている。

 ズバリ,1stである『DG−581』は「KEEP」4人によるセッション・アルバムである。
 互いにけん制しあいながら,どこまで踏み込むべきか“腹の探り合い”の雰囲気がなんとも微笑ましく,それでいて音楽としての完成度がメチャメチャ高い。和田アキラ富倉安生山木秀夫のミュージシャン・シップが深町純の「書き譜の音世界」を大きく越えてしまっている。痛快極まりない!

 『DG−581』について語るなら,テクニカルな演奏に違いないが,それ以上にメロディアスで温かみのあるサウンドが前面に出ていると思う。
 フュージョンを基本としつつ,ジャズっぽくロックっぽくプログレっぽいところもあるが,マニアックな空気は薄く風通しの良い雰囲気に満ちている。

 そう。「KEEP」はバンド・サウンドを目指しながらも,形として最後までバンドになりきることのできなかった“バンド崩れ?”のセッション・バンドである。
 和田アキラは「プリズム」で,富倉安生は「トランザム」で,山木秀夫は「マライア」と「香津美バンド」で,バンド・サウンドを奏でることが出来ているが,唯一,深町純だけが,生涯,バンドの一部となりきれることのなかったセッション・ミュージシャンだと思っている。

 だからこそ「KEEP」が光り輝いている。「KEEP」が最強なのは,メンバー4人が4通りに思い描く音楽イメージが全部放出されている点にある。
 4人が1つのイメージを共有するのがバンドであるなら「KEEP」は4人が4つのイメージを共有している。こういけばこうである。4人が局面を打開するためのアイディアを数多く持っているから,誰かが仕掛けた創造的なアプローチにも,あらかじめ譜面に書かれていたかのように即興で対応できてしまう。そんな感じの演奏が続いている。

DG-581-2 管理人にとっては『DG−581』とは,いいや「KEEP」とは【SONATINE】のことである。この1曲の中に「KEEP」の全てが収められている。

 深町純の“最高傑作”をもってしても,和田アキラの“最高傑作”をもってしても,富倉安生の“最高傑作”をもってしても,山木秀夫の“最高傑作”をもってしても『DG−581』の【SONATINE】には遠く及びやしない。

 【SONATINE】の世界観はソロでは表現できないし,バンドでも表現できない。ウルトラ・スーパー・セッション・バンド=「KEEP」だから表現できたのだと思う。素晴らしい。

  01. OWL FLIGHT
  02. PAN NEO
  03. NEVER ENDING SAD
  04. DANCE OF PARANOIA OPUS 3
  05. SONATINE

(トリオ/TRIO 1981年発売/CRCD5030)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/笠木脩治,福原武志)

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エリック・アレキサンダー / ナイトライフ・イン・トーキョー5

NIGHTLIFE IN TOKYO-1 『NIGHTLIFE IN TOKYO』(以下『ナイトライフ・イン・トーキョー』)の主役はロン・カーターベースである。
 エリック・アレキサンダーの出来は最高である。しかし悔しいかな,それ以上にロン・カーターの音楽の拍動が聴こえてくる。

 『ナイトライフ・イン・トーキョー』でのエリック・アレキサンダーカルテットのメンバーは,ベースこそ「初顔の」ロン・カーターであるが,ピアノハロルド・メイバーンドラムジョー・ファンズワースのいつも通りのメンバーである。

 しかし『ナイトライフ・イン・トーキョー』でのエリック・アレキサンダーカルテットがいつもとは違う。特にハロルド・メイバーンピアノがリズム・セクションしており,伴奏に徹しているかのようで大人しい。
 一方でジョー・ファンズワースドラムが「水を得た魚」改め「ロン・カーターを得たジョー・ファンズワース」である。

 そう。エリック・アレキサンダーカルテットのサウンドの変化こそが「ミスター・ベースロン・カーターの功績である。
 いつもは「コルトレーン派」のエリック・アレキサンダーにふさわしく,マッコイ・タイナーばりに弾きすぎてプッシュしまくるハロルド・メイバーンが,ロン・カーターに頭を抑えつけられたがため,相対的にジョー・ファンズワースドラミングが前に出た。

 その結果,ドラムに負けることなど許せない「男気」テナーマン=エリック・アレキサンダーが,いつも以上に前に出るのだが,エリック・アレキサンダーが前に出れば前に出るほど,バックでサウンドメイクしているロン・カーターベース・ラインがギンギンに目立つ構図。

 ロン・カーターに「遠慮した?」ハロルド・メイバーンが,一介のピアニスト然と,幅の広いプレイを披露している。ゆえに全体の音場が広がっている。
 エリック・アレキサンダーテナーサックスが益々豪快にブローしている。しかし『ナイトライフ・イン・トーキョー』では,ロン・カーターと共鳴する部分が多く,則ち音楽的なブローであり,ハーモニーが美しい。

 これまでハード・バップ一辺倒だったエリック・アレキサンダーソニー・ロリンズのような“歌”を初めて感じた。自己表現の手段としてではなく聴き手の心を動かすためのブローがある。

NIGHTLIFE IN TOKYO-2 【I’LL BE AROUND】での長い長いカデンツァは何度聴いてもグッと来る。サウンド・イメージを膨らませるロン・カーターベース・ラインを耳で追っていくと,エリック・アレキサンダーアドリブがインスピレーションの泉へと引きずられていく過程が楽しめる。

 管理人の結論。『ナイトライフ・イン・トーキョー批評

 『ナイトライフ・イン・トーキョー』の真実とは「RON CARTER TRIO FEATURING ERIC ALEXANDER」で間違いない。
 “ジャズ・ジャイアントロン・カーターの音楽の拍動を受けて,ついにエリック・アレキサンダーが「アレキサンダー大王」となった! 

  01. NEMESIS
  02. I CAN DREAM, CAN'T I?
  03. NIGHTLIFE IN TOKYO
  04. I'LL BE AROUND
  05. COLD SMOKE
  06. ISLAND
  07. BIG R.C.
  08. LOCK UP AND BOW OUT

(マイルストーン/MILESTONE 2003年発売/VICJ-61119)
(ライナーノーツ/テッド・パンケン)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1998年度(第32回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1998年度(第32回)の発表です。

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ガーシュウィン・ワールド★【金賞】.ガーシュウィン・ワールド
ハービー・ハンコック


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トゥー・ブロックス・フロム・ジ・エッジ★【銀賞】.トゥー・ブロックス・フロム・ジ・エッジ
マイケル・ブレッカー


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ミーツ・ザ・ビートルズ★【ボーカル賞(海外)】.ミーツ・ザ・ビートルズ
ジョン・ピザレリ


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イフ・イッツ・ラヴ★【ボーカル賞(国内)】.イフ・イッツ・ラブ
ケイコ・リー


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ディア・オスカー (オスカー・ピーターソンに捧ぐ)★【日本ジャズ賞】.ディア・オスカー(オスカー・ピーターソンに捧ぐ)小曽根真


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フュエゴ(紙ジャケット仕様)★【編集企画賞】.ブルーノート・24ビット・バイ・RVGシリーズ


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ウォーキン・ダウン・レキシントン★【製作企画賞】.ウォーキン・ダウン・レキシントン
大阪昌彦


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パナソニック サウンドエッセイ 名曲物語 [DVD]★【最優秀ジャズ・ビデオ賞】.“パナソニック サウンドエッセイ 名曲物語”シリーズ(Vol.5〜10)


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ペイトンズ・プレイス★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.ペイトンズ・プレイス / ニコラス・ペイトン


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アロング・ケイム・ジョン (紙ジャケット仕様)★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.ブルーノート・24ビット・バイ・RVGシリーズ


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ソングス〜アート・オブ・ザ・トリオ Vol.3★【ニュー・スター賞】.ソングス〜アート・オブ・ザ・トリオ Vol.3ブラッド・メルドー


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 ハービー・ハンコックの『ガーシュウィン・ワールド』が【金賞】受賞。

 思えばハービー・ハンコックカヴァー路線に進んだのは『ガーシュウィン・ワールド』の成功体験が要因としてあると思っている。
 『ザ・ニュー・スタンダード』は本当に素晴らしかった。手放しで喜んだ。でっ『ザ・ニュー・スタンダード』の「二匹目のドジョウ」として登場した『ガーシュウィン・ワールド』がまたしても成功している。

 『ガーシュウィン・ワールド』の真実とはガーシュウィンの原曲をモチーフとした,完全なるハービー・ハンコックオリジナル
 オルフェウス室内管弦楽団というクラシック畑のストリングス効果絶大でロマンティック。雰囲気は確かにガーシュウィンの“残り香”がプンプン。

 個人的にはハービー・ハンコック流,60年代のマイルス・デイビスクインテットの再現のようで,美しもスリリングなインプロヴィゼーションにやられてしまう。

 一般的に続編は失敗するものなのだろうが,リメイクをやらせたら“天下無双”なハービー・ハンコックの手に掛かれば『ザ・ニュー・スタンダード』→『ガーシュウィン・ワールド』への転換も問題なし。

 その後も「三匹目のドジョウ」を獲りにいき,カヴァー路線で名盤を量産しつつ,例のグラミー最優秀アルバム受賞作『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』で高みへと達するハービー・ハンコックにとってのターニング・ポイントが『ガーシュウィン・ワールド』なのだと思う。

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T−スクェア / CITY COASTER5

CITY COASTER-1 理由があって(福岡市内での引っ越しと霧島の別荘の引っ越しがダブルで重なり不動産4件の契約と解約もろもろで)発売日から3日後に『CITY COASTER』を聴くことになった。
 毎年の新譜をほぼフラゲして聴き続けてきたスクェア・ファンとしては,遅れを取り戻すべく?喰い気味で拝聴した久々のアルバムとなった。ここ数日は自分のことをする暇などなくジャズフュージョンも(そしてラジオも)聴く時間がなかったことも重なって,一心に拝聴したアルバムとなった。

 何を書きたいのかと言うと『CITY COASTER』でスクェア熱が爆発したということ。このウォーッと来る感覚は「河野坂東時代」に入ってからは『33(THIRTY−THREE)』でWピースした時か『NINE STORIES』でメロメロになった時以来の感覚がある。2週目にして『CITY COASTER』全曲を何度も聴きたいと思うようになった。

 だから名盤CITY COASTER批評はクラクラさせてください。フラフラさせてください。書きたいことが次々に浮かんでは消えていくので,大絶賛の備忘録的な感じで…。

 そもそも『REBIRTH』の劇的な評価UPについて書かないと始まらない。『REBIRTH批評を書いた時点では『REBIRTH』の出来は「まぁまぁ」であった。『REBIRTH』の長所よりも欠点にどうしても目が行ってしまう。そんなアルバムだった。
 だけど1年間,事あるごとに『REBIRTH』を聴きたくなってしまう症状に襲われ,坂東慧の“天才”に改めて気付いてしまったんだよなぁ。これが!

 だから『CITY COASTER』を聴いた1巡目も,1巡目なのに安藤正容ギターでもなく,伊東たけしサックスでもなく,河野啓三キーボードでもなく,坂東慧ドラミングに聴き惚れてしまった。
 いいや,POPな楽曲作りの才に惚れ込んだ。今回も「凄いぞ・名演&凄いぞ・名曲」坂東慧〜!

 上記の『REBIRTH』の流れで書き足します。『CITY COASTER』には伊東たけしEWIがない。これには驚いた。
 『CITY COASTER』にはスペシャル・ゲストとして,トロンボーン湯浅佳代子トランペット山崎千裕が参加した「目指せ! クルセイダーズ」なのが影響しているのだろうが,キッパリEWIを封印したのには驚いた。
( もう一方,ゲスト参加の大御所=パーカッションレニー・カストロ名演もお聴き逃しなく! )

 続けて『REBIRTH』の「バラードなし」の反動なのか『CITY COASTER』にはスロー・ナンバーが3曲目,5曲目,8曲目に配置されている。個人的にはこの3曲が彩る抑制美が『CITY COASTER』の休火山のように思える。← 今週,霧島市へ行った時に霧島連山の硫黄山がまた噴火したらしくて。そんなニュースからの休火山〜。

 そう。休火山があれば活火山がある。『CITY COASTER』の代表曲は3〜5曲目の前後である【CITY COASTER】と【幻想の世界】の2トップ。
 ただし個人的には“神曲”【CITY COASTER】を受けて,地味にジワジワな【FROM NOW ON】が大変気に入りました。スピード感ある懐メロのはずなのに最新のリズムで頭パニック&ウキウキ!

 安藤正容が目指すところの「クルセイダーズ的」なナンバーはラストの【TRAP IT】の1曲のみ。残る楽曲は「目玉の」トロンボーンサックスのアンサンブルためにアレンジされた“スクェア印”のGOGO。
 つまり『CITY COASTER』の真実とは40周年記念盤ではなく,T−スクェア単体としての“極上の”ニュー・アルバムなのである。

CITY COASTER-2 最初に『CITY COASTER』の情報が出てきた時は,30周年の『WONDERFUL DAYS』〜35周年の『SMILE』のような,40周年記念の「T−スクェアスーパーバンド」を期待していたものだから,仙波清彦田中豊雪則竹裕之須藤満宮崎隆睦和泉宏隆の代役に「トロンボーン奏者・オーディション」かよ〜。安藤さんも相当苦しそうだな〜って勝手にイメージしてしまっていた。

 安藤さん。またしてもすみませんでした。「飛車角金銀落ち」だと思った『CITY COASTER』は『WONDERFUL DAYS』と『SMILE』を越えてきました。坂東慧の“天才”が進化しておかげですねっ。

 今日書いておきたいのはこれぐらいだったかなぁ。OH!最後に1点あった。以下,公式フェイスブックからの引用文です。
 「今回のアルバムデザインは遊び心をたくさん詰めた作品となっており,スリーブデザインの中に,今作「CITY COASTER」の世界観を表現すべく,過去作のとあるタイトルとT-SQUAREのロゴが隠れています!!是非探してみてください。隠れタイトルは初回プレス限定の仕様となっておりますので,是非,お早めにご購入ください」。

 でっ,管理人が購入したCDのスリーブケースの上辺に,隠れタイトル『REBIRTH』の文字を発見。これって『CITY COASTER』は『REBIRTH』の続編って意味? 『REBIRTH』以外の「過去作のとあるタイトル」もランダムで書かれているのかな? ファンとしては妙に気になった次第です…。

  DISC 1
  01. City Coaster
  02. From Now On
  03. In My Dreams
  04. Better Than Yesterday
  05. Sleepless Night
  06. 幻想の世界
  07. Trade Wind
  08. Everlasting Dream Part II
  09. Trap It

  DISC 2 DVD
  01. Truth <2016/7/18 Zepp Nagoya>

(オレンジレディ/ORANGE LADY 2018年発売/OLCH 10010〜11)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
★【初回生産限定盤】ボーナスDVD付 2枚組
★【初回生産限定盤】三方背BOX仕様
★音匠仕様レーベルコート

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桑原 あい トリオ・プロジェクト / ラブ・テーマ3

LOVE THEME-1 「桑原あいトリオ・プロジェクト」の真実とは,桑原あいオリジナル曲を演奏するピアノ・トリオにして,森田悠介が「裏」で桑原あいを回すためのプロジェクトであったはず。

 なのに「桑原あいトリオ・プロジェクト」名義の4枚目にして,このコンセプトが変化した。
 そう。『LOVE THEME』(以下『ラブ・テーマ』)で演奏するのは,桑原あいオリジナル曲なしの全曲有名曲のカヴァー集である。
 加えて,ベースエレベ森田悠介が半分で,もう半分がコントラバス須川崇志という新編成である。

 森田悠介を相当買っていると公言していたくせに,須川崇志も大好きなベーシストなので,どちらかというと「桑原あいトリオ・プロジェクト」の“ワンランク上の変化”を期待して購入したのだが…。

 『ラブ・テーマ』は全然ダメだ。こんなにもありきたりな演奏だとは思わなかった。曲をなぞっただけの感じに落ち着くとは思わなかった。
 森田悠介よ,一体どうしたのだ…。「桑原あいトリオ・プロジェクト」においては「裏方」の森田悠介の才能の方が「メイン」を張る桑原あいの才能以上だと高く評価していたのに…。

 『ラブ・テーマ』の選曲もミスったと思う。スローからミディアム・テンポ中心なのでヒーリング系とかクラシック調とかのBGMを狙っているのか?
 「上原ひろみプログレ桑原あい」のイメージだったから尚更ガッカリである。どうせカヴァーをやるのなら,例えば,西山瞳が主宰する「NHORHMNEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL)」のようにHRHMの方が潔いし上手く行く。

 桑原あいにはスロー・バラードではなくハードでガンガンでギンギンの方が様になる。森田悠介もその辺は熟知したうえでのイメージ・チェンジ?
 アレンジにしても,それこそ山中千尋のように原曲の面影が残らないくらい激変しているわけではない。とにかく『ラブ・テーマ』について言いたいのは“大人しすぎる”。

LOVE THEME-2 ファンならずとも,桑原あい本人もちょっと違うと思ったのではなかろうか? 結果『ラブ・テーマ』が「桑原あいトリオ・プロジェクト」名義の最終作。

 非オリジナルにしてスロー系の『ラブ・テーマ』が失恋もどきで暗いジャズ・ピアノ集。聴いていて楽しいアルバムではない。
 将来“蜜月関係”が復活することがあるにしても,駄盤『ラブ・テーマ』で,これまでの順調で良好な関係が一時終了したのだ。

 その桑原あい森田悠介の間に割って入ったのがドラム石若駿桑原あいも今時の独身女性の一人である。
 森田悠介から石若駿へ目移りしたとしても,それが音楽的な意味合いであれば悪いことではないと思います。ですが真相は…。

  01. Amapola〜Deborah's Theme (from“Once Upon A Time In
     America”)

  02. Here There And Everywhere
  03. Finale (Tango Apasionado)
  04. In Your Own Sweet Way
  05. Nomad
  06. Barry Lyndon (Love Theme) (from“Barry Lyndon”)
  07. 21st Century Schizoid Man
  08. Peace
  09. Grandfather's Waltz
  10. A Journey To Reedham

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2015年発売/EWER-1004)
(紙ジャケット仕様)

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エリック・アレキサンダー / サミット・ミーティング4

SUMMIT MEETING-1 破竹の快進撃を続けるエリック・アレキサンダーの2管編成クインテットSUMMIT MEETING』(以下『サミット・ミーティング』)のキーワードは“安定と洗練”である。

 トランペットニコラス・ペイトンを迎えて繰り広げられたユニゾンとバトルが,胸のすく王道ハード・バップに仕上げられている。
 エリック・アレキサンダーの自信に満ちたテナーサックスが,アンサンブルをどっしりと下支えしている。変な小細工など一切なし。安心して,現代に復興された上質なハード・バップを楽しむことができる。

 しかし,ここまで滑らかな演奏集を聴いていると,諸手を上げて喜ぶことが出来ない。人間って本当に「無いものねだり」ばかり。何もここまで無駄を削ぎ落とさなくても…。
 元来,エリック・アレキサンダーは名うてのテクニシャンであった。ミストーンなどデビュー・アルバム『STRAIGHT UP』の時点で一音もないくらい。

 そんなエリック・アレキサンダーが『サミット・ミーティング』で妙に丸くなった気がした。シカゴ・テナー伝統の「力任せに吹き上げる」男気溢れるエリック・アレキサンダーをもっともっと聴きたいのだ。

 自分の中のエリック・アレキサンダーへ寄せる思いがどこにあるのかを『サミット・ミーティング』を聴いて自覚してしまった。“安定と洗練”は決して悪いことではない。
 ただし,エリック・アレキサンダーのシカゴ・テナーに魅了されてきたファンとしては『THE SECOND MILESTONE』で突き抜けた,あの路線をそのままブレずに突き進んでくれるものと思っていた。だから何だかなぁ。

 『サミット・ミーティング』での“非の打ち所のない”テナーサックスに逆にモヤモヤしてしまう。ヴィンテージの良さって,年々,魅力が増していくじゃないですかぁ。
 『サミット・ミーティング』での“安定と洗練”を聴いていると,ヴィンテージの良さが色褪せて,大量生産消耗品の1つとして出回っていく感じ?

SUMMIT MEETING-2 どうやら管理人の求めている方向性とドンピシャで交わったのは『THE SECOND MILESTONE』1枚だけだったみたいです…。
 『サミット・ミーティング』以降のエリック・アレキサンダーは「円ではなくて楕円」だったみたいです…。

 楕円には周期がある。またいつか管理人の大好きなエリック・アレキサンダーと巡り会える。そう信じたい。
 …ということで『サミット・ミーティング』以降のエリック・アレキサンダーは不定期購入。気に入ったアルバムだけを紹介いたします。

  01. SUMMIT MEETING
  02. THE SWEETEST SOUNDS
  03. THERE BUT FOR THE GRACE OF...
  04. I HAVEN'T GOT ANYTHING BETTER TO DO
  05. A HOUSE IS NOT A HOME
  06. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
  07. SOMETHING'S GOTTA GIVE
  08. ANDRE'S TURN
  09. AFTER THE RAIN

(マイルストーン/MILESTONE 2002年発売/VICJ-60963)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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桑原 あい トリオ・プロジェクト / フロム・ヒア・トゥ・ゼア5

FROM HERE TO THERE-1 「桑原あいトリオ・プロジェクト」である。「トリオ・プロジェクト」と聴いたら,まずは上原ひろみを連想するものであろう。
 これって上原ひろみと比較させるための桑原あいの戦略なのだろうか? 管理人は桑原あいによる「上原ひろみのフォロワー宣言」だと受け取った。
 そう。桑原あいが溺愛する上原ひろみのスタイルとは,実はピアニストの部分ではなくて,あのアグレッシブでプログレッシブな作編曲能力にある。

 その点で“天才”上原ひろみはギリギリまでいっても破綻しないのだが,桑原あいは途中で飛び立ってから元へ帰って来れない部分がある。いいや,一度破綻してからが“勢い勝負”。若干21歳の女子である。力業でアクロバティックに着地してみせる。若さだよねぇ。聴けば聴くほど面白くなる!

 プロとしての経験を積めば積む程『FROM HERE TO THERE』(以下『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』)のような“破天荒な”アルバムは作りにくくなると思う。桑原あい自身も,もう2度と同じものを作ることなどできやしない「幻のお化けアルバム」の誕生であった。
 そう。桑原あいの「アイディアがグッチャグチャ状態の頭の中」がそのまんま音として記録されたのが『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』である。

 いや〜,インディーズっていいですね。何の制約もなく本当にやりたい音楽を形にして発売することができる。『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』こそが「桑原あい100%」(アキラ100%風)の魅力であろう。
 ただし『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』が「桑原あい100%」に聴こえるのは,バンド・リーダーであるベース森田悠介の才能が大きい。

 桑原あいの「アイディアがグッチャグチャ状態の頭の中」を理路整然と形にしている。それも今となっては“確信犯”であろうが,森田悠介の好みのアイディアだけを桑原あいの頭の中ら抜き出している。

 ズバリ「桑原あいトリオ・プロジェクト」の真実とは,桑原あいオリジナル曲を演奏するピアノ・トリオにして,森田悠介が「裏」で桑原あいを回すためのプロジェクトなのである。

FROM HERE TO THERE-2 その意味で管理人は「桑原あいトリオ・プロジェクト」を「ジャズフュージョン界のドリカム」に例えよう。
 桑原あいを語るのなら,比較対象は上原ひろみではなくて吉田美和の方である。裏でガッツリとプロデュースする森田悠介によって,桑原あいが最高の演者として,前面で輝くためのピアノ・トリオなのだと思う。

 森田悠介押しの管理人としては『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』の聴き所は,森田悠介の超カッコイイ“変拍子GROOVE”に小躍りする桑原あいのエレガントなピアノであると信じている。

 時にジャズ,時にフュージョン,時にプログレ,そして時にドリカム…。
 桑原あいよ,森田悠介に逆らうな。森田悠介に身を委ね続けよ…。

  01. BET UP
  02. 3=log2(8)
  03. from here to there
  04. Edit typos.
  05. Chronometer
  06. mind blindness
  07. Circuit River
  08. Portrait of an old man
  09. Riverdance
  10. HiCCups!

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2012年発売/EWCD-0191)

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