アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

ジャズ

伊東 たけし / ダブル・サークル4

DOUBLE CIRCLE-1 ドッペルギャンガーフィリップ・セスと組んできた伊東たけしが“日本のフィリップ・セスクリヤ・マコトと組んだ『DOUBLE CIRCLE』(以下『ダブル・サークル』)。

 フィリップ・セスも先進的でトンガッテいたが“鬼才”クリヤ・マコトの作る「クラブ系」のサウンド・メイキングは,もはや伊東たけしフュージョンサックスの音楽ではない。
 ラップやスクラッチ,打ち込みやコーラス隊,トドメに【太陽にほえろ!のテーマ】まである。従来の伊東たけしのイメージからすると,オーッ!とドン引いてしまうくらいの過去最大のインパクト有!

 ちょっと待った〜! そこの“T.K.”ファンの皆さん。ここまで読んで「聞かず嫌い」とは何とも勿体ない!
 ズバリ『ダブル・サークル』とは,相当に聴きやすい「ジャム系」の名盤である。

 ただし,あの時代には早すぎた。あと数年後=「メデスキ,マーチン&ウッド」や「ソウライヴ」の「ジャム・バンド」が来た後だったなら大ヒット間違いなしの「早過ぎた名盤」だと思う。

 というのも管理人も『ダブル・サークル』の発売当初は「喰わず嫌い」。アルバムを聴く前に【太陽にほえろ!のテーマ】のサントラ盤を耳にしたものだから余計に「喰わず嫌い」に…。
 今でもラップは嫌いだし「喰わず嫌い」の『ダブル・サークル』には名盤ではなく迷盤?の予感がプンプン漂っていた。

 しか〜し「メデスキ,マーチン&ウッド」や「ソウライヴ」を経由した管理人にとって『ダブル・サークル』は耳に優しかった。
 特に【BELIEVE MY HEART】〜【FINESSE】〜【HIGH TIME】〜【MAGNUM】の連続する「ソフトなクラブ系」の流れがゴチソウすぎる!

 クリヤ・マコトの溢れ出る才能はフィリップ・セスと遜色なし。時代を先取りした強めの感覚が伊東たけしの「渋めの」サックスに妙に似合っている。
 雄大に朗々とサックスを気分良さそうに吹き上げる“T.K.”が素直にカッコイイと思ってしまう。

DOUBLE CIRCLE-2 でも逆にサックスがビートに追われる感じの曲には付いて行けないままでいる。クリヤ・マコトの“天才”に管理人が追いつくまであと何年かかることだろう…。

 『ダブル・サークル』の「喰わず嫌い」は勿体ないと力説してきましたが,ごめんなさい。
 ここ数年の管理人は大好きだった【BELIEVE MY HEART】も聴かなくなって【FINESSE】〜【HIGH TIME】〜【MAGNUM】の3曲ばかりなのです。ごめんなさい。

  01. Dawn out
  02. Quiet frequency
  03. Deeper than gravity
  04. Believe my heart
  05. Finesse
  06. High time
  07. Magnum
  08. Never again
  09. Dawn out 〜refrain
  10. I wish
  11. 太陽にほえろ!のテーマ (Take1025)

(キティ/KITTY 1999年発売/KTCR-1498)

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ドナルド・ハリソン & テレンス・ブランチャード / エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル4

ERIC DOLPHY & BOOKER LITTLE REMEMBERED LIVE AT SWEET BASIL-1 『ERIC DOLPHY & BOOKER LITTLE REMEMBERD LIVE AT SWEET BASIL』(以下『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』)とは,エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボの現代版の再演ライブ集である。

 場所はスイート・ベイジルでのライブ。メンバーはアルトサックスバスクラリネットドナルド・ハリソントランペットテレンス・ブランチャードピアノマル・ウォルドロンベースリチャード・デイビスドラムエド・ブラックウェルである。

 そう。“本家”エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボのリズム・セクションそのまんまに,新進気鋭のドナルド・ハリソンエリック・ドルフィー役を,トランペットテレンス・ブランチャードブッカー・リトル役を務めたリメイク集なのである。

 『アット・ザ・ファイブ・スポット』シリーズの25年振りのリメイク・ライブなのだから,単なる完コピでも単なる焼き直しでもあろうはずがない。
 しかし,管理人は『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』の出来上がりには満足した。よくある有名映画のハイウッドのリメイク集のような「中身空っぽ」ではないからだ。

 『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』におけるドナルド・ハリソンテレンス・ブランチャードエリック・ドルフィーブッカー・リトルの「意思」を受け継ぎつつも,自分なりのアプローチで「聴かせる」演奏をしている。

 エリック・ドルフィーの独特の音圧,独特のスピード感,独特の高低差を用いながらも,ドナルド・ハリソンは25年後のエリック・ドルフィーを想定しながら内容のあるアドリブを吹いていく。
 ブッカー・リトルの感情に流されず,それでいて興奮を忘れない語法を用いながらも,テレンス・ブランチャードが25年後のブッカー・リトルを想定しながら内容のあるアドリブを吹いていく。
 あのエリック・ドルフィーの役回りとあのブッカー・リトルの役回りの大役を見事に務め上げている。

 ドナルド・ハリソンテレンス・ブランチャードがプレッシャーなど微塵も感じさせない快演を披露できたのにはわけがある。それこそがピアノマル・ウォルドロンベースリチャード・デイビスドラムエド・ブラックウェルのリズム隊の存在である。

 管理人はこれまでエリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボの音源は,エリック・ドルフィーアルトサックスバスクラリネットブッカー・リトルトランペットばかりを聴いていた自負があった。
 しかしそれは事実ではなかった。アルトサックストランペットを集中して聴いていた“つもり”であった。

ERIC DOLPHY & BOOKER LITTLE REMEMBERED LIVE AT SWEET BASIL-2 『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』を聴いて始めて『アット・ザ・ファイブ・スポット』シリーズは,このリズム隊の存在なくしては生まれなかった名演であったことが分かった。

 そう。『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』に感じる『アット・ザ・ファイブ・スポット』シリーズの雰囲気こそが,このリズム隊の雰囲気であった。

 どんなにエリック・ドルフィーの演奏が熱く革新的で,ブッカー・リトルの演奏が叙情性豊かで時代の半歩先を行ったものであろうとも,それを引き立てるマル・ウォルドロンの和音の反復を繰り返す重たいピアノリチャード・デイビスの攻撃的なベースエド・ブラックウェルのパーカッシヴで拡散的なドラムがあればこそ!

 『エリック・ドルフィー & ブッカー・リトル・リメンバード・ライブ・アット・スイート・ベイジル』には,追憶と復活,確認と伝承,今日と明日について語っている。
 過去を振り返ると同時に未来を見つめてきた,マル・ウォルドロンリチャード・デイビスエド・ブラックウェルの25年間の音楽が詰まっている。

  01. THE PROPHET
  02. AGGRESSION
  03. BOOKER'S WALTZ

(パドルホイール/PADDLE WHEEL 1987年発売/K32Y 6145)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー)

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カシオペア・サード / A・KA・RI4

A・KA・RI-1 『A・SO・BO』『I・BU・KI』に続く三文字シリーズ三部作の完結編が『A・KA・RI』。

 先日の「CASIOPEA 3rd 2018 A・KA・RI LIVE TOUR」のMCで野呂一生が語っていたが,この三部作,1作目の『A・SO・BO』を作っている時は全然そんなこと考えていなかったらしいが『I・BU・KI』辺りから「これは行けるかな」になって,知らないうちに三部作となっていたという。メンバーの皆さんは「あっ,そうなんだ」みたいな感じだったそうだ。

 つまり三文字シリーズとは後付であった。ただし三部作の完結編『A・KA・RI』だけは『A・SO・BO』と『I・BU・KI』を意識して作られたということになる。ストーリーなき帳尻合わせは非常に大変な作業であったことだろう。

 しか〜し,そんな困難をいとも簡単にクリアしてしまうのが野呂一生の“天才”であり「カシオペア・サード」の“円熟”である。
 『A・KA・RI』から響く,ヴァリエーションに富んだ美しい楽曲,個々の卓越した演奏能力にバンドとしての絶妙なアンサンブルと表現力が“カシオペア印”のど真ん中。
 うんうん。『A・KA・RI』を聴けば『A・SO・BO』と『I・BU・KI』との共通項が“浮かび上がって”聴こえてくる。

 『A・KA・RI』のハイライトは「カシオペア・サード」初の試み=ラスト2曲の【LAST DANCE】と【FLOWER OF LIFE】にある。
 【LAST DANCE】は6/8拍子で遊んでいる。【FLOWER OF LIFE】はディスコで遊んでいる。
 そう。「リズムで遊ぶ」が『A・SO・BO』であり「初の試み」が『I・BU・KI』である。だから「リズムで遊ぶ」+「初の試み」=『A・KA・RI』が誕生したのだ。

 大高清美の【URBAN STARS】なんかは,もろカシオペアのDNAなのだが,大高清美以外には考えつかないカシオペアのニュー・スタンダード・ナンバーだと思う。このリフが頭の中でループして離れない。
 鳴瀬喜博の【Ui Uiz U Uiz Us】はPOPでウキウキなカシオペア版の「TRIX」である。

 ズバリ『A・KA・RI』最大の魅力は「カシオペア・サード」の持つ「バンド力」だと思う。
 カシオペアというバンドは野呂一生のバンドである。しかし同時にメンバー全員が主役として輝けるバンドでもあるのだ。

A・KA・RI-2 『A・KA・RI』で三文字シリーズ三部作の完結を迎えた「カシオペア・サード」。ここでブーイング承知でカシオペアの次なるステージをリクエストする。
 それは『TA・MA・TE・BOX』の続編である。

 正直『A・SO・BO』『I・BU・KI』『A・KA・RI』の「カシオペア・サード」に『TA・MA・TE・BOX』を聴いた時のあの興奮を感じない。

 これって管理人だけなのかもしれない。新作を聴く度にバンド・アンサンブルもテクニックも向上していることは認めるのにやぶさかでない。でも管理人がカシオペアに求めているのは安定・安心ではないドキドキ・ワクワクなのだ。
 もはや『TA・MA・TE・BOX』を越えてくることなんて「ないものねだり」なのだろうか? 『A・KA・RI』がいいアルバムであるだけに余計に『TA・MA・TE・BOX』の新鮮味が恋しくなってしまいました。

PS 『A・KA・RI』は「LIVEが先でCDが後」になったカシオペアの初パターン。だからリスニングルームで聴く『A・KA・RI』は,第一印象よりも大人しく聴こえてしまいます。だから『A・KA・RI』に新鮮味を感じるのが【URBAN STARS】【Ui Uiz U Uiz Us】【LAST DANCE】【FLOWER OF LIFE】の4曲だけなの? オープナーの【TSU・BA・SA】が良い曲だったら良かったのになぁ。

  01. TSU・BA・SA
  02. MISSIONS
  03. I'LL BE RIGHT THERE
  04. URBAN STARS
  05. LIGHTS IN THE HEART
  06. Ui Uiz U Uiz Us
  07. GROUND FEELINGS
  08. MAGIC TOUCH
  09. ETHNIC STREET
  10. LAST DANCE
  11. FLOWER OF LIFE

(ハッツ・アンリミテッド/HATS UNLIMITED 2018年発売/HUCD-10263)
(☆BLU−SPEC CD2仕様)

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エリック・ドルフィー / メモリアル・アルバム5

MEMORIAL ALBUM-1 『MEMORIAL ALBUM』(以下『メモリアル・アルバム』)が,なぜ『ERIC DOLPHY AT THE FIVE SPOT,VOL.3』のタイトルにならなかったのかはヤボなので説明しないが,正真正銘『アット・ザ・ファイブ・スポット』シリーズの第3弾として崇められるべき名盤である。

 エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボの爆発力は,長尺2曲の『メモリアル・アルバム』でこそ発揮される。
 エリック・ドルフィーブッカー・リトルのアブストラクトでアバンギャルドで自由度の高い“双頭ブロー”が最高に素晴らしい。

 とは言え,アルトサックスフルートバスクラリネットエリック・ドルフィートランペットブッカー・リトルピアノマル・ウォルドロンベースリチャード・デイビスドラムエド・ブラックウェルのレギュラー・カルテットはファイブ・スポットの時点では未だ未完成。

 『メモリアル・アルバム』というか『アット・ザ・ファイブ・スポット』シリーズは「海の物とも山の物ともつかない」「伸るか反るか」の一発勝負。
 エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボが,何かをつかもうと必死にもがく一途な気持ちが感じられるが,その一方で未完成ゆえのもろさ,誰かがちょっとバランスを崩しただけで全体が崩壊してしまいそうな危うさが同居している。

 ただし,エリック・ドルフィーブッカー・リトルも,好きなように演奏しているようで実はバップのフォーマットを意識している。
 ズバリ,エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボの爆発力は,バップ・フォーマットの枠内という“縛り”があったからである。

 例えば,クラシックの演奏家は皆同じ楽譜で演奏したとしても,同じ演奏のはならない。作曲家はソナタ形式という決まりごとの中でもどこまでも自由を膨らませられる。枠の大きさとその中でやれることの自由度とは比例しない。決まりごとがあると自由にはできないということではない。
 そう。エリック・ドルフィーブッカー・リトルの双頭コンボは,外部から全く新しいものを創造したのではなく,既存のフォーマットの内部に残された可能性を解放するコンボなのである。

MEMORIAL ALBUM-2 普段はエリック・ドルフィーブッカー・リトルばかりを追いかけている管理人であるが【ナンバー・エイト】の主役は,ピアノマル・ウォルドロンドラムエド・ブラックウェルである。だから『メモリアル・アルバム』!

 マル・ウォルドロンの打楽器としてのピアノの連打に先導されたエド・ブラックウェルドラム・ソロ
 曲中でフィーチャリングされる長尺のドラム・ソロだが,曲の雰囲気をまったく壊すことなく,演奏の中に必然的に溶け込んでいるように感じるのは,マル・ウォルドロンのリフっぽいバッキングが脳に染み付いている状態の中で展開されるドラム・ソロだからだろう。

 実際にはピアノの音は鳴っていないにも関わらず,ピアノのバッキングにあわせてドラムが叩かれているかのような錯覚に陥る。荒っぽくも腰の高いドラミングがアブストラクトでアバンギャルドなエリック・ドルフィーブッカー・リトルを煽っていく。

  01. NUMBER EIGHT (POTSA LOTSA)
  02. BOOKER'S WALTZ

(プレスティッジ/PRESTIGE 1965年発売/VICJ-60012)
(ライナーノーツ/ロバート・レヴィン,青木和富)

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20180729 CASIOPEA 3RD LIVE NO.2

 「CASIOPEA 3rd 2018 A・KA・RI LIVE TOUR」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 カシオペアのファン層からすると40代の管理人は若輩者に入る。ゆえにカシオペアライブは大抵,会場の全員が座りっぱなし。各々が自分のカシオペア・ワールドに入った「音楽鑑賞会」な感じだと思う。
 そんないつも通りのライブ進行を予想していたが,今回の福岡公演は中盤からラストまでスタンディング。イェイ!

 いつものパターンだとナルチョベースソロでの“会場練り歩き”で強制的に起立されられるのだが,今年は中盤の「踊るコーナー」が終了しても誰も座らない。
 ここに昨日書いたカシオペア史上初の「立ち位置逆」の成果がある。これまでの大高清美のコーナー→鳴瀬喜博のコーナーのパターンは「80歳→70歳→69.5歳の長老」鳴瀬喜博の持ち時間(トーク)が長すぎるゆえ,どうにも間延びして凹凸。神保彰のコーナーがテキパキ進むのが好対照の印象。

 鳴瀬喜博大高清美神保彰の実にスムーズなこと。心地良さを体感したからこそ観客は最後まで総立ちだったのだと思う。
 そんな総立ちの観客を前に野呂一生が燃えないわけがない! 前記「踊るコーナー」とは別にクライマックスの序章としてナルチョベースソロ・コーナーがあるのだが,ベースソロから繋がって始まった【TOKIMEKI】での野呂一生の拳振り上げは,ナルチョベースソロ・コーナーから繋がっている。そんな野呂一生の拳振り上げを見たメンバーも目が点になって,次に全員が大爆笑〜。

 そんな,野呂一生が「顔」を務める「カシオペア・サード」のライブ会場限定特典の「ステッカー」「サイン色紙」「握手券」がこちらです。ライブ終了後に行なわれた握手会にも参加してきました。

A・KA・RI TOUR 特典-1A・KA・RI TOUR 特典-2A・KA・RI TOUR 特典-3

 「カシオペア・サード」としてはお初となる?握手会では神保さんと少し長話できました。ナルチョのMCの中で「汗いっぱいかかないんだけど,手足はず〜っと動いてます」と紹介されたことを話題にすると神保さん,ドラムはリラックスして叩く。盛り上がって思いっきり叩くと音がつぶれちゃう。濁っちゃう。軽く叩くのがドラムの音を美しくする秘訣なのだそう。だからドラマーは意外と疲れない,とのことでした。

 だから汗1つかかずにあんなに笑顔でドラム本来のふくよかな音色を鳴らせるのですねっ。神保さんのステージ上と握手会での笑顔を「神保推し」の武ちゃんさんとの打ち上げ会場「山ちゃん」までオカズとして持ち帰りましたとさ。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20180729 CASIOPEA 3RD LIVE NO.1

 行ってきました! 7/29「スカラエスパシオ」の「CASIOPEA 3rd 2018 A・KA・RI LIVE TOUR」!

 2018年の夏は記憶にも記録にも残る異常気象。普段は外回りの多い管理人としては7−9月の3ヵ月で使う体力を7月の1カ月間で消耗した感じ。体調不良の酷暑の中,爽やかな一日を楽しみにしていた「カシオペア・サード」の恒例サマー・ツアーにも異常気象が爪痕を残す〜。
 野呂一生の「雨風の中ようこそお越しいただきました」のMCズバリ「逆走台風」台風12号が公演時間に福岡大直撃。公演中止の発表がないか,何度も公式HPを確認しながら天神までタクシーで! ← この全ての送迎サービスは武ちゃんさんのおかげです。感謝&感謝!

 しか〜し,カシオペアの2018サマー・ツアーが記憶に残るライブになったのは「逆走台風」のせいだけではなかった。カシオペアの新しい取り組み(ワンドリンク制&握手会)の導入が効いている。
 しか〜し2,個人的には新作のフォロー・ツアーでは多分初めての予習なし。初めて新曲をライブ会場で聴くというスリリング。実は単なるボーンヘッドが棚ボタを呼び込んでくれました。事の詳細は『A・KA・RI批評をカミングスーン。

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 野呂 一生 : Guitar
 ★ 鳴瀬 喜博 : Bass
 ★ 大高 清美 : Keyboard
 ☆ 神保 彰 : Drums

 今回の座席は3列11番。中央ブロックだし,いつもの如く野呂一生のパフォーマンスをガン見してきましたが,前回のツアーからチェンジしたと噂の「左に大高清美オルガン,右に鳴瀬喜博ベースが揃い踏みする」カシオペア史上初の「立ち位置逆」を目撃証言。

 この光景が新鮮なのは置いといて,僕となって働いている「野呂一生&ザ・バンドマン」が,一躍主役に躍り出るソロ・コーナーの順番も(時計回りはそのまんまに)大高清美鳴瀬喜博から鳴瀬喜博大高清美の順番に変更。
 ただでさえエンゲル係数高い。ただでさえ一発単価安い。この順番変更が事件を起こす!

 エコノミー症候群から身体をほぐす?2018年は盆踊りではなくディスコ・フィーバー。鳴瀬喜博の【Ui Uiz U Uiz Us】が「フィーバー,フィーバー,レッツラゴー」。日大相撲部(中洲産業大学)のダンサーズが笑顔で登場。これが伏線?

 大高清美の【URBAN STARS】は「ちゃんと踊れるようにサンバ調にしました。夏ですから」。「三部作の最終章ということで私の中でのカシオペアというイメージ。16分音符がたくさん。16分音符のクイがたくさん。野呂一生の独自のコード進行がいっぱいみたいな。そういうのをてんこ盛りに入れてみました。ねっ」の振りに「私より難しいと思いますよ」と答える野呂さん。
 「この5年間で培った野呂一生のコード進行法をしっかりと入れさせていただきました」と返す刀で,ナルチョベースが本当に壊れた。

 「ベース壊れました。今の【アーバン】で。しゃべれってことかなあ。ちょっと【アーバン】何あの曲〜。今日さぁ,クイのところで手拍子が1個入っちゃって。お客様の手拍子〜」。
 日大相撲部の復旧作業でカエルさんが復活しました〜。

 【URBAN STARS】恐るべし。最近,大高さんの影響を受けて「奇数の7の倍数を4の中に織り込む」神保さんが言うところの「途中踊れなくなるところがある」「サンバなのに3拍子が入っている。あっ,サンバだから3でいいんですかね?」。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 2001年度(第35回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は2001年度(第35回)の発表です。

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ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック★【金賞】.ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック
マイケル・ブレッカー


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フレンチ・バラッズ (SACD盤)★【銀賞】.フレンチ・バラッズ
アーチー・シェップ


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しーそー★【日本ジャズ賞】.しーそー
渋谷毅&森山威男


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ザ・ルック・オブ・ラヴ★【ボーカル賞(海外)】.ザ・ルック・オブ・ラヴ
ダイアナ・クラール


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ミスティ K★【ボーカル賞(国内)】.ミスティ K
小林桂


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ジャズ・アドヴァンス★【編集企画賞】.スーパー・ビット・ジャズ・クラシックス・シリーズ


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ティーン・タウン★【製作企画賞】.ティーン・タウン
マンハッタン・ジャズ・クインテット


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IMAGINARY DAY LIVE-1★【最優秀ジャズ・ビデオ賞】.イマジナリー・デイ・ライブパット・メセニー・グループ


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ウッド★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.ウッド
ブライアン・ブロンバーグ


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コンテンポラリー・リーダーズ+3★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.“ヘリテッジ・オブ・ジャズ”シリーズ(Contemporary)


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Come Dream With Me★【ニュー・スター賞(海外)】.カム・ドリーム・ウィズ・ミージェーン・モンハイト


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ガール・トーク★【ニュー・スター賞(国内)】.ガール・トーク
akiko


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 マイケル・ブレッカーの『ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック』が【金賞】受賞。

 この時代に,いいや,この時代だからバラード・アルバムなのだろう。管理人的には『ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック』は,マイケル・ブレッカー1人のアルバムではない。
 プロデューサーを務めるパット・メセニーのアルバムとも言えるし,ハービー・ハンコックチャーリー・ヘイデンジャック・デジョネットのアルバムと言っても過言ではない。

 そう。『ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック』は,マイケル・ブレッカーの音で彩られた,オールスター・ジャズバラード
 マイケル・ブレッカーは自分の我を張るでもなくパット・メセニーと共演者のリクエストに応えて気持ち良く音を重ねていく。なんてったって最高のジャズメンに囲まれて,マイケル・ブレッカーの大好きなバラード・ナンバーを演奏できるのだから…。

 理性と感情が入り混じる『ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック』でのマイケル・ブレッカーテナーサックスが胸を打つ。メロディーをじっくりと吹き上げている。名演集の極みであろう。

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伊東 たけし / スケア・ヘッドライン5

SCARE HEADLINE-1 『VISIONS』以降の伊東たけし。すなわちT−スクェア退団後のソロ・アルバムはそのどれもハイ・ボルテージ。
 しかし,その中でもとびきり高電圧なのが『SCARE HEADLINE』(以下『スケア・ヘッドライン』)である。

 伊東たけしソロとしては,積み上げてきた“最高傑作”『T.K.BREEZE』を区切りとして『スケア・ヘッドライン』以降,意識してスクェア色を消し去ろうとしていたように感じている。

 そう。『スケア・ヘッドライン』での“イケイケの”伊東たけしを聴く限り,これが元スクェアのフロントマンの今なのか!と驚きを隠せない。
 ヒューマンなバンド・サウンドとは毛色の異なる,無機質な伊東たけしのインダストリアルなワンマン・サウンドが高電圧!

 ただし,あのくすんだアルトサックスの音色と独特のフレージングは“T.K.節”そのもの! 住友紀人の大暴れのバック・トラックに一歩も引かないハイ・ブロウに首ったけ(首っT.K.)!

SCARE HEADLINE-2 管理人のスクェア・ファンとしての黄金時代。それは本田期のスクェアの新作と伊東たけしの新作が毎年発売されていた黄金時代。
 その絶頂は『ブルー・イン・レッド』と『スケア・ヘッドライン』とのタイプの違う星5つが重なった1997年であったように思う。

 『ブルー・イン・レッド』を聴くと『スケア・ヘッドライン』を思い出し『スケア・ヘッドライン』を聴くと『ブルー・イン・レッド』を思い出してしまう。
 この2枚,相互補完の2枚であって,互いに互いの価値を高め合い,高みの頂点に達した印象を残している。

  01. Signs From You
  02. Scare Headline
  03. Mayuyama
  04. Phat Kat
  05. I Won’t Go Anywhere Without You
  06. Real Time Inverted
  07. Ma〜Pa
  08. Sure It Is
  09. Home,Sweet Home

(イーストウエスト/EASTWEST 1997年発売/AMCM-4293)

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エリック・ドルフィー / ラスト・デイト5

LAST DATE-1 長らくエリック・ドルフィーの「遺作」として知られた『LAST DATE』(以下『ラスト・デイト』)を管理人は「遺作」だとは思っていない。

 それって遅れてやってきた『LAST RECORDING』に遺作の立場を乗っ取られたという意味ではなくて『ラスト・デイト』の演奏内容が素晴らしすぎるからである。
 『ラスト・デイト』で最高に躍動しているエリック・ドルフィーが,死の病魔に侵されているなど微塵も感じさせない,熱のこもった演奏が繰り広げられている。
 (改変できるものならば)アルバム・タイトルは『ラスト・デイト』ではなく『ファースト・デイト』の方が似合っている。

 そう。『ラスト・デイト』のエリック・ドルフィーアルトサックスが,フルートが,バスクラリネットには「生命力が漲っている」。
 こちらは世評も正しく,エリック・ドルフィーの吹き上げた音が翼を着けて,今にも空中に羽ばたき舞い回るように感じられる。
 ん? 例の死の直前の輝きなのかっ? あれれっ? 矛盾?

 『ラスト・デイト』のエリック・ドルフィーが特別なのは,エリック・ドルフィー1人が突出したセッションではなく,エリック・ドルフィーが生涯恵まれることのなかった,エリック・ドルフィー・レギュラー・コンボの音になっていることが大きい。 
 『アット・ザ・ファイブ・スポット』がそうであるように,エリック・ドルフィーアドリブの人であると同時に,本当はセッションではなくコンボの方がハマル人だと思っている。

 『ラスト・デイト』のメンバーは,ワンホーンのエリック・ドルフィーピアノミッシャ・メンゲルベルクベースジャック・ショールスドラムハン・ベニンク
 そう。全員が名立たるヨーロピアン・ジャズの実力者であって,単なるサイドメンとしての参加ではないし『ラスト・デイト』でのテンションはエリック・ドルフィーとの共演に触発されてか,ヨーロピアンの白人のノリがエリック・ドルフィーの「軽いノリ」と絶妙なマッチングを聴かせてくれる。

 そんなお気に入りの自分のコンボをバックに従え(事実,エリック・ドルフィーはこのメンバーでコンボ結成の話を進めていた!)エリック・ドルフィーの奇抜なアドリブが大いに冴えわたる。
 一聴,調子っぱずれと聴こえてしまう特クネクネと飛躍する異なジャンピング・フレージングが理知的に構築されていく。長尺のソロを聴いても,定型を避けよう,常に違う地平へ,違う次元へ向かおうとする気概が伝わってくる。

LAST DATE-2 伝統的なコード進行を崩すことなく即興の新しい可能性を探求する『ラスト・デイト』の演奏内容に「遺作」の言葉は似合わない。
 『ラスト・デイト』のラストに「音楽は演奏と共に空に消え去ってしまい,2度とそれを取り戻すことはできない」と語るエリック・ドルフィーの肉声が収録されている。

 しかし空に消え去ってしまったのはエリック・ドルフィーの方であって,エリック・ドルフィーの音楽は,永遠に耳を傾ける者の心を揺さぶり続けている。
 音楽の99%はライブ演奏などメディアに記録されることなく消え去ってしまう儚さを指して語られたものだろうが,ほんの1フレーズであっても最高のアドリブ芸術は人々の心の書き板に刻まれ色褪せることはない。
 エリック・ドルフィーの最高のアドリブは永遠に消え去ることはない。

  01. HAT AND BEARD
  02. SOMETHING SWEET, SOMETHING TENDER
  03. GAZZELLONI
  04. OUT TO LUNCH
  05. STRAIGHT UP AND DOWN

(フォンタナ/FONTANA 1964年発売/UCCU-5034)
(ライナーノーツ/成田正,児山紀芳)

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チキンシャック / CHICKENSHACK III4

CHICKENSHACK III-1 チキンシャックとは,サックス土岐英史ギター山岸潤史を中心とした日本の凄腕スタジオ・ミュージシャンが集まったフュージョンバンド

 ゆえに3作目ともなればメンバー・チェンジが行なわれるのも普通の事であって(だってスクェアなんかは,デビュー後,アルバム発表の都度,メンバー・チェンジが行なわれている事実)『CHICKENSHACK 』ではドラムマービン・ベイカーにチェンジした。

 そうして出来上がった『CHICKENSHACK 』に土岐英史山岸潤史の本気度を聴いた気分がした。
 『CHICKENSHACK』『CHICKENSHACK 』で流れていた“URBANな”チキンシャックのバンド・サウンドが響いている。

 そう。チキンシャックは,スタジオ・ミュージシャンの単なる楽しみのためのセッション・バンドではなかった。セクシーでファンキーでメロディアスなサウンドを聴かせるフュージョンバンドだったのだ。

 とは言えチキンシャックのバンドとしての個性が固まったのは,ソウル・コーラス・グループのパーティ・セッション風な『CHICKENSHACK 』からだと思う。
 そう。『CHICKENSHACK 』は,ファンキーなヴォーカルをドカッと中心に据えて,ムードで流すというよりはノリで聴かせるアルバムである。

CHICKENSHACK III-2 要するにチキンシャックが目指したのは「メロウなファンク」である。ファンクと言ってもビートではなくソウルの方である。

 土岐英史山岸潤史の高い音楽性が融合し,本場アメリカのソウルのモノマネではなく日本特有のソウルを表現するとなると『CHICKENSHACK 』の“URBANな”ノリに行き着くのだろう。

  01. GROOVE LINE
  02. THE FUTURE FUNK
  03. HOLD ON
  04. LITTLE LIGHT
  05. RICKY
  06. BIG MAMA
  07. I'M A GOOD GIRL
  08. PERFUME
  09. GIVIN’MY LOVE FOR YOU
  10. WITH THIS LOVE
  11. SHIRLEY

(メルダック/MELDAC 1987年発売/MED-25)

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エリック・ドルフィー / アウト・トゥ・ランチ4

OUT TO LUNCH-1 エリック・ドルフィー唯一のブルーノート盤『OUT TO LUNCH』(以下『アウト・トゥ・ランチ』)を世評とは異なり管理人は評価していない。

 こう書くと駄盤だと思われるといけない。『アウト・トゥ・ランチ』の演奏は素晴らしいし,リハーサルをこなしたセクステット編成が細部までが練り上げられている。ブルーノートらしい音だと思う。
 しかし,そのカチッとした構成ゆえに音楽のレベルが高いのを認めるとしても,聴いて楽しいとは思えない。だから好きとは公言できない。

 管理人はエリック・ドルフィーはメロディーの人ではなくアドリブの人だと思っている。『アウト・トゥ・ランチ』のアドリブはそれほどではない。アドリブなら『アット・ザ・ファイブ・スポット』を聴くべきだろう。

 要するに『アウト・トゥ・ランチ』は,美味しいところがなくなった芸術作品であり,エリック・ドルフィーが「こじんまりとまとまっている」。アブノーマルな「お行儀の良さ」が鼻につく。
 そのせいか『アウト・トゥ・ランチ』でのエリック・ドルフィーって,結構,理知的なアドリブを吹いている。単なる激情の人ではなかったのだ。

 ゆえに『アウト・トゥ・ランチ』でのエリック・ドルフィーの演奏は新主流派のクインテットに迎えられた客演のようだ。サイドメン的な異色のアルトサックスが一音鳴れば,新主流派が“ひっくり返る”感じがする。

 暴言を吐けば『アウト・トゥ・ランチ』の音楽性の主役はボビー・ハッチャーソンの硬質で幾何学的なヴァイブであろう。ボビー・ハッチャーソン「世紀の大名演」の1枚として推薦したい。

OUT TO LUNCH-2 管理人の結論。『アウト・トゥ・ランチ批評

 『アウト・トゥ・ランチ』は,アウトローのエリック・ドルフィー最大の優良盤が裏目のアウトロー。
 まったく隙のない内容なのに,メロディーどころかハーモニー,リズムに至るまでその全てがことごとくアウトしまくりで,聴いてるこっちが吐きそうになるくらいのアブストラクト感。

 フリージャズ〜新主流派の名手たちが,こぞってエリック・ドルフィーの特異な音を共鳴させている。なんだか嗚咽が聴こえてくる気分になる。

  01. HAT AND BEARD
  02. SOMETHING SWEET, SOMETHING TENDER
  03. GAZZELLONI
  04. OUT TO LUNCH
  05. STRAIGHT UP AND DOWN

(ブルーノート/BLUE NOTE 1964年発売/UCCQ-9228)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/A.B.スペルマン,原田和典)

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テザード・ムーン / エクスピリエンシング・トスカ4

EXPERIENCING TOSCA-1 管理人のジャズ人生。キース・ジャレットトリオを選ばなかったなら「テザード・ムーン」を選んでいたのかもしれない。

 それくらい大好きな「テザード・ムーン」の『EXPERIENCING TOSCA』(以下『エクスピリエンシング・トスカ』)が難解である。
 『エクスピリエンシング・トスカ』はきっと名盤なのだろう。演奏は素晴らしいジャズ・ピアノである。でもどうにも感情移入できないでいる。

 理由は『TOSCA』にある。『TOSCA』とはジャコモ・プッチーニオペラのことである。
 だからオペラなど興味のない管理人でも『エクスピリエンシング・トスカ』を理解したいと思い『TOSCA』を見ました。しかもオペラのことに詳しい音楽仲間の解説付きで…。

 …で,オペラDVDを見た感想は『エクスピリエンシング・トスカ』とはつながらないなぁ。
 ちなみに『TOSCA』の終わりに,その友人T氏に『エクスピリエンシング・トスカ』も聞いてもらった。彼はジャズも嗜めるのだが「テザード・ムーン」の演奏は難しいそうだ。

EXPERIENCING TOSCA-2 だから管理人は『エクスピリエンシング・トスカ』を『TOSCA』とは無関係な菊地雅章ピアノ・トリオの1枚として楽しもうと努めてきた。

 でも薄々気付いている。『TOSCA』を超えなければ『エクスピリエンシング・トスカ』の凄さを見ることなどできないことを…。

 えっ,ジャズの次はオペラなのかっ!? オペラにハマってしまう前にどなたか『エクスピリエンシング・トスカ』の楽しみ方のご教授を!?

  01. Prologue
  02. Part I
  03. Part II
  04. Part III
  05. Homage to Puccini
  06. Ballad
  07. Blues for Tosca
  08. Part IV

(ウィンター&ウィンター/WINTER & WINTER 2004年発売/BOM-22197)
(☆直輸入盤仕様 ライナーノーツ/都並清史)

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エリック・ドルフィー / アット・ザ・ファイブ・スポット Vol.25

ERIC DOLPHY AT THE FIVE SPOT, VOL.2-1 エリック・ドルフィーのメインの楽器はアルトサックスなのだが,世間的にはフルート奏者,あるいはバスクラリネット奏者のイメージが強いように感じる。

 そんなフルート奏者のエリック・ドルフィーバスクラリネット奏者のエリック・ドルフィーの強烈なイメージ形成は『ERIC DOLPHY AT THE FIVE SPOT,VOL.2』(以下『アット・ザ・ファイブ・スポット VOL.2』)によるところが大きい。

 『アット・ザ・ファイブ・スポット VOL.2』でのエリック・ドルフィーは本職のアルトサックスを吹いていない。
 【アグレッション】ではバスクラリネットを吹き【ライク・サム・イン・ラヴ】ではフルートを吹いている。このアルトサックスからの持ち替えで名盤を作ったエリック・ドルフィーの凄さが伝わるだろうか?

 エリック・ドルフィーの吹くフルートバスクラリネットがまぁ凄い。怪物の登場のようである。ドスンと重いフレージングが軽やかに流れ続ける。何度聴き返しても本職のフルート奏者,バスクラリネット奏者以上の演奏力に驚愕してしまう。

 いいや,やっぱり聴き返すと,フルートバスクラリネットの細かな表現力はそれほどでもない。ただし,エリック・ドルフィーの伝える力,発信しているメッセージがメガトン級に重いのだ。

 どうしても耳から頭から離れないエリック・ドルフィーの驚異のフレージング。管理人はエリック・ドルフィーの吹くフルートバスクラリネットの奇抜なフレージングがどうやっても忘れられない。

 【アグレッション】の何分何秒とか【ライク・サム・イン・ラヴ】の何分何秒と言うわけではない。『アット・ザ・ファイブ・スポット VOL.2』はイメージとしてミニマル・ミュージックっぽいのだ。

 そう。エリック・ドルフィーは1曲1曲を大きなキャンバスに見立てて,そこへ木管楽器を筆として画を描いていくような芸術家に思う。エリック・ドルフィーの筆遣いは早い。瞬間的なタンギングが斬れ斬れで,サッササッサと筆を運んでいく。
 でも出来上がりを見てみれば,完璧な1枚の画が書き上げられている。右と左。上と下。前と後ろが非対称のようで調和しているのだった。常人には決してできない芸当であろう。

ERIC DOLPHY AT THE FIVE SPOT, VOL.2-2 管理人の結論。『アット・ザ・ファイブ・スポット VOL.2批評

 『アット・ザ・ファイブ・スポットVOL.2』のエリック・ドルフィーの魅力は,持ち替えのエリック・ドルフィーである。
 つまりアルトサックス奏者としては見せることのできなかった別の一面が解き放たれている。そしてそれこそが実は本当のエリック・ドルフィーなのではないか?と思わせるくらいに重く軽く強烈。決して脳裏から離れることのない衝撃波を放っている。

 エリック・ドルフィーアルトサックス奏者である。しかし,エリック・ドルフィーという名前を聞いて鮮明に思い浮かべてしまうのはフルート奏者のエリック・ドルフィーの方であり,バスクラリネット奏者のエリック・ドルフィーの方なのである。

  01. AGGRESSION
  02. LIKE SOMEONE IN LOVE

(プレスティッジ/PRESTIGE 1961年発売/VICJ-23512)
(ライナーノーツ/ロバート・レヴィン,悠雅彦)

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山中 千尋 / ユートピア4

UTOPIA-1 山中千尋ジャズ・クラシック・アルバムの第2弾が『UTOPIA』(以下『ユートピア』)。
 前回の『モルト・カンタービレ』が大好評。個人的にも『モルト・カンタービレ』の続編を期待していたので,今度は更に過激なアレンジで攻めてくるかと思いきや『ユートピア』には5年前に体感した“衝撃”があまり感じられなかった。

 勿論『ユートピア』もいい演奏ばかりである。特にモータウンな5拍子のビートがノリノリの【白鳥】には心底ヤラレテしまった。凄い&凄い。こんな【白鳥】を聴けるのは,世界中で山中千尋だけ!

 クラシックをカヴァーしたジャズ・アルバムと来ると,ジャズの特長であるリズムを変えるのがセオリー。『ユートピア』も山中千尋得意の「変拍子」の多投でガラッと印象を変えている。
 激変したリズムに耳も慣れ,いざメロディーに注意を向けていくと,ほぼオーソドックス。ここが何とももどかしい。山中千尋の個性であろう“遊び”の部分が薄いのだ。

UTOPIA-2 山中千尋の本気度を評価できるのは,曲の途中でピアノソロキーボードソロへの攻めた展開にある。ピアノキーボードによる語法の違いやズラシはあるが,1つの同じ世界なのに別々の世界が同居している感じがちーたんらしいのだ。

 弾き始めは有名クラシックを演奏しているつもりだろうが,やっぱり山中千尋は自身のオリジナル気分なんだよなぁ。そう感じるくらいにピアノキーボードを弾き倒している。
 これはアドリブではないよなぁ。全てが事前のアレンジであって計算されている。ここまでクラシックの所謂スタンダードを骨格の部分と上物の部分に分解し,壊してはならない柱には触らず,いじれる部分だけをいじり倒している。この「線引きの才能」が本当に素晴らしいと思う。

 一聴すると奇想天外なアレンジなのだが,何回も聴き込んでいくうちに実は緻密にアレンジされていることが伝わってくる。『ユートピア』はそんなアルバムだと思う。
 その視点で聴き返すと『モルト・カンタービレ』にも,クラシック出身の山中千尋ならではの教養の深さに説得されたことが分かるのだった。

UTOPIA-3 管理人の結論。『ユートピア批評

 『ユートピア』はクラシックも聞くジャズ・ファン向き,あるいはジャズも聞くクラシック・ファン向きであって,山中千尋ファンとしては,想定の範囲内での「なんでこうなるのっ」!的なアルバムである。

 …って『ユートピア批評も『モルト・カンタービレ批評の続編になっちゃいました。すみません。
 もっとちーたんのような深い解釈ができると良かったのですが『ユートピア』には正直,入れ込みが足りません。

PS 「UTOPIA-3」は販促用のクリアファイルです。

   CD
  01. Utopia
  02. La Piere D'une Vierge
  03. Mambo -from West Side Story-
  04. Rhapsody In Blue〜Strike Up The Band
  05. Le Cygne
  06. Piano Sonata No.4
  07. Orchestral Suite No.2 -Badinerie〜Ricochet
  08. Arpeggione Sonata
  09. I Loves You, Porgy
  10. Shinda Otokono Nokoshita Monowa〜Hope For Tomorrow
  11. Hungarian Dance No.5
  12. Songs My Mother Taught Me

   DVD
  01. La Piere D'une Vierge
  02. Rhapsody In Blue〜Strike Up The Band
  03. I Loves You, Porgy

(ブルーノート/BLUE NOTE 2018年発売/UCCJ-9215)
★【初回限定盤】 UHQCD+DVD

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エリック・アレキサンダー・カルテット / 真夜中のブルース4

BLUES AT MIDNIGHT-1 管理人はハロルド・メイバーンが大好きでエリック・アレキサンダー絡み以外でもハロルド・メイバーンソロ・アルバムも結構な枚数所有している。 ← ってハロルド・メイバーンピアノを一番聴いたのは矢野沙織ちゃんのアルバムで〜す。

 そんなハロルド・メイバーン・フリークとして自信を持ってお勧めできるのが,エリック・アレキサンダー名義の『BLUES AT MIDNIGHT』(以下『真夜中のブルース』)である。
 そう。『真夜中のブルース』は,エリック・アレキサンダーではなくハロルド・メイバーンを聴くためのブルース・アルバムなのである。

 『真夜中のブルース』でのエリック・アレキサンダーの出来は悪くはない。ブルースを題材に黒ノリの新境地にチャレンジしている。
 ただ悲しいかなエリック・アレキサンダーに感情過多は似合わない。オールド・スタイルは似合わない。自然発生的な極上のアドリブは吹き切れていない。

 いいや,エリック・アレキサンダーの出来が悪いのではなくて,ハロルド・メイバーンの出来が良すぎるのだ。
 …って,このままハロルド・メイバーン絶賛レビューを続けようかとも思ったが『真夜中のブルース』のリーダーはエリック・アレキサンダー“その人”であ〜る。

 ひとくちにブルースといっても,そこには様々なテイストがある。『真夜中のブルース』の選曲の中には,例えば12小節の繰り返しのテーマを持っていない,すなわち厳密なブルースではなく,ブルースっぽい曲も取り上げられている。

 そう。形式としてのブルースを基軸にすることによって,かえってエリック・アレキサンダーの持っているコンテンポラリーな個性がくっきり浮かび上がっている。
 ハロルド・メイバーンピアノ・トリオが生み落とす,大らかなスケールで絶妙なGROOVEに乗りまくるハロルド・メイバーンテナーサックスが『真夜中のブルース』の聴き所であろう。

BLUES AT MIDNIGHT-2 『真夜中のブルース』が証明するエリック・アレキサンダーの類まれな個性。エリック・アレキサンダーは保守的なテナーサックス・プレイヤーに違いはないが,ジャズのルーツやモダン・ジャズの伝統を大切にしながらも,様々な音楽的アイディアを盛り込んで,きわめて今日的な感覚で料理してみせる。

 ハロルド・メイバーン基準であれば星5つだが,エリック・アレキサンダー基準としては星4つの『真夜中のブルース』。それでも現代の「テナー・タイタン」エリック・アレキサンダーを「アレキサンダー大王」と呼ぶことに躊躇はない。

 個人的には『真夜中のブルース』から20年後のブルース・アルバムを早くも楽しみにしている。

  01. Sayonara Blues
  02. Hittin' The Jug
  03. Willow Weep For Me
  04. Dis Here
  05. Is It You
  06. Caribe
  07. Dance With Me
  08. St. Louis Blues
  09. Edward Lee

(ヴィーナス/VENUS 2013年発売/VHCD-1124)
(ライナーノーツ/岡崎正通)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 2000年度(第34回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は2000年度(第34回)の発表です。

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ウィスパー・ノット★【金賞】. ウィスパー・ノット
キース・ジャレット


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トリオ99→00★【銀賞】.トリオ99→00
パットメセニー


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ローマからの手紙★【日本ジャズ賞】.ローマからの手紙
ケイコ・リー


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ホールディング・バック・ジ・イヤーズ★【ボーカル賞(海外)】.ホールディング・バック・ジ・イヤーズジミー・スコット


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KIMIKO★【ボーカル賞(国内)】.KIMIKO
伊藤君子


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コンプリート・スタジオ・レコーディングス・オン・サヴォイ・イヤーズ Vol.4 (紙ジャケット仕様)★【編集企画賞】.サヴォイ創立60周年アニヴァーサリー・シリーズ


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ベッドで煙草はよくないわ★【製作企画賞】.ヴィーナス・ミレニアム・ピアノ・トリオ・シリーズ


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エラ・フィッツジェラルド〜サムシング・トゥ・リヴ・フォー〜 [DVD]★【最優秀ジャズ・ビデオ賞】.サムシング・トゥ・リブ・フォーエラ・フィッツジェラルド


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BIRDLAND★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.バードランド笹路正徳&LAオールスターズ


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ブライト・アンド・ブリージー★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.“ヘリテッジ・オブ・ジャズ”シリーズ(Riverside他)


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ヨーロピアン・クインテット★【ニュー・スター賞(海外)】.ヨーロピアン・クインテットジェシ・ヴァン・ルーラー


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ジャスト・ユー★【ニュー・スター賞(国内)】.ソー・ナイス/ジャスト・ユー小林桂


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 キース・ジャレットの『ウィスパー・ノット』が【金賞】受賞。

 キース・ジャレットが『ウィスパー・ノット』で“完全復活”ののろしを上げた。
 実は管理人のキース・ジャレットトリオの1枚は『マイ・フーリッシュ・ハート』が出るまでは,体調や季節の変化に合わせ『アット・ザ・ディア・ヘッド・イン』な時期があるにしろ,長らく『ウィスパー・ノット』が鎮座した。
 それ程までに強烈なスイング感と疾走感。キース・ジャレットが大爆発し,ゲイリー・ピーコックジャック・デジョネットキースに離されまいとして前がかりになって攻め上がっていく感じが素晴らしい。

 ところで今回は今までの1年1枚の掟を破っての【銀賞】『トリオ99→00』もお奨めする。パットメセニージャズ・サイドの活動の主軸であるギター・トリオの集大成。
 マニアックすぎないパットメセニーのポピュラリティーが素晴らしい。【銀賞】にして【金賞】と同格である。

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ライヴ・イン・ロンドン5

E.S.T. LIVE IN LONDON-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新譜が6年振りにリリースされた。ただし,直輸入盤を除いて国内盤購入括りの管理人からすると『301』は発売されていないに等しいゆえ( ← ネットで試聴して,輸入盤は買わない主義を本気で撤廃しようか迷い中 )セラビー宅には『LEUCOCYTE』以来,実に10年振りに到着した「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新譜となる。

 エスビョルン・スヴェンソンの残念な事故死から10年。この10年間で「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」を取り巻く環境は大きく変化した。ポスト・ロックの旗手であり「ジャズを演奏するポップ・バンド」としての評価が上がったのだ。

 エスビョルン・スヴェンソンの死と入れ替わるように登場してきたロバート・グラスパーゴー・ゴー・ペンギンピアノエスビョルン・スヴェンソンの影響が感じられる。
 いいや,巷は「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の起こした革新的な音楽スタイルで溢れている。もはや「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」は,現代の音楽シーンのバックグラウンドなのだと言い切ってしまおう。

 だ・か・ら『E.S.T. LIVE IN LONDON』(以下『ライヴ・イン・ロンドン』)を初めて聴いた時,特段の衝撃を感じなかった。「何だかいつも通りだなぁ」と思ってしまった。こんな感想「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」では初めてのことだった。
 そう。この「並みのアルバム」「普通のライブ」と聴こえてしまう感想こそが「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」がありふれてしまった証拠なのである。

 だ・か・ら『ライヴ・イン・ロンドン』は2週目からが本当に来る。『ライヴ・イン・ロンドン』は「並みのアルバム」「普通のライブ」ではなかった。
 巷に溢れるエスビョルン・スヴェンソンっぽいピアノエスビョルン・スヴェンソンピアノではなかった。

 エスビョルン・スヴェンソンピアノには,ダン・ベルグルンドベースマグヌス・オストラムドラムが必要なのだ。もの凄いリズム!
 10年振りの新作『ライヴ・イン・ロンドン』を聴いたことで「『e.s.t.』はジャズ・バンドではなく,ジャズも演奏するポップ・バンド」の明言を10年の時をかけて再認識させられてしまったように感じる。

E.S.T. LIVE IN LONDON-2 2枚組の『ライヴ・イン・ロンドン』はCD1が『VIATICUM』でCD2が『STRANGE PLACE FOR SNOW』中心のセットリスト。
 『VIATICUM』の楽曲も『STRANGE PLACE FOR SNOW』の楽曲も『ライヴ・イン・ロンドン』で成長している。

 『ライヴ・イン・ロンドン』は『VIATICUM』と『STRANGE PLACE FOR SNOW』の2枚組ライブ盤ではない。
 10年遅れでやってきた「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新作である。現在もエスビョルン・スヴェンソンピアノ・トリオの拍動と鼓動が聴こえてくる。

 そう。エスビョルン・スヴェンソンジャズ・ピアノの音楽は「リアル」である。エスビョルン・スヴェンソンは今だ生き続けている!

  CD 1
  01. Tide Of Trepidation
  02. Eighty-eight Days In My Veins
  03. Viaticum
  04. Mingle In The Mincing-Machine
  05. In The Tail Of Her Eye
  06. The Unstable Table & The Infamous Fable

  CD 2
  01. When God Created The Coffeebreak
  02. Behind The Yashmak
  03. Believe, Beleft, Below
  04. Spunky Sprawl

(キングインターナショナル/ACT 2018年発売/KKE-080)
(CD2枚組)
(☆直輸入盤仕様 ライナーノーツ/オラシオ)

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JAFROSAX / JAFROSAX4

JAFROSAX-1 勝田一樹ソロ・プロジェクト「JAFROSAX」とは「JAZZTRONIK」方面の「クラブ・ジャズのポップス化」である。

 しかし「JAFROSAX」の『JAFROSAX』を「野崎良太サックスヴァージョン」と片付けるのは本意ではない。CDジャケットジャミロクワイの風貌だし?
 いやいや,そうではなくて『JAFROSAX』には小野塚晃の陰が大きいと思うからだ。

 ズバリ『JAFROSAX』を語る際,忘れてならないのはDIMENSIONの『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』の存在である。

 『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』とはDIMENSION最大の問題作。要はDIMENSIONの手による“リスニング系”のクラブ・ジャズ・アルバムであった。
 無機質なループに生楽器がアクセントをつけている。乾いている。COOLである。耳につくのは一定したグルーヴであってメロディーではなかった。

 だから「JAFROSAX」=「JAZZTRONIK」方面の「クラブ・ジャズのポップス化」に至ったのだろう。基本クラブ・ジャズにしてグルーヴよりもメロディー重視なのだろう。
 勝田一樹野崎良太=「JAFROSAX」とはならない。勝田一樹野崎良太小野塚晃が揃っての「JAFROSAX」なのである。

 それくらいに小野塚晃の熱量を感じる。管理人の『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』への不満は(初めてハッキリと書くが)小野塚晃への不満であった。
 『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』に,小野塚晃得意のJAZZYなアプローチがあれば。オルガン・ジャズなアプローチがあれば。DIMENSIONのその後も変わっていた?

JAFROSAX-2 小野塚晃の『JAFROSAX』でのリベンジとは「機械音と生音のバランス」にある。
 打ち込みの上に勝田一樹が吹き上げるテナーサックスと7人のゲスト・ヴォーカリストが,とことんPOPなのにJAZZYなアプローチで攻める小野塚晃のリズム・トラックと無邪気に戯れている。おお,これだこれっ!

 きっと野崎良太は『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』が大好きなことことだろう。勝田一樹小野塚晃も『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』を客観視できるまで聴き込んだことだろう。

 そう。「クラブ・ジャズのポップス化」=『JAFROSAX』で勝田一樹が掲げた「裏テーマ」とは『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』のUPDATEアルバムなのである。

  01. Drawn 2 U
  02. In The Morning
  03. Going to the sky
  04. New Standard Of The Future
  05. Rollin'
  06. 真・空・感
  07. Wait & See
  08. Hi-Tech Jazz
  09. Just Like A Tiger's Eye
  10. Free
  11. Room In Your Heart

(コナミ/KMEWAVE 2004年発売/POCE-7318)

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エリック・アレキサンダー・カルテット / チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン4

CHIM CHIM CHEREE〜TRIBUTE TO JOHN COLTRANE-1 『CHIM CHIM CHEREE〜TRIBUTE TO JOHN COLTRANE』(以下『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』)とは,エリック・アレキサンダーによる「ジョン・コルトレーントリビュート」。

 エリック・アレキサンダーにとってジョン・コルトレーンとは,目標でありアイドルである。そんなエリック・アレキサンダーがアルバムの中に数曲ではなく,アルバム1枚まるまるジョン・コルトレーンと対峙すると知った時,管理人はエリック・アレキサンダーの「得も言われぬ覚悟」に期待してしまった。

 だから過去の「ジョン・コルトレーントリビュート」の系譜に流れている,例えばブランフォード・マルサリスの『至上の愛 ライヴ』とか,ケニー・ギャレットの『追求〜PURSUANCE〜コルトレーンに捧ぐ』のような,全身全霊を尽くした,超硬派で「命を削るような演奏」を勝手にイメージしてしまった。

 それがどうだろう。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』は,ゴキゲンに楽しい「ジョン・コルトレーントリビュート」であった。
 いや〜,またしてもエリック・アレキサンダーにヤラレテしまった。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』の印象はジョン・コルトレーンの手から離れて,完全に「アレキサンダー大王」の世界観に染め上げられてしまったのだ。

 そう。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』におけるエリック・アレキサンダーは,ジョン・コルトレーンの模倣者ではない。
 ジョン・コルトレーン名演で知られる愛想曲をエリック・アレキサンダーが自分流に料理している。それでいてエリック・アレキサンダーの朗々とした表現力は,確かにジョン・コルトレーンに通じるものがある。

 ブランフォード・マルサリスケニー・ギャレットエリック・アレキサンダーのアプローチの色合いを聴き比べる限り,80年代を代表するブランフォード・マルサリス,90年代を代表するケニー・ギャレットではなく,2000年代を代表するエリック・アレキサンダーそれぞれの「ジョン・コルトレーンへの思い」に時代の違いを感じ取る。

 ジョン・コルトレーンの音楽像をキャッチする感覚は時代と共に変化している。「コルトレーン派・第三グループ」のエリック・アレキサンダーに『至上の愛』のコピーを期待するには無理があるし,シリアスな「ジョン・コルトレーントリビュート」では意味がない。

 でもでもちょっぴり,他の誰にでもなくエリック・アレキサンダーご指名で,超硬派な「ジョン・コルトレーントリビュート」を演奏してほしかったなぁ。
 ぶっちゃけ『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』は,これじゃあ,ただの演奏集じゃん。

CHIM CHIM CHEREE〜TRIBUTE TO JOHN COLTRANE-2 管理人の結論。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン批評

 『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』のエリック・アレキサンダーカルテットに,現代に甦るジョン・コルトレーンカルテットを思い重ねてはいけない。

 ジョン・コルトレーンカルテットに色濃い「精神性」などエリック・アレキサンダーカルテットには感じない。
 エリック・アレキサンダーカルテットに感じるのは,ウキウキ・ノリノリ・ワクワクな現代のハード・バップだけである。

 『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』は全曲名演であるが,個人的には【ON THE MISTY NIGHT】である。
 【ON THE MISTY NIGHT】を選曲するとは,エリック・アレキサンダーさん,ジョン・コルトレーンの大ファンだと認めます!? 「アレキサンダー大王」は分かっている!

  01. You Don't Know What Love Is
  02. Dear Lord
  03. On The Misty Night
  04. Chim Chim Cheree
  05. Pursuance
  06. Afro Blue
  07. The Night Has A Thousand Eyes
  08. Wise One

(ヴィーナス/VENUS 2010年発売/VHCD-1038)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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山本 剛 トリオ / スピーク・ロウ5

SPEAK LOW-1 “山ちゃん山本剛は根っからの“ジャズ・ピアニスト”だとつくづく思う。
 何が書きたいのかと言うと音楽家とか作曲家ではなく“完全無欠のプレイヤー”だと言うことである。

 山本剛と来れば,代名詞は【MISTY】である。VENUSからリリースした『SPEAK LOW』(以下『スピーク・ロウ』)でも,やっぱり【MISTY】を演奏している。
 もしや“山ちゃん”こそが世界一【MISTY】の演奏回数の多いピアニストなのかも?

 いいや,回数の多さでは語らない。“山ちゃん”こそが【MISTY】を世界一輝かすことのできるピアニストである。
 もはや“本家”エロール・ガーナーを超えている。エロール・ガーナーの内奥の感情をエロール・ガーナー以上に感じているのだ。

 いいや,もっと言えば【MISTY】に限らず,有名ジャズスタンダードを最も輝かせることのできるピアニストの1人だと思う。
 そう。山本剛ピアノを弾けば,美メロが浮かび上がる。歌詞さえ聞こえてくる。歌そのものが実体となって鍵盤から飛び出してくる。

 このような御託を並べても伝わらない。まずは『スピーク・ロウ』に耳を傾けてみることだ。そこには“山ちゃん”のブルージィーでスインギーな音世界が待ち構えている。
 恐らくはジャズ・ピアノの何たるかを一発で教えてくれることだろう。とにかく分かりやすい。とにかく楽しい。

 その意味で山本剛が有名ジャズスタンダードを主戦場としてくれているのは実に有り難いことである。聞き馴染みのあるメロディーが「山ちゃん節」で奏でられた瞬間,身体が思わず横ノリしてしまう。

 『スピーク・ロウ』は山本剛の史上最高のブルース・アルバムだと思っている。スケールの大きなブルース・フィーリングを堪能できる。
 ズバリ『スピーク・ロウ』の成功の秘訣は岡田勉の大プッシュにある。  

 山本剛と来れば,代名詞2は「TBM」であろう。山本剛名演の宝庫が「TBM」にあることは間違いない。そんな「黄金期」の山本剛トリオの“ウォーキング・ベーシスト”こそが岡田勉なのである。

 VENUSの代表である原哲夫はそこのところをよ〜く分かっている。岡田勉のウォーキングに「TBM」以上の自由を与えている。
 20年以上の付き合いになるであろう山本剛岡田勉の関係が,生涯初となるであろう「ベース上位」で演奏されているのだ。

SPEAK LOW-2 『スピーク・ロウ』における岡田勉ベースは,もはや山本剛のサポート役ではない。そうではなくてピアノの先導役としてベースピアノにスペースを与えているような印象を受ける。

 そんな岡田勉ベースが心憎い。世界の誰よりも一番長い時間,一番近くで山本剛ピアノを聴いてきた岡田勉だから大プッシュすることの出来た「山本剛フィーチャリング山本剛」なアルバムなのである。

 “完全無欠のプレイヤー”山本剛ここに有り。ジャズスタンダードを最も歌わせることのできるピアニスト山本剛ここに有り。
 VENUSの考える山本剛の全てが『スピーク・ロウ』の名演にある。

  01. Cool Struttin'
  02. Black Is The Color
  03. Speak Low
  04. Misty
  05. Doxy
  06. Jealous Guy
  07. Yesterdays
  08. I've Never Been In Love Before
  09. Come In From The Rain
  10. Girl Blues
  11. Close To You

(ヴィーナス/VENUS 1999年発売/TKCV-35083)
(ライナーノーツ/藤本史昭)

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エリック・アレキサンダー・カルテット / ジェントル・バラッズ III4

GENTLE BALLADS III-1 管理人の選ぶジョン・コルトレーンの愛聴盤は『バラード』である。「シーツ・オブ・サウンド」よろしく,アグレッシヴな演奏こそがジョン・コルトレーンの真骨頂だと認めたうえでの『バラード』である。
 『バラード』には,他のアルバム10枚分の魅力がある。代えのきかない魅力があるのだ。

 さて「コルトレーン派・第三グループ」の筆頭格であるエリック・アレキサンダーが,ついにバラード・アルバムを演る。このビッグ・ニュースに管理人が飛びつかないわけがないのだが…。

 エリック・アレキサンダーバラード・アルバム『GENTLE BALLDS』(以下『ジェントル・バラッズ』)を買った。ジョン・コルトレーンの『バラード』を期待して買った。
 だが違っていた。一番ガッカリしたのは『ジェントル・バラッズ』は企画先行だったのだろう。エリック・アレキサンダーが乗っていない。

 バラード集だし,それも名曲のオンパレードのスタンダード集なのだが,これってエリック・アレキサンダーが吹かなくてもよいのではなかったか?
 管理人お目当ての“エリック・アレキサンダー印”が消えている。乗れないエリック・アレキサンダーなんて「ただの人」なのだ。

 だから『ジェントル・バラッズ』はすぐに処分した。続編の『ジェントル・バラッズ 』もパスである。当然『ジェントル・バラッズ 』もパスである。

 今こうして『ジェントル・バラッズ 』を手にしているのは,エリック・アレキサンダーバラードが聴きたくなったからではない。
 偶然,ラジオで流れているのを耳にした【サマータイム】にある。ノリノリの【サマータイム】&ノリノリのエリック・アレキサンダーがいい演奏だと思った。

 バラード・アルバムにビート・ナンバーが入っていてもいいではないか! 【サマータイム】で感じる「抜群のテクニックと歌心」! これぞ管理人の大好きなエリックアレキサンダー大王」降臨である!
 【ゼイ・セイ・イッツ・ワンダフル】はラテンである。【やさしく歌って】はミディアム・リズミックである。エリック・アレキサンダーにとっては原曲がバラードであればノリノリであってもそれでいいのだ。
 ラストの【煙が目にしみる】のスロー・バラードが光る光る!

 一旦『ジェントル・バラッズ 』が気に入ると,企画ものだと分かっていても音がグイグイ入ってくる。テナーサックスの説得力ある響きに,ジョン・コルトレーンの面影が宿っている。

GENTLE BALLADS III-2 おおっと危ない。絶賛するにはまだ早い。VENUSのドル箱=『ジェントル・バラッズ』シリーズは第5集まで出ている。過去作も買い直してみようかなぁ。続編も聴いてみようかなぁ。

 『ジェントル・バラッズ 』は普通にいい演奏だと思う。しかしその一方で『ジェントル・バラッズ』シリーズの真価は今ではなく,50年後に定められるのがふさわしいのでは?とも思ってしまう。
 エリック・アレキサンダーバラード批評するのが特に難しい。

  01. Little Girl Blue
  02. Don't Explain
  03. All The Way
  04. Summertime
  05. You'll Be Mine Tonight
  06. They Say It's Wonderful
  07. Killing Me Softly With His Song
  08. Smoke Gets In Your Eyes

(ヴィーナス/VENUS 2005年発売/VHCD-1011)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)

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KEEP / KEEP ALIVE4

KEEP ALIVE-1 『DG−581』と『ROCK’N ROCKED ROCK』の超名盤2枚を有する「KEEP」の,J−フュージョンのスーパー・バンドとしての認知度が低いのは『KEEP ALIVE』の存在にあると思っている。

 「KEEP」とは,バンドではなくセッション集団であると『DG−581批評の中ですでに書いたが『KEEP ALIVE』を聴くと,もう少し的が絞れてくる。
 ズバリ「KEEP」とは,ライブ・バンドではなくスタジオ・セッション集団というのが真実であろう。

 『KEEP ALIVE』の演奏は凄い。凄いんだが,残念なことに,それが目の前の観客には訴求していない。何となく内向きな演奏であって,何度聴いても共感を覚える一歩手前で白けてしまう。
 完全にマニアックで玄人志向のライブ演奏は,ヒリヒリするくらいの濃密なインタープレイの応酬であって,聴衆は置いてけぼりを喰わされている…。

 そんな「気合いの空回り」は『KEEP ALIVE』のために準備された「KEEP」10年振りの再結成が理由にある。
 『KEEP ALIVE』の名曲リスト。これは実に「KEEP」として10年振りの演奏なのである。そして全てが新曲のような響きをもっている。

 そう。「空白の10年」が「昔のようには演奏しない」という,深町純和田アキラ富倉安生山木秀夫の“ジャズメン魂”に火をつけた理由であり,それが『KEEP ALIVE』を(ライブ会場を舞台とした)スタジオ・セッションへと向かわせた最大の理由であろう。

KEEP ALIVE-2  管理人は思う。もしも『KEEP ALIVE』が“熱狂のライブ盤”であったなら「KEEP」は“伝説のフュージョン・バンド”として永遠に語られるユニットになったであろう。

 しかし,この全てが「完璧主義者」深町純の性分なのだから仕方がない。個人的には和田アキラギターにシビレ上がります。

 ですが,管理人は『KEEP ALIVE』での新アレンジよりも『DG−581』と『ROCK’N ROCKED ROCK』のオリジナルのスタジオ録音の方に愛着を覚えます。

  01. DEPARTURE IN THE DARK
  02. MODJA
  03. BATTERIA SOLO
  04. DANCE OF PARANOIA OPUS 3
  05. OWL FLIGHT
  06. MOON BEAM
  07. DANCE OF PARANOIA OPUS 2
  08. ROCK'N ROCKED ROCK

(イースタンゲイル/EASTERNGALE 1995年発売/EGCJ-8002)

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20180603 T-SQUARE LIVE NO.2

 「T−SQUARE コンサートツアー2018 『CITY COASTER』」! LIVEレポート2日目の今夜はステージング編です。

 電気ホールだけに“ビリビリに”盛り上がった「T−SQUARE コンサートツアー2018 『CITY COASTER』」のサブ・タイトルは「湯浅佳代子祭り」であった。コンサートの主役は“ボントロの歌姫”であった。間違いない。

 ライブ前は湯浅佳代子トロンボーン入りは『CITY COASTER』の楽曲だけだと思っていた。
 そこへelf51さんからのコメントが飛び込んできて,どうやら旧曲もやるらしいということが分かったが,過去にブラスが入っていた,例えば【DANS SA CHAMBRE】や【OMENS OF LOVE】は容易に予想できたが,今回の【SABANA HOTEL】での安藤正容伊東たけし湯浅佳代子ソロ廻しや【TWILIGHT IN UPPER WEST】での「かよボンです。たけサクです。(おぎやはぎですけど何か?風)」な伊東たけしとのデュオや【TRUTH】で見せたトロンボーンをコブシ代わりに振りかざした「ロック魂」など,大方のゲスト参加の枠を飛び越えて「スクェア6人目のメンバー=湯浅佳代子」参上であった。

 音楽的にもトロンボーンのまろやかで野太い音の厚みがアクセント・アンサンブルしている。途中で“かよボン”のトロンボーンからPA用のマイクが外れるアクシデントがあったのだが,動じることなく自分のパートが来たらそのまま吹き切ってしまった。2列目にいたのでマイクなしと変わりなしの大音量の生音が聴けたのだが,アサガオがこちらに向いた瞬間の音圧がハートに突き刺さってしまった!

 ズバリ“かよボン”の名演とは(名演奏+名演技)! キツネ目の湯浅佳代子の立ち振る舞いがクール・ビューティー!(お顔も美人な湯浅佳代子さんには土屋太鳳とか柴咲コウに似ている説有り)!
 私たちからしたら“舞い上がってしまう”であろう,両隣りに安藤正容伊東たけしですよ。肝が座っているというか度胸があるというか,変にサポート慣れしているのとは違う。こじんまりするのではなく「スクェア6人目のメンバー=湯浅佳代子」として威風堂々とステージに立っている。そんな感じがした。

 湯浅佳代子トロンボーンのスライドを振り下ろす度に「斬られた〜!」な電気ショックが走る。電気“ビリビリ”みらいホールで客席中が(特に私たちオッサン連中が)感電したような気分になる。湯浅佳代子の「殺陣」ショー・タイム。特に安藤さんがヤラレテいた!?

 終演後に青●社長にご挨拶できたのだが,その時の話から(オフレコです)残念ながら「6人組のスクェア」が見られるのはこのツアー限りとのこと。
 これだけの逸材。スクェアとの共演でソロとしてもますます人気でるわなぁ。可能なら田中普吾のように「スクェアの準メンバー」というさやにこのまま納まってくれたらいいのにぃ。来年訪れるであろう「かよボンロス」が早くも恐い?

 “湯浅佳代子入りスクェア”を見れるのもラスト2。東京近郊のスクェア・ファンなら絶対に見といた方がいいです。
 個人的には東京までは行けないからシューティング・ライブのビデオ撮影でもしてもらってDVDで発売してくれないかなぁ。伊東さんをあんまり見つめなかったことだし?

 真面目に書くと「T−SQUARE コンサートツアー2018 『CITY COASTER』」は“ブラス・ロック風のスクェア”がバンバンで音楽的にも貴重で面白い記録になったと思っております。
 そして,安藤正容が『CITY COASTER』で狙っていた「クルセイダーズっぽい」の意味がライブを見て少しは理解できたようにも思っております。

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストを報告しておきます。

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20180603 T-SQUARE LIVE NO.1

 行ってきました! 6/3「電気ビルみらいホール」での「T−SQUARE コンサートツアー2018 『CITY COASTER』」!

 河野くんが,品行方正な正しい少年のラップで「福岡,盛り上がって行こうか」と韻を踏めば,晋吾くんが「電気ホールをビリビリに盛り上げて」くれた5人プラス1人の「6人組のスクェア」が「40周年記念型T−スクェア」のスーパー・ライブ

 惜しむべきは「えっ,もう終わりなの?」な短時間公演(実際に例年よりも3曲少ない!)。ただしこの感想は公演時間に対するというよりも「最初で最後」の“かよボン”に対するものである。
 もっともっと湯浅佳代子トロンボーンを見たい&聴きたい! もしや『CITY COASTER』を聴き返すにつれ“かよボン”レスに襲われるかも? ← 湯浅佳代子さんの名演(名演奏+名演技)については明日改めて書こうと思います。

 今回の座席はB列12番。日本一のスク友と2列目のセンターから(アイドル=伊東たけしが真正面にいるにも関わらず)左手の湯浅佳代子を斜めから見るという,伊東たけしファンからすると「何とも勿体ない」良席の使い方。
 おかげで,いつもは伊東さんの何通りかある黒のステージ衣装を覚えているのですが,今回は記憶にございません。きっぱりと管理人は“たけサク”派ではなく“かよボン”派を宣言いたします!

 さて,まずは恒例のメンバー紹介から…

 ★ 安藤 正容 : Guitar
 ★ 伊東 たけし : Alto Saxophone,EWI,Flute
 ★ 河野 啓三 : Keyboard
 ★ 坂東 慧 : Drums
 ☆ 田中 晋吾 : Bass

 ☆ 湯浅 佳代子 : Trombone

 ツアー・タイトル「T−SQUARE コンサートツアー2018 『CITY COASTER』」なのだから大名盤CITY COASTER』が「6人組のスクェア」で「どう再現されるか?」に注目して出かけたライブ

 結論から書くと「リズム隊がライブでかなり遊んでいる」となる。個人的にはこの数年で俄然「河野啓三色」が出てきたように思う。
 演奏面で書けば,河野啓三がリズム隊入りしたな〜。これまでは坂東慧ドラム田中晋吾ベースの名コンビがバンドを引っ張っている感じだったのだが,今年ついに河野啓三キーボードがリズム隊の役割も果たすようになった。

 無論,キーボードはメロディーを奏でるフロント楽器なのだが,坂東くんの叩くオカズに狂喜してキーボードが大袈裟に反応してみせる。そのキーボードの返しを聴いて,坂東くんと晋吾くんが大笑い!
 いや〜,見ているこちらまでが爆笑してしまう「リズム隊の音遊び」が“ライブならでは”楽しみであり新たな発見なのであります。

 そうして「河野啓三色」が出まくっているのがセットリストである。今年の総立ち後半戦は3曲だけだったのだが(ごめんなさい。正確に書くと今年のライブで着席していたのは【FROM NOW ON】〜【IN MY DREAMS】〜【TWILIGHT IN UPPER WEST】までの3曲だけだったかも? 残りは全部スタンディング状態でした)その大盛り上がりの全3曲【幻想の世界】〜【THROUGH THE THUNDERHEAD】〜【RONDO】全3曲が河野啓三作!
 おまけにアンコール1曲目の【EVERLASTING DREAM PART】も河野啓三作だから河野啓三選曲4連続!

 素晴らしい。ライブ河野啓三はラップだけではない。【FROM NOW ON】で安藤さんがギターの音を外した時の河野啓三の大笑いを管理人は見逃してはいません。← 意味深々。 

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ前半のセットリストを報告しておきます。

PS Holyさんへ
ライブでは【EVERLASTING DREAM PART】がお披露目されたとのことでしたが,今回のホールツアーでは残念ながら選外でした。
坂東くんがMCの中で「試行錯誤のリハーサルが途中で険悪なムードになった」と述べていたのは【EVERLASTING DREAM PART】を,やるかやらないか,だったりして?

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1999年度(第33回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1999年度(第33回)の発表です。

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メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー★【金賞】.メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー
キース・ジャレット


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タイム・オブ・ジ・エッセンス★【銀賞】.タイム・オブ・ジ・エッセンス
マイケル・ブレッカー


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ホエン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ★【ボーカル賞(海外)】.ホエン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズダイアナ・クラール


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デイ・ドリーミング★【ボーカル賞(国内)】.デイ・ドリーミング
ケイコ・リー


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エッセンシャル・エリントン★【日本ジャズ賞】.エッセンシャル・エリントン
渋谷毅


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レフト・アローン+6(UHQCD限定盤)★【編集企画賞】.“ベツレヘム・オリジナル・CDコレクション”シリーズ


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プレイズ・エリントン・ソングス★【製作企画賞】.プレイズ・エリントン・ソングス
ハーリー・アレン


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ベース&ベース★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.ベース&ベースヴィノ・ロッソ(藤原清登&鈴木良雄)


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メイティング・コール★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.“ヘリテッジ・オブ・ジャズ”シリーズ(Prestige他)


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love★【ニュー・スター賞(海外)】.ラブ
ティル・ブレナー


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シンキング・オブ・ユー★【ニュー・スター賞(国内)】.シンキング・オブ・ユー
寺井尚子


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 キース・ジャレットの『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』が【金賞】受賞。

 『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』については,キース・ジャレットソロ・ピアノという紹介よりも,慢性疲労症候群からの「カムバック作」という紹介が優勢であろうが,実際にはカムバックを見据えた演奏にはほど遠い「リハビリ中のリハーサル作」と紹介するのが,より正確なのだと思っている。

 だ・か・ら『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』が【金賞】受賞と言われても,キース・ジャレットが好きなファンであればあるほどうれしくはない。

 『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』の信奉者たちよ。復帰作のご祝儀は“天才”キース・ジャレットには非礼にあたる。“ジャズ・ピアニストキース・ジャレットだけを拝聴せよ!

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ビル・シャープ / フェイマス・ピープル4

FAMOUS PEOPLE-1 シャカタクのリーダーであるビル・シャープの1stソロ・アルバムが『FAMOUS PEOPLE』(以下『フェイマス・ピープル』)。

 管理人は大好きなフュージョン・グループ・メンバーのソロ・アルバムは追いかけていない。意図的に避ける習慣がついてしまった。
 理由は大好きなバンド・サウンドとあまりにもかけ離れているものが多くソロ・アルバムは何回か聞いたら終わりのお蔵行き。それどころか実験的な音造りの,そこまでやるか!的な大変化に,本体まで嫌いになってしまいそうで…。要は手に取ると危ない盤。

 しか〜し,ビル・シャープの『フェイマス・ピープル』は,シャカタク名義のアルバムの1枚にラインナップしてもおかしくない出来である。要は手にして安心盤。
 シャカタク本体の同時期のアルバム『ダウン・オン・ザ・ストリート』の先鋭的な音造りよりも『フェイマス・ピープル』の方が意外にしっくりきた記憶がある。

 特に前半のハイライト・トラック=【愛のシルエット】【ザ・シャッフル】【ウォッシュト・アウェイ】の3曲にはブリティッシュジャズファンクの伝統を感じてしまうし,後半【チェンジ・ユア・マインド】【フェイマス・ピープル】以降のダンス・ビートの連続には,シャカタク以上に“エレガント・ポップ”を感じてしまう。

 ズバリ『フェイマス・ピープル』の聴き所はビル・シャープキーボードではなく,ヴォーカルと電子リズムを使った“仮想”シャカタク・サウンドにある。
 『フェイマス・ピープル』には,シャカタクの頭脳であるビル・シャープの“ロマンシズム”が溢れている。

 シャカタク・サウンドの個性とは,美メロはビル・シャープキーボードジャズファンク色はロジャー・オデルドラム,という明確な役割分担で構築されているのだが,そのリズム部分を『フェイマス・ピープル』ではビル・シャープが操るエレクトロ・ドラムベースの打ち込みでカバーしている。

FAMOUS PEOPLE-2 そう。シャカタクロジャー・オデルのリズムであるなら『フェイマス・ピープル』はビル・シャープのリズムである。
 ロジャー・オデルビル・シャープのアプローチの違いが自然と聞こえてきて,シャカタク・ファンなら俄然楽しめる。

 ただし『フェイマス・ピープル』では電子リズムの存在を忘れさせるほどにヴォーカルの存在が際立っている。
 シャカタクレヴェル42化とも捉えることのできる「本格的なヴォーカル・アルバム」を聴かせられると,シャカタクの今後が心配になる?

 う〜む。やっぱり。内容が良くても悪くてもバンドの行く末が不安になる? やはりフュージョン・グループ・メンバーのソロ・アルバムは追いかけてはいけない。

  01. SILHOUETTES
  02. THE SURVIVOR
  03. BILL'S BLUES
  04. THE SHUFFLE
  05. WASHED AWAY
  06. PEACE
  07. SONG FOR LISA
  08. CHANGE YOUR MIND
  09. FAMOUS PEOPLE
  10. FOOLS IN A WORLD OF FIRE
  11. CATCHING A TRAIN
  12. REMIX, REMAKE, REMODEL
  13. FAIRWEATHER GIRL

(ポリドール/POLYDOR 1984年発売/P33P-20004)
(ライナーノーツ/川名雄二)

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KEEP / ロックン・ロックド・ロック5

ROCK'N ROCKED ROCK-1 「KEEP」の楽曲単位としての“最高傑作”が【SONATINE】であるなら,アルバム単位としての“最高傑作”が『ROCK’N ROCKED ROCK』(以下『ロックン・ロックド・ロック』)である。

 『ロックン・ロックド・ロック』は問答無用で素晴らしい。本職のロック・バンドではなくフュージョン・バンドの「KEEP」が提示するロックゆえに,色眼鏡で見られてしまうのも致し方なことだろうが,フュージョン・バンドが本気で演奏するロックとは「本家」を超えて,真のロック音楽が目指した「理想の高み」に達しているように思う。

 それくらいに深町純キーボードが,和田アキラギターが,富倉安生ベースが,山木秀夫ドラムが,狂ったようにロックン・ロールしまくっている。ギンギンに跳ねているのだ。

 【SONATINE】のような「美して激しいドラマティック・フュージョン」を聴きたくて『ロックン・ロックド・ロック』を購入した人間とすれば,非フュージョンへの音楽性の変化にガッカリするのかもしれないが『ロックン・ロックド・ロック』の“魂”を前にして,ただただ賛辞の言葉しかなかった。

 ズバリ『ロックン・ロックド・ロック』は,最初の一音から最後の一音まで,怒涛のロックン・ロール・ショー。和田アキラをして,バカテクの早弾きなのにロックギターの境界線に踏みとどまっており,決してプログレフュージョンしてはいない。

 深町純という音楽家はソロ・アルバムを追いかけたファンならお分かりかと思うが,発表するアルバム毎にコンセプトを変えてくるミュージシャンである。
 ただし,その変化はクロスオーヴァーとかフュージョンとか呼ばれるジャンルの中での変化であって,ここまでロックに振られたことは1度もなかった。

 思うに『ロックン・ロックド・ロック』の制作理由は,J−フュージョン黎明期をリードしてきた深町純が,ついに花開いた自分抜きの日本のフュージョン・ブームへの嫉妬かも?
 深町純が追い求めても手に入れられなかった,プリズムカシオペアザ・スクェアの大ヒットを目の当たりにして,それらを全て否定してみたくなった?

 自らが活躍すべく開拓してきたフォーマットだったのに,自分1人だけがフュージョン・ブームに乗り遅れた悲哀。これは自らの手でブチ壊さねば! いざ,ビルド・アンド・クラッシュ!

 そう。『ロックン・ロックド・ロック』の真実とは,軽快なフュージョンをブチ壊すために「KEEP」がフュージョン・シーンに放り込んだ“刺客”なのである。

 ズバリ『ロックン・ロックド・ロック』の音作りは,曲調こそロック的とは言え,メロディーやハーモニーが複雑で音楽の細部のバランスがバカテクの上に成り立っていればこそ!
 弾きまくり&叩きまくりにして,アドリブよりもアレンジで聴かせる展開力こそが,ギター・メインのロック野郎ではなく,複数の楽器で同時にユニゾンするあの快感を味わってきた“フュージョン目線な”ロック・サウンドのハイライトなのである。

ROCK'N ROCKED ROCK-2 お互いを完璧に支えあう主従の切り替え。時にユニゾン。暴走するアドリブの一瞬の隙を突いて切り込むオブリガード。リズム隊の一糸乱れぬフレームワークが最高に素晴らしい。

 『ロックン・ロックド・ロック』を聴いた直後に,軽快なフュージョンを聴くと,あの軽さに嫌悪感を抱いてしまうのでご注意を!
 フュージョン・バンドが本気で演奏するロックとは重い音楽なのである。歌詞不要の「怒涛の音圧」が全てなのである。

  01. Rock'n Rocked Rock
  02. Moonbeam
  03. Modja
  04. Aristocrat bachelor
  05. Ballad

(トリオ/TRIO 1982年発売/CRCD5053)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/深町純)

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エリック・アレキサンダー・カルテット / ニューヨークの休日5

SUNDAY IN NEW YORK-1 『SUNDAY IN NEW YORK』(以下『ニューヨークの休日』)こそがエリック・アレキサンダーの“最高傑作”である。

 管理人がエリック・アレキサンダーを愛する理由は,とにかく豪快に「男気テナー」を吹きまくるテクニシャンにして,音楽が生き生きと躍動する豊かな表現力にある。
 エリック・アレキサンダーテナーサックスの響きにジョン・コルトレーンソニー・ロリンズが同居し,エリック・アレキサンダーが息を吹き込む度に,コルトレーンロリンズが一緒に降臨したかのようである。

 “有名過ぎない”ハード・バップ・スタンダード集の『ニューヨークの休日』が,エリック・アレキサンダーの資質にハマッテいる。
 ダイナミックにスイングするストレート・アヘッドなバップだけが持ち合わせている痛快さが宿っているのだ。

 『ニューヨークの休日』は,エリック・アレキサンダーの過去のリーダー・アルバムと比較して「音の出方,音の傾向,音の雰囲気」なるものが異なっている。音が“一丸となって襲ってくる”感じに仕上がっている。
 これは高音質が売りのVENUSのせいではない。もしそうなら以前よりも一層,各楽器が分離して聴こえるはずである。

 ズバリ『ニューヨークの休日』でのサウンドの変化は,ピアニストジョン・ヒックスの参加が全てである。
 ジョン・ヒックスのアグレッシブでクリティカルでスタイリッシュな演奏スタイルが,エリック・アレキサンダーと,時にぶつかり合い,時に調和しながら,全てを受け入れていく…。全てを包み込んでいく…。全てを呑み込んでいく…。

 エリック・アレキサンダージョン・ヒックスの共同アレンジ的な“丁々発止”に魂を射抜かれてしまう。
 ジョン・ヒックスの「自分を活かし相手も活かす」ジャズ・ピアノのハイセンスが,バリバリ・タイプのエリック・アレキサンダーとの共演で彩りを添える「一枚岩」と化している。
 最高に“HOT”なのに最高に“COOL”な現代のバップ・テナーに打ちのめされてしまった。

SUNDAY IN NEW YORK-2 管理人の結論。『ニューヨークの休日批評

 要は「現代のスイング」の代表盤なのであろう。愛聴盤の1枚として10年以上『ニューヨークの休日』を手に取ってきたが,何度聴き返しても,前回聴いたことを忘れてしまったかのように本気で興奮してしまう。素晴らしい。

  01. Sunday In New York
  02. Avotcja
  03. Dearly Beloved
  04. Like Someone In Love
  05. Watch What Happens
  06. My Girl Is Just Enough Woman For Me
  07. Alone Together
  08. My Romance

(ヴィーナス/VENUS 2005年発売/VHCD-4099)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/児山紀芳)

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KEEP / DG-5815

DG-581-1 「KEEP」の骨格は深町純の細部まで書き込んだ譜面でまず間違いないだろう。
 「KEEP」結成に至るまでの深町純は,本場アメリカの凄腕プレイヤーたちとの交流を深めることによって,自らの思い描くフュージョン・サウンドを追及してきた。

 しかし,出来上がったフュージョン・サウンドは,それが深町純のペンによるものだとしても,どうしても&何回演っても,スタッフブレッカー・ブラザーズっぽさが感じられる「アメリカン・フュージョン・タッチ」。
 当然である。フュージョンの主役は曲ではなく演者の方なのだから…。

 そこで深町純が考えたのが,オール日本人によるフュージョン・バンドの結成である。
 ニューヨーク・オールスターズで“天下を獲った”深町純が欲したのは,世界的にも稀有なミュージシャンがガラパゴス化している「J−フュージョン・オールスターズ」を率いる深町純であった。

 しかし,ここが最高に面白い部分なのだが,深町純の細部まで書き込まれた譜面を,すでにビッグネームとなっていたギター和田アキラベース富倉安生ドラム山木秀夫の3人が「自分ならどう表現しようか」と譜面と格闘しているのが「KEEP」なのである。
 深町純の願いかなわず,深町純の狙いとは真反対に「バンドの力学」が動いている。

 ズバリ,1stである『DG−581』は「KEEP」4人によるセッション・アルバムである。
 互いにけん制しあいながら,どこまで踏み込むべきか“腹の探り合い”の雰囲気がなんとも微笑ましく,それでいて音楽としての完成度がメチャメチャ高い。和田アキラ富倉安生山木秀夫のミュージシャン・シップが深町純の「書き譜の音世界」を大きく越えてしまっている。痛快極まりない!

 『DG−581』について語るなら,テクニカルな演奏に違いないが,それ以上にメロディアスで温かみのあるサウンドが前面に出ていると思う。
 フュージョンを基本としつつ,ジャズっぽくロックっぽくプログレっぽいところもあるが,マニアックな空気は薄く風通しの良い雰囲気に満ちている。

 そう。「KEEP」はバンド・サウンドを目指しながらも,形として最後までバンドになりきることのできなかった“バンド崩れ?”のセッション・バンドである。
 和田アキラは「プリズム」で,富倉安生は「トランザム」で,山木秀夫は「マライア」と「香津美バンド」で,バンド・サウンドを奏でることが出来ているが,唯一,深町純だけが,生涯,バンドの一部となりきれることのなかったセッション・ミュージシャンだと思っている。

 だからこそ「KEEP」が光り輝いている。「KEEP」が最強なのは,メンバー4人が4通りに思い描く音楽イメージが全部放出されている点にある。
 4人が1つのイメージを共有するのがバンドであるなら「KEEP」は4人が4つのイメージを共有している。こういけばこうである。4人が局面を打開するためのアイディアを数多く持っているから,誰かが仕掛けた創造的なアプローチにも,あらかじめ譜面に書かれていたかのように即興で対応できてしまう。そんな感じの演奏が続いている。

DG-581-2 管理人にとっては『DG−581』とは,いいや「KEEP」とは【SONATINE】のことである。この1曲の中に「KEEP」の全てが収められている。

 深町純の“最高傑作”をもってしても,和田アキラの“最高傑作”をもってしても,富倉安生の“最高傑作”をもってしても,山木秀夫の“最高傑作”をもってしても『DG−581』の【SONATINE】には遠く及びやしない。

 【SONATINE】の世界観はソロでは表現できないし,バンドでも表現できない。ウルトラ・スーパー・セッション・バンド=「KEEP」だから表現できたのだと思う。素晴らしい。

  01. OWL FLIGHT
  02. PAN NEO
  03. NEVER ENDING SAD
  04. DANCE OF PARANOIA OPUS 3
  05. SONATINE

(トリオ/TRIO 1981年発売/CRCD5030)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/笠木脩治,福原武志)

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エリック・アレキサンダー / ナイトライフ・イン・トーキョー5

NIGHTLIFE IN TOKYO-1 『NIGHTLIFE IN TOKYO』(以下『ナイトライフ・イン・トーキョー』)の主役はロン・カーターベースである。
 エリック・アレキサンダーの出来は最高である。しかし悔しいかな,それ以上にロン・カーターの音楽の拍動が聴こえてくる。

 『ナイトライフ・イン・トーキョー』でのエリック・アレキサンダーカルテットのメンバーは,ベースこそ「初顔の」ロン・カーターであるが,ピアノハロルド・メイバーンドラムジョー・ファンズワースのいつも通りのメンバーである。

 しかし『ナイトライフ・イン・トーキョー』でのエリック・アレキサンダーカルテットがいつもとは違う。特にハロルド・メイバーンピアノがリズム・セクションしており,伴奏に徹しているかのようで大人しい。
 一方でジョー・ファンズワースドラムが「水を得た魚」改め「ロン・カーターを得たジョー・ファンズワース」である。

 そう。エリック・アレキサンダーカルテットのサウンドの変化こそが「ミスター・ベースロン・カーターの功績である。
 いつもは「コルトレーン派」のエリック・アレキサンダーにふさわしく,マッコイ・タイナーばりに弾きすぎてプッシュしまくるハロルド・メイバーンが,ロン・カーターに頭を抑えつけられたがため,相対的にジョー・ファンズワースドラミングが前に出た。

 その結果,ドラムに負けることなど許せない「男気」テナーマン=エリック・アレキサンダーが,いつも以上に前に出るのだが,エリック・アレキサンダーが前に出れば前に出るほど,バックでサウンドメイクしているロン・カーターベース・ラインがギンギンに目立つ構図。

 ロン・カーターに「遠慮した?」ハロルド・メイバーンが,一介のピアニスト然と,幅の広いプレイを披露している。ゆえに全体の音場が広がっている。
 エリック・アレキサンダーテナーサックスが益々豪快にブローしている。しかし『ナイトライフ・イン・トーキョー』では,ロン・カーターと共鳴する部分が多く,則ち音楽的なブローであり,ハーモニーが美しい。

 これまでハード・バップ一辺倒だったエリック・アレキサンダーソニー・ロリンズのような“歌”を初めて感じた。自己表現の手段としてではなく聴き手の心を動かすためのブローがある。

NIGHTLIFE IN TOKYO-2 【I’LL BE AROUND】での長い長いカデンツァは何度聴いてもグッと来る。サウンド・イメージを膨らませるロン・カーターベース・ラインを耳で追っていくと,エリック・アレキサンダーアドリブがインスピレーションの泉へと引きずられていく過程が楽しめる。

 管理人の結論。『ナイトライフ・イン・トーキョー批評

 『ナイトライフ・イン・トーキョー』の真実とは「RON CARTER TRIO FEATURING ERIC ALEXANDER」で間違いない。
 “ジャズ・ジャイアントロン・カーターの音楽の拍動を受けて,ついにエリック・アレキサンダーが「アレキサンダー大王」となった! 

  01. NEMESIS
  02. I CAN DREAM, CAN'T I?
  03. NIGHTLIFE IN TOKYO
  04. I'LL BE AROUND
  05. COLD SMOKE
  06. ISLAND
  07. BIG R.C.
  08. LOCK UP AND BOW OUT

(マイルストーン/MILESTONE 2003年発売/VICJ-61119)
(ライナーノーツ/テッド・パンケン)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1998年度(第32回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1998年度(第32回)の発表です。

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ガーシュウィン・ワールド★【金賞】.ガーシュウィン・ワールド
ハービー・ハンコック


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トゥー・ブロックス・フロム・ジ・エッジ★【銀賞】.トゥー・ブロックス・フロム・ジ・エッジ
マイケル・ブレッカー


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ミーツ・ザ・ビートルズ★【ボーカル賞(海外)】.ミーツ・ザ・ビートルズ
ジョン・ピザレリ


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イフ・イッツ・ラヴ★【ボーカル賞(国内)】.イフ・イッツ・ラブ
ケイコ・リー


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ディア・オスカー (オスカー・ピーターソンに捧ぐ)★【日本ジャズ賞】.ディア・オスカー(オスカー・ピーターソンに捧ぐ)小曽根真


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フュエゴ(紙ジャケット仕様)★【編集企画賞】.ブルーノート・24ビット・バイ・RVGシリーズ


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ウォーキン・ダウン・レキシントン★【製作企画賞】.ウォーキン・ダウン・レキシントン
大阪昌彦


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パナソニック サウンドエッセイ 名曲物語 [DVD]★【最優秀ジャズ・ビデオ賞】.“パナソニック サウンドエッセイ 名曲物語”シリーズ(Vol.5〜10)


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ペイトンズ・プレイス★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.ペイトンズ・プレイス / ニコラス・ペイトン


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アロング・ケイム・ジョン (紙ジャケット仕様)★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.ブルーノート・24ビット・バイ・RVGシリーズ


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ソングス〜アート・オブ・ザ・トリオ Vol.3★【ニュー・スター賞】.ソングス〜アート・オブ・ザ・トリオ Vol.3ブラッド・メルドー


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 ハービー・ハンコックの『ガーシュウィン・ワールド』が【金賞】受賞。

 思えばハービー・ハンコックカヴァー路線に進んだのは『ガーシュウィン・ワールド』の成功体験が要因としてあると思っている。
 『ザ・ニュー・スタンダード』は本当に素晴らしかった。手放しで喜んだ。でっ『ザ・ニュー・スタンダード』の「二匹目のドジョウ」として登場した『ガーシュウィン・ワールド』がまたしても成功している。

 『ガーシュウィン・ワールド』の真実とはガーシュウィンの原曲をモチーフとした,完全なるハービー・ハンコックオリジナル
 オルフェウス室内管弦楽団というクラシック畑のストリングス効果絶大でロマンティック。雰囲気は確かにガーシュウィンの“残り香”がプンプン。

 個人的にはハービー・ハンコック流,60年代のマイルス・デイビスクインテットの再現のようで,美しもスリリングなインプロヴィゼーションにやられてしまう。

 一般的に続編は失敗するものなのだろうが,リメイクをやらせたら“天下無双”なハービー・ハンコックの手に掛かれば『ザ・ニュー・スタンダード』→『ガーシュウィン・ワールド』への転換も問題なし。

 その後も「三匹目のドジョウ」を獲りにいき,カヴァー路線で名盤を量産しつつ,例のグラミー最優秀アルバム受賞作『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』で高みへと達するハービー・ハンコックにとってのターニング・ポイントが『ガーシュウィン・ワールド』なのだと思う。

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T−スクェア / CITY COASTER5

CITY COASTER-1 理由があって(福岡市内での引っ越しと霧島の別荘の引っ越しがダブルで重なり不動産4件の契約と解約もろもろで)発売日から3日後に『CITY COASTER』を聴くことになった。
 毎年の新譜をほぼフラゲして聴き続けてきたスクェア・ファンとしては,遅れを取り戻すべく?喰い気味で拝聴した久々のアルバムとなった。ここ数日は自分のことをする暇などなくジャズフュージョンも(そしてラジオも)聴く時間がなかったことも重なって,一心に拝聴したアルバムとなった。

 何を書きたいのかと言うと『CITY COASTER』でスクェア熱が爆発したということ。このウォーッと来る感覚は「河野坂東時代」に入ってからは『33(THIRTY−THREE)』でWピースした時か『NINE STORIES』でメロメロになった時以来の感覚がある。2週目にして『CITY COASTER』全曲を何度も聴きたいと思うようになった。

 だから名盤CITY COASTER批評はクラクラさせてください。フラフラさせてください。書きたいことが次々に浮かんでは消えていくので,大絶賛の備忘録的な感じで…。

 そもそも『REBIRTH』の劇的な評価UPについて書かないと始まらない。『REBIRTH批評を書いた時点では『REBIRTH』の出来は「まぁまぁ」であった。『REBIRTH』の長所よりも欠点にどうしても目が行ってしまう。そんなアルバムだった。
 だけど1年間,事あるごとに『REBIRTH』を聴きたくなってしまう症状に襲われ,坂東慧の“天才”に改めて気付いてしまったんだよなぁ。これが!

 だから『CITY COASTER』を聴いた1巡目も,1巡目なのに安藤正容ギターでもなく,伊東たけしサックスでもなく,河野啓三キーボードでもなく,坂東慧ドラミングに聴き惚れてしまった。
 いいや,POPな楽曲作りの才に惚れ込んだ。今回も「凄いぞ・名演&凄いぞ・名曲」坂東慧〜!

 上記の『REBIRTH』の流れで書き足します。『CITY COASTER』には伊東たけしEWIがない。これには驚いた。
 『CITY COASTER』にはスペシャル・ゲストとして,トロンボーン湯浅佳代子トランペット山崎千裕が参加した「目指せ! クルセイダーズ」なのが影響しているのだろうが,キッパリEWIを封印したのには驚いた。
( もう一方,ゲスト参加の大御所=パーカッションレニー・カストロ名演もお聴き逃しなく! )

 続けて『REBIRTH』の「バラードなし」の反動なのか『CITY COASTER』にはスロー・ナンバーが3曲目,5曲目,8曲目に配置されている。個人的にはこの3曲が彩る抑制美が『CITY COASTER』の休火山のように思える。← 今週,霧島市へ行った時に霧島連山の硫黄山がまた噴火したらしくて。そんなニュースからの休火山〜。

 そう。休火山があれば活火山がある。『CITY COASTER』の代表曲は3〜5曲目の前後である【CITY COASTER】と【幻想の世界】の2トップ。
 ただし個人的には“神曲”【CITY COASTER】を受けて,地味にジワジワな【FROM NOW ON】が大変気に入りました。スピード感ある懐メロのはずなのに最新のリズムで頭パニック&ウキウキ!

 安藤正容が目指すところの「クルセイダーズ的」なナンバーはラストの【TRAP IT】の1曲のみ。残る楽曲は「目玉の」トロンボーンサックスのアンサンブルためにアレンジされた“スクェア印”のGOGO。
 つまり『CITY COASTER』の真実とは40周年記念盤ではなく,T−スクェア単体としての“極上の”ニュー・アルバムなのである。

CITY COASTER-2 最初に『CITY COASTER』の情報が出てきた時は,30周年の『WONDERFUL DAYS』〜35周年の『SMILE』のような,40周年記念の「T−スクェアスーパーバンド」を期待していたものだから,仙波清彦田中豊雪則竹裕之須藤満宮崎隆睦和泉宏隆の代役に「トロンボーン奏者・オーディション」かよ〜。安藤さんも相当苦しそうだな〜って勝手にイメージしてしまっていた。

 安藤さん。またしてもすみませんでした。「飛車角金銀落ち」だと思った『CITY COASTER』は『WONDERFUL DAYS』と『SMILE』を越えてきました。坂東慧の“天才”が進化しておかげですねっ。

 今日書いておきたいのはこれぐらいだったかなぁ。OH!最後に1点あった。以下,公式フェイスブックからの引用文です。
 「今回のアルバムデザインは遊び心をたくさん詰めた作品となっており,スリーブデザインの中に,今作「CITY COASTER」の世界観を表現すべく,過去作のとあるタイトルとT-SQUAREのロゴが隠れています!!是非探してみてください。隠れタイトルは初回プレス限定の仕様となっておりますので,是非,お早めにご購入ください」。

 でっ,管理人が購入したCDのスリーブケースの上辺に,隠れタイトル『REBIRTH』の文字を発見。これって『CITY COASTER』は『REBIRTH』の続編って意味? 『REBIRTH』以外の「過去作のとあるタイトル」もランダムで書かれているのかな? ファンとしては妙に気になった次第です…。

  DISC 1
  01. City Coaster
  02. From Now On
  03. In My Dreams
  04. Better Than Yesterday
  05. Sleepless Night
  06. 幻想の世界
  07. Trade Wind
  08. Everlasting Dream Part II
  09. Trap It

  DISC 2 DVD
  01. Truth <2016/7/18 Zepp Nagoya>

(オレンジレディ/ORANGE LADY 2018年発売/OLCH 10010〜11)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
★【初回生産限定盤】ボーナスDVD付 2枚組
★【初回生産限定盤】三方背BOX仕様
★音匠仕様レーベルコート

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桑原 あい トリオ・プロジェクト / ラブ・テーマ3

LOVE THEME-1 「桑原あいトリオ・プロジェクト」の真実とは,桑原あいオリジナル曲を演奏するピアノ・トリオにして,森田悠介が「裏」で桑原あいを回すためのプロジェクトであったはず。

 なのに「桑原あいトリオ・プロジェクト」名義の4枚目にして,このコンセプトが変化した。
 そう。『LOVE THEME』(以下『ラブ・テーマ』)で演奏するのは,桑原あいオリジナル曲なしの全曲有名曲のカヴァー集である。
 加えて,ベースエレベ森田悠介が半分で,もう半分がコントラバス須川崇志という新編成である。

 森田悠介を相当買っていると公言していたくせに,須川崇志も大好きなベーシストなので,どちらかというと「桑原あいトリオ・プロジェクト」の“ワンランク上の変化”を期待して購入したのだが…。

 『ラブ・テーマ』は全然ダメだ。こんなにもありきたりな演奏だとは思わなかった。曲をなぞっただけの感じに落ち着くとは思わなかった。
 森田悠介よ,一体どうしたのだ…。「桑原あいトリオ・プロジェクト」においては「裏方」の森田悠介の才能の方が「メイン」を張る桑原あいの才能以上だと高く評価していたのに…。

 『ラブ・テーマ』の選曲もミスったと思う。スローからミディアム・テンポ中心なのでヒーリング系とかクラシック調とかのBGMを狙っているのか?
 「上原ひろみプログレ桑原あい」のイメージだったから尚更ガッカリである。どうせカヴァーをやるのなら,例えば,西山瞳が主宰する「NHORHMNEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL)」のようにHRHMの方が潔いし上手く行く。

 桑原あいにはスロー・バラードではなくハードでガンガンでギンギンの方が様になる。森田悠介もその辺は熟知したうえでのイメージ・チェンジ?
 アレンジにしても,それこそ山中千尋のように原曲の面影が残らないくらい激変しているわけではない。とにかく『ラブ・テーマ』について言いたいのは“大人しすぎる”。

LOVE THEME-2 ファンならずとも,桑原あい本人もちょっと違うと思ったのではなかろうか? 結果『ラブ・テーマ』が「桑原あいトリオ・プロジェクト」名義の最終作。

 非オリジナルにしてスロー系の『ラブ・テーマ』が失恋もどきで暗いジャズ・ピアノ集。聴いていて楽しいアルバムではない。
 将来“蜜月関係”が復活することがあるにしても,駄盤『ラブ・テーマ』で,これまでの順調で良好な関係が一時終了したのだ。

 その桑原あい森田悠介の間に割って入ったのがドラム石若駿桑原あいも今時の独身女性の一人である。
 森田悠介から石若駿へ目移りしたとしても,それが音楽的な意味合いであれば悪いことではないと思います。ですが真相は…。

  01. Amapola〜Deborah's Theme (from“Once Upon A Time In
     America”)

  02. Here There And Everywhere
  03. Finale (Tango Apasionado)
  04. In Your Own Sweet Way
  05. Nomad
  06. Barry Lyndon (Love Theme) (from“Barry Lyndon”)
  07. 21st Century Schizoid Man
  08. Peace
  09. Grandfather's Waltz
  10. A Journey To Reedham

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2015年発売/EWER-1004)
(紙ジャケット仕様)

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エリック・アレキサンダー / サミット・ミーティング4

SUMMIT MEETING-1 破竹の快進撃を続けるエリック・アレキサンダーの2管編成クインテットSUMMIT MEETING』(以下『サミット・ミーティング』)のキーワードは“安定と洗練”である。

 トランペットニコラス・ペイトンを迎えて繰り広げられたユニゾンとバトルが,胸のすく王道ハード・バップに仕上げられている。
 エリック・アレキサンダーの自信に満ちたテナーサックスが,アンサンブルをどっしりと下支えしている。変な小細工など一切なし。安心して,現代に復興された上質なハード・バップを楽しむことができる。

 しかし,ここまで滑らかな演奏集を聴いていると,諸手を上げて喜ぶことが出来ない。人間って本当に「無いものねだり」ばかり。何もここまで無駄を削ぎ落とさなくても…。
 元来,エリック・アレキサンダーは名うてのテクニシャンであった。ミストーンなどデビュー・アルバム『STRAIGHT UP』の時点で一音もないくらい。

 そんなエリック・アレキサンダーが『サミット・ミーティング』で妙に丸くなった気がした。シカゴ・テナー伝統の「力任せに吹き上げる」男気溢れるエリック・アレキサンダーをもっともっと聴きたいのだ。

 自分の中のエリック・アレキサンダーへ寄せる思いがどこにあるのかを『サミット・ミーティング』を聴いて自覚してしまった。“安定と洗練”は決して悪いことではない。
 ただし,エリック・アレキサンダーのシカゴ・テナーに魅了されてきたファンとしては『THE SECOND MILESTONE』で突き抜けた,あの路線をそのままブレずに突き進んでくれるものと思っていた。だから何だかなぁ。

 『サミット・ミーティング』での“非の打ち所のない”テナーサックスに逆にモヤモヤしてしまう。ヴィンテージの良さって,年々,魅力が増していくじゃないですかぁ。
 『サミット・ミーティング』での“安定と洗練”を聴いていると,ヴィンテージの良さが色褪せて,大量生産消耗品の1つとして出回っていく感じ?

SUMMIT MEETING-2 どうやら管理人の求めている方向性とドンピシャで交わったのは『THE SECOND MILESTONE』1枚だけだったみたいです…。
 『サミット・ミーティング』以降のエリック・アレキサンダーは「円ではなくて楕円」だったみたいです…。

 楕円には周期がある。またいつか管理人の大好きなエリック・アレキサンダーと巡り会える。そう信じたい。
 …ということで『サミット・ミーティング』以降のエリック・アレキサンダーは不定期購入。気に入ったアルバムだけを紹介いたします。

  01. SUMMIT MEETING
  02. THE SWEETEST SOUNDS
  03. THERE BUT FOR THE GRACE OF...
  04. I HAVEN'T GOT ANYTHING BETTER TO DO
  05. A HOUSE IS NOT A HOME
  06. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
  07. SOMETHING'S GOTTA GIVE
  08. ANDRE'S TURN
  09. AFTER THE RAIN

(マイルストーン/MILESTONE 2002年発売/VICJ-60963)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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桑原 あい トリオ・プロジェクト / フロム・ヒア・トゥ・ゼア5

FROM HERE TO THERE-1 「桑原あいトリオ・プロジェクト」である。「トリオ・プロジェクト」と聴いたら,まずは上原ひろみを連想するものであろう。
 これって上原ひろみと比較させるための桑原あいの戦略なのだろうか? 管理人は桑原あいによる「上原ひろみのフォロワー宣言」だと受け取った。
 そう。桑原あいが溺愛する上原ひろみのスタイルとは,実はピアニストの部分ではなくて,あのアグレッシブでプログレッシブな作編曲能力にある。

 その点で“天才”上原ひろみはギリギリまでいっても破綻しないのだが,桑原あいは途中で飛び立ってから元へ帰って来れない部分がある。いいや,一度破綻してからが“勢い勝負”。若干21歳の女子である。力業でアクロバティックに着地してみせる。若さだよねぇ。聴けば聴くほど面白くなる!

 プロとしての経験を積めば積む程『FROM HERE TO THERE』(以下『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』)のような“破天荒な”アルバムは作りにくくなると思う。桑原あい自身も,もう2度と同じものを作ることなどできやしない「幻のお化けアルバム」の誕生であった。
 そう。桑原あいの「アイディアがグッチャグチャ状態の頭の中」がそのまんま音として記録されたのが『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』である。

 いや〜,インディーズっていいですね。何の制約もなく本当にやりたい音楽を形にして発売することができる。『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』こそが「桑原あい100%」(アキラ100%風)の魅力であろう。
 ただし『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』が「桑原あい100%」に聴こえるのは,バンド・リーダーであるベース森田悠介の才能が大きい。

 桑原あいの「アイディアがグッチャグチャ状態の頭の中」を理路整然と形にしている。それも今となっては“確信犯”であろうが,森田悠介の好みのアイディアだけを桑原あいの頭の中ら抜き出している。

 ズバリ「桑原あいトリオ・プロジェクト」の真実とは,桑原あいオリジナル曲を演奏するピアノ・トリオにして,森田悠介が「裏」で桑原あいを回すためのプロジェクトなのである。

FROM HERE TO THERE-2 その意味で管理人は「桑原あいトリオ・プロジェクト」を「ジャズフュージョン界のドリカム」に例えよう。
 桑原あいを語るのなら,比較対象は上原ひろみではなくて吉田美和の方である。裏でガッツリとプロデュースする森田悠介によって,桑原あいが最高の演者として,前面で輝くためのピアノ・トリオなのだと思う。

 森田悠介押しの管理人としては『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』の聴き所は,森田悠介の超カッコイイ“変拍子GROOVE”に小躍りする桑原あいのエレガントなピアノであると信じている。

 時にジャズ,時にフュージョン,時にプログレ,そして時にドリカム…。
 桑原あいよ,森田悠介に逆らうな。森田悠介に身を委ね続けよ…。

  01. BET UP
  02. 3=log2(8)
  03. from here to there
  04. Edit typos.
  05. Chronometer
  06. mind blindness
  07. Circuit River
  08. Portrait of an old man
  09. Riverdance
  10. HiCCups!

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2012年発売/EWCD-0191)

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エリック・アレキサンダー / ザ・セカンド・マイルストーン5

THE SECOND MILESTONE-1 エリック・アレキサンダーの快進撃は『THE SECOND MILESTONE』(以下『ザ・セカンド・マイルストーン』)から始まった。管理人はそう断言しよう。

 デビュー以降のエリック・アレキサンダーの特長とは,難フレーズでもとにかく豪快に吹き切る,無敵のブロウ職人のようなイメージであったが,前作『THE FIRST MILESTONE』から“大人の魅力”開眼のようで,豊かな情感表現が目立つように変化していたと思う。

 しかし『THE FIRST MILESTONE』での大人の音世界は,残念ながらエリック・アレキサンダー主導というよりはパット・マルティーノの個性に引っ張られて出来上がった優良盤であり,エリック・アレキサンダーにとって『THE FIRST MILESTONE』は「過渡期」のアルバムの代表格のように思える。

 それがどうだろう。『ザ・セカンド・マイルストーン』での深い音色と硬派な鳴り。ついに「コルトレーン派・第三グループ」の筆頭格としてエリック・アレキサンダーが自ら追求する音楽性を確立したように思う。

 【MATCHMAKER,MATCHMAKER】の冒頭から流れ出たテナーサックスの衝撃が忘れられない。まるで現代にコルトレーンが舞い戻ってきたかのようなテナーサックスの深い響きに,稲妻に打たれたかのような電気ショックが背中を走った。

 真にゾクゾクした。久しぶりに「ウォーッ」と大声で叫びたくなった。音色にしてもフレージングにしても,一聴してすぐにエリック・アレキサンダーと識別できるコルトレーンのスタイルを完全消化し,オリジナルの音色を確立したエリック・アレキサンダー“その人”がここにいる。

 要は,白人コルトレーン派・伝統の「COOLなハード・バップ」である。しかもDRYなのにノリがめちゃめちゃ重い。ストレイト・アヘッドなスタイルが破壊力満点な「テナー・タイタン」の速射砲に身がよじれてしまう。真に手放しで素晴らしい。

 そう。「コルトレーン派・第三グループ」の筆頭格であるエリック・アレキサンダーの特長とは,インスピレーション豊かに,抑制のきいたトーンで創造的なインプロヴィゼーションを展開する「テナー・タイタン」である。

 そんなエリック・アレキサンダーが,明快なメロディー・ラインを創り出し,卓越したハーモニーを織り込みながら,スイングを発散し続け,完璧な形に仕上げたのが『ザ・セカンド・マイルストーン』なのである。

THE SECOND MILESTONE-2 1年前のアルバムと聴き比べて成長が分かるのだから,当のエリック・アレキサンダーの手応えはいかばかりであろう。腕を上げた。相当大きな自信を掴んだ。そんな勢いのまま臨んだレコーディングだったのだろう。

 ズバリ『ザ・セカンド・マイルストーン』で,エリック・アレキサンダーが一皮剥けた! エリック・アレキサンダーが「期待のニュー・スター」から「テナー・シーンのトップ・アーティスト」へと一気に駆け上った!
 エリック・アレキサンダーの「生きる伝説」は『ザ・セカンド・マイルストーン』から始まったのだ!

  01. matchmaker, matchmaker
  02. the second milestone
  03. moment to moment
  04. the man from hyde park
  05. estate
  06. luna naranja
  07. john neely beautiful people
  08. the cliffs of asturias

(マイルストーン/MILESTONE 2001年発売/VICJ-60745)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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山下 洋輔 / マル・ウォルドロンに捧ぐ4

A TRIBUTE TO MAL WALDRON-1 個人的には「日本のフリージャズ」と来れば,富樫雅彦菊地雅章の印象が強いのだが,恐らくは「日本のフリージャズ」の第一人者は山下洋輔という認識で間違いないと思う。

 管理人は森山威男脱退前の,中村誠一坂田明を擁した山下洋輔トリオのことは全く知らないのだが,なんだか知っているような気分になるほど,周りの先輩たちから山下洋輔にまつわる武勇伝を聞かされたからだろう。
 あの“肘打ち”パフォーマンスは演奏する上で必然性などないのだが,必然性があるように見せてくれる。

 だから山下洋輔セシル・テイラーを好きだと聞いても驚きやしない。しかし山下洋輔マル・ウォルドロンを好きだと聞いて大いに驚いてしまった。本当だろうかとにわかに疑ってしまう。

 山下洋輔からのマル・ウォルドロントリビュートA TRIBUTE TO MAL WALDRON』(以下『マル・ウォルドロンに捧ぐ』)を聴いてみた。
 どうなのだろう。管理人にはやっぱりピンと来なかった。朴訥でパーカッシブなピアノのタッチがマル・ウォルドロンっぽいのか?
 当時の管理人の耳では,どう逆立ちしても山下洋輔と「ブルージーな」マル・ウォルドロンが直接的には結び付かなかった。

 しかし,そんなことはどうでもよい。『マル・ウォルドロンに捧ぐ』は,怒涛の演奏のパワーに,ただ圧倒されるべきアルバムである。
 『マル・ウォルドロンに捧ぐ』は,至極真っ当なフリージャズであり,例の山下洋輔トリオの血が流れている。

 『マル・ウォルドロンに捧ぐ』の山下洋輔トリオのメンバーは,ベース国仲勝男ドラム小山彰太。このリズム隊の名演にシビレてしまう。

 国仲勝男ベースニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン懸かっている。超絶なのに滑らかにドライブする。骨太なベース・サウンドが鼓動を打つ度に気持ち良い。
 そんなベース・ラインに鋭く反応する小山彰太ドラミングもまた神懸かっている。山下洋輔ピアノが走り出す度にドラムが波打って後追いし続ける。大興奮である。

A TRIBUTE TO MAL WALDRON-2 管理人の結論。『マル・ウォルドロンに捧ぐ批評

 『マル・ウォルドロンに捧ぐ』は,楽曲として“マル・ウォルドロンの曲を演奏する”山下洋輔フリージャズの中の1つのプロジェクトと捉えて何ら問題はない。
 予備知識なしで無心で聴けば,底抜けのフリー山下洋輔トリオの「核」が聴こえている。

 国仲勝男小山彰太と組んだハイテンション・ピアノ・トリオという基本があって,その上でマル・ウォルドロンの「ブルージーな」モニュメントが漏れ出してくる。
 実に味わい深い旋律と和声が次から次へと淀みなく湧き出てくる,そんなトリビュート・アルバムだと思う。

  01. TRANE'S SOUL EYES
  02. ONE-UPMANSHIP
  03. MAL IS BACK IN TOWN
  04. MINOAT

(エンヤ/ENJA 1980年発売/COCB-53616)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/山本隆,瀧口譲司)

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エリック・アレキサンダー・ウィズ・パット・マルティーノ / ザ・ファースト・マイルストーン4

THE FIRST MILESTONE-1 エリック・アレキサンダーが特に素晴らしいのは,エリック・アレキサンダーと同じくジョン・コルトレーンを信奉しているテナーサックスの大物,マイケル・ブレッカーブランフォード・マルサリスの影響をものともしない,自分の信じる「テナー・タイタン」の姿を追いかけているところである。

 つまり,超テクニカルで「シーツ・オブ・サウンド」の現代版を行くマイケル・ブレッカーとも,シリアスなジャズにしてオープンな雑食系であるブランフォード・マルサリスとも違う。
 シカゴというオールド・ジャズの伝統を重んじる閉鎖的なコミュニティで育った“らしさ”を強く感じる。

 直情的でありながら情緒的ブレを起こさない平衡感覚。ロング・トーンによるソロを吹き続けようとも,一瞬たりとも決してバテない精神的なたくましさ。ひたむきにハード・ブローイング一辺倒で,どんな局面でも吹き抜ける“豪快な力業”に,エリック・アレキサンダーの揺るぎない意志を感じてしまう。

 『THE FIRST MILESTONE』(以下『ザ・ファースト・マイルストーン』)は,エリック・アレキサンダーのリーダー作であるが,実はこのアルバム,エリック・アレキサンダーの男気を感じたピアノハロルド・メイバーンギターパット・マルティーノによる,エリック・アレキサンダーの「プッシュ・アルバム」だと思っている。

 『ザ・ファースト・マイルストーン』を初めて聴いた時,エリック・アレキサンダーが“御大2人”にプロデュースされている印象を受けた。
 そう。初めて「吹きすぎない」エリック・アレキサンダーの新境地を聴かせてもらった。パット・マルティーノから教えを請いたエリック・アレキサンダーが抑制美に目覚めている。

 パット・マルティーノ参加の『ザ・ファースト・マイルストーン』に続く,ジム・ロトンディ参加の『セカンド・マイルストーン』,ニコラス・ペイトン参加の『サミット・ミーティング』,ロン・カーター参加の『ナイト・ライフ・イン・トーキョー』の「マイルストーン四部作」は,自重することを覚えた“大人のNEWエリック・アレキサンダー”のテナーサックスが聴き所である。

THE FIRST MILESTONE-2 パット・マルティーノのイマジネイティヴなギター・ユニゾンからこぼれ出すエリック・アレキサンダーの豊かなテナーがメロディック。
 これまでも師匠としてエリック・アレキサンダーをバックから煽り続けて鍛えてきたハロルド・メイバーンパット・マルティーノを迎えてパワー・アップ。ピアノのニュアンスを聞き取ろうとするエリック・アレキサンダーを置いてけぼりに前へ前へと乗り出している。

 そう。ピアノハロルド・メイバーンギターパット・マルティーノによる,バッパー畑の至極のしごきが,エリック・アレキサンダーテナーサックスに“アダルトな響き”を付与している。

  01. STAND PAT
  02. #34 WAS SWEETNESS (FOR WALTER PAYTON)
  03. THE FIRST MILESTONE
  04. THE TOWERING INFERINO
  05. NIGHT SONG
  06. LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG
  07. THE PHINEAS TRANE
  08. I'M GLAD THERE IS YOU

(マイルストーン/MILESTONE 2000年発売/VICJ-60555)
(ライナーノーツ/成田正)

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渡辺 貞夫 / プレイズ・バッハ4

SADAO PLAYS BACH-1 『ライヴ・イン根室 1977』の39年前の音源リリースに驚かされてから約1年。再び渡辺貞夫の過去音源がリリースされることになった。
 今回は17年前のライブ音源である。『SADAO PLAYS BACH』(以下『プレイズ・バッハ』)である。

 管理人はジャズフュージョン専門であるが,MJQを筆頭にジャズメンが取り上げる題材としてのクラシックに接する機会は幾らかある。
 ゆえに『プレイズ・バッハ』も購入したのだが,その理由は“しょうがなく”ではなく“喜んで”である。

 管理人は渡辺貞夫が大好きだ。特に渡辺貞夫アルトの音色は「世界一美しい」と太鼓判を押す。そんな管理人としては『プレイズ・バッハ』こそが待望の過去音源に違いない。
 期待高まる〜! 聴く前からこんなにワクワクするのは何年振りのことだろう。

 『プレイズ・バッハ』を無心で聴く。流れ出る音楽は「クラシックのバッハそのもの」である。しかし,それ以上に聴こえてくるのは,あの渡辺貞夫の「世界一美しい」アルトの音色である。
 やはり曲とか題材とかは二の次である。ただ渡辺貞夫アルトサックスが鳴っている。それだけで大満足してしまう自分がいる。

 しかし,繰り返し聴いているうちに『プレイズ・バッハ』の印象が変化した。やっぱり面白くはない。ナベサダが緊張でかしこまったクラシックのコンサート録音を聴いている気分がしてしまう。

 『プレイズ・バッハ』は渡辺貞夫アルトサックスの音色目的で聴くには最高の1枚であろう。だが完成されたコンサートからはナベサダの香りは届いてこない。

SADAO PLAYS BACH-2 管理人の結論。『プレイズ・バッハ批評

 『プレイズ・バッハ』は,良く出来たライブ演奏と認めるが,いかんせんライブなのに非ジャズ的な書き譜通りの演奏に終始している。これはこれで有りなのか無しなのか?

 仮に渡辺貞夫が「クラシックのバッハ」ではなく,最近流行りの「バッハジャズ」のアレンジに向き合ったとしても,独唱によるアルトの音色の美しさは損なわれなかったように思えるのだが…。
 まっ,あのナベサダが「バッハジャズ」とは下品すぎて手を出さないのだろうけど…。

  01. FLUTE SONATA IN E MAJOR BWV.1035
  02. FLUTE SONATA IN E FLAT MAJOR BWV.1031
  03. PARTITA FOR FLUTE SOLO IN A MINOR BWV.1013
  04. ORCHESTRAL SUITE NO.2 IN B MINOR BWV.1067
  05. POR TODA A MINHA VIDA
  06. CARINHOSO
  07. FLUTE SONATA IN C MAJOR BWV.1033
  08. FLUTE SONATA IN B MINOR BWV.1030

(ビクター/JVC 2017年発売/VICJ-61768)
(ライナーノーツ/菅原正二,小林道夫)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1997年度(第31回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1997年度(第31回)の発表です。

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テネシー・ワルツ / Rendezvous★【金賞】.テネシー・ワルツ
カサンドラ・ウィルソン&ジャッキー・テラソン


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ミズーリの空高く★【銀賞】.ミズーリの空高く
チャーリー・ヘイデン&パット・メセニー


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ラヴ・シーンズ★【ボーカル賞】.ラブ・シーンズ
ダイアナ・クラール


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ザ・トリオ★【日本ジャズ賞】.ザ・トリオ
小曽根真


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コンプリート・アトラス・イヤーズ★【編集企画賞】.コンプリート・アトラス・イヤーズ
アート・ペッパー


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アメリカの祈り★【製作企画賞】.アメリカの祈り
マンハッタン・トリニティ+1


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トゥルー・バラード★【録音賞(新緑)】.トゥルー・バラード
 アーチー・シェップ


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アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション [XRCD]★【録音賞(再発)】.XRCDジャズ・シリーズ(全11タイトル)


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インプロヴィゼーション [DVD]★【最優秀ビデオ賞】.インプロヴィゼーション
チャーリー・パーカー他


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テナーズ・エニワン★【最優秀新人賞】.テナーズ・エニワン
ハーリー・アレン


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BEAUTIFUL LOVE★【最優秀新人賞】.ビューティフル・ラブ
ケイコ・リー


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 チャーリー・ヘイデン&パット・メセニーの『ミズーリの空高く』が【銀賞】受賞。

 『ミズーリの空高く』は,20年来の付き合いを持つチャーリー・ヘイデンパット・メセニーが,数年間2人きりで構想について語り合い練り上げてきた,ベースギターだけのアコースティックデュオ
 『ミズーリの空高く』は,ジャズを越え音楽をも越えた“崇高な作品”と呼ばれて然るべき“大傑作”である。

 不要な音を徹底的に削ぎ落とし,本当に必要な一音勝負に出た“音の映像作家”パット・メセニー。そのパット・メセニーの音世界をキャッチし,音のパレットを共有しながら色付けに励むチャーリー・ヘイデン。2人がついに完成させたのが“音の空間美”そして“静寂のハーモニー”である。
 暖かい音色と美しい響きを伴って,静かにゆっくりと音が,時が流れていく。幸福の本質とは何なのかを問いかけながら…。

 ウッド・ベースアコースティック・ギターの音色が,自分では手を伸ばしても決して届かない「心の琴線」にまで達し“優しく撫で回してくる”。うれしい。このままずっと聴き続けていたい。音楽に心の底から感動している肌触りが残る。

 言葉を越えた音楽がある。『ミズーリの空高く』はそんな1枚である。

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エリック・アレキサンダー / ストレイト・アップ4

STRAIGHT UP-1 ジョシュア・レッドマンが“神童”であればエリック・アレキサンダーは“新星”である。
 ジョシュア・レッドマンにはカリスマ性を感じるが,エリック・アレキサンダーには「期待の新人」を強く感じる。

 管理人がそう思うのは多分に,エリック・アレキサンダーデビューCDSTRAIGHT UP』(以下『ストレイト・アップ』)での実にフレッシュな第一印象のイメージが大きい。

 ハロルド・メイバーンピアノ・トリオをバックに,元気ハツラツなテナーサックスが疾走している。エリック・アレキサンダーの太く力強いトーン,豊かなメロディ・ラインがこぼれている。ブローが熱い。バラードは繊細でよく鳴っている。
 とにかく過去のサックス奏者と比べると何もかにもが違っているように感じる。新感覚に襲われた。

 エリック・アレキサンダーはイノベーターではない。エリック・アレキサンダーテナーサックスには,ソニー・ロリンズジョン・コルトレーンソニー・スティットジョー・ヘンダーソンスタンリー・タレンタインジョージ・コールマンからの影響が感じられる。
 にも関わらず,それ以上に勢いを感じる。己の目指す音楽に突き進む“気概”のようなものが先に来ている。これは相当に手強い。

 そう。エリック・アレキサンダーは,伝統に対する知識と愛情を持ち,開かれた感覚を持ち演奏する。
 エリック・アレキサンダーは,その耳で聞き,その心が感じたものを確信をもって,流ちょうに,成熟した音で,スイングしながら,本物のメロディー感覚を奏でる完璧主義者なのであろう。

STRAIGHT UP-2 管理人の結論。『ストレイト・アップ批評

 『ストレイト・アップ』は雰囲気で聴いていては楽しめない。エリック・アレキサンダーアドリブを紡いでいく過程を聴き楽しむアルバムである。
 情熱的なフレージングに茶目っ気たっぷりなエリック・アレキサンダーのユーモアを聴き逃すな!

  01. Straight up
  02. What are you doing the rest of your life
  03. Be my love
  04. Blues waltz
  05. Laura
  06. An Oscar for Tredwell
  07. End of a love affair
  08. Love is a many splendored thing

(デルマーク/DELMARK 1993年発売/PVCP-8164)
(ライナーノーツ/藤原孝弘,ローラ・ロウズナー)

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渡辺 貞夫 / ライヴ・イン根室 19775

LIVE IN NEMURO 1977-1 39年の時を越えてリリースされた『LIVE IN NEMURO 1977』(以下『ライヴ・イン根室 1977』)。
 このような過去音源のリリースは渡辺貞夫にとって初めてのことではなかろうか?

 この理由についてあらぬ憶測をしたものだが,要は渡辺貞夫の衰えから来たものではなく,渡辺貞夫の耳に初めて届けられた秘蔵音源が世に出た,という理由に胸を撫で下ろした( 事の詳細は大川正義氏が執筆したライナーノーツを参照のこと )。

 つまり渡辺貞夫のファンにとって『ライヴ・イン根室 1977』とは,単なる過去音源の発掘として片づけるのではなく,本気で渡辺貞夫の最新作として聴くべきアルバムであり,聴き込めば聴き込むほどにいいアルバムである。

 『ライヴ・イン根室 1977』が,公式録音でなかったという事実は,則ち,毎夜『ライヴ・イン根室 1977』クラスの名ライブが,日常的に演奏されていた証拠である。

 『ライヴ・イン根室 1977』の録音時期は,ちょうど渡辺貞夫が世界に登り詰める途上に当たる。
 『ライヴ・イン根室 1977』の半年前が『MY DEAR LIFE』で2週間後が『AUTUMN BLOW』。ナベサダフュージョンの間と間に行なわれた本格的なジャズライブというスタンスである。

 そう。『ライヴ・イン根室 1977』の真実とは,渡辺貞夫ジャズジャズ・ロック→フュージョンへの過渡期特有の魅力が1枚に詰め込められている。ライブだから,いつも以上に自由にアイディアを試している。

 渡辺貞夫の頭にあったアイディアの中には,アフリカがありボサノヴァがある。そしてアメリカの流行に影響を受けたクロスオーヴァーなジャズがある。

 実はナベサダさん。翌年の『CALIFORNIA SHOWER』の大ヒット以降は,アルバム制作は有名海外ジャズメンとの共演一色。その意味でも日本人で構成されたレギュラー・バンドの良さを堪能できる『ライヴ・イン根室 1977』のクロニカル的な価値は高い。
 
LIVE IN NEMURO 1977-2 とは言え『ライヴ・イン根室 1977』のハイライトは【ON GREEN DOLPHIN STREET】と【RHYTHMANING】のストレートなジャズ・ナンバー。

 オール日本人による渡辺貞夫グループがスピード豊かに疾走している。福村博トロンボーン本田竹広ピアノエレピ岡田勉ベース守新治ドラムのレギュラー・クインテットが一体化して押し寄せてくる。ハーモニーを重ねて楽しむスピリットみたいなものが伝わってくる。

 最高にグルーヴする渡辺貞夫のレギュラー・グループが色褪せていない。逆になんだかこれって新しい!? 『ライヴ・イン根室 1977』は渡辺貞夫・ファンにとっての「温故知新」なのである。

  01. MASSAI TALK
  02. HUNTING WORLD
  03. CHELSEA BRIDGE
  04. ON GREEN DOLPHIN STREET
  05. BOSSA NA PRAIA
  06. RHYTHMANING
  07. MY DEAR LIFE

(JVC/JVC 2016年発売/VICJ-61751)
(ライナーノーツ/小川隆夫,大川正義)

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エリス・マルサリス & 小曽根 真 / ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ5

PURE PLEASURE FOR THE PIANO-1 こんなピアノデュオは初めてである。四角四面な管理人はデュエット・アルバムは2人が対等だと思い込んでいた。
 しかしエリス・マルサリス小曽根真の『PURE PLEASURE FOR THE PIANO』(以下『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』)は,ほぼ小曽根真ばかりである。
 エリス・マルサリスの方が先に名前が出て来ているというのに,デュエットの間中,エリス・マルサリス小曽根真の伴奏役を務めている。まっ,このエリス・マルサリスのサポートが素ん晴らしいのであるが…。

 ただし『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』におけるエリス・マルサリスの“小曽根推し”は,エリス・マルサリスの計算された演出である。
 ニューオリンズ・ジャズのドンであるエリス・マルサリスは,事あるごとに「とにかくお前ら一回,この真というピアニストの音楽を聴いてみろ」と,ニューオーリンズ・センター・フォー・クリエイティブ・アーツの学生たちに薦めていたというエピソードが残されている。

 そんな小曽根真の良さを知り尽くしたエリス・マルサリスだから『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』で,まさかの“小曽根推し”ピアノデュオを成立させることが可能になったのだと思う。
 とは言え『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』は,エリス・マルサリス小曽根真ジャズメン・シップで制作されたわけではない。

 『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』制作の理由は,小曽根真サイドからの東日本大震災の復興支援のチャリティー・アルバム第2弾となるのだが,エリス・マルサリス・サイドからすれば2005年のハリケーン・カトリーナからのニューオリンズの復興支援チャリティーともなっている。
 『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』の収益の全額が「半分は東日本大震災の復興支援へ,もう半分はエリス・マルサリス・センター・フォー・ミュージックという復興支援の中心的建物へ寄付されたようである。

 『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』の性質がチャリティー・アルバムゆえ,鎮魂歌的な選曲であるし,ジャズ発祥の地としてのニューオリンズ所縁の選曲も目に付く。
 そう。クリティカルな小曽根真がバッチリ楽しめる仕組み。エリス・マルサリスがプロデュースする,小曽根真の仮想ソロ・アルバムと称して差し支えない。

 エリス・マルサリスの懐の中に小曽根真がクリティカルに飛び込んでいく様は,まるで親子共演のような印象を受ける。これはたまたまなのだろうがエリス・マルサリス小曽根真のお父様=小曽根実は同い年。
 互いにリスペクトしつつも,エリス・マルサリス小曽根真ジャズメン・シップに強い信頼関係と絆が感じられる。

( ちなみに『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』にエリス・マルサリスの長男=ブランフォード・マルサリスが【STRUTTIN’ WITH SOME BARBECUE】でゲスト参加。ブランフォード・マルサリスにしては珍しくアルトサックスを吹いている。これぞマルサリス・ファミリーの血の掟!? )

PURE PLEASURE FOR THE PIANO-2 『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』における小曽根真は「世界のOZONE」にふさわしい“王者のジャズ・ピアノ”を弾いている。理知的で内省的な演奏が半分,そして半分は悲しいのに底抜けに明るい。
 『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』における名演小曽根真のキャリアを代表する1枚になったと思う。素晴らしい。

 一方,エリス・マルサリスジャズ・ピアノは,ある時はメロディー・ラインを流麗に奏で,ある時は小曽根真の才気溢れる挑発に端正なバッキングで応じている。
 ジャズ界のレジェンドの語り口は,ラグタイムのストライド奏法にはじまり,ブルースで泣き,ワルツで踊って,やがてスイングの強烈なグルーヴ感に収斂している。こちらも素晴らしい。

 そう。「攻めの小曽根真と受けのエリス・マルサリス」。2人の長所が絶妙のバランスで混じっている。「小曽根真エリス・マルサリス=8:2」のバランスゆえに光っている。

 いや〜,聴けば聴くほど『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』がチャリティー・アルバムとして制作されたとは信じ難い。災害は2度と生じてほしくないが,エリス・マルサリス小曽根真デュエットの続編を大いに期待している。

  01. Confusing Blues
  02. Do You Know What It Means to Miss New Orleans?
  03. Sweet Georgia Brown
  04. Moment Alone
  05. Emily
  06. Longing for the Past
  07. What Is This Thing Called Love
  08. Struttin' With Some Barbecue

(ヴァーヴ/VERVE 2012年発売/UCCJ-2104)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/エリス・マルサリス,小曽根真)

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トッキーニョ & 渡辺 貞夫 / メイド・イン・コラソン5

MADE IN CORACAO-1 渡辺貞夫“最高傑作”は『エリス』である。それは良いとして『エリス』と同日発売の『MADE IN CORACAO』(以下『メイド・イン・コラソン』)とはリリース直後の30年前,人気・実力・扱いともに大きな開きがあったように記憶する。

 渡辺貞夫名義でトッキーニョがゲストとして参加したのが『エリス』であり,トッキーニョ渡辺貞夫の共同名義の『メイド・イン・コラソン』は,トッキーニョソロ名義では売れないからコラボになったとかならなかったとか…。
 事実,良作の『エリス』は,アメリカのジャズ・チャート4週連続の第1位獲得。二卵性双生児ゆえ,どうしても比較される『エリス』と『メイド・イン・コラソン』の評価は9:1で『エリス』の圧勝だったと記憶する。

 あれから21年。リマスタリングされた『エリス』と『メイド・イン・コラソン』の両盤を買い直してみた。そうして聴き直してみると,印象がガラリと変わってしまった。
 管理人の『エリス』=“最高傑作”の評価は揺らがないが『メイド・イン・コラソン』の,ほっこりとした温かな歌心に心が揺さぶられる。一気に『メイド・イン・コラソン』が『エリス』と同じレベルで肩を並べてしまったのだ。

 この全てはトッキーニョのヒューマンな音楽性に尽きる。ハッキリ言えばトッキーニョより上手なヴォーカリストトッキーニョより上手なギタリストは五万といる。
 でもどんなに超一流のヴォーカリストギタリストが集まろうともトッキーニョ1人のヒューマンな音楽性の魅力にはかなわない。渡辺貞夫トッキーニョに惚れ込んでいる理由を管理人も21年かかってようやく理解できた思いである。

 いいや『メイド・イン・コラソン』の真実とは,トッキーニョから捧げられた渡辺貞夫への“賛歌”である。
 『メイド・イン・コラソン』の全10トラック中,渡辺貞夫の楽曲が6曲。つまり『メイド・イン・コラソン』とは「TOQUINHO PLAYS SADAO WATANABE FEATURING SADAO WATANABE」なのである。

 『エリス』で新録された渡辺貞夫の【ELIS】【O QUE PASSOU PASSOU】の2曲にトッキーニョが詩を付けた。それだけではなく【BLUE LOVE LETTER】【MORNING ISLAND】【SERENADE】【STRAY BIRDS】の渡辺貞夫の既発4曲にもトッキーニョが詩を付けた。

MADE IN CORACAO-2 作曲家,メロディー・メイカーとしてつとに評価の高いトッキーニョがここまで渡辺貞夫の曲を歌うことに執着しているのは,2人の友情の証しであるばかりでなく,渡辺貞夫の音楽にブラジル音楽と共通するメロディー・センスを有することの証しでもある。

 そう。渡辺貞夫トッキーニョに惚れ込み,トッキーニョ渡辺貞夫に惚れ込んで制作されたのが「TOQUINHO PLAYS SADAO WATANABE FEATURING SADAO WATANABE」=『メイド・イン・コラソン』。

 いつの日か『メイド・イン・コラソン』が『エリス』を凌駕する日がやってくることを,実はひそかに期待しちゃったりして…。

  01. SAUDADES DE ELIS
  02. MINHA PROFISSAO
  03. MADE IN CORACAO
  04. O QUE PASSOU PASSOU
  05. FILHO MEU
  06. SAMBA DA VOLTA
  07. CARINHOSO
  08. SENTIMENTOS IGUAIS
  09. BONS MOMENTOS
  10. INQUIETO AMOR

(エレクトラ/ELEKTRA 1988年発売/WPCL-10648)
(ライナーノーツ/中原仁)

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エディ・ヒギンズ・トリオ / 美しすぎるあなた4

YOU ARE TOO BEAUTIFUL-1 マイルス・デイビスの『COOKIN’』『WORKIN’』『RELAXIN’』『STEAMIN’』に対応するのがエディ・ヒギンズの『A FINE ROMANCE』『A LOVELY WAY TO SPEND AN EVENING』『SECRET LOVE』『YOU ARE TOO BEAUTIFUL』(以下『美しすぎるあなた』)。
 そう。「ロマンス4部作」とはマイルス・デイビス「マラソン・セッション4部作」のエディ・ヒギンズ版である。

 ただしこのような「4部作」企画が通るのもエディ・ヒギンズだからである。なぜならマイルス・デイビスの「マラソン・セッション4部作」の4枚はその全てが名盤だからである。
 “名盤量産請負人”のエディ・ヒギンズだからこそ許された「ロマンス4部作」。

 (そしてこちらが没テイク)。ビル・エヴァンスの『PORTRAIT IN JAZZ』『WALTZ FOR DEBBY』『EXPLORATIONS』『SUNDAY AT THE VILLAGE VANGUARD』に対応するのがエディ・ヒギンズの『A FINE ROMANCE』『A LOVELY WAY TO SPEND AN EVENING』『SECRET LOVE』『YOU ARE TOO BEAUTIFUL』(以下『美しすぎるあなた』)。
 そう。「ロマンス4部作」とはビル・エヴァンスリバーサイド4部作」のエディ・ヒギンズ版である。

 上記の2案で管理人がエディ・ヒギンズが同じピアニストビル・エヴァンスではなくマイルス・デイビスを選んだのは「ロマンス4部作」のレコーディング時間である。
 マイルス・デイビスの「マラソン・セッション4部作」は1956年5月11日と10月26日の都合二日間で25曲。そのほとんどがワンテイクだった。そしてエディ・ヒギンズの「ロマンス4部作」の場合はマイルス・デイビスの2倍=4日間で50曲。
 ねっ,エヴァンスではなくマイルスに近いでしょ?

 それにしても『美しすぎるあなた』は『秘密の恋』の数倍いい。選曲も有名曲ばかりだしアレンジもこれしかない感じでキッチリと決まっている。
 これって「ロマンス4部作」の最後の最後まで名演を“お取り置き”していた感じ? …って『素敵なロマンス』と『恋に過ごせし宵』は1回も聴いたことがないのだけれど…。

YOU ARE TOO BEAUTIFUL-2 最後に名盤に出会えてよかった。好きなジャズメンの後味が悪くなるのは嫌なので『美しすぎるあなた』を「エディ・ヒギンズの最後」にしたいと思います。今のところですが…。

 最後の最後にプチ情報。エディ・ヒギンズという偉大なジャズメンは,一度録音した曲は二度と録音しない主義のお方です。演奏のクオリティは安定していますので(余りこういうのは好きではないのですが)自分の好きな曲が収録されているかどうかの基準でアルバムを選んでも大丈夫です。
 聴かないのがダメ絶対。騙されたと思って,是非,エディ・ヒギンズを1枚は聴いてみてください。

 「一家に1枚」はエディ・ヒギンズなのですぞ〜。

  01. A Nightingale Sang In Barkeley Square
  02. All The Things You Are
  03. Lover Man
  04. Like Someone In Love
  05. Histria de Una Amour
  06. Anything Goes
  07. In A Sentimental Mood
  08. In The Still Of The Night
  09. Georgia On My Mind
  10. Blue Bossa
  11. You Are Too Beautiful
  12. I'll Be Seeing You

(ヴィーナス/VENUS 2007年発売/TKCV-35413)
(ライナーノーツ/皸羶成)

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エディ・ヒギンズ・トリオ / 秘密の恋4

SECRET LOVE-1 2002年リリースの『DEAR OLD STOCKHOLM』以来なので,5年振りにエディ・ヒギンズCDを買ってしまった。( ← ウソです。本当はその1年後ぐらいに2割引きになった頃に買いました )。

 一度は「エディ・ヒギンズは過去作だけで十分だな」なあんて思っていたはずなのに「ロマンス4部作」の触れ込みには我慢できず,やっぱり新緑を買ってしまった。

 手に取ったのは「ロマンス4部作」の3作目『SECRET LOVE』(以下『秘密の恋』)。1作目の『素敵なロマンス』ではなく2作目の『恋に過ごせし宵』でもなく『秘密の恋』を選択した理由は単純に【ラウンド・ミッドナイト】を聴いてみたい一心であった。
 ロマンスとは対極にある【ラウンド・ミッドナイト】がロマンスする演奏ってどんなものか? 読者の皆さんも怖いもの見たさで?ちょっと惹かれてしまいませんか?

 思うにエディ・ヒギンズという“ジャズ・ピアニスト”はいつだって【ロマンティックが止まらない】( by C-C-B )!
 エディ・ヒギンズの場合は「ロマンス4部作」だけではなく,リーダー・アルバムの全てがロマンスしている。ゆえに暗い哀愁ナンバーにこそ逆に愛着を覚えてしまうもの?

 やったね。エディ・ヒギンズさん。【ラウンド・ミッドナイト】がロマンスしている。肩の凝らないロマンティシズムが漂う【ラウンド・ミッドナイト】である。
 甘すぎない楽曲に,塩味がピリリと効いた「情熱的なオトナ」の【ラウンド・ミッドナイト】がロマンスしている。とってもロジカルなのに耳に優しく広がっていく。快感である。

SECRET LOVE-2 他の11曲のロマンティック・スタンダードも安定の「ヒギンズ節」が中々良い演奏だと思う反面,個人的にはどうしても今までの思い入れが強かっただけに(『DEAR OLD STOCKHOLM』は名演集だったにも関わらず)アンチ商業主義の気持ちが優勢になってしまうため,以前のようにピュアな?気持ちでエディ・ヒギンズを聴くのは難しかった。そのことを再確認できただけでも『秘密の恋』を買って良かったと思っている。

  01. Secret Love
  02. Ghost Of A Chance
  03. Star Eyes
  04. Round Midnight
  05. East Of The Sun
  06. Always
  07. Blue And Sentimental
  08. I Let A Song Go Out Of My Heart
  09. But Beautiful
  10. Cheek To Cheek
  11. But Not For Me
  12. Avalon

(ヴィーナス/VENUS 2007年発売/TKCV-35409)
(ライナーノーツ/皸羶成)

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渡辺 香津美 / KYLYN4

KYLYN-1 管理人は『KYLYN LIVE』を聴いた後に『KYLYN』を聴いた。そのせいなのだろう。『KYLYN』について語ろうと思えば,巷で言われているような名盤評価にはならない。

 『KYLYN LIVE』は真に最高のライブ盤である。ゾクゾクする。しかしあの大興奮を『KYLYN』からは感じられない。
 ズバリ『KYLYNレコーディングの時点では,渡辺香津美坂本龍一,そして日本の音楽界の精鋭たちとのコンビネーションがまだこなれてはいないのだ。

 そう。『KYLYN』の音楽の本質が,あの「青と赤」真っ二つのアルバム・ジャケットに象徴されている。『KYLYN』はLPのA面が渡辺香津美ジャズフュージョン・サイド,B面が坂本龍一のテクノ・ポップ・サイドで構成されている。
 ステージ上の楽器の配置を「青と赤」で表現した『KYLYN LIVE』のアルバム・ジャケットがお見事。「青と赤」が分断されていた『KYLYN』が『KYLYN LIVE』でついに融合したことを絵画的に表現しているように思う。

 さて,そんな渡辺香津美ソロ名義のアルバムを坂本龍一がプロデュースした『KYLYN』であるが,ギターフレットレスベース渡辺香津美フェンダー・ローズピアノシンセサイザー坂本龍一フェンダー・ローズ益田幹夫ピアノキーボードヴォーカル矢野顕子ベース小原礼ドラム村上“ポンタ”秀一ドラム高橋ユキヒロパーカッションペッカートロンボーン向井滋春アルト・サックスソプラノ・サックス本多俊之テナー・サックス清水靖晃という,当時すでに自らのリーダー・アルバムをリリース済メンバーによる「オール・スター・セッション」こそが『KYLYN』の“伝説”である。

 つまり渡辺香津美坂本龍一の『KYLYN』における功績とは,これだけの精鋭たちを集めきった人脈にあるのであって,2人がリードしたフュージョン志向の音楽性は後付けで良い。

 才能豊かなメンバーが同じスタジオに集まって,同じ空気同じ方向性で自由にクリエイトできたからこそ,後刻『KYLYN LIVE』での爆発が生じたのだろう。
 「KYLYN」という名の「オール・スター・セッション」が,やがては「KYLYN BAND」を名乗れるほどに,一体感ある音の交歓に喜びを感じながらメンバー全員が「次なるステージへとステップアップできた時間と場所」としての趣きを感じる。

 ちなみに「KYLYN」というプロジェクト名は,渡辺香津美坂本龍一の双頭バンドという意味合いもあって,Kは渡辺香津美のK。Yは&の意味。Lは「RYUICHI SAKAMOTO」のRをLと表記したもの。Nは仲間のN。

 面白いのは「KYLYN」から後のYMOが誕生し,渡辺香津美もYMOのサポートを務めるようになった事実もあって「KYLYN」の主導権は常に「LYUICHI SAKAMOTO」が握っており,渡辺香津美サイドが坂本龍一サイドに呑み込まれてしまったような印象で聴こえるところである。うん。教授&アッコちゃん!

KYLYN-2 管理人の結論。『KYLYN批評

 『KYLYN』は2つの別々のコンセプトが合体したコンパイル盤にして,それぞれのコンセプトの括りも曖昧で曲想がバラバラな実験作。『KYLYN』は,コンビニ的な凄腕メンバーの才能豊かなソロを楽しむためのアルバムである。

 ただし,この「暗中模索的」な『KYLYNセッションから,後の『KYLYN LIVE』なる大名盤が誕生し『KYLYN LIVE』で発芽した「音の種」が,J−ジャズフュージョン界に満開の花を咲かせる結果につながったのだから「分水嶺的」なアルバムとして(音楽性とは別の分野で)評価されて然るべきだと思っている。

  01. 199X
  02. SONIC BOOM
  03. WATER WAYS FLOW BACKWARD AGAIN
  04. MILESTONES
  05. E-DAY PROJECT
  06. AKASAKA MOON
  07. KYLYN
  08. I'LL BE THERE
  09. MOTHER TERRA

(ベター・デイズ/BETTER DAYS 1979年発売/COCB-53837)
(☆HQCD仕様)
(ライナーノーツ/松下佳男)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1996年度(第30回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1996年度(第30回)の発表です。

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ザ・ニュー・スタンダード★【金賞】.ザ・ニュー・スタンダード
ハービー・ハンコック


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フォー・シーズンズ★【銀賞】.フォー・シーズンズ
秋吉敏子ジャズ・オーケストラ・フィーチャリング・ルー・タバキン

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ニュー・ムーン・ドーター★【ボーカル賞】.ニュー・ムーン・ドーター
カサンドラ・ウィルソン


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プレイ・ピアノ・プレイ〜大西順子トリオ・イン・ヨーロッパ★【日本ジャズ賞】.プレイ・ピアノ・プレイ
大西順子


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コンプリート・ロンドン・ハウス・セッション★【編集企画賞】.コンプリート・ロンドン・ハウス・セッション
オスカー・ピーターソン

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MILES FAVORITE SONGS★【製作企画賞】.スイングジャーナル・リーダース・プロデュース〜マイルス・フェイバリット・ソングス
ドリーム・セッション'96

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テイルズ・フロム・ザ・ハドソン★【録音賞(新緑)】.テイルズ・フロム・ザ・ハドソン
 マイケル・ブレッカー


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ネフェルティティ★【録音賞(再発)】.マスター・サウンド・ジャズ・シリーズ〜マイルス・デイビス(20タイトル)
マイルス・デイビス

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イン・コンサート Vol.2 [DVD]★【最優秀ビデオ賞】.ロフト・プレゼンツ・ジャズ・イン・ミュンヘン=スタン・ゲッツ・イン・コンサート〜ヒズ・ラスト・レコーディング Vol.1&2スタン・ゲッツ

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オール・フォー・ユー〜ナット・キング・コール・トリオに捧ぐ★【最優秀新人賞】.オール・フォー・ユー〜ナット・キング・コール・トリオに捧ぐ
ダイアナ・クラール

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 ハービー・ハンコックの『ザ・ニュー・スタンダード』が【金賞】受賞。

 いや〜,よ〜く覚えている。『ザ・ニュー・スタンダード』の発売当時は“狂喜乱舞”のジャズ・ライフであったことを…。
 ハービー・ハンコックの目の付け所が素晴らしい。ハービー・ハンコックこそが当世最高のピアニストである。これからはキース・ジャレットでもチック・コリアでもなくハービー・ハンコックと共に生きて行こう。
 まぁ,管理人の「ハービー命」は数年間の寿命であったけど…。
 
 『ザ・ニュー・スタンダード』とは,それこそキース・ジャレットが「スタンダーズトリオ」で演奏するような,古くから途切れることなく演奏され続けてきた定番曲に変わる,新時代のスタンダーズ集。

 ハービー・ハンコックがセレクトした,新時代のスタンダーズ・ソングは,確かに時の風化に耐えうる名曲ばかり。しかもこれが全曲ジャズスタンダーズしているのだからたまらない。

 そう,この手法に覚えがある。かつてマイルス・デイビスマイケル・ジャクソンを試みた時のアレである。マイルス・スクールの首席卒業生=ハービー・ハンコックマイルス・デイビスの遺志を継いで完成させたアルバムが『ザ・ニュー・スタンダード』の真実なのだ。

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エディ・ヒギンズ・トリオ / 懐かしのストックホルム4

DEAR OLD STOCKHOLM-1 『DEAR OLD STOCKHOLM』(以下『懐かしのストックホルム』)が実に悩ましい。
 演奏良しの選曲良し。これぞジャズ・ピアノが長年追い求め続けてきた理想の具現化であろう。

 ただし手放しでは喜べないのだ。エディ・ヒギンズ・クラスなら『懐かしのストックホルム』クラスの名盤を放っておいて演奏できる。
 なのにエディ・ヒギンズがやらされてしまっている。スイングジャーナル誌とヴィーナス・レコードにやらさえてしまったのだ。そこがどうにも歯がゆいのだ。

 そう。『懐かしのストックホルム』とは,スイングジャーナル誌の「エディ・ヒギンズ・トリオで聴きたいスタンダード・ベスト10」から産まれた企画盤である。どうやらVENUSの10周年記念企画盤だとか…。

 VENUSエディ・ヒギンズが「持ちつ持たれつの間柄」であることは周知の事実。ゆえに『懐かしのストックホルム』の制作は当然の成り行きだったのかもしれない。
 しかし『懐かしのストックホルム』の中に,エディ・ヒギンズの魂はあるのか?と問われれば,管理人は「ない」と答えよう。

 管理人には『懐かしのストックホルム』でのエディ・ヒギンズは,どうにも「よそ行き」のジャズ・ピアノに聴こえてしまう。「どこぞのカクテル・ピアニスト」のジャズ・ピアノに聴こえてしまう。

 そう。『懐かしのストックホルム』でのエディ・ヒギンズは,いつもより軽めに鍵盤を弾いている。『HAUNTED HEART』や『AGAIN』の頃の硬めのタッチが消えている。

 管理人は『懐かしのストックホルム』の前作までエディ・ヒギンズをずっと支持してきたが,それは“売れ線”を弾いてはみても,心はずっと硬派なジャズメンのままだったからだ。商業主義とは一線を引いた「カクテル・ピアノ」職人のエディ・ヒギンズが大好きだった。

DEAR OLD STOCKHOLM-2 だからこそ『懐かしのストックホルム』で感じた軽めのピアノ・タッチに嫌悪感を覚えてしまった。エディ・ヒギンズが悪魔に魂を売ってしまった気がして嫌気がさした。
 1番期待していたのに,甘い【NARDIS】という音選びの決定的な失敗が『懐かしのストックホルム』全体の不必要な甘さへとつながったように思う。

 ズバリ,管理人の大好きだった“エヴァンス派”のエディ・ヒギンズは『懐かしのストックホルム』という大名盤を残して死んでしまった。
 『懐かしのストックホルム』は「どこぞのカクテル・ピアニスト」による名演集なのである。

 個人的には『懐かしのストックホルム』以降のエディ・ヒギンズは評価していない。批評の対象としてはどうでもいい。

  01. Moonlight Becomes You
  02. More Than You Know
  03. Nardis
  04. Over The Rainbow
  05. Dear Old Stockholm
  06. I Remember Clifford
  07. You And The Night And The Music
  08. If You Could See Me Now
  09. Again
  10. We Will Be Together Again
  11. Witchcraft
  12. It Never Entered My Mind
  13. Stella By Starlight
  14. Blame It On My Youth

(ヴィーナス/VENUS 2002年発売/VHCD-4077)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/児山紀芳)

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ザ・スフィアーズ / ライヴ・イン大阪3

LIVE IN OSAKA!!-1 「ザ・スフィアーズ」とは山中千尋の“覆面バンド”である。
 「ザ・スフィアーズ」のデビュー盤『LIVE IN OSAKA!!』(以下『ライヴ・イン大阪』)のどこを見渡しても山中千尋の文字はない。アルバム・ジャケットにも,いつもの美形の顔出しなし。
 おいおい,ドル箱の山中千尋ブランドを隠してセールス的には大丈夫なのかぁ〜。

 しか〜し『ライヴ・イン大阪』を聴けばすぐに分かる。「ザ・スフィアーズ」が発する山中千尋特有のジャズ・ピアノの香り。
 これには原因があって,ちーたんのエレピがバランス的に飛び抜けているのは,ダナ・ロスエレクトリックベースカレン・テバーバーグドラムが少々貧弱。
 結果として,いつもの脇義典ウッドベースジョン・デイヴィスドラムとの「山中千尋トリオ」以上に「山中千尋・ワンマン・バンド」と化している。

 つまり『ライヴ・イン大阪』は,山中千尋とその他2名によるライブ盤ゆえクオリティは二段落ちている。山中千尋ピアノにしても,せっかくの「ワンマン・バンド」なのだから,もっと自由に大暴れしても良いのに「ザ・スフィアーズ」全体のまとめ役に徹している感じがする。

 「ザ・スフィアーズ」に不満に感じてしまう最大要因はダナ・ロスエレクトリックベースである。せっかくのエレクトリックベースなのにリズム・キープがほとんどで,エレクトリックベースの代名詞=スラップなどは皆無。

 要するに「ザ・スフィアーズ」は山中千尋の「アコベだけではなくエレベも使ってみました」的な実験作。エレベエレピが乗っているにも関わらず,印象としてはアコベから何にも変化なし。

LIVE IN OSAKA!!-2 管理人はアルバム数枚おきに数曲だけ聴かせてくれる山中千尋の“狂喜のエレピ”が大好きなもので「ザ・スフィアーズエレクトリック・ガールズ・バンド」に大いに期待していたのだが,3回聴いてお蔵入り決定。
 自他共に認めるちーたん・マニアの管理人をして駄盤の烙印を押してしまおう。

 そう。「ザ・スフィアーズエレクトリック・ガールズ・バンド」の看板は偽りであって,聴き所はフェンダー・ローズではなくアコースティックピアノの方であった。
 『ライヴ・イン大阪』は【八木節】の名演1曲に救われているよなぁ。【八木節】ばかりは山中千尋がニッコニコ〜!

  01. RAIN, RAIN AND RAIN
  02. LIVING TIME:EVENT V
  03. YAGIBUSHI
  04. BEMSHA SWING
  05. HIMAWARI MUSUME
  06. TAXI
  07. THE ENTERTAINER
  08. EVIDENCE
  09. INSIGHT FORESIGHT

(ブルーノート/BLUE NOTE 2015年発売/UCCQ-1050)

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