アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:坪口 昌恭

坪口 昌恭 / ANDROGRAFFITI5

ANDROGRAFFITI-1 坪口昌恭というキーボード・プレイヤー。それは「東京ザヴィヌルバッハ」の人であり「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN(DCPRG)」の人だった。
( 現在では「菊地成孔ダブ・セクステット」の坪口昌恭が一番のお気に入り! )

 「東京ザヴィヌルバッハ」にしても「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN(DCPRG)」にしても,坪口昌恭は初めから前面に出るタイプではなく,ここぞという時に後ろから横から斜めから攻め上げてくるタイプ。
 サッカーで言えばスーパーサブであって,一度前に出た坪口昌恭をもはや誰も止められない。一番身近な菊地成孔こそが,そんな坪口昌恭の大ファンの1人だと思う。

 菊地成孔は知っている。坪口昌恭の本当の魅力は「キレッキレ」の一発勝負師ではないことを…。坪口昌恭の本当の魅力はバランサーであり全体を見渡せる10番。つまりは司令塔タイプであることを…。
 だからこそ菊地成孔坪口昌恭をスーパーサブではなく先発として,そしてフォワードではなく中盤として毎回起用しているのだろう。

 坪口昌恭についての菊地成孔の見立ては当を得ている。『ANDROGRAFFITI』が坪口昌恭の“バランサー資質”を見事に証明してくれている。

 『ANDROGRAFFITI』は前作『VIGOROUS』と同一録音のセッション音源にオーバーダビングさせた最終完成盤。『VIGOROUS』以上に坪口昌恭ジョー・ザビヌル化して聴こえる。
 サックスパーカッションが入っている曲では,もろザビヌルを想起して“ウェザー・リポートっぽい”音が鳴っている。坪口昌恭ジョー・ザビヌルのように自らシュートを決めに行く。

 しかしそこにトランペットが入った曲では,完全なるバランサーとして鍵盤中心のシフトではあるが,濃厚なファンクネスと即興性が前面に出たポリリズミック電化ジャズが鳴っている。
 『VIGOROUS』に続き『ANDROGRAFFITI』でオラシオ・エルネグロ・エルナンデスドラムを叩く意味とか必然性があるような展開に持ち込んでいる。

ANDROGRAFFITI-2 『ANDROGRAFFITI』の同一にして2つのセッションに色を付けたのは1年がかりで行なわれたオーバーダビングであることを忘れてはならない。これは逆説的な意味である。意識しなければ生演奏に聴こえてしまう。

 オラシオ・エルネグロ・エルナンデスが参加したキューバの路地裏でセッションされていたストリート・ミュージックが,坪口昌恭の手に掛かればNYのスタジオで録音されたかのように聴こえてしまうのだ。

 坪口昌恭の完璧なる補修作業。これこそが『ANDROGRAFFITI』なのだろう。これこそが「アンドロイドの落書き」なのだろう。

  01. M.T. Swallow
  02. Space Mbira
  03. Equator Civilization
  04. Water Moon
  05. Groove Continent
  06. Vanilla Beans
  07. Swinging Weather

(ボディー・エレクトリック・レコーズ/BODY ELECTRIC RECORDS 2006年発売/EWBE-0019)
(紙ジャケット仕様)

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坪口 昌恭 / VIGOROUS5

VIGOROUS-1 『VIGOROUS』を買ったのは東京ザヴィヌルバッハの『A8V(ON THE EARTH)』を買った3日後のことだったことを覚えている。
 『A8V(ON THE EARTH)』にハマッタ。そして坪口昌恭にハマッタ。そしてよく調べもせずにアマゾンで坪口昌恭の最新作だった『VIGOROUS』をポチッ。

 たまたま選んだ『VIGOROUS』が,管理人の東京ザヴィヌルバッハへハマル流れを止めたのは皮肉な結果。だって機械ではなく生身の人間の方が凄いということを再確認出来たから!

 そう。『VIGOROUS』のドラマーとは“あの”オラシオ・エルネグロ・エルナンデス
 これが並みのドラマーだったら「M」の連勝街道一直線だったのかもしれないが,オラシオ・エルネグロ・エルナンデスの爆撃ドラミングの「グルーヴの波」が,坪口昌恭が書いた美メロと「ハモる瞬間の波」が最高に気持ちいい。

 管理人が『VIGOROUS批評で書きたいことは,人力ドラムの優越性,というか,元々,人間と機械を比べてはいけないということ。
 音楽シーンはこの後「ドラムンベース」に流れていったが,JIMSAKUを例に出すまでもなく,音楽のテクニック,もっと言えば音楽の世界でコンピュータが人間を超えるのは遠い先の事であって,個人的に機械は人間を永遠に超えられないと思っている。

 そう感じているのは管理人だけではない。坪口昌恭もまたその中の1人である。
 仮に『VIGOROUS』のリズム隊を「M」で演奏していたなら面白くも何とない音楽で終わっていたように思う。終始正確でそしてプログラミングによって予想だにしないリズムを打ち叩いてくる「M」は本当に凄いと思う。

 しかし,ジャストではない前ノリとか後ノリの感覚。譜面では決して指示出来ないノリを坪口昌恭は『VIGOROUS』で表現している。
 『VIGOROUS』の楽曲はどれもが速攻前のめりテクニカル。こんな楽曲群を演奏するには打ち込み系が向いているのだが,それは坪口昌恭の音楽を理解した機械演奏の話なのだ。

VIGOROUS-2 『VIGOROUS』のハードな演奏は「複雑なメロディ・ライン」にある。キャッチーなメロディではない。テクニックひけらかしでもない。“器楽的に”メロディアスなのだ。

 これである。“器楽的に”メロディアスな表現は人力でしか表現できない。だからドラムオラシオ・エルネグロ・エルナンデスなのである。オラシオ・エルネグロ・エルナンデスの爆撃ドラミングが演奏に“強度と味”を加えている。

 主役である坪口昌恭エレピは終始奥で鳴っている間違った印象操作。
 坪口昌恭が意識的に後ろに下がって弾いているわけではない。よく聴けば主軸は鍵盤にあるのだが,躍動感あるリズムと冷静にグルーヴする鍵盤の対比が不思議なストイックさを醸し出している。

 『VIGOROUS』で耳に付くのは構成の複雑さとたやすく弾きこなすテクニック。個々の演奏の猛烈な確かさと歌心にシビレまくる名盤だと思う。

  01. African Eagle
  02. Southern Cross
  03. Tasogare Boomerang
  04. Power Rose
  05. Nostalgica
  06. Pastel Yogurt

(ボディー・エレクトリック・レコーズ/BODY ELECTRIC RECORDS 2004年発売/EWBE-0012)
(紙ジャケット仕様)

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