アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:FOURPLAY

フォープレイ / シルヴァー4

SILVER-1 『SILVER』(以下『シルヴァー』)とは,フォープレイ25周年の記念盤。題してフォープレイの「銀婚式」。
 言わば“フォープレイ・ファミリー”勢揃いの「銀婚式」であって,初代ギタリストリー・リトナーと二代目ギタリストラリー・カールトンもゲスト参加でお祝いに駆けつけている。

← リー・リトナーラリー・カールトンの両雄は,バンドを実際に離れて改めて分かった“フォープレイ・サウンド”の素晴らしさに,ドサクサに紛れて自ら共演を懇願したように思えてしまう?

 『シルヴァー』のテーマは『シルヴァー』。『シルヴァー』の楽曲のタイトルを眺めるだけで,どんだけ銀が好きやねん!
 管理人が好きな『シルヴァー』は,重厚な列車がズンズンと迫ってくる感じの【QUICKSILVER】と切々と訴えかけてくる【A SILVER LINING】の2曲だけだったかなぁ。

 『シルヴァー』の不発要因は「銀婚式」に“フォープレイ・ファミリー”以外の関係者を正規ゲストとして迎えてしまった結果だと思う。
 凡人には理解し難いことだが『シルヴァー』にはボブ・ジェームスのサポートとして3人のキーボード・プレイヤーが演奏している。音のぶ厚い多重録音を行なったせいでセッション的要素は限りなく薄められ,せっかくのリー・リトナーチャック・ローブラリー・カールトンチャック・ローブの共演も期待外れで終わっている。
 その一方でテナーサックスカーク・ウェイラムとの共演では,単なる引立て役のバック・バンドで終わっている。この全てが大好きなフォープレイの演奏だと認めたくない。

 そういうことでフォープレイにしては珍しく早々と駄盤が決定した1枚。『シルヴァー』はアルバムの印象が散漫すぎる。コンセプト・アルバムだというのにねぇ。『SNOWBOUND』がそうだったし,もしやフォープレイはコンセプト・アルバムが苦手なの?

 思えばフォープレイとは,一時代を築いたジャズメン4人が,言わばセカンド・キャリア的に始めたバンド活動であったはずなのに,キーボードボブ・ジェームスベースネイサン・イーストドラムハービー・メイソンの3人にとっては,今や気付けばフォープレイとしての活動の方がメインとなってライフ・ワークと化している。音楽性で意気投合したバンドは本当に強い!

SILVER-2 そんな中,ギタリストだけはリー・リトナーラリー・カールトンチャック・ローブへと交代した。そして『シルヴァー』を最後にチャック・ローブも旅立っていった。次の新しいギタリストは誰でしょう?

 誰が務めることになるとしても条件はただ1つ。ボブ・ジェームスネイサン・イーストハービー・メイソンのリズム隊の3人とリー・リトナーラリー・カールトンチャック・ローブのフロントの3人。合計6人の全員が頑なに守り通してきた「フォープレイのバンド・サウンドの伝統」を重んじ守ってくれるギタリスト! その上での個性なのである! 今度こそパット・メセニーを迎えてほしいが,その可能性はゼロであることも承知しております…。

 それにしてもフォープレイは,いいや,ジャズフュージョン界は「至宝の人材」を失った。大損失である。チャック・ローブさん「SEE YOU PARADISE」!

  01. QUICKSILVER
  02. HORACE
  03. STERLING
  04. A SILVER LINING
  05. SILVERADO
  06. MINE
  07. SILVER STREAK
  08. PRECIOUS METAL
  09. ANIVERSARIO
  10. WINDMILL

(ヘッズ・アップ/HEADS UP 2015年発売/UCCO-1160)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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フォープレイ / エスプリ・ド・フォー4

ESPRIT DE FOUR-1 『LET’S TOUCH THE SKY』で「フォープレイ=活動休止中のパット・メセニー・グループ」が擦り込まれてしまった管理人。
 フォープレイパット・メセニー・グループを求めるのは間違いだと分かったはいても,パット・メセニー・グループの新作は出そうにない。パット・メセニー・グループと似たグループと言えば「e.s.t.」ぐらいだったのに,エスビョルン・スヴェンソンの不慮の事故によりこちらも新作のリリースは望みようがない。
 フォープレイパット・メセニー・グループを重ねたくなるこの気持ち〜!

 多分,真っ当なフォープレイ・ファンからは一蹴されて終わるのだろうが,ボブ・ジェームスだけは管理人のこの気持ちを分かってくれた! 『ESPRIT DE FOUR』(以下『エスプリ・ド・フォー』)は,フォープレイが創り上げたパット・メセニー・グループ路線の最新作!

 ECMでの若さと清らかさ,ゲフィンでの派手でやり過ぎた下品さ,ノンサッチでのアーティスト志向がバランス良く顔を出すチャック・ローブPMG
 先代の超大物2人と比べればチャック・ローブは小粒だが,その分灰汁が出ない。こんなにも使い勝手の良いギタリストだったとは管理人的にも新発見である。

 『エスプリ・ド・フォー』では,これまでのお洒落でハイセンスな“フォープレイ・サウンド”に温かさと雄大さが加わりつつ,逆説的だが,俯瞰から眺めて冷静に計算され尽くしているようなアレンジが印象に残る。これほど長く活動してきたバンドであるにも関わらず,明らかに新しいサウンドの息吹き,方向性の模索を感じる取ることができる。
 プロデューサーとしても活躍するチャック・ローブだから,作り込まれた感が強いフォープレイとマニアで有名なパット・メセニー・サウンドにマッチしているのだと思う。

( ここで決して公には出来ない裏事情を書いておくと,フォープレイパット・メセニー・グループして聴こえる一番の理由はパット・メセニーの弟子であるチャック・ローブの参加ではありません。ズバリ,ボブ・ジェームスライル・メイズに意識的に“寄せている”からなのです。その辺りを見誤らないで! )

 さて,管理人がチャック・ローブを評価する理由は“ギタリスト”としてのチャック・ローブだけではない。リー・リトナーラリー・カールトンは持ち合わせていないかった“名コンポーザー”としてのチャック・ローブの存在である。

 フォープレイというグループはメンバーの4人全員が曲を書くことをポリシーとしている。一番の多作家でありバンドの代表曲を書き上げてきたのはボブ・ジェームスであるが,超キャッチーなキラー・チューンはハービー・メイソンの場合が多く,ネイサン・イーストも佳曲をズライと並べてくる。その部分ではリー・リトナーラリー・カールトンはあまり貢献してきたとは言えないであろう。

 そ・こ・で“名コンポーザーチャック・ローブの加入である。チャック・ローブは感動モノの曲を書く。【DECEMBER DREAM】は何度聴いても涙が止まらない。心の震えが止まらない。
 そんな“名コンポーザーチャック・ローブの加入が,他の3人の“名コンポーザー”の創作意欲を大いに刺激したのだろう。『エスプリ・ド・フォー』にはマンネリと謳われたラリー・カールトン期にはなかったヒットパレードのオンパレード。

 これまでのフォープレイは世界最高峰の演奏力でスムーズ・ジャズ界の頂点に君臨してきた。だから管理人のフォープレイに対する一つの夢とは「名曲のカヴァー・アルバム」の制作だった。ジャズっぽいものではなく,コンテンポラリーやAOR系のカヴァー演奏を聞いてみたかった。
 しかし“名コンポーザーチャック・ローブの加入でその夢は必要なくなった。それくらいに捨て曲なし。美メロばかりがザックザク〜!

ESPRIT DE FOUR-2 管理人の結論。『エスプリ・ド・フォー批評

 『エスプリ・ド・フォー』は,演奏の名手にして作曲の名手がついに4人揃った,フォープレイの理想の完成形だと思う。「絆」を表現したであろうジャケット写真通りの快作である。

 『エスプリ・ド・フォー』には【DECEMBER DREAM】【FIREFLY】【LOGIC OF LOVE】【LET’S TOUCH THE SKY】の4曲の神曲が入っている。特に【DECEMBER DREAM】については,チャック・ローブ時代の代表曲として指名する。

 ただし『エスプリ・ド・フォー』の評価は星4つ。その理由は「SEIKO MATSUDA」である。【PUT OUR HEARTS TOGETHER】はアルバム全体と調和した曲なのに【PUT OUR HEARTS TOGETHER(VOCAL TRACK)】となると,どうにも違和感を感じて気持ち悪くなる。これがボーナス・トラックだというのならご愛嬌で済んだのであろうに…。別に管理人は松田聖子のアンチというわけではありませんので…。

  01. DECEMBER DREAM
  02. FIREFLY
  03. VENUS
  04. SONNYMOON
  05. PUT OUR HEARTS TOGETHER
  06. ALL I WANNA DO
  07. LOGIC OF LOVE
  08. ESPRIT DE FOUR
  09. SUGOI
  10. PUT OUR HEARTS TOGETHER (VOCAL TRACK)

(ヘッズ・アップ/HEADS UP 2012年発売/UCCT-1241)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/フォープレイ,成田正)

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フォープレイ / レッツ・タッチ・ザ・スカイ5

LET'S TOUCH THE SKY-1 新作のレコーディングが始まったわけでもないのに,ラリー・カールトンフォープレイから脱退することがアナウンスされた。『ENERGY』の発売から2年後ですよ。唐突すぎやしませんか?

 それからというものフォープレイのことを考え出すと,誰が次のギタリストを務めるのか? 個人的な第一希望&妄想はリー・リトナーの復帰であったのだが…。
 これとない大役を引き受け,のしかかるプレッシャーをはねのけて? いえいえ。こんな大チャンスをジャケット写真ばりに「天を掴んで」ものにしたフォープレイ三代目のJ−SOULギタリスト! その人の名はチャック・ローブ

 チャック・ローブは適任である。リー・リトナーラリー・カールトン・クラスの超大物ではないが,スムーズ・ジャズ界を広く見渡してもチャック・ローブ以上の人材は絶対に見つからない。
 新作を聴く前からすでに大正解のメンバー・チェンジを確信した管理人であったのだが,でもやっぱり新作が気になって気になって…。

 そんなもやもやを吹き飛ばすニュー・アルバム『LET’S TOUCH THE SKY』(以下『レッツ・タッチ・ザ・スカイ』)がついに完成した。
 やっぱりチャック・ローブは「いぶし銀」な仕事人であった。これより音数が多くても少なくてもだめだろうというギター・ワークに魅了されてしまった。どこか浮ついた感じのラリー・カールトンよりもチャック・ローブの方が“しっくりくる”!

 …って,チャック・ローブにしても『レッツ・タッチ・ザ・スカイ』にしても,全て後出しジャンケンだったのだから…。
 そう。チャック・ローブパット・メセニーの弟子ですよっ。『レッツ・タッチ・ザ・スカイ』の【A NIGHT IN RIO】と【ABOVE AND BEYOND】はパット・メセニー・グループ調ですよっ。
 遡れば『』の【EASTERN SKY】の時点から,このシナリオが始まっていたのですよっ。この4年越しの「伏線と回収」のマジックにボブ・ジェームス恐るべし!

( もう一つの勘ぐりの裏話を。フォープレイは2008年に「ヘッズ・アップ」へ移籍したのだが,チャック・ローブも2007人に「ヘッズ・アップ」へ移籍済。これって将来のフォープレイ合流を見据えての事だった? 大人の事情ってジャズフュージョン界にもあるの? )

 おおっと『レッツ・タッチ・ザ・スカイ』で,評価すべきはチャック・ローブでもパット・メセニーでもボブ・ジェームスでもなくフォープレイ。評価軸は“フォープレイ・サウンド”がどうかであろう。

LET'S TOUCH THE SKY-2 管理人の結論。『レッツ・タッチ・ザ・スカイ批評

 フォープレイとは「清く・正しく・美しい」フォープレイなので,革新的な演奏とか超弩級のスリルといった「劇薬」とは無縁である。どこまでもクリアでフォーキーで心地よく,そして非常に落ち着いた大人の音楽である。
 『レッツ・タッチ・ザ・スカイ』においても,土台としての“フォープレイ・サウンド”は健在であって,スタイリッシュなチャック・ローブの個性を見事に飲み込んでいると思う。

 相変わらず相当に完成度が高い。エレガントで美しくて深い。そして新鮮でキャッチーなナンバーが続いている。
 『レッツ・タッチ・ザ・スカイ』を聴き終えてまず感じたのは,活動休止中のパット・メセニー・グループの穴を埋めるのはフォープレイである,という思いであった。
 本来ならチャック・ローブの座った椅子にはパット・メセニー? 今度こそ「4度目の正直」はパット・メセニー

 それはそれとしてチャック・ローブ新加入のキーワードは“アコースティック”である。
 “アコースティックフォープレイ”を牽引するブライトでインテリジェンスなチャック・ローブが渋い!

  01. LET'S TOUCH THE SKY
  02. 3RD DEGREE
  03. MORE THAN A DREAM
  04. PINEAPPLE GETAWAY
  05. I'LL STILL BE LOVIN' YOU
  06. GENTLE GIANT (FOR HANK)
  07. A NIGHT IN RIO
  08. LOVE TKO
  09. ABOVE AND BEYOND
  10. GOLDEN FADERS
  11. YOU'RE MY THRILL
  12. WHEN LOVE BREAKS DOWN

(ヘッズ・アップ/HEADS UP 2010年発売/UCCT-1225)
(☆直輸入盤仕様 ライナーノーツ/原田和典)

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フォープレイ / エナジー4

ENERGY-1 管理人的にはフォープレイのゴールド・ディスクの中ではイマイチの低評価作『ENERGY』(以下『エナジー』)である。
 『エナジー』は本田雅人の『ACROSS THE GROOVE』直後の1枚。幾分贔屓目に聴いた1枚でもある。

 贔屓目に聴いても数年間は低評価なままだった『エナジー』。何年も『エナジー』の中で好きな曲は【THE WHISTLER】1曲しかなかった。( ただしこの【THE WHISTLER】はフォープレイの全楽曲の中でも相当に大好き! )

 『エナジー』に対する評価は『ACROSS THE GROOVE』に対する評価と一体であった。
 またしても,いつものフォープレイの演奏スタイルに安心する反面,ガッカリもする。大概はそこから入って細かな違いを発見してはニンマリするパターンである。
 フォープレイのアルバムは聴く回数を重ねるごとに良くなっていく。明確に「これだっ」と電流が走ることはないのだが,いつの間にか気がついたらハマっている…。

 『エナジー』の第一印象は「あれっ,ラリー・カールトンが元気ないかな」であった。これって『ACROSS THE GROOVE』で「ラリー・カールトン抜きの4分の3」を聴き込んだせいかと思ったのに…。
← 管理人の悪い予想は良く当たると巷で評判でして…。フォープレイの次作にはラリー・カールトン不在の悪夢。今回の『エナジー批評では詳しくは書きません。

( フォープレイギタリストとしては『エナジー』が最終作になったので,この機会に管理人の考えるラリー・カールトンについて記しておく。ラリー・カールトンの魅力とは,フォープレイの“鉄壁な”アンサンブルが破たんするかどうかのギリギリのラインでギターを弾くところにあった。安定したキーボードベースドラムと不安定なギターがひっついたり離れたりする感じが好きだった。「ちょっとクセになる」と表現するのがピッタリのギター・ワーク。そんなラリー・カールトンの「危険な寸止め」! )。

 『エナジー』の底辺に流れる「ソフト&メロー回帰」。『エナジー』にはフォープレイの新たなチャレンジを発見できずにいたのだが,例えばコード進行1つをとっても『エナジー』を聴けば聴くほど,めちゃめちゃ難しいコードワークを用いていることが分かってくる。当たり前の転調などではない。

 シンプルに聴こえて,その実,この4人でなければ余裕たっぷりに演奏できないことが分かってくる。フォープレイの音楽ってかなりマニアックな理論で出来上がっていることが容易に想像できる。
 渋い。流石は本田雅人のハイパーな譜面をGROOVYに演奏できる訳だ。フォープレイの「物の違い」にKOされて,震えが来て,後は「ハハーッ」とひれ伏すだけ…。

 ズバリ『エナジー』はフォープレイの4人が全員同時に行なった「断捨離」作。
 『エナジー』で,新たなチャレンジングが控え目になった理由こそが,過去リリースされた10枚の新作の録音時に,少しづつながら確実に“フォープレイ・サウンド”のフォーマット上に付着してきた,余分な贅肉の「削ぎ落とし」にある。

 フォープレイドラマーハービー・メイソンと「削ぎ落とし」という言葉で思い出すのが,その昔,カシオペアの『EYES OF THE MIND』をプロデュースしたハービー・メイソンによる神保彰への要求=「余分な音を削ぎ落としてシンプルに」である。
 例の“おあずけ”指示による「シンプルでパワフルなビート」&「タイトでダンサブルなグルーヴ」である。“千手観音”神保彰の“超絶技巧”をスカスカになるまで「削ぎ落とし」たことで世界への道筋を示した功績へと繋がっている。

ENERGY-2 そんなハービー・メイソンの超一流の教えを『エナジー』ではラリー・カールトンが実践したのかも? そして嫌になってしまったのかも? ラリー・カールトンのワイルドでブルージーなギターがどうにも元気がないように聴こえてしまったものでして…。

 大物と呼ばれてるジャズメンの多くは,時が経つにつれて音楽的な自我が肥大化してしまい。何を演奏しても自分の刻印をベタベタと刻みこむようなミュージシャンになってしまう傾向が強い。
 しかし,フォープレイが称賛されて然るべき点は,これだけのメンツが揃いながらもメンバー全員が完璧に「4分1」に徹し,フォープレイのバンド・サウンドを鳴らすために献身的に奉仕している点にある。

 その意味でラリー・カールトンは自己犠牲を払い続けることに疲れてしまったのかなぁ。真意は誰にも分からない。
 ただし『エナジー』でのラリー・カールトンギターには興奮を覚えない。それは恐らくリスナーだけではなく当の本人にしても他の3人のメンバーにしても…。

 ラリー・カールトン様。フォープレイからの卒業おめでとうございます。ラリー・カールトン様。12年間お疲れ様でした。

  01. FORTUNE TELLER
  02. THE WHISTLER
  03. ULTRALIGHT
  04. CAPE TOWN
  05. THE YES CLUB
  06. PRELUDE FOR LOVERS
  07. LOOK BOTH WAYS
  08. ARGENTINA
  09. COMFORT ZONE
  10. SEBASTIAN
  11. BLUES ON THE MOON

(ヘッズ・アップ/HEADS UP 2008年発売/UCCT-1203)
(☆直輸入盤仕様 ライナーノーツ/松下佳男)

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フォープレイ / X5

X-1 『』を初めて聴いた時,ファースト・アルバム『FOURPLAY』に揺り戻ったように感じた。
 それは多分にボブ・ジェームスブラスシンセの影響だと思う。だから『』はフォープレイのいつものスムーズ・ジャズではなく,フォープレイ久々のフュージョンである。

 しかし『』はファースト・アルバム『FOURPLAY』とは明らかに異なる。
 そう。『JOURNEY』を経験したからこその「一周回ったフュージョン・アルバム」『』の誕生なのである。

 そんなフォープレイの第三章の幕開けを告げる『』のサウンドを聴いて驚いた。イメージとしてはパット・メセニー・グループと似ているのだ。【EASTERN SKY】をブラインドで聴かされたならパット・メセニー・グループの新作と間違えること必至であろう。

 そう。フォープレイが『』で「遊んでいる」。とりわけハービー・メイソンが「遊んでいる」。
 ハービー・メイソンドラミングが「擬似」リズム・マシーン化していて,生ドラムで打ち込みにどこまで寄せることができるかを意識している。スッキリとタイトなドラミングが続いている。← カシオペアの『LIGHT AND SHADOWS』風?
 この全てはハービー・メイソンなりの「ボブ・ジェームスブラスシンセフィーチャリング」なのだろう。

 このハービー・メイソンの演出,フォープレイとしての演出ゆえに,派手な音質,派手なメロディー,派手な演奏になっていて,オジサン4人のフォープレイが20歳は若返ったような感覚でPOPで煌びやかに響いている。非常にヴィヴィッドでフレッシュな仕上がりだと思う。

 セールス的制約や,音楽的な縛りとも完全に無縁のフュージョン。もう食うに困らないオジサン4人が若いもんに負けじと頑張っている。「一周回って」また作りたくなったフュージョンが超カッコイイ。
 フォープレイ持ち前の,品の良いインテリジェンス溢れるグルーヴが,徐々にワイルドになって「ライブ・バンド」化してきている。

 『』の成功の背景こそが,音楽を楽しむ余裕が生み出す「遊び心」と過去9作で積み上げてきた“フォープレイ・サウンド”への絶対的な自信の証しにあると思う。
 発想も表現もサラリと自由奔放。本当に今やりたい事を形にしている。リスナーは勘違いしてはいけない。『』は“フォープレイ・サウンド”をメンバー4人の懐の中に届けるためのアルバムである。リスナーの好みなどはほとんど考慮されていない。だから「遊べている」。

X-2 そう。真にフォープレイの音楽とはマンネリとは無縁である。彼ら4人は自分たちの“フォープレイ・サウンド”が好きで好きでたまらないのだ。だから多くの曲を作曲しては“フォープレイ・サウンド”のフォーマット上にかけることを喜びとしている。

 今回のフォープレイ批評をシリーズで書いてきたから発見できたことがある。フォープレイは実は毎回,バンド・サウンドを少しづつ変えてきている。でもいろいろと試した結果として,毎回,一番美味しい“フォープレイ・サウンド”に落ち着いている。
 「前作とほとんど変わらないけど,でもこの部分がちょっと違うよねっ」的な…。レビジョンアップを繰り返したフォープレイは『』で「バージョン3.0」になっている!?

 そんなフォープレイが『』で初めて“フォープレイ・サウンド”から離れて見せた。実験風景を初めて見せてくれた。“フォープレイ・サウンド”が完熟する一歩手前で“もぎ取って”見せた。おおっ。

 『』のリリース時点でフォープレイのオジサン4人は60歳。「もう60歳」って感覚か? でもどっこい『』のフォープレイは「まだ60歳」の感覚有り。
 人生はこれからなのだ。フォープレイの第三章もこれからなのだ。

  01. TURNABOUT
  02. CINNAMON SUGAR
  03. EASTERN SKY
  04. KID ZERO
  05. MY LOVE'S LEAVIN'
  06. SCREENPLAY
  07. TWILIGHT TOUCH
  08. BE MY LOVER
  09. SUNDAY MORNING

(ブルーバード/BLUEBIRD 2006年発売/BVCJ-31044)
(ライナーノーツ/工藤由美)

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フォープレイ / ジャーニー5

JOURNEY-1 フォープレイには問題作が2枚ある。その1枚がリー・リトナーからラリー・カールトンへの交代直後のクリスマス企画盤『スノーバウンド』であり,もう1枚が4人全員が“あばれはっちゃく”となった『JOURNEY』(以下『ジャーニー』)である。

 ただし,同じ問題作であるが『スノーバウンド』と『ジャーニー』では,管理人の評価は真逆である。
 『スノーバウンド』については,こんな演奏聞きたくなかった,とブチ切れた。多分,2度と『スノーバウンド』を買い直すことはない。一方の『ジャーニー』はと言うと,もっとこんなフォープレイを聴いてみたかった,というのが感想である。

 『ジャーニー』でのチャレンジとはフォープレイ初の「ノーゲスト盤」。フォープレイとはボブ・ジェームスネイサン・イーストハービー・メイソンラリー・カールトンの4人にして,実は大物ゲストとの共演が毎回アルバムの話題になっていたのも事実。
 そうして,確かに外野の批判も一理ある。4人だけの演奏ではマンネリ感が漂うのも事実。ゲストの封印はフォープレイにとってのチャレンジだったのだ。

 まっ,演奏面においてはフォープレイの4人だけでも不安など微塵もない。いつでも,どんなスタイルの演奏をさせてもフォープレイは世界最高峰のアンサンブル・ユニットである。酔っぱらおうとも,逆立ちしようとも,平常時と変わらぬレベルで演奏できることだろう。

 フォープレイは『ハートフェルト』でラリー・カールトンの個性を前面に押し出すことにした。これが実に爽快でカッコ良かった。
 ラリー・カールトンを自由に泳がせることができたのは,ボブ・ジェームスネイサン・イーストハービー・メイソンの3人がラリー・カールトンをしっかりと支えることができたからだ。

 『ジャーニー』でのソロイストは誰か? それはラリー・カールトンであり,ボブ・ジェームスであり,ネイサン・イーストであり,ハービー・メイソンである。
 そう。『ハートフェルト』ではラリー・カールトン1人だったソロイストが『ジャーニー』では一気に4人に増えた。

 アンサンブルがありユニゾンがありコーラスがありソロがある。このように書くといつものフォープレイと変わらないように感じるだろうが『ジャーニー』での実験とは,バックに回っても4人が4人とも“自分を主張する”ことにある。
 ボブ・ジェームスが暴れている。ネイサン・イーストが暴れている。ハービー・メイソンが暴れている。ラリー・カールトンが暴れている。

JOURNEY-2 これまでのフォープレイとは「自分を殺して」ではなく「自分を活かして他人も活かす」スーパー・グループだった。それが『ハートフェルト』ではではどうだろう。「他人の音を利用してまでも自分を活かす」スーパー・グループになった感じがする。

 バンドのDNAが「遺伝子操作」されたかのようで,こんなにもワイルドなフォープレイが聴けるのは『ジャーニー』が「最初で最後のアルバム」となった。
 楽曲も従来のフォープレイのイメージからは外れるであろうバラエティ豊かな楽曲ばかりが揃っている。聴けば聴くほど良くなってくる。例のスルメ盤であり,例のアレである。

 管理人の結論。『ジャーニー批評

 『ジャーニー』は今まで隠し続けてきた,燃えに燃える「本気のフォープレイ」が聴ける唯一のアルバムである。
 こんなにも下品なのに,でもやっぱり気品あふれる演奏に収まってしまうのが,悔しいかな,フォープレイフォープレイ足る所以でもある。
 そう。『ジャーニー』とはフォープレイの過去の20年の『旅』であり,またこれから先20年の『旅』なのである。

PS それにしても本日はまさか「嵐」が…。あの大野くんが…。お疲れ様です。「嵐」の5人にもフォープレイを,特に『ジャーニー』を聴かせてあげたいとタイムリーに思ってしまいました…。

  01. FIELDS OF GOLD
  02. PLAY AROUND IT
  03. FROM DAY ONE
  04. JOURNEY
  05. ROZIL
  06. COOL TRAIN
  07. AVALABOP
  08. THE FIREHOUSE CHILL
  09. DEPARTURE
  10. 147 4TH ST.

(ブルーバード/BLUEBIRD 2004年発売/BVCJ-31038)
(ライナーノーツ/工藤由美)

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フォープレイ / ハートフェルト5

HEARTFELT-1 『YES,PLEASE!』で頂点に達してしまったフォープレイ
やるべきことは全てやり尽くしてしまった…。

 …にも関わらずレコード会社からは引き続きセールスの圧力がある。事実『YES,PLEASE!』はグラミー・ノミネーション。続編にも『YES,PLEASE!』路線での好セールスの期待がかかる。
 フォープレイ・ファンの一人として解散という言葉が直感的に脳裏に浮かんだ。もしやボブ・ジェームスの脳裏にも解散の文字が?

 (うれしいことに)フォープレイの4人が選択したのはバンドの解散では継続であった。『REBIRTH』である。そのための手段がレコード会社の移籍である。
 “ウルトラ・スーバー・グループ”フォープレイなのだからレコード会社を移籍するとの噂が立てば引く手あまた。しか〜しフォープレイが選択したのは,大手レコード会社ではなくRCAの子会社に当たる「ブルーバード・レーベル」への移籍である。

 この移籍は素人でも理解できた。よく耳にするメジャーのアーティストがインディーズに行く理由と同じである。そう。フォープレイの第二期とは「本当にやりたい音楽をやる」。ただそれだけなのである。
 キーボードボブ・ジェームスが,ベースネイサン・イーストドラムハービー・メイソンギターラリー・カールトンが,セールス抜きでPOPなスムーズ・ジャズを純粋に演奏したかったがゆえのレコード会社の移籍である。ワォ!

 世界中のフォープレイ・ファン,いいや,純粋にいい音楽のファンのために披露した,第二期フォープレイの始まりを告げる『HEARTFELT』(以下『ハートフェルト』)が素晴らしい。

 とにもかくにも「クラッシュ&ビルド」への意欲が伝わってくる。『ハートフェルト』の売りは「余裕」である。「余裕」があるのは,好きなことを気の向くままに演っても,何を演っても上手くいくという「余裕」。
 この「余裕」こそがフォープレイ10年のバンド活動の賜物。フォープレイの“らしさ”をどんなに壊そうとも,絶対にメンバーが助けてくれるという信頼から生まれる「余裕」があるのだ。

 どんなにアクセルを踏んでも車体の揺れない高級車のような音楽。坂道も楽々と走り続ける大排気量のような音楽。こんなにもフォープレイスムーズ・ジャズがスケールアップしているとは予想していなかった。

HEARTFELT-2 特に毛色が変わったのが“職人仕立てな”ラリー・カールトンギターである。ネイサン・イーストハービー・メイソンの色彩豊かでスカスカなグルーヴの上をラリー・カールトン以外弾けないであろうメロディ・ギターが今まで以上に走りまわっている。
 これまではラリー・カールトンフォープレイに寄せていたのが,第二期フォープレイではフォープレイラリー・カールトンに寄せている感じ。

 そう。第二期フォープレイの真実とは,ブルージーでエモーショナルな「ラリー・カールトン WITH フォープレイ」。懐かしくてベーシックな曲に新しいエッセンスが十二分に盛り込まれている。
 リラックスした雰囲気のなか奏でられる円熟した大人のスムーズ・ジャズ。落ち着いてはいるがきちんと刺激もある。そのシルキーでエモーショナルなサウンドからは,筋肉質にして全身の筋肉が弛緩するような心地良さに満ちている。

 出過ぎず引っ込み過ぎず,相互作用を繰り返しながら曲中で集約されていくフォープレイの真髄はそのままに,ワイドでドラマティックな展開の中,4人がピンポイントで印象的なメロディーをインプロしていく。

 そう。いい曲というより,いいメロディー重視。メジャーにいては決して表現できないミニマルな音楽が『ハートフェルト』にはあると思う。

  01. GALAXIA
  02. THAT'S THE TIME
  03. BREAK IT OUT
  04. ROLLIN'
  05. LET'S MAKE LOVE
  06. HEARTFELT
  07. TALLY HO!
  08. CAFE L'AMOUR
  09. JU-JU
  10. GOIN' BACK HOME
  11. KARMA
  12. MAKING UP
  13. SOFT CARESS

(ブルーバード/BLUEBIRD 2002年発売/BVCJ-31029)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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フォープレイ / イエス・プリーズ4

YES, PLEASE!-1 『YES,PLEASE!』(以下『イエス・プリーズ』)を初めて聴き終えた時,万感の思いに襲われた。ついにフォープレイデビュー以来,ずっと追及してきた理想のサウンドに到達したように思えた。

 『イエス・プリーズ』は,ボブ・ジェームスにとって記念碑的な1枚になるのだろう。ついにボブ・ジェームスの念願叶ったりである。
 キーボードボブ・ジェームスと活動を共にしてきた,ベースネイサン・イーストドラムハービー・メイソンは勿論,リー・リトナーの後を受けたラリー・カールトンにしても「やるべきことをやりきった」満足感に浸ったように思う。
 特に神曲【FREE RANGE】が最高すぎる。4人の会話を盗み聞きしているような気分でアガル〜。

 まっ,これから「褒め殺し」の苦言を書くのだが,つまり『イエス・プリーズ』はフォープレイというバンド・サウンドの「リビジョンアップ版」としか聴き所はない。
 大枠は「調和」という不変のテーマであって,細かな修正に修正を重ねて,もはや手を加える箇所はない感じ? 「どうぞ美味しく召し上がれ」とボブ・ジェームスにケーキを差し出された感じ?

 もう一つ『イエス・プリーズ』に「完成版」のイメージを持ってしまったのは,ジャケット写真から連想するVENUSレコードのあれである。美女がカメラ目線で前かがみのあれが…。
 つまりは「メロウな売れ線&ロマンティック」→『イエス・プリーズ』をイメージしてしまった。あながち当たっていると思っている。

 この路線の選択は間違いではなかった。恐らくフォープレイの出発点は間違ってはいなかった。穏やかで軽めのリズムに大人のエロティシズムを感じるあのノリ…。上手にパート分けされたソロとアンサンブル…。インストとヴォーカルの組み合わせのハイセンス…。4人のバランスが生む極上のアプローチ…。

 ただし『イエス・プリーズ』を聴いているとフォープレイのアンサンブル・フォーマットの限界が見えてくる。フォープレイの4人はもっと自由に演奏できるはずである。
 なのに『イエス・プリーズ』の演奏は譜面通りのような感じで,自分で決めたルールに自らが縛られて?(自分で自分の首を絞めて?)窮屈そうに感じられる。

YES, PLEASE!-2 だから『イエス・プリーズ』を素晴らしいアルバムとして誰かに推薦することはあるとしても,管理人の趣味には合わない。
 ラリー・カールトンを素晴らしいギタリストとして誰かに推薦することはあるとしても,管理人の趣味には合わない。

 勿論,これはフォープレイギタリストとしてのラリー・カールトンのことであって,他のラリー・カールトンのプロジェクトは大抵大好きです。個人的にはリー・リトナーの明るく前向きなトーンがフォープレイに合っていると思うのですが…。

 ラリー・カールトンフォープレイでの黄金期はブルーバード移籍後の第二期から! 『HEARTFELT』以降のラリー・カールトンは「リー・リトナーからは外れ,フォープレイの枠内で」弾きまくっております。はい。

  01. FREE RANGE
  02. DOUBLE TROUBLE
  03. ONCE UPON A LOVE
  04. ROBO BOP
  05. BLUES FORCE
  06. SAVE SOME LOVE FOR ME
  07. FORTRESS
  08. GO WITH YOUR HEART
  09. POCO A POCO
  10. A LITTLE FOURPLAY
  11. LUCKY
  12. MEOWWW

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 2000年発売/WPCR-10767)
(ライナーノーツ/中川ヨウ)

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フォープレイ / 45

4-1 キーボードボブ・ジェームスギターリー・リトナーベースネイサン・イーストドラムハービー・メイソンからなる盤石の4ピース・バンド=フォープレイ

 そのフォープレイからリー・リトナーが脱退することになった。ボブ・ジェームスの頭の中には,リー・リトナーの代わりが見つからなければフォープレイの解散も選択肢としてあったことだろう。
 なぜならフォープレイの“売り”とは「超大物4人組」。リー・リトナーの代わりは「そこそこレベルの大物」では務まらない。果たして,リー・リトナー・クラスの「超大物」で,2年に1枚のレコーディングに参加できるギタリストが見つかるのかどうか?

 当のリー・リトナーも心配する中,フォープレイの新ギタリストが発表された。発表された後ならば「この人しかいない!」となるのだが,それにしても「まさかのまさか!」な結果である。
 何と!リー・リトナーの後釜ギタリストとはリー・リトナーの「公式ライバル」であるラリー・カールトン“その人”! 名脚本家でも絶対に思いつかない?「夢」のようで「奇跡」のような人選だと思う。

 ラリー・カールトンよ,よくぞ決心してくれた。『』の最高の出来映えを聴き返すにつれ,ラリー・カールトンへの思いが強くなる。ラリー・カールトンが完璧にリー・リトナーの後釜を務め上げている。

 元々スタジオ・ミュージシャンであったリー・リトナーラリー・カールトンだから実現した「スムーズすぎるメンバー・チェンジ」。ただし,リー・リトナーラリー・カールトンでは大いに個性が異なることをリスナーは認識しておくべきだろう。
 そう。『』の最高の出来映えはラリー・カールトンの最高の仕事に1つとして記憶されるべきだと思う。

 リー・リトナーにしても,フォープレイの中でギターを弾くには「没個性」が求められていたのだが,ラリー・カールトンの場合は,フォープレイの中で自分を捨てる,尚且つ,リー・リトナーが創り上げてきたサウンド・カラーに寄せるため,もう一段階自分を捨て去る「没没個性」が求められている。
 ゆえに『』でのラリー・カールトンギターが大人しい。いいや,完璧に「影武者ミッション」を遂行することが“仕事人”ラリー・カールトンなりの自己主張なのだと思う。

 そんなラリー・カールトンの“男気”に,ボブ・ジェームスネイサン・イーストハービー・メイソンの3人が応えないはずがない。
 一歩下がろうとするラリー・カールトンを「前へ前へ」と意識的にプッシュしている。『』でフォープレイが“世界最高のアンサンブル・バンド”になったと思う。

4-2 そう。フォープレイの真髄とは“世界最高のアンサンブル・バンド”! フォープレイとはボブ・ジェームスにとっての“世界最高のアンサンブル・バンド”であり,ラリー・カールトンにとっての“世界最高のアンサンブル・バンド”であり,ネイサン・イーストにとっての“世界最高のアンサンブル・バンド”であり,ハービー・メイソンにとっての“世界最高のアンサンブル・バンド”!

 “明るく爽やかな”リー・リトナーのもと発展してきたバンド・スタイルから“ブルージーで粘り気のある”ラリー・カールトンのもと「自分を活かして他の人も活かす」バンド・スタイルへと進歩を遂げた『』。
 カールトン期のフォープレイソロ・パートでのアドリブリトナー期のフォープレイより熱くなったと思う。

 それにしても【STILL THE ONE】は名曲中の名曲である。フォープレイ存続の危機を救ってくれたラリー・カールトンに捧げるハービー・メイソンからの「ラブ・ソング」だと悦に入って聴いている。

 【STILL THE ONE】1曲の魅力で“気だるさの”ラリー・カールトンを大歓迎している,リー・リトナー派の自分が確かにここにいる。

 それにしてもリトナー期の最高の1曲が1曲目の【BALI RUN】で,カールトン期の最高の1曲が1曲目の【STILL THE ONE】というのも単なる偶然を超えた「永遠のライバル」のインパクト!

  01. Still The One
  02. Little Foxes
  03. Sexual Healing
  04. Charmed, I'm Sure
  05. Someone To Love
  06. Rio Rush
  07. Piece Of My Heart
  08. Slow Slide
  09. Vest Pocket
  10. Swamp Jazz
  11. Out Of Body

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1998年発売/WPCR-1942)
(ライナーノーツ/工藤由美)

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フォープレイ / エリクシール4

ELIXIR-1 『FOURPLAY』&『BETWEEN THE SHEETS』が共に愛聴盤のまま発売を迎えた『ELIXIR』(以下『エリクシール』)。

 ズバリ書くと『エリクシール』にはガッカリした苦い思い出がある。手放すのは後の事になるが,どうしても好きになれなかった『SNOWBOUND』と共に中古CD屋で処分した。今手元にある『エリクシール』は2枚目となる。

 このように書き出すと『エリクシール』は駄盤のように思われたかもしれないが『エリクシール』は紛れもなくリトナー期の名盤の1枚である。
 褒め殺しになるかもしれないが,ボブ・ジェームスリー・リトナーネイサン・イーストハービー・メイソンの4人が完璧にフォープレイを演じている。コツを掴んだかのような上質なアンサンブルが実にお見事。

 しかし,余裕たっぷりに聞こえるせいなのか?フォープレイの4人に「うわ〜」って憧れることが出来なかった。要はエモーショナルではなく“うまさ”を無意識のうちに感じ取ってしまったのだと思う。
 キャッチーさが抜けきったアダルト・コンテンポラリーな『エリクシール』の雰囲気に入れ込めず,思い入れ出来ず,感情移入が難しかった。当時まだ20代半ばの管理人には,随分と背伸びした大人の雰囲気に付いていくことができなかった。

 『エリクシール』を最後にリー・リトナーがバンドを離れる。表向きの理由はリー・リトナーソロ活動が多忙を極めて「フォープレイの一員としてスケジュール調整が出来なくなった」ことになっているが,管理人的にはリー・リトナーの“燃え尽き症候群”のようなものだと思っている。
 リー・リトナーにとってのフォープレイは『エリクシール』を持って完結したのだ。誰が何と言おうと管理人はそのように受け取った。

 ではどうして再び『エリクシール』を買い直したのか? それはラジオで久々に聴いた【THE CLOSER I GET TO YOU】に1年に1度の稲妻が走ってしまったから!

 話がフォープレイから逸れてしまうが【THE CLOSER I GET TO YOU】が大好きなのは「SELECT LIVE UNDER THE SKY’90」での,ジョー・サンプルフィリップ・セスバジー・フェイトンスティーヴ・ガッドレニー・カストロフレディ・ワシントンの「SELECT LIVE SPECIAL BANDフィーチャリングアル・ジャロウミキ・ハワード」による【THE CLOSER I GET TO YOU】の影響が大!  

 『エリクシール』でのパティ・オースティンピーボ・ブライソンの【THE CLOSER I GET TO YOU】は歌であって歌ではない。これぞ“インタープレイの極み”である。
 そう。パティ・オースティンピーボ・ブライソンヴォーカルは一般的なデュエットのレベルを超えている。パティ・オースティンピーボ・ブライソンが譜面,アレンジという非常に狭い限られた空間の中で,互いの声の調子を聞き分けながら会話を楽しんでいるように聴こえてしまう。彼らは本当の恋人なのではないかと錯覚してしまう。

 男女のデュエット曲で個人的に一番好きなのは,亡き父ナット・キング・コールとその娘ナタリー・コールナット・キング・コールの過去音源のオーバーダブと共演を果たした【アンフォゲッタブル】なのだが,その雰囲気に良く似ている。大好き。インタープレイの真髄とは“心の交歓”というのが確かめられる名トラックである。

ELIXIR-2 管理人の結論。『エリクシール批評

 『エリクシール』は綺麗すぎるしアダルトすぎる。ただし【THE CLOSER I GET TO YOU】1曲の魅力で,後に続くフォープレイヴォーカル・ナンバーを楽しめる土壌の塗り替えアルバムとして高く評価したい。

 リトナー期のフォープレイの個性を書く。フュージョンの『FOURPLAY』。スムーズ・ジャズの『BETWEEN THE SHEETS』。ヴォーカル・ナンバー大有りの『ELIXER』。

PS 本文には書きませんでしたが【EAST 2 WEST】でのネイサン・イーストスキャットがこれまた最高なので,ヴォーカル・ナンバーをフィーチャリングするフォープレイの評価確定に『エリクシール』が寄与しております。

  01. Elixir
  02. Dream Come True
  03. Play Lady Play
  04. Why Can't It Wait Till Morning
  05. Magic Carpet Ride
  06. Whisper In My Ear
  07. Fannie Mae
  08. The Closer I Get To You
  09. East 2 West
  10. Licorice
  11. In My Corner
  12. Any Time Of Day

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1995年発売/WPCP-28152)
(ライナーノーツ/中田利樹)

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フォープレイ / ビトゥイーン・ザ・シーツ5

BETWEEN THE SHEETS-1 鉄壁のバンド・アンサンブルを誇るフォープレイの理念が,早くも『BETWEEN THE SHEETS』(以下『ビトゥイーン・ザ・シーツ』)具現化されている。

 4人が意気投合したボブ・ジェームスの『グランド・ピアノ・キャニオン』の香り漂う,フュージョン・タッチのデビュー・アルバム『FOURPLAY』が大好きなのだが“ウルトラ・スーパー・グループ”フォープレイの本質としては『ビトゥイーン・ザ・シーツ』の方に聴き所がある。

 3枚目の『エリクシール』も含めて,三つ巴のリー・リトナー期の名盤の中で,現在の“スムーズ・ジャズの雄”フォープレイのスタイルに一番近いのが『ビトゥイーン・ザ・シーツ』である。

 『ビトゥイーン・ザ・シーツ』から押し寄せてくる快感。それは「際立つグルーヴと深いアンサンブルの妙」。
 『ビトゥイーン・ザ・シーツ』こそがフォープレイの枕詞である「拝聴してもよし。BGMとしてもよし」の最右翼だと断言できる。

 キーボードボブ・ジェームスギターリー・リトナーベースネイサン・イーストドラムハービー・メイソンが,我を殺してメンバーの音に合わせているにも関わらず4人の個性はそのまんま!

 ここがフォープレイの凄業! 4人で機織り改め「音を織りなす」という表現がピッタリするような極上の音絵巻! 互いを傷付けることなく同じイメージを描き,音階・音量・リズムを共有して完璧なアンサンブルを鳴らしている。
 バカテクな演奏や派手で判り易い旋律とは全く無縁。淀み迷いの微塵も無い。ある意味“凄み”を感じさせる演奏だと思う。

BETWEEN THE SHEETS-2 スローな曲にはウットリさせられるし,アップ・テンポなジャンプ・チューンには心踊らされる。フォープレイは大人なのだ。フォープレイはアダルト・コンテンポラリーなのだ。
 『ビトゥイーン・ザ・シーツ』のフォープレイフュージョンではなく,スムーズ・ジャズでもなく,この時点ではAORなのだと思う。

 ネイサン・イーストヴォーカルが心地良い。ヴォーカルと4つの楽器の絡み具合がこの上ない。幻想的な浮遊感が音場を支配している。

 『ビトゥイーン・ザ・シーツ』には,美しく流れるように洗練されたグルーヴがある。どれもが味わい深く気品あふれるグルーヴがある。エンタテイメント性を充足させ,アートの域まで達したグルーヴがある。

  01. Chant
  02. Monterey
  03. Between The Sheets
  04. Li'l Darlin'
  05. Flying East
  06. Once In The A.M.
  07. Gulliver
  08. Amoroso
  09. A Summer Child
  10. Anthem
  11. Song For Somalia
  12. Tokyo Rain

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1993年発売/WPCP-5506)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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フォープレイ / FOREPLAY5

FOURPLAY-1 フォープレイが結成されたのは1990年。当時の常識からして“ウルトラ・スーパー・グループ”フォープレイの結成は異例中の異例のことだと記憶している。

 というのも世はバブルの真っ只中で“桜花爛漫”を楽しんでいた時代である。今のようなデフレで尻つぼみのご時世なら幾分理解できるが,例えばBOOWYから氷室京介と布袋寅泰がソロデビューを果たしたように,音楽家足るもの,まずはバンドで売れてからソロで大活躍というのがセオリーであり皆の目標であったと思う。あのマーカス・ミラーマイルス・デイビスのバンドで売れたから今の栄光がある。

 だ・か・ら・すでに全てを手に入れている“売れっ子”の4人。キーボードボブ・ジェームスギターリー・リトナーベースネイサン・イーストドラムハービー・メイソンフォープレイというレギュラー・グループを結成したことに驚愕したのであった。
 絶好調のバブル景気に企業業績も増収増益。なのに合併とか統合する会社がどこにある。起業し独立するチャンスがあるのに敢えて会社に出戻りして過労死する感じ?

 なぜ? どうして? 勿論お金にも困っていないだろうし,名声も十分に獲得しているし,ソロ活動に軸足を置いた方が自分のやりたい音楽がやれるであろうに…。
 バンドを組む理由が見当たらない4人の決意に当惑しつつデビューCDFOURPLAY』を聴いて無言になった。音楽を聴いただけで納得させられてしまった。

 フォープレイはこれなんだ。この4人が集まったフォープレイでなければならないんだ。
 この極上の音楽はボブ・ジェームス1人が,ありったけのお金や時間を費やしても完成させることのできない音楽である。ボブ・ジェームスが全ての私財を投げうってでも手に入れたかった音楽。それが『FOURPLAY』から流れてくる。この上なく素晴らしい。

FOURPLAY-2 ボブ・ジェームスの『グランド・ピアノ・キャニオン』で意気投合してしまった奇跡の4人が,自分を押し殺してグループ・サウンドの一部として機能することだけに徹している。
( 余談ですが,上記の理由で管理人はリー・リトナー時代のフォープレイが一番好きなのです! )

 フォープレイの『FOURPLAY』が大好きだ。書きたいことは山ほどあるが『FOURPLAY批評の誌面上に1つだけ書いておく。それは『FOURPLAY』の時点では,現在のスムーズ・ジャズばかりを演るバンドになるとは思わなかったということ。

 【BALI RUN】の,静寂からの「もうやめて〜」的な猛プッシュの音階上がりに押し倒されてしまったファンたちは皆,管理人と同様の感想を抱いていると思っている…。

  01. BALI RUN
  02. 101 EASTBOUND
  03. FOREPLAY
  04. MOONJOGGER
  05. MAX-O-MAN
  06. AFTER THE DANCE
  07. QUADRILLE
  08. MIDNIGHT STROLL
  09. OCTOBER MORNING
  10. WISH YOU WERE HERE
  11. RAIN FOREST

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1991年発売/WPCP-4463)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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