アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:エロール・ガーナー

エロール・ガーナー / コンサート・バイ・ザ・シー5

CONCERT BY THE SEA-1 同じ大衆芸能方面の“ジャズ・ピアニスト”であるが,オスカー・ピーターソンが「エンタメ系」であるならば,エロール・ガーナーは「演芸系」である。

 というのも,いつでもどこでもエンターテイナーしてしまうオスカー・ピーターソンに対して,エロール・ガーナーは劇場に立ってからが凄い! 最初の一音から最後の一音まで,観客を楽しませるためならどんなに過剰なサービスだってどんとこいの大盛り上がり大会! ノッタ時のエロール・ガーナーには手が付けられない!

 そんなエロール・ガーナーの,そしてジャズ・ピアノの歴史に残る決定的な名盤が『CONCERT BY THE SEA』(以下『コンサート・バイ・ザ・シー』)である。

 とにもかくにも『コンサート・バイ・ザ・シー』を聴いていると,その日の嫌なことは一遍に消えてしまう。いつの間にか「A HAPPY DAY!」(by UES)気分に浸ってしまう。「憂鬱を吹き飛ばす万能薬」な1枚だと思う。

 『コンサート・バイ・ザ・シー』の隙の無さは,エロール・ガーナーの名手ぶりを物語っている。エロール・ガーナーは“ピアノを歌わせる”名手である。
 退屈することなど一瞬もない。耳が釘付けとはこのことだ。本当にいい演奏を聴いた,という満足感が幸福感につながっていく…。

 音源が古いし,陰りもない。ピアノ以外に聴こえるのは聴衆の反応だけであって,ほぼベースドラムは聴こえない。エロール・ガーナーの代表曲【MISTY】も入っていない。
 これらが解決されていれば超名盤の仲間入りも出来たであろうに…。

CONCERT BY THE SEA-2 でもそんなの関係ない。『コンサート・バイ・ザ・シー』を聴いている間,脳裏に浮かぶはエロール・ガーナーの楽し気な顔と観客の満足げな顔だけである。
 マイナス要因など1つもない。『コンサート・バイ・ザ・シー』には,ジャズを聴く楽しみの全てが詰まっていると思う。

 観客全員をあっと言う間に「ワン・アンド・オンリー」の世界へと引きずり込む“芸達者”エロール・ガーナーの真骨頂! もはや「お手上げ」状態である。
 『コンサート・バイ・ザ・シー』の東映映画のロゴが似合いそうな荒波と岩場のアルバム・ジャケット。浮かれた女性が両手を広げて「お手上げ」ポージングは音楽の内容を表現しているのです!

  01. I'LL REMEMBER APRIL
  02. TEACH ME TONIGHT
  03. MAMBO CARMEL
  04. AUTUMN LEAVES
  05. IT'S ALL RIGHT WITH ME
  06. RED TOP
  07. APRIL IN PARIS
  08. THEY CAN'T TAKE THAT AWAY FROM ME
  09. HOW COULD YOU DO A THING LIKE THAT TO ME
  10. WHERE OR WHEN
  11. ERROLL'S THEME

(CBSソニー/CBS/SONY 1955年発売/32DP 660)
(ライナーノーツ/粟村政昭)

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エロール・ガーナー / ミスティ5

ERROLL GARNER PLAYS MISTY-1 【MISTY】と来れば山本剛のことであって,エロール・ガーナーではない。

 これって単に山本剛が「ご贔屓」だからではない。感情的な思い入れではない。この思いはエロール・ガーナーのアルバム『ERROLL GARNER PLAYS MISTY』(以下『ミスティ』)の全10曲を聴いて,一層強くなった。
 【MISTY】の本家はエロール・ガーナーであるが,エロール・ガーナーは【MISTY】1曲だけの人ではないからだ。

 『ミスティ』を聴き終えた時の感想は,何度聴いても「あっ,もう終わった」である。それくらいに気持ち良くて,ずっと聴き続けていたくなる。いいや,漢字が違います。聞き続けていたくなる,が正解。
 ニュアンスとしてはジャズというよりも大衆音楽っぽい。事実【MISTY】は永遠のジャズスタンダードとして,ジャズヴォーカル・ナンバーとしてもヒットしている。ポピュラー音楽としても知られている。

 ここにエロール・ガーナーの本質があると思う。
 一般にエロール・ガーナーと来れば「ビハインド・ザ・ビート」が代名詞。「ビハインド・ザ・ビート」とは,左手のバッキングのタイミングを微妙に遅らせることで生まれるバック・ビートの独特なノリと右手を広げてオクターブで旋律を弾くことによってメロディ・ラインを強調した奏法のことである。
 もたもたした演奏という印象を持つ人もいるが「ビハインド・ザ・ビート」はエロール・ガーナーならではのスイング感とも受け取れる。

 実に“ジャズ・ピアニストエロール・ガーナーは興味深い。テクニシャンのピアニストでありエンターテイナーのピアニストである。
 しかし,だからと言って「ビハインド・ザ・ビート」でエロール・ガーナーを語るのは何か違うと思う。的外れだと思う。

MISTY】のこの世のものとも思えない美しさは格別である。ロマンスを音で表現すると【MISTY】が最適の選択と成り得る。しかし【MISTY】だけでエロール・ガーナーが語られるのも何か違うと思う。的外れだと思う。

ERROLL GARNER PLAYS MISTY-2 ズバリ,エロール・ガーナーについて絶対に語らなければならないのは,エロール・ガーナーピアノから溢れ出す“歌心”である。

 バラードでもスイングでもスタンダードでも,何を弾かせてもエロール・ガーナーピアノは一級品である。
 つまりは曲想を掴むのが得意であって,それを適度な塩梅で表現してくる。ツボを突いてくる。聞いていて気持ち良くなる。流れているだけで気分が良くなる。

 感動モノの【MISTY】を聴きたいのなら山本剛を聴けばよい。エロール・ガーナーの『ミスティ』は【MISTY】1曲だけではなく全曲平等に聴いてほしい。
 エロール・ガーナーは曲単位ではなくアルバム単位で評価されるべき“ジャズ・ピアニスト”なのである。

  01. MISTY
  02. EXACTLY LIKE YOU
  03. YOU ARE MY SUNSHINE
  04. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE
  05. FRANTENALITY
  06. AGAIN
  07. WHERE OR WHEN
  08. LOVE IN BLOOM
  09. THROUGH A LONG SLEEPLESS NIGHT
  10. THAT OLD FEELING

(マーキュリー/MERCURRY 1954年発売/UCCU-5039)
(ライナーノーツ/成田正,藤本史昭)

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