アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:アール・クルー

アール・クルー / ウィスパーズ・アンド・プロミス5

WHISPERS AND PROMISES-1 『WHISPERS AND PROMISES』(以下『ウィスパーズ・アンド・プロミス』)こそがアール・クルーの“ショーケース”にしてアール・クルーの“最高傑作”である。

 『ウィスパーズ・アンド・プロミス』でアール・クルーが追求してきた“繊細なアコースティックフュージョン・ギターのオーケストレーション”が色とりどりに咲き乱れている。
 とにかくカラフルなアルバムである。そしてそこにあるべき色調でアコースティックギター鳴っている。本当に聴き終わると気分が“うっとり”するのである。

 そう。『ウィスパーズ・アンド・プロミス』の印象は,アコースティックギター以上に,時代を先取りしたスムーズ・ジャズ・ギターである。
 生バンド・スタイルに打ち込みにとリズミックな演奏が続いているはずなのに,静かで美しくメロディアス,そして豪華で煌びやかなメロディックな展開で見事に全体がまとまっている。

 全10曲が全く違う曲調なのに“繊細なアコースティックフュージョン・ギター”というワントーンで統一感あるアルバムに仕上げている。
 アール・クルーの柔らかなギター・サウンドと溶け合うビッグ・バンドストリングスの“淡い音色”が音場の空気を支配している。

 『ウィスパーズ・アンド・プロミス』におけるアール・クルーのサウンド・メイキングを冷静に分析してみると,デイブ・グルーシンボブ・ジェームスのようなアレンジャーにアール・クルーが重用されてきた理由が良く分かる〜。

 これって実はアール・クルーを語る上で非常に重要なファクターであって,簡単に言えば,アール・クルーアコースティックギターが様々な音楽ファンにアピールしたのは,アール・クルーが開拓した形式や様式の魅力ではなかったという事実である。
 そう。アール・クルーの音楽性の真髄が,アール・クルーの人間性の真髄,つまり非常にヒューマンなレベルで演奏されているということを証ししているのである。

 管理人は未だアール・クルー本人以外に“アール・クルーっぽい”ギタリストと出会ったことがない。そんな“ワン・アンド・オンリー”なアール・クルーのミュージシャン・シップが『ウィスパーズ・アンド・プロミス』で,アール・クルーの目指した形に花開いている!

WHISPERS AND PROMISES-2 管理人の結論。『ウィスパーズ・アンド・プロミス批評

 『ウィスパーズ・アンド・プロミス』は幾つもの添え木を使った「盆栽」作品のように思う。アール・クルーがセルフ・プロデュースで完璧に仕上げた「盆栽」の音である。
 全体の調和と細部の調和をじっくりと見つめる。やがてアルバムの本質だけに耳が行くようになる。絶対に感動を覚えますよっ。

  01. WHAT LOVE CAN DO
  02. MASTER OF SUSPENSE
  03. WATER SONG
  04. STRAWBERRY AVENUE
  05. FALL IN LOVE
  06. SUMMER NIGHTS
  07. JUST YOU AND ME
  08. WHISPER AND PROMISES
  09. FRISKY BISCUITS
  10. TANGO CLASSICO

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1989年発売/22P2-2714)
(ライナーノーツ/成田正)

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アール・クルー / フィンガー・ペインティング5

FINGER PAINTINGS-1 世はフュージョン・ブームも真っ只中! 多くのフュージョンギタリストが「スピード感」を求めてエレクトリック・サウンドを追求する中,アコースティックギターで「スピード感」あるフュージョン・サウンドを追及したギタリストがいた。それがアール・クルー“その人”である。

 そして,そんな“エレクトリックをも凌駕する”アコースティックフュージョンの“最高峰”に位置する1枚が『FINGER PAINTINGS』(以下『フィンガー・ペインティング』)であろう。
 『フィンガー・ペインティング』というアルバム・タイトルは本来「指で絵を描く画法」のことを指すのだが,ピックを使わず10本の指弾きでガット・ギターを自在に操るアール・クルーギター演奏法を端的に言い表わしているように思う。

 ズバリ,アール・クルーの「超絶技巧」と「優しさ」を表現するのに最適な楽器こそがアコースティックギター。それもスチール弦ではない
ナイロン弦の所謂クラシック・ギター
 並みのエレクトリックギタリスト以上に,爽やかなフュージョン・サウンドを届けてくれる〜!

 なぜに管理人がアール・クルーの紹介文として,アール・クルー最大の魅力である「美しいメロディー・ライン」を差し置いて“アール・クルーアコースティックギタリスト”と押しているかと言うと,本来アール・クルーは「凄腕のエレクトリックギタリスト」だったという過去を知ってほしいから…。

 そう。アール・クルーは「リターン・トゥ・フォーエヴァー」のエレクトリックギタリスト
 ビル・コナーズの後任としてチック・コリアが声をかけたのはアル・ディメオラではなくアール・クルーだっという事実!

 残念ながらアール・クルーは2カ月間で「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を離れたらしく音源が手に入らない。どうしてもアール・クルー入りのRTFを聴いてみたい欲求と,どうあがいても聴くことのできないこの悶々感…。
 チック・コリアのフォロワーでしたらお分かりいただけますよね?

 『フィンガー・ペインティング』をまだ未聴の読者の皆さんがいらしたら,こんな予備知識を持ってアール・クルーを,そして『フィンガー・ペインティング』を聴いてみてほしい。

 絶対に軟派だとか「ソフト&メロウ」路線だとは言い切れない“疾走する”アール・クルーの純白無垢にしてエレクトリックピアノエレクトリックベースと自然に溶け込む“エレクトリックアコースティックフュージョン・ギター”の世界観にKOされてしまうこと請け合い!

 エレクトリックギターという刺激的な相棒を手放し,角の無いサウンド・コンセプトを表現するためガット・ギターの“ヴィヴィッドな響き”へと乗り換えたアール・クルーの“ギタリズム”が素晴らしい。
 とりわけエレクトリックアコースティック特有の個性を引き立て合う,メリハリのある音造りが実に素晴らしい。

 ナイロン弦と来れば管理人にはボサノヴァである。だからアール・クルーの演奏スタイルにはリズミックな楽曲が似合うと思っている。
 例えば【DR.MACUMBA】の前奏のリフが流れ出すと,今でもすぐに足でリズムを取ってしまう。弾むような爽やかなリズムに乗ってアール・クルーのラテン・フレイバーなガット・ギターがス〜ッと入ってくる瞬間の最高のワクワク感は日産車以上のものがある。

FINGER PAINTINGS-2 管理人が『フィンガー・ペインティング』を特別視しているのは『フィンガー・ペインティング』で共演したのがリー・リトナーの「ジェントル・ソウツ」だから!
 特にリー・リトナーがサイド・ギターに徹したカッテイングとバックのタイトなノリが最高であって,そこに絡むアール・クルーがこれまた最高〜!

 『フィンガー・ペインティング』の大ヒット以降,アール・クルーは本格的に「ソフト&メロウ」路線に進んでいく。リズムがシンプルになって面白みが薄まったと思う。
 それがアール・クルーの初めからの狙いであり,そのためのガット・ギターへの転身であったことは承知の上だが,もっとリズミカルなフュージョン・ギターも弾いてほしい。

 そう。『フィンガー・ペインティング』と来れば,絶賛を口にしつつも「リターン・トゥ・フォーエヴァー」の「隠の2代目」ギタリストアール狂う”を惜しげもなく披露してほしい,と真っ先に口から出てしまう「無いものねだり」の管理人なのであります。

  01. DR. MACUMBA
  02. LONG AGO AND FAR AWAY
  03. CABO FRIO
  04. KEEP YOUR EYE ON THE SPARROW (BARETTA'S THEME)
  05. CATHERINE
  06. DANCE WITH ME
  07. JOLANTA
  08. SUMMER SONG
  09. THIS TIME

(ブルーノート/BLUE NOTE 1977年発売/TOCP-8903)
(ライナーノーツ/成田正)

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