アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:国府 弘子

国府 弘子 / ダイアリー5

DIARY-1 『DIARY』(以下『ダイアリー』)は国府弘子の7ヶ月間のロサンゼルス生活からの帰還報告。
 『ダイアリー』の音楽日記から聴こえてくるのは国府弘子の充実ぶり! 国府弘子が心温まるメロディー・ラインでガンガン押してくる!

 最初に耳が行くのは有名曲4曲のカヴァーであろう。
 国府弘子パトリース・ラッシェン杏里の純POP。ビートルズの手を離れた国府弘子の考える「ザ・ビートルズ」のホーン隊を引き連れたドライブとピアノ・トリオEL&Pの大噴火カヴァー上原ひろみプログレ・パンク・フュージョンに負けない“跳ね具合”にニッコリである。

 その後,このニッコリは国府弘子オリジナル5曲に完全移行する。オリジナルメロディー・ラインがとにかく最高。
 【ゴーイング・ゴーイング・オン】での“COOL”な「国府弘子は決める時は決める」カッコ良さ。心がかき乱された後に落ち着く,一晩中聴いていたい【サンセット・ビーチ】の哀愁バラード。ドラマティックなフルートを“プッシュ”するラテン・ピアノの【アイ・ドゥ・ホワット・アイ・ウォント】。キース・ジャレットケルン・コンサート』ばりの【アプレ・ラムール(ミッシング・ユー)】の甘くロマンティックソロ・ピアノ。【シティ・オブ・エンジェルス】での“せつない系”スムーズ・ジャズ

DIARY-2 『ダイアリー』を実際に手に取るまでは,どうやらロサンゼルス,なにやらアメリカの香りいっぱいなアルバムだろうと予想した。
 しかし,本当の『ダイアリー』は「日本大好き」国府弘子の『ダイアリー』であった。

 国府弘子がロサンゼルスに行って外から自分を見つめ直した?美メロに毎回心を射抜かれてしまう。何度聴いても感動する。ますます感動が深まっていく。
 特に八尋洋一ベース村石雅行ドラムとのコンビネーションが完璧すぎてゾクゾクする。

 あ・れ・れ・っ。セラビーってこんなにも国府弘子が好きだったっけ? もはや国府弘子なしでは生きていけない感じ?
 セラビーは『ダイアリー』以降の国府弘子を一人のクラスメートではなく一人の女性としてハッキリ意識するようになりました。← なんでやねん。

  01. GOING, GOING ON
  02. REMIND ME
  03. DRIVE MY CAR
  04. LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS
  05. TARKUS:ERUPTION〜STONES OF YEARS
  06. SUNSET BEACH
  07. I DO WHAT I WANT
  08. APRES L'AMOUR
  09. CITY OF ANGELS

(ビクター/JVC 1998年発売/VICJ-60210)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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国府 弘子 / ピュア・ハート4

PURE HEART-1 国府弘子自らが公言する“初期の代表作”『PURE HEART』(以下『ピュア・ハート』)を聴いたのは“最高傑作”『PIANO LETTER』を聴いた後のことである。

 『PIANO LETTER』の2大名曲【さくら便り】と【忘れないよ】に,いたく心を打たれて,これは過去作も聴かなければと思い直して,スルーしていた『ピュア・ハート』を購入した。
 だからなのだろう。管理人にとっての『ピュア・ハート』とは,一般的な【スムーズ・ストラッティン】ではなく【ハッピエスト・ユー】のことである。
 【さくら便り】と【忘れないよ】の原型を探していたのだから【ハッピエスト・ユー】にハマッタのも当然の結果である。

 そう。国府弘子というジャズ・ピアニストは,日本人の心の琴線をえぐる曲を書く。しかも陰りがない明るい演奏なのに心に沁みる。
 国府弘子は,身体のどこかに傷を抱えているのかもしれない。パラリンピックのメダリストのような感じをイメージしてしまう。自分の傷など忘れて,ただただジャズ・ピアノに没頭することで,聴く者に勇気を与えてくれる。

 国府弘子のファンだったとしても,誰も国府弘子の苦労話など聞きたいとは思わない。事実『ピュア・ハート』の時点では,まだ本来の国府弘子は出せていない。「元気印」とは「ビタミン」というキーワードで,まだ自分の傷を覆い隠している時期である。

 『ピュア・ハート』のテーマとは「シングル・ガール」への応援歌だそうだ。これって,外で頑張っている国府弘子が,家に帰っては落ち込んでいる,もう1人の国府弘子を励ますための応援歌?
 過去の頑張っていた時の自分の姿に,今の自分が励まされることってしょっちゅうある。『ピュア・ハート』で頑張っていた過去の自分が愛おしく思い,ナニクソ,負けるか,もっと頑張ろう,と思うことがしょっちゅうある。

 最近まで闘病生活を経験していた国府弘子さんへのメッセージ…。
 国府弘子さん,病床で『ピュア・ハート』を聴き直されましたか? 【スムーズ・ストラッティン】のホーン隊のアンサンブルには元気が出ますよね? 【ハッピエスト・ユー】を贈った友人は,今でもきっと幸せな結婚生活を送っておられるのでしょうね?

PURE HEART-2 管理人の結論。『ピュア・ハート批評

 悲しくて泣く。うれしくて泣く。そんなの頑張り具合が『ピュア・ハート』の「ビタミン」な音に出ていると思う。顔で笑って心で泣いている【ハッピエスト・ユー】が,結婚式当日を迎えるまでに乗り越えてきた2人の愛情が音に出ていると思う。

 そ・し・て・『ピュア・ハート』での「独女」している国府弘子さんの黄色・緑色・青色のクレイジー柄のお召し物。巷の評判はよろしくないようですがアメカジ命の管理人は大好きですよっ。

  01. SMOOTH STRUTTIN'
  02. LUCK IN THE RAIN
  03. ANNABELLA
  04. VITAMINA
  05. WEEKEND
  06. CARRY ME WITH THE WIND
  07. BAREFOOT STEPPIN'
  08. IT'S COOL
  09. ONCE AND FOREVER
  10. MRS. ROBINSON
  11. HAPPIEST YOU (FOR YOUR WEDDING)

(ビクター/JVC 1992年発売/VICJ-127)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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国府 弘子 / ブリッジ4

BRIDGE-1 管理人にとって国府弘子と来れば,どうしても天野清継との『AZURE』であり「天国プロジェクト」での『HEAVEN』『HEAVEN AND BEYOND…』である。この印象が如何せん強烈すぎる。

 まぁ,当時の管理人は「天野清継国府弘子の名コンビ」を「パット・メセニーライル・メイズの日本版」だと本気で思っていた。
 だから国府弘子アメリカデビューすると聞いて本当にワクワクしたことを覚えている。

 そんな国府弘子にドハマリしていた時期に届けられたアメリカデビュー盤の『BRIDGE』(以下『ブリッジ』)に,肩透かしを喰わされた。
 う〜む。天野清継から離れた国府弘子がパッとしない。そう言う意味では国府弘子パット・メセニーから離れたらパットしない?ライル・メイズっぽいという点は当たっている?

 そう。『ブリッジ』での国府弘子は,管理人が恋したハーモニストではなく,フロントに立ってバンド全体をリードするバンド・リーダー。要はアンサンブルで聴かせるピアノフュージョン
 軽快なビートと心温まるメロディー・ラインが,日本とアメリカのピアノフュージョン・ファンを,そして国府弘子とリスナーの心と心を結ぶ架け橋=『ブリッジ』なのだろう。

 国府弘子アメリカで売り出す“名刺代わり”の『ブリッジ』。国府弘子=日本のジャズ・ピアニストを印象付けるは【竹田の子守歌】。
 国府弘子トリオを組むのはベースエイブ・ラボリエルドラムアレックス・アクーニャによる大物アメリカン・リズム隊。日本の心を表現するのは難しいコンビだと思うのだが,これが実に情緒ある奥深い演奏で心を揺さぶってくれる。

BRIDGE-2 管理人の結論。『ブリッジ批評

 『ブリッジ』は国府弘子が一番アメリカに,一番スムーズジャズに寄ったアルバムである。
 基本キャッチーで“売れ線”を狙っているのだが,そこは“やっぱり”国府弘子である。普通では終わらない。国府弘子のファンからすると『ブリッジ』は,国府弘子で一番マニアックなアレンジが施されていて“異色の”アルバムである。

 個人的には『ブリッジ』がヒットしなくてかえって良かった。国府弘子スムーズジャズのカテゴリーに収まるピアニストではない。そのことをビクターも認識できて良かったと思っている。

  01. Catalina Island
  02. Rudy's Dream
  03. Bridge Over the Toubled Water
  04. Lullaby of Takeda
  05. Essence
  06. Lettin' Go
  07. Keep Hope Alive
  08. Baked Potato Man
  09. Innocence of Spring
  10. Our Story
  11. Peranzzetta
  12. Serenata

(ビクター/JVC 1997年発売/VICJ-60071)

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国府 弘子 / ライト・アンド・カラー4

LIGHT AND COLOUR-1 国府弘子の弾くピアノは「ジャズか? フュージョンか?」と問われれば「国府弘子国府弘子。唯一無二の“国府ワールド”」と答えたい。
 それ位に正統派ジャズ・ピアニストの系譜から外れている。突然変異の如く登場してはガラパゴス化で独自路線の成長を続けている。

 ジャズメンたちとの交流も深いし,ストレート・ア・ヘッドな硬派なジャズを志向していることも分かる。
 しかし,どんなにシリアスな譜面であっても国府弘子ピアノを弾けば,一発でエンターテイーナーしてしまう。普段ジャズなんて聞かない,ジャズって難しいと思っている人に受け入れられてしまうのだから,たちが悪いったりゃありゃしない。

 「国府弘子ブラジル」がテーマの『LIGHT AND COLOUR』(以下『ライト・アンド・カラー』)の参加メンバーが凄い!
 アコースティックギターオスカー・カストロネヴィスエレクトリックギターポール・ジャクソンJR.シンセサイザードン・グルーシンエレクトリックピアノジルソン・ペランゼッタベースジャミル・ジョーンズエイブ・ラボリエルドラムテオ・リマアレックス・アクーニャサックスフルートピッコロゲイリー・ハービックパーカッションポーリーニョ・ダコスタヴァーカルイヴァン・リンストランペットジェリー・ヘイ etc
 リオデジャネイロ録音&LA録音にしてブラジルを代表するオールスターセッションである。

 仮に国府弘子が普通のジャズ・ピアニストであったなら,この超豪華メンバーの個性を活かして自分の楽曲を彩付けようとすることだろう。
 しかし『ライト・アンド・カラー』における国府弘子は,ブラジルの大物たちをアーバンジャズの「脇役」として参加させている。

LIGHT AND COLOUR-2 バブル末期の残り香として,本場ブラジルジャズメンが集結しているのに,南米特有の土臭いがないし,情熱的な感じもしない。
 『ライト・アンド・カラー』の雰囲気としては,ブラジルではなくアメリカど真ん中を感じさせる都会的でBGM的な「光と色彩に満ちた」“国府ワールド”の王国が広がっている。

 国府弘子の端正かつリラックスした雰囲気のピアノが『ライト・アンド・カラー』の多彩な楽曲を“春色に染め上げていく”。
 とにかく柔らかで暖かな光線が今の季節に心地良い。春のそよ風にも似た爽やかなサウンドが今の季節に心地良い。唯一無二の“国府ワールド”が心地良い。

  01. MOON ISLAND
  02. PEPINO BEACH
  03. PASSARADA
  04. MY ONLY LOVER
  05. SAMBA DO CAMARAO
  06. TIP-TOP FUNK
  07. THE MOMENT WE SHARE
  08. BLUE LULLABY
  09. BOSSA CALANGO
  10. EL HUMAHUAQUENO
  11. GONE...

(ビクター/JVC 1991年発売/VICJ-61)
(ライナーノーツ/中原仁)

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