アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:NARUYOSHI KIKUCHI Y PEPE TORMENTO AZUCARAR

菊地 成孔とペペ・トルメント・アスカラール / ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ4

NEW YORK HELL SONIC BALLET-1 『NEW YORK HELL SONIC BALLET』(以下『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』)から聴こえてくる“何とも気だるいムード・ジャズ”に「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」の目指した音楽の全貌がついに明らかにされたように思った。

 というのも,ジャズの基本的なフォーマットに,弦楽四重奏とバンドネオンハープが参加する“ムーディー”仕様の「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」に,敢えて弦楽四重奏とバンドネオンハープを入れた意味があったのか,と問われると,その答えは「NO」であった。

 『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』以前の「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」は,表面上,映画音楽を準拠枠とする“妖艶な雰囲気”は必然ではなかったと思う。
 しかし『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』の主役は,グルーヴする弦楽器アンサンブル! 複数の音楽の絶妙な折衷の上に成り立つ“気だるさ”は,弦楽四重奏とバンドネオンハープなしでは成立しない。

 そう。『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』で,ついに「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」の“気だるさ”が目を覚ました。「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」の“気だるさ”が胎動を始めたのだ。

 一旦,音楽の主導権がリズムからフロントへと譲渡されたらもう止まらない! 甘美なメロディの氾濫が止まらない! 踊りながら大人になっていく感覚が味わえる! サルサが突っ走るのがニューヨーク・フィーリング!
 本当は好みではないバレエ感とオペラ感! 菊地成孔のヘタウマ・ヴォーカル林正子のオペラ・ソプラノが『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』の重要ファクター!

 恐らくここまで“気だるい”バンドのブレイクは当の菊地成孔でさえ想像できない事態であろう。「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」の“ごった煮”感の音楽性は,絶対的な創造主=菊地成孔でさえ制御不能に陥っている。
 『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』の「ラウンジでの拷問地獄」に菊地成孔のイニシアティブを聴き取ることはできない。

NEW YORK HELL SONIC BALLET-2 後は「野となれ山となれ」である。だから『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ批評では,バンド編成の薀蓄話に終始しない。

 「弦楽四重奏とバンドネオンハープフィーチャリング」は「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」の結成時に思い描いていたゴールであろうに,完成してみたら全くの予想外の音楽が鳴っている。
 熱帯の暑さに侵された“気だるさ”ではない。ニューヨークでサルサに侵されたままバレエとオペラを眺める“気だるさ”…。

 『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』での菊地成孔は,音楽の“傍観者”である。観客の一人として,音楽の創造の瞬間を一番の“特等席”で楽しんでいる…。あぁ…。

  01. Killing Time
  02. New York Hell Sonic Ballet
  03. When I Am Laid In Earth - Aria From The Opera "Dido and
     Aeneas"

  04. Procession
  05. Le Rita - La Suite "Cabaret Tangafrique"
  06. I Didn't Know What Time It Was
  07. Doh-In
  08. Wuthering Heights
  09. Wait Until Dark

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2009年発売/EWCD-0167)
(デジパック仕様)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

菊地 成孔とペペ・トルメント・アスカラール / 記憶喪失学3

ESTUDIOS DE SINTOMA DE PERDIDA DE MEMORIA-1 どんなに頑張ったところで「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」の“ムード・ジャズ”は,もはやガラパゴス化している。
 菊地成孔が,頑張れば頑張るほど“ムード・ジャズ”の痛々しさが伝わってくる。

 「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」の,ストリングスバンドネオンハープの絡みがゴージャスなのに「チープ」に響く。本当はアナログなのに,いかんせんデジタルっぽいのだ。
 『ESTUDIOS DE SINTOMA DE PERDIDA DE MEMORIA』(以下『記憶喪失学』)からは,お金かけている風でいて1万円コーディネートのような「チープ感」を感じてしまう。“アングラな成金ミュージック”をイメージしまう。

 『記憶喪失学』からは,古き良きアメリカを真似ては喜んでいた,昭和の「陳腐な」空気感が聴こえてくる。
 ズバリ「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」の真実とは,日本人が「西洋かぶれ」のジャズを演奏する“滑稽さ”を皮肉ったジャズ・バンドであろう。

 極論になるが,日本のジャズは「J−ジャズ」とカテゴライズされる音楽であって,本場アメリカのジャズとはイコールではない。
 本場アメリカのジャズを真似しているうちに,たまたま独自路線が花開いた「J−ジャズ」は,いつだってアメリカに向かって背伸びしてきた,王道ジャズの“生り損ない”であり,アングラの世界では「煌びやか」だと持ち上げられ,ブイブイ言わせている「三流の音楽」である。

 そう。『記憶喪失学』の“ムード・ジャズ”とは「ジャズの都落ち」である。下のカテゴリーではTOPを張れる「無敵の音楽」である。
 『記憶喪失学』のとは,実力的には「三軍のジャズ」を「2階級特進」させようとする菊地成孔流の「実験音楽」なのである。

ESTUDIOS DE SINTOMA DE PERDIDA DE MEMORIA-2 菊地成孔の持つ「ネーム・バリュー」で“スタイリッシュなジャズ・バンド”風な「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」も,人気バンドの仲間入り,を果たすことができた。

 しかし「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」は,他の人気バンドとは何かが違う。育ちが違うし時代が違う。
 今風な感じを頑張って演出しているが,仕上り具合が安っぽい。1万円コーディネートのような「チープ感」を感じてしまう。「銀座のママ」風な駄盤である。

  01. O.T.S."BUtterfield 8" - Theme from BUtterfield 8
  02. Meu Amigo Tom Jobim
  03. La pesadilla de la TVCM de la muestra del examen
  04. O.T.S."Alphaville" - Valse Triste
  05. La pesadilla de la TVCM del chicle
  06. Baile Exorcisomo
  07. La pesadilla de la TVCM de la aerolinea
  08. Sonia Braga affair
  09. Como un Arcangel
  10. You Don't Know What Love Is
  11. O.S.T."8 1/2(Otto e mezzo)" - E Poi (Valzer)
  12. La pesadilla de la TVCM del acondicionador

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2008年発売/EWCD-0153)
(デジパック仕様)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)
livedoor プロフィール
記事検索
Categories
Keith Jarrett Gallery

キース・ジャレット(真田馨子) おんがく日めくり(c) keiko sanada
Pat Metheny Gallery

パット・メセニー(野々口和仁)
(c) Kazuhito Nonoguchi
ジャズ・アフィリエイト
セラビー厳選CD

パリ・コンサートパリ・コンサート
キース・ジャレット

THE WAY UPTHE WAY UP
パット・メセニー・グループ

イン・ア・サイレント・ウェイイン・ア・サイレント・ウェイ
マイルス・デイビス

HEAVY WEATHERHEAVY WEATHER
ウェザー・リポート

BRAINCOOL STRUTTIN'
ソニー・クラーク

MINT JAMSMINT JAMS
カシオペア

HUMANHUMAN
T-スクェア

フル・ハウスフル・ハウス
ウェス・モンゴメリー

ザ・シーン・チェンジズザ・シーン・チェンジズ
バド・パウエル

セロニアス・モンク・トリオセロニアス・モンク・トリオ
セロニアス・モンク

枯葉枯葉
チェット・ベイカー

MOANIN'MOANIN'
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

BLOWIN' THE BLUES AWAYBLOWIN' THE BLUES AWAY
ホレス・シルヴァー

ウィントン・マルサリスの肖像ウイントン・マルサリスの肖像
ウイントン・マルサリス

メイティング・コールMATING CALL
タッド・ダメロン

Blu-spec CD ジャコ・パストリアスの肖像ジャコ・パストリアスの肖像
ジャコ・パストリアス

ザ・キング・イズ・ゴーンザ・キング・イズ・ゴーン
マーカス・ミラー

FIRST MEETINGファースト・ミーティング
テザード・ムーン

スペシャル・エディションSPECIAL EDITION
ジャック・デジョネット

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングYOU MUST BELIEVE IN SPRING
ビル・エヴァンス

STEP BY STEPSTEP BY STEP
ステップス

2424
DIMENSION

GANAESIAガネシア
渡辺香津美
カズミ・バンド

コンプリート・ピック・ヒッツ・ライヴPICK HITS
ジョン・スコフィールド

ニューポートの追想V.S.O.P.
ハービー・ハンコック

アス・スリーUS THREE
ホレス・パーラン

Manhattan StoryBLUE'S MOODS
ブルー・ミッチェル

AFRICAN PIANOOFF TO THE RACES
ドナルド・バード

AFRICAN PIANOAFRICAN PIANO
ダラー・ブランド

Manhattan StoryMANHATTAN STORY
アキコ・グレース

SPELLBOUNDSPELLBOUND
ジョー・サンプル

ランデヴーRENDEZ-VOUS
木住野佳子

RETURN TO FOREVERRETURN TO FOREVER
チック・コリア

BRAINBRAIN
上原ひろみ

イン・ラインIN LINE
ビル・フリゼール

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニングザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング
マーク・ジョンソン

スインギン・マケドニアスインギン・マケドニア
ダスコ・ゴイコビッチ

タイム・スレッドTME THREAD
小曽根真 & ゲイリー・バートン

フルーツケーキFRUITCAKE
フルーツケーキ

THE DROPPERTHE DROPPER
メデスキ,マーチン&ウッド

Doin' SomethingDOIN' SOMETHING
ソウライヴ

SALT IISALT II
塩谷哲

Dance Your HeartDANCE YOUR HEART
Saya

地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
アンケートボードA

★当ブログについて望むことは?
アルバム単位で批評してほしい
同じ曲をテイク別に批評してほしい
多くのジャズメンを幅広く批評してほしい
一人のジャズメンを掘り下げて批評してほしい
超有名曲をもらさず批評してほしい
発売直後の新作を批評してほしい
初心者を意識したほんわかサイトにしてほしい
マニアを意識したニッチなサイトにしてほしい
オーディオについて批評してほしい



-Mini Vote-
アンケートボードB
How Much Is Your Blog Worth?

My blog is worth
$38,953.26

How much is your
blog worth?

最新コメント
Copyright (C) 2005-2017 アドリブログ All Rights Reserved.