アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:NARUYOSHI KIKUCHI DUB SEXTET

菊地 成孔 ダブ・セクステット / イン・トーキョー4

IN TOKYO-1 「菊地成孔ダブ・セクステット」のライブ盤『IN TOKYO』(以下『イン・トーキョー』)を聴き終えて,改めてスタジオ盤『THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED』と『DUB ORBITS』のクオリティの高さを感じてしまった。

 『イン・トーキョー』が悪いわけではない。しかし「ダブ」とライブは相反する。ゆえに「菊地成孔ダブ・セクステット」の“絶対評価”の対象となるのはスタジオ盤の2枚に限られるべきだ,と思ったのだ。

 管理人の中で評価を落とした『イン・トーキョー』。理由はパードン木村の“DUBBYすべきタイミングの迷い”にある。
 いいや,リアルタイムで「ダブ」処理を施すのは「至難の業」。これはこれでパードン木村は相当に頑張っている,と擁護できる。

 そう。菊地成孔テナーサックスがいつも通りの出来であったなら,類家心平トランペットがいつも通りの出来であったなら,坪口昌恭ピアノがいつも通りの出来であったなら,鈴木正人ベースがいつも通りの出来であったなら,本田珠也ドラムがいつも通りの出来であったなら,パードン木村は,スタジオ盤のクオリティをライブにおいても再現できたことであろう。

 とにもかくにも,スタジオから飛び出し,人前に出て“常軌を逸した”「菊地成孔ダブ・セクステット」の“電化ハードバップ”が凄すぎるだけ。5人のスーパー・スターがバンド・サウンドを忘れて「個の力」を爆発させているのだから,パードン木村の腕を持ってしてもリアルタイムで追いつけるはずがない。

 『イン・トーキョー』の「菊地成孔ダブ・セクステット」は,バンドの売りを置き去りにした,実質,パードン木村抜きの「クインテット体制」。
 でも,だからこそ,パードン木村抜きの「菊地成孔ダブ・セクステット」を経験できたからこそ,バンドの売りである「ダブ」の正体がはっきりと理解できた。

 ズバリ「菊地成孔ダブ・セクステット」の要である「ダブ」とは,パードン木村1人のパフォーマンスを意味するものではなかった。
 メンバー全員が意識として共有する“計算された汚し”こそが「菊地成孔ダブ・セクステット」の「ダブ」なのである。

 具体的には,フロント2管の“自己主張するコンビネーション”が「ダブ」っている!
 リズム隊の連携も大変優秀であって,アフロ・ビートらしきものも聴き取れるが「変拍子とポリリズム」が,併走したり,止まったり,伸びたり,縮んだりするビートが「ダブ」っている!

IN TOKYO-2 特にオオラスの【DUB SORCERER】の“丁々発止”が圧巻! 本田珠也ドラムに,皆が一斉に絡みつき,綿密な計算と暴力性でドラムソロを「汚していく」! パードン木村のスクラッチが“NOIZY”に燃えている! バンドとしてのウエザリングのアイディアが最高に「ダブ」っている!

 管理人の結論。『イン・トーキョー批評

 『イン・トーキョー』は“計算された汚し”が不十分なため,演奏が完璧で出来すぎている。ストレート・アヘッドな4ビート・ジャズとしても十分に聴ける“燃え上がった”一般向けのライブ盤である。

 “電化ハードバップ”とは,崩されているからこそ美しい。壊されているからこそ美しい。管理人は,こんなにも“上質なジャズ”を演奏する「菊地成孔ダブ・セクステット」なんて聴きたくはなかった。

 「菊地成孔ダブ・セクステット」の立ち位置は,永遠にジャズの「グランジ・ファッション」足れ!

  01. Dub Liz
  02. Susan Sontag
  03. (I’ve lost my) Taylor Burton
  04. Orbits
  05. Koh-i-Nur
  06. Dub Sorcerer

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2008年発売/EWCD-0157)
(紙ジャケット仕様)

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菊地 成孔 ダブ・セクステット / DUB ORBITS5

DUB ORBITS-1 なるほど。2作目はこう来たかっ!
 「菊地成孔ダブ・セクステット」の2nd『DUB ORBITS』には,前作以上に革新的で過激な「ダブ」が仕掛けられているのだろうが,その全てがスッキリのクリアーな視界の“電化”ハードバップ。
 結果『DUB ORBITS』は,相当に聴きやすい“スクラッチ&ダビー・エフェクト”。全てが上手くいったのだろう。超カッコイイ。

 だ・か・ら『DUB ORBITS批評では「菊地成孔ダブ・セクステット」が使用した最新のデジタル処理の知識については書かないし,書きたくもない。
 書きたいのは,菊地成孔の“鬼才”のみ。カオスと混沌をここまで“まとめ上げた”菊地成孔の“鬼才”は,ウェイン・ショーターばりに「遠くまで見通す音楽の目」にあると思う。理知的な彼だけあって,特に「最終アウトプットの術」を誰よりも知っている。

 様々な要素を詰め込み,こねくり回しているであろう『DUB ORBITS』の立ち位置は,本来なら,もうぐっちゃぐちゃで身動きが取れない“電化”であろうが,聴いた印象としては,理路整然とスムーズに仕分けされた“アコースティック”特有の香りがする。

 そう。『DUB ORBITS』の真実とは「最新のエレクトリックジャズの仮面を被った,生粋のアコースティックジャズ」なのである。

 『DUB ORBITS』における菊地成孔の“鬼才”は「インプロビゼーションの交通整理人」たる役所にある。バッサバッサの仕分け人。
 本来なら“自然発生的”に鳴りだす過激なインプロビゼーションが,バンドの計算通りに「連動」している。ひたすらCOOLに,ぶち切れることなく抽象的にまとめ上げられたテーマが「連動」している。

 そう。その場その場で判断されるアドリブの「出口」が「菊地成孔ダブ・セクステット」には見えている。猛烈な勢いのまま“粉々に砕け散った”スローモーション風に“止まって聴こえる”瞬間こそが美しい。

DUB ORBITS-2 管理人の結論。『DUB ORBITS批評

 『DUB ORBITS』の基本サウンドは,尖がっているのに尖がっていない。これまでの「難解路線」の菊地成孔にはなかった「聴きやすさ」がプラスされてきている。

 菊地成孔が『DUB ORBITS』で投入した「聴きやすさ」のヒントは,例えば,あのハービー・ハンコックも『V.S.O.P.』で体験した,最先端エレクトリックからの“揺り戻し”にあるように思う。

 そう。単なる懐古主義ではなく,時代の進歩に合わせた「アコースティックの新鮮な響き」は,エレクトリックの手法をフィードバックすることから誕生するものなのだ。

 その意味で『DUB ORBITS』は,エレクトリックを“骨の髄までしゃぶり尽くした”菊地成孔だから作ることを許された「スタイリッシュでCOOLな」最良のアコースティック・サウンド! ストレートな“電化”ハードバップの響きが最高にカッコイイ!

  01. (I’ve lost my) Taylor Burton
  02. Koh-I-Nur
  03. Orbits
  04. Despute
  05. Ascent
  06. Monkey Mush Down
  07. Dismissing Lounge From The Limbo

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2008年発売/EWCD-0154)
(デジパック仕様)

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菊地 成孔 ダブ・セクステット / THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED5

THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED-1 “鬼才”菊地成孔のマルチな活動を追い続けていると,メディアミックスによるメジャーな展開とその胡散臭さから?どんどんジャズから遠ざかっている,と感じていた。
 菊地成孔の新バンド「菊地成孔ダブ・セクステット」は,レコーディング芸術としての「ダブ」がテーマと聴いて,ますますジャズから逃げていく,と感じていた。

 そんな「菊地成孔ダブ・セクステット」のデビュー・アルバムのタイトルが『THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED』ときた。直訳すると「革命はコンピューター化されない」である。
 オオーッ,ついにこの時がやって来た。「菊地成孔ダブ・セクステット」の結成は,菊地成孔による「既存のジャズへの革命宣言」であり「既存のジャズへの挑戦状」であるかのように受け取れた。“衝撃の問題作”が提示されることを期待した。

 しか〜し,そうではなかった。事実は想像の反対であった。菊地成孔が真面目に「ジャズの王道」と向き合っている。菊地成孔が「伝統の再生」へと舵を切ってきている。

 ズバリ「菊地成孔ダブ・セクステット」名義の『THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED』は,事実上,菊地成孔からの「ジャズ回帰宣言」であった。
 オーソドックスでストレートでスタンダードな“電化”ハードバップに,我を忘れて“絶叫”してしまった。スクラッチがリードする超攻撃的なハードバップを久しぶりに聴いた気がしたのだ。

 『THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED』の2曲目【DUB SORCERER】は『SORCERER』の【SORCERER】がネタ元だし,4曲目【PARLA】は『NEFERTITI』の【FALL】がネタ元だし,5曲目【INVOCATION】は『MILES SMILES』の【FOOTPRINTS】+『WATER BABIES』のテーマがネタ元であることはマイルスのマニアであればすぐに分かる。

THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED-2 そう。菊地成孔からアナウンスされた「ダブ・セクステット」の役割モデルは,マイルス・デイビスの第二期“黄金のクインテット”による『E.S.P.』『MILES SMILES』『SORCERER』『NEFERTITI』のスタジオ4部作。

 “電化マイルス”と比較して過小評価されてきた,フル・アコースティックマイルス・デイビスに,デジタル・エフェクトが絡みつき“電化マイルス”に「負けず劣らずの破壊力」を身にまとうことに成功している。
 触媒として“COOL”にコラージュされた「ダブ」がスパイスとして効きまくった,全く新しい“電化ハードバップ”の出現である。『THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED』こそが現在進行形の“モーダル”である。
 正しく「革命はコンピューター化されない」のであった。

 菊地成孔が「21世紀のマイルス・デイビス」を再現するために取った手法は「アウトすること」にある。
 一聴すると“定番で王道な”マイルス・デイビスっぽいのだが,例えば,別々でバラ録りしてコンピュータで編集したり,音をわざとディレイ処理でずらしたり,サンプリングされたタイムラグをループさせたりと,徹底的に“虚構のマイルス・サウンド”を鳴らしている。

THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED-3 そう。「ジャズの王道」を追いかけ続ける菊地成孔が,実際にはジャズからどんどん遠ざかっているように「菊地成孔ダブ・セクステット」が作り上げた“虚構のマイルス”も「ダブ」を重ねれば重ねるほど,実際のマイルス・サウンドから遠ざかってしまっている。
 ただし,管理人は菊地成孔が選択した「アウトする」手法を肯定する。なぜならマイルス・デイビスは基本「破壊王」だったのだから…。

 “ジャズの帝王”マイルス・デイビスは永遠である。「捕まえきれそうで捕まえることのできない」孤高の存在である。
 マイルス・デイビスに近づくにはマイルス・デイビスを聴き続けるしか他に手がない。我慢して背伸びして聴き続けていれば,いつか手が届くようになるのかもしれない…。
 「ダブ」で「アウトすること」を別にすれば…。

PS 「THE REVOLUTION WILL NOT BE COMPUTERIZED-3」は販促用のポストカードです。

  01. Dub Liz
  02. Dub Sorcerer
  03. AAAL
  04. Parla
  05. Invocation
  06. Caroline Champetier
  07. Susan Sontag
  08. Betty-Go-Round

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2007年発売/EWCD-0141)
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