アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:デイヴ・ブルーベック

デイヴ・ブルーベック・カルテット / タイム・アウト5

TIME OUT-1 ジャズの場合,代名詞である4ビートと2ビート以外の演奏を「タイム・アウト」(変拍子)と呼んでいる。
 変拍子は聴いて面白いだけではない。特に変拍子の中に複雑なキメまで入ってくると,聴く方にも,自然と力が入る,ものであろう。

 変拍子を楽しむにはそれなりのパワーを要する。聞き流す音楽に変拍子は向いていない。変拍子をリラックスして楽しむには,キャッチーなメロディーがどうしても必要だ。
 めくるめく変拍子とポップなメロディ・ラインが見事に調和したデイヴ・ブルーベックの歴史的な名盤TIME OUT』(以下『タイム・アウト』)のような…。

 『タイム・アウト』とは「変拍子ばかりを集めたアルバム」であるが,世間的には【TAKE FIVE】を収録したアルバムと言った方が通りがよい。
 そう。『タイム・アウト』を批評する行為とは【TAKE FIVE】を批評する行為のことなのである。

 ズバリ,山中千尋が「新聞紙・しんぶんし」と紹介した,ジャズ史上,最も有名な5拍子ナンバー【TAKE FIVE】!
 恐らく世界中で【TAKE FIVE】という曲名は知らずとも,聴いたら知ってる率「NO.1」なジャズ・ナンバー!? それくらい,一度聴いただけで鼻歌を歌えるようなキャッチーさがある。

 あたかもベーシストドラマーがするのと同じように,デイヴ・ブルーベックピアノで5拍子を刻んでいくのだが,重量感あふれるブロック・コードから叩き鳴らされた5拍子は,他の5拍子とは異なる「デイヴ・ブルーベック独特の5拍子」であって,スキップしていく感じ。
 そう。【TAKE FIVE】は,独特のユーモラスなズレを伴う魅惑の5拍子! こんな5拍子なら「理屈抜きに」誰だってノレル!

 【TAKE FIVE】のスイング担当は,ベースジーン・ライトドラムジョー・モレロ
 ピチカートで“スイングを生み出す”ジーン・ライトをよそ目に,ジョー・モレロは正確なビートとスリル満点な即興で“ハイライトを生み出す”技ありのドラミング

 中盤のブレイクとして,長めのドラムソロを叩くジョー・モレロが「変拍子への敷居」を下げることに成功している。淡々と地味にドラムが鳴っているのだが,あのドラムソロだけで「物語を綴っていく」。
 ジョー・モレロの音楽的なドラミングが,ズレを楽しむ【TAKE FIVE】に彩りを加えている。

TIME OUT-2 そんなデイヴ・ブルーベックの「緩急自在なリズム・セクション」の上に乗せられた【TAKE FIVE】の主役=ポール・デスモンドの“COOLな清涼感”が予想以上に「タイム・アウト」に馴染んでいる。
 しゃがれがちでどもりがちながらも,乾いた音色に似つかない,小気味のよい“音符が流れ落ちてくるようなフレージング”が「タイム・アウト」とマッチしている。

 ポール・デスモンドアルトサックスが最高に“コケティッシュ”! 頑固で口数の多い辛口のフレージングながらも“知的でウィットに富んだ”ブロウが最高!
 そう。ポール・デスモンドの成功の秘訣は“抑制”である。ポール・デスモンドの無駄の無いインプロヴィゼーションが他を寄せ付けない洗練されたモダンな雰囲気に【TAKE FIVE】を仕立て上げている。

 管理人はまるで「禁断症状」であるかのように,無性にポール・デスモンドを聴きたくなる時があるのだが,そんな時は大抵『タイム・アウト』の【TAKE FIVE】を聴いている。大名演である。

  01. BLUE RONDO A LA TURK
  02. STRANGE MEADOW LARK
  03. TAKE FIVE
  04. THREE TO GET READY
  05. KATHY'S WALTZ
  06. EVERYBODY'S JUMPIN'
  07. PICK UP STICKS

(CBSソニー/CBS SONY 1959年発売/SRCS-9631)
(ライナーノーツ/中川ヨウ)

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デイヴ・ブルーベック / デイヴ・ディグズ・ディズニー5

DAVE DIGS DISNEY-1 今や,ディズニーのアニメ主題歌は,ウォルト・ディズニーの手を離れ,映画音楽の枠を超え,世界中のジャズメンが愛する“ジャズスタンダード”としての趣きを帯びている。

 ディズニー・アニメをほとんど見ない管理人は【不思議の国のアリス】が聴こえてくるとビル・エヴァンスの【不思議の国のアリス】を思い浮かべてしまうし【いつか王子様が】が流れているとマイルス・デイビスの【いつか王子様が】と比較してしまう体質が出来上がっている。
 もはや,元ネタがディズニー映画にあることなど意識することはない。

 そんな“ジャズスタンダード”としてのディズニー・ソングの“元祖”にして“決定盤”が,デイヴ・ブルーベックの『DAVE DIGS DISNEY』(以下『デイヴ・ディグズ・ディズニー』)である。
 そう。本気ではない,企画ものの『デイヴ・ディグズ・ディズニー』が,今では「ジャズの王道」を歩んでいるのだ。

 これほどまでに“ディズニージャズ”が市民権を得たのは『デイヴ・ディグズ・ディズニー』の名演があればこそ!  耳馴染みの曲が名アレンジャーの題材とされたジャズって相当にカッコイイのだ!

 この全てはデイヴ・ブルーベック有する「POP感覚」が「火付け役」を果たしている。デイヴ・ブルーベックの「万人受けするのポピュラリティ」が“敷居の高い”ジャズを,分かりやすくも聴き応えのあるポピュラー音楽の1つとして提示している。

 これぞ,辛気臭くない,もう1つのジャズの誕生であった。『デイヴ・ディグズ・ディズニー』のジャケット写真の笑顔の如く,清く明るくほのぼのとしたジャズも聴いて楽しいものなのだ。

DAVE DIGS DISNEY-2 管理人の結論。『デイヴ・ディグズ・ディズニー批評

 『デイヴ・ディグズ・ディズニー』は,リラックスした雰囲気の中で挿し込まれてくる「原曲の夢見るような“甘さ”を,いかにギリギリまで崩せるか」な,ジャズメンの心意気を感じさせる名演集!
 ブロック・コードを多用したリズミカルなピアノに乗せられ,気付けば「キャッキャキャッキャ」と童心の頃の自分に帰っている…。

 ゆえに『デイヴ・ディグズ・ディズニー』のようなアルバムは,何分何秒のアドリブが凄い,とは聴いてはいけない。
 音楽って元来楽しむものでしたね。忘れかけていたそんな童心を思い起こさせてくれる名盤です。愛らしいアルバムです。

  01. Alice in Wonderland
  02. Give a Little Whistle
  03. Heigh-Ho
  04. When You Wish Upon a Star
  05. Someday My Prince Will Come
  06. One Song

(CBSソニー/CBS SONY 1957年発売/SRCS-9198)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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