TEASIN'-1 スタジオ・ミュージシャンには,主役級のどんなリクエストにも応え得る“変幻自在なオーダーメイド”タイプと「俺はこれしか弾けないよ。それでもよければ弾いてあげる」的な“自分の音”で売るタイプに大別される。

 超弩級のスタジオ・ミュージシャンによるセッション・バンド=「スタッフ」の2枚看板ギタリストの1人,コーネル・デュプリーは当然後者。
 コーネル・デュプリーのブルージーなギターが楽曲の展開に大きな彩りを与えてくれる。オール・ジャンルの有名ミュージシャンが先を競って,コーネル・デュプリーの“あのギターの音”を欲した結果が,2500越えと数えられているスタジオ・ワークの参加数に表わされている。

 「スタッフ」のギタリストゆえ,コーネル・デュプリーフュージョンギタリストかと思いきや,コーネル・デュプリーほど,フュージョンギタリストのイメージから遠いフュージョンギタリストもいないと思う。
 事実「スタッフ」参加以前には,バリバリのR&B・ギタリストであり,ブルース・ギタリストであり,ソウル・ギタリストとして鳴らしていたのだ。

 コーネル・デュプリーのピックを使わない指弾きから生み出される独特のフレージングは一聴すると誰にでも簡単に真似出来そうに思えるのだが,意表をつくチョーキングとグリッサンドの組み合わせ,微妙にリズムをずらしながら小節の最後に帳尻を合わせる間の取り方,へんてこりんな和音の交え方など,コーネル・デュプリーの弾く微妙なニュアンスは絶対に誰も真似することが出来ない“リズムの権化”。

 そんな「オンリー・ワン」なカッティング・ギタリストコーネル・デュプリーソロ・アルバムがあることを知って,楽しみに聴き始めた『TEASIN’』(以下『ティージン』)に,あ・れ・れ?

 『ティージン』はコーネル・デュプリーソロ名義なのだから,当然,コーネル・デュプリーのリード・ギターが大フィーチャー!
 でも『ティージン』には,管理人の大好きなコーネル・デュプリーがいなかった。「リード・ギター」のコーネル・デュプリーにはグッと来なかった。
 そう。管理人はコーネル・デュプリーの「サイド・ギター」に惚れていただけだったのだ。その事に『ティージン』を聴いて初めて気付いてしまった。

TEASIN'-2  コーネル・デュプリーとは,たった一音のカッティングで音場全体を変えることにできる稀有な存在である。そんなコーネル・デュプリーに,長いギター・ソロは似合わない。というか,そもそもコーネル・デュプリーに長尺のギター・ソロを与える必要性などないのでは?

 『ティージン』でのコーネル・デュプリーは弾きすぎである。絶えずコーネル・デュプリーがメインで鳴っていると,有難味が薄くなる。
 管理人にとってコーネル・デュプリーとは,音の雑踏の中をかき分け無意識のうちに耳元に飛び込んでくるコーネル・デュプリーこそが「真のコーネル・デュプリー」だと思う。

 だから管理人は「スタッフ」において,エリック・ゲイルを前面に押し出し,サイドに回った時のコーネル・デュプリーに強く惹かれてしまったのだ〜。周りが大物であればあるほど輝くコーネル・デュプリーの“グルーヴしまくる”リズム・ギターが大好きだ〜。

  01. TEASIN'
  02. BLUE NOCTURNE
  03. JAMAICAN LADY
  04. FEEL ALL RIGHT
  05. HOW LONG WILL IT LAST
  06. WHAT WOULD I DO WITHOUT YOU?
  07. OKIE DOKIE STOMP
  08. PLAIN OL' BLUES

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1974年発売/WPCR-75374)
(ライナーノーツ/松下佳男)

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