アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:ビル・チャーラップ

ビル・チャーラップ・トリオ / ディスタント・スター5

'DISTANT STAR-1 ビル・チャーラップビル・シャーラップ。両名とも英語では「BILL CHARLAP」と書く。そう。同一人物である。
 こんなパターンはたくさんあって,思いつくままに書くと,ジャック・デジョネットジャック・ディジョネットとか,デヴィッド・サンボーンデイヴィッド・サンボーンとか,マイルス・デイビスマイルス・デイヴィスとか,その多くはレーベルとかレコード会社が変わると日本語表記が変わったりする。

 まっ,普段は“馴染みの”ビル・チャーラップ表記がビル・シャーラップ表記になっていたとしてもスルーするのだが,今回のビル・シャーラップ名義の『DISTANT STAR』(以下『ディスタント・スター』)はスルーできなかった。
 ビル・チャーラップと同一人物のビル・シャーラップが明らかに別人として響いてしまう。ここでも(よせばいいのに)書いておくとピアノビル・エヴァンスサックスビル・エヴァンスくらいに?別人として響いてしまったのだ。

 そう。ビル・シャーラップ名義の『ディスタント・スター』には,オーソドックスで“趣味の良さ”を直感させるビル・チャーラップの個性的なピアノがいない。
 ビル・シャーラップピアノベースショーン・スミスドラムビル・スチュワートを挑発している。ゆえにリスナーをも挑発している。

 あの「優等生」なビル・チャーラップが,もう1人の自分=ビル・シャーラップと対峙している。「ハードボイルド」なジャズ・ピアノの創造にチャレンジしている。
 ニューヨークトリオビル・チャーラップトリオを聴いてきた耳にはビックリである! ← 管理人のビル・チャーラップの順番はニューヨークトリオビル・チャーラップトリオビル・シャーラップトリオのROUND TRIP。

 こんなにもエキサイトしたビル・チャーラップを聴いたのは初めてである。悠々と拍を伸縮してグルーヴするショーン・スミスベース,チキリチキリとおかずを加えるビル・スチュワートのシャープなドラミングとのインタープレイが最高に素晴らしい。
 ビル・チャーラップのめちゃめちゃタイトなリズム感。そのタイミングでその音を置くのか,としか表現しようのない“ジャスト”タイプの個性炸裂の大名演

DISTANT STAR-2  丁寧なソフト・タッチで美メロを紡ぎあげさせたら当代随一のビル・チャーラップ。本当にこの人の弾くピアノは嫌味がない。
 だ・か・ら・ニューヨークトリオ名演の秘訣は,そしてビル・シャーラップトリオ名演の秘訣は,ひとえにビル・スチュワートの“やり過ぎる”ドラミングとの相性の良さにある。この2人にしか通じ合えない「調和の妙」がお見事である。

 「ソフト」なビル・チャーラップと「ハード」なビル・シャーラップの違いは,ビル・スチュワートドラムを「受けるか,攻めるか」の違いである。
 ジャズメンの個性は1つとは限らないのだから,たまには「硬派」なビル・シャーラップとしての“顔”も見せてほしいと思う。

  01. ALONG THE WAY
  02. WHILE WE'RE YOUNG
  03. LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG
  04. HERE I'LL STAY
  05. DISTANT STAR
  06. BON AMI
  07. '39 WORLDS FAIR
  08. STARLIGHT
  09. THE HEATHER ON THE HILL

(クリスクロス/CRISS CROSS JAZZ 1997年発売/CRISS 1131 CD)
(☆直輸入盤仕様)
(ライナーノーツ/ビル・チャーラップ)

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ビル・チャーラップ・トリオ / ス・ワンダフル4

'S WONDERFULL-1 ビル・チャーラップピアノが好きだ。ビル・チャーラップの何が?と問われると「サラブレットだから」と答えるしかない“灰汁のなさ”。
 ビル・チャーラップのスタイルが,非の打ち所のない“ジャスト”タイプのピアニストなのだからしょうがない。

 ジャズメンは“個性が命”なのだから“清く正しく美しい”ビル・チャーラップとしては不利な図式である。
 個人的にはビル・チャーラップを高く買っているのだが,これが何度試しても,イマイチ,説得力を持って奨めるには向かないタイプなんだよなぁ。

 いっそのこと,欠点があったほうが説明しやすい。「欠点がないのが欠点」って,皆さんに周りにも1人や2人はいるでしょう? お金持ちでイケメンにして真面目なエリートタイプの実力派がっ。そんで付き合ってみたら中身は超いい人間がっ。
 いや〜,ビル・チャーラップが大好きなだけにもどかしい。

 管理人がビル・チャーラップを「サラブレット」と呼んだのは“生まれながらにして”ジャズ・ピアノを弾き出したような素養の深さを感じるからである。オーソドックスで上質な品のある芳香を醸す“ナチュラルな”ピアノなのである。とにかく音タッチが柔らかい。

 バド・パウエルセロニアス・モンクの時代からのビル・エヴァンス,そして“御三家”のハービー・ハンコックチック・コリアキース・ジャレットの時代からのミシェル・ペトルチアーニブラッド・メルドーへと通じるジャズ・ピアノの系譜。

 その流れの中で,奇をてらわずして,真正面から弾き上げたビル・チャーラップジャズスタンダードは,原型をとどめたままの状態で,まるでマジックを仕掛けられたかのように,流行の最先端の洋服を着させられたかのように,お洒落に変身していく。
 こんな感じの「まとまったオリジナル感のある」ジャズ・ピアノを弾かせたら,ビル・チャーラップが“無敵”であろう。

'S WONDERFULL-2 『’S WONDERFUL』(以下『ス・ワンダフル』)を聴いてみてほしい。特に管理人のお気に入り【ONLY THE LONLY】を聴いてみてほしい。
 エレガントでノスタルジックなスインギン・ピアノがダイナミックに響き渡り,最高に気持ち良い。ピアノなのに歌を聴いているかのような感動がある。

 ビル・チャーラップに「サラブレット」を感じるのは,スロー・テンポのスタンダード。歌を知り尽くしたがゆえの,すがすがしさ。原曲の美しさを100%引き出しており,かえってその重厚感を際立たせている。ゆっくりではあってもだらけず,その美しいハーモニー,切れの良いタッチはいつ聴いても瑞々しい。

 さて,ここまで絶賛してきたビル・チャーラップであるが,管理人はビル・チャーラップソロ名義の「ビル・チャーラップトリオ」ではなく「ニューヨーク・トリオ」で聴いていま〜す!

  01. Time After Time
  02. My Shining Hour
  03. The Blue Room
  04. Boy, What Love Has Done To Me
  05. Isfaban
  06. Lover
  07. Something To Live For
  08. 'S Wonderfull
  09. Summer Serenade
  10. Only The Lonely

(ヴィーナス/VENUS 1999年発売/VHCD-4059)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/寺島靖国)

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