アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:アーチー・シェップ

アーチー・シェップ・カルテット / トゥルー・バラード5

TRUE BALLADS-1 アーチー・シェップと来れば“フリー・ジャズの闘士”が代名詞。ジョン・コルトレーンの背中を追いかけ続けた,暴力的なまでに過激な演奏こそがアーチー・シェップのトレードマークである。

 しかし,敬愛したジョン・コルトレーンの死後「行き場を失った」アーチー・シェップは,フリー・ジャズに留まるのではなく,時代とともに音楽スタイルを変化させてきた。
 管理人は前作『ブルー・バラード』,そして今回は『TRUE BALLADS』(以下『トゥルー・バラード』)から成る,ヴィーナス一連のバラード・アルバムもその動きの1つだと受け止める。

 『トゥルー・バラード』を聴いて,声を大にして叫びたいのは,アーチー・シェップの音楽スタイルは変化しても,アーチー・シェップテナーサックスは不変,だということ。

 『ブルー・バラード』『トゥルー・バラード』には“フリー・ジャズの闘士”であったアーチー・シェップはいない。アーチー・シェップは“堕落した”とか“魂を売った”と批判するのは簡単である。
 しかし,それはアーチー・シェップの音の表面だけを聴いた結果であって,前衛を吹いてもバラードを吹いても“アーチー・シェップアーチー・シェップのまま”であって目立った変化は感じられない。いつの時代もアーチー・シェップの“魂の音”は必らずそこに有った。バラードを吹いてもアーチー・シェップの“魂の音”がここには有る。

 そう。『トゥルー・バラード』におけるアーチー・シェップテナーサックスは,情念たっぷり,ドスが効きまくった男のダンディズムと色気むんむんのテナーサックス
 かつての難解さは無い。しかし,穏やかな表現の心の底には“燃えたぎる何か”が秘められている。管理人は『トゥルー・バラード』における,よい意味での“枯れ方”にゾッコンなのである。

TRUE BALLADS-2 元来,アーチー・シェップテナーサックスには,伝統的なジャズのルーツを感じさせるものがあった。“フリー・ジャズの闘士”であった頃の演奏にも,伝統的なジャズへの愛母が含められていた。
 ゆえに管理人はアーチー・シェップにとっての前衛とは「革新ではなく自虐行為」であると思っている。「好きすぎたがゆえの破壊行為」であると思っている。

 『ブルー・バラード』『トゥルー・バラード』を聴いてみて“自分に素直になった”アーチー・シェップを聴けた思いでうれしさが込み上げてきた。
 円熟の味に磨きをかけて,独特の創造性を発揮している。ブルージーなバラードで最良の表現と個性を発揮している。
 お帰りなさい。感動しました。よくぞここまで頑張りましたね。アーチー・シェップさん…。

  01. The Thrill Is Gone
  02. The Shadow Of Your Smile
  03. Everything Must Change
  04. Here's That Rainy Day
  05. La Rosita
  06. Nature Boy
  07. Yesterdays
  08. Violets For Your Furs

(ヴィーナス/VENUS 1997年発売/VHCD-4106)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/児山紀芳)

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アーチー・シェップ・カルテット / ブルー・バラード4

BLUE BALLADS-1 ジョン・コルトレーンジョン・コルトレーンフリーテナーの2大直系である,ファラオ・サンダースアーチー・シェップ

 個人的な愛聴盤は,意外と思われがちなのだが,ジョン・コルトレーンが『バラード』。ファラオ・サンダースが『愛のバラード』。
 だったらアーチー・シェップバラードもいけるだろう,で購入したのが『BLUE BALLADS』(以下『ブルー・バラード』)。

 そう。脳ミソ破壊系のフリージャズは,日常生活では流れてはいけない。ここぞ!という時に流すべきなのが“フリージャズの奥義”なのである。

 とは言え,日常生活で“甘すぎる”バラードもいけない。バラードを聴くなら,超ハードボイルドなやからたちの“中和された”バラードに限る。ジョン・コルトレーンジョン・コルトレーンの2大直系,ファラオ・サンダースアーチー・シェップバラードに限る。

 重く荒々しい音はそのままにして,かつての前衛的な演奏とは異質なソフィスティケイトされた演奏に心惹かれてしまうのだ。なんてね〜。分かったふりしてごめんなさ〜い( 実はファラオ・サンダースアーチー・シェップもGETしたのは5年前〜。でも聴き込みましたので〜 )。

 アーチー・シェップの『ブルー・バラード』は,絶賛するほどまでは良くない。アーチー・シェップバラードなら『ブルー・バラード』の続編である『トゥルー・バラード』が一段上である。

 その理由とは『ブルー・バラード』でのボーカルが邪魔に聞こえるからだ。アーチー・シェップなら,口で歌わずとも,テナーサックスで歌えるはずなのに…。ヴォーカル以上にテナーサックスの“声質”の方が「しゃがれ」ているのに…。

BLUE BALLADS-2 黒人としてのこだわりや「怨念の塊り」がテナーから“吹きこぼれてくる”濃厚なフレーズとマウスピースからの“ブレス漏れ”がする,辛口のダーティートーンでスピリチュアルな重みを与えるフレージングに,流石はアーチー・シェップを実感する。

 『ブルー・バラード』は「ブルース・バラード」とでも呼ぶべき「退廃的な匂い」が充満するバラード・アルバム。わざとルーズに吹いてみたり息を漏らしたりして,ブルージーな音の枯らし方に何とも言えぬ“味わい”がある。
 時折,乱暴なトーンでアウトし,ダーティなフリーキー・トーンでうめいている。深く重く渋いテナーの音色がザラついている。

 そう。『ブルー・バラード』は,ジョン・コルトレーンの面影を残し,フリージャズの面影を残した,どこからどう聴いても“アーチー・シェップバラード”ど真ん中。これでボーカルがなければ愛聴盤になったのに…。

  01. Little Girl Blue
  02. More Than You Know
  03. Blue In Green
  04. Blue And Sentimental
  05. Cry Me A River
  06. If I Should Lose You
  07. Alone Together

(ヴィーナス/VENUS 1996年発売/VHCD-4105)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/今井正弘)

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