アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / フューチャリング・ウィントン・マルサリス’80 第2集4

FEATURING WYNTON MARSALIS '80 VOL.2-1 『アルバム・オブ・ジ・イヤー批評の中で「『アルバム・オブ・ジ・イヤー』は,ウィントン・マルサリスジャズ・メッセンジャーズのメンバーとしてある程度の時間をコンボと共有してからのレコーディング。そう。メンバー全員,ウィントン・マルサリスがすでに“天才”だということを思い知らされた上でのレコーディングであったという事実。ジャズ・メッセンジャーズの全員が,もはやウィントン・マルサリスとバトルしようなどとは考えない。考えられない。ただただウィントン・マルサリスと共演できる「喜びを噛み締めて」レコーディングに臨んでいる」と書いた。

 その根拠となるのが『FEATURING WYNTON MARSALIS ’80 VOL.2』(以下『フューチャリング・ウィントン・マルサリス ’80 第2集』)である。
 『フューチャリング・ウィントン・マルサリス ’80 第2集』は,アート・ブレーキーの61回目のバースディ・ライブセッションCD。つまりウィントン・マルサリス18歳の記録である。この音はにわかに信じ難い。

 ウィントン・マルサリスの登場がジャズを変えた。ジャズのポップ化,つまりジャズの伝統と精神のポップな表現が本流となったジャズ・シーンに「原点回帰」の“凄み”を知らしめたウィントン・マルサリス
 ウィントン・マルサリスは単なる懐古趣味ではない。モダン・ジャズの過去の遺産を「現代流に紐解いて」読み直す。ウィントン・マルサリスの考えるジャズを聴いていると,確かにチャーリー・パーカーが今生きていたならこんな感じ,クリフォード・ブラウンが今生きていたならこんな感じ,に思えてくる。
 そう。ウィントン・マルサリストランペットに,懐かしいジャズと新しいジャズ,の両面を同時に感じてしまう。これぞ“古いのに新しい”「ジャズ・ルネッサンス」!

 『フューチャリング・ウィントン・マルサリス ’80 第2集』を聴き込むにつれ(残念ながら『フューチャリング・ウィントン・マルサリス ’80 第1集』は未聴。ちなみに「フューチャリング」は「フィーチャリング」の誤り)ウィントン・マルサリスの特長について語りたくなる衝動が湧き上がる。
 そう。ウィントン・マルサリスキース・ジャレットのようなソロイストではない。パット・メセニーのようなコンポーザーではない。つまり全くのゼロから創造していくクリエイターではない。

 ウィントン・マルサリスには自分に刺激を与えてくれる何かが必要である。ウィントン・マルサリスとは,インプットする何かがあればとんでもないアウトプットをしてみせる天才,なのである。
 「新伝承派」は正しくその手の集団であろうし『フューチャリング・ウィントン・マルサリス』にはアート・ブレーキーがいた。『ウイントン・マルサリスの肖像』にはハービー・ハンコックがいた。
 そう。ウィントン・マルサリスの超名盤の法則は“自分以上の大物共演者”がキーワードである。

FEATURING WYNTON MARSALIS '80 VOL.2-2 『フューチャリング・ウィントン・マルサリス ’80 第2集』の聴き所は,18歳のウィントン・マルサリスのリアル。ジャズ・メッセンジャーズのサポートを受けて「元気ハツラツ」で吹きまくっている。そしてウィントン・マルサリスの“全てを受け止め包み込む”嗚呼,アート・ブレーキーの懐の深さよ。

 『フューチャリング・ウィントン・マルサリス ’80 第2集』のハイライト。それは“音楽監督”ボビー・ワトソンをガンガン置き去りにしていくウィントン・マルサリス』の突進力。
 スタートした瞬間からアート・ブレーキーのバースディ・ライブウィントン・マルサリスのお披露目ライブに変わっている。ボビー・ワトソンの抑えなど効かない「やったもん勝ち」な下克上のドキュメンタリー。

 「ウィントン・マルサリスのためのアルバム」『アルバム・オブ・ジ・イヤー』へと繋がるジャズ・メッセンジャーズによる賛歌が聴こえる。18歳のウィントン・マルサリスを「超一流のボス」と認めたジャズ・メッセンジャーズのメンバーは超一流である。
 そしてウィントン・マルサリスを認めたインディーズ・レーベル「フーズ・フー」も超一流。なんたって『フューチャリング・ウィントン・マルサリス ’80 第2集』の原題は「アート・ブレーキー & ジャズ・メッセンジャーズ」名義ではなく「ウィントン・マルサリス」のリーダー名義作に改編してしまったのでした〜。

 こんな屈辱,いやいや名誉な出来事は,無数のビッグ・ネームを輩出してきた「アート・ブレーキー & ジャズ・メッセンジャーズ」の歴史において「ウィントン・マルサリス」一人だけである。

  01. One By One
  02. My Funny Valentine
  03. 'Round About Midnight
  04. Eta
  05. Time Will Tell
  06. Soulful Mister Timmons
  07. Blakey's Theme

(クラウン/BREAKTIME 1987年発売/BRJ-4040)
(ライナーノーツ/悠雅彦)

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アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / アルバム・オブ・ジ・イヤー5

ALBUM OF THE YEAR-1 『ALBUM OF THE YEAR』(以下『アルバム・オブ・ジ・イヤー』)はウィントン・マルサリスのためのアルバムである。

 無論,聴き所は他に多数。何と言っても素晴らしいのが,新生ジャズ・メッセンジャーズに漲る“ジャズメン・スピリッツ”!
 この熱気に演られてしまう。往復ビンタを喰らったような衝撃である。しかも42分49秒の間中,何度何度も頬を張られてしまうのである。

 しかし,やっぱりウィントン・マルサリス抜きに『アルバム・オブ・ジ・イヤー』を語ることなどできやしない。新生ジャズ・メッセンジャーズを再生させ,熱気を与え張りを与えたのは,間違いなくウィントン・マルサリスの快演に起因している。
 トランペットウィントン・マルサリスが“御大”アート・ブレイキーのハートに火をつけた! アルト・サックスボビー・ワトソンを,テナー・サックスビル・ピアースを,ピアノジェームス・ウィリアムスを,ベースチャールス・ファンブローを燃え上がらせた!

 そりゃそうである。こうなるはずである。いいや,これで燃え上がらないほうがおかしいのである。そう。『アルバム・オブ・ジ・イヤー』の時点でウィントン・マルサリストランペットクリフォード・ブラウンの快演を「見た」からだ。
 ジャズ史上最高のトランペッタークリフォード・ブラウンの後継者,ここに“参上”なのである。

 ここで『アルバム・オブ・ジ・イヤー』について,そしてウィントン・マルサリスについて「一気に熱く語りたくなる衝動を抑えて」まずは話を補足しなければならない。そうしなければ管理人のウィントン・マルサリス愛は伝わらない。深く愛するがゆえの空回り?
 まず重要なのは,新生ジャズ・メッセンジャーズウィントン・マルサリスに“白目を剥かされた”のは『アルバム・オブ・ジ・イヤー』が初めてではない,という事実である。

 ジャズ・メッセンジャーズへのウィントン・マルサリスの吹き込みは『アルバム・オブ・ジ・イヤー』が「最初で最後」なのであるが,それはスタジオ録音のお話。
 (巷に数枚のブートが存在しているが)ニューヨークの「ボトム・ライン」〜スイスはレマン湖の「モントルー・ジャズ・フェスティバル」〜フォート・ローダーデイルの「バッパス」でのライブ録音。ウィントン・マルサリスジャズ・メッセンジャーズでの公式デビュー作『ジャズ・メッセンジャーズ・ビッグ・バンド』という手もある。

 つまり『アルバム・オブ・ジ・イヤー』は,ウィントン・マルサリスジャズ・メッセンジャーズのメンバーとしてある程度の時間をコンボと共有してからのレコーディング。そう。メンバー全員,ウィントン・マルサリスがすでに“天才”だということを思い知らされた上でのレコーディングであったという事実。

 ジャズ・メッセンジャーズの全員が,もはやウィントン・マルサリスとバトルしようなどとは考えない。考えられない。ただただウィントン・マルサリスと共演できる「喜びを噛み締めて」レコーディングに臨んでいる。
 それがゆえでのアート・ブレイキーの覚醒されたドラミングであり,ボビー・ワトソンビル・ピアースのブローであり,丁寧なビルドアップで響かせる伝統と清新のジェームス・ウィリアムスピアノであり,チャールス・ファンブローのミディアム・バウンスなのである。

 行ける! 彼となら行ける! ジャズ・メッセンジャーズが再ブレークできる! 何と『アルバム・オブ・ジ・イヤー』の邦題のコンボ名は「アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズ〜フィーチャリング・ウィントン・マルサリス」! 81年のジャズ・メッセンジャーズの立ち位置を見事に表現できている(定冠詞の「」が抜けているけれども)!

ALBUM OF THE YEAR-2 予想通り“ニュー・スター”ウィントン・マルサリスが引っ張る『アルバム・オブ・ジ・イヤー』で注目されたジャズ・メッセンジャーズ
 一度注目を集めさえすれば,そこは才能溢れるジャズ・コンボ。3管の2人=ボビー・ワトソンビル・ピアースは元から素晴らしいサックス・プレイヤーだっただけ〜。
 だ・か・ら・ウィントン・マルサリス抜きに『アルバム・オブ・ジ・イヤー』を語ることなど不可能なのだ。

 アート・ブレイキーの前面バックアップを受けて,ハツラツとトランペットを鳴らしまくるウィントン・マルサリス。相当なテクニシャンである上に「ジャズとは何か」を理解して吹き上げているから手がつけられない。「新しい響き」「新しい感覚」「新しい音の重ね方」を追求して吹き上げているからお手上げである。

 ウィントン・マルサリスを中心に回る『アルバム・オブ・ジ・イヤー』。ウィントン・マルサリスを中心に回るジャズ・メッセンジャーズウィントン・マルサリスを中心に回る「新伝承派」のムーブメント。ウィントン・マルサリスを中心に回るジャズ・シーン。
 『アルバム・オブ・ジ・イヤー』から30年。21世紀のジャズ・シーンは未だにウィントン・マルサリスを中心に回っている。

  01. Cheryl
  02. Ms. B.C.
  03. In Case You Missed It
  04. Little Man
  05. Witch Hunt
  06. Soulful Mister Timmons

(タイムレス/TIMELESS 1981年発売/30R2-23)
(ライナーノーツ/安原顕)

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アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / バターコーン・レディ3

BUTTERCORN LADY-1 ヤッター! ユニバーサルさん! 「JAZZ THE BESTお宝コレクション」!  「ジャズ史上に燦然と輝く名盤・レア盤からリクエストの多かった作品を1100円の超お買い得価格で限定発売!」のキャッチ・コピーにハッタリはなかった〜!

 そう。アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズの“コレクターズ・アイテム”『BUTTERCORN LADY』(以下『バターコーン・レディ』)の再発ですよ〜。24BITリマスター仕様でですよ〜。ユニバーサルの担当者さん,あなたは偉い! お目が高い! ヤッター!

 『バターコーン・レディ』が“コレクターズ・アイテム”と呼ばれる理由は4つある(いや5つある。高値取引流通品)。
 1つ目に,後年のフュージョン界の大スター=チャック・マンジョーネの目いっぱいのストレート・ジャズ。オープンの音色は「目指せ! ディジー・ガレスピー!」であり,ミュートの音色は「目指せ! マイルス・デイビス!」である。
 2つ目に,吹き込みの絶対数が数少ない,早出した“ショーター派”フランク・ミッシェルの参加作。
 3つ目に,アルバム名義の誤表記。アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズではなく正しくは「アート・ブレイキー & ザ・ニュー・ジャズ・メッセンジャーズ」。“NEW”が付いたアート・ブレイキーの新コンボでした。
 そして4つ目“我らが”キース・ジャレットの初録音作。お宝コレクションの目玉はキースピアノであろう。

 これ以上の全ての薀蓄は中略させていただいて,若干20歳のキース・ジャレットピアノは予想通りの普通の出来。無難で大人しくお上品なジャズ・ピアノ。特筆すべきソロはない。でもいいんです。ドキュメンタリーの貴重な記録なのです。ここからの大進化が素晴らしいのですから…。
 ここは逆に凡庸なキース・ジャレットを抜擢したアート・ブレイキーの“驚異の眼力”を褒め称えるべきであろう。

 「アート・ブレイキー & ザ・ニュー・ジャズ・メッセンジャーズ」を名乗ったように『バターコーン・レディ』のジャズ・メッセンジャーズは再スタートを切ったばかり。そのせい? これまでのドッカンドッカン&荒々しいまでのバイタリティが失せている。ライブ録音にも関わらず,燃えに燃えるはアート・ブレイキーただ1人。

BUTTERCORN LADY-2 管理人の結論。『バターコーン・レディ批評

 『バターコーン・レディ』の真実は“クールでモーダルな平均的な演奏集”であった。アート・ブレイキーのアルバムでここまではじけないものも珍しい。『バターコーン・レディ』を高値な“コレクターズ・アイテム”へと祭り上げたのは「名盤」ファンではなく「珍盤」ファンの方々なのでは〜。

 1100円の暴落価格で購入した,嗚呼,悲しや「珍盤」GET。「名の通っていないコレクターズ・アイテムは『名盤ではなく珍盤』ばかり説」はキース・ジャレットをもってしても本当でした。
 そろそろCDコレクターの悪癖を卒業したいんだけどなぁ。毎月の新譜リストにそそられてしかたないんだよなぁ。

  01. BUTTERCORN LADY
  02. RECUERDO
  03. THE THEME
  04. BETWEEN RACES
  05. MY ROMANCE
  06. SECRET LOVE

(ライムライト/LIMELIGHT 1966年発売/UCCU-9734)
(ライナーノーツ/原田和典)

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アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / ウゲツ5

UGETSU-1 ファンキー・ジャズの“不朽の名盤”『モーニン』は,アート・ブレイキーの最高傑作であると同時にジャズ・メッセンジャーズの最大のヒット作となった。
 しかし『モーニン』が売れれば売れるほど,旧来のジャズ・ファンがアート・ブレイキーへ捧げた視線は冷たくなった。アドリブ芸術と称されたジャズを“レベルの低い通俗音楽へと陥れた”と映ったのである。

 これはアメリカ本国でのアート・ブレイキーのお話であって,世界一のジャズ大国=日本におけるアート・ブレイキーへの熱視線は,それはそれは物凄い“羨望の眼差し”の大嵐。
 特にファンキー・ジャズ・ブームの真っ只中で開かれた1961年と1963年のジャズ・メッセンジャーズの来日公演は大フィーバー。後にアート・ブレイキーが日本のJMファンが示す“拝聴姿勢”と大物ジャズメンとして受けた“歓待への感動”を口にしている。ジャズ・メッセンジャーズ=ビートルズ級!?

 そんな親日家=アート・ブレイキーによる「日本での思い出」がジャズとして結実したのが『UGETSU』(以下『ウゲツ』)である。
 タイトル・トラックの【ウゲツ】とは「雨月物語」のことであり【オン・ザ・ギンザ】は「銀座」のこと。そう。『ウゲツ』の真実とは,最高傑作『モーニン』をけなされ,黒人差別を受けてきたアート・ブレイキーの“ジャズメンの誇り”そのものなのだと思う。

 『ウゲツ』を聴いていると管理人も“誇らしい”気分になってくる。“陰の名盤”『ウゲツ』を知りえたから。『ウゲツ』が大好きだから。『ウゲツ』は“ジャズ・ファンの誇り”でもある。『ウゲツ』を聴けるジャズ・ファンは真に幸福なジャズ・ファンだと思う。

 ジャズ・メッセンジャーズ自慢の3管&モードの成熟の音。これをライブで,そして日本ではなくアメリカで録音したのが“ジャズメンの誇り”。
 『ウゲツ』でのジャズ・メッセンジャーズは,ファンキー・ジャズ・コンボとしてのダイナミックな演奏はそのままに「繊細で理知的で,しかし頭でっかちではないスタイリッシュなジャズ」を奏でている。『ウゲツ』で,ついにアート・ブレイキーが“天下”を取った。

 ただ一点惜しむべきは,リリースがブルーノートではなくリバーサイドであったこと。仮に『ウゲツ』がブルーノートからリリースされていれば『モーニン』に負けるのはいたしかたないとしても『バードランドの夜』『チュニジアの夜』と肩を並べる“大名盤扱い”されたに違いない(オリン・キープニュースさん,ごめんなさい)。
 ゆえに管理人はアート・ブレイキー名盤として『ウゲツ』を挙げるジャズ・ファンを全面的に信用する。『ウゲツ』を“裏”名盤ではなく“表”名盤として認識するジャズ・メッセンジャーズ・ファンを全面的に信頼する。

 そう。ウェイン・ショーター擁する3管編成ジャズ・メッセンジャーズこそ,完成したモードの中にも,ハード・バップの熱気とファンキー・ジャズのキャッチーさがブレンドされた独特のバックリフ。3管が一丸となって襲ってくる不思議な感覚。トロンボーンのまろやかさがから感じるトランペットテナー・サックスとの音色の対比。ソロにもアンサンブルにも「新進気鋭の気概」が漲っている。
 この3管編成ジャズ・メッセンジャーズの“音の香り”こそが,ジャズ界屈指の長寿コンボ・ジャズ・メッセンジャーズの栄光の歴史中,一番輝く“花形の音”なのである。

UGETSU-2 『ウゲツ』のハイライトである【ワン・バイ・ワン】から【ウゲツ】への流れは『モザイク』からの3管の「成熟度」が窺い知れる。
 トランペットフレディ・ハバードピアノシダー・ウォルトンが“ショーターのモード”を完全に理解している。だから「成熟」なのである。これには『ウゲツ』のレコーディング・ライブで“ドラム・ヒーロー”アート・ブレイキーがたった一度もドラムソロを披露しなかったことと関係があるのかも?

 縦横無尽にハイノートで吹きまるフレディ・ハバードに迷いがない。シダー・ウォルトンハービー・ハンコックも“まっ青な”インテリジェンスな音使いに迷いがない。
 だからライブであるにも関わらず『モザイク』では先頭に立ってコンボをリードしていたウェイン・ショーターが『ウゲツ』では,コンボの一番後ろから(つまりアート・ブレイキーより後ろから)ジャズ・メッセンジャーズ全体の演奏を見渡し,その瞬間に足りない「一音」を発している。

 管理人は『ウゲツ』でのウェイン・ショーターの“最後列からのCOOLなプレイ”がマイルス・デイビスの目に止まったのだと思う。バンド全体を宇宙のような広角眼で見渡せるウェイン・ショーターの類まれな才能。ウェイン・ショーターの「一音」。アート・ブレイキーが気付いた才能にマイルス・デイビスも気付いてしまった。

 マイルス・デイビスに見初められたウェイン・ショーターは『ウゲツ』録音の1年後(『フリー・フォー・オール』『京都』『インディストラクティブル』の3枚の名盤を置き土産に)“運命の”マイルス・バンドへ移籍する。

  01. ONE BY ONE
  02. UGETSU
  03. TIME OFF
  04. PING-PONG
  05. I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS
  06. ON THE GINZA
  07. EVA
  08. THE HIGH PRIEST
  09. THE THEME

(リバーサイド/RIVERSIDE 1963年発売/VICJ-60479)
(ライナーノーツ/オリン・キープニュース,小西啓一)
(紙ジャケット仕様)

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アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / スリー・ブラインド・マイス4

3 BLIND MICE-1 3管編成ジャズ・メッセンジャーズによるハリウッドのライブ盤『3 BLIND MICE』(以下『スリー・ブラインド・マイス』)は『モザイク』の姉妹盤である。

 『スリー・ブラインド・マイス』を聴けば『モザイク』でウェイン・ショーターが演ろうとしたことがよく分かる。理由は選曲がスタンダード中心ゆえに,ウェイン・ショーターの手の内が丸見え,だからである。
 どうやら管理人は『モザイク』を3管編成をフロント中心に捉えすぎていたようだ。そうではなかった。ジャズ・メッセンジャーズのモードのキーマンはピアノシダー・ウォルトンであった。

 『スリー・ブラインド・マイス』はライブ盤という性格上,メンバーのソロに時間が多く割かれている。これがスタジオ録音であればメンバーのソロは少なめで,その分,アンサンブルの時間が長いので気付きにくいのだろうが,ほぼメンバーのソロのバックで「3分の2のリフ」が入っている。これぞ3管の強み=ゴージャスな2本立てのメロディ表現が実現できている。

 しかしライブにおいて「3分の2のリフ」は多用し辛い。ソロの時間も長くなるし基本アドリブなのだから…。
 そ・こ・で・シダー・ウォルトンウェイン・ショーターは『スリー・ブラインド・マイス』でピアノシダー・ウォルトンを重用している。

 【ブルー・ムーン】におけるフレディ・ハバードのオープン・トランペット。【アップ・ジャンプト・スプリング】におけるフレディ・ハバードのミュート・トランペットフレディ・ハバードトランペットソロの傍らには,いつもピアノシダー・ウォルトンがピッタリと寄り添っている。
 ソロだけではない。3管の能力をフルに生かした作風の【チルドレン・オブ・ザ・ナイト】では3管全てに張付いている。

 そう。3管編成ジャズ・メッセンジャーズが“乗るも反るも”全てはピアニストの出来にかかっている。シダー・ウォルトンのモードへの理解がジャズ・メッセンジャーズの前進と繋がっている。『モザイク』『スリー・ブラインド・マイス』ときての『ウゲツ』なのだ。
 モード・ピアニストが鍵を握るウェイン・ショーターの秘技・見破ったり〜!?

 しか〜し,そこは“ショーター・マジック”! 目を(耳を)ピアノから逸らすための巧みなカウンターによる豊かなハーモニー。決して,ワッ,と行かせないタイム・コントロール。ウェイン・ショーターの“煙幕”が素晴らしい。

3 BLIND MICE-2 管理人の結論。『スリー・ブラインド・マイス批評

 『スリー・ブラインド・マイス』の楽しみは「花より団子」である。敢えて,咲き乱れているシダー・ウォルトンピアノから視線を逸らし“ショーター・マジック”を食す。すると一気に気分は軽やか。理屈抜きなど考えずに気持ち良く腰を振るのみである。

 『スリー・ブラインド・マイス』で覚えた「ウェイン・ショーターのモード味」で『モザイク』を食す。凝りに凝ったアンサンブル&バックリフもアート・ブレイキーに与えられたドラムソロのスペースも『モザイク』のモザイクが薄く消えていくような感覚で楽しめる。

 だから『スリー・ブラインド・マイス』の楽しみは「花より団子」。『モザイク』と『スリー・ブラインド・マイス』を両方聴いてください。理解は3倍。感動は4倍に広がりますよっ。

PS 『スリー・ブラインド・マイス』は絶対に「+2」の別テイク入りを購入してください。【チルドレン・オブ・ザ・ナイト】と【アップ・ジャンプト・スプリング(別テイク)】は必聴の発掘王です。

  01. THREE BLIND MICE
  02. BLUE MOON
  03. THAT OLD FEELING
  04. PLEXIS
  05. UP JUMPED SPRING
  06. WHEN LIGHTS ARE LOW
  07. CHILDREN OF THE NIGHT
  08. UP JUMPED SPRING (alternake take)

(ブルーノート/UA 1962年発売/TOCJ-9429)
(ライナーノーツ/岡崎正通)
(紙ジャケット仕様)

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アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モザイク5

MOSAIC-1 ジャズ界の2大“名伯楽”=マイルス・デイビスアート・ブレイキー
 マイルス・デイビスアート・ブレイキーは共に才能ある新人を発掘し育て上げる名手である。共にバンド・リーダーとして絶大な統率力を誇っているが,決して縛り上げることはなく「自分の眼に見込み違いはない」と言わんばかりに,若手に自由に演奏させている。

 しかし,同じ工程で出てきた音の印象は「雲泥の差」。マイルス・デイビスのバンドは,メンバーの交代に呼応して次々と音楽スタイルが変化する。方や,アート・ブレイキージャズ・メッセンジャーズは,いつの時代でもそれと分かる「ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」印なジャズが鳴り続けている。これって何だろう?

 その答えが『MOSAIC』(以下『モザイク』)の中にある。なぜなら『モザイク』でのジャズ・メッセンジャーズが,ジャズ・メッセンジャーズ史上最大の音楽的変化を遂げているからである。
 そう。『モザイク』において,新・音楽監督=ウェイン・ショータージャズ・メッセンジャーズを遂に完全掌握。マイルス・デイビスジョン・コルトレーンによりスタートを切ったばかりのモードの取り込みと,ここがウェイン・ショーターの“大仕事”である小オーケストラ化を狙ってのトランペットテナー・サックストロンボーンを加えた「3管編成」の導入である。

 “天才”ウェイン・ショーターが仕切った,3管時代のジャズ・メッセンジャーズの音は実に革新的。『モザイク』発売でのアート・ブレイキージャズ・メッセンジャーズが,モードの先駆者=マイルス・デイビス・コンボを抜き去り時代の先端を走っている。どっしりと地に足を着けながら遠くを目指すといった演奏で,次の展開が予想できないスリリングなフレージングが飛び出している。
 ズバリ,分厚いのにメロディアスな和音がたいそう効いているのだ。ウェイン・ショーターが提示したモードは,音数が少ないのに一音が響き渡る「アダルト」なんだよなぁ。音の選び方の自由が広がっているはずなのに冷静にコントロールされたアドリブ。これがカッコ良すぎるんだよなぁ。もう,こんちくしょう〜。

 事実,あの“最強のジャズ・ファン”アルフレッド・ライオンをして『モザイク』に魅了させられている。ブルーノートには『モザイク』以前に,リー・モーガンウェイン・ショーターの2管編成ジャズ・メッセンジャーズの録音ストックが4枚存在した。その4枚の出来にアルフレッド・ライオンが満足していたからこそ,アート・ブレイキージャズ・メッセンジャーズでのインパルスへの吹込みを快諾していた。ブルーノートとしては確実に売れるであろう4枚を1枚1枚リリースすればいいのだから…。
 『モザイク』は,そんなアルフレッド・ライオンの目論見をすっ飛ばした。ブルーノートがストックしていた4枚のリリースは先送りされ『モザイク』の先行リリース大決行。『モザイク』の“衝撃”の大きさがよく分かるエピソードと思う。

 『モザイク』でのアート・ブレイキーの“大仕事”は,モードに馴染めなかったリー・モーガンボビー・ティモンズの代わりに,トランペットフレディ・ハバードピアノシダー・ウォルトンジャズ・メッセンジャーズに迎え入れたスカウティング力。
 アート・ブレイキーの“眼力”とウェイン・ショーターの“才能”が相まって,モードの歴史に足跡を残した名盤モザイク』。3管特有の緻密なアレンジ。ジャズ・メッセンジャーズは“個”が前に出るコンボから“アンサンブル”を前面に押し出すコンボへと進化した。凝りに凝ったユニゾンが心地良い。

MOSAIC-2 さて,ここまで長々と『モザイク』で聴かせたジャズ・メッセンジャーズの変化について論じてきた。
 しかし管理人が『モザイク』で,読者の皆さんへ一番訴えたいのは,モードでも3管でもなく,アート・ブレイキーの“比類のない個性”についてである。

 冒頭で書いた,メンバーの入れ替わりが激しいのに一貫して流れる「ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」印。やっぱりアート・ブレイキーなのである。
 そのことをウェイン・ショーターは生涯忘れないことだろう。『モザイク』でウェイン・ショーターが精魂込めて手を加えた名アレンジをして,ドラムのニュアンスだけは踏み込めない聖域が確実に存在している。アート・ブレイキーが割って入れるようにジャズ・メッセンジャーズがスペースを残し,そこでアート・ブレイキーが実にジャズ・メッセンジャーズ“らしい”ソロを取っていく。

 そう。アート・ブレイキーが登場すれば(バックがどんな大物であろうと)その瞬間はただのバンドの構成員。『モザイク』でのドラムソロにはジャズ・メッセンジャーズのDNAが流れている。

  01. MOSAIC
  02. DOWN UNDER
  03. CHILDREN OF THE NIGHT
  04. ARABIA
  05. CRISIS

(ブルーノート/BLUE NOTE 1961年発売/TOCJ-7111)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,岡崎正通)

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アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / チュニジアの夜5

A NIGHT IN TUNISIA-1 ジャズ・メッセンジャーズにおけるアート・ブレイキーの役割には2つある。

 1つにはバンド・マスター。ただしバンマスとしてのアート・ブレイキーは「人間関係」におけるリーダー・シップに限られる。音楽的にはアート・ブレイキーが指名した「音楽監督」がリーダー・シップを担っている。年下の若造に自由に演らせてもバンド内不協和音が起きないのは,バンマス=アート・ブレイキーの統率力にある。

 ジャズ・メッセンジャーズにおけるアート・ブレイキーの2つ目の役割が,ジャズ・メッセンジャーズの名ドラマー
 多くはジャズ・メッセンジャーズが誇る若きフロント陣を支えつつ煽る。煽りまくる。そして時折聴かせるドラムソロアート・ブレイキーソロをとれば,すなわちジャズ・メッセンジャーズのハイライト。「ナイアガラ瀑布」と称賛される唯一無二の大迫力。とにかく最高。これぞジャズを聴く醍醐味の1つで間違いない。アート・ブレイキーの爆発的なドラムソロに導かれ,ジャズ・メッセンジャーズが圧倒的なエネルギーを放出しながら突き進む〜。

 そんなジャズ・メッセンジャーズにおけるアート・ブレイキーの2つの役割が同時に色濃く楽しめるアルバムがある。それがリー・モーガンウェイン・ショーターの2管編成時代の大名盤A NIGHT IN TUNISIA』(以下『チュニジアの夜』)である。

 ズバリ『チュニジアの夜』の聴き所は“ド派手な”ハード・バップ&ファンキーと来るべきモードの融合である。
 良く使われる言い回しだが「果物は熟れる直前が一番おいしい」ようにモードも「熟れる直前が一番おいしい」。コードからモードへの一大変革期の“美味”が『チュニジアの夜』にぎっしりと詰め込まれている。

 ゆえにリスナーの求められているのは『チュニジアの夜』を繰り返し聴き込み,粘り強く冷静に分析する作業のみ。ただしこの「分析作業」がどうしてもできない。難しい。
 タイトル・トラック【チュニジアの夜】におけるあの一発。アート・ブレイキードラムを“しばき上げたかのような”最初の一発が管理人の脳天をも直撃。衝撃でそのまま頭ボーッ。残りの4曲は癒しのBGMなのである。本当は2曲目以降がウェイン・ショーター色が強くて“美味”なのに,2曲目−5曲目まで息苦しくて辿り着けないのである。

 他のモーダルな4トラックとは異なり【チュニジアの夜】だけは,ウェイン・ショーター“演じる”ハード・バップ・テナーである。ウェイン・ショーターが全力で“浮揚しながら”ハード・バップ・コンボだった頃のジャズ・メッセンジャーズに短いリフで音を合わせている。
 そうなった理由は【チュニジアの夜】がジャズ・メッセンジャーズの「オハコ」だったから。“神童”と称されたリー・モーガンと“申し子”と称されたボビー・ティモンズの良さが最高に生きる「オハコ」フォーマットの中でウェイン・ショーターもハード・バップ・テナーを“演じて”みせる。

 しかし,そんなウェイン・ショーターがこれまた良い。レスター・ヤングソニー・ロリンズジョン・コルトレーンを研究して,まずはバップ・テナーとして評価されてきたウェイン・ショーターの集大成的な名演が楽しめる。あのウェイン・ショーターが,冷静さを失いただただ本能に任せてブローしている。これがファンキーしているところがいいんだよなぁ。最高。

 『チュニジアの夜』をこんな感じで“斜めから”聴き込んできたものだから,ジャズ・メッセンジャーズの2大スターであったリー・モーガンボビー・ティモンズがモーダルに弾く【シンシアリー・ダイアナ】【ソー・タイアード】【ヤマ】【小僧のワルツ】の新鮮さが薄れない。
 あっ,この4トラックが今でも新鮮なのは【チュニジアの夜】で頭ボーッ。今でも残る素敵な後遺症なのです。

A NIGHT IN TUNISIA-2 管理人の結論。『チュニジアの夜批評

 “ド派手な”ハード・バップ&ファンキーと来るべきモードの融合作である『チュニジアの夜』であるが「モード」という言葉なしで『チュニジアの夜』を語ることはできても「ファンキー」という言葉なしに『チュニジアの夜』は語れないように思う。
 NO。『チュニジアの夜』の魅力を表現するのに一番“しっくり”くる言葉は,モードでもファンキーでもなく「ロック」であろう。

 そう。『チュニジアの夜』はジャズ界随一の「ロックンロール」作。とにかく凄い。超カッコイイ。ジャズってロック以上に激しい音楽なのです。

  01. A NIGHT IN TUNISIA
  02. SINCERELY DIANA
  03. SO TIRED
  04. YAMA
  05. KOZO'S WALTZ

(ブルーノート/BLUE NOTE 1960年発売/TOCJ-4049)
(ライナーノーツ/バーバラ・J・ガードナー,上條直之,後藤雅洋)

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アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / ザ・ビッグ・ビート4

THE BIG BEAT-1 アート・ブレイキー・ファンの読者の皆さん,ジャズ・メッセンジャーズ・ファンの読者の皆さん。ごめんなさい。
 先に謝っておきます。管理人はウェイン・ショーター偏重主義者なのです。

 ゆえにジャズ・メッセンジャーズのディスコ・グラフィの中では,3管時代のジャズ・メッセンジャーズをよく聴きます。お目当てはアート・ブレイキードラム以上にウェイン・ショーターテナー・サックス。もはや3管時代のジャズ・メッセンジャーズウェイン・ショーター抜きで“公平に”批評することなどできません。ごめんなさい。

 ただし,二匹目の『モーニン』を狙った,続・ファンキー・ジャズ路線〜3管セクステットになる前の「ウェイン・ショーター入りジャズ・メッセンジャーズ」なら,幾らかアート・ブレイキー目線で聴けたりもします。そう。名盤THE BIG BEAT』(以下『ザ・ビッグ・ビート』)と名盤A NIGHT IN TUNISIA』(以下『チュニジアの夜』)です。

 『ザ・ビッグ・ビート』と『チュニジアの夜』。この2枚の主役は“御大”アート・ブレイキードラミングである。とにかく凄い。お口あんぐりの大連発。
 知り合いのドラム好きの複数人から同じような話を耳にしたことがあるのだが「アート・ブレイキードラミングってド派手なだけで簡単にコピーできそうな気がする。しかしあのノリは中々真似できやしない。特に難しいことはやっていないのだがアート・ブレイキードラミングを突き詰めて行くと相当奥が深い」らしい。

 管理人が選ぶと,アート・ブレイキーの最高峰のドラミングは『チュニジアの夜』だと思うのだが,ドラム好きの師匠たちが選ぶのは『ザ・ビッグ・ビート』。『ザ・ビッグ・ビート』こそ“ジャズ・ドラマーアート・ブレイキーの“最高傑作”と認定してくる。

 管理人は「ちょっと待った〜」と言って逃げ帰る。家に帰宅して『ザ・ビッグ・ビート』を聞き返してみる。掴めない。そのうち『ザ・ビッグ・ビート』のジャケット写真に見入ってしまう。アート・ブレイキーのこの喜びの表情を見続けていると最高のドラミングが聞こえてきそうです。空想です。

THE BIG BEAT-2 そういうことで,アート・ブレイキーの「凄いのは分かる。でもどこが最高なのかは理解できない」ドラム目当てで繰り返し聴いた“暗い?思い出”の『ザ・ビッグ・ビート』。本当のお目当てであるウェイン・ショーターは,そんなでもない。

 理由としては『ザ・ビッグ・ビート』の狙いが,典型的なファンキー・ジャズ,なのが大きい。主役であるアート・ブレイキードラムは当然として,他のメンバー,トランペットリー・モーガンピアノボビー・ティモンズベースジミー・メリットファンキー・ジャズジャズメンとして,ウェイン・ショーターより「一日の長」がある。

 ファンキー・ジャズのフォーマットはジャズ・メッセンジャーズの主戦場。ウェイン・ショーターファンキー・ジャズは似合わない? まっ,しょうがない。新入りだし「先輩方の顔を立てる」必要もあったでしょうし。

 管理人の結論。『ザ・ビッグ・ビート批評

 ウェイン・ショーター好きとしては『ザ・ビッグ・ビート』は星4つ。『ザ・ビッグ・ビート』ではウェイン・ショーターのあのフレーズの堪能度は薄いです。
 ただしウェイン・ショーターを単なるテナー吹き,あるいはベニー・ゴルソンハンク・モブレーの“シャドー”テナー・サックス・プレイヤーと捉えるなら『ザ・ビッグ・ビート』は星5つ。やっぱりジャズ・メッセンジャーズの名の売れた名盤はどれも最高なのです。

  01. THE CHESS PLAYERS
  02. SAKEENA'S VISION
  03. POLITELY
  04. DAT DERE
  05. LESTER LEFT TOWN
  06. IT'S ONLY A PAPER MOON

(ブルーノート/BLUE NOTE 1960年発売/TOCJ-6599)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,岡崎正通)

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アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド Vol.24

AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD VOL.2-1 『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1批評は,最大の聴き所である,ジャズ・メッセンジャーズのリーダー=アート・ブレイキーの“リーダー・シップ”を中心にレビューを下した。
 今夜の『AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD VOL.2』(以下『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.2』)批評は,もう一つの聴き所である,ベニー・ゴルソンの後釜,テナー・サックスハンク・モブレーの“味”についてレビューしよう。

 『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド』で,ベニー・ゴルソンの代役としてジャズ・メッセンジャーズへカムバックしたテナー・サックスハンク・モブレー
 ジャズ・メッセンジャーズでのハンク・モブレーは幸が薄い。ベニー・ゴルソンのように音楽監督として強力なリーダー・シップを発揮するわけではない。しかしサックス・プレイヤーとしてのハンク・モブレーは申し分ない。

AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD VOL.2-2 ジャズ・ファンにとってハンク・モブレーと来れば“B級ジャズ”の代表格。「ここだけは,これだけは伝えたい」とするタイプのジャズメン。そんなハンク・モブレートランペットの“神童”リー・モーガンとタッグを組んで心地良くブローする。リー・モーガンに乗せられてハード・バップ・テナーを爆走する。

 例えば,ハンク・モブレーリー・モーガンである【M & M】。簡単なコード進行と強引で刺激的なメロディー・ラインで相まみれる。そこにボビー・ティモンズジミー・メリットアート・ブレイキーの“アゲアゲな”リズム・セクションが相まみれる。

 『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド』での“燃え盛る”ハンク・モブレー・シフトこそが,1959年型のジャズ・メッセンジャーズの“ジャズ”である。

  01. CHICKEN AN' DUMPLINS
  02. M & M
  03. HI-FLY
  04. THE THEME
  05. ART'S REVELATION

(ブルーノート/BLUE NOTE 1959年発売/TOCJ-4016)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,上条直之,片岡義男)

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アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド Vol.14

AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD VOL.1-1 『モーニン』でファンキー・ジャズの“先頭に立った”ジャズ・メッセンジャーズの“本拠地”バードランドでのライブ盤=『AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD VOL.1』(以下『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』)。

 流石に素晴らしい。文句なしの名演である。『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』特有の聴き所は,ジャズ・メッセンジャーズのリーダー=アート・ブレイキーのリーダー・シップ。
 試しにアート・ブレイキーのバスドラを追いかけてみるとジャズ・メッセンジャーズの音楽性がアート・ブレイキーの“上げ下げ”に多分に負っていることがよ〜く分かる。“盛り上げたいのか? じっくり聞かせたいのか? アドリブを聞かせたいのか? アンサンブルを聞かせたいのか”がよ〜く分かる。

 なぜなら『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』は『モーニン』の“新・音楽監督”テナー・サックスベニー・ゴルソン脱退直後のバードランドライブベニー・ゴルソンファンキー・ジャズを“置き土産”にジャズ・メッセンジャーズを去り,トランペッターアート・ファーマージャズテットの結成に動く〜。この手の引き抜き,ジャズ・メッセンジャーズでは“よくあること”なのです。

 ゆえに『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』特有の聴き所は,アート・ブレイキーのリーダー・シップ。アート・ブレイキーが“色濃い”のでアート・ブレイキードラム好きには『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』と『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.2』が超お奨めです。アート・ブレイキーの揮う“タクト”の強力な推進力に踏み潰されてしまいそう。

AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD VOL.1-2 勿論,ピアノボビー・ティモンズトランペットリー・モーガンベースジミー・メリットも絶好調ですよっ。『モーニン』派のジャズ・メッセンジャーズ・ファンなら『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド』=別名『バードランドの夜・パート2』でのファンキー・ジャズライブは聴くっきゃありません。でも様子見とはいえ『モーニン』からの楽曲がなんで1曲も演奏されないの〜。

 管理人の『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド』への苦言はこのセットリストの1点のみ。逆に言えばヒット曲が入っていないにも関わらずこんなに楽しめるのが不思議な気分。ハンク・モブレーの書く曲も水準以上の佳曲揃い。ベニー・ゴルソンが退団しウェイン・ショーター入団前の“急造・陥没期”にして,充実のジャズ・メッセンジャーズこそ「NO.1コンボ」の証し。

 そう。『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』と『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.2』の2枚はジャズ・メッセンジャーズの“隠れ名盤”襲名盤。
 実に強力で「これぞハード・バップ&ファンキー」的な熱い演奏がたっぷり楽しめま〜す。

  01. HIPSIPPY BLUES
  02. JUSTICE
  03. THE THEME
  04. CLOSE YOUR EYES
  05. JUST COOLIN'

(ブルーノート/BLUE NOTE 1959年発売/TOCJ-4015)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,上条直之,森田敏文)

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アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン / THE DRUM THUNDER SUITE4

 『MOANIN’』の5曲目は【THE DRUM THUNDER SUITE】(以下【ドラム・サンダー組曲】)。


 【ドラム・サンダー組曲】こそ,ドラマーアート・ブレイキーの真骨頂! 「ナイアガラ爆布」と称された,パワフルでダイナマイトな“野生児のリズム”を思う存分堪能できる。

 アート・ブレイキーにはジャズ・メッセンジャーズとは別のソロ・ワークとして『オージー・イン・リズム』の2枚の「打楽器セッション」があるが,暴言を承知で言い放とう。
 【ドラム・サンダー組曲】は『オージー・イン・リズム』の凝縮盤である。【ドラム・サンダー組曲】さえ聴けば『オージー・イン・リズム』は必要ない。事実,管理人は『オージー・イン・リズム』を中古CD屋へお嫁に出しました。

 思うにアート・ブレイキーのルーツは自称アフリカであっても,ドラミングを聴く限り“和”に近いのでは? 特にバス・タムの豪快なドラム・ロールは“ふんどしにハチマキで汗だくの大太鼓”のそれである。

ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS
LEE MORGAN : Trumpet
BENNY GOLSON : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JYMIE MERRITT : Bass
ART BLAKEY : Drums

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン / ALONE CAME BETTY5

 『MOANIN’』の4曲目は【ALONE CAME BETTY】(以下【アロング・ケイム・ベティ】)。


 【アロング・ケイム・ベティ】は,真に名曲であり名演である。一日中リピートしても飽きない+もっともっと聴きたいと思わせる。
 「ジャズ界広し」と言えども,繰り返し聴き込みたい曲はそう多くはない。ジャズメンが好んで【アロング・ケイム・ベティ】を演奏したくなる気持ちが良く分かる。

 リー・モーガンベニー・ゴルソンが対話している! あの“神童”リー・モーガンベニー・ゴルソンに従順に服している。この全ては敬虔な従順であってリー・モーガンの心の内で育まれてた,ベニー・ゴルソンへの敬愛の念である。

 ベニー・ゴルソンアドリブを“一音も聴き逃すまい”と願うからリー・モーガントランペットがまるでアルト・サックスのように“鳴っている”。テナー・サックスの旋律に丁寧に音を合わせるサブトーン。いつもの“カミソリ&カミナリ”リー・モーガンとはまるで別人のようである。

 一方,リー・モーガンからのリスペクトを受けたベニー・ゴルソンの方はといえば,そんなリー・モーガンの気持ちに気付いているのに知らんぷり? クールにクールに吹き上げる!
 そんな“ゴーイング・マイ・ウェイ”なベニー・ゴルソンリー・モーガンも惚れてしまったのかしらん。管理人も【アロング・ケイム・ベティ】におけるベニー・ゴルソンアドリブにはいつになく聴き入ってしまう。

 そんな静かに盛り上がる2人の濃密な関係を察知したのか,アート・ブレイキーボビー・ティモンズジミー・メリットの3人も2人のユニゾンに聞き耳を立てていく。
 対話を邪魔することなく3人の個性で彩るナイス・サポート・チーム。実に暖かい音で全体を包み込んでいる。

ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS
LEE MORGAN : Trumpet
BENNY GOLSON : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JYMIE MERRITT : Bass
ART BLAKEY : Drums

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン / ARE YOU REAL5

 『MOANIN’』の3曲目は【ARE YOU REAL】(以下【アー・ユー・リアル】)。


 【アー・ユー・リアル】は,典型的なハード・バップ・ナンバー。アート・ブレイキー奏でる“ミディアム・ファーストの4ビート”に心も身体も揺さぶられてしまう。

 テーマは所謂「ゴルソン・ハーモニー」で満開である。そう。テナー・サックストランペットの「輪唱&コーラス」! これぞジャズ・メッセンジャーズ!というキメ・フレーズであるが,特筆すべきは2コーラス目に逆循環コードを4小節加えたパート。
 逆循環と言えば“名手”マイルス・デイビスミュートが有名であるが,大抵はソロのつなぎ役。逆循環をテーマ自体に付け足したのは「ベニー・ゴルソン・オリジナル」の才能であろう。

 テーマを離れたベニー・ゴルソンリー・モーガンアドリブも実に熱い! 2人のハード・バッパーとは対照的に,ファンキー・ジャズピアニストボビー・ティモンズアドリブの,何と上品なことなのでしょう。

 ボビー・ティモンズの上品なピアノ・ソロに引っ張られる形で,テナー・サックストランペットが囁くようにサポートした2分22秒から2分31秒までの“穏やかな”ムードが大好きである。

ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS
LEE MORGAN : Trumpet
BENNY GOLSON : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JYMIE MERRITT : Bass
ART BLAKEY : Drums

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン / MOANIN'5

 『MOANIN’』の2曲目は【MOANIN’】(以下【モーニン】)。


 【モーニン】を知らないジャズ・ファンは“モグリ”である! なんたって「ソバ屋の出前持ちまでが口笛で吹いた」という伝説?が残っているくらい当時の音楽界を“席巻”した超有名曲なのだから…。

 テーマの親しみやすさ+マイナー調&ゴスペル風+ピアノとホーンによるコール&レスポンス! と来ればヒットしない方がおかしい?
 しかし,あのテーマ以外は典型的なハード・バップである。そう。【モーニン】ヒットの要因はボビー・ティモンズの作曲能力にあるのではなく“曲を形にした”ジャズ・メッセンジャーズの確かな“名演”にある。

 59秒から始まるリー・モーガントランペット・ソロは「落雷」のように痛烈である。このラッパの音が全世界を駆け巡り,ついに時代を突き破ってしまった。

 しかしそのリー・モーガンベニー・ゴルソンの手にかかると「かよわく&おとなしく」聴こえてしまうのだからジャズって不思議な音楽である。
 ユニゾンでのベニー・ゴルソンテナーの重低音が超強烈! リー・モーガンの最高の高域をも完全に押しのけている! 3分4秒からのアドリブ・タイムが“吠えまくり”! ベニー・ゴルソン特有の“暑苦しい”テナー・サックスが“ファンキー・ブーム”の到来を伝えている!

 NO! 【モーニン】のハイライトは,5分3秒からのボビー・ティモンズピアノソロ! 正しく“ファンクファンク”! 時にリズミカル,時に流ちょう,時に力業が交差する“魅惑のピアノ”を聴かされれば,誰でも“身体が反応してしまう”というもの。

 【モーニン】こそが,ハード・バップファンキーの“永遠”の定番ソング。指定席は変わらない。

ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS
LEE MORGAN : Trumpet
BENNY GOLSON : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JYMIE MERRITT : Bass
ART BLAKEY : Drums

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン / WARM UP AND DIALOGUE BETWEEN LEE AND RUDY2

 『MOANIN’』の1曲目は【WARM UP AND DIALOGUE BETWEEN LEE AND RUDY】(以下【ウォーム・アップ・アンド・ダイアローグ(リー・モーガン&ルディ・ヴァン・ゲルダー)】)。


 【ウォーム・アップ・アンド・ダイアローグ(リー・モーガン&ルディ・ヴァン・ゲルダー)】は,本番前のウォーム・アップ! 実に短い! これがジャズメンたちのウォーム・アップ

 リー・モーガンルディ・ヴァン・ゲルダーとの短い会話も収録されている。音楽的価値はないが歴史的価値はあるのだろう。
 実を言うと管理人もそこに“釣られて”買ってしまった…。聴いて“ガッカリ”していますけど…。

 当然,国内盤の『モーニン』は既に持っていましたが,2006年に東芝EMIより「RVGリマスター(Importヴァージョン)」なるものが発売され『モーニン』には,これまで輸入盤にしか収録されていなかった【ウォーム・アップ・アンド・ダイアローグ(リー・モーガン&ルディ・ヴァン・ゲルダー)】が国内盤に初めて追加されることとなった。
 ただの“リハーサル風景”が加わっただけなのに,コレクターとしての“悪いクセ”が出て,やっぱり買ってしまったのです。正にレコード会社の思うツボ,完全にカモられています。
 全く何回失敗すれば懲りるのでしょうね。もうほとんど病気です。ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビイ』に至っては3枚も所持しておりますが,なにか?

 さて,音楽的価値?についても触れておこう。33秒からのアート・ブレイキーのカウントで,このトラックは幕を閉じ,そのままの流れで名曲モーニン】へと続く…。

ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS
LEE MORGAN : Trumpet
BENNY GOLSON : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JYMIE MERRITT : Bass
ART BLAKEY : Drums

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン5

MOANIN'-1 ジャズ界には“名伯楽”が二人いる。マイルス・デイビスアート・ブレイキーである。

 勿論,二人ともプレイヤーとしても超一流ゆえ,正確には“名伯楽”とは呼べないが,優れたジャズメンを嗅ぎ分ける「嗅覚」は他のジャズ・ジャイアントの追随を許さない程,秀でたものがいる。
 「マイルス・スクール卒」&「ジャズ・メッセンジャーズ卒」のビッグ・ネームを数え挙げると切りがない。マイルス・デイビスアート・ブレイキーのバンドがリニューアルされる度に「またドエライ新人を連れてきたもんだなぁ」と,二人の“人材発掘能力”にしばしば感心させられたものである。

 しかしマイルス・デイビスアート・ブレイキーの“スカウト”の手法には大きな違いがある。
 マイルス・デイビスのコンボはいつでも“オールスター軍団”! 野球で言えば巨人軍! そう。FAで完成品をかっさらう! 一方,アート・ブレイキーのコンボは広島カープ! 有望新人を自前で叩き上げる! 現場でトコトン鍛え抜く“ど根性軍団”!

( マイルス・ファン,並びに巨人ファンの読者の皆さん,悪く言おうとする意図などありませんが,傷付けてしまったのでしたら,心から謝罪いたします。正確には,マイルス・デイビスも“無名の新人”をたくさん発掘してきましたし,アート・ブレイキーも“大物”を登用した時代がありました。目くじらを立てずに,おおまか・大体の違いってことで,サラリと読み流していただければ助かります。お許しを…。)

 さて,アート・ブレイキーの最高傑作であると同時にファンキー・ジャズの“不朽の名盤”『MOANIN’』(以下『モーニン』)が録音される前年(1957年)のジャズ・メッセンジャーズには才能豊かな“後の大物”たちが多数在籍していた。
 ざっと紹介してみると,ジャッキー・マクリーンドナルド・バードルー・ドナルドソンハンク・モブレージミー・スミスジョニー・グリフィンジョン・コルトレーンウォルター・ビショップ・ジュニアといった“驚異の面々”がズラリと並んでいる。

 ジャズ・メッセンジャーズがすでに人気コンボだったことを考えると誠に不思議であるが『モーニン』録音時には上記“大物”メンバーは一人も在籍していない。
 『モーニン』の録音メンバーは全員テナー・サックスベニー・ゴルソン繋がり。ピアノボビー・ティモンズトランペットリー・モーガンベースジミー・メリット。そう。ベニー・ゴルソン以外は,当時“まだ”無名の面々である。

 しかし“名伯楽”アート・ブレイキーの目に狂いはなかった! すでに“ファンキー”を求める土壌を見て取ったアート・ブレイキーは“新・音楽監督”にベニー・ゴルソンを任命した。ファンキー・ジャズベニー・ゴルソンが引き連れてきたこの新メンバーだからこそ音を“具現化”できたのである。

MOANIN'-2 ここでは簡単に触れておくが,ファンキー・ジャズとはジャズのルーツであるブルースやゴスペルの持つ“アーシー”な感覚を意識的に取り入れたハード・バップのこと。そう。ファンキー・ジャズの完成には“アーシー”を頭ではなく身体で理解できる「黒い」ジャズメンが必要不可欠。
 この新メンバーは全員東海岸フィラデルフィアの出身。幼少の頃からジャズはもとより,ブルースやゴスペルと共に育ってきたジャズメンなのだ。

 ついに“機は熟した”! ファンキーを求める時代の波とメンバーの高い資質がアート・ブレイキーに“理想の”ファンキー・ジャズの誕生を告げていた! その後の世界的大ブームについては改めて説明するまでもないだろう。
 ファンキー・ジャズの“不朽の名盤”『モーニン』に“新・音楽監督”ベニー・ゴルソンあり! “名伯楽”アート・ブレイキーなくしてファンキー・ジャズは語れない!

  01. WARM UP AND DIALOGUE BETWEEN LEE AND
     RUDY

  02. MOANIN'
  03. ARE YOU REAL
  04. ALONG CAME BETTY
  05. THE DRUM THUNDER SUITE
  06. BLUES MARCH
  07. COME RAIN OR COME SHINE
  08. MOANIN' (alt. take)

(ブルーノート/BLUE NOTE 1959年発売/TOCJ-66404)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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