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ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:RETURN TO FOREVER FEATURING CHICK COREA

リターン・トゥ・フォーエヴァー / ザ・マザーシップ・リターンズ5

THE MOTHERSHIP RETURNS-1 『THE MOTHERSHIP RETURNS』(以下『ザ・マザーシップ・リターンズ』)について,どうしても語らなければならないのは『ザ・マザーシップ・リターンズ』は「RETURN TO FOREVER 」名義であるという1点に尽きる。

 2008年の前々作『RETURNS』でも,2010年の前作『FOREVER』でも口にしなかった,チック・コリアによる「RETURN TO FOREVER 」の始動を告げる再結成のアナウンス。それだけに『ザ・マザーシップ・リターンズ』のクオリティが相当に高い!

 チック・コリアのキャリアを語る上で外すことのできない,リターン・トゥ・フォーエヴァーとは,元々は曲名であり,そしてアルバムのタイトル名であり,後にバンド名そのものを意味するようになった。
 そう。リターン・トゥ・フォーエヴァーでの活動はチック・コリアにとって“未来永劫へと立ち戻る冒険の旅”なのである。
 後にチック・コリアは“母船”であるリターン・トゥ・フォーエヴァーから別の船へと乗り換えてソロ活動の冒険を続けてきたが,その成果を『THE MOTHERSHIP』に帰還して披露したのが,今回の『ザ・マザーシップ・リターンズ』であり「RETURN TO FOREVER 」なのだと思う。

 『ザ・マザーシップ・リターンズ』の音源は「RETURN TO FOREVER 」によるワールドツアーベスト・テイク集。その意味では『RETURNS』の続編でもある。
 そう。『THE MOTHERSHIP RETURNS』とは『THE MOTHERSHIP』+『RETURNS』!

 さて「第4期」リターン・トゥ・フォーエヴァーのメンバーは,ピアノキーボードチック・コリアベーススタンリー・クラークドラムレニー・ホワイトのレギュラー・メンバー3人と,ヴァイオリンジャン=リュック・ポンティギターフランク・ギャンバレの“手馴れの”新メンバー2人を加えた5人組。

 尤も,新メンバーのジャン=リュック・ポンティとは『RETURNS』で共演済。フランク・ギャンバレにいたっては「エレクトリック・バンド」のギタリストであって“相性チリバツ”。
 昔からリターン・トゥ・フォーエヴァーのメンバーであったかのように,リターン・トゥ・フォーエヴァーというバンドの音を理解し,自分のバンドでの役割をも理解した,実に見事な演奏である。

 特にジャン=リュック・ポンティエレクトリックヴァイオリンの響きが「第4期」の肝! エレクトリックヴァイオリンリターン・トゥ・フォーエヴァーのファンタジックなメロディー・ラインと“チリバツ”だし,エレクトリックだけではなくアコースティックも演奏する「第4期」のコンセプトとも“チリバツ”。

 そう。ジャン=リュック・ポンティエレクトリックヴァイオリンをフロントに据えた「RETURN TO FOREVER 」は,結成直後にして,すでに「第4期」としてのバンド・アンサンブルを鳴らしている。
 流石はチック・コリアが“久々に腰を据えて取り組んだ”レギュラー・バンド・アンサンブル。かつてのレパートリーに“新たな息吹が吹き込まれた”実に素晴らしい演奏である。

 上記の通り,超名門フュージョン・バンド=「RETURN TO FOREVER 」のバンド名を背負った『ザ・マザーシップ・リターンズ』が5つ星。2枚組のライブCDが最高に素晴らしい。
 しか〜し,管理人にとって『ザ・マザーシップ・リターンズ』の素晴らしさを語る時,星5つのCD以上に熱が入ってしまうのが,ボーナスDVDの存在である。DVDには“キッパリと”星6つを贈呈する。

THE MOTHERSHIP RETURNS-2 ズバリ,管理人にとって『ザ・マザーシップ・リターンズ批評とは,すなわち『ザ・マザーシップ・リターンズDVD批評のことである。
 『ザ・マザーシップ・リターンズ』の,つまりは「RETURN TO FOREVER 」の全貌を確認したいのなら,おまけのボーナスDVDを見逃してはならない。購入すべきは通常盤ではなく「【初回限定】DVD付き」の一択である。

 『ザ・マザーシップ・リターンズDVDには,モントルージャズフェスティバルにおける,エレクトリックの【AFTER THE COSMIC RAIN】とアコースティックの【THE ROMANTIC WARRIOR】の“雰囲気ある”パフォーマンス収録。
 長尺でメンバーのソロ廻しを堪能できるのだが,見所はチック・コリアの“圧巻の”キーボードである。即興でバッキングを付ける姿に「二度見」する。前に出ている時間もずっとメンバーとアイコンタクトをとっている。ほぼ鍵盤など見ていない。見ているのは他のメンバー全員の「表情の機微」である。だから名演なのです!

 ワールドツアーにおける演奏曲のエピソードを中心に語られる【INSIDE THE MUSIC】とドキュメンタリー・ムービーストーリーテラーである【THE STORY OF RETURN TO FOREVER】は「第1期」「第2期」「第3期」は勿論「第4期」に対する「考察のメイン・ディッシュ」となるに違いない。リターン・トゥ・フォーエヴァーのファンなら,涎を垂らす“お宝”映像が止まらない〜。

PS 実は管理人。『ザ・マザーシップ・リターンズ』のジャパンツアーを観たのですが,収録曲がCDライブでは異なっています。悔しいやら,得した気分やら〜!

  Disc 1
  01. Medieval Overture
  02. Senor Mouse
  03. Shadow of Lo/Sorceress
  04. Renaissance

  Disc 2
  01. After the Cosmic Rain
  02. The Romantic Warrior
  03. Concierto de Aranjuez/Spain
  04. School Days
  05. Beyond the Seventh Galaxy
  06. Dayride

  Disc 3 - Bonus DVD
  01. Inside the Music (Documentary)
  02. After the Cosmic Rain (Performance)
  03. The Romantic Warrior (Performance)
  04. The Story of Return to Forever (Sneak Peek Movie Trailer)

(ソニー/EAGLE RECORDS 2012年発売/VQCD-10305/6)
(ライナーノーツ/鮎沢裕之,チック・コリア,スタンリー・クラーク,レニー・ホワイト,ジャン=リュック・ポンティ,フランク・ギャンバレ,ロバート・トゥルージロ)
★【初回限定盤】 CD2枚組+DVD

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チック・コリア/スタンリー・クラーク/レニー・ホワイト / フォーエヴァー5

FOREVER-1 チック・コリアライナーノーツの中で『FOREVER』(以下『フォーエヴァー』)について「このトリオリターン・トゥ・フォーエヴァーとは切り離して考えてほしい」と述べている。

 しかし,アルバム・タイトルが,バンド名=リターン・トゥ・フォーエヴァーの『フォーエヴァー』だし,トリオのメンバーが,ピアノキーボードチック・コリアコントラバスエレクトリックベーススタンリー・クラークドラムレニー・ホワイトと来れば,チック・コリアがどんなに否定しようともリターン・トゥ・フォーエヴァーを意識しない方がおかしい。
 ダメ押しで語れば“目玉である”ジャズスタンダードを演奏しようとも,出てきた音の正体が,リターン・トゥ・フォーエヴァーのサウンド・カラーである事実を隠せやしない。

 そういうことで,アドリブログでは『フォーエヴァー』をリターン・トゥ・フォーエヴァー名義の1枚としてカテゴライズさせていただきたい。いいや,是非とも『フォーエヴァー』はリターン・トゥ・フォーエヴァーを名乗っていただきたい。
 『フォーエヴァー』の内容は本当にいい演奏ばかりである。このメンバーにしてこの曲目。ケチのつけようがない,リターン・トゥ・フォーエヴァーの「新たなる名盤」の誕生である。

 “アンプラグド”で演奏された1枚目は,チック・コリアスタンリー・クラークレニー・ホワイトで行なわれたワールドツアーベスト・テイク集。
 先にも述べたが,ジャズスタンダードが“アンプラグドな”リターン・トゥ・フォーエヴァーに完璧にハマッテいる。まるで以前からリターン・トゥ・フォーエヴァーのレパートリーだったかのようなこなれように「名手3人」の実力を感じ取る。

 しかし,聴き所は別である。『フォーエヴァー』のハイライトは,チック・コリアスタンリー・クラークレニー・ホワイトによるリターン・トゥ・フォーエヴァーのレパートリーのカヴァーである。
 リターン・トゥ・フォーエヴァーの4分の3にして,4分の4であるかのような名演である。逆に4分の3であるから,広がったスペースを飛翔する3人のソロがいつも以上にスリリング。特にスタンリー・クラークの“超絶技巧”の大爆発が最高に素晴らしい。

 いや〜,念願であった,ジャズ・コンボと化したリターン・トゥ・フォーエヴァー,がついに聴けた満足感はかなり高い!
 管理人はリターン・トゥ・フォーエヴァーエレクトリックでなければならないと思っていたが,とんでもない。リターン・トゥ・フォーエヴァーエレクトリックでもアコースティックでも“両刀でも&何を演っても”リターン・トゥ・フォーエヴァーであった。
 エレクトリックに特化したバンドではなかった。フュージョンに特化したバンドでもなかった。だからこんなにシビレルんだ!

FOREVER-2 2枚目は豪華ゲストが参加したスタジオ・セッション。1枚目とは性格の異なる“ハッピーな演奏”が連続する。聴いていて楽しい。

 ゲスト参加で一気にカラフルになったリターン・トゥ・フォーエヴァーだが,アルディ・メオラの代わりを務めるビル・コナーズが,そしてフロントを務めるジャン・リュック・ポンティチャカ・カーンも,レコーディングなど忘れてリターン・トゥ・フォーエヴァーの4分の1になれた事実を楽しんでいる。
 そりゃあ,最高のピアノトリオにツボを刺激されれば誰だってああなるのさっ。

 ところで,2枚組の『フォーエヴァー』を聴き終えた時,ふと『リターンズ〜リユニオン・ライヴ』で感じた疑問を思い出した。
 チック・コリアリターン・トゥ・フォーエヴァーでやり残したこととは“アンプラグド”でジャズ・コンボと化したリターン・トゥ・フォーエヴァーだったんだ! 

  DISC 1
  01. On Green Dolphin Street
  02. Waltz for Debby
  03. Bud Powell
  04. La Cancion de Sofia
  05. Windows
  06. Hackensack
  07. No Mystery
  08. Senor Mouse

  DISC 2
  01. Captain Marvel
  02. Senor Mouse
  03. Crescent
  04. Armando's Rhumba
  05. Renaissance
  06. High Wire - The Aerialist
  07. I Loves You Porgy
  08. After the Cosmic Rain
  09. Space Circus
  10. 500 Miles High

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2010年発売/UCCJ-3023/4)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/チック・コリア,ビル・ルーニー,小川隆夫)

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チック・コリア & リターン・トゥ・フォーエヴァー / リターンズ〜リユニオン・ライヴ4

RETURNS-1 『RETURNS』(以下『リターンズ〜リユニオン・ライヴ』)を聴いて,チック・コリアにこう問い尋ねたくなった。
 チック・コリアよ,リターン・トゥ・フォーエヴァーで,何かやり残したことがあったのかと?

 『リターンズ〜リユニオン・ライヴ』は「第2期」リターン・トゥ・フォーエヴァーの『リユニオン・ライヴ』。
 ピアノキーボードチック・コリアベーススタンリー・クラークドラムレニー・ホワイトギターアル・ディメオラという,それぞれの楽器の“マエストロ”となった4人が“ギンギンに”懐かしの人気曲を演奏している。
 これは真に素晴らしい演奏である。メンバー全員がバンドの一員に戻って“ザ・リターン・トゥ・フォーエヴァー”を演じきっているのが最高に凄いと思う。

 ただし,リターン・トゥ・フォーエヴァーの再結成に,管理人は4年前のエレクトリック・バンドの再結成作『TO THE STARS』の,正確には『TO THE STARS TOUR EDITION』の“衝撃”を期待していた。

 『リターンズ〜リユニオン・ライヴ』に『TO THE STARS』のような新曲がないことは分かっていた。そうではない。管理人が言いたいのは,同じ条件での再演となる,全曲過去のカヴァースタジオライブTO THE STARS TOUR EDITION』のような興奮が全くなかった。この「落差」にショックを受けた。
 だ・か・ら・問いたい。チック・コリアよ,リターン・トゥ・フォーエヴァーで,何かやり残したことがあったのかと?

 『リターンズ〜リユニオン・ライヴ』は,楽しい同窓会ライブ,で良かったのかもしれない。時系列よろしく,エレクトリック・バンドリユニオンの前にリターン・トゥ・フォーエヴァーリユニオンがあったのなら何の問題もなかったことと思う。
 でもでも,リターン・トゥ・フォーエヴァーで「やりたいことは全てやった」と公言したチック・コリアが,リターン・トゥ・フォーエヴァー“再結成の封印を解いてみせた”のだから,単なる同窓会ライブで終わらせるはずはなかろうと,否が応でも期待してしまうのが「ファン心理」のサガである。

 ズバリ『リターンズ〜リユニオン・ライヴ』の聴き所は「バンド・サウンドとソロの融合」である。
 『リターンズ〜リユニオン・ライヴ』から流れ出す,凄まじいハイ・テクニック,分厚いアンサンブル,歌心溢れるアドリブ,めくるめくインタープレイの最中に,それぞれの楽器の“マエストロ”となった4人がソロとなって「1人リターン・トゥ・フォーエヴァー」を披露している。

 「第3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーの解散後に「第2期」の4人が揃うのは,アルバム『TOUCHSTONE』における【COMPADRES】と,1983年の「リユニオン・ライヴ」以来となるのだが,この25年の間に,チック・コリアスタンリー・クラークレニー・ホワイトアル・ディメオラの4人のメンバーが一同に会さなくとも,自分1人だけで“ザ・リターン・トゥ・フォーエヴァー”を表現できるまでの“マエストロ”へと成熟している。スーパースター!

RETURNS-2 しか〜し,言わば「1人リターン・トゥ・フォーエヴァー」がこの世に4人もいるのだから,新しい音楽の創造のために再結成したのでないとすれば『リターンズ〜リユニオン・ライヴ』など,やる必要もなかったのだとここに断言する。
 “栄光の”リターン・トゥ・フォーエヴァーは「第3期」のまま終了するべきだったとここに断罪する。同志の皆さん,ごめんなさい。

 …こうは書いてみたものの,リターン・トゥ・フォーエヴァーの再結成ライブ,やっぱり見に行っちゃったんですよね〜。
 2008年の「リユニオン・ライヴ」には「JAPAN TOUR」は含まれていなかったが,ギターアル・ディメオラフランク・ギャンバレへとメンバー・チェンジし,ヴァイオリンジャン・リュック・ポンティがフロントを務めた「第4期」リターン・トゥ・フォーエヴァーの「JAPAN TOUR 2011」には参戦済み。

 珠玉の名曲,一体感のある演奏,たっぷりとフィーチャーされた5人のソロに大満足! 「第4期」リターン・トゥ・フォーエヴァーでの『リターンズ〜リユニオン・ライヴ』はやる価値大だったと思っています! えこひいき〜!

  DISC ONE
  01. Opening Prayer
  02. Hymn of the Seventh Galaxy
  03. Vulcan Worlds
  04. Sorceress
  05. Song to the Pharoah Kings
  06. Al's Solo, including:
     Children's Song #3 - Duet with Chick Corea
     Passion, Grace & Fire
     Mediterranean Sundance
     Cafe 1930
     Spain - Duet with Chick Corea
  07. No Mystery

  DISC TWO
  01. Friendship - Chick's Solo, including:
     Solar
  02. Romantic Warrior
  03. El Bayo de Negro - Stanley's Solo
  04. Lineage - Lenny's Solo
  05. Romantic Warrior (continued)
  06. Duel of the Jester and the Tyrant
  07. 500 Miles High
  08. Romantic Warrior

(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2008年発売/VACM-1368/69)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/ラス・デイビス)

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チック・コリア & リターン・トゥ・フォーエヴァー / ライト・アズ・ア・フェザー(完全盤)4

LIGHT AS A FEATHER-1 ブラジリアン・フレイヴァーな「第1期」リターン・トゥ・フォーエヴァーの2nd『LIGHT AS A FEATHER』(以下『ライト・アズ・ア・フェザー(完全盤)』)は『完全盤』の発売当日に買い直した1枚。

 買い直しの理由は,普通であれば「好きすぎて」とか「CD聴きすぎて傷んじゃったので」などであろうが『ライト・アズ・ア・フェザー(完全盤)』の場合は「リベンジ」である。「未発表テイクの『完全盤』は,こんなはずじゃないだろう」という思いから来たモチベーション即買いであった。

 そう。管理人は,巷で名盤として名が通っているにしては『ライト・アズ・ア・フェザー』の出来に疑問が残っていた。ずっと喉仏に魚の骨が刺さっている感じ?
 あのチック・コリアが,あのリターン・トゥ・フォーエヴァーが,この程度のアルバムを作って満足したなんて信じられない,の思いに駆られてしまっていたのだった。

 しかし『ライト・アズ・ア・フェザー』は『完全盤』でもダメだった。『ライト・アズ・ア・フェザー(完全盤)』は【WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY】を聴くためだけのアルバムであった。

 ズバリ『ライト・アズ・ア・フェザー(完全盤)』の真実とは『リターン・トゥ・フォーエヴァー(完全盤)』であって,チック・コリアソロ名義『リターン・トゥ・フォーエヴァー』の別テイク集であった。

 そう。『ライト・アズ・ア・フェザー(完全盤)』は『ライト・アズ・ア・フェザー』の「リベンジ」目的で聴くアルバムではなく『リターン・トゥ・フォーエヴァー』未発表音源集として聴く方が“しっくり”くる。

LIGHT AS A FEATHER-2 話を本論の『ライト・アズ・ア・フェザー批評に戻そう。
 そもそも『ライト・アズ・ア・フェザー』が不調なのは【SPAIN】の初演の不出来にある。

 ジャズにおいてはスタンダードを除いて,初演こそが最高,というパターンが多い。テイクを重ねたりアレンジを変えたりするのもいいのだが,やっぱりオリジナルは特別なはずなのに【SPAIN】の初演がグッと来ない。
 まさかの肩透かしで,一気にグループとしてのリターン・トゥ・フォーエヴァーへの熱が冷めてしまった。あ〜あっ。

  DISC 1
  01. YOU'RE EVERYTHING
  02. LIGHT AS A FEATHER
  03. CAPTAIN MARVEL
  04. 500 MILES HIGH
  05. CHILDREN'S SONG
  06. SPAIN

  DISC 2
  01. MATRIX
  02. LIGHT AS A FEATHER (ALTERNATIVE TAKE)
  03. 500 MILES HIGH (ALTERNATIVE TAKE)
  04. CHILDREN'S SONG (ALTERNATIVE TAKE)
  05. SPAIN (ALTERNATIVE TAKE)
  06. SPAIN (ALTERNATIVE TAKE)
  07. WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY? (
     ALTERNATIVE TAKE)

  08. WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY? (
     ALTERNATIVE TAKE)

  09. WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY? (
     ALTERNATIVE TAKE)

  10. WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY? (
     ALTERNATIVE TAKE)


(ポリドール/POLYDOR 1998年発売/POCJ-2677/8)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/ゴンザレス鈴木,ベン・ヤング,ポール・デバロス)

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リターン・トゥ・フォーエヴァー / ザ・コンプリート・コンサート5

RETURN TO FOREVER LIVE:THE COMPLETE CONCERT-1 『RETURN TO FOREVER LIVE:THE COMPLETE CONCERT』(以下『ザ・コンプリート・コンサート』)は「拡大版」と称される「第3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーの“拡大版の拡大版”で,ついに10人体制となった“百花繚乱”のライブ盤。

 チック・コリアスタンリー・クラークインタープレイが前面に出た『MUSICMAGIC』のフォロー・ツアーゆえに,10人による“スモール・コンボ”テイストのライブなのだが,ライブゆえの長尺の演奏が真に面白い!

 主役の2人=チック・コリアスタンリー・クラークの“超絶技巧”が大爆発。ビッグ・バンドに“お膳立てされた”ステージとはいえ,ビッグ・バンドを手なずけ,意のままに操り,チック・コリアが不意にシンセから生ピアノに戻ったり,スタンリー・クラークヴォーカル・パートをピッコロ・ベースで歌ったりと「ここまでやりたい放題やるか〜」的な“傍若無人”なステージングが圧倒的!
 “天才”に整えられた環境が与えられたらどうなるかを証明する大名演の1つであろう。

 しかし,管理人は『ザ・コンプリート・コンサート』をチック・コリアスタンリー・クラークの“傍若無人”目当てでは聴いていない。
 ズバリ『ザ・コンプリート・コンサート』の聴き所は,ほんの気持ち程度のソロ・スペースが与えられた他の8人の大逆襲! これぞ“喰うか食われるか”的なジャズの醍醐味である!

RETURN TO FOREVER LIVE:THE COMPLETE CONCERT-2 『MUSICMAGIC』で,あれだけ“軽やかな”ユニゾンを披露したリターン・トゥ・フォーエヴァーの“拡大版の拡大版”の“百花繚乱”のライブ

 サックスフルートジョー・ファレルキーボードヴォーカルゲイル・モランは別格として,満員御礼の晴れの舞台で“下剋上”を図る“鉄壁のブラス隊”5人衆がステージ上で踊っていた。

 トランペットジョン・トーマスジェイムス・ティンズレートロンボーンジム・ピューハロルド・ギャレット,そしてこのツアーのために帯同したトロンボーンロン・モスが“手加減なし”で攻め上がる!
 掴みきれそうで掴みきれやしなかった,抽象的な『MUSICMAGIC』の路線をさらに掘り下げたかのような,チック・コリアの“お株を奪う”イマジネーション溢れるアドリブが素晴らしい。

RETURN TO FOREVER LIVE:THE COMPLETE CONCERT-3 面白いのはこの5人の音圧,というか5人のテンションが非常に高く,ソロ・スペースでの「煽り」がアンサンブルまで延長し波及している部分がある。この音の厚みは10人編成? とても5人のユニゾンとは思えない。
 チック・コリアシンセサイザーと相まって実際の人数以上の,それは豊かな豊かなブラスなのである。

 つまりチック・コリアにとっては「エレクトリック・バンド」が「2期」リターン・トゥ・フォーエヴァーの再結成であり「オリジン」が「3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーの再結成なのである。
 ゆ・え・に・管理人は「オリジン」も支持するのです。

RETURN TO FOREVER LIVE:THE COMPLETE CONCERT-4 とにもかくにも“スーパー”フュージョン・グループ,リターン・トゥ・フォーエヴァーは「双頭バンド」としての正体を露わに,チック・コリアスタンリー・クラークデュエット曲【オン・グリーン・ドルフィン・ストリート】で“熱狂の幕”を閉じるのであった。
 この最後の最後のアンコール演奏が五臓六腑に染み渡る。いいんだよなぁ,これがっ!

  DISC 1
  01. OPENING '77
  02. THE ENDLESS NIGHT
  03. CHICK COREA:SPOKEN INTRO OF THE
     MUSICIAN

  04. THE MUSICIAN

  DISC 2
  01. STANLEY CLARKE:SPOKEN INTRO TO THE
     HERRO AGAIN/SO LONG MICKEY MOUSE

  02. HERRO AGAIN
  03. SO LONG MICKEY MOUSE
  04. MUSICMAGIC

  DISC 3
  01. COME RAIN OR COME SHINE/FINE AND DANDY
  02. STANLEY CLARKE:SPOKEN INTRO TO
     SERENADE

  03. SERENADE
  04. CHICK COREA:SPOKEN INTRO TO THE
     MOORISH WARRIOR AND SPANISH PRINCESS

  05. THE MOORISH WARRIOR AND SPANISH
     PRINCESS

  06. STANLEY CLARKE:SPOKEN INTRO TO CHICK
     COREA'S PIANO SOLO

  07. CHICK'S PIANO SOLO
  08. SPANISH FANTASY
  09. ON GREEN DOLPHIN STREET

(ソニー/SONY 1978年発売/SICP 20305〜7)
(ライナーノーツ/山田順一,チック・コリア,ボブ・ベルデン)
(CD3枚組)
(紙BOXセット仕様)
(☆BLU−SPEC CD仕様)

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リターン・トゥ・フォーエヴァー / ミュージックマジック4

MUSICMAGIC-1 リターン・トゥ・フォーエヴァーチック・コリアスタンリー・クラークの「双頭バンド」で間違いない。

 ただし,リターン・トゥ・フォーエヴァーチック・コリアスタンリー・クラークの「双頭バンド」になったのは「拡大版」と称される「第3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーになってのことである。

 「第1期」「第2期」はチック・コリアのワンマン・バンドか,あるいはメンバー全員の意見を採り入れる民主的な共同運営のどちらかであって,チック・コリアスタンリー・クラークの“双頭バンドの蜜月”は「第3期」になってからなのである。

 管理人がそう強く思うようになったのは「第3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーにメンバーとして参加したチック・コリアの実の奥様=ゲイル・モランの存在である。ゲイル・モランは素晴らしいミュージシャンである。音楽的にもチック・コリアの片腕になって然るべきであろう。
 しかし,チック・コリアという人は「第3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーでは,音楽的パートナーとしてゲイル・モランではなくスタンリー・クラークを選んでいる。

 『MUSICMAGIC』(以下『ミュージックマジック』)は,総勢9名の「拡大版」リターン・トゥ・フォーエヴァー唯一のスタジオ録音。ゆえに“鉄壁のアンサンブル”が際立つ名盤である。
 音楽的なハマリ具合が“お見事”すぎて,雰囲気としては“ビッグ・バンド寄り”を通り越し“日本の昭和歌謡”のように聞こえてしまう。基本,全曲が「歌もの」であり,ロマンティック路線の大衆向けで万人向けな文句なしのメロディー・ライン。一言で表わせば“売れ線”である。

 だ・か・ら・最初は“売れ線”の『ミュージックマジック』が嫌いだった。やっぱりチック・コリアは“イロモノ”だと思った。
 しかし『ミュージックマジック』を繰り返し聴き込むうちに“鉄壁のアンサンブル”&“売れ線”の陰に隠れていた「拡大版」リターン・トゥ・フォーエヴァーの真の姿が見えてきた。

 「第3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーは「1期」「2期」よりも大編成なコンボでありながら,実質的には「1期」「2期」よりも小編成なコンボである。
 9人編成でありながら,チック・コリアスタンリー・クラークを除く7人にクリエイティブな演奏は求められていない。求められているのはチック・コリアスタンリー・クラークインタープレイを「邪魔せずお膳立てしながら刺激する」こと。まっ,これはこれで相当な難題であったことでしょうけど…。

MUSICMAGIC-2 だ・か・ら『ミュージックマジック』! チック・コリアスタンリー・クラークインタープレイの“蜜月”が花開くようにと,知恵を絞ってアレンジした“音楽の魔法のレシピ”!

 ねっ,「拡大版」リターン・トゥ・フォーエヴァーは軽いでしょう? 軽く聞こえるようにブラス隊にタイトに吹かせている。
 ブラス隊の彩りがチック・コリアシンセの一部のようでしょ? ブラス隊が煌びやかに聞こえるようにキレを重視している。一糸乱れぬユニゾンを多用している。
 この土台の上で,チック・コリアスタンリー・クラークが“売れ線”の「歌もの」で花開くインタープレイ

 ズバリ『ミュージックマジック』の聴き所は,有機的に連動するチック・コリアスタンリー・クラークだけの音像のイメージ!
 2人だけの抽象的な音像ゆえに,他の7人のメンバーも(勿論,私たちリスナーも)中々掴めそうで掴めやしない! ジャケットのイラストに描かれているように,海のものとも山のものともつかない音像のイメージが飛び出してくる!

 廻り回って“日本の昭和歌謡”のように聞こえてしまうかもですよ? いや〜,奥深い! 『ミュージックマジック』は奥深い!

  01. The Musician
  02. Hello Again
  03. Musicmagic
  04. So Long Mickey Mouse
  05. Do You Ever
  06. The Endless Night

(ソニー/SONY 1977年発売/SRCS 7044)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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リターン・トゥ・フォーエヴァー / 浪漫の騎士5

ROMANTIC WARRIOR-1 リターン・トゥ・フォーエヴァー,ここにプログレフュージョン究めたり!

 それが『ROMANTIC WARRIOR』(以下『浪漫の騎士』)! 『浪漫の騎士』の発売をもってリターン・トゥ・フォーエヴァー「2期」の活動休止も当然だったと思っている。

 『浪漫の騎士』の「キーワード」は“完璧”という言葉に尽きる。チック・コリアの心技体がピークを迎え,日進月歩のエレクトリック楽器の発展がアコースティック楽器と本当の意味でブレンドするようになり,そこへメンバー4人の自由なアドリブ空間が与えられたプログレフュージョン
 完全無欠で,でもフリーな演奏の“模範演技”のようである。

 そう。“完璧”という「キーワード」からの“模範演技”。管理人が『浪漫の騎士批評で書きたいのはリターン・トゥ・フォーエヴァーについてではない。
 リターン・トゥ・フォーエヴァー,とりわけ『浪漫の騎士』が,日本のプログレフュージョンに与えた影響の大きさについてである。

 ズバリ,プリズム,そしてカシオペアといったバンド・アンサンブルを掟とするハイ・テクニックなフュージョン・バンドは必ず,リターン・トゥ・フォーエヴァー,とりわけ『浪漫の騎士』からの洗礼を受けている。
 和田アキラ野呂一生も,自分がチック・コリアだったとしたら,的なバンド運営を模倣している。恐らくはバンドではないとしても渡辺香津美上原ひろみも影響されている! 影響されまくっている! そう思わずにいられない瞬間が『浪漫の騎士』に収められている!

 まぁ,リターン・トゥ・フォーエヴァーに一番影響を受けているのはエレクトリック・バンドなのですが…(当然でしたねっ)。

ROMANTIC WARRIOR-2 さて,通常ならこの勢いのまま『浪漫の騎士』の持つ“絶大な影響力”について書き続けるところであるが,この役割を担う最適な人物は管理人自身ではない。
 実は管理人の大先輩の1人に元TBSラジオの音楽ディレクターにして元日本民放クラブの理事長という超ビッグなお方がいるのだが,彼が私に,私なんかに,リターン・トゥ・フォーエヴァーについて,そして『浪漫の騎士』について意見を求めてきたことがあった。

 当時はエレクトリック・バンドの最盛期だったこともあり,業界内のリターン・トゥ・フォーエヴァーの信者たちと意見を交わすことが多々あったようで,好きなアルバムの話として『浪漫の騎士』を挙げると,満腹感があるが愛聴はしていない風な,良くできたコンセプト・アルバム的な,好きは好きだけど煮え切らない態度を繰り返されるばかりで,氏は自分の耳への確信を失いかけていたとかいないとか。

 そうした時期に管理人の上記の意見を伝える機会があった。それ以来,周りの反応が良くなったということであった。先輩,違うんですよ。あの反応の良さは先輩自身の言葉が伝わったんですよ。あれほど『浪漫の騎士』を“世界一”として褒めちぎるリターン・トゥ・フォーエヴァーのファンに私はまだお会いしたことはありませんから…。

  01. MEDIEVAL OVERTURE
  02. SORCERESS
  03. THE ROMANTIC WARRIOR
  04. MAJESTIC DANCE
  05. THE MAGICIAN
  06. DUEL OF THE JESTER AND THE TYRANT (Part I &
     Part II)


(ソニー/SONY 1976年発売/SICP 20303)
(ライナーノーツ/山田順一,チック・コリア,ボブ・ベルデン)
(紙ジャケット仕様)
(☆BLU−SPEC CD仕様)

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チック・コリア & リターン・トゥ・フォーエヴァー / ノー・ミステリー4

NO MYSTERY-1 リターン・トゥ・フォーエヴァーは『RETURN TO FOREVER』でのチック・コリアソロ・プロジェクトとしてスタートし『LIGHT AS A FEATHER』で「チック・コリア & リターン・トゥ・フォーエヴァー」名義となる。
 そしてリターン・トゥ・フォーエヴァーの第2期は『HYMN OF THE SEVEN GALAXY』『WHERE HAVE I KNOWN YOU BEFORE』と来て,エレクトリックギターを聴かせるチック・コリアスタンリー・クラークの双頭バンド,という形をとって発展してきた。

 では『NO MYSTERY』(以下『ノー・ミステリー』)と『ROMANTIC WARRIOR』(以下『浪漫の騎士』)でのリターン・トゥ・フォーエヴァーはどうであろうか?
 ズバリ『ノー・ミステリー』と『浪漫の騎士』は,もはやメンバー・チェンジなどなくても,チック・コリアスタンリー・クラークの双頭バンドではなくなり,チック・コリアスタンリー・クラークレニー・ホワイトアル・ディメオラの4人の“対等バンド”へと様変わりしている。

 この全てはリーダーであるチック・コリアが望んだことであり,レニー・ホワイトアル・ディメオラが急成長した,というわけではない。
 スタンスは異なるが,チック・コリアリターン・トゥ・フォーエヴァーのバンド運営で取った手法はチック・コリアのかっての師=マイルス・デイビスから学び取ったものだろう。

 『ノー・ミステリー』は,チック・コリアがバンドを支配することを意識的に止め,メンバーの才能を自由に発揮させるというマイルス・デイビスの手法が大当たり。4人のバカテクが心の底から堪能できる“狂喜乱舞”状態の名盤に仕上がっている。

 ただし,この試みが花開いたのは,次作『浪漫の騎士』でのこと。完全に“こなれた”『浪漫の騎士』が最高の名演であるとすれば『ノー・ミステリー』は“やってみないと分からない”あるいは“手探り”の名演である。
 完成度を取れば『浪漫の騎士』だが,聴いて面白いのは“プレイヤー指向な”『ノー・ミステリー』の方である。

NO MYSTERY-2 チック・コリアが音をまとめ上げていないのだから,バンド・サウンドとしてのアレンジはいま一つ。この条件は『ノー・ミステリー』も『浪漫の騎士』も同じなのだが『浪漫の騎士』では,意識せずとも4人がバッチリ合ってしまっている。

 この点で『ノー・ミステリー』は4人がわずかにズレている。これはレニー・ホワイトアル・ディメオラが前に出た結果,チック・コリアスタンリー・クラークが下がってしまった結果だと思う。

 ゆえに『ノー・ミステリー』のハイライトと,スタンリー・クラークが前に出てバンドをリードした【DAYRIDE】とチック・コリアスタンリー・クラークデュオNO MYSTERY】とチック・コリア“お得意の”組曲【CELEBRATION SUITE】の4トラック。
 チック・コリアが「責任編集」しなかった『ノー・ミステリー』の残る5トラックは「極上の音のルール無視な大爆発」である。

 チック・コリアが「責任編集」しなくとも『ノー・ミステリー』で芽を出した“制御不能な勢い”がバンドのコントロール下におかれてしまったのだから『浪漫の騎士』が凄すぎるのも納得である。

  01. DAYRIDE
  02. JUNGLE WATERFALL
  03. FLIGHT OF THE NEWBORN
  04. SOFISTIFUNK
  05. EXCERPT FROM THE FIRST MOVEMENT OF
     HEAVY METAL

  06. NO MYSTERY
  07. INTERPLAY
  08. CELEBRATION SUITE PART I
  09. CELEBRATION SUITE PART II

(ポリドール/POLYDOR 1975年発売/POCJ-2701)
(ライナーノーツ/成田正)

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チック・コリア & リターン・トゥ・フォーエヴァー / 銀河の輝映4

WHERE HAVE I KNOWN YOU BEFORE-1 アドリブログは「リターン・トゥ・フォーエヴァー批評」の真っ最中。しかし,リターン・トゥ・フォーエヴァーを聴いていると,もう,どうしても,管理人の「青春の1ページ」=「チック・コリア・エレクトリック・バンド」へとワープしてしまいたくなる衝動に襲われてしまう。病気である。

 そんなこんなでリターン・トゥ・フォーエヴァーの第4作『WHERE HAVE I KNOWN YOU BEFORE』(以下『銀河の輝映』)に集中すべきは分かっているが,2004年に再結成されたエレクトリック・バンドの『TO THE STARS』を聴きたい衝動に負けてしまった。

 『TO THE STARS』リユニオンの原点が『銀河の輝映』にある。『銀河の輝映批評について書こうと思うと,どうしても『TO THE STARS』を初めて聴いた時に感じた『銀河の輝映』への思いについて書かねばならない。
 その辺は『TO THE STARS批評の中で書けていなかったので,しばし『銀河の輝映』からの『TO THE STARS』へと来て『EYE OF THE BEHOLDER』まで流れたくなる気持ちを“寸止め”したいと思っている。

 まずチック・コリアの特徴について書くことにするが,チック・コリアエレクトリックに振れる時は,必ず反動としてのアコースティックへの回帰,もしくは融合を図ろうとするクセがある。
 それがエレクトリック・バンドで言えば『EYE OF THE BEHOLDER』であり,リターン・トゥ・フォーエヴァーで言えば『銀河の輝映』なのである。

 なので管理人にとっての『銀河の輝映』とは,新加入のアル・ディメオラギターなどではなく「リターン・トゥ・フォーエヴァー初のアコースティックとの融合作」が印象的なのである。
 第1期のクロスオーヴァー路線から激変した第2期のロック路線なはずなのに(1.8期も含めてそのことに間違いはないのだが)『銀河の輝映』1作だけはアコースティック路線の異色盤。

 理由は『TO THE STARS』での【PORT VIEW〜】シリーズに位置する『銀河の輝映』の【WHERE HAVE I〜】シリーズ。
 これである。この感触が『TO THE STARS』を初めて聴いた時に『銀河の輝映』を想起した根源なのであろう。

WHERE HAVE I KNOWN YOU BEFORE-2 そう思って管理人のここ数日のジャズ・ライフは『銀河の輝映』と『TO THE STARS』の交互聴き。基本この2作は似ていることで間違いないのだが,そうも言えない気分になってしまったから“ややこしい”!

 そう。エレクトリック・バンドの解散から再結成までの10年もの期間,5人のメンバー全員が磨き上げたバカテクを披露した『TO THE STARS』は“キレイ目”な演奏なのに,対する『銀河の輝映』が“獰猛”だったのだ!

 アコースティックチック・コリアピアノ・ソロの印象が強すぎて,今の今まで『銀河の輝映』も“キレイ目”な演奏だとばかり思い込んでいた。
 理由はアル・ディメオラギターなんて大人し目だし,バンドの“王様”的だったスタンリー・クラークのディストーションを効かせた“ファズ”ベースが,細かく刻む系のチョッパーベースへと変化してきているし…。

 『銀河の輝映』って,こんなにも挑戦的なアルバムだったのかぁ〜。【VULCAN WORLDS】におけるチック・コリアスタンリー・クラークの演奏がプログレ・ヒーローしまくっている。“壮大系”の【SONG TO THE PHAROAH KINGS】におけるチック・コリアのSFな感覚が宇宙しまくっている。凄すぎる!

  01. VULCAN WORLDS
  02. WHERE HAVE I LOVED YOU BEFORE
  03. THE SHADOW OF LO
  04. WHERE HAVE I DANCED WITH YOU BEFORE
  05. BEYOND THE SEVENTH GALAXY
  06. EARTH JUICE
  07. WHERE HAVE I KNOWN YOU BEFORE
  08. SONG TO THE PHAROAH KINGS

(ポリドール/POLYDOR 1974年発売/POCJ-1979)
(ライナーノーツ/内藤遊人)

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チック・コリア & リターン・トゥ・フォーエヴァー / 第7銀河の賛歌5

HYMN OF THE SEVEN GALAXY-1 チック・コリア & リターン・トゥ・フォーエヴァーの第2期=ロック路線の第1弾が『HYMN OF THE SEVEN GALAXY』(以下『第7銀河の賛歌』)。
 思うに『第7銀河の賛歌』におけるリターン・トゥ・フォーエヴァーの“激変ぶり”は必然の結果であろう。

 チック・コリア本人としては,チック・コリア & リターン・トゥ・フォーエヴァーの第1期=クロスオーヴァー路線を更に追及したかったことと思うのだが,あの“最高傑作”『RETURN TO FOREVER』を超えることなどできない事実をチック・コリア自身が実感したのだと思う。

 きっかけは前作『LIGHT AS A FEATHER』の“不発”にある。『LIGHT AS A FEATHER』では“生涯の代表曲”【SPAIN】が誕生したものの,最高だったブラジリアン・フレイヴァーが,爽やか方面ではなくリズム方面へと流れてしまい持ち味が失われてしまっていた。

 管理人は『第7銀河の賛歌』におけるリターン・トゥ・フォーエヴァーの“激変ぶり”を耳にする度に『LIGHT AS A FEATHER』の失敗を認め,第三者的に聞き分けて,大幅なメンバー・チェンジとロック路線への転向を決断したチック・コリアの“天才”ぶりにいたく感動してしまう。

 『第7銀河の賛歌』の“目玉”は,新ギタリストビル・コナーズと思うなかれ! 『第7銀河の賛歌』の聴き所は“居残り組”のスタンリー・クラークベースである!
 ズバリ,スタンリー・クラークの“ファズ”ベースがあればこそ,チック・コリアは,ハードなロック・リズムとメカニカルな無機質メロディの目まぐるしい転調を特徴とする,俗に言う,リターン・トゥ・フォーエヴァーの「ヘヴィ・メタル・ジャズ・ロック・バンド」路線を推し進めることができたのだ。

 『第7銀河の賛歌』における「ブンブンと唸りを上げて襲い掛かる」スタンリー・クラークの“ファズ”ベースを前にすると,リターン・トゥ・フォーエヴァーの“後継バンド”であるエレクトリック・バンドジョン・パティトゥッチに“青臭さ”を感じてしまう。
 チック・コリアをここまで刺激できるベーシストは,スタンリー・クラークをおいて他にはいないと思う。あっ,アヴィシャイ・コーエンがいたかなぁ。クリスチャン・マクブライドも。もっと?

 そんなスタンリー・クラークの“大爆発”に覚醒されたチック・コリアの野蛮でギンギンに歪んだヘヴィなエレピから繰り出されるロック・サウンドが怒涛のタテノリ。しかもファジーと来ている。微妙なリズムのズレを埋めるのがビル・コナーズの役所。
 この“揺れる”ギターアル・ディメオラには出来やしない,ビル・コナーズ超一流の神業である。

 そしてハード・ロック・リズムの“要”であるレニー・ホワイトJAZZYなドラミングが気持ちいいんだっ! こりゃたまらん!

HYMN OF THE SEVEN GALAXY-2 その意味で,リターン・トゥ・フォーエヴァーの正ギタリストアル・ディメオラ加入前ならではの「1.8期」なリターン・トゥ・フォーエヴァーの音が最高に美味しい! 決して破綻しないのに危険な香りの熱血フュージョン

 スタンリー・クラークの“ファズ”ベースが突進する中で,ロックするエレピジャズフュージョンとのバランスを保とうとするギターの“せめぎ合い”が最高にメロディアスでスリリングなアンサンブルを聴かせてくれている。

 スタンリー・クラークの突進に,他のメンバー3人が追いついた後の『銀河の輝映』『ノー・ミステリー』『浪漫の騎士』の完成度には文句のつけようがない。
 しか〜し,熟れる直前の独特の快感は音楽も同じ。『第7銀河の賛歌』の「次が予想できない展開なのにユニゾンをしっかりとキメつつ,その実ソロの応酬合戦」な瞬間が何回聴いても楽しくてしょうがない。

 『第7銀河の賛歌』1作でメンバー・チェンジしてしまう「1.8期」なリターン・トゥ・フォーエヴァーの低評価を頭では認めつつ“こっそりと”愛聴盤だったりするのである。

  01. HYMN OF THE SEVENTH GALAXY
  02. AFTER THE COSMIC RAIN
  03. CAPTAIN SENOR MOUSE
  04. THEME TO THE MOTHERSHIP
  05. SPACE CIRCUS...PART I
     SPACE CIRCUS...PART II
  06. THE GAME MAKER

(ポリドール/POLYDOR 1973年発売/POCJ-2699)
(ライナーノーツ/寒川光一郎)

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チック・コリア / リターン・トゥ・フォーエヴァー5

RETURN TO FOREVER-1 『RETURN TO FOREVER』(以下『リターン・トゥ・フォーエヴァー』)こそが,70年代ジャズフュージョンの“最高傑作”である。
 この点については大方のジャズフュージョン・ファンにご賛同いただけると思っている。

 ズバリ『リターン・トゥ・フォーエヴァー』について議論となるのは「名盤か否か」などではなく,名盤の理由としての「時代の名盤なのか,チック・コリア名盤なのか」なのである。

 この問題に答えを出すのは非常に難しいのだが,管理人は(どちらかと言えば ←逃げ道を作っている?)後者を支持する。
 そう。『リターン・トゥ・フォーエヴァー』は,70年代ジャズフュージョンの“最高傑作”にして,チック・コリアの“最高傑作”である(これは言い過ぎ? ←逃げ道が必要かも?)。

 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』には,あの時代だからこそ感じるインパクトが底辺に流れているし,ジョー・ファレルスタンリー・クラークアイアート・モレイラフローラ・プリムのあのメンバーがいて,エレクトリックへ流れつつもアコースティックも捨てきれない楽器の流行があって,そしてフュージョン直前のフリージャズの興隆があっての大名盤

 でもでも『リターン・トゥ・フォーエヴァー』が仮に明日発売されたとしたら,2014年の耳をしても年度代表“カモメ”になるに違いない! 全ての成功は,時代を超えるチック・コリアの“天才”にあるように思うのだ。

 事実『リターン・トゥ・フォーエヴァー』の全4曲中の3曲【CRYSTAL SILENCE】【WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY】【SOMETIME AGO〜LA FIESTA】はチック・コリアの現役のレパートリー! ねっ,時代を超えているでしょう?
 だから管理人は『リターン・トゥ・フォーエヴァー』は“チック・コリア名盤派”なのです。

 さて,管理人が『リターン・トゥ・フォーエヴァー批評で一番に語りたいのは“チック・コリア名盤派”云々などではない。
 上記,名曲として記した全4曲中の3曲から外れた【RETURN TO FOREVER】の「特異な魅力」についてである。

RETURN TO FOREVER-2 なぜ大名盤リターン・トゥ・フォーエヴァー』の全4曲の名曲中,タイトル・トラックである【RETURN TO FOREVER】だけが演奏されないのだろう?

 それこそ【RETURN TO FOREVER】が圧倒的な大名演だからである。目の前に本物の“カモメ”が舞い降りる普通では感じ得ない感覚がある。
 エレクトリックアコースティック,優美な演奏とテクニカルな演奏が同じ時間軸で鳴っている。幻想的なエレピ,優しいフルート,プリミティブなフローラ・プリムのあの声が,トロトロに溶け合っていてメロウに鳴っている。
 聴いていると,曲と曲の境目が分からなかったり,何曲目を聴いているのか分からなかったり。世の中の色々な境界線がぼやけていきそうな,精神世界のようであり,アンビエントのようでもあり,不思議な浮遊体験のようでもある。

 そう。『リターン・トゥ・フォーエヴァー』こそが,70年代ジャズフュージョンの“最高傑作”である。
 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』の全4曲(特に【RETURN TO FOREVER】が)“再現不能な高みの極み”に達している。

 ライブでは表現しきれないスタジオ・ワークと“天才”チック・コリアの余裕から生まれた「快楽の泉」。
 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』を「最高の音楽」と呼称する!

  01. RETURN TO FOREVER
  02. CRYSTAL SILENCE
  03. WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY
  04. SOMETIME AGO〜LA FIESTA

(ECM/ECM 1972年発売/POCJ-9044)
(ライナーノーツ/油井正一)
(紙BOXセット仕様)
(☆ARTON盤仕様)

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