アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:ブラッド・メルドー

ブラッド・メルドー / ハイウェイ・ライダー4

HIGHWAY RIDER-1 ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニの“天才”ジャズ・ピアニストの系譜に位置するブラッド・メルドー
 ゆえに管理人はブラッド・メルドーに『HIGHWAY RIDER』(以下『ハイウェイ・ライダー』)を求めてはいない。パット・メセニーに『シークレット・ストーリー』を求めていないのと同様である。

 ブラッド・メルドーには前科がある。『ANYTHING GOES』『DAY IS DONE』での異端である。
 しかし『ANYTHING GOES』『DAY IS DONE』には,ジャズ・ピアニストブラッド・メルドーが鎮座していた。
 ところが『ハイウェイ・ライダー』では,ジャズ・ピアニストブラッド・メルドーが姿を消している。

 そう。『ハイウェイ・ライダー』におけるブラッド・メルドーの立ち位置は,まるでプロデューサーでのようある。指揮者のようである。総合音楽家のようである。
 ここまで入念に書き込まれたブラッド・メルドーピアノには「ときめき」を感じない。『ハイウェイ・ライダー』のピアニストブラッド・メルドーでなくてもよいと思う。

 ここまで全体に目くばせするのであれば,代役のピアニストを立ててもよかった。ブラッド・メルドーは,プロデューサー&指揮者として,サックスストリングスと“ピアノで綴るオーケストレーション”の設計図を書きさえすればよかった…。

 『ハイウェイ・ライダー』がブラッド・メルドーの名義でなければ,ここまで残念に思うことはない。
 ブラッド・メルドーの名前を意識しなければ『ハイウェイ・ライダー』は「壮大なスケールで描かれた抒情詩」ともいうべき“ロード・ミュージック”の名盤なのかもしれない。
 ハイウェイをブッ飛ばす爽快感がある…。眺めのよい雄大な風景が流れていく…。曲毎に,編成を変えリズムを変え,主役をピアノからサックスストリングスに変えた“ロード・ミュージック”が流れ出してくる…。

 しかし…。曲が進むに連れて段々と聴き続けることに苦痛を感じてくる。ブラッド・メルドーが運転する車の助手席から,ちょっとでいいから,降りたくなってしまう。寄り道してほしいとかトイレ休憩したいとか…。

 ブラッド・メルドーと2人きりの閉鎖された空間には耐えられない。ブラッド・メルドーは饒舌である。しかし会話に身が入らない。なんだかロボットと会話しているような感覚に陥ってしまうのだろう。

HIGHWAY RIDER-2 それ位に『ハイウェイ・ライダー』でのブラッド・メルドーは,管理人が以前から知っているブラッド・メルドー“その人”とは決定的に“別人”している。
 ジャズ・ピアニストブラッド・メルドーと同じ顔をした“クローン人間”が,ピアノを譜面通りに演奏しているとしか思えない。

 だ・か・ら『ハイウェイ・ライダー』からは「ときめき」も「感動」も感じない。タダ乗りできるから旅している。冒険心のないカーナビが指定したルートを旅している。サックスストリングスの流れるカーステレオを聞きながら旅している。ただそれだけの行為…。

 『ハイウェイ・ライダー』の失敗は,ブラッド・メルドーが傾けたベクトルが,新しい音楽の“創造の瞬間”ではなく“ロード・ミュージック”としてのストーリー性を仕立て上げることに向けられてしまったことだろう。ブラッド・メルドー4年振りのスタジオ盤という,長すぎた春,がそうさせてしまったのかもしれない。

 例えば『ハイウェイ・ライダー』のハイライトであろう,1枚目,2枚目ともに最後の2曲は2部構成のテーマが「メドレーで韻を踏んでいる」かのような凝りようが難解。ストリングスピアノ・トリオが加わるコンチェルトは思索的で哲学的な“ブラック”メルドーが顔を出している。

 4年間のリハビリは終わった。さぁ“天才”ジャズ・ピアニストとしてのブラッド・メルドーよ,帰って来い! ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニの系譜に位置するピアノ・トリオで,帰って来い!

 “天才”ブラッド・メルドーを真剣に追いかけ続けてきたマニアにとって『ハイウェイ・ライダー』は何とも物足りない。
 しか〜し『ハイウェイ・ライダー』にはジョシュア・レッドマンがいる。管理人はジョシュア・レッドマン目当てで聴いている。

  DISC ONE
  01. JOHN BOY
  02. DON'T BE SAD
  03. AT THE TOLLBOOTH
  04. HIGHWAY RIDER
  05. THE FALCON WILL FLY AGAIN
  06. NOW YOU MUST CLIMB ALONE
  07. WALKING THE PEAK

  DISC TWO
  01. WE'LL CROSS THE RIVER TOGETHER
  02. CAPRICCIO
  03. SKY TURNING GREY (FOR ELLIOTT SMITH)
  04. INTO THE CITY
  05. OLD WEST
  06. COME WITH ME
  07. ALWAYS DEPARTING
  08. ALWAYS RETURNING
  09. HIGHWAY RIDER [Commentary and Demo]

(ノンサッチ/NONESUCH 2010年発売/WPCR-13808-9)
(紙ジャケット仕様)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/中山智広,ブラッド・メルドー)

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ブラッド・メルドー / アート・オブ・ザ・トリオ VOL.15

THE ART OF THE TRIO VOLUME ONE-1 最近の管理人の音楽鑑賞ルーティング。それは上原ひろみを聴いた直後にブラッド・メルドーを聴くパターン。

 これをやると上原ひろみ単独の場合以上に,上原ひろみチック・コリアを感じ,ブラッド・メルドー単独の場合以上に,ブラッド・メルドーキース・ジャレットを感じることができるからだ。

 そしてブラッド・メルドー名盤群の中でも一番「ブラッド・メルドーの中のキース・ジャレット」を感じるのが『THE ART OF THE TRIO VOLUME ONE』(以下『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.1』)である。

 『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.1』におけるブラッド・メルドーピアノが「ウルトラ・オーソドックス」。スタンダードをしっかり歌い上げ,しっとりと聴き所をまとめている。
 そう。ジャズスタンダードだけが放つことのできる永遠の憂いを響かせている。もう・た・ま・ら・な・い。

 ブラッド・メルドーの「基本性能」の高さが感じられる。お得意のアクロバティックな奏法など用いなくとも『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.1』における「ウルトラ・オーソドックス」路線だけで“天下”を獲れる。ブラッド・メルドーの「底なしの実力」が感じられる。

 『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.1』のハイライトこそ【BLACKBIRD】に溢れる“みずみずしさ”。
 この“みずみずしさ”こそが若かりし日のキース・ジャレットの特徴であり,ゲイリー・ピーコックジャック・デジョネットと初めて組んだ日のキース・ジャレットそのものである。
 キース・ジャレットが【BLACKBIRD】を弾いたとしたら,多分,ブラッド・メルドーの【BLACKBIRD】っぽくなると思わせてくれる。

 そして【BLACKBIRD】の名演で思い出すのが木住野佳子。ゆえに木住野佳子ビル・エヴァンスキース・ジャレットブラッド・メルドーの無限ループ。
 ねっ,ブラッド・メルドーキース・ジャレットを感じるでしょ?

THE ART OF THE TRIO VOLUME ONE-2 その反面,管理人が『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.1』にキース・ジャレットの演奏を思い重ねてしまう最大要因は,キース・ジャレットも演奏した【BLAME IT ON MY YOUTH】【I FALL IN LOVE TOO EASILY】に顕著なブラッド・メルドーの冷静な分析力にある。説得力のあるスロー・バラードを前に“無心で酔いしれる”ことができてしまう。

 『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.1』は,ジャズ・ピアノの“酸いも甘いも”知り尽くした者の演奏である。
 一般的には,経験を重ね,無駄なフレーズを弾かなくなり,徐々にオーソドックスな演奏スタイルへと辿り着くものだと思うが“天才中の天才”ブラッド・メルドーの場合はスタートからしてゴールのようなジャズ・ピアノ

 『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.1』は,完璧に緊張と緩和のバランスをコントロールしたブラッド・メルドーピアノ・タッチが冴えに冴え渡る大名盤
 この“絶大なる安心感”がキース・ジャレットブラッド・メルドーを結び付けているのだと思う。

  01. Blame It On My Youth
  02. I Didn't Know What Time It Was
  03. Ron's Place
  04. Blackbird
  05. Lament For Linus
  06. Mignon's Song
  07. I Fall In Love Too Easily
  08. Lucid
  09. Nobody Else But Me

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1997年発売/WPCR-971)
(ライナーノーツ/吉村浩二)

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ブラッド・メルドー・トリオ / デイ・イズ・ダン5

DAY IS DONE-1 ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニブラッド・メルドーの流れは真実。しかし,この系譜の流れにおいて,ブラッド・メルドーだけが異端である。

 管理人はジャズ入門者へ,ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニは聴かせるが,ブラッド・メルドーを聴かせたいとは思わない。
 なぜならブラッド・メルドージャズ上級者向けのピアニストだからである。ブラッド・メルドーを楽しむにはジャズへの造詣が求められる。知識なしに何も考えずに音だけ聴いて楽しめるピアニストではない。

 そう思っていた。『DAY IS DONE』(以下『デイ・イズ・ダン』)を聴くまでは…。

DAY IS DONE-2 ついにブラッド・メルドーが“お楽しみ盤”を放った。それが『デイ・イズ・ダン』! 楽しい。何も考えずに楽しめる。これならジャズ入門者にも心置きなくお奨めできる。
 いいや「耳をかっぽじって聴け!」級の名盤である。

 『デイ・イズ・ダン』はブラッド・メルドーにいつもは感じる,取っ付き難さなどない。“超・天才”としての壁が取っ払われている。
 ズバリ『デイ・イズ・ダン』におけるブラッド・メルドーは“ジャズ・ピアニスト”ではなく“エンターテイナー”である。

 『デイ・イズ・ダン』を一聴した時,ブラッド・メルドーが「一歩も二歩も前に出てきた印象」を受けた。以前のブラッド・メルドーの特徴であった,耽美主義的な抑制とか内省とかの“内へ内へ”と向かうベクトルが“外へ外へ”と向かっている。場の空気がガラッと変わっている。

DAY IS DONE-3 そう。ブラッド・メルドーが『デイ・イズ・ダン』で録音したのは「新時代のジャズ」。これぞジャズ“その先”への試みであった。

 要するに『デイ・イズ・ダン』は,ジャズの「定番フレーズ封印」の妙である。最初から最後まで,所謂,古典的なバップ・フレーズとか,困った時のつなぎのフレーズが出て来ない。
 しかし出来上がりは“紛れもなく”ジャズそのもの! “聴き易いのにコクがある”鉄壁・和声のハーモニー! うぉ〜!

  01. KNIVES OUT
  02. ALFIE
  03. MARTHA MY DEAR
  04. DAY IS DONE
  05. ARTIS
  06. TURTLE TOWN
  07. SHE'S LEAVING HOME
  08. GRANADA
  09. 50 WAYS TO LEAVE YOUR LOVER
  10. NO MOON AT ALL

(ノンサッチ/NONESUCH 2005年発売/WPCR-12215)
(☆スリーブ・ジャケット仕様)

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ブラッド・メルドー / LIVE IN TOKYO4

LIVE IN TOKYO-1 “超・天才”ブラッド・メルドーソロピアノ。しかもTOKYOLIVE2枚組と来た。
 喰いついた! これで喰いつかずにいられるかっつーの!

 …で,結論。『LIVE IN TOKYO』は“貫録の”ソロピアノ名盤である。
 ビル・エヴァンスっぽいのは当然として,キース・ジャレットとも異なる,ザ・ブラッド・メルドーの“らしさ”漂う,オリジナルソロピアノ。流石は“超・天才”である。
 名曲の旨味を絶妙の味付けで調理し,それはそれは美しく盛り付けていく。文句のつけようのないブラッド・メルドー流の“匡の技”を堪能できる。素晴らしい。

 ただし,残念ながら管理人にとって『LIVE IN TOKYO』は「想定内」の名盤であった。ブラッド・メルドーは「できる子」なのだからブラッド・メルドーならこれくらい…。

LIVE IN TOKYO-2 ロマンチシズムが“ほんのり香り”リリシズムが“ほんのり立ち昇る”いつものクールで理知的なブラッド・メルドージャズ・ピアノが実にお上品。

 これをブラッド・メルドーの個性として一蹴することもできるのだろうが,管理人のブラッド・メルドーへの,そして『LIVE IN TOKYO』への期待値は異常に高かった。

 やはりソロピアノと来ればキース・ジャレットであり,現時点でのブラッド・メルドーキース・ジャレットの足元にも及ばない。
 しかし,キース・ジャレットを超えるジャズ・ピアニストは,この世にブラッド・メルドーただ一人しかいやしない。いつの日かブラッド・メルドーその人にキース・ジャレットを超えてほしい。そう願ったものだった。おやっ,一体いつから隠れファンに?

LIVE IN TOKYO-3 その意味で『LIVE IN TOKYO』は「想定内」。つまりブラッド・メルドートリオでもソロでも演奏の本質は変わらないジャズ・ピアニスト

 ここがつまらない。ビル・エヴァンスともキース・ジャレットとも異なっている演奏は合格。しかしブラッド・メルドートリオの世界を“一人三役”でこなしたかのようなソロピアノは不合格。
 過去の延長線上から逸脱してほしかった。『PLACES』をレコーディングした時のように…。

 管理人は“ソロピアニストブラッド・メルドーとしての“新しい引き出し”が聴きたかった。そこだけに注目していた。
 キース・ジャレットのように,創造のために“もがき苦しむ”ブラッド・メルドーが聴きたかった。

 きっとそういうことではないのだろうけど,ブラッド・メルドーの“超・天才”がそのように聴こえさせている。すっきりとした構成と淀みない流麗な展開は,管理人が期待した完全即興の“産みの苦しみ”ではないのである。

LIVE IN TOKYO-4 管理人の結論。『LIVE IN TOKYO批評

 『LIVE IN TOKYO』は,完全即興ソロ・コンサートではない。ズバリ,ブラッド・メルドーが創作したミニマル・ミュージック。思索的で詩的なピアノが反復しては消えていくソロ・コンサートだと思う。

  DISC ONE
  01. INTRO
  02. 50 WAYS TO LEAVE YOUR LOVER
  03. MY HEART STOOD STILL
  04. ROSES BLUE
  05. INTRO II
  06. SOMEONE TO WATCH OVER ME
  07. THINGS BEHIND THE SUN

  DISC TWO
  01. C TUNE
  02. WALTZ TUNE
  03. FROM THIS MOMENT ON
  04. ALFIE
  05. MONK'S DREAM
  06. PARANOID ANDROID
  07. HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON?
  08. RIVER MAN

(ノンサッチ/NONESUCH 2004年発売/WPCR-11964/5)
(☆スリーブ・ジャケット仕様)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/青木和富)

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ブラッド・メルドー・トリオ / エニシング・ゴーズ4

ANYTHING GOES-1 ブラッド・メルドーが“超・天才”だからと言って,毎度毎度のアルバム毎に,その“超・天才”を必ず披露しなければならないわけではない。

 たまには「一介のジャズ・ピアニスト」に戻って,自分の好きなメロディーを最高の仲間と共に響かせ,楽しむのもよいではないか! その場にいる全員で(この場合はCDを購入したリスナーの意味)名曲を,楽しむのもよいではないか!

 その意味で『ANYTHING GOES』(以下『エニシング・ゴーズ』)は,ブラッド・メルドーの「息抜き」であり「遊び」であり「浮気」である。
 “アーティスト”としての活動を離れたブラッド・メルドーが,純粋に「エンターテイナー」として振る舞っている。

 そう。『エニシング・ゴーズ』の主役はブラッド・メルドーではない。ブラッド・メルドーはホストに徹しているのであり,主役はブラッド・メルドーを愛する大勢のファンたちなのである。

 その証拠にピアノブラッド・メルドーベースラリー・グレナディアドラムホルヘ・ロッシィによる『エニシング・ゴーズ』は,不動のブラッド・メルドートリオの3人であるにも関わらず,いつもの「THE ART OF THE TRIO」名義を使用していない。

 この辺りに管理人はブラッド・メルドーの意図を読み取る思いがする。そして勝手に深読みすると『エニシング・ゴーズ』は,熱心なブラッド・メルドー・ファン向けのプレゼントではない。

 『エニシング・ゴーズ』は,ブラッド・メルドー初の“スインギーな”ジャズ・ピアノ集。ブラッド・メルドーがポップ感覚の門戸を大開放している。これまでの“難解”を封印して“スインギーな”ジャズ・ピアノを聴かせてくれる。
 あるがまま,感じるがままのブラッド・メルドー一流の「おもてなし」はアメリカン・ポップ・タッチ。軽い&軽い。

ANYTHING GOES-2 とは言え『エニシング・ゴーズ』にはブラッド・メルドー“らしい”香りがプンプン匂っている。新しい細かな仕掛け満載の「エンターテイメント・ショー」を演じている。

 具体的には音数を減らし,一音一音の密度を高める方向性にシフトしている。基本『エニシング・ゴーズ』は原曲に忠実なアレンジなのだが,原曲に忠実であろうとするがゆえに,本来,ピアノ・パートではないパートでもピアノで歌っている。
 だから美メロが飛び出すわけではないのだが,自由自在なタイム感で繰り返し登場する旋律を耳で追いかけているうちに催眠効果?にかかってしまう?

 一聴,聴きやすいのに,クッキリと分離したブラッド・メルドーの“外様の”個性。単なる聴きやすさを越えた“スインギーな”ジャズ・ピアノである。

  01. GET HAPPY
  02. DREAMSVILLE
  03. ANYTHING GOES
  04. TRES PALABARAS
  05. SKIPPY
  06. NEARNESS OF YOU
  07. STILL CRAZY AFTER ALL THESE YEARS
  08. EVERYTHING IN ITS RIGHT PLACE
  09. SMILE
  10. I'VE GROWN ACCUSTOMES TO HER FAC

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 2004年発売/WPCR-11808)
(ライナーノーツ/青木和富)

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メルドー&ロッシ・トリオ / フェン・アイ・フォール・イン・ラブ5

WHEN I FALL IN LOVE-1 『THE ART OF THE TRIO VOLUME TWO:LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』『SONGS:THE ART OF THE TRIO VOLUME THREE』『ART OF THE TRIO 4:BACK AT THE VANGUARD』の3枚は,凄いピアニストだが“肌が合わない”と感じていたブラッド・メルドー

 それでも「ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニの系譜を引き継ぐピアニスト」との評判があちらこちらで聞こえるために新譜のチェックはぬかりなく〜。

 そうして出会った『PLACES』と『PROGRESSION:ART OF THE TRIO,VOLUME 5』。なかなかよろしい。確かにビル・エヴァンスの再来と呼んでもいいかもしれない。キース・ジャレットにはかなわないがミシェル・ペトルチアーニの後継者と呼んでもいいかもしれない。あの時点でのブラッド・メルドーの評価はそんなものだった。

 しかし,ブラッド・メルドーデビュー前の「メルドー&ロッシ・トリオ」名義のインディーズ盤=『WHEN I FALL IN LOVE』(以下『フェン・アイ・フォール・イン・ラブ』)を聴き終えて,ついにブラッド・メルドーの“超・天才”を体感した。「これは只者ではないな」と。

 実に完璧な演奏である。最初,観客の拍手が鳴るまで『フェン・アイ・フォール・イン・ラブ』がライブ盤だとは気付かなかった。「うそだろう。スタジオ録音じゃなかったのかよ」。

 「メルドー&ロッシ・トリオ」の圧倒的にクールで正確無比のタイム感。ここまで来れば「1/Fの揺らぎ」など必要ないだろう。

WHEN I FALL IN LOVE-2 これは音楽なのだろうか? もしや数式を聞かされているのではあるまいか? とにかく1曲目の【ANTHROPOLOGY】で浮かび上がる,理路整然とした複雑な「幾何学模様」。
 この演奏にデビュー後のブラッド・メルドーにつきまとう難解さは感じない。むしろ“完璧に均整のとれた数学的な美しさ”を感じるのみ。いや〜,度胆を抜かれてしまったのだ。

 これが“超・天才”と呼ばれる所以であった。ブラッド・メルドーデビュー前から凄すぎた。「ミスター・完璧」襲名である。
 ブラッド・メルドーは「ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニの系譜を引き継ぐピアニスト」で間違いない。未だブラッド・メルドーを越える現代ジャズピアニストは現われていない。

  01. ANTHROPOLOGY
  02. AT A LOSS
  03. WHEN I FALL IN LOVE
  04. COUNTDOWN
  05. CONVALESCENT
  06. I FALL IN LOVE TOO EASILY
  07. I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS

(サウンドヒルズ/LUMINAISSANCE 2002年発売/LNCD-4005)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/瀧口譲司)

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ブラッド・メルドー / プログレッション:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.55

PROGRESSION:ART OF THE TRIO, VOLUME 5-1 ブラッド・メルドー,芸術音楽を究めたり! ブラッド・メルドージャズ・ピアノを究めたり! ブラッド・メルドー,「THE ART OF THE TRIO」を究めたり!

 『PROGRESSION:ART OF THE TRIO,VOLUME 5』(以下『プログレッション:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.5』)におけるピアノブラッド・メルドーベースラリー・グレナディアドラムホルヘ・ロッシィによるブラッド・メルドートリオは,キース・ジャレットの最高峰「アメリカン・カルテット」と同じ立ち位置にいた。

 もう行き着くところまで行ってしまった。後は解散するのみである。完璧な芸術性&完璧なコンビネーションから来るブラッド・メルドーの創造性が頂点に達してしまったのだ。かなり“トンガッタ”唯一無二のジャズ・ピアノの世界が完成してしまっている。
 一発勝負のライブ録音において,これ以上,何かを足したり何かを引いては絶対に完成しない領域にまで到達している。素晴らしい。

 尤もブラッド・メルドー一連の「THE ART OF THE TRIO」シリーズは発足直後から完成品だった。しかし『プログレッション:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.5』は他の4枚とは明らかに違う領域にまで踏み込んでいる。円熟というか熟成というか…。

PROGRESSION:ART OF THE TRIO, VOLUME 5-2 例えば前作『アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード』との比較で言えば,音符をひたすら速くたくさん詰め込もうとするブラッド・メルドーをサポートするラリー・グレナディアホルヘ・ロッシィのリズム隊がうるさく感じる瞬間があった。

 しかしどうだろう。『プログレッション:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.5』におけるブラッド・メルドートリオの演奏は,クールでダークで熱狂的。「抑えるべきところは抑え,行くべきところは行く」というメリハリの効いた演奏である。
 これまでのライブCDに欠けていたトータルなバランス感覚が加わり,単なる技巧的・音楽的試行を超えた普遍性が備わっている。例の“難解臭さ”が消えている。

 特に絶品バラード=【クライ・ミー・ア・リバー】【いつの頃から】の2トラックでは,無感動系から感動系のジャズ・ピアノが現われている。そうして訪れる,全てのジャズ・ファンのハートを「いただきまゆゆ」ならぬ「いただきメルドー」のクライマックス。

 これ以上,ブラッド・メルドートリオに何を求めたらよいのだろう。なにもあるまい。

PROGRESSION:ART OF THE TRIO, VOLUME 5-3 ブラッド・メルドーの芸術にしてブラッド・メルドージャズ・ピアノとは,テーマを切り取ってはつなぎ合わせ,折ったりまるめたり,破ったり燃やしたり…。そこへコンソメやソース,はたまた味噌をも配合した絶妙ブレンドの創作音楽。

 しかし,基本はジャズのルーツに則った,計算高くも瞬時に反応する美しすぎるアドリブの連打。そこへベースドラムが反応し,そのリズム隊の返しに再びピアノが反応し,最高の循環のままクライマックスに達した瞬間に必ずや放たれるアウト・フレーズの楽しさときたら…。あぁ…。

 そう。『プログレッション:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.5』はブラッド・メルドーTHE ART OF THEトリオの集大成!
 3日間の「ヴィレッジ・ヴァンガード」におけるライブ盤は,2枚組でリリースされるのも至極当然の大名盤。いいや,この質の高い演奏は2枚組では物足りない。単純に収録時間の関係で発表が見送られたお宝トラックが埋没しているはず?

 お願いワーナーさん,是非とも「THE ART OF THE TRIO」名義の『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』BOXセット〜を! 10枚組のボリューミィでも絶対購入しますから〜!

  Disc 1
  01. The More I See You
  02. Dream's Monk
  03. The Folks Who Live On The Hill
  04. Alone Together
  05. It Might As Well Be Spring
  06. Cry Me A River
  07. River Man

  Disc 2
  01. Quit
  02. Secret Love
  03. Sublation
  04. Resignation
  05. Long Ago And Far Away
  06. How Long Has This Been Going On?

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 2001年発売/WPCR-11042〜3)
(☆スリーブ・ジャケット仕様)
(CD2枚組)
(☆輸入盤国内仕様 ライナーノーツ/青木和富,ブラッド・メルドー)

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ブラッド・メルドー / プレイシズ5

PLACES-1 “超・天才”ブラッド・メルドーがその才能をいかんなく爆発させた名盤が『PLACES』と『DAY IS DONE』の2枚である。

 同じ傑作であっても『PLACES』と『DAY IS DONE』のアプローチは異なる。心を突き抜ける『PLACES』と腸を突き抜ける『DAY IS DONE』。
 同じ突き抜けるにしても,素直に突き抜けるか,ひねりまくって突き抜けるか,位の差が存在する。そしてこのどちらもが管理人のその年の指折りのヘビロになったのだから,いくら相性の良くないジャズ・ピアニストだとしても,相性を超越した部分での「ブラッド・メルドー漁り」はやめられない〜。

 そう。管理人にとってのブラッド・メルドーは“伸るか反るか”なジャズメン改めアーティストなのだ(といっても“伸ったのは『PLACES』『PROGRESSION:ART OF THE TRIO,VOLUME 5』『WHEN I FALL IN LOVE』『DAY IS DONE』の4枚だけだけど…)。

 さて,そのブラッド・メルドーの“素直な天才”ぶりが堪能できる『PLACES』(以下『プレイシズ』)の聴き所は,ブラッド・メルドー本人が完全否定するビル・エヴァンスからの影響である。

 いや〜,管理人は聴けば聴くほど「これはビル・エヴァンスの再来か?」などと思ってしまった。ブラッド・メルドーが無心でピアノの前に座っている。普段,愛聴しなくても分かるビル・エヴァンスの特徴が,普段,愛聴していないはずのブラッド・メルドーに感じるのだから,よっぽどのことであろう。
 本人がいくら否定しようとも隠せやしない。間違いなくブラッド・メルドーは“エヴァンス派”のピアニストである。

 『プレイシズ』は,ブラッド・メルドーワールド・ツアー中に書き溜めた,旅先の印象をモチーフとしたオリジナル全13トラック。
 『プレイシズ』でのワールド・ツアーは,ブラッド・メルドーの本拠地である【ロサンゼルス】を出発し【ロサンゼルス】で一時帰国し【ロサンゼルス(リプライズ)】で【ロサンゼルス】へと舞い戻ってくるロサンゼルス中心のトラヴェルズ。まあ,そういったことを考えないで聴いたとしても悪くないアルバムだと思う。

 ピアノ・トリオの6曲は小品中心で肩の力を抜いた「ブラッド・メルドートリオ」が軽くスイングして心地良いのだが,ブラッド・メルドーソロ・ピアノの7曲はブラッド・メルドービル・エヴァンス。メロディアスなのに強烈な自己主張を繊細な構成で包み込んでいく。

 そう。硬いタッチのソロ・ピアノと柔らかなピアノ・トリオが交互に聴こえてくる。繊細でリリカルなジャズ・ピアノがその土地の喧騒をイメージさせる。数日間の滞在の表情を浮かべる美メロが旅行中のBGMにもかなう名盤
 じっくり聴いても骨がある。さらっと聴いても骨がある。『プレイシズ』こそ“超・天才”ならではの心を突き抜ける快作。聴き込めば聴き込む程,楽曲の奥深さに感嘆させられてしまったものだ。

PLACES-2 管理人の結論。『プレイシズ批評

 『プレイシズ』は“アーティスティック”なブラッド・メルドーの息抜き旅行。素のブラッド・メルドーが自分の言葉で綴った「音日記」。心を真っ白にして旅先で出会ったピアノと戯れたポエム。ヨーロッパ・ジャズ調なブラッド・メルドーのルーツがためらいもなく表現されている。

 『プレイシズ』が最高に素晴らしいのは,ピアノが“歌いまくっている”ところ。こんな感覚は過去のブラッド・メルドーのアルバムにはなかった。
 軽いタッチのピアノの旋律が,インストゥルメンタルでありながらも歌詞をイメージさせるかのような印象を伴い迫ってくる。音を聴いただけで「そこには何か得体の知れないストーリーが潜んでいるのではないか?」と感じさせる雰囲気がある。

 ブラッド・メルドーのライフ・ワーク=『アート・オブ・ザ・トリオ』の特徴であった思索的な音楽姿勢が緩やかになっている。『プレイシズ』の成功は一連の『アート・オブ・ザ・トリオ』での修練があればこそなのだ。

  01. Los Angeles
  02. 29 Palms
  03. Madrid
  04. Amsterdam
  05. Los Angeles II
  06. West Hartford
  07. Airport Sadness
  08. Perugia
  09. A Walk in the Park
  10. Paris
  11. Schloss Elmau
  12. Am Zauberberg
  13. Los Angeles (Reprise)

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 2000年発売/WPCR-10785)
(ライナーノーツ/ゲーテ,リチャード・ローティ,ワルター・ベンヤミン,エマソン,ブラッド・メルドー)

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ブラッド・メルドー / アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード4

ART OF THE TRIO 4:BACK AT THE VANGUARD-1 ブラッド・メルドージャズメンではない。アーティストである。
 『ART OF THE TRIO 4:BACK AT THE VANGUARD』(以下『アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード』)を聴いて,ブラッド・メルドーをアーティストと呼ぼうと思った「パート2」。

 真に「THE ART OF THE TRIO」におけるブラッド・メルドージャズ・ピアノは,大衆音楽を超えた“芸術”の域にある。
 そう。この真意こそ「エロス」の欠如である。ライブ盤なのに「エロス」がない。ブラッド・メルドーピアノトリオは美しい。でも男はそれでは感じやしない。ブラッド・メルドーの演奏に「色気」が感じられないのだ。

 凄いか,凄くないかで論じれば『アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード』のピアノ・トリオは神レベル! 特に頭の3トラック【オール・ザ・シングス・ユー・アー】【憧れ】【ナイス・パス】の長尺なのにちっとも飽きない“変幻自在”な転調とピアノソロの連打には“唸ってしまう”。
 並みのピアニストとは格が違う。超一流のスケールの大きな大局的な即興演奏。間違いなくブラッド・メルドーは現役ジャズ・ジャイアントの大スターである。

 でも…それがどうした…。ワクワクしない。興奮もしない。アクロバティックな“左右独立メロディーの絡み合い”も,ブラッド・メルドーCDを聴くのも3枚目ともなると,ライブ盤なのに正統派の優等生的なアドリブにしか響かない。う〜む。

 ベラボウに一言で要約してしまえば「肉感的な」演奏の欠如なのだと思う。凄いことを一分の狂いもなくやってのけている。実の独創的な展開であって全ての音が連綿とつながっているように感じる瞬間がある。
 当然,一瞬の判断で作り上げた即興なのに“左右独立メロディーの絡み合い”が前振りであるがごとく,全く別種の完成形のメロディが産み落とされていく過程が実にユニークすぎて,そこに計算が見え隠れする。打算的ではないのだろうが打算的に思えてしまう。

 ブラッド・メルドーはクールなやつなのだ。大変クレイバーなやつなのだ。だから聴いていて疲れてしまう。ジャズ・ピアノを聴いて楽しみたいのに“しんどくなる”。無意識のうちに解析とか解読とかをするように脅迫された気分になる。
 そう。ブラッド・メルドージャズは重いのだ。重すぎるのだ。正座してヘッドフォンで“拝聴”しているくせして,管理人は「軽い」ジャズを楽しみたい派なのだ。

ART OF THE TRIO 4:BACK AT THE VANGUARD-2 ジャズの入門者が『アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード』を聴いたら,どう思うのか,が心配になる。何か引っ掛かるものがあるのか,が心配になる。

 すでにブラッド・メルドージャズ・ピアノの頂点を極めている。熱心なファンはブラッド・メルドーを“拝聴”し続けるであろうが,一般のジャズ・ファンには“近寄り難い”演奏だと思う。ストイックで堅実なスタイルは興味のない人にとってはどうでもよい。

 そう。アーティスト=ブラッド・メルドーが演奏しているのは芸術であって道楽ではない。決して破たんしないアドリブがインテリジェンス。こうなったら目指せ!モナリザ! とことん芸を磨き上げて,誰もが“うっとり聴き入る”演奏を究めていただきたい!

  01. All The Things You Are
  02. Sehnsucht
  03. Nice Pass
  04. Solar
  05. London Blues
  06. I'll Be Seeing You
  07. Exit Music (For A Film)

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1999年発売/WPCR-10533)
(ライナーノーツ/ブラッド・メルドー,中川燿)

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ブラッド・メルドー / ソングス:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.34

SONGS:THE ART OF THE TRIO VOLUME THREE-1 ブラッド・メルドージャズメンではない。アーティストである。
 『SONGS:THE ART OF THE TRIO VOLUME THREE』(以下『ソングス:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.3』)を聴いて,ブラッド・メルドーをアーティストと呼ぼうと思った。

 真に「THE ART OF THE TRIO」におけるブラッド・メルドージャズ・ピアノは,大衆音楽を超えた“芸術”の域にある。「静寂のリリシズム」と書くべきか「体温の低い音楽」と書くべきか…。
 そう。この真意こそ「インテリジェンス」丸出しであり,聴いていて,凄い,とは思えど,繰り返し聴こうとは思わない。今夜の『ソングス:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.3批評のために,久しぶりにCDを引っ張り出して聴いてみたが感想に変化はなかった。う〜む。

 どんなに激しく暴れても決して破たんすることのない左右独立稼働の“ストイックなメロディ・ライン”で「20世紀のジャズ・ピアノ」を駆逐してしまった“超・天才”ブラッド・メルドー
 ブラッド・メルドージャズ・ピアノの“二十面相”スタイルはハッキリ言って新しい。我武者羅にチャレンジする意気込みが伝わってくる。でもどこか「独りよがり」な感じがする。「ついて来れる人だけがついて来たらいいのさ」と突き放された感じがする。
 これってお近づきになりたいと願う管理人のブラッド・メルドーへの片思い?という表現がピッタリだと思っている。

 そう。ブラッド・メルドーは『ソングス:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.3』を置き土産として“孤高の高み”を目指すジャズメンならぬアーティスト。
 そんなブラッド・メルドーの進んだ先にはパット・メセニーが待っていた。パット・メセニーブラッド・メルドーと「両想い」である。いいなぁ。うらやましいなぁ。まぁ,お相手がパット・メセニーならしょうがない。あきらめるかぁ。お似合いだよなぁ。

SONGS:THE ART OF THE TRIO VOLUME THREE-2 管理人の結論。『ソングス:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.3批評

 『ソングス:アート・オブ・ザ・トリオ VOL.3』は“アーティスティック”なブラッド・メルドー全開な,現代ジャズの決定盤。
 小技大技のアクロバティックな演奏が計算づくで飛び出したかのような完璧なアドリブの連射に,未だブラッド・メルドーの真意が聞き取れない“迷宮”CDの決定盤である。

  01. Song-Song
  02. Unrequited
  03. Bewitched, Bothered And Bewildered
  04. Exit Music (For A Film)
  05. At A Loss
  06. Convalescent
  07. For All We Know
  08. River Man
  09. Young At Heart
  10. Sehnsucht

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1998年発売/WPCR-2098)
(ライナーノーツ/工藤由美)

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ブラッド・メルドー / アート・オブ・ザ・トリオ VOL.2:ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード4

THE ART OF THE TRIO VOLUME TWO:LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD-1 さて,ブラッド・メルドーである。“天才”ジャズ・ピアニストである。現代ジャズの文脈で聴き取る限り“超・天才”である。

 なんたってブラッド・メルドーの愛称は「20世紀最後の新人ピアニスト」。雨後の筍の如く登場する新人ジャズ・ピアニストの中にあって,ブラッド・メルドーこそが,長らく空位となっていたミシェル・ペトルチアーニの後継者なのである。

 ただし,ブラッド・メルドーの“超・天才”は認めつつも,ブラッド・メルドーが演奏するジャズ・ピアノは,管理人の好きなジャズ・ピアノではない。
 絵画でも印象派は好きだけど抽象画は良く分からない。それと同じ様相でブラッド・メルドーの音楽を聴いてしまうのである。ジャズ・ピアノなんだけどクラシックの「ピアノ協奏曲」の雰囲気を感じてしまう。“高尚すぎて”たじろいでしまうのである。

 そんな“現代ジャズの抽象画”ブラッド・メルドーの原点が,ブラッド・メルドー属するエヴァンス派の“聖地”ヴィレッジ・ヴァンガードにおけるライブ盤=『THE ART OF THE TRIO VOLUME TWO:LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』(以下『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.2:ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』)。

 『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.2:ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード批評を先に進める前に,いつかは必ずや触れねばならない「ブラッド・メルドーエヴァンス派」の大論争。
 管理人は「ブラッド・メルドーエヴァンス派」支持者である。当の本人が“エヴァンス派”と呼ばれることに嫌悪感を示しているので,今回の記述を「最初で最後」にしようと思うが,音楽の構造やアプローチの手法はビル・エヴァンスとは異なれど,結局アウトプットされたジャズは「リリシズム」で「ロマンチシズム」な内省的なジャズである。
 そう。ブラッド・メルドーの発する美意識はビル・エヴァンスの発する美意識と近い。

 『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.2:ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』は,そんな“エヴァンス派”としてのブラッド・メルドーをたっぷりと味わうことができる。
 要はジャズライブではなくジャズ・ピアノの即興・展覧会。“現代ジャズの抽象画”が燦然と輝くライブ

 恐らく当日の観客たちは「THE ART OF THE TRIO」の物凄さを瞬時に理解したようで理解できていないのではなかろうか? 『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.2:ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』の演奏は,後から後から感動が湧き上がる種類のライブなのだと思う。
 この辺のニュアンスが,ブラッド・メルドーに対し“高尚すぎて”たじろいでしまう原因だと思っている。

 尤も,当のブラッド・メルドーは才能の輝きを全身全霊でピアノにぶつけている。インテリを振り捨て一瞬のアドリブに命を削っている。

THE ART OF THE TRIO VOLUME TWO:LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD-2 全6トラックの全ての演奏が10分超えの長尺集。「ブラッド・メルドーはどこへ行くのか? どこまで行くのか?」。有名スタンダードのテーマをモチーフに出口を探して暴れまくる。先の読めない“左右独立メロディーの絡み合い”が炸裂し聴衆を沸かせている。

 自由なフレージングを産み落とす右手左手の爆発度と“非スインギーな”独特のタイム感覚が素晴らしい。普通なら流れを壊してしまうようなアドリブが,絶妙なタイミングで放たれる瞬間のハーモニー。
 “エヴァンス派”共通の音選びにして,あの瞬間に顔をのぞかせる“意外にしてまっとうな”音選びの素晴らしさにブラッド・メルドーの“超・天才”が表現されている。

 ブラッド・メルドーの内面に波立つ抽象的なコンセントレーションの深さ。これが『アート・オブ・ザ・トリオ VOL.2:ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』のハイライトである。

  01. It's Alright With Me
  02. Young And Foolish
  03. Monk's Dream
  04. The Way You Look Tonight
  05. Moon River
  06. Countdown

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1998年発売/WPCR-1836)
(ライナーノーツ/ブラッド・メルドー,皸羶成)

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