アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:ボブ・ジェームス

ボブ・ジェームス / グランド・ピアノ・キャニオン5

GRAND PIANO CANYON-1 『GRAND PIANO CANYON』(以下『グランド・ピアノ・キャニオン』)こそ,ボブ・ジェームスの“最高傑作”である。

 『グランド・ピアノ・キャニオン』について語る「枕言葉」に「フォープレイの原点」があるが,その調子で聴いてもいいが,できれば「フォープレイ」を脇に置いて聴いてみてほしい。実にポップでカラフルでバラエティに富んだ名曲群は,ハズレなし,である。

 ズバリ『グランド・ピアノ・キャニオン』成功の理由は『グランド・ピアノ・キャニオン』=「グランド・ピアノ」+「グランド・キャニオン」によるユーモアの“ピアノ”押し!
 そう。『グランド・ピアノ・キャニオン』におけるボブ・ジェームスは“ジャズ・ピアニスト”! 「フォープレイ」の編成で4人対等ではない,ボブ・ジェームスの“ジャズ・ピアニスト”が肝! いや,中々硬派なグランド・ピアノが流れている。

 とは言え4ビートではない。ジャズ・スタンダードでもない。16ビートのアコースティック・ジャズなのにメインでシンセサイザーも登場するフュージョン・アルバムである。
 しかし『グランド・ピアノ・キャニオン』の雰囲気は,フュージョン寄りではなくジャズの文脈で仕上げられている。ボブ・ジェームスの内で湧き上がる“創作意欲”が炸裂している。

 「フォープレイ」からギターリー・リトナーベースネーサン・イーストドラムハービー・メイソン,そしてギターエリック・ゲイルディーン・ブラウンベースエイブラハム・ラボリエルパーカッションポリーニョ・ダ・コスタトランペットランディ・ブレッカーアルト・サックスクリス・ハンターテナー・サックスマイケル・ブレッカーカーク・ウェイラムアンディ・スニッツアーシンセサイザーマックス・ライゼンフーヴァー ETC。
 勝手知ったる仲間たちと思いっきりインプロヴィゼーション楽しんでいる。そんなボブ・ジェームスが最高にカッコイイ!

 建前としてはリーダー不在の「フォープレイ」をボブ・ジェームスが実質リードする【リストレイション】【ジャスト・リッスン】と「フォープレイ」とは似ても似つかぬゴリゴリ・ジャズ系【サラの翼】。
 ユニークなホーン・アレンジに乗せられて最高に楽しげな“ジャズ・ピアニストボブ・ジェームスな【ベア・ボーンズ】。ニュー・ジャック・スイング・リング上でのボブ・ジェームスマイケル・ブレッカーの格闘技【“…ストップ・ザット!”】。リズム遊びの車窓【XRAXSE】。

 『グランド・ピアノ・キャニオン』の2大ハイライトは,エスニックな【スヴェンガリ】から同じ入りだからこそピアノシンセギターのシンクロが効きまくる【ワールド・アパート】とカエル隊の小さな合唱で忘却の彼方へ(立川に乗り換えてお店に行って)と連れてゆかれる【ファー・フロム。タートル】であろう。

GRAND PIANO CANYON-2 管理人の結論。『グランド・ピアノ・キャニオン批評

 『グランド・ピアノ・キャニオン』は「ミスター・スムーズ・ジャズ」のボブ・ジェームスだからこそ作ることの出来た至極のフュージョン・アルバム。マジで“一家に一枚クラス”の愛聴盤である。

  01. Bare Bones
  02. Restoration
  03. Wings For Sarah
  04. Svengali
  05. Worlds Apart
  06. "…stop that!"
  07. Xraxse
  08. Just Listen
  09. Far From Tutle

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1990年発売/WPCP-3598)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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ボブ・ジェームス & デヴィッド・サンボーン / ダブル・ヴィジョン4

DOUBLE VISION-1 名プロデューサー=ボブ・ジェームスは『DOUBLE VISION』(以下『ダブル・ヴィジョン』)で,なぜセルフ・プロデュースしなかったのだろう? その答えはトミー・リピューマであり,マーカス・ミラーである。

 ズバリ,宣言しよう。『ダブル・ヴィジョン』は,ボブ・ジェームスデヴィッド・サンボーン2人のコラボレーションではない。
 『ダブル・ヴィジョン』の真実は『トリプル・ヴィジョン』! ボブ・ジェームスデヴィッド・サンボーンの後ろから前に出てくるマーカス・ミラー! 『ダブル・ヴィジョン』の“上質感”はマーカス・ミラーのメロディアスなベース・ライン抜きには成立しない。

 マーカス・ミラーベース・ラインが“歌っている”から,ボブ・ジェームスデヴィッド・サンボーンも,必要以上に弾きすぎない。
 ボブ・ジェームスエレピソロは入念に譜面に書き込まれたかのように“エレガント”に響き,デヴィッド・サンボーンアルトソロは“抑えに抑えた”エモーショナルな“むせび泣き”である。
 そう。全てはマーカス・ミラーの五臓六腑の活躍にあり,全てはトミー・リピューマのお膳立てのおかげなのである。

 『ダブル・ヴィジョン』の聴き所は,ボブ・ジェームスデヴィッド・サンボーンマーカス・ミラーが意識的に残した“無音空間”にある。余韻を味わう「大人のフュージョン」の誕生である。
 ちょうどハービー・ハンコックが『処女航海』でジャズ界に「新主流派」を持ち込んだように,ボブ・ジェームスが『ダブル・ヴィジョン』でフュージョン界に“新主流派”を持ち込んだ。そんな感じ。

 だ・か・ら・正直『ダブル・ヴィジョン』は,青春真っ盛りの管理人の耳には物足りなかった。「サンボーン・フリーク」の管理人としてはデヴィッド・サンボーンに『ダブル・ヴィジョン』の“予定調和”は似合わないと思っていた。思い込んでいた。

 『ダブル・ヴィジョン』におけるデヴィッド・サンボーンは“サンボーン節”が単音の極み! デヴィッド・サンボーンアルトサックスを,静かに低域中心で芯のあるトーンを鳴らし続けている。これぞ「枯れ」であろう。
 そう。管理人SAY。「サンボーンに渋目のムード・サックスは期待していませんから〜」であった。

 管理人が『ダブル・ヴィジョン』を評価するようになったのは,近年のヴァーヴ移籍後のデヴィッド・サンボーンの変化を感じ取ってからのこと。アップ・ナンバーをやらないデヴィッド・サンボーンは評価できない,と思いつつ,耳を傾け続けたある日,近年のヴァーヴの緒作と『ダブル・ヴィジョン』がつながた。うわ〜。

DOUBLE VISION-2 管理人の結論。『ダブル・ヴィジョン批評

 聴き始めの『ダブル・ヴィジョン』は肩透かし。しかし,しっとりとした音造りが聴き込むたびに良くなってくる。作り手の“気品”が伝わってくる。まどろみのツボをじんわりと押してくれるような心地良さで満ちている。

 『ダブル・ヴィジョン』は,オーソドックスな楽曲をアレンジと演奏者のニュアンスによって色付けした「静と動」の名盤である。『ダブル・ヴィジョン』は,結構,聴き手を選ぶと思う。

  01. MAPUTO
  02. MORE THAN FRIENDS
  03. MOON TUNE
  04. SINCE I FELL FOR YOU
  05. IT'S YOU
  06. NEVER ENOUGH
  07. YOU DON'T KNOW ME

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1986年発売/WPCP-3551)
(ライナーノーツ/松下佳男)

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ボブ・ジェームス / タッチダウン4

TOUCHDOWN-1 「ミスター・スムーズ・ジャズ」。この栄誉ある称号を管理人はボブ・ジェームスに差し上げたいと思う。

 現役バリバリのフォープレイでの活躍に対してではない。80年代のデヴィッド・サンボーンアール・クルーとのコラボに対してでもない。この称号は70年代から一貫して継続してきたボブ・ジェームスならではの「BGM命」に対してのものである。

 70年代のフュージョン・シーンを考えると,よりファンキー,よりメロウ,よりポップ指向。この流れに便乗せずに「BGM命」を徹底してやり続けたのがボブ・ジェームスであった。あくまでもソフィスティケイトされた楽器の対話を楽しむ「BGM命」であった。

 『TOUCHDOWN』(以下『タッチダウン』)の音造りこそ,70年代ボブ・ジェームス・サウンドの集大成! 激しい演奏は一切なし。アルバムのどこを聴いてもどれも優しいメロディーが非常に心地良い。親しみやすく分かりやすいボブ・ジェームス・サウンドが都会的に洗練されている。要は“軽さの本物”なのだ。

 とはいえ“軽さの本物”が生み出される裏では贅沢な音造りがなされていてブラスストリングスの物量作戦! 大勢のゲスト・ミュージシャンがボブ・ジェームスの細かなディテールの指示に沿って“一芸”を繰り出している。
 そう。デヴィッド・サンボーンアール・クルーヒューバート・ロウズエリック・ゲイルハイラム・ブロックロン・カータースティーヴ・ガッドラルフ・マクドナルド ETCの個性的なジャズメンを集めて,自分の掌の上で遊ばせている感じ?

 そう。『タッチダウン』こそ,ボブ・ジェームスの“多重人格”アンサンブル!“軽さの本物”がボブ・ジェームスのフォーマットの中に見事に収められている。
 これぞボブ・ジェームスの作曲能力と編曲能力の味! 適度なポピュラー性とリスナーを心地よくさせるメロディの繰り返しと明確なリズム・パターン! この流れがフォープレイにまで引き継がれているわけなのだから「ミスター・スムーズ・ジャズ」=ボブ・ジェームスとは“アッパレ”なジャズメンである。

TOUCHDOWN-2 ただし『タッチダウン』は今の耳には古すぎる。典型的なリフとバックアップがセオリー通りの教科書的&エレピの音色が70年代。“軽さの本物”はモロに時代の音が出る。

 そう。ボブ・ジェームスエレピはいつの時代でも目鼻バッチリの装飾系! 結構,流行に敏感なエレピ
 本質的には絶対にブレない「BGM命」+流行を取り入れるアレンジ・センス=「ミスター・スムーズ・ジャズ」!

  01. ANGELA (THEME FROM "TAXI")
  02. TOUCHDOWN
  03. I WANT TO THANK YOU (VERY MUCH)
  04. SUN RUNNER
  05. CARIBBEAN NIGHTS
  06. WITH THE ONE YOU LOVE

(タッパンジー/TAPPAN ZEE 1978年発売/VICJ-61514)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/成田正)

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