CD批評:小沼 ようすけ
2011年12月12日
小沼 ようすけ / 3,2 & 1
『3, 2 & 1』を一聴して,久しぶりに興奮した日のことを思い出す。熱狂とは違う。これは憧れである。何というリラクゼーション。全てを忘れて“うっとりと”聴き惚れてしまったのである。
CDタイトル=『3, 2 & 1』とは,ジャッキー・マクリーンの『4, 5 & 6』よろしく,トリオ,デュエット,ソロの意。
ただし全13トラック中,半数の6トラックがソロであり「初回限定盤ボーナス・ディスク」に至っては全編「アコースティック・ギター・ソロ」! そう。私的録音の演奏集の香りが匂い立っている。(そんなこんなで?)ジャズ・ギタリスト=小沼ようすけにKOされてしまった。“うっとりと”聴き惚れてしまったのである。
『3, 2 & 1』の真髄は,小沼ようすけの“パーソナルでアコースティックな”ギター・CD!
またここがミソなのだが(←我ながら古い!)SACDゆえの圧倒的な高音質。音の粒立ちといい臨場感といい音響特性が最高に素晴らしい。
小沼ようすけの指使いや息づかいが聴こえてくる。映像が浮かび上がる,いや,自分の眼前で演奏してかのような錯覚に囚われる程の生々しさ。これで興奮しない方がおかしいのだ!?
さて,世界初公開となった『3, 2 & 1』の真髄=小沼ようすけのアコースティック・ギター・ソロであるが,これは小沼ようすけの新兵器ではなく“ルーツ”であった。
ライナーノーツによると,ジャズを始めた19才の頃,周りにジャズをやる人が少なかったのでいつも家でソロ・ギターを演奏していたとのこと。
そう言えば,小沼ようすけが「ヘリテージ・ジャズ・ギター・コンペ」で演奏したのが【ISN’T IT ROMANTIC】。「ギブソン・ジャズ・ギター・コンテスト」で優勝した曲が【OLEO】。小沼ようすけは“ソロ・ギター”から世界へと飛び出してきたのだ。
小沼ようすけの人格の一部であり,ジャズ・ギタリストとしてのルーツと公言するアコースティック・ギター・ソロ。
小沼ようすけが,ギター1本,アドリブの少ない“崩し勝負”で,音楽を朗々と歌い上げていく。どちらかと言えば“癒し系&ヒーリング系”の演奏だと思う。
しかし時折顔を出すグルーヴィー! 胸の内から沸き上がる感情の発露! 小沼ようすけの有する,ハイ・テクニックと感性は,彼が紛れもないジャズ・ギタリストであることを証している。
特に「初回限定盤ボーナス・ディスク」収録の「スタンダード集」を聴いていると,小沼ようすけのジャズ好き,ギター好きの“本気度”が伝わってくる。
そんな“世界の”ジャズ・ギタリスト・小沼ようすけと“世界の”ジャズ・ピアニスト・小曽根真のデュエットが最高!【SILVER AND ORANGE】と【I LOVE YOU】でのインタープレイは,「アンプリファイアード・アコースティック・ギタリスト」と呼ばれたジム・ホールと,耽美主義者のビル・エヴァンスのギターとピアノのデュエットの決定盤『アンダー・カレント』での名演をも凌駕している!
こんなにエキサイトしている小曽根真はそうお耳にかかれない。小曽根真ファンも必聴のデュエットである。
ベースの鈴木正人とドラムの仙道さおり,または大槻“KALTA”英宣とのトリオがいい!
ジャム・セッション風の一発録りのような,これまた『3, 2 & 1』の特徴であるリラックスした笑顔が見える名演である。
そう。ソロ,デュエット,トリオのどれもがいい『3, 2 & 1』を“ジャズ・ギタリスト”小沼ようすけの“最高傑作”と宣言する!
PS “J−ジャズ界のプリンス”と呼ばれ「イケメン」としても有名な小沼ようすけ。これまでは藤原竜也似と認めてきましたが,CDインナーの1枚は読売ジャイアンツの高橋由伸に“激似”だと思いませんか?
DISC 1
01. Groove Me
02. Silver and Orange
03. Presence
04. Mystic Rites
05. Summer Happening
06. I Love You
07. Spain
08. Cissy Strut
09. What Cha' Gonna Do For Me
10. Cherish The Love
11. Gleam
12. If
13. Tristeza
DISC 2 Bonus Disc [Acoustic Guitar Solo]
01. Isn't It Romantic
02. For No One
03. Over The Rainbow
04. Moon River
05. Oleo
(ソニー・ミュージック/SONY 2006年発売/SICP-10023-4)
(☆SACDハイブリッド盤仕様 ライナーノーツ/小沼ようすけ)
★【初回生産限定盤:CD2枚組仕様】
(☆SACDハイブリッド盤仕様 ライナーノーツ/小沼ようすけ)
★【初回生産限定盤:CD2枚組仕様】
2010年03月29日
小沼 ようすけ / ビューティフル・デイ
1曲目の【INTRODUCTION】でフェードインし,10曲目【MALIBU −MEMORY OF BEAUTIFUL DAYS−】でフェードアウトする波の音…。そう。『BEAUTIFUL DAY』(以下『ビューティフル・デイ』)のコンセプトは「海辺の美しい一日」。サーフィンとジャズ・ギターの融合=自然との対話から産み出された“ナチュラル・グルーヴ”である。
海,風,太陽…。サーフィンとギターとジャズ…。小沼ようすけが数年前から始めたというサーフィンとの出会いが,彼の音楽性を揺り動かしている。
『ビューティフル・デイ』は,ジャズでもフュージョンでもなく“歌詞のないAOR”である。
よって『ビューティフル・デイ』を管理人は評価しないが,自然やエコロジーといったオーガニックなフィーリングには“聴き惚れてしまう”。無意識のうちに「海辺の美しい一日」を思い浮かべてしまう。
波乗りの小沼ようすけが,世界最高峰の“ナチュラル・グルーヴ”に乗っていく。リンカーン・ゴーインズのベースとスティーヴ・フェローンのドラムが,シンプルでステディにグルーヴし,小沼ようすけのギターが“ゆったりと情感豊かに”流れていく。休日の昼下がりに読書のBGMとして流すのにうってつけであろう。
『ビューティフル・デイ』で,アコースティック・ギターのシャワーを浴びると,何もかもが透明になっていく。やがては雄大な海と青い空が一体化していく。心が洗われる気分がする。
とは言え『ビューティフル・デイ』には,小沼ようすけの“邪念”も録音されている。それがアル・シュミットの起用である。
そう。“ベンソン・フリーク”である小沼ようすけが,ジョージ・ベンソンのヒット作を手掛け,幾度となくグラミーを受賞しているエンジニアを起用したのだ。
アル・シュミットだけではない。小沼ようすけの“邪念”は,レコーディング・スタジオにも表われている。LA「キャピトル・スタジオ」。そう。ジョージ・ベンソンが『ブリージン』を録音したスタジオである。もうこれは“職権乱用”の世界である。
サーフィンといいジョージ・ベンソンといい,やりたい放題の小沼ようすけである。公私共に自分の好きなことを心の赴くままに実行したからこそ出せるサウンドがある。『ビューティフル・デイ』は“等身大の”小沼ようすけの記録である。趣味のサーフィンのように,自由に風をとらえて,太陽の下,波との会話を楽しんでいるようなCDである。
なお【初回限定盤】付属のDVDには,小沼ようすけ弾き語りでのトラック批評が楽しめます。もうアドリブログでのトラック批評は不要? いえいえ?
CD
01. Introduction
02. Green
03. Wind
04. Ride
05. Hot Sand
06. Beautiful Day
07. Modern Man
08. Sunset
09. Affirmation
10. Malibu -memory of beautiful days-
DVD
Yosuke Onuma's Beautiful Day
(ソニー・ミュージック/SONY 2007年発売/SICP-10093-4)
(☆SACDハイブリッド盤仕様 ライナーノーツ/小沼ようすけ)
★【初回限定盤】 SACD HYBRID+DVD
(☆SACDハイブリッド盤仕様 ライナーノーツ/小沼ようすけ)
★【初回限定盤】 SACD HYBRID+DVD
2010年03月08日
小沼 ようすけ / THE THREE PRIMARY COLORS
『THE THREE PRIMARY COLORS』で,管理人の大好きな小沼ようすけが帰ってきた!『THE THREE PRIMARY COLORS』は“今をときめく”ベース=リチャード・ボナ,ドラム=アリ・ホーニッグとのギター・トリオ!
赤の小沼ようすけ,緑のリチャード・ボナ,青のアリ・ホーニッグ。『THE THREE PRIMARY COLORS』(色の3原色・RGB)の実にシンボリックなジャケットの色分けに妙に納得してしまうのもつかの間,若き天才3人の音の3原色がホットに混ざり合い“七色レーザービーム”級の多彩な光が発散している。
ベーシストが「ジャコ・パストリアスの再来」と言われるリチャード・ボナなので,どうしてもパット・メセニーの『ブライト・サイズ・ライフ』と比較してしまうのだが,1曲目の【FROLICKING】はドンピシャだが,聴き進めるうちに『ブライト・サイズ・ライフ』よりも『トリオ99→00』に近いイメージを抱いてしまったのは管理人だけ?
つまりギター・トリオの核である,ドラマー=アリ・ホーニッグのセンスの良さが浮き出ている! ← この意味が分かるあなたはビル・スチュアートよりもジェフ・バラードがお好きなのでは?(またまた身内ネタですみません)
『THE THREE PRIMARY COLORS』の録音バランスは完全な小沼ようすけ寄り。リチャード・ボナ+アリ・ホーニッグの“当代きってのリズム隊”が凄すぎるので,小沼ようすけの“細身のギター”の音量が上がり気味である。
しかし,この“細身のギター”には訳がある。
『THE THREE PRIMARY COLORS』から小沼ようすけはギター・ピックの使用をやめた。
小沼ようすけのギターを遊びで指弾きするリチャード・ボナを見続けたのがきっかけで,小沼ようすけ自身がフィンガー・ピッキングに転向する決心をしたと言う。流石は“ベース・ギタリスト”と称されるリチャード・ボナである。
小沼ようすけのギターの音色が柔らかい。時折聞こえるフィンガー・ノイズの“かすれ音”がセッションの生々しさを伝えてくれる。ミスタッチをも呑み込む,小沼ようすけ独特の早弾きが『THE THREE PRIMARY COLORS』に『トリオ99→00』のような“アコースティック”なギター・トリオを感じさせる要因であろう。
ケニー・バレル系ジャズ・ギタリストには,音空間の大きいギター・トリオがよく似合う。ギター・トリオなのに,様々な音色が混じり合う大編成を思わせる音・音・音!
小沼ようすけには『NU JAZZ』で聴かせてくれた,オルガン・ジャズでのグルーヴ路線を期待していたが,フィンガー・ピッキングに転向した現在,意外に小編成ものが合うのかもしれない。
01. Frolicking
02. The Lily
03. Feel Like Makin' Love
04. She Said She Said
05. Silence Of The Night
06. Can We Still Be Friends ?
07. The Windjammer
08. Happy Playing Ground
09. Dawn
10. Around The Love
(ソニー・ミュージック/SONY 2004年発売/SICP-10010)
(☆SACDハイブリッド盤仕様 ライナーノーツ/小沼ようすけ)
(☆SACDハイブリッド盤仕様 ライナーノーツ/小沼ようすけ)
2005年03月10日
小沼 ようすけ / JAZZ'N'POP
『JAZZ’N’POP』は“POP”というタイトルが表わす,打ち込み主体のポップ・インスト。『JAZZ’N’POP』のこの面子。キーボードの笹路正徳,ベースの高水健司,ドラムの山木秀夫。ここへギターでリーダーの小沼ようすけ。
勘の良い方なら,小沼ようすけ版・渡辺香津美の「カズミ・バンド」を想起されたかも?
しかし残念ながら『JAZZ’N’POP』で,小沼ようすけは“ジャズ・ギタリスト”の肩書きを降ろしてしまった。
増尾好秋から松原正樹への路線変更。要は「笹路正徳・フィーチャリング・小沼ようすけ」である。
『JAZZ’N’POP』の中の非打ち込みトラック=【OFF SHARE】と【FUNKY J】の見事な出来栄えを聴かされれば,生楽器とのセッションでこそ本領を発揮する“ジャズ・ギタリスト”小沼ようすけの生存を確認できるが,単調な打ち込みが相手では,燃えない小沼ようすけ,前面に出て行けない小沼ようすけへの歯がゆさを感じてしまう。
この“さらり”としたジャズ・ギターには,小沼ようすけの持つ超絶技巧の出番はない。もはやヒーリングに近い。残念である。「小沼ようすけよ,道を踏み外すな」!
『JAZZ’N’POP』に,小沼ようすけのライフ・ワーク=サーフ・ミュージック志向の原型を見る。
01. Three Roses
02. Afro-Runner
03. Free
04. Off Shore
05. Punk Jazz
06. Workin' Day And Night
07. Mask
08. Funky J
09. Doze...
10. Discotheque
(ソニー・ミュージック/SONY 2003年発売/SICP-410)
(ライナーノーツ/小沼ようすけ)
(ライナーノーツ/小沼ようすけ)
小沼 ようすけ / SUMMER MADNESS
小沼ようすけが『SUMMER MADNESS』で色を付けてきた。“ジャズ・ギタリスト”小沼ようすけを押し出してきた。ブルース・ラインのケニー・バレル系である。『SUMMER MADNESS』でも,オリジナル以外に,クール&ザ・ギャング,アイズレー・ブラザーズ,ハービー・ハンコック,レッド・ホット・チリ・ペッパーズ,プリンス,オーネット・コールマン,スパンダー・バレエ,ケミストリーのカヴァーを取り上げているのだが,そのどれもが“ザ・小沼ようすけ”している。
ギーター・ソロでのバカテク以上に,バッキングやカッティングの「ヒトキザミ」が印象に残る。
『SUMMER MADNESS』は『NU JAZZ』以上にブルージーなのだが,残念ながらグルーヴしていない。一発録りのライブ感が薄まりスタジオ・ワークの緻密さUPが原因か? 期待しているだけに小沼ようすけにはまだまとまってほしくない! 外野が口うるさいのだろうが,若気の至り一発のイケイケで突っ走ってほしい。
管理人から小沼ようすけへ「考えるな,感じろ」の言葉を贈る!
なお13曲目【BACK TOGETHER AGAIN(FOOTSTEPS ON THE BEACH)】はシークレット・トラック。ポリスの【見つめていたい】のカヴァーが収録されている。「SUMMER MADNESS-3」の写真は【初回限定特典】:GIBSON製小沼ようすけサイン入りピックです。
01. Summer Madness
02. Driving
03. Loveliness
04. Color Of The Sky
05. At Your Best (You Are Love)
06. Tell Me A Bedtime Story
07. By The Way
08. Do Me, Baby
09. Ramblin'
10. HGM
11. Message From Water
12. True
13. Back Together Again (Footsteps On The Beach)
(ソニー・ミュージック/SONY 2002年発売/SICP-303)
(ライナーノーツ/小沼ようすけ)
★【初回仕様限定盤】:GIBSON製小沼ようすけサイン入りピック封入
(ライナーノーツ/小沼ようすけ)
★【初回仕様限定盤】:GIBSON製小沼ようすけサイン入りピック封入
小沼 ようすけ / NU JAZZ
『NU JAZZ』は,J−ジャズ界に,いや,世界のトップ・ジャズ・ギタリストとして“彗星の如く現れた”ニュー・スター=小沼ようすけのデビューCD。ジャズ・ギタリストなのに,いや,デビューCDなのに,イントロから金子雄太のハモンドB−3で“ガンガン”攻めてくるあたり“只者ではない”。
小沼ようすけは「ギブソン・ジャズギター・コンテスト」で優勝するほどの超絶技巧の持つ主であるが,小沼ようすけの目指すサウンドは「クールなジャズ・ファンク系」である。ジョージ・ベンソン,グラント・グリーン,そして(フレッシュな感じが)パット・メセニーを感じさせてくれる。
今風の若者らしく?『NU JAZZ』では,オリジナル以外に,スティング,エルヴィス・コステロ,ジャネット・ジャクソン,ジャミロクワイ,レディオヘッド,エディ・ハリス,ディアンジェロのカヴァーを取り上げているのだが,そのどれもが“ザ・小沼ようすけ”している。オムニパス盤ではなく一つ芯の通ったトータル・サウンドに仕上がっている。
『NU JAZZ』は,もろ管理人好みの選曲とアレンジは何度聴いても新鮮味を失わないスルメ盤である。01. Telepathy
02. Coffee Please
03. Saint Augustine In Hell
04. Alison
05. Fire Street
06. All For You
07. Virtual Insanity
08. Creep
09. On The Sea
10. Freedom Jazz Dance
11. Brown Sugar
(ソニー・ミュージック/SONY 2001年発売/SICP-40)
(ライナーノーツ/小沼ようすけ)
(ライナーノーツ/小沼ようすけ)












































