アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:フレディ・ハバード

フレディ・ハバード&オスカー・ピーターソン / フェイス・トゥ・フェイス / THERMO4


 『FACE TO FACE』の2曲目は【THERMO】(以下【サーモ】)。


 【サーモ】は聴き所満載であるが,ズバリ,フレディ・ハバードが最後に全部“おいしいところをもっていくさま”を聴いてほしい。

 【サーモ】の最初の聴き所は,クロマチィックなライン・メロディを簡単に弾き倒した3人の名人が,名人の名にふさわしいアドリブを聴かせるソロ回し!
 1番手はフレディ・ハバードトランペット・ソロ。いつも通りのテクニカル・トランペットが鳴り続ける中,心惹かれるのは,純粋に音楽の本質=創造的なフレージングの妙である。フレディ・ハバードが作るメロディ・ラインは一流作曲家のそれである。
 2番手はジョー・パスギター・ソロ。絶対的な名演に違いないが,フレディ・ハバードオスカー・ピーターソンの“超絶”にサンドされたジョー・パスが哀れ? ソロの巡り合わせが最悪な“不遇のアドリブ”である。
 3番手はオスカー・ピーターソンピアノ・ソロ。まるでアート・テイタムばりのアドリブがお見事! 「あんたが大将」である。

 上記を書き記した上での管理人の結論! 聴き所は5分56秒から6分37秒におけるトランペット・ソロと,それ以降のオスカー・ピーターソンとのソロ交換における,フレディ・ハバードの超絶フレーズにある! フレディ・ハバードのこのアドリブだけで大満足である。そして最後の最後に伸び上がる〜!

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

FREDDIE HUBBARD : Trumpet
OSCAR PETERSON : Piano
JOE PASS : Guitar
NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN : Bass
MARTIN DREW : Drums

フレディ・ハバード&オスカー・ピーターソン / フェイス・トゥ・フェイス / ALL BLUES5


 『FACE TO FACE』の1曲目は【ALL BLUES】(以下【オール・ブルース】)。


 オスカー・ピーターソンの【オール・ブルース】が聴ける! ついにオスカー・ピーターソンモードが聴ける! 管理人はこの日が来るのをずっと待ちわびていた。
 だがしかし,オスカー・ピーターソンはやっぱりモードがお嫌いのようでブルース・アレンジで逃げられてしまった。タイトルが【オール・ブルース】なのだから,文句はマイルス・デイビスに言うべき? だがしかし,これが凄いブルース! 期待外れなのに期待以上! それが【オール・ブルース】である。

 イントロから45秒間のフレディ・ハバードとのデュオで聴かせる芸達者ぶりに絶句する。オスカー・ピーターソン1人でフレディ・ハバードを支え得るバッキングが秀逸! 2分40秒からはジョー・パスモード・イディオムのギター・ソロと絡みながら「壊さず離れず」のジャズ・ピアノが最高である。

 しかし【オール・ブルース】の主役はフレディ・ハバードトランペット! 絶好調のピーターソンを“力づくで押しのけ”自分色に塗り変えて行く! この豊かな創造性はフレディ・ハバード特有の味! テクニカルなのにド迫力! 小手先の細かな変化と王道勝負が同居する“突進型”のトランペットは,もう誰にも止められない!

 管理人には意外な発見があった。フレディ・ハバードは自分の好き勝手には演奏してはいない。完璧にバックをコントロールしている。フレディ・ハバードに乗せられたオスカー・ピーターソンアドリブが,そしてニールス・ヘニング・オルステッド・ベデルセンベース・ソロが切れている。“狂喜乱舞”の大名演である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

FREDDIE HUBBARD : Trumpet
OSCAR PETERSON : Piano
JOE PASS : Guitar
NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN : Bass
MARTIN DREW : Drums

フレディ・ハバード&オスカー・ピーターソン / フェイス・トゥ・フェイス5


Face to Face 2008年の歳末に悲報が届いた。フレディ・ハバードだった。「また一人,偉大なジャズ・ジャイアントが亡くなってしまった」とジャズ好きの友人へ話した時,彼の発した一言で更に悲しくなってしまった。「フレディ・ハバードって尻つぼみの人でしょう? 後藤雅洋の本で読んだことがある」とのこと。あちゃ〜。これが何度目かのデジャヴであった。

 管理人は巷で定説化してしまった「フレディ・ハバード尻つぼみ説」に真っ向から反論したい。フレディ・ハバードを掴まえて「尻つぼみ」と称するのは,単純に「ハード・バップが最高だ」と思い込んでいるジャズ・ファンたちである。彼らの批評の物差しとは音楽形式の優劣であって肝心の演奏ではない。エレクトリックよりアコースティックが偉く16ビートよりも4ビートが偉い。そう。雰囲気がフュージョンしているものはアドリブがいかに優れていてもダメなのだ。

 現代最高のトランペッターウイントン・マルサリスである。ウイントンを聴いた直後に下手なトランペッターは聴けやしない。そう管理人が主張するのは,何もウイントン・マルサリスが“新伝承派の象徴”だからではない。
 絶対に有り得ないことだが,仮にウイントン・マルサリスフュージョン・サウンドをバックにジャズ・トランペットを吹き上げたらどうなるのだろう? きっと一斉に“ウイントン・バッシング”が湧き上がることだろう。理由は単純であって,ウイントンが“伝統のジャズ”を捨てたから…。
 どう? これって変でしょう? 純粋な音楽好きには有り得ないでしょう? 肝心の演奏内容は無視して,フュージョンという“売れ線”に手を染めたらそれで全てがおしまいなんて…。
 しかしこれは仮定の話ではないのです。現実に起きている悲しいナンセンス。そう。これが「フレディ・ハバード尻つぼみ説」の真相なのである。

 フレディ・ハバードハード・バップ・スタイルの栄光を守り続ける保守派ではない。ジャズ・シーンの変遷に自らのスタイルを重ね求める新進気鋭のジャズメンである。そう言う意味ではフレディ・ハバードマイルス・デイビスと同類である。「フレディ・ハバード尻つぼみ説」の支持者には電化マイルスを拒否する人が多いのも納得である。マイルス電化してからが最高なことも知らないくせに…。新年早々ブツブツ…。
 そう。スタイル変われどマイルスマイルス。スタイル変われどフレディフレディであった。しかしマイルス・デイビスフレディ・ハバードの決定的な違いは,マイルスが流行を産み落とす側のジャズメンであったのに対して,フレディは作られた流行に乗る側のジャズメンだったこと。それゆえ幸か不幸か,マイルス・デイビスは2度とメインストリームに戻ってこなかったが,フレディ・ハバードウイントン・マルサリスが作り上げた“新伝承派ムーブメント”に乗せられて“ストレート・ア・ヘッドなジャズ畑”へと舞い戻ってきた。

 『FACE TO FACE』(以下『フェイス・トゥ・フェイス』)は,流行のフュージョン畑に腰を据えつつも,これまた流行のアコースティック・ジャズへの回帰を模索し始めた頃のCDである。
 この“どっちつかず”の状況が,素のフレディ・ハバードの魅力を惹き出している。このタイミングでなければ“異色の顔合わせ”と騒がれた,ジャズ・ピアニストオスカー・ピーターソンとの共演も実現しなかったかもしれない。
 聴き所は,互いに“超絶技巧”と謳われるフレディ・ハバードオスカー・ピーターソンのハイ・テクニックの応酬合戦! そこへギタージョー・パスベースニールス・ベデルセンの芸達者が強烈に絡みつくからもう大変! スイングしたバックに呼応するテクニカル系のトランペットが個性豊かに鳴り響く! もう最高のジャズ・トランペットである。

 実は管理人にとって,上記,ウイントン・マルサリスの直後に聴けるジャズ・トランペッターの最右翼がフレディ・ハバードだった。フレディ・ハバードラッパウイントン・マルサリスラッパに負けてはいない。いいや,勢いと高速フレージングではウイントン・マルサリスを超えている。ウソだと思われた読者の皆さんは,騙されたと思って『フェイス・トゥ・フェイス』を聴いてみてほしい。騙されていたのは「フレディ・ハバード尻つぼみ説」の方だったと目が覚めるに違いない。

 個人的にはフレディ・ハバードの死はかなり痛い。フレディ・ハバード亡き後,テクニカル・トランペット系はランディ・ブレッカーが支えていく。しかし管理人の中のウイントン・マルサリスの直後に聴きたいトランペッターの座席は空席のまま。しばらくはクリフォード・ブラウンでも聴こうかなぁ。

(1982年録音/VICJ-60866)
(☆紙ジャケット仕様 ライナーノーツ/小川隆夫)

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