CD批評:チャールス・ロイド
2008年04月11日
チャールス・ロイド / フォレスト・フラワー / SORCERY
『FOREST FLOWER』の3曲目は【SORCERY】(以下【ソーサリー】)。
【ソーサリー】は,荻野目慶子の“狂乱の舞”のテーマである(←分かるかなぁ?)
キース・ジャレットが先か,チャールス・ロイドが先か,いや,2人同時に“狂気の音世界”へと突入していく。
圧倒的な音圧を誇るキース・ジャレットの“破滅の”ピアノの音符の上空を,チャールス・ロイドのフルートが一撃で切り裂いていく! 実に怪しい。殺気が漂っている。映画「悪魔が来りて笛を吹く」のゾクゾク感である。
キース・ジャレットのメロディアスなテーマが鳴り止まないうちに,早くも31秒でチャールス・ロイドのフルートが震え出す。そのまま2分前後まで持ちこたえるのだが,いつしか2人同時に共振し,壮絶な果たし合いの地獄絵図が描かれていく!
ダメだ。鳥肌が立ってくる。重度の緊張感に体全体が襲われ,いつまでも興奮が持続し寝付けやしない。そんな夜にCDラックの奥底から,チャールス・ロイドの「悪魔のフルート」が聞こえてきたら…。あぁ。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
CHARLES LLOYD : Tenor Sax, Flute
KEITH JARRETT : Piano
CECIL McBEE : Bass
JACK DeJOHNETTE : Drums
2008年02月06日
チャールス・ロイド / フォレスト・フラワー / SONG OF HER
『FOREST FLOWER』の4曲目は【SONG OF HER】(以下【ソング・オブ・ハー】)。
【ソング・オブ・ハー】は,イントロから共鳴しあう,セシル・マクビーのベースとジャック・デジョネットのドラムが“荘厳で壮大なドラマ”を描き出す! このベース・ラインを聴くだけで“悲しみが込み上げてくる”のはなぜだろう。
チャールス・ロイドのテナー・サックスが,物悲しく響いている。朗々と奏でるフレージングが(歯切れが良いだけに)胸にモロ突き刺さる! この“瑞々しい”テナーのトーンが名バラード=【ソング・オブ・ハー】の音世界と交錯している。
管理人はそうは思わないのだが,チャールス・ロイドを「ジョン・コルトレーンの後継者」と見なすジャズ批評家が少数ながら存在する。【ソング・オブ・ハー】だけを取り出して聴けば,なるほど,ジョン・コルトレーンの“生き写し”である。
2分41秒からのピアノ・ソロは,ロマンチストのキース・ジャレットならではの構成力! チャールス・ロイドのテナー・サックスを引き立てるバッキングは,中期キースの主戦場=カルテットの原型である。
それにしてもピンポイント=5分11秒でのキース・ジャレットのピアノの一音が“エコーがかって”美しすぎる!
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
CHARLES LLOYD : Tenor Sax, Flute
KEITH JARRETT : Piano
CECIL McBEE : Bass
JACK DeJOHNETTE : Drums

フォレスト・フラワー
2007年12月27日
チャールス・ロイド / フォレスト・フラワー / FOREST FLOWER - SUNSET
『FOREST FLOWER』の2曲目は【FOREST FLOWER − SUNSET】(以下【フォレスト・フラワー,日没】)。
【フォレスト・フラワー,日没】は【フォレスト・フラワー,日の出】との組曲! 叙情的でドラマティックで牧歌的! 次の時代を先取りした“フワフワとした浮遊感”漂う大作である。
【フォレスト・フラワー,日没】の聴き所は“やっぱり”キース・ジャレット! 華麗で壮大で幻想的なフレーズが“とめどなく沸き出てくる”。まさに「アドリブの泉」「創造の宝庫」である。
そんな中,3分20秒からのフレーズは,チック・コリアの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』の【ホワット・ゲーム・シャル・ウィ・プレイ・トゥディ】を連想してしまう。そう。チック・コリアに“先んじた”キース・ジャレット! そう聴こえてしまうのは管理人だけ?
7分50秒から,いよいよ【日没】となるのだが,太陽と地平線の傾き具合をキース・ジャレットが一人で演出してみせる。
8分35秒からのピアノのバッキングでついに太陽は姿を消し,8分58秒からの“鐘の音”を合図に【フォレスト・フラワー】が花開く! この組曲における演奏スタイルが,後の「完全即興」への布石とも読み取れる。比類なき圧倒的才能を顕わにしている。
ところで【フォレスト・フラワー,日没】には,モンタレイ・ジャズ・フェスティヴァル特有の“ハプニング”が記録されている。
このモンタレイの会場,どうやら近くに飛行場があるらしく,キース・ジャレットのソロが始まる直前まで大きなプロペラ音が…。
でもこれが「ナイスな演出」に思えて,毎回微笑んで(ニヤついて)しまう。プロペラ機を“露払い”とするあたり,さすがは天下のキース・ジャレット!
またしてもキースについてばかり書いてしまったが【フォレスト・フラワー,日没】についてこれだけは補足しておこう。エンディングでのセシル・マクビーのベース・ソロが“いい感じ”ですよっ。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
CHARLES LLOYD : Tenor Sax, Flute
KEITH JARRETT : Piano
CECIL McBEE : Bass
JACK DeJOHNETTE : Drums

フォレスト・フラワー
2007年12月26日
チャールス・ロイド / フォレスト・フラワー / FOREST FLOWER - SUNRISE
『FOREST FLOWER』の1曲目は【FOREST FLOWER − SUNRISE】(以下【フォレスト・フラワー,日の出】)。
【フォレスト・フラワー,日の出】は【フォレスト・フラワー,日没】との組曲! 叙情的でドラマティックで牧歌的! 次の時代を先取りした“フワフワとした浮遊感”漂う大作である。
【フォレスト・フラワー,日の出】の聴き所は“やっぱり”キース・ジャレット! 1分17秒からのピアノのフィルイン。ほんのレイコンマ何秒が聞こえただけで,金縛りにあってしまう!
このピアノの衝撃波を聴衆も感じ取ったのであろう,キース・ジャレットのアドリブからわずか数秒で“自然発生的”に拍手が沸き起こっている。「よっ,待ってました。大統領!」のノリである。
こんなピアニストって,キース以外にいるのだろうか?
キースの盟友=ジャック・デジョネットのドラムスが“元気ハツラツ”! 潮の満ち引きのごとく,寄せては返す“ナギ”のドラム・ウェーブ。4分54秒からのドラム・ソロは一転,荒海“シケ”のドラム・ウェーブ。“緩急自在”のドラミングが素晴らしい。
チャールス・ロイドのテナー・サックスは,周囲の景色がどれ程激変しようとも,終始マイペース。まるで無重力の宇宙遊泳のごとく,最高のリズム隊が創り上げた「カヤック」に乗せられ,波と戯れ,潮の流れに身を委ねている。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
CHARLES LLOYD : Tenor Sax, Flute
KEITH JARRETT : Piano
CECIL McBEE : Bass
JACK DeJOHNETTE : Drums

フォレスト・フラワー
2007年12月25日
チャールス・ロイド / フォレスト・フラワー
ジャズ/フュージョンを聴く楽しみの一つに“リーダー喰い”のサイドメンの名演がある。当然,ロックやポップスにも存在するのだが,その質と量において“リーダー喰い”は,ジャズ/フュージョンの専門特許! 要はアドリブの「幅と長さと高さと深さ」が,他のジャンルの追随を許さない“自由奔放の極み”へと達しているからだ。
それで大方のジャズ/フュージョン・ファンは,気に入ったサイドメンの更なる熱演を“漁る旅”へと出かけるようになるのだが,この手法には当然“ハズレ”が存在する。ほら,読者の皆さんの周りにも1人や2人はいるでしょう? 上の者にはズケズケ文句を言うくせに,いざ自分が責任者になった途端にシドロモドロ。部下には何にも指示できない人が…。
しかし中には当然“当たり”も存在する。1度でも“大当たり”を引いてしまったが最期,サイドメンを“漁る旅”から2度と抜け出せなくなる“かっぱえびせん(♪やめられない,とまらない)”スパイラル! ジャズ/フュージョン中毒も“ホンマ物”である。
さて,そんな管理人のとっておきの“大当たり”が,キース・ジャレットつながりで巡り会えた,チャールス・ロイドの『FOREST FLOWER』(以下『フォレスト・フラワー』)!
そう。管理人の中では『フォレスト・フラワー』の主役はキース・ジャレットであって,チャールス・ロイドはサイドメン! 『フォレスト・フラワー』におけるキース・ジャレットの演奏が半端ない! 若さ溢れるキース・ジャレットの,あの圧倒的な爆発力と無鉄砲な荒々しさが物凄い!
『フォレスト・フラワー』におけるキース・ジャレットのアドリブは,他のキース作品とは一線を画している。正直,こんな快演は,キース・ジャレットのリーダーCDでもなかなかお耳にかかれない。単なるリズム・セクションとしての枠を超え,まるでフロントのように歌いまくるキースのジャズ・ピアノ! キース・ジャレットというジャズ・ピアニストの辞書に「バッキングに徹するサイドメン」の文字など存在しない。そう。『フォレスト・フラワー』は,キース・ジャレットの“若気の至り”が堪能できる「お宝」CDなのである。
いや違う。「お宝」は「お宝」でも『フォレスト・フラワー』が「お宝」CDたる所以は,サイドメンであるチャールス・ロイドの“キース喰い”! そう。チャールス・ロイドの快演がキース・ジャレットのピアノに“割って入ってくる”。どうしてもチャールス・ロイドのテナーの音使いに注意が向いてしまうのだ。
理由は単純明快。『フォレスト・フラワー』は(実は)チャールス・ロイドのリーダーCDなのだから…。でもでも,同じカルテット編成のアメリカンとヨーロピアンにおける,デューイ・レッドマンとヤン・ガルバレクの2人のテナーマンの音使いはピアノと明確に聴き分けることができていたのに…。ここが「チャールス・ロイド=最強のサイドメン説」の要点である!
「チャールス・ロイド=最強のサイドメン説」は,管理人の強引な“こじつけ”などではない。ロイド・ファンの皆さんには辛口で申し訳ないと思うが,ウソ偽りなく述べよう。チャールス・ロイドが輝いていたのは,悲しいかな,キース・ジャレット在籍時の1966〜1969年の4年間だけなのだから…。
さてさて,記事の最後に『フォレスト・フラワー』自体についても触れておこう。『フォレスト・フラワー』は,テナー奏者のチャールス・ロイドが,ピアノ=キース・ジャレット,ベース=セシル・マクビー,ドラムス=ジャック・デジョネットという,超豪華“目も眩むような”リズム・セクションを率いて,1966年のモンタレイ・ジャズ・フェスティヴァルの演奏を収録したライブ盤!
当時流行の“フリー・ジャズのロック化”に違いないが,ラテンや4ビートを交えた“変幻自在”最新で最高のリズム・セクションが,ロックの洗礼を受けた聴衆のハートを,ジャズの真髄=アドリブだけで“鷲掴み”した様子が見事に記録された“サムシングな”大名盤! ロイド・ファンとキース・ファンの「必聴盤」である。
(1966年録音/WPCR-25117)


























