CD批評:デクスター・ゴードン

2008年06月12日

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / ERNIE'S TUNE4


 『DEXTER CALLING』の6曲目は【ERNIE’S TUNE】(以下【アーニーズ・チューン】)。


 【アーニーズ・チューン】では,デクスター・ゴードンの中に住む「天使(アルト・サックス)と悪魔(テナー・サックス)」が同時に顔を出している。

 イントロから最高にメローな“デックス節”! バラード・ナンバーではあるが「いいぞ,甘いのもっといけ〜!」と叫びたくなる。
 1分34秒からのビブラートが流れた瞬間“トロトロの骨抜き”にされてしまう。これが“天使”のアルト・サックスデクスター・ゴードン

 2分10秒から突然不穏なテーマが鳴る。ここからケニー・ドリューピアノを“子分”として連れ回す“暗黒の世界”が始まる。
 ケニー・ドリューに“親分登場”のテーマを奏でさせ,自分は一人で縄張り巡り。誰も寄りつかないドス黒さ! これが“悪魔”のテナー・サックスデクスター・ゴードン

 2分40秒からは天使の顔。3分45秒からは悪魔の顔。そしてラストは「ジキルとハイド」の大団円! デクスター・ゴードンの中の悪魔が顔を出さなければ「星五つ」の名演であろうが,それではここまでのインパクトは残らない。良くも悪くも“あの”テナーの鳴りっぷり! デクスター・ゴードンテナー・サックスバラード好きへの“凶器”となり得る。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums


2008年04月18日

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / THE END OF A LOVE AFFAIR4

アナログレコード

 『DEXTER CALLING』の4曲目は【THE END OF A LOVE AFFAIR】(以下【情事の終わり】)。


 ミディアム・テンポでスインギーな【情事の終わり】に,不適切な関係の後ろめたさは感じない。切れそうで切れない。離れようとすればする程,欲情の深みにハマりこむ。あっ,これってジャズのお話でしたっけ?

 デクスター・ゴードンの“アルト・ライクな野太いテナー”が快調にスイングしていく! 2分56秒で,声が裏返ってしまうが,そこはデックス特有のご愛敬。ここを持ってして熱演とするのは邪道である。

 デクスター・ゴードンの“歌もの”は,メロディを聴かせつつもアドリブでキメを打つ! ケニー・ドリューの名サポートを受けた【情事の終わり】でも,豊かなメロディと豪快なブローが見事に共存している。

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DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums


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2008年04月05日

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / CLEAR THE DEX5


 『DEXTER CALLING』の5曲目は【CLEAR THE DEX】(以下【クリア・ザ・デックス】)。


 【クリア・ザ・デックス】は,タイトル通りの「デックスの魅力“剥き出し”」ナンバー。後乗り+ゴードン節の大炸裂である。

 イントロから始まるテーマで聴かせる“絶妙の後乗り”に続く,33秒からのテナー・ソロが圧巻である。連続してバップ・フレーズが沸き上がるのだが,どこでどう切っても“ゴードン節”! この味の“旨味”を知る者には,堪えられないに違いない。
 ケニー・ドリューアドリブも軽快そのもの。デックスの快演に引っ張られたのかケニー・ドリューにしては相当“振り切れた”ピアノである。

 管理人にとって【クリア・ザ・デックス】は“剥き出し”のデックスの魅力を堪能し,ケニー・ドリューの新たな魅力に接するきっかけともなった印象深いトラックの一つである。

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DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums


2008年01月08日

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / I WANT MORE4

アナログレコード

 『DEXTER CALLING』の3曲目は【I WANT MORE】(以下【アイ・ウォント・モア】)。


 これぞ「後乗りのデックス」の真骨頂! 【アイ・ウォント・モア】には,4人の細やかな“決まり事”が見え隠れするが,デックス一人が「後乗り」し,おいしいところ全てを持っていく。

 38秒で明らかなデクスター・ゴードンの「後乗り」には“後出しジャンケン”のような後ろめたさは微塵もない。なぜなら彼の「後乗り」は大抵“絶妙な間”とセットで繰り出されている。そう。これはデクスター・ゴードンの本能なのであろう。

 【アイ・ウォント・モア】とは,ケニー・ドリュー・トリオへ宛てたデクスター・ゴードンからの欲張りなおねだり! → 「もっとリズムが欲しいの。スイングしたいの」。
 これには管理人も「後乗りのデックス」の上へ「後乗り」して,ケニー・ドリューへおねだりしたい! 【アイ・ウォント・モア】で明瞭な“黒々&ノリノリ”ピアノをもっと聴かせてほしいなぁ。パウエル派だった“時代もの”のケニー・ドリューが一番好きです。さぁ,パウエル派ケニー・ドリューへカムバック!

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DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums


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2007年12月24日

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / MODAL MOOD4

アナログレコード

 『DEXTER CALLING』の2曲目は【MODAL MOOD】(以下【モーダル・ムード】)。


 【モーダル・ムード】のタイトル通り,モード・イディオムを用いてはいるが,その中身はムードだけが“モード風”のハード・バップである。

 デクスター・ゴードンテナー・サックスは“モード風”などお構いなし? ハードなハードなバップ・テナー! 音色はいつも通りのアルト寄りの高音であるが,この音の厚みは「バップ・テナーの開祖」の名に相応しい。エモーショナルなフレーズが音に優しさを添えており,そこが一服の清涼剤! 聴き手をいつも飽きさせない。

 特筆すべきはフィリー・ジョー・ジョーンズドラムス! ハイテンションなドラミングが終始続いていたはずなに,4分13秒からの大盛り上がりで「まだこんな演出が用意されていたのか?」と驚嘆させてくれる。フィリー・ジョー・ジョーンズドラミングが,やはり【モーダル・ムード】は“モード風”のハード・バップであることを証明している。

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DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums


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2007年12月18日

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / SOUL SISTER5

アナログレコード

 『DEXTER CALLING』の1曲目は【SOUL SISTER】(以下【ソウル・シスター】)。


 【ソウル・シスター】を聴くと,いつでも身体に電流が流れる思いがする。熱演ではない。小粋なブルースである。しかしだからこそ“しびれて”しまう。ここは上質なマニアのためのジャズ空間! クラブでの鳴りやまない拍手が聞こえてきそうな演奏である。

 ほのぼのムードが何度も転調する【ソウル・シスター】でのデクスター・ゴードンテナー・サックスに,ついソニー・ロリンズを投影してしまう。『ウェイ・アウト・ウエスト』での,ほのぼのロリンズである。
 ビシビシ吹いているはずなのに,スケールの大きなと言うべきか,遊び心のあると言うべきか…。デックス然り,ロリンズ然り,人柄であろう。

 3分34秒からのケニー・ドリューピアノ・ソロが,最高に美しいブルース! 5分17秒からのポール・チェンバースベース・ソロが,ズングリムックリのタイム感! フィリー・ジョー・ジョーンズの相性抜群のドラムも含めて,この4人でなければ成立しえない,ジャズの基本=ブルースであろう。

 6分33秒からのテーマが前半より2割り増しの華やかさ。
 6分45秒でのデクスター・ゴードンのフレーズときたら…。ここでは敢えて言及しない。これは聴いてのお楽しみ! ジャズ・マニアなら声を出して“うなる”はずである。

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DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums


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2005年12月26日

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング5

アナログレコード

 師走。歳末。流行語大賞の発表である。
 2005年の流行語として「ちょいモテオヤジ」が選ばれた。「ちょいモテ」って,本当に流行っているのか? 「ちょい不良(ワル)」のような気がするが…。

 「ちょいモテ」「ちょい不良(ワル)」の真偽は置いといて,管理人が「ちょいモテ」と聞いて連想する人物は,パンツェッタ・ジローラモではなく,通称“デックス”のデクスター・ゴードン! そう。テナー・サックスの巨人である。
 パリ在住時代のバド・パウエルをモチーフとしたジャズ映画=「ラウンド・ミッドナイト」の主演俳優でもあるデクスター・ゴードンの風貌こそ,管理人がイメージする「ちょいモテ」!
 “ロング・トール・デクスター”の愛称で呼ばれた,身長198cmの大柄で帽子とトレンチ・コートがよく似合う風貌は,例えるなら阿部寛? 阿部つながりでJ−リーグ・ジェフの阿部勇樹? あっ,このW阿部は「激モテ」。デクスター・ゴードンはW阿部より劣るから「ちょいモテ」。やっぱり「ちょいモテ」!?

 さて“ロング・トール・デクスター”から,デクスター・ゴードン「ちょいモテ」論を導いてみたが,デクスター・ゴードンを“見かけ倒しのテナー・マン”とは侮るなかれ! デックスが「ちょいモテ」の真意は,彼の“モテモテな”テナー・サックスにある!
 デクスター・ゴードンテナー・サックスには“限りないリラクゼーション”と“猛烈なドライブ感”が奇跡的に共存している。その要因は,やっぱりあの“後乗り”にあるだろう。あの強引に“後ろへ後ろへ”後ずさりさせた地点で半強制的に聞かされる,独特のトーンと歌心あふれるフレーズ! 泰然自若,朗々と鳴り響く「ちょいモテ」テナーの登場に気持ち良くなる管理人はM?

 『DEXTER CALLING』(以下『デクスター・コーリング』)を聴いてみてほしい。『デクスター・コーリング』にこそ,デクスター・ゴードンの「ちょいモテ」テナーぶりが色濃く記録されている。
 要は尻軽,軽薄とは別種のパンツェッタ・ジローラモ級の「軽さ」である。そう。気軽に誰とでも付き合い始める敷居の低さ。しかし本命を一途に思い続ける真の強さで一線以上は崩れない。これを一言「大人の軽さ」と表現すれば,伝わる人には伝わると思いますが…。
 『デクスター・コーリング』には,ジャズ初心者を魅了する“お気軽な空気感”とジャズ上級者をもうならせる“奥の深さ”が共存している。マニアが選ぶ“通の一枚”であろう。例の“猛烈な後乗り”が,聴いている方がハラハラするほどたどたどしく,ふてぶてしく,息を呑むほど美しい! この絶妙なブレンドこそがデクスター・ゴードン独特の味わい。ブレンド“デックス”コーヒーを召し上がれ!?

 そんなこんなで管理人は「レオン」ではなく『デクスター・コーリング』で男を磨いている。「ちょいモテオヤジ」に必要な要素は『デクスター・コーリング』に詰まっている。そう。『デクスター・コーリング』こそ「ちょいモテオヤジ」のバイブルである!

(1961年録音/TOCJ-6634)

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