アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:デクスター・ゴードン

デクスター・ゴードン / ゲッティン・アラウンド5

GETTIN' AROUND-1 『GETTIN’ AROUND』(以下『ゲッティン・アラウンド』)は名盤である。
 ただし,デクスター・ゴードン名義の名盤というわけではない。ジャズに崇高なアドリブ芸術など求めない,純粋に「リラックスして楽しむのがジャズ」と考える音楽ファンに打ってつけの名盤である。

 そう。『ゲッティン・アラウンド』には,気だるさというか,妙にフレンチっぽいというか『OUR MAN IN PARIS』以上に,ヨーロピアンな“洒落っ気”が感じられる。
 肩の力の抜けた“滋味溢れる”名演の心地良さが『ゲッティン・アラウンド』の中に詰まっている。

 ズバリ『ゲッティン・アラウンド』の「アンニュイ」の秘密は,ボビー・ハッチャーソンのお洒落なヴィブラフォンにある。
 ボビー・ハッチャーソンヴィブラフォンが,デクスター・ゴードンの「黒さ,重さ,野太さ,男気」の個性に風穴を空けている。爽やかなそよ風を吹き込んでいる。この“軽やかさ”も間違いなくジャズの魅力の醍醐味に違いない。

 ややもすればデクスター・ゴードンテナーサックスは押し付けがましくて,ぶっきらぼうなとこらがあるのだが『ゲッティン・アラウンド』では,いつになく陽気で翳りのないデクスター・ゴードンの“アンサンブル”に心躍るものがある。

 ボビー・ハッチャーソンヴィブラフォンが“開けっ広げ”なデクスター・ゴードンの丁寧なアドリブの間を取っていく。
 ヴィブラフォン特有の持続音が,感情の高まりを落ち着かせ,緩やかな演奏の波に乗せてくれる。デックスの雰囲気を“そっと”運んでくれる。

 デクスター・ゴードンが“朗々と”歌っている。ただそれだけで気だるさを超えた「忘我の境地」に入ってしまう。聴けば聴くほど“味わい”があり,くつろいだ空気感にいつでも身を置くことができる。
 そう。『ゲッティン・アラウンド』の音像とは,アルバム・ジャケットに写っているデックスの“ニヤケ顔”そのもの! 初夏の柔らかな風を受けた休日のサイクリングそのもの!

GETTIN' AROUND-2 “鼻歌を歌いながら”サイクリングにいそしむデックスという「大男」が最高にチャーミング! 管理人にとって『ゲッティン・アラウンド』とは,のどかでほのぼのとした田舎での休日で“乗り回す”サイクリングのBGM!

 気だるいことが気持ちいいと感じられるジャズ名盤群。その最右翼の1枚が『ゲッティン・アラウンド』なのである。

  01. MANHA DE CARNAVAL
  02. WHO CAN I TURN TO
  03. HEARTACHES
  04. SHINY STOCKINGS
  05. EVERYBODY'S SOMEBODY'S FOOL
  06. LE COIFFEUR

(ブルーノート/BLUE NOTE 1966年発売/TOCJ-6679)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー,岡崎正通)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

デクスター・ゴードン / アワ・マン・イン・パリ5

OUR MAN IN PARIS-1 『OUR MAN IN PARIS』(以下『アワ・マン・イン・パリ』)の『OUR MAN』とはデクスター・ゴードン
 そう。『アワ・マン・イン・パリ』とはデクスター・ゴードンパリセッションのこと。

 だから『アワ・マン・イン・パリ』は,いつもの(アメリカの)デクスター・ゴードンの雰囲気とはちょっと違う。
 「芸術の都」と呼ばれるパリの空気を吸って,ジャズスタンダードを,ヨーロッパ調に?芸術っぽく?カッコヨク?吹き上げている,デクスター・ゴードンが“お上品”なのだ。

 デクスター・ゴードン・ファンからすると異色盤の『アワ・マン・イン・パリ』であるが,これがいいのだ。
 ジャズメン=アーティスト扱いのスタジオ録音で,生真面目にして弾んだ演奏&意気揚々と屈託のない演奏で,デクスター・ゴードンの「おめかしした演奏」と「リラックスした演奏」の両面が聴けるのは『アワ・マン・イン・パリ』だけである。

 良く知られたスタンダード集ゆえに,細かく途切れるように,語尾を伸ばさない“デックス節”が全開。
 テナーサックス本来の“低音の唸り”も迫力満点であるが,大らかな高音部の響きがどこまでも力強く,優しさに溢れた「ダンディな男」デックス。例の「後ノリ」が鳴りだすと「いよっ,待ってました」な「千両役者」の登場であろう。

 テナーサックスの音色についても,いつもと違う「ヨーロピアンな」雰囲気がある。いつもの豪放で男性的で野太いトーンはそのまんまにして,荒々しい感じだけが消えた「ダンディな男」デックステナーが「渋い声」で大鳴りしている。
 何とも言えない余裕というか大人の貫録というか「大物感」がある。これぞ最大の“PARIS”効果なのであろう。

 【チュニジアの夜】が最高である。本来熱いグルーヴが似合う曲なのに,デクスター・ゴードンの“ワンホーン”で延々と歌い上げられるこの演奏には,どこか透き通ったような寂しさを感じる。
 狂騒的な熱帯の夜の雰囲気はない。いい意味でムーディーでエキゾチックな夜という感じで,太くてたくましいがまろやかな音で,余裕しゃくしゃくの演奏に“うっとり”してしまう。本当に大好き。

OUR MAN IN PARIS-2 デックス自らが“最高傑作”と公言する『GO!』の中にデクスター・ゴードンの全ての魅力が詰まっているのは間違いない。
 レベル的にはデクスター・ゴードンの,というよりも,ジャズサックスを代表する,あるいはモダン・ジャズを代表する名盤の1枚であろう。

 しかし『アワ・マン・イン・パリ』での“余所行き感”を知ってしまうと,幸福そうなデクスター・ゴードンの笑顔が見えてくるように感じて,たまらない愛着を感じてしまう。
 『OUR MAN』=私たちの大男=アメリカを代表するテナーサックス奏者=デクスター・ゴードンを知って欲しいし,聴いて欲しい。

 そう。管理人が選ぶデクスター・ゴードンの愛聴盤は『GO!』ではなく『アワ・マン・イン・パリ』の方なのである。

PS 『アワ・マン・イン・パリ』に“ピンと来たら”やっぱり映画「ラウンド・ミッドナイト」を見てみないと! “俳優”デクスター・ゴードンが見事に“奇人”バド・パウエルを演じています。ベーシストピエール・ミシュロも“ちょい役”で出演しています。

  01. SCRAPPLE FROM THE APPLE
  02. WILLOW WEEP FOR ME
  03. BROADWAY
  04. STAIRWAY TO THE STARS
  05. A NIGHT IN TUNISIA

(ブルーノート/BLUE NOTE 1963年発売/TOCJ-9045)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,小川隆夫)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

デクスター・ゴードン / ゴー!5

GO!-1 デクスター・ゴードン自らが公言する“最高傑作”が『GO!』(以下『ゴー!』)である。
 デクスター・ゴードン自らが『ゴー!』を“最高傑作”と公言したくなる理由も理解できる。『ゴー!』こそがデクスター・ゴードンの“ジャズメン・シップ”の生きた証しなのだから…。

 ビ・バップからハード・バップへと移ろう50年代。第一線で活躍していたデクスター・ゴードンジャズ・シーンから突然消えた。よくある麻薬禍である。
 デクスター・ゴードンと同じパターンのジャズ・サックス・プレイヤーにアート・ペッパーがいるのだが,アート・ペッパーの場合は「前期」「後期」と呼ばれるように,麻薬休業の「以前」「以後」では音楽性がガラリと一変した。アート・ペッパーは監獄の中で聴いたジョン・コルトレーンから影響を受けてしまったから…。

 デクスター・ゴードンの場合は,麻薬休業中にハード・バップの洗礼を受けない「ガラパゴス」ジャズメン。ジャズの潮目が変わろうとも,カムバック後のデックスは引退前のデックスと同じ。
 そんな「浦島太郎」的なデックスだったから,時代がデクスター・ゴードンの“ジャズメン・シップ”に追いついた時,他の追随を許さない圧倒的な王者の演奏で輝くことができたのだ。

 基本,デクスター・ゴードンは,誰と共演しようが,ただひたすら自分のスタイルで悠然とプレイする。だからデクスター・ゴードンには,全てを受け止め,あの「ゴツゴツとした」テナーサックスを「丸く転がしてくれる」共演者を必要としている。

 『ゴー!』で共演したピアニストが“ブルーノートの秘蔵っ子”であるソニー・クラークである。主役に優しく寄り添いながらもブリリアントに響くソニー・クラークピアノが,デクスター・ゴードンテナーサックスの響きに立体感と奥行きをもたらしている。暗く“マイナー系”の独特の雰囲気が演奏に適度な粘りと黒さを与える“秀才”である。

 そう。『ゴー!』は“泰然自若”としたデクスター・ゴードンと“マイナー系”ソニー・クラークの「運命の巡り会わせ」無くしては成立することのできなかった大名盤である。
 デクスター・ゴードンが,以前と変わらぬビ・バップ気質を持ち合わせていたがゆえの「時代の巡り会わせ」というものだろう。

 デクスター・ゴードンの代表曲である【CHEESE CAKE】を聴いてほしい。哀愁溢れるマイナー・チューンが,程良くノリのいいテンポで演奏されるから余計に切なさが際立つ“切ない疾走系”の名曲である。
 ソニー・クラークピアノに「気持ち良く乗せられてしまった」デクスター・ゴードンが,軽快に駆け足するビートをバックに得意のやや遅れたタイミングで語りかけるようにブロウする。スピード感のある演奏なのに,たっぷりと息を吹き込んだデクスター・ゴードンの“可憐な”テナーサックスの音色にグッと来る。

GO!-2 デクスター・ゴードンテナーサックスが,いつにも増して朗々と伸びやかに響き渡る。ノン・ビブラートで発せられる力強い音には芯があり“大鳴り”している。

 デクスター・ゴードンの特徴である「後ノリ」が,これ以上遅れるともたついてしまうという“ギリギリの快感”を呼び起こし,一音一音に躍動感とインパクトを与えている。絶妙な「タメ」の存在がフレーズが滑らかに流れ過ぎないアクセントになっている。

 そう。デクスター・ゴードンテナーサックスを耳で追い続けるだけで,ドキドキ&ワクワクの楽しい時間があっという間に過ぎていく。
 アップ・テンポでは『ゴー!』と豪快にブロウし,スロー・テンポでは,微妙に陰りの情感を漂せて“たまらない”気分にさせてくれる大名盤である。

 ズバリ『ゴー!』の聴き所は,時代が一周回ってきた感じの「バップの雰囲気」にある。ソニー・クラーク名演とバップ期のイデオロギーへの揺るぎない確信がデックスの“無双”気分をプッシュしている。

 その実,豪快極まりない演奏なのだが,決して圧倒されることはない。奇をてらわないデクスター・ゴードンの“ジャズメン・シップ”が,これぞモダン・ジャズ的な雰囲気を持っている。大好物! 

  01. CHEESE CAKE
  02. I GUESS I'LL HANG MY TEARS OUT TO DRY
  03. SECOND BALCONY JUMP
  04. LOVE FOR SALE
  05. WHERE ARE YOU
  06. THREE O'CLOCK IN THE MORNING

(ブルーノート/BLUE NOTE 1962年発売/TOCJ-6479)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー,皸羶成)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

デクスター・ゴードン / ドゥーイン・オールライト4

DOIN' ALLRIGHT-1 デクスター・ゴードンと言うと“ワンホーン”のイメージが強い。映画「ラウンド・ミッドナイト」での,椅子に腰掛けながらの演奏シーンがイメージとして強く残っているから。
 映画「ラウンド・ミッドナイト」を見ていないデクスター・ゴードン・ファンの中にも,デックス=“ワンホーン”のイメージを抱いているのでなかろうか? なぜならデクスター・ゴードンの代表作である『GO!』や『OUR MAN IN PARIS』が“ワンホーン”だから。

 しかしデクスター・ゴードンについて回る“ワンホーン”のイメージは単純に編成の問題ではない。デクスター・ゴードンは,いつでも,どんな編成で吹いても“ワンホーン”のデックスのままなのである。

 『DOIN’ ALLRIGHT』(以下『ドゥーイン・オールライト』)を聴いてみて,デックス=“ワンホーン”と感じる理由を再認識することができた。
 『ドゥーイン・オールライト』は,デクスター・ゴードンにしては貴重なトランペットフレディ・ハバードとの2管フロント。
 フレディ・ハバードの“パリッ”としたトランペットは超個性的であるが,その隣りで鳴り響く“男性的で野太くゴツゴツとした”デクスター・ゴードンテナーサックスの存在感たるや,王将格のトランペットを「捻りつぶして」しまっている。

 ズバリ『ドゥーイン・オールライト』は事実上,2管ではなくデクスター・ゴードンの“ワンホーン”として楽しむべきアルバムである。
 このように書くとソニー・ロリンズのような“ワンマン”を連想されるかも知れないが,デクスター・ゴードンはそうではない。あくまで“ワンマン”ではなく“ワンホーン”のデックスである。
 デクスター・ゴードンテナーサックスが鳴れば,フレディ・ハバードトランペットでさえハーモニー楽器に成り下がってしまう。

 ソニー・ロリンズのような天才的なアドリブがあるわけではなく,ジョン・コルトレーンのような神々しさも無いのだが,明快で,颯爽としたテナーの胴鳴りを聴いていると「あっ,自分ってテナーサックスに一番ジャズを感じてしまうんだな」と自覚させられてしまう。
 この辺の感覚が“ジャズ・ジャイアント”の一人として,デクスター・ゴードンは「絶対に外せない」と思わせる魅力なのだと思う。

 なんだかフランク・シナトラのようでもあり,一転して演歌歌手のようでもある。ビートに対してほんのわずか遅らせて吹くから,あのゆったりしたノリが出てくる。ディレイがかって聴こえる。そこが何とも言えないデクスター・ゴードン特有の“味”だと思う。

DOIN' ALLRIGHT-2 デクスター・ゴードン特有の“味”に,ピアノホレス・パーランベースジョージ・タッカードラムアル・ヘアウッドが耳をそばだて聴き入っている。
 デクスター・ゴードンの大らかなスケール感がトランペットフレディ・ハバードをも説得し,場の空気を支配していく。

 読者の皆さんにも『ドゥーイン・オールライト』におけるデクスター・ゴードンの「アメとムチ」を聴いてほしい。
 デクスター・ゴードンの,ゆったりと包み込むようにブロウするテナーサックスの“味”にハマってしまうと,ソニー・ロリンズジョン・コルトレーンが繰り出す高速パッセージが,何だか無意味で過剰でせわしなく聴こえてしまうようになる。

 改めて思う。デクスター・ゴードンほど“ワンホーン”が似合う男はいないのではなかろうか? デクスター・ゴードンの,太く豪快にして,ほろりとくるテナーサックスがあれば,余計なものは要らないと思う。

 そう。デクスター・ゴードンテナーサックスの中に“ワンホーン”の醍醐味が全部詰まっている。ずっと聴き続けていたい…。

  01. I WAS DOING ALL RIGHT
  02. YOU'VE CHANGED
  03. FOR REGULARS ONLY
  04. SOCIETY RED
  05. IT'S YOU OR NO ONE

(ブルーノート/BLUE NOTE 1961年発売/TOCJ-4077)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー,後藤誠,辻昇)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / SMILE5

 『DEXTER CALLING...』の7曲目は【SMILE】(以下【スマイル】)。


 喜劇王チャーリー・チャップリンの名バラード【スマイル】であるが,ジャズ界のロング・トール王=デクスター・ゴードンは,成功へのバラードの歩みを捨て,ミディアム・テンポでの熱演を“演じて”いる。

 【スマイル】の極上テーマは“いじることなく”素直に吹き上げ,それ以外は徹底的にドライブする。それがデクスター・ゴードンのやり方である。
 ケニー・ドリュー・トリオのごきげんな演奏に乗せられたのか,デックスアドリブが軽快フレーズのオンパレード。肩の力の抜けきった,あたかもライブでのアンコール演奏の雰囲気である。
 そう。花道を練り歩きながら客席へ感謝のウインクを飛ばすデクスター・ゴードンこそジャズ・ヒーロー! 豪快な男に親しみを覚える瞬間が【スマイル】にある。

DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / ERNIE'S TUNE4

 『DEXTER CALLING...』の6曲目は【ERNIE’S TUNE】(以下【アーニーズ・チューン】)。


 【アーニーズ・チューン】では,デクスター・ゴードンの中に住む「天使(アルト・サックス)と悪魔(テナー・サックス)」が同時に顔を出している。

 イントロから最高にメローな“デックス節”! バラード・ナンバーではあるが「いいぞ,甘いのもっといけ〜!」と叫びたくなる。
 1分34秒からのビブラートが流れた瞬間“トロトロの骨抜き”にされてしまう。これが“天使”のアルト・サックスデクスター・ゴードン

 2分10秒から突然不穏なテーマが鳴る。ここからケニー・ドリューピアノを“子分”として連れ回す“暗黒の世界”が始まる。
 ケニー・ドリューに“親分登場”のテーマを奏でさせ,自分は一人で縄張り巡り。誰も寄りつかないドス黒さ! これが“悪魔”のテナー・サックスデクスター・ゴードン

 2分40秒からは天使の顔。3分45秒からは悪魔の顔。そしてラストは「ジキルとハイド」の大団円! デクスター・ゴードンの中の悪魔が顔を出さなければ「星五つ」の名演であろうが,それではここまでのインパクトは残らない。良くも悪くも“あの”テナーの鳴りっぷり! デクスター・ゴードンテナー・サックスバラード好きへの“凶器”となり得る。

DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / THE END OF A LOVE AFFAIR4

 『DEXTER CALLING...』の4曲目は【THE END OF A LOVE AFFAIR】(以下【情事の終わり】)。


 ミディアム・テンポでスインギーな【情事の終わり】に,不適切な関係の後ろめたさは感じない。切れそうで切れない。離れようとすればする程,欲情の深みにハマりこむ。あっ,これってジャズのお話でしたっけ?

 デクスター・ゴードンの“アルト・ライクな野太いテナー”が快調にスイングしていく! 2分56秒で,声が裏返ってしまうが,そこはデックス特有のご愛敬。ここを持ってして熱演とするのは邪道である。

 デクスター・ゴードンの“歌もの”は,メロディを聴かせつつもアドリブでキメを打つ!  ケニー・ドリューの名サポートを受けた【情事の終わり】でも,豊かなメロディと豪快なブローが見事に共存している。

DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / CLEAR THE DEX5

 『DEXTER CALLING...』の5曲目は【CLEAR THE DEX】(以下【クリア・ザ・デックス】)。


 【クリア・ザ・デックス】は,タイトル通りの「デックスの魅力“剥き出し”」ナンバー。後乗り+ゴードン節の大炸裂である。

 イントロから始まるテーマで聴かせる“絶妙の後乗り”に続く,33秒からのテナー・ソロが圧巻である。連続してバップ・フレーズが沸き上がるのだが,どこでどう切っても“ゴードン節”! この味の“旨味”を知る者には,堪えられないに違いない。
 ケニー・ドリューアドリブも軽快そのもの。デックスの快演に引っ張られたのかケニー・ドリューにしては相当“振り切れた”ピアノである。

 管理人にとって【クリア・ザ・デックス】は“剥き出し”のデックスの魅力を堪能し,ケニー・ドリューの新たな魅力に接するきっかけともなった印象深いトラックの一つである。

DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / I WANT MORE4

 『DEXTER CALLING...』の3曲目は【I WANT MORE】(以下【アイ・ウォント・モア】)。


 これぞ「後乗りのデックス」の真骨頂! 【アイ・ウォント・モア】には,4人の細やかな“決まり事”が見え隠れするが,デックス一人が「後乗り」し,おいしいところ全てを持っていく。

 38秒で明らかなデクスター・ゴードンの「後乗り」には“後出しジャンケン”のような後ろめたさは微塵もない。なぜなら彼の「後乗り」は大抵“絶妙な間”とセットで繰り出されている。そう。これはデクスター・ゴードンの本能なのであろう。

 【アイ・ウォント・モア】とは,ケニー・ドリュー・トリオへ宛てたデクスター・ゴードンからの欲張りなおねだり! → 「もっとリズムが欲しいの。スイングしたいの」。
 これには管理人も「後乗りのデックス」の上へ「後乗り」して,ケニー・ドリューへおねだりしたい! 【アイ・ウォント・モア】で明瞭な“黒々&ノリノリ”ピアノをもっと聴かせてほしいなぁ。パウエル派だった“時代もの”のケニー・ドリューが一番好きです。さぁ,パウエル派ケニー・ドリューへカムバック!

DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / MODAL MOOD4

 『DEXTER CALLING...』の2曲目は【MODAL MOOD】(以下【モーダル・ムード】)。


 【モーダル・ムード】のタイトル通り,モード・イディオムを用いてはいるが,その中身はムードだけが“モード風”のハード・バップである。

 デクスター・ゴードンテナー・サックスは“モード風”などお構いなし? ハードなハードなバップ・テナー! 音色はいつも通りのアルト寄りの高音であるが,この音の厚みは「バップ・テナーの開祖」の名に相応しい。エモーショナルなフレーズが音に優しさを添えており,そこが一服の清涼剤! 聴き手をいつも飽きさせない。

 特筆すべきはフィリー・ジョー・ジョーンズドラムス! ハイテンションなドラミングが終始続いていたはずなに,4分13秒からの大盛り上がりで「まだこんな演出が用意されていたのか?」と驚嘆させてくれる。フィリー・ジョー・ジョーンズドラミングが,やはり【モーダル・ムード】は“モード風”のハード・バップであることを証明している。

DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / SOUL SISTER5

 『DEXTER CALLING...』の1曲目は【SOUL SISTER】(以下【ソウル・シスター】)。


 【ソウル・シスター】を聴くと,いつでも身体に電流が流れる思いがする。熱演ではない。小粋なブルースである。しかしだからこそ“しびれて”しまう。ここは上質なマニアのためのジャズ空間! クラブでの鳴りやまない拍手が聞こえてきそうな演奏である。

 ほのぼのムードが何度も転調する【ソウル・シスター】でのデクスター・ゴードンテナー・サックスに,ついソニー・ロリンズを投影してしまう。『ウェイ・アウト・ウエスト』での,ほのぼのロリンズである。
 ビシビシ吹いているはずなのに,スケールの大きなと言うべきか,遊び心のあると言うべきか…。デックス然り,ロリンズ然り,人柄であろう。

 3分34秒からのケニー・ドリューピアノ・ソロが,最高に美しいブルース! 5分17秒からのポール・チェンバースベース・ソロが,ズングリムックリのタイム感! フィリー・ジョー・ジョーンズの相性抜群のドラムも含めて,この4人でなければ成立しえない,ジャズの基本=ブルースであろう。

 6分33秒からのテーマが前半より2割り増しの華やかさ。
 6分45秒でのデクスター・ゴードンのフレーズときたら…。ここでは敢えて言及しない。これは聴いてのお楽しみ! ジャズ・マニアなら声を出して“うなる”はずである。

DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング5

DEXTER CALLING...-1 師走。歳末。流行語大賞の発表である。
 2005年の流行語として「ちょいモテオヤジ」が選ばれた。「ちょいモテ」って,本当に流行っているのか? 「ちょい不良(ワル)」のような気がするが…。

 「ちょいモテ」「ちょい不良(ワル)」の真偽は置いといて,管理人が「ちょいモテ」と聞いて連想する人物は,パンツェッタ・ジローラモではなく,通称“デックス”のデクスター・ゴードン! そう。テナー・サックスの巨人である。

 パリ在住時代のバド・パウエルをモチーフとしたジャズ映画=「ラウンド・ミッドナイト」の主演俳優でもあるデクスター・ゴードンの風貌こそ,管理人がイメージする「ちょいモテ」!
 “ロング・トール・デクスター”の愛称で呼ばれた,身長198cmの大柄で帽子とトレンチ・コートがよく似合う風貌は,例えるなら阿部寛? 阿部つながりでJ−リーグ・ジェフの阿部勇樹? あっ,このW阿部は「激モテ」。デクスター・ゴードンはW阿部より劣るから「ちょいモテ」。やっぱり「ちょいモテ」!?

 さて“ロング・トール・デクスター”から,デクスター・ゴードン「ちょいモテ」論を導いてみたが,デクスター・ゴードンを“見かけ倒しのテナー・マン”とは侮るなかれ!
 デックスが「ちょいモテ」の真意は,彼の“モテモテな”テナー・サックスにある!

 デクスター・ゴードンテナー・サックスには“限りないリラクゼーション”と“猛烈なドライブ感”が奇跡的に共存している。その要因は,やっぱりあの“後乗り”にあるだろう。
 あの強引に“後ろへ後ろへ”後ずさりさせた地点で半強制的に聞かされる,独特のトーンと歌心あふれるフレーズ! 泰然自若,朗々と鳴り響く「ちょいモテ」テナーの登場に気持ち良くなる管理人はM?

 『DEXTER CALLING...』(以下『デクスター・コーリング』)を聴いてみてほしい。『デクスター・コーリング』にこそ,デクスター・ゴードンの「ちょいモテ」テナーぶりが色濃く記録されている。

 要は尻軽,軽薄とは別種のパンツェッタ・ジローラモ級の「軽さ」である。そう。気軽に誰とでも付き合い始める敷居の低さ。しかし本命を一途に思い続ける真の強さで一線以上は崩れない。これを一言「大人の軽さ」と表現すれば,伝わる人には伝わると思いますが…。

DEXTER CALLING...-2 『デクスター・コーリング』には,ジャズ初心者を魅了する“お気軽な空気感”とジャズ上級者をもうならせる“奥の深さ”が共存している。マニアが選ぶ“通の一枚”であろう。

 例の“猛烈な後乗り”が,聴いている方がハラハラするほどたどたどしく,ふてぶてしく,息を呑むほど美しい! この絶妙なブレンドこそがデクスター・ゴードン独特の味わい。ブレンド“デックス”コーヒーを召し上がれ!?

 そんなこんなで管理人は「レオン」ではなく『デクスター・コーリング』で男を磨いている。「ちょいモテオヤジ」に必要な要素は『デクスター・コーリング』に詰まっている。
 そう。『デクスター・コーリング』こそ「ちょいモテオヤジ」のバイブルである。

  01. SOUL SISTER
  02. MODAL MOOD
  03. I WANT MORE
  04. THE END OF A LOVE AFFAIR
  05. CLEAR THE DEX
  06. ERNIE'S TUNE
  07. SMILE

(ブルーノート/BLUE NOTE 1961年発売/TOCJ-6634)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,小川隆夫)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)
livedoor プロフィール
記事検索
Categories
最新コメント
Keith Jarrett Gallery

キース・ジャレット(真田馨子) おんがく日めくり(c) keiko sanada
Pat Metheny Gallery

パット・メセニー(野々口和仁)
(c) Kazuhito Nonoguchi
ジャズ・アフィリエイト
セラビー厳選CD

パリ・コンサートパリ・コンサート
キース・ジャレット

THE WAY UPTHE WAY UP
パット・メセニー・グループ

イン・ア・サイレント・ウェイイン・ア・サイレント・ウェイ
マイルス・デイビス

HEAVY WEATHERHEAVY WEATHER
ウェザー・リポート

BRAINCOOL STRUTTIN'
ソニー・クラーク

MINT JAMSMINT JAMS
カシオペア

HUMANHUMAN
T-スクェア

フル・ハウスフル・ハウス
ウェス・モンゴメリー

ザ・シーン・チェンジズザ・シーン・チェンジズ
バド・パウエル

セロニアス・モンク・トリオセロニアス・モンク・トリオ
セロニアス・モンク

枯葉枯葉
チェット・ベイカー

MOANIN'MOANIN'
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

BLOWIN' THE BLUES AWAYBLOWIN' THE BLUES AWAY
ホレス・シルヴァー

ウィントン・マルサリスの肖像ウイントン・マルサリスの肖像
ウイントン・マルサリス

メイティング・コールMATING CALL
タッド・ダメロン

Blu-spec CD ジャコ・パストリアスの肖像ジャコ・パストリアスの肖像
ジャコ・パストリアス

ザ・キング・イズ・ゴーンザ・キング・イズ・ゴーン
マーカス・ミラー

FIRST MEETINGファースト・ミーティング
テザード・ムーン

スペシャル・エディションSPECIAL EDITION
ジャック・デジョネット

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングYOU MUST BELIEVE IN SPRING
ビル・エヴァンス

STEP BY STEPSTEP BY STEP
ステップス

2424
DIMENSION

GANAESIAガネシア
渡辺香津美
カズミ・バンド

コンプリート・ピック・ヒッツ・ライヴPICK HITS
ジョン・スコフィールド

ニューポートの追想V.S.O.P.
ハービー・ハンコック

アス・スリーUS THREE
ホレス・パーラン

Manhattan StoryBLUE'S MOODS
ブルー・ミッチェル

AFRICAN PIANOOFF TO THE RACES
ドナルド・バード

AFRICAN PIANOAFRICAN PIANO
ダラー・ブランド

Manhattan StoryMANHATTAN STORY
アキコ・グレース

SPELLBOUNDSPELLBOUND
ジョー・サンプル

ランデヴーRENDEZ-VOUS
木住野佳子

RETURN TO FOREVERRETURN TO FOREVER
チック・コリア

BRAINBRAIN
上原ひろみ

イン・ラインIN LINE
ビル・フリゼール

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニングザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング
マーク・ジョンソン

タイム・スレッドTME THREAD
小曽根真 & ゲイリー・バートン

フルーツケーキFRUITCAKE
フルーツケーキ

THE DROPPERTHE DROPPER
メデスキ,マーチン&ウッド

Doin' SomethingDOIN' SOMETHING
ソウライヴ

SALT IISALT II
塩谷哲

Dance Your HeartDANCE YOUR HEART
Saya

地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
アンケートボードA

★当ブログについて望むことは?
アルバム単位で批評してほしい
同じ曲をテイク別に批評してほしい
多くのジャズメンを幅広く批評してほしい
一人のジャズメンを掘り下げて批評してほしい
超有名曲をもらさず批評してほしい
発売直後の新作を批評してほしい
初心者を意識したほんわかサイトにしてほしい
マニアを意識したニッチなサイトにしてほしい
オーディオについて批評してほしい



-Mini Vote-
アンケートボードB
How Much Is Your Blog Worth?

My blog is worth
$38,953.26

How much is your
blog worth?

Copyright (C) 2005-2017 アドリブログ All Rights Reserved.