アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:MEDESKI MARTIN & WOOD

メデスキ,マーチン&ウッド / トニック / THAW4


 『TONIC』の7曲目は【THAW】(以下【ソー】)。


 【ソー】が凄い! 初めは特に気に留めることもなかったが最近俄然気になっている。【ソー】における,フリー・インプロのまま突進し続ける(しかしどこか冷静な)演奏に,キース・ジャレットの「完全即興ソロ」がダブってしまう。これはもう病気である。

 【ソー】は「壮大な出だし」が印象的なトラックである。ジョン・メデスキピアノが静かな分,ビリー・マーチンのスティックとブラシが,もう“じゃんじゃか”鳴っている。実にドラマティックな分,次は一旦落ち着いて,テーマの登場を楽しみに待つのだが…。
 待てども待てども“ジャズ特有のため”は訪れない。そのままノンストップで頂点へと駆け上がっていく!

 3分過ぎから,ついにジョン・メデスキがロックオン! アコースティックでスリリングなピアノ・トリオに「ホッ,と一息つく瞬間」など不要なのだろうか? その辺りを黙想(空想?)するのが最近のマイ・ブームである。

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MEDESKI, MARTIN & WOOD
JOHN MEDESKI : Piano, Melodica
BILLY MARTIN : Drums, Percussion, Mbira
CHRIS WOOD : Bass

メデスキ,マーチン&ウッド / トニック / BUSTER RIDES AGAIN4


 『TONIC』の6曲目は【BUSTER RIDES AGAIN】(以下【バスター・ライズ・アゲイン】)。


 【バスター・ライズ・アゲイン】は,バド・パウエルの愛奏曲。そしてジョン・メデスキが最初に買ったブルーノートCDは,バド・パウエルの『ジ・アメイジング』シリーズのどれか…。
 こう来ればジョン・メデスキバド・パウエルばりの“アドリブ炸裂”かと思いきや,何とラテン・アレンジ! あの,変態集団=メデスキ,マーチン&ウッドが“明るく爽やかに”ドライブしている。普通にノリノリである。

 【バスター・ライズ・アゲイン】の聴き所は一点勝負で,ビリー・マーチンメデスキ&ウッドによるバース交換! MMWによる,こんな平易なバースが聴きたかった! 熱狂するラテン・ドラミング・ソロに,リズム楽器と化したピアノとメロディー楽器と化したベースが“対話する”フリー・インプロヴィゼーションの連続であるが,安定したバース交換がもたらす“手放しの安心感”が肝!
 そう。【バスター・ライズ・アゲイン】はジェットコースターの安全バー。読者の皆さんも【バスター・ライズ・アゲイン】をお守りに,いざ,メデスキ,マーチン&ウッドの「アップダウン」峠をドライブしてほしい。

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MEDESKI,MARTIN&WOOD
JOHN MEDESKI : Piano
BILLY MARTIN : Drums, Percussion, Mbira
CHRIS WOOD : Bass

メデスキ,マーチン&ウッド / トニック / RISE UP5


 『TONIC』の5曲目は【RISE UP】(以下【ライズ・アップ】)。


 【ライズ・アップ】は,ピアノ・トリオ=メデスキ,マーチン&ウッドの本領発揮! 【ライズ・アップ】は“正統派”ブルース,ニューオーリンズ・ジャズである。

 勿論,メデスキ,マーチン&ウッドが,正統派としての演奏を,ニューオーリンズ・ジャズを忠実に演ろうと務めても,個性が“プンプン”臭っている。
 お行儀良く演奏しようと頑張る姿の滑稽なこと。5分と正座していられないメデスキ,マーチン&ウッドに“ニヤニヤ”してしまう。

 アプローチはどうあれ,正統派の演奏も超強烈。ジョン・メデスキのクールなピアノにしびれてしまう。
 特筆すべきは,ライブならではのベース・ソロとドラム・ソロ! これは名演である。「古典と最先端のミックス」が,MMWのリズム・セクションである。

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MEDESKI, MARTIN & WOOD
JOHN MEDESKI : Piano, Melodica
BILLY MARTIN : Drums, Percussion, Mbira
CHRIS WOOD : Bass

メデスキ,マーチン&ウッド / トニック / YOUR LADY4

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 『TONIC』の4曲目は【YOUR LADY】(以下【ユア・レディ】)。


 【ユア・レディ】は,メデスキ,マーチン&ウッドが捧げるジョン・コルトレーンへのリスペクト!
 メデスキ,マーチン&ウッドにしては“珍しく”素直なカバー。ジョン・コルトレーンそのままの雰囲気が醸し出すジャズ・ナンバーである。

 とは言え,そこはメデスキ,マーチン&ウッド! 表面的にはコルトレーンであっても,内部はかなりチューニングされている。
 6分26秒からのロングなアルコ奏法。8分11秒からのメロディカ。そう。伝統と革新のアレンジで【ユア・レディ】は,ジョン・コルトレーンの手を離れ,ニュー・ジャズ・スタンダードへの道を静かに歩み始めた…。

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MEDESKI, MARTIN & WOOD
JOHN MEDESKI : Piano, Melodica
BILLY MARTIN : Drums, Percussion, Mbira
CHRIS WOOD : Bass



TONIC
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メデスキ,マーチン&ウッド / トニック / AFRIQUE5

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 『TONIC』の2曲目は【AFRIQUE】(以下【アフリーク】)。


 管理人の「メデスキ,マーチン&ウッド好き」が確立された,思い出のトラック。それが【アフリーク】である。
 【アフリーク】に対しては,様々な特別な思いが入り混じってしまって,時に涙なしでは聴けない夜も…。

 そんな私情はおいといて,純粋に【アフリーク】を批評するのも至難の業! 例えば1分35秒でのピアノのアタックを聴いてみてほしい。そして感じとってみてほしい。
 ガッチリ作り込んでいるようでいて実はインプロ? インプロのように見せておいて実はバッチリ譜面通り? この相反する両方の感情が数フレーズ毎に揺れ動くのだからたまらない。
 ジャズフュージョンばかりをそれこそ,何千枚と聴き込んできた,という自信があった。そんな管理人をして【アフリーク】に,ひいてはメデスキ,マーチン&ウッドに完全降服&白旗である。真に驚愕&衝撃&ぶっ飛びである!

 ジョン・メデスキは凄い。クリス・ウッドは凄い。ビリー・マーチンは凄い。メデスキ,マーチン&ウッドは凄い。ただただ凄い!

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JOHN MEDESKI : Piano, Melodica
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TONIC
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メデスキ,マーチン&ウッド / トニック / SEVEN DEADLIES5

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 『TONIC』の3曲目は【SEVEN DEADLIES】(以下【セヴン・デッドリーズ】)。


 【セヴン・デッドリーズ】こそ,メデスキ,マーチン&ウッドが考える“ジャズの前衛”である! そう。実体はピアノ・トリオによる“プログレ”なのであるが,曲の展開がジャズ的であるので,一瞬たりとも耳が離せない。耳をそばだて,アンテナを高く張り巡らすのみ…。

 イントロから,クリス・ウッドが先導するベース・ラインに,ジョン・メデスキが乗っかりかけると,クリス・ウッドが敢えてベース・ラインを外してくるわ,はたまたビリー・マーチンが強烈なドラミングメデスキの乗っかりを制するわで…。開始早々,すぐに胃袋を掴まれてしまった感じがする。

 1分23秒以降,バンドが速度を上げていく! 音階を下げ,ピアノとのユニゾンを演出するクリス・ウッドベースが最高である。この流れでいつの間にやら大スパーク!
 実際にはそんなことないのかもしれないが,聴感上,一音一音の隙間が狭まってくる。息苦しくなる程の“音密度”! それが説明不要の三者三様のアドリブで音の隙間を埋めていくのだから,もうたまらない。

 5分28秒からの「豪音」! これぞ管理人が“プログレ”と呼んだ真意である。本来なら一秒一秒批評すべきダイナミックな展開が“前衛”! 最先端のアドリブが“ドミノ倒し”で続いていく。

 10分過ぎからの再テーマのペースダウンが,これまでとは一転,あまりにも静かな演奏で,ギャップを感じつつ,あっけなく終演…。後に残された「壮大なスケール感」に“ライブ”を実感させられてしまう。

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MEDESKI, MARTIN & WOOD
JOHN MEDESKI : Piano, Melodica
BILLY MARTIN : Drums, Percussion, Mbira
CHRIS WOOD : Bass



TONIC
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メデスキ,マーチン&ウッド / トニック / INVOCATION5

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 『TONIC』の1曲目は【INVOCATION】(以下【インヴォケイション】)。


 【インヴォケイション】は,90%アドリブの難曲である。残念ながら,耳が“置いて行かれる”実感がある。これは凄い!

 オープニングの1分間は,静寂に包まれた,民族音楽的アプローチであるのだが,ここで早くも「誰を追いたかけたらよいのか」分からなくなる。3人とも好き勝手に演奏しているようでいて,きっちりとまとまっている。この“成熟度”が“最先端”ピアノ・トリオの証しである。

 管理人の中で長らく【インヴォケイション】は,続く【アフリーク】への“プレリュード”的位置付けにあったが【インヴォケイション】を【アフリーク】の“引き立て役”として聴くのはもったいない,と思うようになってきた。

 メデスキ,マーチン&ウッドは,いつでもそうだが,曲毎の主題などあってもないようなもの。
 それでも強引にテーマを探してみると,恐らく,4分15秒からのクリス・ウッドベース・ラインであろう。そこへジョン・メデスキピアノが“ガツッ”と一音,力を込めて“のっかってくる”感じがアクセント!

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MEDESKI, MARTIN & WOOD
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TONIC
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メデスキ,マーチン&ウッド / トニック5

アナログレコード

 メデスキ,マーチン&ウッドと聞いて,眉をひそめるジャズ・ファンは多いだろう。その大半は,4ビート以外はジャズとは認めない,なんとも頑固で可哀想な人たち?である。
 勿論,どんな音楽どんなジャズを聴こうとも,それはその人の自由! 好みの問題なので,メデスキ,マーチン&ウッドを受け付けないのも致し方ない。誰しもどうしても受け付けないジャズメンの一人や二人はいるものだ。
 しかしここで管理人が指摘したいのは,メデスキ,マーチン&ウッド → ジャム・バンド → 正統派ジャズ・ファンは聴くものではない,と言う構図にハマッテはいないか? 要するに「喰わず嫌い」ではなかろうか?と叫びたいのだ。

 そもそもジャズの歴史は「何でもありの排他性なし」。多くの革命を経てジャズは進化を遂げてきた。そう。ジャズの魅力は,それがハード・バップだから,これがピアノ・トリオだから,と言った音楽形態の優劣ではない。アドリブインプロヴィゼーションの冴えなのである。

 アドリブインプロヴィゼーションが目的ならアンチ・ジャムは矛盾する。なぜならば,ジャムとは,ロック畑のインスト・インプロヴィゼーション! アンチ・ジャムは70年代のアンチ・ジャズ・ロックの歴史を繰り返すことに他ならない。
 そう。ジャムを,メデスキ,マーチン&ウッドを嫌うのは一向に構わないが,単なる「喰わず嫌い」は“もったいない”。このアドリブを聴き逃してはならない! 是非,自分の好みと合わないか一聴してから判断してほしい。 ← 幾分おせっかいが過ぎたかなぁ。でも聴いた人の半数ぐらいは,管理人のような“おせっかい焼き”に変貌すること請け合いですよっ? ジャズは4ビートに限る,と主張するのはもう辞めましょ?

 さて,おせっかいついでに,正統派ジャズ・ファンを自認する人への,メデスキ,マーチン&ウッドの一枚目としては『TONIC』(以下『トニック』)がいい。
 『トニック』は,メデスキ,マーチン&ウッドにしては珍しい,生ピアノに生ベースの全編アコースティック・セットでのライブ盤! これが超いける! 4ビートを聴き込んだ耳にも,驚嘆のインプロヴィゼーションの“雨嵐”であろう。

 特筆すべきはジョン・メデスキ! いつものオルガンを手放し生ピアノと対峙する新境地! 元来,ジャズ・ピアニストとしてピアノを知り尽くしたジョン・メデスキが,ピアノ版の電気グルーヴを産み落としていく! いや,生ピアノであるがこそ,電化の覆いを剥ぎ取った“生身のグルーヴ”がストレートに伝わってくる!

 いつもと勝手が違うであろう,ビリー・マーチンクリス・ウッドのリズム隊も“躍動する”ジャズ本来のビートで,ジョン・メデスキを攻めたてる! とぐろを巻き,スパイラルに陥るこのトランスこそ,現代の“疑似”4ビートである。

 『トニック』に,オルガンジャズメデスキ,マーチン&ウッドを期待すると“肩すかし”を喰らってしまう。
 しかし『トニック』には,メデスキ,マーチン&ウッドの“本質”が他のどのCDにも増して鮮明に記録されている。聴き込めば聴き込むほど,いつものメデスキ,マーチン&ウッドの音そのもの,であることに気付かされるに違いない。
 アンプラグドであるがゆえ,一層浮き彫りにされる彼ら3人の底力! オルガン抜きで成立した電気グルーヴ
 そう。ジャムジャズ! ジャムアドリブ! 本物を聴き込んだ耳には「ジャズ」も「ジャム」も相違なく聴こえるはずである。

(1999年録音/TOCP-65445)

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