アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:MEDESKI SCOFIELD MARTIN & WOOD

メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド / アウト・ラウダー / CACHACA4


 『OUT LOUDER』の6曲目は【CACHACA】(以下【カシャサ】)。

 
 【カシャサ】は,暗く重いリズム隊を切り裂くジョン・スコフィールドギターと,妖艶に宙を舞う“キョンシー”と化したジョン・メデスキオルガン・ソロとのコントラストに限る。

 普段の彼らの言葉通りだとすれば【カシャサ】も,無計画フィーリングの一発撮り。それなのに,いや,それだからこそ,互いにインスパイアされたフレーズが次々に溢れ出す。クリス・ウッドが最初に思い描いた着地点とはかけ離れていそうであるが,その落差をメンバー全員が純粋に楽しんでいる。

 特に2分53秒以降のジョン・スコフィールドギターを聴いていると,メデスキ,マーチン&ウッドとは,よほど“肌が合う”のだと思ってしまう。

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MEDESKI, SCOFIELD, MARTIN & WOOD
JOHN MEDESKI : Keyboards
JOHN SCOFIELD : Guitars
BILLY MARTIN : Drums and Percussion
CHRIS WOOD : Basses

メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド / アウト・ラウダー / TOOTIE MA IS A BIG FINE THING4


 『OUT LOUDER』の5曲目は【TOOTIE MA IS A BIG FINE THING】(以下【トゥーティー・マ・イズ・ア・ビッグ・ファイン・シング】)。

 
 【トゥーティー・マ・イズ・ア・ビッグ・ファイン・シング】は,リズムに乗り切った所で始まる,メンバー全員のソロ回しによる“ブレイクアウト”が実に楽しい。おっとっと,おっとっと…。

 主役はクリス・ウッドウォーキング・ベース! アドリブ・タイム以外でもメデスコを“ぐいぐい引っ張り上げる”強烈なスイング・ビート! 1分13秒以降,3分3秒以降,3分47秒以降でのベース・ソロの方がテクニカルな分,落ち着いて聴けると感じるくらい,リズムの底を突き上げている。
 クリス・ウッドがこうだから,ビリー・マーティンの“乾いた”ドラミングが生きる! ベースがリズムの底ならばハイハットがリズムの山である。“跳ね系”【トゥーティー・マ・イズ・ア・ビッグ・ファイン・シング】を,現代最高峰のリズム隊が見事に演出している。

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MEDESKI, SCOFIELD, MARTIN & WOOD
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JOHN SCOFIELD : Guitars
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メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド / アウト・ラウダー / TEQUILA AND CHOCOLATE5


 『OUT LOUDER』の4曲目は【TEQUILA AND CHOCOLATE】(以下【テキーラ・アンド・チョコレート】)。

 
 【テキーラ・アンド・チョコレート】のタイトルが実にふさわしい! 【テキーラ・アンド・チョコレート】は大人と子供のおもちゃ=人生における楽しみの半分である。

 1分11秒でエレキ・ギターが鳴り始めるまで,イントロからのフラメンコ・フレーズが,クリス・ウッドの高速ベース・ソロなのか,ジョン・スコフィールドギター・エフェクトなのか判断に迷う見事な同化ぶり! メデスコ〜!
 33秒でのアコーディオン風のオルガンといい【テキーラ・アンド・チョコレート】のキーワードは“スペイン”である。

 演奏が進むにつれ,段々と描く世界がダークになりつつ“テキーラ色”を帯びてくる。そう。ビター・スイートのチョコレート! この批評文は食べたものにしか分からない。聴かないことには正しく意味が伝わらない。やっぱり【テキーラ・アンド・チョコレート】なのである。

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MEDESKI, SCOFIELD, MARTIN & WOOD
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メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド / アウト・ラウダー / IN CASE THE WORLD CHANGES ITS MIND4

アナログレコード

 『OUT LOUDER』の3曲目は【IN CASE THE WORLD CHANGES ITS MIND】(以下【イン・ケース・ザ・ワールド・チェンジズ・イッツ・マインド】)。

 
 【イン・ケース・ザ・ワールド・チェンジズ・イッツ・マインド】こそ,ジャム系・ファンキー・ジャズの底力! アーシーなテーマにポップな音色が衝突していき,ついには驚愕のメロディアス! 

 やはり主役はジョン・メデスキ! ジョン・スコフィールドを“アクセント”へと追いやる,オルガン離れ技の固め打ち!
 1分11秒からの何気ない音使いとアコーディオン風のフレーズが“ゆったり流れる”グルーヴィー! もう少しで逝ってしまいそうになる。

 【イン・ケース・ザ・ワールド・チェンジズ・イッツ・マインド】は,健全な危険な音楽である。何もトリップするために危ない橋を渡る必要はない。このグルーヴにどっぷり浸かれば,あらゆる世界に即トリップできるはずなのに…。三田佳子の次男へ捧ぐ…。

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MEDESKI, SCOFIELD, MARTIN & WOOD
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OUT LOUDER
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メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド / アウト・ラウダー / MILES BEHIND5

アナログレコード

 『OUT LOUDER』の2曲目は【MILES BEHIND】(以下【マイルス・ビハインド】)。

 
 キターッ! これぞ管理人が聴きたかった「メデスコ」参上! 【マイルス・ビハインド】での,ジョン・スコフィールドの“ノリノリ・エッジとパンチング”は,メデスキ,マーチン&ウッドとの共演でないと引き出せない! ジャズジャムのケミストリー!

 全編ジョン・メデスキとの掛け合いが続くが,互いに「前にも出ず,後ろにも下がらない」。
 これがツイン・ギターでもありツイン・キーボードのようでもある,全くもって新しい音! そう。「メデスコ」サウンド!

 【マイルス・ビハインド】は,1秒1秒毎に解説したくなる“全員参加の特徴的なリズム”が聴き所であるが,そんな“ヤボ”なことなどしたくない。したくなくなる。ただ「圧倒的音圧刺激」に身を委ねるしかないのだ! 全てを出し尽くした2分6秒から8秒までの“ウネリ”を聴けば,管理人の言わんとしているが分かると思う。← ん? 独りよがり?

 それにしてもジョン・スコ奏でるエレキ・ギターのなんと若々しいこと! 10歳は若返ったかのような“勢い&勢い”! そして,これぞ“変態”ジョン・メデスキの“いやらしい”音使い! なんでこう来るの…。なんでこうなるの…。メッチャ最高…。

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MEDESKI, SCOFIELD, MARTIN & WOOD
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メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド / アウト・ラウダー / LITTLE WALTER RIDES AGAIN5

アナログレコード

 『OUT LOUDER』の1曲目は【LITTLE WALTER RIDES AGAIN】(以下【リトル・ウォルター・ライズ・アゲイン】)。

 
 【リトル・ウォルター・ライズ・アゲイン】は,ジョン・スコフィールドでもなく,メデスキ,マーチン&ウッドでもない“メデスコ”サウンドのお披露目にふさわしい,イッツ・グルーヴ

 ビリー・マーチンドラミングが【リトル・ウォルター・ライズ・アゲイン】の核! このグルーヴギターオルガンベースが,時に淡々と時に爆発気味に乗りこなしていく! 3者3様のスタイルの違いが興味深い。

 13秒からの“テーマ七変化”を,ジョン・スコメデスキが“センス抜群”で演出する。1分2秒からのギター・ソロも凄いが,オルガンのバッキングがこれまた凄い! 
 3分6秒からのジョン・スコフィールドジョン・メデスキによる掛け合い“コール&レスポンス”がメロディック! これぞジャズジャムの真髄である。 

 個人的には1分43秒から攻勢に出る“豪奢な”オルガンアドリブ〜2分13秒からの骨太なピック・ベース・ソロへの繋ぎが大好物である。

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メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド / アウト・ラウダー5

アナログレコード

 ジャズフュージョン・ギタリスト=ジョン・スコフィールドは2004年,ジャック・デジョネットラリー・ゴールディングスと組んだ“トニー・ウィリアムス・トリビュート”のオルガン・トリオ=「トリオ・ビヨンド」スペシャル・セッションへ参加した。
 あの極上セッションが引き金となって2006年に結成されたのが“メデスコ”を名乗る新バンド「メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド」である。そう。メデスコは「ジャム・ギタリスト」ジョン・スコフィールド+最強オルガン・トリオの「対等合併」スーパー・バンドである。

 「対等合併」という表現には意味がある! メデスコのデビューCDOUT LOUDER』(以下『アウト・ラウダー』)の発売元が,メデスキ,マーチン&ウッド設立の新レーベル第一弾ということで,世評ではジョン・スコフィールドメデスキ,マーチン&ウッドに“呑み込まれた”構図であるが,実はそうではない。
 この音! 音! これぞジョン・スコ・サウンド! ジョン・スコフィールドが「メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド」の“イニシアティブ”を握っている。この“ジョン・スコ主導”の背景には,9年前の伏線CDア・ゴー・ゴー』での共演歴が関係している。
 ジョン・スコフィールドの『ア・ゴー・ゴー』へ“バック・バンド”として参加当時の3人は,まだ“若手の有望株”扱い。メデスキ,マーチン&ウッドの名声がジャズ・マニアの間で一気に高騰したのは『ア・ゴー・ゴー』での快演にあった。
 そう。『ア・ゴー・ゴー』は,ジョン・スコフィールドにとっても,メデスキ,マーチン&ウッドにとっても超自信作の出世作! 成功の要因こそ,相性を越えた相性の良さ! 双方の“輝き”が明らかに増幅していた。
 思うに「トリオ・ビヨンド」での演奏が,ジョン・スコフィールドオルガン・トリオとの“相性の良さ”を思い起こさせたのではなかろうか?

 そこで「対等合併」リターンズ! 9年の時の経過がメデスキ,マーチン&ウッドを「ジャム界のVIP」へと押し上げた。今やジョン・スコフィールド>が一声かけようとも,VIPな彼らを簡単に呼び寄せることなどできやしない。
 それでジョン・スコ自らが動いた! 最強オルガン・トリオの音を手に入れるために,メデスキ,マーチン&ウッドの3人に自分を“呑み込ませた”というシナリオであろう。
( ジャズフュージョン・ファン向けに説明するなら,パット・メセニーブラッド・メルドー・トリオとの関係と言えば早いかも… )

 『アウト・ラウダー』で“聴かせる”ジョン・スコフィールドエレキ・ギターは,独特なタイム感の“ウネウネ系”! “狙い通り”メデスキ,マーチン&ウッドの“ユルユル”のインプロヴィゼーションと見事にハマッテいる!
 このラフな演奏も,普段の“キレキレ&ホーンのような大ブロー&スロー・ハンド”ギタリストとしては見せない,彼の“素顔”の一面に違いない。自分の望み得る最高のオルガン・トリオをバックに,自由に伸び伸びと,ノドの奥に詰まらせていたであろうアドリブが解き放たれている! 表向き「対等合併」の真実は「メデスコ・フィーチャリング・ジョン・スコフィールド」なのである。

 “迎え撃つ”メデスキ,マーチン&ウッドの演奏も,いつもの“パターン化されたオリジナル・ジャム”から離れて,昔のジャズ寄りの名演で応えている。彼ら3人もまた,今回の“実験”成功にニンマリしたのでは?
 特にビリー・マーチンドラムクリス・ウッドベースは,通常なら第一のジョンジョン・メデスキ一人と対決すれば良かったが『アウト・ラウダー』では第二のジョンジョン・スコフィールドとも相交える! 2倍の忙しさで膨らまされた,いつもの“とぐろ”が一層大きく力強い。やはりジャズジャムの本質はインタープレイアドリブにある!

 なお日本盤『アウト・ラウダー』は,通常スタジオ盤+『実況演奏録音盤付』二枚組仕様! メデスコ,白熱の全米ツアーからのライブ音源が追加収録されている。
 メデスコの真価はライブにあると想像していたが,これが意外や意外,印象としてはライブ盤もスタジオ盤の延長であった。
 そうなんだ…。スタジオ盤も一発録りだったんだ…。そう。スタジオでもライブでも“二度と同じ演奏はしない”メデスコ! メデスキ,マーチン&ウッドの“パターン化されたオリジナル・ジャム”が基本ゆえ,安心してアドリブの変化を楽しめる! 4人のアドリブは「個」ではなく「バンド」の域に達している。メデスコのキーワード,それは9年間の「熟成」なのである。
 このクリエイティブなジャズジャムを若者だけに聴かせておくのはもったいない。そう。大人が楽しむジャズジャム。それが「メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド」なのである。

(2006年録音/UCCM-1112/3)

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