アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:SPYRO GYRA

スパイロ・ジャイラ / ライツ・オブ・サマー / SHANGHAI GUMBO5


 『RITES OF SUMME』の4曲目は【SHANGHAI GUMBO】(以下【上海ガンボー】)。


 【上海ガンボー】は“HAPPYで爽やかな”フュージョン・ナンバー。
 マーチング・ドラムベースが絡みつき,そのままデイヴ・サミュエルズヴァイブトム・シューマンキーボードによるユニゾンへと突入! この部分の“コロコロ感”がたまらない。一気に気分は南国リゾート=スパイロ・ジャイラの“王道”ソングである。

 そんな「トレード・マーク」的演奏の中にあって,管理人は1分0秒から18秒間のスパイロ・ジャイラの「裏定番」的フレーズが大好物! J−フュージョン風の親しみやすさが身体全体に浸透していく!
 一昔前の内輪ネタであるが「スパイロ・ジャイラ=J−フュージョン・バンド説」を唱える友人がいて,その影響なのか,はたまたそれに対する反発なのか,スパイロ・ジャイラのNYライクで日本ライクで南米ライクな音楽をこよなく愛するようになった。そうして掴んだ,愛すべきスパイロ・ジャイラの「裏定番」がここにある!

 ラストは「スパイロ・ジャイラ=J−フュージョン・バンド説」の信奉者へと心傾いてしまうような,フリオ・フェルナンデスアドリブが熱い。芯が火照っている。うねっている。タイフーンではなくハリケーンなのである。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

SPYRO GYRA
JAY BECKENSTEIN : Saxophones, Synthesizer
TOM SCHUMAN : Keyboards
DAVE SAMUELS : Vibes, Marimba, Percussion
JULIO FERNANDEZ : Guitars
OSCAR CARTAYA : Bass
RICHIE MORALES : Drums, Percussion

スパイロ・ジャイラ / ライツ・オブ・サマー / LIMELIGHT5

アナログレコード

 『RITES OF SUMME』の3曲目は【LIMELIGHT】(以下【ライムライト】)。


 【ライムライト】は,上質フュージョンの“王道”である。アップテンポのリズムの上を流れる,ゆったりとしたメロディが心地良い。アルト・サックスキーボードギターヴァイヴが,ソロにバッキングにユニゾンに,バランス良く溶けあっている。これぞ,ザ・バンド・サウンド=スパイロ・ジャイラ・サウンド!

 【ライムライト】には,ウェザー・リポートでもクルセイダーズでもない,スパイロ・ジャイラ“らしさ”が色濃く出ている。ウルトラ・スーパーな演奏なのだが,実に「軽やか」! 各人のアドリブが沸点を迎える前に,次々と交差していく!
 これを“狙って”やってしまうのが,スパイロ・ジャイラであり,ジェイ・ベッケンスタインであろう。

 聴き所は,テーマから離れ,一瞬にしてアドリブの世界へと誘う,1分40秒からのジェイ・ベッケンスタインアルト・サックス! 1分53秒からのトム・シューマンキーボードも,前半のテーマとは一転,かなりハードに決めまくっている。
 2分21秒からのフリオ・フェルナンデスギター・ソロは,メロディ・ラインを強調する,バックで刻む“カッティング”リズムが気持ち良い。
 ラストは,デイヴ・サミュエルズヴァイヴ・ソロ! やっぱりスパイロ・ジャイラの“トレードマーク”と言えば,この“透き通る”ヴァイヴの音色! そう。ゲイリー・バートンでもミルト・ジャクソンでもなく,デイヴ・サミュエルズヴァイヴの音色こそ,暑い暑い熱帯夜につい手が伸びる,管理人にとっての「ヒーリング・ミュージック」の一つなのである。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

SPYRO GYRA
JAY BECKENSTEIN : Saxophones, Synthesizer
TOM SCHUMAN : Keyboards
DAVE SAMUELS : Vibes, Marimba, Percussion
JULIO FERNANDEZ : Guitars
OSCAR CARTAYA : Bass
RICHIE MORALES : Drums, Percussion


Rites of Summer
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スパイロ・ジャイラ / ライツ・オブ・サマー / DADDY'S GOT A NEW GIRL NOW5

アナログレコード

 『RITES OF SUMME』の2曲目は【DADDY’S GOT A NEW GIRL NOW】(以下【ニュー・ガール】)。


 【ニュー・ガール】は,ロベン・フォードばりの“ギター・フュージョン”! このスピード&疾走感がたまらない。

 フュージョン・ギターだ! フリオ・フェルナンデスだ! と思っていると,他の5人が一丸となって襲ってくる。
 キレのいいリズムが,ゴージャスなオルガン+ホーン・キーボードと混じり合い,スパイロ・ジャイラ特有の“グルーヴ”を創り出す! 特に目立つのが各楽器の計算された後処理。タイトに締めるパートとエコーで残響させるパートが微妙に重なり合い,スタジオ録音なのにライブ感が漂っている。GOOD。

 【ニュー・ガール】の真打ち=フリオ・フェルナンデスが,前に後ろに大活躍!
 前面に立ってスポット・ライトを浴びる,例えば1分44秒からのギター・ソロは絶品である。ピンポイントで1分59秒のフレーズは,完全な“うなり声”である。いっている。
 バックに下がっても,例えば40秒から42秒のフレーズなしに,あのサックスによるテーマは語れない。名演である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

SPYRO GYRA
JAY BECKENSTEIN : Saxophones, Synthesizer
TOM SCHUMAN : Keyboards
DAVE SAMUELS : Vibes, Marimba, Percussion
JULIO FERNANDEZ : Guitars
OSCAR CARTAYA : Bass
RICHIE MORALES : Drums, Percussion


Rites of Summer
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スパイロ・ジャイラ / ライツ・オブ・サマー / CLAIRE'S DREAM4

アナログレコード

 『RITES OF SUMME』の1曲目は【CLAIRE’S DREAM】(以下【クレアの夢】)。


 【クレアの夢】は,ザ・メロー! とろけるように甘い,マシュマロ・ソング! タイトル=【】の意味が伝わってくる。

 【クレアの夢】は“秀逸”であるが,通常CDの1曲目には似合わない。フュージョンは,まずノリ+パンチ力! ガツンと来ないと物足りない,という読者の皆さんも多いはずである。
 なのに…。な・の・に…。ガッチリと心を掴まれてしまった。

 まずイントロのシンセギターのエレガントなハーモニー。そのバックで忙しくリズムを刻むベースの名サポートぶりに,ノセラレテシマウ。
 そう。イメージの甘さに惑わされるなかれ。【クレアの夢】は,ミディアムなビートで,ボディ・ブローを連発してくるのだ。

 ムード作りは大切である。1分49秒からの哀愁のギター・ソロ〜2分31秒からのヴァイヴ・ソロが心地良く“寝返り”を打つ。
 決めは何と言っても,ジェイ・ベッケンスタインアルト・サックス! この音色が“トロピカル・ナイト”を演出している。
 この甘いサックスに“包み込まれて”ベッドへと誘われれば…。きっと最高のが待ち構えている!? 

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

SPYRO GYRA
JAY BECKENSTEIN : Saxophones, Synthesizer
TOM SCHUMAN : Keyboards
DAVE SAMUELS : Vibes, Marimba, Percussion
JULIO FERNANDEZ : Guitars
OSCAR CARTAYA : Bass
RICHIE MORALES : Drums, Percussion


Rites of Summer
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スパイロ・ジャイラ / ライツ・オブ・サマー4

アナログレコード

 恥ずかしながら,無知な管理人は長年,スパイロ・ジャイラのことを“南米のラテン・フュージョン・バンド”だと思っていた。
 あの“ラテン・フレイバー”は本物以上に本物していたので,南米以外の可能性などゼロ! 疑うことすらしなかった。そう思い込んでいた。
 後日真実を知らされることとなるが,素直に受け入れることなどできなかった。これがNYのフュージョン・バンド? 何かの間違いでは? スパイロ・ジャイラの新作が届けられる度に,そう思っていたのだ。

 しかしついにスパイロ・ジャイラ=NYのフュージョン・バンド説(←仮説ではなく事実)を受け入れら・れ・る日がやって来た! 忘れもしない。FMから流れ出すシティ系サウンドを紹介した「お聴きいただいたのはスパイロ・ジャイラの新作で…」の一言…。
 自分自身の耳が,疑いなく&一点の曇りもなく,スパイロ・ジャイラ=NYと判断した。認識した。自覚した。それが彼らの12枚目のCD“遅咲きのシティ系”『RITES OF SUMMER』(以下『ライツ・オブ・サマー』)であった。

 都会は人種のるつぼ,実質は田舎者の集まり。そう。根っからのニューヨーカーでも,ラテン・フュージョンは創作可能である。しかし長い都会暮らしは,確実に田舎者の“垢”をそぎ落とす。無意識のうちに時代の最先端へと押し流す。
 スパイロ・ジャイラは時間をかけて,文字通りの『ジャングル・サウンド』から『コンクリート・ジャングル・サウンド』へと変貌を遂げてきた。“熟成を重ね”大人の音楽へと進化してきたのだ。

 この音,このテンション! これぞ“シティ系”サウンドの王道である。以前のラテンカリプソ色が姿を消している。その代わりに台頭してきたのが,ジャズを基調にしたスリリングでシリアス志向のアドリブインプロヴィゼーションである。
 ズバリ“熱さ”の変化! 熱帯の暑さが,人工的に冷やされた都会のクーラー+ヒートアイランドの熱帯夜へと変わっている。そう。アグレッシブでプログレッシブなロック・フュージョンである。

 『ライツ・オブ・サマー』が録音された1988年,ライバル=イエロー・ジャケッツも『ポリティクス』で大胆なイメチェンを果たした。イエロー・ジャケッツのそれが“突然変異的”であったのに対し,スパイロ・ジャイラには“予兆”があった。
 「ラテン → シティ」への一線を越えた,記念すべき瞬間が『ライツ・オブ・サマー』の発表であるが,スパイロ・ジャイラの内で生じる“脱ラテン”は,近年ずっと噴き出していた。
 そう。『ライツ・オブ・サマー』で完成した「即興性のあるポップ・ロック」こそ,NYサウンドの特徴! 「出るべくして出た」シティ系サウンドなのである。

 もしかしたら『ライツ・オブ・サマー』以前に,このスパイロ・ジャイラの変化を嗅ぎ分けた(聴き分けた),熱心なフュージョン・ファンもいるかもしれない。しかし管理人は自分の耳を信じたい。
 そう。スパイロ・ジャイラが「南米 → ニューヨーク」へ住民票を移し終えたのは『ライツ・オブ・サマー』! スパイロ・ジャイラ「第2幕」の原点である。

(1988年録音/25XD-1090)

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