アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:アントニオ・カルロス・ジョビン

アントニオ・カルロス・ジョビン / イパネマの娘 / AGUA DE BEBER4

 『THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS』の3曲目は【AGUA DE BEBER】(以下【おいしい水】)。


 【おいしい水】は,正真正銘「ボッサのリズム」が命である。このドラミングとリズム・ギターの演出があって,ジョビンの“美メロ”が際立つ仕掛けである。

 全てが計算通り,流れるようなナイスな展開である。レオ・ライトフルートがノン・ビブラートでバトンを渡すや,ジミー・クリーブランドトロンボーンが,28秒以降の“汽笛を鳴らす”かのような鈍い反応でジョビンへとつないでいく。

 1分17秒から始まるアントニオ・カルロス・ジョビンピアノ・ソロが優雅にダンスする。「ボッサのリズム」に乗せられて一瞬で“憧れのブラジル”へとトリップできる! ノスタルジックな“美メロ”が最高である。

ANTONIO CARLOS JOBIM : Piano, Guitar
CLAUS OGERMAN : Orchestra Arrangement, Conductor
JIMMY CLEAVELAND : Trombone
LEO WRIGHT : Flute

アントニオ・カルロス・ジョビン / イパネマの娘 / AMOR EM PAZ4

 『THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS』の2曲目は【AMOR EM PAZ】(以下【平和な愛】)。


 【平和な愛】は,ボサノヴァと呼ぶより“映画音楽”である。まずオーケストラ・アレンジ“ありき”であり,アントニオ・カルロス・ジョビンギターは忠実な友,ピアノは優雅な友である。

 クラウス・オガーマンは,グラミー受賞の名編曲者! 彼のアレンジが実に素晴らしい。“映画音楽”と書いたが,良質のCMともBGMとも,近年で言えば着うた着メロとも成り得る。控え目で,それでいて印象的なメロディ・ラインを浮かび上がらせている。
 1分50秒からのストリングスが,アントニオ・カルロス・ジョビン自ら奏でるピアノのテーマよりも【平和な愛】に合っている! これぞ包容力あるボサノヴァ

 なお【平和な愛】の原題は【AMOR EM PAZ】ではなく【O MORRO】であるが,これはオリジナルLP発売時のクレジット・ミスである。豆知識。

ANTONIO CARLOS JOBIM : Piano, Guitar
CLAUS OGERMAN : Orchestra Arrangement, Conductor
JIMMY CLEAVELAND : Trombone
LEO WRIGHT : Flute

アントニオ・カルロス・ジョビン / イパネマの娘 / THE GIRL FROM IPANEMA4

 『THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS』の1曲目は【THE GIRL FROM IPANEMA】(以下【イパネマの娘】)。


 まず,念のため断わっておくが『THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS』は,アントニオ・カルロス・ジョビンの「自作自演」だからと言って,ジョビンに演奏家として,つまりピアニストとして,あるいはギタリストとして,ジャズメン並みの演奏を求めてはならない。

 そう。アントニ・カルロス・ジョビンの演奏は総じて「伴奏」である。メロディ・ラインに“酔いしれる”べきであって,アドリブを期待してはならない。
 極論を言えば,アドリブはメロディ・ラインをいかに“崩すか”! アドリブジョビンの敵?なのである。

 さて【イパネマの娘】であるが,このジョビン自演のトラックは『ゲッツ/ジルベルト』で有名な【イパネマの娘】の魅了を大いに補完してくれる。
 『THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS』でのリード・ボーカルは,レオ・ライトフルートである。

 「ピー,ヒャラピー♪」と鳴る,ピアノとのユニゾン主旋律は,ずっとボーカルを真似できないゆえの「特別なフルート・バージョン」だと思っていたのだが,ふと『ゲッツ/ジルベルト』の【イパネマの娘】を聴いていてビックリ!
 あった! 3分47秒から4分16秒までが“隠れ”メイン・テーマだったとは…。【イパネマの娘】は実に奥深い。

ANTONIO CARLOS JOBIM : Piano, Guitar
CLAUS OGERMAN : Orchestra Arrangement, Conductor
JIMMY CLEAVELAND : Trombone
LEO WRIGHT : Flute

アントニオ・カルロス・ジョビン / イパネマの娘4

THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS-1 管理人の考える最高の音楽とは,最高のプロデュサーが最高の作詞家+最高の作曲家+最高の編曲家+最高のプレイヤーを一同に集め,意思の疎通を図りながら造られたものだと思っている。

 そう。各分野の頂点を極める人々が,自分の能力を最大限同じベクトル上に発揮したもの。言わば「一枚岩での完全分業制」である。
 ただしこれは理想に過ぎない。現実には有り得ない。そこで次の選択肢はシンガー・ソング・ライター。自作自演であれば分業制最大のネックである「意思疎通の欠如」は解消されてしまう。

 『THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS』(以下『イパネマの娘』)は,ボサノヴァの“産みの親”=アントニオ・カルロス・ジョビンの自作自演集!
 ボサノヴァ界“最高の作曲家”が,自身のピアノギターによって(最高ではないかもしれないが)自分の頭の中のイメージを表現してみせる!
 これぞ“聞き物”であろう。何と言ってもアントニオ・カルロス・ジョビンこそ「ボサノヴァ」という,新たな音楽ジャンルをゼロから造り上げた最重要人物! 「ボサノヴァ」という新たな音楽が誕生した瞬間の感動を味わうことができる,かも?

 さて,ボサノヴァとは1950年代後半から60年代前半に全世界を席巻した“ブラジル産ジャズ・サンバ”! 勿論,今となってはブラジル音楽の“懐メロ”であろうが“懐メロ”は息が長い! 時代を超え国境を越え,全世界の音楽ファンに親しまれ愛され続けてきた。
 「歌は世につれ,世は歌につれ」=古賀メロディ。そう。アントニオ・カルロス・ジョビンは“ブラジルの古賀政男”なのである。 ←ジョビン・ファンの皆さん,ごめんなさい。ここはカッコつけて,ジャズ・スタンダードの名作曲者たち,ビクター・ヤングコール・ポーター,はたまたジョージ・ガーシュウィンならいいですか?

 “ブラジルの古賀政男”説は置いといて…。『イパネマの娘』はクラウス・オガーマンオーケストラストリングスと共演した完全インスト! 否が応でもアントニオ・カルロス・ジョビンの“天才メロディ・メーカーぶり”が際立つCDである。

 やはりメロディ・ラインが美しい。繊細でしなやかで「淡い音」。しかしその中に複雑なコード進行が微妙に散りばめられている。これが「ボサノヴァ」の真骨頂である。無意識のうちに,笑顔&笑顔! 自然と笑顔がほころび,ジョビンのメロディを“口ずさんでいる”自分に気付く。
 やはりボサノヴァのルーツは“ジャズ・サンバ”である。海岸でみんなで“ワイワイ”バーベキュー&ビーチバレーのBGM! いやブラジルと言えばコーヒーでしょ? スタバでのアイス・ラテ飲むBGM? いやいや,えっと,そして…。

THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS-2 もうそんなことはどうでもいいじゃないですか? そもそも音楽を活字で表現するなんて無理なんだから…。
 耳をソバダテCD批評などバカバカしい!? やってらんない!?

 さぁ,今すぐ,外の陽射しを思いっきり楽しみましょう。読者の皆さんもPCの電源を落として,管理人と一緒に散歩しましょ? 大切なのは“LOVE&PEACE”! ただそれだけ…。

 こんな“フヌケ男”にさせてしまう『イパネマの娘』が,アントニオ・カルロス・ジョビンが,そしてボサノヴァが大好きである。

PS 冒頭の硬派路線=最高の音楽の話はどこに行ったんでしょうねっ。

  01. THE GIRL FROM IPANEMA
  02. AMOR EM PAZ
  03. AGUA DE BEBER
  04. DREAMER
  05. FAVELA
  06. INSENSATEZ
  07. CORCOVADO
  08. ONE NOTE SAMBA
  09. MEDITATION
  10. JAZZ SAMBA (SO DANCO SAMBA)
  11. CHEGA DE SAUDADE
  12. DESAFINADO

(ヴァーヴ/VERVE 1963年発売/UCGU-7038)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/ドン・セルリ,オノ・セイゲン)

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