CD批評:デヴィッド・サンボーン
2008年06月26日
デヴィッド・サンボーン / クローズ・アップ / GOODBYE
『CLOSE−UP』の4曲目は【GOODBYE】(以下【グッドバイ】)。
【グッドバイ】の聴き所は“センチメンタルでノスタルジックでエモーショナルな”デヴィッド・サンボーンのアルト・サックスに違いない! しかしある一線を越えた所で,聴き込めば聴き込む程「ザ・マーカス・ミラー」な作りである。
そう。【グッドバイ】は,デヴィッド・サンボーンの全てを知り尽くしたマーカス・ミラーだから作れた,渾身のバラードなのである。
印象的なイントロからバラードゆえ甘く入ると思いきや,ガツンと一発,デヴィッド・サンボーンが吹き上げる。豪快な展開に軽く脳しんとうを起こし,気付けばテーマでサンボーンが泣いている。以降,その繰り返しである。
例えば,3分27秒からのアルト・ソロでのサンボーンは“ブリルハート”である。しかしバックと溶けあう4分2秒でテーマに変わった瞬間“デュコフ”で泣き始める! この変化がいい! ← このクダリ,何人の読者が意味分かるかなぁ?
「泣かぬなら泣かせてみようサンボーン」。ここぞという聴かせ所で最高に泣かせてみせるマーカス・ミラーは“サル”である。おっと失礼,豊臣秀吉である。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
DAVID SANBORN : Alto Sax
MARCUS MILLER : Bass and Keybords
RICKY PETERSON : Electric Piano
VINNIE COLAIUTA : Drums
JEFF MIRONOV : Acoustic Guitar
G.E.SMITH : Lead Guitar
PAULINHO DA COSTA : Percussion
2007年11月14日
デヴィッド・サンボーン / クローズ・アップ / SO FAR AWAY
『CLOSE−UP』の8曲目は【SO FAR AWAY】(以下【ソー・ファー・アウェイ】)。
管理人にとって【ソー・ファー・アウェイ】は「TOKYO FM 交通情報」! それ以上でもそれ以下でもない。正確には,そうさせられてしまった…。
なにも【ソー・ファー・アウェイ】に限ったことではないが,ジャズ/フュージョンという音楽は,TV・ラジオ・デパート等で,様々なBGMとして使われることが多い。
ただし多くのメディアは週一番組なので,そこまでの影響を感じることはないが,ラジオ番組での交通情報は毎日,しかも数時間おきに何度も流れる。完全に刷り込まれてしまう。
それで【ソー・ファー・アウェイ】を「交通情報抜き」に聴いていた時の印象など覚えていない。完全に“上書き”されてしまった。
無理を承知で(交通情報を忘れて)【ソー・ファー・アウェイ】を聴いてみた。うん。デヴィッド・サンボーンがいい! 実にメロー! こんなにノリがいいと,ハンドル操作もアクセル操作もつい…。
ノリノリの交通情報と交通事故との因果関係は? 「読者の皆さん,【ソー・ファー・アウェイ】は,自宅のリスニング・ルームで聴きましょう。以上,道路交通情報センターのセラビーがお伝えしました」。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
DAVID SANBORN : Alto Sax
MARCUS MILLER : Bass, Keybords and Guitar
RICKY PETERSON : Electric Piano
VINNIE COLAIUTA : Drums
PAULINHO DA COSTA : Congas and Percussion
G.E.SMITH : Guitar
PAUL JACKSON,JR. : Guitar

CLOSE-UP
2007年07月04日
デヴィッド・サンボーン / クローズ・アップ / LESLEY ANN
『CLOSE−UP』の3曲目は【LESLEY ANN】(以下【レスリー・アン】)。
【レスリー・アン】は“ザ・ドラマティック”! 幻想的なリッキー・ピーターソンのエレピが,静かな静かな“寒色系”の音世界を描き出し,そこへ“暖色系”のビビットな色彩が入り混じっていく。これが全て水彩画の柔らかさ!
サンボーンをフューチャーするハーモニーがついて回るが,サンボーン色を打ち消す,重ね塗りの重厚感など微塵もない。
デヴィッド・サンボーンもリッキー・ピーターソンも素晴らしいのだが,寒色系〜暖色系の“ザ・ドラマティック”仕掛けは,全てマーカス・ミラー・プロデュースの賜物! 要所要所でフィルインする,ジェフ・ミロノフのアコースティック・ギターに,こころ・ときめいてしまう。 → かたやハイラム・ブロックのエレキ・ギターは何処?
プロデューサー=マーカス・ミラーが起用した,トータルで超絶なベーシスト=マーカス・ミラーのベース・ワークが効いている! サビ入りでの「せーの」の掛け声もそうだが,何よりもカウンターのベース・ラインが素晴らしい! ハイテクについては,3分35秒,3分50秒での早弾き&スラップが聴き所である。
サビにおけるデヴィッド・サンボーンの独唱は1番のみ。2番〜4番はマイケル・ラフとの大競演! 1+1=3になった瞬間が記録されている。名演である。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
DAVID SANBORN : Alto Sax
MARCUS MILLER : Bass and Keybords
RICKY PETERSON : Electric Piano
VINNIE COLAIUTA : Drums
JEFF MIRONOV : Acoustic Guitar
HIRAM BULLOCK : Electric Guitar
PAULINHO DA COSTA : Percussion
MICKAEL RUFF : Vocals

CLOSE-UP
2006年11月19日
デヴィッド・サンボーン / クローズ・アップ / J.T.
『CLOSE−UP』の2曲目は【J.T.】)。
トラック名の由来は,ポップ・シンガー=ジェームス・テイラー? と思いつつも,イントロで“和”を感じた管理人の脳裏には【J.T.】→日本たばこ産業→ライブ・アンダー・ザ・スカイ! とシナプスが連結しているようで…。
そう。【J.T.】は,マーカス・ミラー&リッキー・ピーターソンのWプロデューサーが「ワビサビ」を意識した超名曲! この甘いメロディ・ラインと“サンボーン節”が見事にマッチしている。
【J.T.】は,決してバラード調ではないのだが,イントロでの,キーボード+パーカッション+フレットレス・ベースだけで,管理人はすでに“瞳ウルウル”の少女マンガの主人公。
そこへ,待ち焦がれたハンカチ王子ならぬ,サックス王子=デヴィッド・サンボーンの一音! とたんにシビレが回ってしまう。
シビレてしまったせいだろうか? 100%デヴィッド・サンボーンの音なのに,どうもいつもと違っている。いつもは“泣き虫”のくせに【J.T.】では,徐々に盛り上がってくるバックと相まって“クール”に歌い上げてしまっている。そう。“枯れた”フレージングなのだ。
ここが最初に感じた“和”なのだろう。ワビサビの重ね塗りのごとく,デヴィッド・サンボーンも,湧き上がる感情を幾重にも重ね塗りした? 結果,表面的には“泣き”を通り越し,涙も枯れ果て“クール”に聴こえてしまうのだ。
“泣き”でも“ブロー”でもない,デヴィッド・サンボーンの第3の魅力が,この“枯れ”である。まだ“枯れ”を知らないサンボーン・キッズの皆さん,是非ご一聴を…。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
DAVID SANBORN : Alto Sax
MARCUS MILLER : Bass, Keybords, Guitar and Percussion Programming
RICKY PETERSON : Electric Piano
ANDY NEWMARK : Drums
JEFF MIRONOV : Acoustic Guitar
RICHARD TEE : Piano

CLOSE-UP
2006年11月18日
デヴィッド・サンボーン / クローズ・アップ / SLAM
『CLOSE−UP』の1曲目は【SLAM】(以下【スラム】)。
“タイトなビート”が聴き所である【スラム】こそ,NYフュージョンの象徴! このイントロが流れ出すと“条件反射”的に身体がビートに反応してしまう。
デヴィッド・サンボーンのサックスが“超豪華リズム陣”を乗りこなしていく。ノリノリの「堀越のり」をも越えている?
【スラム】でのデヴィッド・サンボーンは,まるでロック・バンドのボーカリスト! 硬いトーンで“バリバリ”吹き鳴らし,歌いまくる。(泣きながら)吠えまくっている!
4分6秒からの“ギャング・ボーカル”との掛け合いは,絶対にライブを意識した作り込み! ライブ! ライブでの大盛り上がり!
「SELECT LIVE UNDER THE SKY ’92」でのマーカス・ミラー・プロジェクト・フューチャリング・デヴィッド・サンボーンの“予告編”である。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
DAVID SANBORN : Alto Sax
MARCUS MILLER : Bass, Keybords and Percussion Programming
ANDY NEWMARK : Drums and Drum Programming
HIRAM BULLOCK : Lead Guitar
NILE RODGERS : Rhythm Guitar
STEVE JORDAN : Drum Fills and Funky Breakdown Guitar
FRED MAHER : Electronic Drum Technician
Gang Vocals : TERRY BARDANI, CLIFF BRAITHWAITE, ADAM DORN, AVA GARDNER, BIBI GREEN, BILL JONES, MARCUS MILLER, DAVID SANBORN AND WAYMAN TISDALE

CLOSE-UP
2006年11月17日
デヴィッド・サンボーン / クローズ・アップ
管理人は楽器はできないのだが,それでもどうしても手に入れたいものがあった。アルト・サックスのマウスピースで,デヴィッド・サンボーン・モデル! 確か2万円はしたはずだ。
無駄に2万円も使ったわけであるが,それでも,今でも満足に思っている! あのデュコフ(DUKOFF)製の“銀メタ”マウスピースが,オーディオ・ラックの最上段で“誇らしげに”輝いているのだ。
(本当どうでもいい話ですが,エピソードを補足します。正確には何度も“銀メタ”マウスピースは使用しました。管理人が千葉在住時のことですが,アマチュア社会人ブラス・バンドに在籍していた友人がおりまして,彼女の30万円のアルト・サックスを時たま借りては吹いておりました。どっちみち“飾り物”には違いありませんが…)
と,完全に自己満足の世界に浸ってしまったが“銀メタ”マウスピースを見ているだけで“デレデレ”してしまう程,管理人にとって,デヴィッド・サンボーンこそが,真のアイドル! まさしく“憧れ”の存在なのである。
何と言っても,あの絶対的なフレージング=“サンボーン節”! デヴィッド・サンボーンの代名詞である“泣きのサックス”が大好きなのである。
尤も,この辺の話題は「語り出すと止まらなくなる」と思うので,今回はここまで…。
続きは近所のアルト吹きにお尋ねください。恐らく3人に1人の割合で,手取り足取り+饒舌に,デヴィッド・サンボーンの魅力について語ってくださるのでは?
そう。“サンボーン・キッズ”と呼ばれる“サンボーン命”のアルト奏者は五万といる。プロのミュージシャン,ジャズメンの中にもたくさんいる。
きっと,みんな最初は「エア・サンボーン」。あの“小首をかしげ腰を沈めてブローする”お得意のポーズを真似してニンマリ。「形から入ろう」の世界である。
そんな“サンボーン・キッズ”なら誰しも持っている?“伝家の宝刀”が『CLOSE−UP』(以下『クローズ・アップ』)。なぜならば『クローズ・アップ』はグラミー受賞作! それも驚くなかれ。「Best Pop Instrumental Performance」部門での受賞なのである。
デヴィッド・サンボーンは,本来,フュージョン・サックス・プレーヤーであるが“サンボーン・キッズ”は,ジャズ,ポップス,ロック・ファンにも大勢いる。
理由は“超一流”サイドメンとしての“横顔”にある。デヴィッド・サンボーンは,各ジャンルの数多くの大物たちとも共演してきたので“サンボーン節”はフュージョンの垣根を越え,広く音楽ファンに浸透しているのだと思う。
『クローズ・アップ』は,そんなデヴィッド・サンボーンの総決算的CD! この“裾野の広い音楽性”こそ,真のフュージョン! ジャズ,ポップス,ロックのエッセンスが注入された“万人受け”するCDである。やはり“ポップス部門”のグラミー受賞は伊達ではない。
この完成度の高さはプロデューサー,マーカス・ミラーの“天才ぶり”に負うところが大きい。しかしどんなにマーカス・ミラーが活躍しようとも『クローズ・アップ』の「主役」は,デヴィッド・サンボーン! “サンボーン節”が流れ出すや否や,この極上のバックでさえ“静まりかえってしまう”から不思議である。
そう。この圧倒的な存在感は,間違いなく“オンリー・ワンのナンバー・ワン”であろう。“サンボーン・キッズ”が増殖しているにもかかわらず,誰一人“ザ・デヴィッド・サンボーン”にはなりきれない。近づけない。恐らく永遠に…。
やっぱり今夜も「エア・サンボーン」。きっとみんなも「エア・サンボーン」。それでこそ“ザ・デヴィッド・サンボーン”なのである。
(1988年録音/25XD-1077)


























