アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:オスカー・ピーターソン

オスカー・ピーターソン / プリーズ・リクエスト / HAVE YOU MET MISS JONES?4


 『WE GET REQUESTS』の5曲目は【HAVE YOU MET MISS JONES?】(以下【ジョーンズ嬢に会ったかい?】)。


 【ジョーンズ嬢に会ったかい?】は,普段着の『プリーズ・リクエスト』そのもの。そう。聴衆からのリクエストを余興のアンコールで演奏するのにふさわしい。
 “黄金のトリオ”ゆえ,出来が悪いはずはないのだが…。

 【ジョーンズ嬢に会ったかい?】は,普段着の『プリーズ・リクエスト』そのもの。そう。オーディオ・マニアが選んだ録音名盤の名にふさわしい最優秀録音トラック。スロー・ナンバーゆえオスカー・ピーターソンの「音の余韻」と「ピアノ・タッチ」が堪能できる。

 【ジョーンズ嬢に会ったかい?】は,普段着のオスカー・ピーターソンそのもの。1分39秒から徐々にピアノのボリュームとテンションがアップして,2分10秒以降では“例の”唸り声が聞こえてくる。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE OSCAR PETERSON TRIO
OSCAR PETERSON : Piano
RAY BROWN : Bass
ED THIGPEN : Drums

オスカー・ピーターソン / プリーズ・リクエスト / PEOPLE5

アナログレコード

 『WE GET REQUESTS』の4曲目は【PEOPLE】(以下【ピープル】)。


 【ピープル】こそ“黄金トリオ”の名称にふさわしい。もちろん主役はオスカー・ピーターソンで変わりないのであるが,印象としては,レイ・ブラウンエド・シグペンの抜群の絡み!

 安定したベースドラムの強力タッグが,オスカー・ピーターソンの“麗しの”ピアノを解き放つ! “下から下から”極上の音が迫り上げられてくる!
 1分25秒から始まる,オスカー・ピーターソンの天下一のアドリブが,ベース・ラインにつられている? 予想以上のグルーヴオスカー・ピーターソンが戸惑っている? そう聴こえてしまう程,2人のリズム隊が珍しく主導権を握っている。

 オスカー・ピーターソンだって,黙っちゃいない。スタートでつまずいたアドリブもすぐに軌道修正し,ついに2分47秒で飛翔する! これぞ,レイ・ブラウンエド・シグペンが引き出した,オスカー・ピーターソンの眠れる実力!
 そう。ピアノ・トリオが“黄金”へと昇華した感動の瞬間である。

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THE OSCAR PETERSON TRIO
OSCAR PETERSON : Piano
RAY BROWN : Bass
ED THIGPEN : Drums


プリーズ・リクエスト
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オスカー・ピーターソン / プリーズ・リクエスト / MY ONE AND ONLY LOVE5

アナログレコード

 『WE GET REQUESTS』の3曲目は【MY ONE AND ONLY LOVE】(以下【マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ】)。


 【マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ】は,白眉のバラード! この手のスロー・バラードに“ドップリ浸かりたい”のなら,オスカー・ピーターソンで決まりであろう。
 ウソだと思うなら一度試しに聴いてみてほしい。スロー・バラードが光り輝いている! 悲しみの涙がいつの間にか喜びの涙に変えられてしまう。これこそ“ピーターソン・マジック”である。

 バラードにも係わらず“指が回りまくっている”イントロでのモチーフは,ジャズフュージョン界全般を見渡しても,なかなかお耳にかかれない貴重な“宝”である。このセンスは凄い! これ程のアップ・テンポでありながら,常に“しっとり”と響いている。
 47秒から1分9秒までの“鉄人のAメロ”終わりで突如“舞い上がる”1分14秒のフレーズが“ドリーム・タイム”! うっとり&メロメロ・ショーの始まり始まり〜。

 中盤で展開されるレイ・ブラウンとの掛け合いは,実に粒立ちの良い鮮明なプレイ。
 “溜めに溜めた”ラストの演出も実にドラマティック! 4分24秒からの連打と4分54秒からのシンバルとの連動! 感情の大爆発を見事な大音量で表現した,鳴り響くピアノが圧巻である。

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THE OSCAR PETERSON TRIO
OSCAR PETERSON : Piano
RAY BROWN : Bass
ED THIGPEN : Drums


プリーズ・リクエスト
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オスカー・ピーターソン / プリーズ・リクエスト / DAYS OF WINE AND ROSES5


 『WE GET REQUESTS』の2曲目は【DAYS OF WINE AND ROSES】(以下【酒とバラの日々】)。


 ジャズ・スタンダードである【酒とバラの日々】の“お手本”的な名演である。
 どことなく“名もない流し風”=黒子役に徹したオスカー・ピーターソンの,原曲に“忠実な”プレイに好感が持てる。

 オスカー・ピーターソンは【酒とバラの日々】が大好きなのだと思う。この出来栄えは,当然,単なる“流し”のそれを超えているが,メイン・テーマについては,実に“端正”な演奏だから…。
 変な“崩し”が微塵もない。ジャズ・バーで聴く“生演奏”の雰囲気たっぷりである。決して会話の邪魔をしない,良質のBGM!

 しかしそんな原曲に“忠実な”演奏であっても,ピーターソンはやっぱりピーターソン! ピーターソン特有の個性が“プンプン臭ってくる”から,逆にうれしくてたまらない。
 例えば4秒,6秒,12秒での「伸びやか」なピアノ。一転して48秒からの高速アドリブ。この対比が心地良く一気にのせられてしまう。

 心地良さと言えば,特筆すべきはレイ・ブラウンベース! テーマを奏でながらも華麗にピーターソンの裏をついていく。この絡み具合が名人芸! ピアノ・トリオベーシストとして,レイ・ブラウンの人気が高いのもうなずける。

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THE OSCAR PETERSON TRIO
OSCAR PETERSON : Piano
RAY BROWN : Bass
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オスカー・ピーターソン / プリーズ・リクエスト / QUIET NIGHT QUIET STARS (CORCOVADO)5

アナログレコード

 『WE GET REQUESTS』の1曲目は【QUIET NIGHT QUIET STAR (CORCOVADO)】(以下【コルコヴァード】)。


 【コルコヴァード】の,オスカー・ピーターソンはまるで“ひとり・MJQ”!
 【コルコヴァード】でのピアノは,ジョン・ルイスピアノミルト・ジャクソンヴァイブが“ブレンド”されたかのような音を出す。キラキラとした透明感のある“ヴァイブのような”ピアノの音!

 オスカー・ピーターソンアドリブは,全くもって“非の打ち所のない”出来である。いつ,何度聴いても“スゴイ”と思わせてくれる名演
 “高速”【コルコヴァード】の解釈がいいし,何より心ゆくまで“歌っている”。このトラックは,本家『ゲッツ/ジルベルト』での,ジョアン・ジルベルトアストラッド・ジルベルトの“あの”語り口を超えてしまっている。

 この成功の陰にはレイ・ブラウンエド・シグペンの好サポートがある。ピアノに“つかず離れず”の位置取りが,見事なコントラストを演出している。

 それにしても,こんなにおもしろい程ピアノが弾けるとなると,楽しすぎるだろうなぁ…。
 どこをどう聴いても最高の一曲であるが,ピンポイントで1分43秒からの“連打”とそれに続く1分50秒までの“飛翔感”! 最高のジャズピアノ

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THE OSCAR PETERSON TRIO
OSCAR PETERSON : Piano
RAY BROWN : Bass
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プリーズ・リクエスト
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オスカー・ピーターソン / プリーズ・リクエスト4

アナログレコード

 ジャズ界の「優等生」。それがオスカー・ピーターソンである。
 彼のレベルは相当高い! アドリブの冴え,リズム感,ドライブ感…。その他,ピアノという楽器にまつわる,ありとあらゆる項目でトップランクを軒並みGET! ジャズメンに通信簿があるならば,オスカー・ピーターソンは“オール5”の「優等生」であろう。

 恐らく,全てのジャズメンはオスカー・ピーターソンに“なれるものならなりたい”と思っていることだろう。オスカー・ピーターソンは,ある意味“ジャズメンの神様”的位置にいる。
 しかし“ジャズメンの神様”の音楽が愛されるかと言えば,必ずしもそうではない。頭では,聴くCD聴くCD,全部が「五つ星」であることは分かっている。しかし“心を動かされた”とか“熱烈に愛する”という感動が薄い。すごい,が即,愛聴盤とはならないのである。
 これは“世の常”ゆえ,どうしようもないことであるが,手のかかる子ほど“かわいい”ものである。真面目な「優等生」は人気が出ない。正直,出来すぎてつまらない。
 下手クソでも“灰汁の強さ”さえあれば何とかなるのがジャズ。みんなが羨む“絶大な才能”が,かえって足かせとなっている。オスカー・ピーターソンにとって,この“不条理”が悲劇なのである。

 こうなったら,オスカー・ピーターソンの“底なしの素晴らしさ”を徹底的に楽しむしかないであろう。それがジャズ・マニアに残された唯一の道! 明るく開放的なジャズも聴き方によっては結構楽しめる!
 ここは自称・ジャズ批評家としての腕の見せ所? オスカー・ピーターソンの“おいしい聴き方”には少々“コツ”が必要なのだ。

 『WE GET REQUESTS』(以下『プリーズ・リクエスト』)を例に挙げよう。オスカー・ピーターソンは,ライブでよく聴衆からのリクエストを受けたそうだ。そう。『プリーズ・リクエスト』は,名曲オンパレードのアンコール集である。
 実際はスタジオでの“名録音盤”として,その名を天下に轟かせているのだが,この質感は“ライブ盤”である。この演奏の雰囲気には,大勢の聴衆に囲まれてこそ“オーラを発揮する”オスカー・ピーターソンの本質がよく表われている。

 そしてここが聴き所であるが,オスカー・ピーターソンの“エレガントな”ピアノは,アドリブを奏でている時でさえ丁寧にバックに音を合わせている。
 「黄金のトリオ」「キング・オブ・トリオ」と称された“指折り”のピアノ・トリオの成功は,オスカー・ピーターソンの“音楽監督”としてのバランス感覚に負うところが大きい。
 ベースレイ・ブラウンドラムエド・シグベンを従えた,わずか3人の演奏ではあるが,オスカー・ピーターソンが“指揮”するピアノ・トリオの演奏は,あたかもオーケストラと“ジャズ”を共演しているかのような風情がある。繊細かつ大迫力の3人のオーケストラ! いや(聴衆の熱気がトリオに影響を及ぼすことから)ビッグ・バンドと呼んでもいい!
 そう。オスカー・ピーターソンが「優等生」として,共演者を,時には観客さえも,自分の音世界の“彩り”の一つとしてまとめあげていく! 実に素晴らしい!

 そんな“音楽監督”オスカー・ピーターソンが『プリーズ・リクエスト』でプロデュースしたのが“世界一のピアニストオスカー・ピーターソン! ベースドラムの間隙を縫うように,協調性のあるアドリブが展開されている。
 この音造りは“してやったり”である。本当かどうかは『プリーズ・リクエスト』を聴いて確かめてもらうこととして,ここで結論! トリオのためにピアノを弾くのではなく,ピアノのためにトリオが必要であった。カルテットやクインテットではこうも自由な演奏は難しい。やはり無意識のうちに“自分を生かす”トリオ・フォーマットを選択した,オスカー・ピーターソンは天才であろう。
 ん? もしや「優等生」が“必死に隠す”計算高さ? ははぁ。

 いずれにしても,オスカー・ピーターソンは根っからのジャズメン! このアドリブには“灰汁がなく”人気が出ないと分かってはいても,体質的にジャズ以外はプレイできないことが手に取るように伝わってくる。“ピアニスト”としてのオスカー・ピーターソンは,いつでも100%“ジャズ”している。

 非の打ち所のないジャズもいいものではないか! 明るく開放的なジャズもいいではないか! たまには薄暗い部屋を飛び出し,青空の下,オスカー・ピーターソンを聴くのもいい。TPOに合わせるジャズ,これがオスカー・ピーターソンを聴く“コツ”である。

(1964年録音/UCCU-9506)

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