アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:リー・モーガン

リー・モーガン / ヒアズ・リー・モーガン / BESS4


 『HERE’S LEE MORGAN』の6曲目は【BESS】(以下【ベス】)。


 【ベス】は,リー・モーガンの異色作である。とにかく楽しいハード・バップ! いつものリー・モーとは思えない,軽快&快調な演奏が素晴らしい。

 リー・モーガンミュート・トランペットクリフォード・ジョーダンテナー・サックスが,ユニゾンありカウンターありの“コール・アンド・レスポンス”! ノリノリのゴキゲンである。

 しかし【ベス】の真の聴き所は,ウィントン・ケリーピアノにある。4分4秒からのピアノ・ソロも跳ねているが,フロントをバックに“飛び跳ねている”バッキング・ピアノが全体を演出している。
 例えば,34秒での合いの手があるから,フロントがリラックスできるし,ポール・チェンバースベースアート・ブレイキードラムが裏で繊細なビートを準備できる。要はタメである。
 そう。【ベス】は,前線でリズムをキープするウィントン・ケリーのポスト・プレーが“コール・アンド・レスポンス”の快演を呼び込んでいく!

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LEE MORGAN : Trumpet
CLIFFORD JORDAN : Tenor Sax
WYNTON KELLY : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
ART BLAKEY : Drums

リー・モーガン / ヒアズ・リー・モーガン / OFF SPRING4


 『HERE’S LEE MORGAN』の5曲目は【OFF SPRING】(以下【オフ・スプリング】)。


 【オフ・スプリング】は,オーソドックスなバップ・チューン。ゆえにアドリブよりもアンサンブル重視のサイドメンの小技が楽しめる。

 リー・モーガンクリフォード・ジョーダンのユニゾンが聴き所に違いないが,管理人には【オフ・スプリング】と来れば,とにもかくにも,アート・ブレイキーの「スティック捌き」である。
 3分中盤からのリー・モーガントランペット・ソロのバックでアート・ブレイキーがプッシュし続けるが,そのプッシュがタムでもスネアでもなくシンバル! このシンバルの強弱さえあればバスドラムは“お飾り”と成り得る。

 それにしても56秒でのピアノは何なのか? 理解不能の“ミスター・ユニーク”ウィントン・ケリーも絶好調である。

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LEE MORGAN : Trumpet
CLIFFORD JORDAN : Tenor Sax
WYNTON KELLY : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
ART BLAKEY : Drums

リー・モーガン / ヒアズ・リー・モーガン / I 'M A FOOL TO WANT YOU5


 『HERE’S LEE MORGAN』の3曲目は【I’M A FOOL TO WANT YOU】(以下【アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー】)。


 管理人は【アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー】を“世紀の名演”の類に入れたいと思っている。メンバー全員のソロ回しに涙してしまう,とにもかくにも素晴らしいバラードである。

 リー・モーガントランペットが泣きまくっている。このニュアンスはビリー・ホリディの“絶唱”に近い。胸が締め付けられるような“キュン”とくるミュートは,一晩中聴いていたいと思わせる魅力に満ちている。
 4分30秒での,4回も溜めたドモリ口調(分かるかな?)のミュートに【アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー】への思いの丈が溢れている。

 そして「主役喰い」のクリフォード・ジョーダン降臨! 1分13秒からのテナー・ソロがゆったりと進行し,リー・モーガンウィントン・ケリーが絡んでくる。このタイム感こそが【アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー】の聴き所であろう。
 ハイライトは,3分44秒からのクリフォード・ジョーダンの“一吹き”! これぞ“ゾクッと”鳥肌もののテナー・サックスである。

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LEE MORGAN : Trumpet
CLIFFORD JORDAN : Tenor Sax
WYNTON KELLY : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
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リー・モーガン / ヒアズ・リー・モーガン / TERRIBLE “T”4

アナログレコード

 『HERE’S LEE MORGAN』の1曲目は【TERRIBLE “T”】(以下【テリブル “T”】)。


 【テリブル “T”】は,実に活きの良い,そしてバランスの良い演奏。“いい時代のジャズ”している!

 ポール・チェンバースアート・ブレイキーウイントン・ケリーと「大御所」リズム隊が一人づつ加わり,テーマで一気にリー・モーガンクリフォード・ジョーダンがのっけてくる!
 一人一人の音が粒立ち,だれかが突出することはない。全員一丸となって“新しい”ジャズの創造に挑戦する。そこが“いい時代のジャズ”なのだ。

 例えば,このメンツで並べられると“角落”であろうクリフォード・ジョーダンテナー・ソロもチリバツ! 2分1秒からの,鳴り物入りで登場しては絶賛〜大手を振って退場するアドリブが圧巻。全員対等のクインテットの完成形は,誰がアドリブをとろうとも実に素晴らしい。
 やはり最高のアドリブは最高のインタープレイ=インスパイアの延長線上にある!

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LEE MORGAN : Trumpet
CLIFFORD JORDAN : Tenor Sax
WYNTON KELLY : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
ART BLAKEY : Drums


ヒアズ・リー・モーガン
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リー・モーガン / ヒアズ・リー・モーガン / RUNNING BROOK5

アナログレコード

 『HERE’S LEE MORGAN』の4曲目は【RUNNING BROOK】(以下【ランニング・ブルック】)。


 【ランニング・ブルック】は,ハード・バップ的なモードの香りが聴き所。“熱気”あふれる激しいハーモニーと,細かいフレーズをビシビシ決めながらも“自由奔放”なアドリブが飛び交っている。

 冒頭からイキのいい2管ユニゾンがバトルしていく! イントロから37秒までのメイン・テーマが燃えるのだが,38秒からのセカンド・テーマで,アート・ブレイキードラムが大炸裂! 全員が一気にスパークしていく! ここまでが完全なハード・バップ。

 その後のソロ・タイムでのアドリブがモード・エッセンス。クリフォード・ジョーダンテナー・ソロは,やや消化不良だが“似てない”ウェイン・ショーターと思えなくもない。
 リー・モーガンもモード・トランペットクリフォード・ブラウンの再来と言われたリー・モーガンクリフォード・ブラウンが吹くモード・トランペットってこんな感じなのかなぁ,と想像させるに十分の出来である。

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LEE MORGAN : Trumpet
CLIFFORD JORDAN : Tenor Sax
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ヒアズ・リー・モーガン
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リー・モーガン / ヒアズ・リー・モーガン / MOGIE4

アナログレコード

 『HERE’S LEE MORGAN』の2曲目は【MOGIE】(以下【モギー】)。


 【モギー】には,まずジャズを愛することに取り組んだ,ジャズメンの“魂”が宿っている。自分一人だけ先んじることもできるが,どこかで共演者の音とつながっている。全体との調和を優先した各人のソロが心憎い!

 メンバー全員が自分の得意とするアドリブを奏でたわけではない。最新のアプローチ,すなわちモード(らしく)演奏しようと,手探りでの体当たりが“音の迷い”に表われてしまった。
 勝手知った“手馴れ”からの脱却を試み,このモヤモヤ感を払拭しようと,いつも以上のハイ・テンションが“空回り”か?
 しかし管理人には,この熱意こそが“買い”である。【モギー】は,モード習得に向かってチャレンジする,音楽青年たちのドキュメントの記録である。

 ほぼ全員均等のパート割りなので,モードの理解度についての“開き”は明白であるが,ここで優劣を付けるのはナンセンスであろう。
 リー・モーガンについてだけ言えば,41秒から,先発のソロイストとして“キラキラ”した例のアドリブをバッチリ披露する。
 5分37秒からのアート・ブレイキーとの掛け合いはお見事! 全員のアドリブを聴き終えた後の“2巡目”のソロは「大変上手にできました」賞! この対応力の高さが“早熟”と讃えられた所以であろう。

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ヒアズ・リー・モーガン
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リー・モーガン / ヒアズ・リー・モーガン5

アナログレコード

 またしてもジャズ・ジャーナリズムへの苦言で申し訳ないが,サックス・シーンやピアノ・シーンでは,次世代のスターが“雨後の筍”のごとく登場する。
 確かに騒がれるだけあって,皆,水準以上の実力者。“箸にも棒にも掛からない偽物だ〜”とか“金返せ〜”とかの“ハズレ”はないが,こうも続々とスターが誕生してしまうと,真の“NEW”スター=矢野沙織ブラッド・メルドーが“かすんでしまう”というものだ。
 管理人もジャズ批評家の端くれ。“いいものはいい”としか表現できない気持ちも良く分かる。しかしジャズ・ジャーナリズムに,プロとして携わっている方々には,プロである以上,もう少し紹介の仕方に工夫が必要ではなかろうか?

 さて,その点,トランペット・シーンは安心できる。ウイントン・マルサリスの大ブレイク直後は,やれウォレス・ルーニーだ,テレンス・ブランチャードだ,と相変わらずであったが,今では“まっとうな評価”で落ち着いている。近年ではティル・ブレナーがブレイクしたのが最後であろう。
 では,トランペット・シーンは“パッとしない”のだろうか? そのようなことは断じてない。いや,むしろ事実はその逆である。トランペット界のスター=ジャズ界のスターなのである!
 サッチモブラウニーマイルスウイントン! どうですか? いずれも納得のジャズ・ヒーローたちでしょ? サックスピアノほど“タマ”は多くなくとも,やはりジャズの花形はトランペット! 少数精鋭の激戦区を勝ち抜いて来た超大物でなければ,トランペットの第一位を占めることなど不可能なのだ。

 さてさて,前置きが長くなってしまったが,今回はリー・モーガンの紹介である。リー・モーガンの紹介のために,ジャズ・ヒーローの話を振ってみた。
 その心は,ズバリ,管理人にとってトランペットの“NEW”スターは何年経っても,リー・モーガンなのだから…。
 真面目に考えれば支離滅裂も甚だしい。第一,音がいかにも古臭い。今更“NEW”スターだなんて…。でも,でも…。

 リー・モーガンの特徴は,トランペット=金管楽器=メタリックな輝きである。リー・モーガンの音は,いつも“突き抜ける”感じで,ただただカッコイイ。なぜかリー・モーガンの音に“江戸っ子”の「イキ」を感じてしまう。
 あの“タイガー・ウッズ似”の容姿は,ただの棒立ちではイケテないが,彼がラッパを手にした瞬間,なんともサマになる。
 実にいい男だ! 憧れる! 鬼に金棒ならぬ“リー・モーラッパ”なのである。

 『HERE’S LEE MORGAN』(以下『ヒアズ・リー・モーガン』)は,そんな“音イケメン”の秀作である。
 “バリバリ”のド迫力プレイもあれば“シットリ”哀愁を帯びたバラードもある。トランペットはその性質上,ただでさえ目立つ楽器であるが,名うてのサイドメンたちが「リー・モー」を盛り上げるものだから,もう大変!
 リー・モーガンアドリブは“若気の至り”の絶頂期で,きっちり決まった“フォーマルな”演奏ばかりなのに,印象としては「自由で快心のアドリブ合戦」なのである。
 そう。『ヒアズ・リー・モーガン』は,リー・モーガンの特徴的な音世界が,ストレートにユニゾンしているのだ。
 サイドメンの音までもが“艶っぽく”聴こえてしまう程,全員で「リー・モー」している。CDの頭の一音から最後の一音に至るまで“ワクワク&ゾクゾク”してしまう。

 この感覚はウイントン・マルサリスの時にも感じたものだが,ウイントン・マルサリスの場合は,既に完成された,熊本名物“いきなり団子”状態でのデビュー。今後の“ノビシロ”などイメージできない,史上最高・最強のトランペッターの“おでまし”であった。
 その点,リー・モーガンはいい。若くして亡くなったゆえ“伝説”と化した。いつまでたっても円熟しない“早熟の天才”のままである。そう。“ワクワク&ゾクゾク”。(現実には有り得ない)次回作を楽しみにさせてくれるのだ。

 トランペット好きの読者の皆さんの中には,この管理人の気持ちに少なからず同意していただけるのではなかろうか?
 さあ,皆さんご一緒にコール&レスポンス! 「早く出てこい! 出でよ! リー・モーガンを越える,トランペットの“NEW”スター!」。

(1960年録音/BSCP-30050)

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