アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:マル・ウォルドロン

マル・ウォルドロン / レフト・アローン / THE WAY HE REMEMBERS BILLIE HOLIDAY2

アナログレコード

 『LEFT ALONE』の6曲目は【THE WAY HE REMEMBERS BILLIE HOLIDAY】(以下【ビリー・ホリデイを偲んで】)。


 【ビリー・ホリデイを偲んで】は,プロデューサーのテディ・チャールズが聞き手となって,マル・ウォルドロンビリー・ホリデイの思い出を語る珍しいトラック。

 内容としては,ビリー・ホリデイからフレージングの重要性を教わり,演奏に際しても歌詞の意味をよく理解することが大切だと言われた,と語っています。
 …って,この回顧録をCDに収録してよいのでしょうか?

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MAL WALDRON : Voice
TEDDY CHARLES : Voice


レフト・アローン
ランキングを見てみよう!

マル・ウォルドロン / レフト・アローン / YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS4

アナログレコード

 『LEFT ALONE』の3曲目は【YOU DON’T WHAT LOVE IS】(以下【恋とは何でしょう】)。


 ビリー・ホリディの愛唱歌と言えば,管理人にとっては【恋とは何でしょう】である。ビリー・ホリディの“お抱え”ピアニストであったマル・ウォルドロンにとっても,きっと思い出深いトラックであるに違いない。
 そう。この“しみじみとした語り口”は,ビリー・ホリディ名伴奏者そのもの。そばでビリー・ホリディが歌っているかのごとく「決して目立たず前へ出ず」。控え目で端正なピアノである。

 勿論,マル・ウォルドロンの【恋とは何でしょう】にもドラマはあるのだが,やはり盛り上がりを見せるパートは,歌ものでのクライマックスと連動している。
 例えば,マル・ウォルドロンのハイ・テクニックを実感できる,1分52秒からと4分21秒からの流ちょうなピアノを聴き比べてみてほしい。後者では“勢い”を感じ取れることであろう。
 5分16秒からの“音圧”には,いささかビリー・ホリディが乗り移ったかのごとく,これだけは何とか伝えたい&歌いきりたい,との熱い願いが込められているように感じられる。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE MAL WALDRON TRIO
MAL WALDRON : Piano
JULIAN EUELL : Bass
AL DREARES : Drums


レフト・アローン
ランキングを見てみよう!

マル・ウォルドロン / レフト・アローン / CAT WALK5

アナログレコード

 『LEFT ALONE』の2曲目は【CAT WALK】(以下【キャット・ウォーク】)。


 【キャット・ウォーク】での,マル・ウォルドロンピアノが最高!
 特にテーマを鳴らしきる“くだり”! 22秒から34秒あたりのフレーズがいい。そして55秒から一気に“はじけていく”この“感じ”がいい。まるで熱い胸の内を吐露するかのような“朴訥とした情感”を感じさせてくれる。

 中盤も的確なアドリブを“唸り声”付で構築していく。この辺りにマル・ウォルドロン“らしさ”が充満している。下手したら【レフト・アローン】より好きかもしれない。
 そう。10回に1回は【レフト・アローン】ではなく【キャット・ウォーク】目当てに,このCDをかけているように思う。うまく表現できないのが悔しいが,何か“引っ掛かる”魅力がある!

 【キャット・ウォーク】の別の特徴は,ジュリアン・ユーエル奏でるベース・ラインだろう。
 ジュリアン・ユーエルの控え目なベース・ソロと的確なサポートが,アドリブとはまた違う,素材“そのもののおいしさ”を教えてくれる。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE MAL WALDRON TRIO
MAL WALDRON : Piano
JULIAN EUELL : Bass
AL DREARES : Drums


レフト・アローン
人気blog ランキング バナー

マル・ウォルドロン / レフト・アローン / LEFT ALONE5

アナログレコード

 『LEFT ALONE』の1曲目は【LEFT ALONE】(以下【レフト・アローン】)。


 【レフト・アローン】こそ“ジャズの代名詞”と言い切っても過言ではない! このトラックは大方の日本人なら,まず“嗚咽”してしまうのではなかろうか?
 ジャズ・ファンは勿論のこと,普段ジャズとは無縁な演歌ファンからヘヴィ・メタルやヒップ・ホップ・ファンに至るまで,聴けば必ず“何か”を感じることと思う。
 大袈裟に表現すれば,ついさっきまで爆笑していた人が,このトラックを聴いたとたんに泣きじゃくるくらい【レフト・アローン】には聴き手の心を“悲しみで掻きむしる”強烈なパワーが秘められていると思うのだ。

 その第一原因は,ビリー・ホリディの代わりに“歌う”ジャッキー・マクリーンの“枯れた”サックスにこそある! この“すすり泣き”にも等しい“枯れた”サックスの味わいは,他の何物にも代え難い「ジャズ界の至宝」であろう。
 加えてジャッキー・マクリーンのこの“語り口”! 決して饒舌ではない“奥歯に物が挟まった”感じの語り口がたまらない。時に切々と,時に朗々と…。
 そう。伝えようとする“その何か”は定かではないのだが,それでも“その何か”を必死に伝えようとする,ジャッキー・マクリーンの“内省的な熱情”だけは,痛いほど伝わってくるのである。
 結果論ではあるが【レフト・アローン】のサックス奏者はジャッキー・マクリーン以外には考えられない。ビリー・ホリディの“かすれ声”にジャッキー・マクリーンの“すすり泣き”を重ね合わせた,マル・ウォルドロンの“眼力”いや“聴力”に惜しみない称賛の言葉を贈りたい。

 さて,ジャッキー・マクリーンアルト・サックスについては批評したくない。正直,どこかをいじると全体のバランスが崩れそうで恐いのだ。
 それで管理人の中では,この演奏が“頭のテッペンから足の先まで”パーフェクトと信じて疑わないことに決めている。聴き所を楽しみに読んでくださっている読者の皆さんには,誠に申し訳ない。ご勘弁を。

 マル・ウォルドロンピアノについても同様ではあるが,持ち上げることなら幾らか出来る。まず,豪快なイントロでの連打が素晴らしい。マクリーンへの的確なバッキングの妙については,彼の右に出る人はいないことだろう。
 2分30秒からの“間奏”についても傑出した“哀愁”のピアノを聴かせてくれる。その全てが“超”のつく“ド・マイナー”であり【レフト・アローン】の“悲しさ倍増”に一役買っている。素晴らしい!

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE MAL WALDRON TRIO
MAL WALDRON : Piano
JULIAN EUELL : Bass
AL DREARES : Drums

GUEST ARTIST
JACKIE McLEAN : Alto Sax


レフト・アローン
人気blog ランキング バナー

マル・ウォルドロン / レフト・アローン5

アナログレコード

 伴奏楽器と言えばピアノであろう。そして“百戦錬磨のピアノ伴奏者”と言えば,管理人の中では“ご存知”マル・ウォルドロンに違いない。
 あっ,こう言った紹介をしてしまうと,マル・ウォルドロンは生涯を通じて伴奏者をしていたように思われるかも…。
 正確にはビリー・ホリディアビー・リンカーンの伴奏者を務めていた逸話が,単に有名になり過ぎただけのこと。元来マル・ウォルドロンチャールス・ミンガス寄りの“ハード・バッパー”なのである。

 しかしその点は良く承知しているはずなのに,どうも「マル・ウォルドロン=伴奏者」の印象を拭えない。これにはマル自身のプレイ・スタイルが関係しているので,管理人が一方的に悪いわけではない,と思っている?
 マル・ウォルドロンは,いつでも“控え目”にそっと音を合わせていく。これは相手がジャズ・ジャイアントであろうと無名の新人であろうと変わらない。フォーマットがトリオであってもクインテットであっても同じことである。
 そう。マル・ウォルドロンは決して“自己主張しない”数少ないジャズメンなのである。マルは共演者の魅了を引き出す“ツボ”を心得ている。

 そこで『LEFT ALONE』(以下『レフト・アローン』)! このCDは亡き女主人,ビリー・ホリディへ捧げた追悼盤。ビリー・ホリディの愛唱歌をマル・ウォルドロン流に仕上げている。
 今回のマル・ウォルドロンのパートナーは,アルト・サックスジャッキー・マクリーン。ちまたでは『レフト・アローン』はジャッキー・マクリーンを聴くためにこそある! という批評がよく論じられている。その主張に管理人も同感ではある。確かにジャッキー・マクリーン一世一代の“絶唱”に違いない。
 しかしジャッキー・マクリーンの絶唱の背景に“名伴奏者”マルがいることを聴き逃してはならない。手馴れた“伴奏のプロ”がマクリーンの演奏をリードし,導いていく。完全に通り道を作っている。この朴訥とした“語り口”は間違いなくマル・ウォルドロン特有の世界なのである。

 そう。『レフト・アローン』で“名伴奏者”マル・ウォルドロンが真にサポートするのは,ジャッキー・マクリーンでもビリー・ホリディでもなく“作・編曲者”としてのマル・ウォルドロン自身なのである。
 “作・編曲者”としてのマルと共演する“名伴奏者”のマル! これが見事にハマッテいる。
 純粋に“ピアニスト”としてのマル・ウォルドロンについても,2曲目以降のトリオで十分楽しめる。レベルの高いアドリブの連発に“ピアニストマル・ウォルドロンの実力が垣間見える。この確かな力量が,大物たちから“引っ張りダコ”の理由でもあろう。

(1960年録音/COCY-78641)

人気blog ランキング バナー
livedoor プロフィール
記事検索
Categories
最新コメント
Keith Jarrett Gallery

キース・ジャレット(真田馨子) おんがく日めくり(c) keiko sanada
Pat Metheny Gallery

パット・メセニー(野々口和仁)
(c) Kazuhito Nonoguchi
ジャズ・アフィリエイト
セラビー厳選CD

パリ・コンサートパリ・コンサート
キース・ジャレット

THE WAY UPTHE WAY UP
パット・メセニー・グループ

イン・ア・サイレント・ウェイイン・ア・サイレント・ウェイ
マイルス・デイビス

HEAVY WEATHERHEAVY WEATHER
ウェザー・リポート

BRAINCOOL STRUTTIN'
ソニー・クラーク

MINT JAMSMINT JAMS
カシオペア

HUMANHUMAN
T-スクェア

フル・ハウスフル・ハウス
ウェス・モンゴメリー

ザ・シーン・チェンジズザ・シーン・チェンジズ
バド・パウエル

セロニアス・モンク・トリオセロニアス・モンク・トリオ
セロニアス・モンク

枯葉枯葉
チェット・ベイカー

MOANIN'MOANIN'
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

BLOWIN' THE BLUES AWAYBLOWIN' THE BLUES AWAY
ホレス・シルヴァー

ウィントン・マルサリスの肖像ウイントン・マルサリスの肖像
ウイントン・マルサリス

メイティング・コールMATING CALL
タッド・ダメロン

Blu-spec CD ジャコ・パストリアスの肖像ジャコ・パストリアスの肖像
ジャコ・パストリアス

ザ・キング・イズ・ゴーンザ・キング・イズ・ゴーン
マーカス・ミラー

FIRST MEETINGファースト・ミーティング
テザード・ムーン

スペシャル・エディションSPECIAL EDITION
ジャック・デジョネット

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングYOU MUST BELIEVE IN SPRING
ビル・エヴァンス

STEP BY STEPSTEP BY STEP
ステップス

2424
DIMENSION

GANAESIAガネシア
渡辺香津美
カズミ・バンド

コンプリート・ピック・ヒッツ・ライヴPICK HITS
ジョン・スコフィールド

ニューポートの追想V.S.O.P.
ハービー・ハンコック

アス・スリーUS THREE
ホレス・パーラン

Manhattan StoryBLUE'S MOODS
ブルー・ミッチェル

AFRICAN PIANOOFF TO THE RACES
ドナルド・バード

AFRICAN PIANOAFRICAN PIANO
ダラー・ブランド

Manhattan StoryMANHATTAN STORY
アキコ・グレース

SPELLBOUNDSPELLBOUND
ジョー・サンプル

ランデヴーRENDEZ-VOUS
木住野佳子

RETURN TO FOREVERRETURN TO FOREVER
チック・コリア

BRAINBRAIN
上原ひろみ

イン・ラインIN LINE
ビル・フリゼール

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニングザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング
マーク・ジョンソン

タイム・スレッドTME THREAD
小曽根真 & ゲイリー・バートン

フルーツケーキFRUITCAKE
フルーツケーキ

THE DROPPERTHE DROPPER
メデスキ,マーチン&ウッド

Doin' SomethingDOIN' SOMETHING
ソウライヴ

SALT IISALT II
塩谷哲

Dance Your HeartDANCE YOUR HEART
Saya

地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
アンケートボードA

★当ブログについて望むことは?
アルバム単位で批評してほしい
同じ曲をテイク別に批評してほしい
多くのジャズメンを幅広く批評してほしい
一人のジャズメンを掘り下げて批評してほしい
超有名曲をもらさず批評してほしい
発売直後の新作を批評してほしい
初心者を意識したほんわかサイトにしてほしい
マニアを意識したニッチなサイトにしてほしい
オーディオについて批評してほしい



-Mini Vote-
アンケートボードB
How Much Is Your Blog Worth?

My blog is worth
$38,953.26

How much is your
blog worth?

Copyright (C) 2005-2017 アドリブログ All Rights Reserved.