アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:バド・パウエル

バド・パウエル / バド・パウエル・イン・パリ5

BUD POWELL IN PARIS-1 何度も書いているが,管理人は日常的にバド・パウエルを聴いてはいない。いいや,恐れ多くて手を出すことができないというのが本音である。
 そう。「バド・パウエルを聴く」という行為には「それ相当の覚悟」が求められると思っている。

 そんな中,気軽に手を伸ばすことのできる唯一のアルバムがある。それが『BUD POWELL IN PARIS』(以下『バド・パウエル・イン・パリ』)である。
 『バド・パウエル・イン・パリ』に関しては“狂おしいくらいの愛着”を感じてしまう。理由は“前期バド・パウエルからの反動”だと自覚している。

 『バド・パウエル・イン・パリ』におけるバド・パウエルジャズ・ピアノは,往年の鬼気迫る天才的な閃きとは正反対の,緊張を強いられることのない“馴染みの”ジャズ・ピアニストが弾く“馴染みの”ジャズスタンダード集の趣きがある。
 肩の凝らないリラックスした演奏なのに,バド・パウエルのそれと分かる“一発の魅力”は保たれている。ミスタッチも多々目立つが溌剌とした明るさと勢いで全てを覆い尽くす温もりがある。

 前期パウエルではヘッドフォンの前で“金縛り”にあってしまう管理人が『バド・パウエル・イン・パリ』では“寝転びながら”聴けちゃう。だからかえって耳ダンボ!
 バド・パウエルジャズスピリッツと少し枯れた味わいが管理人には妙にしっくりくる! 往年の近寄りがたい天才肌のジャズ・ピアノから親近感を感じる距離感のジャズ・ピアノが“ちょうど良い按配”ってやつなのです。

 そんな“ちょうど良い按配”のバド・パウエルが【ハウ・ハイ・ザ・ムーン】【ディア・オールド・ストックホルム】【ボディ・アンド・ソウル】【ジョー・ドゥー】【サテン・ドール】の大スタンダード・ナンバーを演奏している。もうこの事実だけで十分じゃないですか!

 オリジナルを弾かない『バド・パウエル・イン・パリ』への批判記事も出回っているようだが(『TIME WAITS − THE AMAZING BUD POWELL VOL.4』と『THE SCENE CHANGES − THE AMAZING BUD POWELL VOL.5』(以下『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』が全編オリジナル集だった)本来,バド・パウエルの本質とは「即興の美メロ弾き」。
 バド・パウエルにとっては美メロのモチーフがオリジナルだろうとスタンダードだろうと関係ない。自分がメロメロになってピアノを弾ければそれ最高。

 この流れで付け加えておくと,リズム隊が無名,特にドラムカール・ドネルがうるさすぎる,という批判記事も多いようだがとんでもない。だったら『TIME WAITS − THE AMAZING BUD POWELL VOL.4』におけるフィリー・ジョー・ジョーンズはどうなんだ,というお話。
 そんな的外れな批判を言う人はバド・パウエルが“天才”だということをちっとも分かっちゃいない人だから無視して結構。あるいは筋金入りの前期パウエル・ファンだから無視したら危ない?

BUD POWELL IN PARIS-2 あっ,その昔,管理人もカール・ドネルシンバルがおかずを入れるたびにガクッ,メロディーを喰うたびにガクッ,がありました。
 でも聴き慣れてしまうとカール・ドネルシンバルこそが『バド・パウエル・イン・パリ』の空気感を作り上げてしまっているようで大好きなのです。
 試しにプリアンプのハイをカットして再生してみてください。きっと管理人と同じ不満を覚えるはず? だって“やんちゃな”バド・パウエルがひどく子供に思えてしまうから〜。

 『バド・パウエル・イン・パリ』の“ちょうど良い按配”とは,絶妙なバランスの上に成り立っているものなのです。ゆえに前期パウエル・ファンがするであろう『バド・パウエル・イン・パリ』への批判は,後期パウエル・ファンの1人としては受け付けられません。
 まっ,管理人もバド・パウエルは前期か後期か,と問われれば「前期」と答える1人なのですが…。ちゃんちゃん。

  01. HOW HIGH THE MOON
  02. DEAR OLD STOCKHOLM
  03. BODY AND SOUL
  04. JOR-DU
  05. REETS AND I
  06. SATIN DOLL
  07. PARISIAN THOROUGHFARE
  08. I CAN'T GET STARTED
  09. LITTLE BENNY
  10. INDIANA (BACK HOME AGAIN IN)
  11. B-FLAT BLUES

(リプライス/REPRISE 1964年発売/WPCR-13188)
(紙ジャケット仕様)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,藤本史昭)

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バド・パウエル / ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.55

THE SCENE CHANGES - THE AMAZING BUD POWELL VOL.5-1 最初にお断りしておく。この記事は『THE SCENE CHANGES − THE AMAZING BUD POWELL VOL.5』(以下『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』)批評であって【クレオパトラの夢批評ではない。

 そう。『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5批評と来れば,モダン・ジャズ史上屈指の人気曲【クレオパトラの夢批評。エキゾチックでロマンチックで軽快な明るいバー・カウンターのテーマ曲…。
 管理人が『ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.1批評で【ウン・ポコ・ローコ批評をやったと同じように,皆が皆【クレオパトラの夢】の絶賛記事で埋め尽くされてしまう。

 でもでも『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5批評=【クレオパトラの夢批評では勿体ない。わざわざ前置きを書かせていただいたのはそのためである。

 バド・パウエル演奏レベルは前期に劣る。でも泣けるのだ。陽気なアルバムなのに泣けてくるのだ。バド・パウエルのハートを感じるのだ。「俺に残されたのはジャズ・ピアノを弾くことだけだ」と言わんばかりの集中力の高さは,必死に内面の葛藤を打ち消そうとする不安の表われに聴こえてくる。ピアノを上手に弾くという行為に“すがりつく”かのように…。

 うん。そうなのだ。『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』というアルバムは,後期パウエルの「アイデンティティ」。
 『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』の聴き所は“人間”バド・パウエルなのである。
 ゆえに『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』は“雰囲気を味わう”アルバムなのだと思う。

 『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』が醸し出す“独特の雰囲気”は,他のバド・パウエルの諸作では味わえないからこそ,長らくパウエル・ファンから愛され続けてきたのだと思う。
 この“独特の雰囲気”を説明するのは難しい。強いて言えば「ジャケット通りの内容」とでも言うべきか? ジャケットのほの暗く“蒼い”トーンそのもののピアノトリオ

 後期パウエルに“ピアノの独り勝ち”はない。『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』も例外ではなく『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』の“独特の雰囲気”作りにベースポール・チェンバースドラムアート・テイラー名演は外せない。

 バド・パウエルの,ほとんどぶっ通しの重量級のソロ演奏のバックで,ポール・チェンバースがブリブリとしてゴリゴリしていて暴れているのに実は繊細で歌心のあるメロディアスなベースを弾けば,アート・テイラーの心地良いスイング感&荒々しいブラシのアクセントが実に効いている。4ビートで進行するマイナー・ブルース&ビ・バップの“カラッとした”哀愁リズムの典型なのである。

THE SCENE CHANGES - THE AMAZING BUD POWELL VOL.5-2 仮に【クレオパトラの夢】が入っていなかったとしても『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』はパウエル・ファンの愛聴盤であり続けてきたと思う。
 パウエル・ファンだけではない。もっと言えばジャズ・ファンだけでもない。普段ジャズなど滅多に聞かない音楽ファンにとっても愛聴盤に成り得る内容だと思う。

 そう。『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』こそ,真に「ジャズの入門盤」。スタイルが古くなろうとも,ピアニストとしての腕が落ちようとも,今でも光り輝き「ジャズの定番」として聴き継がれている「稀有なる名盤」。

 勿論『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』を気に入っただけで「バド・パウエルが分かった」「ジャズ・ピアノが分かった」と思い込むのは早合点に違いないが,それでも「ジャズって難しくないんだ」と思っていただけたならバド・パウエルも本望なのだと思います。

 管理人の結論。『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5批評

 【クレオパトラの夢】抜きにして星5つの『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』。ここに【クレオパトラの夢】が入っているのだから『ザ・シーン・チェンジズ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.5』は超鉄板!

PS 我ながら大好きな【クレオパトラの夢】抜きによくぞ完走できました。なぜなら保育園での伴奏風な【ボーダリック】が最高だから〜!  

  01. CLEOPATRA'S DREAM
  02. DUID DEED
  03. DOWN WITH IT
  04. DANCELAND
  05. BORDERICK
  06. CROSSIN' THE CHANNEL
  07. COMIN' UP
  08. GETTIN' THERE
  09. THE SCENE CHANGES

(ブルーノート/BLUE NOTE 1959年発売/TOCJ-9004)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,大村幸則)
(紙ジャケット仕様)

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バド・パウエル / タイム・ウェイツ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.44

TIME WAITS - THE AMAZING BUD POWELL VOL.4-1 後期パウエルらしい,バラツキ感を感じる『TIME WAITS − THE AMAZING BUD POWELL VOL.4』(以下『タイム・ウェイツ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.4』)。

 だから管理人は『タイム・ウェイツ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.4』をバド・パウエル目当てでは聴いていない。
 『タイム・ウェイツ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.4』のお目当ては,フィリー・ジョー・ジョーンズドラムサム・ジョーンズベースである。

 そう。『タイム・ウェイツ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.4』のドラムベースが超安定した破天荒なリズムを刻んでいく。ドラム以外の音を打ち消さんばかりの“うるさ型”フィリー・ジョー・ジョーンズドラミングは神!

 こんなにも美味しいリズムで彩どられたピアノトリオの『タイム・ウェイツ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.4』。
 なのになぜ『タイム・ウェイツ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.4』が話題にのぼらないのか? それこそバド・パウエルが不調だからだ。

 バド・パウエルが好調であれば,フィリー・ジョー・ジョーンズソニー・ロリンズとの対決で名高い【飾りのついた四輪馬車】収録の『ニュークス・タイム』並みに扱われたことであろう。

TIME WAITS - THE AMAZING BUD POWELL VOL.4-2 管理人の結論。『タイム・ウェイツ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.4批評

 『タイム・ウェイツ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.4』に“ジャズ・ピアニストバド・パウエルはいない。
 『タイム・ウェイツ/ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.4』にいるのは“サイドメン”バド・パウエルである。

  01. BUSTER RIDES AGAIN
  02. SUB CITY
  03. TIME WAITS
  04. MARMALADE
  05. MONOPOLY
  06. JOHN'S ABBEY
  07. DRY SOUL
  08. SUB CITY (alternate master)

(ブルーノート/BLUE NOTE 1958年発売/TOCJ-6589)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,杉田宏樹)

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バド・パウエル / バド・パウエルの芸術4

THE BUD POWELL TRIO-1 1947年と1953年の録音がセットで収められた名盤THE BUD POWELL TRIO』(以下『バド・パウエルの芸術』)。

 管理人は『バド・パウエルの芸術』を愛聴してはいない。演奏は素晴らしいのだが『バド・パウエルの芸術』からは,バド・パウエルの「人生の縮図」を感じてしまう。バド・パウエルの「早過ぎた老化」に悲しみを感じるからである。

 バド・パウエルは前期と後期に区別される。同じジャズメンの演奏なのだからそんなに違いはない,と思われるかもしれないが,誰が聴いても明らかに区別できる。
 このバド・パウエルのモデル・チェンジは残酷な必然。野球で言えば速球だけでは抑えられなくなった速球派ピッチャーが変化球で抑える軟投派へと転向した感じ。バド・パウエルは前期と後期は江夏豊の阪神・南海時代と広島・日本ハム時代のような明確な違いを感じるのだ。

 江夏豊の先発完投型からリリーフ・エースへの転身は,当時の南海のキャッチャー兼任監督=野村克也が球威の落ちてきた江夏を説得したことになっているが,実はこの転身に伏線があったことは余り知られていない。本格派の全盛期であった阪神時代に当時の監督=吉田義男が江夏にリリーフへの転向を打診したことがあったそうだ。

 吉田義男が『バド・パウエルの芸術』を聴いてみたと仮定して…。
 吉田義男は1947年のバド・パウエルにこのように言うであろう。「バド・パウエルさん,あなたは大天才です。後10年間は安泰ですね」。
 しかし1953年のバド・パウエルに吉田義男はこのように言うであろう。「バド・パウエルさん,そろそろ早弾きではなく内面の陰影で勝負してみるのもいいかもしれませんね」。

 そう。あと10年は安泰だと思わせる1947年の演奏から6年が経過した1953年の演奏が衰えて聴こえる。1953年の演奏も普通に聴けば素晴らしいのだが,いかんせん1947年の演奏が神懸りすぎている。
 天才すぎるジャズ・ピアニストの「早過ぎた老化」。1947年と1953年の録音を比較して聴かせる『バド・パウエルの芸術』はバド・パウエルの「人生の縮図」で満ちている。

THE BUD POWELL TRIO-2 1947年の演奏は総じて先発完投型。初回の立ち上がりは,ゆっくりとエレガント。これが5回ぐらいまで進んでくると,興に乗って来たのか?このまま止まらなくなるのではないかと思える程の鬼気迫るド迫力の演奏で「打てるものなら打ってみろ〜」。バッタバッタと斬りまくる。
 1953年の演奏は相手とのピンチに登場したリリーフ投手型。ゲーム中の駆け引き。相手との駆け引き。ストレートの中に織り交ぜる変化球の配球。力と頭脳とハートの強さ。

 才能の全てを出し尽くした前期のバド・パウエルと,下り坂に差し掛かり,どこかで時代の波に乗り遅れつつあることを自覚し始めた後期のバド・パウエル
 その意味で日本語タイトル『芸術』というのネーミングが素晴らしい。『芸術』は儚くも美しい。「芸術は長く人生は短し」のことわざを地で体感したのがバド・パウエルだと思う。

  01. I'LL REMEMBER APRIL
  02. INDIANA
  03. SOMEBODY LOVES ME
  04. I SHOULD CARE
  05. BUD'S BUBBLE
  06. OFF MINOR
  07. NICE WORK IF YOU CAN GET IT
  08. EVERYTHING HAPPENS TO ME
  09. EMBRACEABLE YOU
  10. BURT COVERS BUD
  11. MY HEART STOOD STILL
  12. YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO
  13. BAGS' GROOVE
  14. MY DEVOTION
  15. STELLA BY STARLIGHT
  16. WOODY'N YOU

(ルースト/ROOST 1953年発売/TOCJ-6118)
(ライナーノーツ/藤本史昭)

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バド・パウエル / ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.15

THE AMAZING BUD POWELL VOL.1-1 管理人にとってバド・パウエルの代表曲と来れば【クレオパトラの夢】で決まりである。しかし,これがモダン・ジャズの代表曲とか,ジャズ・ピアノの代表曲というお題に変われば【クレオパトラの夢】は外れる。
 【クレオパトラの夢】はバド・パウエルの“命の音”に聴こえる。バド・パウエルに“人間”を感じるのだ。

 ではモダン・ジャズの代表曲とか,ジャズ・ピアノの代表曲とは何だろうか? 異論反論オブジェクションが殺到する覚悟で選べば,バド・パウエルの【ウン・ポコ・ローコ】の3連発! 【ウン・ポコ・ローコ】の3連発を“かませば”大抵のジャズ・ファンは逃げてしまう。想像を絶した“衝撃”にジャズという音楽から距離を置こうと考えるかもしれない。

 【ウン・ポコ・ローコ】と距離を置く。それも1つの選択だと思う。自分が好きでもない音楽を無理をしてまで聴き続ける必要などない。かくいう管理人もジャズ=【ウン・ポコ・ローコ】とは思っていないから大丈夫である。
 でも,でも,でも…。【ウン・ポコ・ローコ】は,ジャズ・ファンなら「どうしても乗り越えなければならない壁」である。【ウン・ポコ・ローコ】を乗り越えなければ“激情系”ジャズを楽しむことなどできやしない。そして“激情系”ジャズを楽しめなければジャズの楽しみも半減してしまう。あぁ〜。

 管理人が【ウン・ポコ・ローコ】をここまで持ち上げるのは【ウン・ポコ・ローコ】が“激情系”ジャズの大名演という理由に加えて【ウン・ポコ・ローコ】が3連発だからという理由になる。
 1stテイク,2ndテイク,3rdテイクはどれも他とは異なっている。これら3テイクの微妙な違いを聴き分けるには時間と忍耐力が必要とされるが,この聴き比べこそが最高に楽しい。

 バド・パウエルの“灰汁の強さ”がテイク毎に隆起する流れが読めるようになるとしめたもの。流れを掴めるようになるとバド・パウエルの「快感の絶頂」を共有できるようになる。そうなると“天才中の天才”の運指と身体が無意識のうちに反応し感じ始めるエクスタシー。
 恐らく,このバド・パウエルと同期する快感を最初に味わったのはブルーノートの名プロデューサーにして熱烈ジャズ・マニアのアルフレッド・ライオンであろう。

 アルフレッド・ライオンジャズ界にもたらした功績の一つに「リハーサル」がある。アドリブ至上主義のジャズに,エネルギーと瞬発力だけではなく演奏のクオリティをも求めて「リハーサル」を持ち込んだ。
 そのアルフレッド・ライオンが【ウン・ポコ・ローコ】を立て続けに冒頭3トラックも並べているのだから,3トラックの全てが聴くに値するエクスタシーを収めている証拠である。

 さて,問題はここからである。管理人が【ウン・ポコ・ローコ】をモダン・ジャズの代表曲,あるいはジャズ・ピアノの代表曲に選ぶ理由はこうである。
 【ウン・ポコ・ローコ】3テイクの聴き分けをマスターした後で【ウン・ポコ・ローコ】の3連発を改めて通して聴いていると,これまでとは全く異質の快感が押し寄せてくる。

 3種類のエクスタシーが収められていた【ウン・ポコ・ローコ】の3連発が,単体を超え“【ウン・ポコ・ローコ】組曲”として迫ってくる。そう。3つで1つの【ウン・ポコ・ローコ】。
 アルフレッド・ライオンが真のジャズ・ファンに伝えたかった【ウン・ポコ・ローコ】とは“【ウン・ポコ・ローコ】組曲”。【ウン・ポコ・ローコ】とはリズムやメロディの違いを楽しむものではなく,音楽全体の流れを楽しむものである。

 長編のクラシックに無駄な1小節がないように【ウン・ポコ・ローコ】の3連発にも無駄なアドリブが1つもない。点と線がつながって初めて全体像が浮かび上がっている。
 いや〜,バド・パウエル名演も奇跡的だが,アルフレッド・ライオンの音楽全体を捉える耳も奇跡的。“【ウン・ポコ・ローコ】組曲”はバド・パウエルアルフレッド・ライオンの“奇跡のコラボレーション”なのである。

THE AMAZING BUD POWELL VOL.1-2 あれっ,だあれ,ここまで読んでも【ウン・ポコ・ローコ】を繰り返し聴いても「ちっとも分からん」とため息ついている人は…。
 でも大丈夫。【ウン・ポコ・ローコ】が楽しめなくても大丈夫。【ウン・ポコ・ローコ】3連発収録の『THE AMAZING BUD POWELL VOL.1』(以下『ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.1』)の楽しみは【ウン・ポコ・ローコ】3連発以外にもあ〜る。

 トランペットファッツ・ナバロがいるではないか! テナー・サックスソニー・ロリンズがいるではないか!
 『ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.1』は【ウン・ポコ・ローコ】3連発“激情系”だけではない“リラックス”ジャズの大名演をも同時収録!

 管理人にとっての『ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.1』は“激情系”から“リラックス”へとシフト中で〜す。

  01. UN POCO LOCO (1st take)
  02. UN POCO LOCO (2nd take)
  03. UN POCO LOCO
  04. DANCE OF THE INFIDELS
  05. 52ND ST. THEME
  06. IT COULD HAPPEN TO YOU (alternate master)
  07. A NIGHT IN TUNISIA (alternate master)
  08. A NIGHT IN TUNISIA
  09. WAIL
  10. ORNITHOLOGY
  11. BOUNCING WITH BUD
  12. PARISIAN THOROUGHFARE

(ブルーノート/BLUE NOTE 1951年発売/TOCJ-6418)
(ライナーノーツ/岡崎正通)

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バド・パウエル / ジャズ・ジャイアント4

JAZZ GIANT-1 思うにバド・パウエルヴァーヴ盤の世評が低いのは『JAZZ GIANT』(以下『ジャズ・ジャイアント』)のせいではなかろうか?

 バド・パウエルの前期の演奏なのだから,当然『ジャズ・ジャイアント』も名演のオンパレード集に違いない。その点は認める。

 しかしバド・パウエルの場合,快演=感動の名演なのである。バド・パウエルの場合,テクニックに溺れることなど皆無。超テクニシャンなのに感動が必ず伴っている。
 こんなピアニスト,いいや,こんなジャズメン滅多にいない。ズバリ,バド・パウエルこそ,真に「天才中の天才」なのである。

 さて,問題の『ジャズ・ジャイアント』である。ヴァーヴ盤の世評は低いが『ジャズ・ジャイアント』単体への評価は高い。変に名が通っている。
 だからバド・パウエルに興味を持ったファンが『ジャズ・ジャイアント』を「1枚目,2枚目,3枚目」として手に取る確立も高くなる。

 ポイントはこの「1枚目,2枚目,3枚目」の組み合わせ。(後期パウエルの傑作群=『ザ・シーン・チェンジズ』等は置いといて。以下,前期パウエルに限って書き記すが)『ジャズ・ジャイアント』の次に,同じくヴァーヴ盤の『ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル』を手に取ればいいのだが,大抵の高確率で一般的な人気盤=ルースト盤の『バド・パウエルの芸術』かブルーノート盤の『ジ・アメイジング・バド・パウエル』に辿り着く。

 圧倒的な感動盤=『バド・パウエルの芸術』と『ジ・アメイジング・バド・パウエル』に比べると,唯一【身も心も】には感動するが『ジャズ・ジャイアント』は聴けたものではない → ヴァーヴはダメの元凶?

JAZZ GIANT-2 管理人の結論。『ジャズ・ジャイアント批評

 『ジャズ・ジャイアント』は名盤。『ジャズ・ジャイアント』はダメではない。ただ生まれた時代が悪かった。

  01. TEMPUS FUGUE-IT
  02. CELIA
  03. CHEROKEE
  04. I'LL KEEP LOVING YOU
  05. STRICTLY CONFIDENTIAL
  06. ALL GOD'S CHILLUN GOT RHYTHM
  07. SO SORRY PLEASE
  08. GET HAPPY
  09. SOMETIMES I'M HAPPY
  10. SWEET GEORGIA BROWN
  11. YESTERDAYS
  12. APRIL IN PARIS
  13. BODY AND SOUL

(ヴァーヴ/VERVE 1950年発売/POCJ-1822)
(ライナーノーツ/佐藤秀樹)

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バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル / THE FRUIT5

 『THE GENIUS OF BUD POWELL』の9曲目は【THE FRUIT】(以下【ザ・フルーツ】)。


 【ザ・フルーツ】での“ピアノの様変わりの速さ”と言ったら,逆ドリアン級!?( ← 熟れるのが早いと言いたいのですが,例えが浮かびませ〜ん。)演奏が進むにつれ,糖度が増している!

 【ザ・フルーツ】の,あの印象的なテーマは後半(2分32秒以降)でのみ鳴っていると思っていたが,今回聴き直してみて,イントロでも(9秒以降)鳴っていることに気が付いた。やはり全然演奏の“質”が異なっていた。

 豹変のターニング・ポイントは2分1秒以降の“荒くれ”のアドリブである。バド・パウエルのミィディアム・ファーストな連弾が,どっちに転ぶか分からない不安感と共に脳内をかき回した後で飛び出す,あのスッキリ・テーマ! 洗練された端正なピアノが粒立っている!

 果物の秋。収穫の秋。バド・パウエルの秋である。

BUD POWELL : Piano
RAY BROWN : Bass
BUDDY RICH : Drums

バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル / HALLUCINATIONS4

 『THE GENIUS OF BUD POWELL』の8曲目は【HALLUCINATIONS】(以下【ハルシネイションズ】)。


 【バドゥ】としてマイルス・デイビスによって“トリビュート”された【ハルシネイションズ】は,意外なほど“あっさり系”である。 ← そりゃぁ,マイルス9重奏楽団を聴き慣れた耳には“あっさり系”に聴こえるわなぁ。

 ここに管理の“後悔の日々”がある。『クールの誕生』収録の【バドゥ】を先に聴いてしまったばっかりに【ハルシネイションズ】をバド・パウエル一流の名演と認めつつも,いかんせん“あっさり系”第一印象が抜けきらない。

 かたや超大物9人衆。かたやパウエル唯1人。すでに勝負は決している。これがバラード・ナンバーであれば,ソロ・ピアノにも勝機があったかもしれないが【ハルシネイションズ】は“バップ・ピアノ”ですので…。

 マイルス・デイビスに影響されまくって,冷静な批評ができない自分と対峙する。そう。管理人にとっての【ハルシネイションズ】とは『自己との対話』−ビル・エヴァンスなのである。

BUD POWELL : Piano

バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル / DUSK IN SANDI4

 『THE GENIUS OF BUD POWELL』の7曲目は【DUSK IN SANDI】(以下【ダスク・イン・サンディ】)。


 【ダスク・イン・サンディ】は,バド・パウエルの“芯の強さ”が音に表われたバラードである。
 一歩も引かない,たじろがない,凛としたタッチのバラード

 この手のバラードは感傷に浸ることを許してくれない。要するに「重い」のだ。恋愛において嫌気を覚えるのと同種の「重さ」。
 そんな「重い」バド・パウエルが鬼気迫ってくる。もう逃げられない。バド・パウエルが聴き手の反応を伺いながら弾き続ける。
 聴き手はバド・パウエルに“監視”されているかのような,変な緊張感を覚えてしまう。「ほう。こう演るとこう来るのか…」。ただただ真剣に聴き続けるしか道はない。

 だから感想は1時間遅れで“ワッと来る”! バド・パウエルの「重さ」から解放されて初めて,演奏への感動が体の中から沸き起こってくる! 時間が経っているにもかかわらず,ほんの今聴いたかのような“リアルな感触”が残っている。本当に凄い。

 聴き所は2分8秒,最後のアタック! 集中して聴いた(聴かされた)結果,いつも最後の一音しか記憶に残っていないから…。

BUD POWELL : Piano

バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル / OBLIVION4

 『THE GENIUS OF BUD POWELL』の6曲目は【OBLIVION】(以下【オブリヴィオン】)。


 【オブリヴィオン】は,小気味良さ! ゆったりと構え,堂々とテーマを奏でるバド・パウエルに“心酔”してしまう。
 ピアノが弾けない管理人でも【オブリヴィオン】をコピーした“パウエル派”バリー・ハリスの気持ちが分かる。

 バリー・ハリスに【テンパス・フュジット】は絶対無理だが【オブリヴィオン】なら行ける。完璧にコピーできると考えたのでは?
 しかし入口は広いが【オブリヴィオン】の懐は思った以上に深かった。バリー・ハリスの苦悩も分かる→分かってあげるべき。

 27秒からの左手から放たれるリズムが変化しながらメロディを包み込む。右手から繰り出されるアドリブは,下から上に突き上げる強烈な“グルーヴ”感を伴っている。
 …と書いて,何か大熱演を連想させたらすみません。この名演の全てを,サラッと,軽々と,リラックスして弾きこなすのがバド・パウエル流! バド・パウエルの真の凄さは,いつも“ふとした瞬間”に訪れる。

BUD POWELL : Piano

バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル / PARISIAN THOROUGHFARE5

 『THE GENIUS OF BUD POWELL』の5曲目は【PARISIAN THOROUGHFARE】(以下【パリの目抜き通り】)。


 【パリの目抜き通り】の聴き所は,この“キャッチーなメロディ”を疾走する,バド・パウエルの“悠々”としたプレイ!
 真面目に聴き込めば,すぐに圧倒的なテクニックにKOされるわけであるが,全体から受ける印象は,全てが余裕の“鼻歌混じり”。「鍵盤の端から端まで一気に駆け巡る」自慢のハイ・テクニックが,嫌味なく,さりげない“隠し味”として使用されている。

 そう。【パリの目抜き通り】は,バド・パウエルには珍しくBGMとして聞き流すことさえできる。正真正銘のリラックス! この事実こそ【パリの目抜き通り】の“完成度の高さ”を物語っていると言えよう。

 実際の演奏には勿論,緊張感が溢れている。ソロ・ピアノとは思えない音の大洪水である。しかしこのリズム感と強弱の中に,パウエル一流の「遊び」が混じっている。その「遊び」が聴き手の緊張をほぐしてくれる。

 例えば1分0秒でのフォルテ。1分27秒から30秒までの右手と左手の交錯である。
 プログラムされた精密機械ではなく“人間”バド・パウエルを彷彿とさせる,これらの瞬間が大好きである。

BUD POWELL : Piano

バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル / HALLELUJAH5

 『THE GENIUS OF BUD POWELL』の4曲目は【HALLELUJAH】(以下【ハレルヤ】)。


 聖書で【ハレルヤ】とは「あなた方はヤハを賛美せよ」という意味の,全宇宙の創造者への賛美の表現である。ここでバド・パウエル! 偉大なジャズピアノの“クリエイター”であったバド・パウエルが,その“類い希な才能”の与え主を【ハレルヤ】と賛美するのは,実にふさわしい。

 しかしバド・パウエルの【ハレルヤ】は力業! このピアノの響きにバド・パウエルの“ヤハ”への謙虚な思いは,悲しいかな,窺い知ることはできない。もしや自分自身への【ハレルヤ】?
 そう。【ハレルヤ】は,下手なおだてにも“すぐに木に登りつめた”バド・パウエルが“有頂天気分”で残した名演である。

 イントロで感じる“メロディックな親しみやすさ”も11秒まで。12秒以降は“息つく暇さえ与えない”超高速のアドリブ・タイム!
 ジャズ・ピアノの“開祖”バド・パウエルの超絶技巧に【ハレルヤ】である!

BUD POWELL : Piano
RAY BROWN : Bass
BUDDY RICH : Drums

バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル / TEA FOR TWO(alternate take 2)5

 『THE GENIUS OF BUD POWELL』の3曲目は【TEA FOR TWO(ALTERNATE TAKE)】(以下【ティー・フォー・トゥー(別テイク)】)。


 こう立て続けに【ティー・フォー・トゥー】を聴かされると,たとえバド・パウエルの崇拝者であったとしても,さすがに“疲れ”を覚えるかもしれない。アドリブ好きにとっても,これは相当“厳しい音”だと思う。
 その辺はノーマン・グランツもよく分かっているのかな? 【ティー・フォー・トゥー】の3連発目は,3テイクの中でも一番音が“軽い”。軽快なピアノ・タッチが幾分音の厳しさを和らげている。

 この秘訣はバド・パウエルの持つ“ドライブ感”にある! ピアノの爆音が耳元近くで“うなっている”のは感じるのだが,体感上はパウエルの運指にワンテンポ遅れて音が迫ってくるような“一人時間差攻撃”。
 「アドリブログ」の品格を疑われるのを承知で例えるなら,HGの腰振りギャグ! 動きが速すぎて逆にゆっくり見えるという…。そう。アレである。

 【二人でお茶を】に関しては,何分何秒批評はやめました。この名演3連発を分析しながらは聴けません!

BUD POWELL : Piano
RAY BROWN : Bass
BUDDY RICH : Drums

バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル / TEA FOR TWO5

 『THE GENIUS OF BUD POWELL』の2曲目は【TEA FOR TWO】(以下【ティー・フォー・トゥー】)。


 【ティ・フォー・トゥー】はピアノ・トリオでの演奏であるが,実質ベースドラムは“お飾り”である。
 ベースドラムの創り出す安定したリズムの上を,個性豊かなピアノの音が華麗に自由に駆け抜ける,といった一般的なピアノ・トリオのイメージとは対極にある。

 そう。バド・パウエルの,常人の“倍速以上”で自分の道を突き進む“豪腕”ぶりに,かろうじてリズム隊が喰らいつく…。要はバド・パウエルの“一人勝ち”である。

 さて,テイク2であるが,CD収録時の“純”オリジナル・テイクだけあって,一番きっちり,かっちり,まとまった演奏である。3テイクの中で腰を据えて聴くには一番の出来である。

BUD POWELL : Piano
RAY BROWN : Bass
BUDDY RICH : Drums

バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル / TEA FOR TWO(alternate take)5

 『THE GENIUS OF BUD POWELL』の1曲目は【TEA FOR TWO(ALTERNATE TAKE)】(以下【ティー・フォー・トゥー(別テイク)】)。


 【ティー・フォー・トゥー(別テイク)】の淀みなく流れ続ける“超絶アドリブ”は,正に賛辞を尽くして誉め上げるべき“巧みの業”なのであるが,バド・パウエルは,それをいとも簡単・平然とやり遂げてしまっている。
 この現実を突きつけられた今,ありきたりかもしれないが“天才”という2文字以外にバド・パウエルを表現する言葉は見当たらない。不本意でもそう呼ぶしかあるまい。

 周期的に襲ってくる“強弱の波”と,超早弾きでも正確・明瞭なピアノ・タッチ! おまけに【ティ・フォー・トゥー】(邦題の【二人でお茶を】と言ったら,通りが良いかも…)と言うスタンダード・ナンバーを自分の土俵に持ち込んで,完全に“パウエル色”に染め上げてしまっている。
 これぞ【二人でお茶を】の決定的名演! 今後永遠に,このトラックを越える名演は現われないことと思う。

 さて,今回初収録となったテイク1であるが,ノリノリの3テイクの中でも一番ノリが良い。このスピード感を楽しんでほしい。

BUD POWELL : Piano
RAY BROWN : Bass
BUDDY RICH : Drums

バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル5

THE GENIUS OF BUD POWELL-1 管理人にとっての“高嶺の花”,それは小林香織でも矢野沙織でも,はたまたミキティーでも石原さとみでも長澤まさみでもなく…。
 うさんくさい・ブ男“狂気の天才”バド・パウエルその人である。

 “パウエル派”の創始者であるバド・パウエルこそ,モダン・ジャズ史上,最高・最強のジャズ・ピアニストである。
 もはやバド・パウエル抜きにジャズピアノは語れない。バド・パウエルの影響を誰も完全に拭い去ることなどできない。
 そう。全てのジャズ・ピアニストが絶対に避けて通ることのできない「決定的な存在」なのである。

 しかしここに奇妙な現象がある。アドリブ好きには最高のごちそうだと言うのに,管理人も管理人の周りのジャズ仲間も,日常的にはバド・パウエルを聴いてはいない。
 これは何もバド・パウエルCDが高価で手が出ないと言う意味ではない。CDなら,すでに手元にザックザク。ほぼコレクションは終わっている。聴こうと思えばいつでも聴けるのだが,なかなか手が伸びない&届かない。そう。これが“高嶺の花”の所以なのである。

 なぜ手を伸ばすことを躊躇してしまうのだろう? それこそジニアス=天才の証し。ズバリ,聴くのがメチャしんどい。
 “癒し系”と対極にある,くつろぐ余地など皆無な音楽。この緊張感は“殺るか殺られるか”死と背中合わせの音楽?

 昔はこんなことなかった。バド・パウエルの音楽を正面から受け止めて,勝手に“対決”できていた。しかし今ではCD一枚を通して聴くと,確実に体力を消耗してしまう。“ジーコ・ジャパン”のように終盤はヘロヘロになってしまう。
 そう。バド・パウエルは“若気の至り”を必要とする唯一のジャズメンなのである。

THE GENIUS OF BUD POWELL-2 さて,その“狂気の天才”ぶりがいかんなく発揮されているのが,前期パウエルの“最高傑作”『THE GENIUS OF BUD POWELL』(以下『ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル』)!

 このクラスの演奏になると,おざなりな批評など不要だろう。ただただ黙って,天才と狂気がうずまく壮絶な世界を身体で感じてほしい。

 『ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル』を繰り返し聴き込む時,必ずや読者のCDラックにも,バド・パウエルという“高嶺の花”が咲きほこる! もう二度と手を出せなくなる,と言う管理人の言葉を体感できるはずである。

 ただし生半可な気持ちで聴いてはならない。KO覚悟でチャレンジしてほしい。そうでないとケガをする…。

  01. TEA FOR TWO (alternate take)
  02. TEA FOR TWO
  03. TEA FOR TWO (alternate take)
  04. HALLELUJAH
  05. PARISIAN THOROUGHFARE
  06. OBLIVION
  07. DUSK IN SANDI
  08. HALLUCINATIONS
  09. THE FRUIT
  10. A NIGHTINGALE SANG IN BERKELEY SQUARE
  11. JUST ONE OF THOSE THINGS
  12. THE LAST TIME I SAW PARIS

(ヴァーヴ/VERVE 1951年発売/POCJ-1839)
(ライナーノーツ/久保田高司)

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