CD批評:クリフォード・ブラウン
2005年08月22日
クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン / TAKE THE "A" TRAIN
『STUDY IN BROWN』の9曲目は【TAKE THE “A” TRAIN】(以下【A列車で行こう】)。
このイントロとエンディングのドラミングは正に“快速”列車の出発と到着の合図である。そう。“快速”であって“特急”とは違う。「シュッポ・シュッポ」時代のジャズ・スタンダードなのである。
【A列車で行こう】の名演は多いが,このトラックこそ管理人の選ぶベスト・トラック! 恐るべしマックス・ローチ! ドラムが“リード&花形”楽器へと昇華している。
そう。ちょいとしつこいが,マックス・ローチの創り出す“快速”列車のスピード感が何とも言えず“爽快”なのである。
このドラムを“リード”楽器へと昇華させたマックス・ローチの圧倒的な“情景描写”に彩りを加えているのが,クリフォード・ブラウンとハロルド・ランドによる「シュッポ・シュッポ」隊。
お馴染みのメイン・テーマでの完璧なユニゾンと,29秒からと3分54秒からの“汽笛”2発のコンビネーション! それぞれのソロも上出来ではあるのが,このトラックでは勝手が異なる。
1分36秒からのクリフォード・ブラウンのトランペット・ソロでさえ,バックからあおられっぱなしとは驚愕だ!
【A列車で行こう】でのソロ・パートと言えば,管理人の中では,3分0秒からと3分6秒,3分20秒からのマックス・ローチのドラム・ソロしか印象に残っていない。ブラウニーさえも“前座”にしてしまう,マックス・ローチの喰いっぷりがお見事! 【A列車で行こう】のマックス・ローチは,もはや無敵の“ジャズ・ジャイアント”!
3人の“火花飛び散る”大バトルに,中間派のリッチー・パウエルとジョージ・モロウが“石炭”を加えるもんだから,さあ大変! 終盤は“快速”列車が“特急”と化してしまう!
そんな絵に描いたような“痛快さ”NO.1の【A列車】。こんな【A列車】に乗って旅してみたいものである。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : TRUMPET
MAX ROACH : DRUMS
HAROLD LAND : TENOR SAX
GEORGE MORROW : BASS
RICHIE POWELL : PIANO

スタディ・イン・ブラウン
2005年08月19日
クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン / SANDU
『STUDY IN BROWN』の6曲目は【SANDU】(以下【サンデュ】)。
【サンデュ】は,軽快なブルース! ブルージーな魅力炸裂の,分かりやすいソロ回しが楽しめる。そう。【サンデュ】は,ジャズ・アレルギーの人たちへの“特効薬”の一つとして数え上げられている。
まずユニゾン・テーマが素晴らしい。ジャズのおいしい“ノリ”&豊かな“ハーモニー”が裏拍子でスイングしている。
アドリブの先陣はクリフォード・ブラウンのトランペット。朗々とスイングする,この“余裕のフレーズ”がたまらない。
続いて順番に…。ハロルド・ランドのテナー・サックスは,粘り腰のアフター・ビート。リッチー・パウエルのピアノは,ブロック・コードで渋くまとめてある。
マックス・ローチの“テクニカル”な貫禄ドラム〜ジョージ・モローの“重厚なウォーキング・ベース”への流れが鮮明である。
【サンデュ】は,リズムではなくシンプルな“間”がおいしい,B級ジャズ・ブルースの逸品である。
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CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : TRUMPET
MAX ROACH : DRUMS
HAROLD LAND : TENOR SAX
GEORGE MORROW : BASS
RICHIE POWELL : PIANO

スタディ・イン・ブラウン
2005年08月16日
クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン / SWINGIN'
『STUDY IN BROWN』の3曲目は【SWINGIN’】(以下【スインギン】)。
【スインギン】は正真正銘のスイング! この“淀みなく流れるプレイ”に酔いしれる! 一糸乱れぬユニゾン&メンバー各自のソロ回し! チームワークと個人プレー,その両方を同時に楽しめる“ハード・バップ”を代表する,名演中の名演である。
【スインギン】のように緊張感とリラックスが同居したトラックは数少ない。こんな名演はいつ聴いても楽しいものだ。素直にリズムに身体が反応してしまう。やっぱり“スイング=快感”である。
クリフォード・ブラウンとハロルド・ランドの“饒舌”なテーマに,3人の超強力リズム隊が彩りを付している。
ピンポイントで12秒と2分23秒で聴こえるピアノ! リッチー・パウエルによるバッキングが,絶妙の“隠し味”。
ハロルド・ランドのテナー・ソロなら1分10秒の“うなるこぶし”と相場は既に決まっている。
クリフォード・ブラウンとマックス・ローチも相変わらず天才的・超人的・神業的,かつパワー炸裂で文句なし! イッツ・ジャズ!
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CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : TRUMPET
MAX ROACH : DRUMS
HAROLD LAND : TENOR SAX
GEORGE MORROW : BASS
RICHIE POWELL : PIANO

スタディ・イン・ブラウン
2005年08月15日
クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン / JACQUI
『STUDY IN BROWN』の2曲目は【JACQUI】(以下【ジャキー】)。
【ジャキー】は,リズムが目まぐるしく変化する,ユニークな構成の“ワンプレート物”。専門的には12小節のサビが目新しい出来であったが,堅い話は抜きにして,音の変化にジックリと耳を這わせてみてほしい。
全体の舵取り役は,ピアノのリッチー・パウエル! テーマの締めにおける“ズッコケ”感が最高だし,各メンバーのソロにおけるバッキングでは,実権を握る者だけが“加減できる”心地良い刺激が添えられている。
2分55秒からのアドリブには,兄貴譲りの“ソロイスト”としての貫禄さえ漂っている。
例の「悲劇の自動車事故」を語る時,忘れてならないのが,同乗者=リッチー・パウエルの死である。「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット」を“最強コンボ”へと仕立て上げたのは,何を隠そう,最年少メンバーのリッチー・パウエルなのだから…。
当然ながら「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット」のリーダーは“双頭”である,クリフォード・ブラウンとマックス・ローチに違いない。
ただし二人のジャズ・ジャイアントが同時に円滑に共存するためには,間を取り持つ,潤滑油やショック・アブソーバーの存在が必要不可欠!
このクッション役は単に人柄が良いだけでは務まらない。リッチー・パウエルのジャズメンとしての“資質の高さ”を,二人のジャズ・ジャイアントが認めたからこそ,務まったのだ。
言わばリッチー・パウエルは「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット」の音楽監督であろう。
4分49秒からのハーモニーでのエンディングに“早熟の音楽監督”リッチー・パウエルの“仕事ぶり”が表われている。
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CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : TRUMPET
MAX ROACH : DRUMS
HAROLD LAND : TENOR SAX
GEORGE MORROW : BASS
RICHIE POWELL : PIANO

スタディ・イン・ブラウン
2005年08月14日
クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン / CHEROKEE
『STUDY IN BROWN』の1曲目は【CHEROKEE】(以下【チェロキー】)。
【チェロキー】は,全編マックス・ローチの“裏拍子”ドラミングに乗せられて,バンド全体が“ズンズン”と加速するスイング感! これだからハード・バップはやめられない。
ユニゾンによる「インデイアンの雄叫び+のろしの白煙」がゆっくりと立ち昇った瞬間,突然のギア・チェンジ! アップダウンに急カーブ+悪路!
【チェロキー】の聴き心地=乗り心地は,正にオフロードを突っ走る“ジープの【チェロキー】”と重なるものがある。
これは多分に超高性能エンジン=マックス・ローチの大排気量&大馬力のおかげであろう。4分15秒から55秒までと5分17秒から28秒までの2種類のソロの違いは,ホンダとフェラーリのF1エンジン音の違いである。 ← ハテナ?
マックス・ローチがエンジンなら,クリフォード・ブラウンはハンドルである。この軽快なハンドリングは悪路も一切おかまいなし。決してジャズの“王道”を踏み外すことはない。
1分18秒からのアドリブは,トランペッターなら決して避けて通れない,模範的なコース取りである。ジープの【チェロキー】改めロータス・ヨーロッパである。
アウトロの“吹き流し”感が実にグレート!
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CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : TRUMPET
MAX ROACH : DRUMS
HAROLD LAND : TENOR SAX
GEORGE MORROW : BASS
RICHIE POWELL : PIANO

スタディ・イン・ブラウン
2005年08月13日
クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン
歴史に「たられば」は禁物であるが,ジャズ史において,クリフォード・ブラウンの“早すぎる死”がなければ,モダン・ジャズは今とは随分異なる趣を呈していたのかもしれない。いや,間違いなく異なっているはずだ。なぜなら,ジャズ・シーンはマイルスではなく“ブラウニー”中心に回っていたと思うからである。
管理人はマイルス・デイビスが大好きだ。素直に“ジャズの帝王”という称号に値する,超VIPなジャズ・ジャイアントだと思う。ここでマイルス・デイビスを卑下するつもりなど毛頭ない。
しかし純粋にトランペッターとしての力量・資質を比較考量し,評価する時,クリフォード・ブラウンの実力は“桁違い”! 完全に頭一つ飛び抜けた,正にジャズ・トランペッター史上最高の実力者,いや,ジャズが生み出した“大傑作”なのである。
そう。時代は明らかにマイルスではなく“ブラウニー”を求めていたのだ。
余談であるが,この論議を別の観点から補足しておくと,クリフォード・ブラウンはかなりの人格者であったらしい。周囲に「この人なら…」と思わせることができていたとしたら…。
クリフォード・ブラウンのためなら一肌脱ごうとする“ブラウニー組”の結成・大成長は必然の流れであろう。
さて,この点を幾らでも語ることはできるのだが,まずは“論より証拠”! 『STUDY IN BROWN』(以下『スタディ・イン・ブラウン』)を聴いてみてほしい。
『スタディ・イン・ブラウン』収録時のクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットは,すでに人気コンボではあったが,まだまだ荒削り。若さ溢れる“イケイケ”の時期である。
それで『スタディ・イン・ブラウン』には,この時期を逃すと一生聴けないであろう“伸び盛り”特有の圧倒的エネルギーが封じ込められている。円熟期では決して聴けない“青臭さ”を聴き取れる。そこがファンとしてはたまらない“お宝”的なCDでもある。
ここでのクリフォード・ブラウンのプレイこそが“天才”と称賛されるゆえんであろう。明瞭な音とアドリブ,そして細かなハーモニー・センスに至るまで,正にジャズ・トランペットの“王道”である。
ミュートを多用するマイルス・デイビスが変化球の名手であるとすれば,クリフォード・ブラウンはいつでも直球勝負。ここが如何せん“物の違いを”感じさせてくれるのだ。
しかも“元気ハツラツ,オロナミンC”のような“根明”な雰囲気がまたよい。一般的にジャズには“根暗”な雰囲気がつきまとっていると思う。難解で高尚で自己完結,閉鎖的で堅物…。
ここが「アドリブログ」で管理人が訴え続けてきた点なのであるが,実際のジャズは明るく楽しいものであるはずだ。そう。ストレートに音から入れるはずなのだ。
それをジャズ・ジャーナリズムという虚像が勝手に“敷居を高く”してしまっている。
『スタディ・イン・ブラウン』でのクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットは実に明るい。メンバー全員,純粋に“ジャズ”という音楽を楽しんでいる。ジャズをプレイする“歓び”がストレートに伝わってくる。
この熱気,空気感を是非,肌で感じ取ってほしい。逃げずに正面から音圧を受け止めてみてほしい。
身体の中に本物のジャズが充満したある時,風船が破裂するかのごとく,きっと読者の皆さんの内にある,ジャズに対する何かが破裂する。きっと何かが変わるはずである。
そして,クリフォード・ブラウンがもう少し長く存命していれば,きっとモダン・ジャズも変わっていたはずなのである…。
(1955年録音/PHCE-4164)


























