アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:クリフォード・ブラウン

クリフォード・ブラウン&ズート・シムズ / ジャズ・イモータル5

JAZZ IMMORTAL-1 「不滅のジャズ」を意味する『JAZZ IMMORTAL』(以下『ジャズ・イモータル』)とのタイトルだが,大風呂敷を広げただけのことはある。

 そう。イースト・コーストクリフォード・ブラウンが,譜面に強いウェスト・コーストの精鋭ジャズメンと共演したパシフィック・ジャズ盤の『ジャズ・イモータル』こそが,正しく「不滅のジャズ」の最右翼で間違いない。東西両海岸のベスト・エレメンツが見事な融合を聴かせている。

 『ジャズ・イモータル』の聴き所は,狭義には「典型的なウェスト・コーストの緻密なアンサンブルに身を置いたクリフォード・ブラウンのリズミックなテンション」であったであろうし,広義には「クラシックの室内楽的手法であるジャズ・アレンジへの適応とジャズの伝統的な手法であるテンションとリラクゼーションの対比」であったのだろう。

 その答えをクリフォード・ブラウンが見事な「調和」が示してくれている。時間を超え場所を超えジャンルを超えて,フロント4管の中からクリフォード・ブラウンの一本のトランペットが飛び出し“宙を舞っている”のである。

 こんなにも“豪華な”クリフォード・ブラウントランペットは『ジャズ・イモータル』の他に例を見ない。
 ピアノラス・フリーマンドラムシェリーマンを始めウェスト・コーストジャズの名手が一堂に会し,ジャック・モントローズのアレンジに乗ったズート・シムズという好敵手までが登場し,ソロアンサンブルにと“洒落た”ジャズ演奏が続いていく。

JAZZ IMMORTAL-2 管理人の結論。『ジャズ・イモータル批評

  HOTなイースト・コーストとCOOLなウェスト・コーストが,手に手を取り合って,見事な「調和」を果たしている。そのパイプ役こそがクリフォード・ブラウン

 特に【JOY SPRING】のまろやかで艶やかでほっこりするアンサンブルは,管理人が知るクリフォード・ブラウンの全ての演奏の中で最高に好き。一番好き。たまらなく好き。
 【JOY SPRING】だけは,あのウイントン・マルサリスをしても絶対に手が届かない種類の大名演である。

 『ジャズ・イモータル』の成功が次の歴史を作っていった。クリフォード・ブラウンの「不滅のジャズ」を忘れない!

  01. TINY CAPERS
  02. GONE WITH THE WIND
  03. FINDERS KEEPERS
  04. BLUEBERRY HILL
  05. JOY SPRING
  06. BONES FOR JONES
  07. BONES FOR ZOOT
  08. DAAHOUD

(パシフィック・ジャズ/PACIFIC JAZZ 1960年発売/TOCJ-90058)
(☆HQCD仕様)
(ライナーノーツ/リチャード ボック,児山紀芳)

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クリフォード・ブラウン / クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム4

CLIFFORD BROWN MEMORIAL-1 ブルーノート盤の『MEMORIAL ALBUM』とは異なる,もう1枚の「メモリアル・アルバム」がプレスティッジ盤の『CLIFFORD BROWN MEMORIAL』(以下『クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム』)である。

 『メモリアル・アルバム』『クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム』共に,クリフォード・ブラウンの死を追悼し,クリフォード・ブラウンの死後に発売された,という点は同じだが内容に共通点はない。
 分かる人には分かるだろうが,ブルーノート盤が“黒”ならばプレスティッジ盤は“白”である。

 『クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム』が“白”の理由は,スエーデンオーケストラの2つの“白”!
 そう。『クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム』とは,ライオネル・ハンプトン楽団の一員としてヨーロッパ・ツアー時に行なわれた現地ジャズメンとのレコーディングとタッド・ダメロン楽団のメンバーとして参加したオーケストラとのレコーディングのカップリング。
 2つの“白”との共演で,クリフォード・ブラウンの“ブリリアントな”トランペットが圧倒的な存在感を放っている。

 この2つの“白”の立役者はクインシー・ジョーンズアート・ファーマーである。
 クインシー・ジョーンズの名アレンジが「オールスターセッション」に合っているし,アート・ファーマーとの激しい絡みとの対比が生んだ“ブリリアントな”トランペットが強調されていると思う。

CLIFFORD BROWN MEMORIAL-2 管理人の結論。『クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム批評

 「白い」クリフォード・ブラウンの淀みなく流れるアドリブが“歌っている”。何よりも心から湧き上がってくる音楽の“ヒューマンな温かさ”に心揺さぶられる。

 『クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム』のメモリアルが,クリフォード・ブラウンの“天才”のメモリアルである。

  01. STOCKHOLM SWEETNIN'
  02. 'SCUSE THESE BLUES
  03. FALLING IN LOVE WITH LOVE
  04. LOVER COME BACK TO ME
  05. PHILLY J.J.
  06. DIAL "B" FOR BEAUTY
  07. THEME OF NO REPEAT
  08. CHOOSE NOW (TAKE 1)
  09. CHOOSE NOW (TAKE 2)

(プレスティッジ/PRESTIGE 1956年発売/UCCO-5118)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー,瀬川昌久,岡崎正通)

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クリフォード・ブラウン / メモリアル・アルバム4

MEMORIAL ALBUM-1 クリフォード・ブラウンの死後,哀悼の意を込めて発売された10インチ盤2枚のカップリング盤が『MEMORIAL ALBUM』(以下『メモリアル・アルバム』)。

 『メモリアル・アルバム』の共演者は,アルトサックスルー・ドナルドソンテナーサックスチャーリー・ラウズピアノジョン・ルイスエルモ・ホープベースパーシー・ヒースドラムアート・ブレイキーフィリー・ジョー・ジョーンズの「ブルーノートオールスターズ」による「ハード・バップ前夜」の「ビ・バップ」である。

 そう。基本的にはコード分解してきちんと決められたコーラスを吹く的な,1曲が3分ほどの10インチ盤仕様の小品集。若かりし頃のクリフォード・ブラウンが描いた「音のスケッチ」を見ているようなアルバムである。

 『メモリアル・アルバム』は,既発2枚のカップリング盤ゆえにアルバムとしての統一感はない。うち1枚はルー・ドナルドソンのリーダー・セッションゆえ,クリフォード・ブラウントランペットソロには山場が短く物足りなさも感じてしまう。
 しかしその分,サイドメンとしてラフに吹きまくったトランペットのブリリアントな音色と「アドリブでスケッチして見せる」即興とは思えぬ完成されたフレージングが実に素晴らしい。

 確かに初々しくも聴こえる。荒削りにも聴こえてしまう。でも“旨味がギュッと凝縮されたかのような”トランペットに「ブラウニーを聴く歓び」を感じてしまう。

MEMORIAL ALBUM-2 管理人の結論。『メモリアル・アルバム批評

 『メモリアル・アルバム』は,俗に言う「3分間芸術」を踏襲した,短くても言いたいことをズバッと物言う,クリフォード・ブラウンの“天才”を再確認するためのアルバムである。
 短い生涯,短い活動期間にして,こんなにも物おじしない「花形」トランペットによる「3分間芸術」…。

 『メモリアル・アルバム』のメモリアルが,クリフォード・ブラウンの“天才”のメモリアルである。

  01. HYMN ON THE ORIENT
  02. EASY LIVING
  03. MINOR MOOD
  04. CHEROKEE
  05. WAIL BAIT
  06. BROWNIE SPEAKS
  07. DE-DAH
  08. COOKIN'
  09. YOU GO TO MY HEAD
  10. CARVING THE ROCK

(ブルーノート/BLUE NOTE 1956年発売/TOCJ-1526)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,上条直之,石田康博)

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クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / アット・ベイズン・ストリート4

CLIFFORD BROWN AND MAX ROACH AT BASIN STREET-1 『CLIFFORD BROWN AND MAX ROACH AT BASIN STREET』(以下『アット・ベイズン・ストリート』)を聴くと,いつでもクリフォード・ブラウンの“ジャズ・ジャイアントを超えたジャズ・ジャイアント”を実感せずにはいられない。

 なぜならクリフォード・ブラウンが“ジャズ・ジャイアント”ソニー・ロリンズを圧倒しているからだ。“天才”ソニー・ロリンズでさえ,クリフォード・ブラウンの前では「露払い」程度に聴こえてしまう。
 ズバリ,ソニー・ロリンズアドリブがこれ程“霞んで聴こえる”のは,ソニー・ロリンズの全ての録音の中で『アット・ベイズン・ストリート』の1枚だけである。

 これまでも散々書いてきたが,管理人はソニー・ロリンズを心の底から愛している。管理人にとってはソニー・ロリンズを聴く行為こそがジャズなのである。
 そんな“ロリンズ命”の管理人をして『アット・ベイズン・ストリート』におけるブラウニーアドリブにはソニー・ロリンズの「負け」を認めざるを得ない。

 「元締め」マックス・ローチが仕掛けた,2人のジャズ・ジャイアントの「夢の共演」は全く機能しなかった。
 クリフォード・ブラウントランペットを吹けば,場は一瞬でブラウニーのオン・ステージと化している。そこにあるのは“主役”のクリフォード・ブラウンと“引立て役”のソニー・ロリンズであって2人は同列ではない。

 願わくば「元締め」マックス・ローチがイニシアティブを発揮して『アット・ベイズン・ストリート』を『サキソフォン・コロッサス』前夜のソニー・ロリンズに仕立て上げていたならば…。
 あるいは,クリフォード・ブラウンソニー・ロリンズの「夢のフロント・ライン」をマイルス・デイビスジョン・コルトレーンのような師弟関係に仕立て上げていたならば…。

CLIFFORD BROWN AND MAX ROACH AT BASIN STREET-2 管理人の結論。『アット・ベイズン・ストリート批評

 『アット・ベイズン・ストリート』は“ジャズ・ジャイアントを超えたジャズ・ジャイアント”クリフォード・ブラウンを聴くためのアルバムであって,ソニー・ロリンズ目当てで聴くアルバムではない。

 「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ」コンボ名義に限定すれば,テナーサックスは“オンリーワン”なソニー・ロリンズよりも,ブラウニーの作ったノリ一発で吹きまくるハロルド・ランドの方が上であろう。

  01. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE
  02. LOVE IS A MANY SPLENDORED THING
  03. I'LL REMEMBER APRIL
  04. POWELL'S PRANCES
  05. TIME
  06. THE SCENE IS CLEAN
  07. GERTRUDE'S BOUNCE
  08. I'LL REMEMBER APRIL (alternate take)
  09. FLOSSIE LOU (rehearsal)
  10. FLOSSIE LOU (alternate take)
  11. FLOSSIE LOU (alternate take)
  12. FLOSSIE LOU (alternate take)
  13. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE (alternate take)
  14. LOVE IS A MANY SPLENDORED THING (alternate take)
  15. LOVE IS A MANY SPLENDORED THING (alternate take)

(エマーシー/EMARCY 1956年発売/PHCE-4167)
(ライナーノーツ/土倉明,児山紀芳)

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クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ / クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ5

CLIFFORD BROWN=MAX ROACH-1 管理人が『CLIFFORD BROWN=MAX ROACH』(以下『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』)と出会ったのは,ジャズ入門の定番,名盤とされる「A級」ジャズを大体押さえ終わった時期のことである。

 「A級」の素晴らしさを否定することはできない。やはり時の試練に耐えてきた名盤とされる「A級」に駄盤はないことも確認できた。でも定番ばかり聴いていてもつまらない。ちょっとは面白いやつ,こだわりの男と思われたい。そんな見栄も手伝って「B級」ジャズを聴き漁っていた時期のことである。

 そんな時,ふと手にした『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』におけるクリフォード・ブラウンのストレートなトランペット・ソロが,胸に突き刺さってきた。
 「自分がジャズに求めているのは,こんな一級品の演奏なんだ。「B級」の味わいも格別であるが,いい演奏ばかりを聴いていたい」。そう素直に感じたあの日の自分を思い出す。

 あの日以来,管理人のジャズ・ライフは“原点回帰”の「A級」至上主義。回り回って「ジャズの王道」が大好きになってしまったのだ。普通の名盤好きで何が悪い。

 そう。「ジャズの王道」=『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』の素晴らしさを語ろうとすると,いつでも尾ひれがついてしまう。尾ひれなどつきそうもない“直球ど真ん中”なハードバップなのに,尾ひれをつけてしまいたくなる。

 だって,そうでもしないと勿体ないのだ。こんな大名盤名盤の一言だけで扱われて終わるのが嫌いなのだ。他の名盤と同列に語ってほしくない。『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』は“名盤を超えた名盤”である。う〜む。こんな紹介でもまだありきたりすぎる。

 そう。『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』を,他の名盤と区別して紹介するのはかなり難しい。理由は『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』の名演には,種も仕掛けもないからである。ギミックなどない。パッと吹いてパッと終わっている。『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』こそが「典型的なハードバップ」なのである。

CLIFFORD BROWN=MAX ROACH-2 『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』の駆け抜ける疾走感と一糸乱れない一体感こそが「典型的なハードバップ」の快感である。『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』のハイライトはクリフォード・ブラウントランペット・ソロで間違いないが,繰り返し聴き込んでいくと,クリフォード・ブラウントランペット・ソロを前面に押し出す,サポート・メンバーの渾然一体となった熱い演奏,アンサンブルであったり,ハーモニーであったり,キメであったり,アクセントであったりというコンボ表現から溢れ出す強烈なエネルギーに愛着を覚えるようになる。

 『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』の,文章ではいかんせん表現し辛い,ナチュラルで教科書通りの名演がなんとももどかしい…。
 『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』のうんちくはプロのジャズ批評家にお任せするとして…。

 管理人からの一言。『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』を聴け〜! だって素人なんだもん。

  01. DELIAH
  02. PARISIAN THOROUGHFARE
  03. THE BLUES WALK
  04. DAAHOUD
  05. JOY SPRING
  06. JORDU (edited version)
  07. WHAT AM I HERE FOR
  08. JOY SPRING (alternate take)
  09. DAAHOUD (alternate take)

(エマーシー/EMARCY 1955年発売/UCCU-5031)
(ライナーノーツ/成田正,児山紀芳)

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クリフォード・ブラウン / クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス5

CLIFFORD BROWN WITH STRINGS-1 内容的に『CLIFFORD BROWN WITH STRINGS』(以下『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』)を凌駕する「ウィズ・ストリングス」アルバムは数あれど,聴いて感じる「幸福感」とか「満足感」において『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』を超える「ウィズ・ストリングス」アルバムは永遠に登場しないと思っている。

 それ位に『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』の存在感が大きすぎる。『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』の壁が高すぎる。『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』こそが「ウィズ・ストリングス」の決定盤なのである。

 そんな「ウィズ・ストリングス」アルバムの“代名詞”である『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』であるが,実は管理人にとって「ウィズ・ストリングス」の印象は薄い。「ウィズ・ストリングス」は,おまけ程度の味付け程度にしか感じない。

 そう。『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』は「ウィズ・ストリングス」以上に「バラード集」であり「スタンダード集」である。
 いいや,「バラードの中のバラード集」であり「スタンダード集の中のスタンダード集」の思いがする。

 それというのも『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』におけるクリフォード・ブラウントランペットは,自分を捨てアドリブを捨て,ただ美メロを“慈しむように”吹き鳴らすための道具と化している。
 すなわち『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』におけるクリフォード・ブラウンの役所は,美メロのための「黒子役」。クリフォード・ブラウンの“思い入れたっぷりな”トランペットが鳴り響く。単純にそれだけのアルバムである。

 クリフォード・ブラウンは,己の卓越したトランペッターとしてのテクニックを,基本中の基本であるロングトーン1本で披露している。丁寧にゆったりとしたロングトーンのニュアンスだけで勝負している。
 なんなんだこの“まろやかな”音色は…。なんなんだこの“温かな”音色は…。なんなんだこの“艶やかな”音色は…。なんなんだこの“膨らんだ”音色は…。どの音をとってみてもそも全てが慈愛に満ち溢れている!

 参ってしまう。降参である。クリフォード・ブラウンのロングトーンの表情だけで参ってしまう。何の仕掛けもない素朴で純朴なトランペットストリングスの共演に降参してしまう。

CLIFFORD BROWN WITH STRINGS-2 完成度は高くない。至福のアドリブも登場しない。クリフォード・ブラウンの“天才”を聴くのが目的であれば「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ」コンボの名盤を聴くべきである。

 『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』を聴く目的は“もう一人のブラウニー”との出会いにある。愛してやまないブラウニーの魅力がギッシリ詰まっている…。ジャズに浸る無上の喜びが感じられる…。

 内容うんぬんではない。「ウィズ・ストリングス」の真髄は,聴いて「幸福感」や「満足感」が得られるかどうか,である。
 その意味で『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』こそが,永遠に「ウィズ・ストリングス」の決定盤なのである。

  01. Yesterdays
  02. Laura
  03. What's New
  04. Blue Moon
  05. Can't Help Lovin' That Man
  06. Embraceable You
  07. Willow Weep For Me
  08. Memories Of You
  09. Smoke Gets In Your Eyes
  10. Portrait Of Jenny
  11. Where Or When
  12. Stardust

(エマーシー/EMARCY 1955年発売/PHCE-4169)
(ライナーノーツ/岩浪洋三,児山紀芳)

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クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン / TAKE THE A TRAIN5

 『STUDY IN BROWN』の9曲目は【TAKE THE A TRAIN】(以下【A列車で行こう】)。


 このイントロとエンディングのドラミングは正に“快速”列車の出発と到着の合図である。そう。“快速”であって“特急”とは違う。「シュッポ・シュッポ」時代のジャズ・スタンダードなのである。
 【A列車で行こう】の名演は多いが,このトラックこそ管理人の選ぶベスト・トラック! 恐るべしマックス・ローチ! ドラムが“リード&花形”楽器へと昇華している。
 そう。ちょいとしつこいが,マックス・ローチの創り出す“快速”列車のスピード感が何とも言えず“爽快”なのである。

 このドラムを“リード”楽器へと昇華させたマックス・ローチの圧倒的な“情景描写”に彩りを加えているのが,クリフォード・ブラウンハロルド・ランドによる「シュッシュッポッポ」隊。
 お馴染みのメイン・テーマでの完璧なユニゾンと,29秒からと3分54秒からの“汽笛”2発のコンビネーション! それぞれのソロも上出来ではあるのが,このトラックでは勝手が異なる。
 1分36秒からのクリフォード・ブラウントランペットソロでさえ,バックからあおられっぱなしとは驚愕だ!

 【A列車で行こう】でのソロ・パートと言えば,管理人の中では,3分0秒からと3分6秒,3分20秒からのマックス・ローチドラムソロしか印象に残っていない。
 クリフォード・ブラウンでさえも“前座”にしてしまうマックス・ローチは,もはや無敵の“ジャズ・ジャイアント”!

 3人の“火花飛び散る”大バトルに,中間派のリッチー・パウエルジョージ・モロウが“石炭”を加えるもんだから,さあ大変! 終盤は“快速”列車が“特急”と化してしまう!
 そんな絵に描いたような“痛快さ”NO.1の【A列車】。こんな【A列車】に乗って旅してみたいものである。

CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : Trumpet
MAX ROACH : Drums
HAROLD LAND : Tenor Saxophone
GEORGE MORROW : Bass
RICHIE POWELL : Piano

クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン / SANDU4

 『STUDY IN BROWN』の6曲目は【SANDU】(以下【サンデュ】)。


 【サンデュ】は,軽快なブルース。ブルージーな魅力炸裂の分かりやすいソロ回しが楽しめる。
 そう。【サンデュ】は,ジャズ・アレルギーの人たちへの“特効薬”の一つとして数え上げられている。

 まずユニゾン・テーマが素晴らしい。ジャズのおいしい“ノリ”&豊かな“ハーモニー”が裏拍子でスイングしている。
 アドリブの先陣はクリフォード・ブラウントランペット。朗々とスイングする,この“余裕のフレーズ”がたまらない。
 続いて順番に…。ハロルド・ランドテナー・サックスは,粘り腰のアフター・ビート。リッチー・パウエルピアノは,ブロック・コードで渋くまとめてある。
 マックス・ローチの“テクニカル”な貫禄ドラムジョージ・モローの“重厚なウォーキング・ベース”への流れが鮮明である。

 【サンデュ】は,リズムではなくシンプルな“間”がおいしい,B級ジャズブルースの逸品である。

CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : Trumpet
MAX ROACH : Drums
HAROLD LAND : Tenor Saxophone
GEORGE MORROW : Bass
RICHIE POWELL : Piano

クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン / SWINGIN'5

 『STUDY IN BROWN』の3曲目は【SWINGIN’】(以下【スインギン】)。


 【スインギン】は正真正銘のスイング! この“淀みなく流れるプレイ”に酔いしれる! 一糸乱れぬユニゾン&メンバー各自のソロ回し! チームワークと個人プレー,その両方を同時に楽しめる,名演中の名演である。

 【スインギン】のように緊張感とリラックスが同居したトラックは数少ない。こんな名演はいつ聴いても楽しいものだ。素直にリズムに身体が反応してしまう。やっぱり“スイング=快感”である。

 クリフォード・ブラウンハロルド・ランドの“饒舌”なテーマに,3人の超強力リズム隊が彩りを付している。
 ピンポイントで12秒と2分23秒で聴こえるピアノ! リッチー・パウエルによるバッキングが,絶妙の“隠し味”。
 ハロルド・ランドテナーソロなら1分10秒の“うなるこぶし”と相場は既に決まっている。
 
 クリフォード・ブラウンマックス・ローチも相変わらず天才的・超人的・神業的,かつパワー炸裂で文句なし! イッツ・ジャズ

CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : Trumpet
MAX ROACH : Drums
HAROLD LAND : Tenor Saxophone
GEORGE MORROW : Bass
RICHIE POWELL : Piano

クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン / JACQUI4

 『STUDY IN BROWN』の2曲目は【JACQUI】(以下【ジャキー】)。


 【ジャキー】は,リズムが目まぐるしく変化する,ユニークな構成の“ワンプレート物”。専門的には12小節のサビが目新しい出来であったが,堅い話は抜きにして,音の変化にジックリと耳を這わせてみてほしい。

 全体の舵取り役は,ピアノリッチー・パウエル! テーマの締めにおける“ズッコケ”感が最高だし,バッキングでは実権を握る者だけが“加減できる”心地良い刺激が添えられている。
 2分55秒からのアドリブには,兄貴譲りの“ソロイスト”としての貫禄さえ漂っている。

 例の「悲劇の自動車事故」を語る時,忘れてならないのが,同乗者=リッチー・パウエルの死である。「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット」を“最強コンボ”へと仕立て上げたのは,何を隠そう,最年少メンバーのリッチー・パウエルなのだから…。

 「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット」のリーダーは,クリフォード・ブラウンマックス・ローチの“双頭”に違いないが,クリフォード・ブラウンマックス・ローチが円滑に共存するためには,間を取り持つ,潤滑油やショック・アブソーバーの存在が必要不可欠である。
 このクッション役は単に人柄が良いだけでは務まらない。リッチー・パウエルジャズメンとしての“資質の高さ”を,二人のジャズ・ジャイアントが認めたからこそ,務まったのだ。
 言わばリッチー・パウエルは「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット」の音楽監督であろう。

 4分49秒からのハーモニーでのエンディングに“早熟の音楽監督”リッチー・パウエルの仕事ぶりが表われている。

CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : Trumpet
MAX ROACH : Drums
HAROLD LAND : Tenor Saxophone
GEORGE MORROW : Bass
RICHIE POWELL : Piano

クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン / CHEROKEE5

 『STUDY IN BROWN』の1曲目は【CHEROKEE】(以下【チェロキー】)。


 【チェロキー】は,全編マックス・ローチの“裏拍子”ドラミングに乗せられて,コンボ全体が“ズンズン”と加速するスイング感! これだからハード・バップはやめられない。

 ユニゾンによる「インデイアンの雄叫び+のろしの白煙」がゆっくりと立ち昇った瞬間,突然のギア・チェンジ! アップダウンに急カーブ+悪路!
 【チェロキー】の聴き心地=乗り心地は,正にオフロードを突っ走る“ジープの【チェロキー】”と重なるものがある。 

 これは多分に超高性能エンジン=マックス・ローチの大排気量&大馬力のおかげであろう。
 4分15秒から55秒までと5分17秒から28秒までの2種類のソロの違いは,ホンダとフェラーリのF1エンジン音の違いである。 ← ハテナ?

 マックス・ローチがエンジンなら,クリフォード・ブラウンはハンドルである。この軽快なハンドリングは悪路も一切おかまいなし。決してジャズの“王道”を踏み外すことはない。
 1分18秒からのアドリブは,トランペッターなら決して避けて通れない,模範的なコース取りである。ジープの【チェロキー】改めロータス・ヨーロッパである。アウトロの“吹き流し”感が実にグレート!

CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : Trumpet
MAX ROACH : Drums
HAROLD LAND : Tenor Saxophone
GEORGE MORROW : Bass
RICHIE POWELL : Piano

クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット / スタディ・イン・ブラウン5

STUDY IN BROWN-1 歴史に「たられば」は禁物であるが,ジャズ史において,クリフォード・ブラウンの“早すぎる死”がなければ,モダン・ジャズは今とは随分異なる趣きを呈していたかもしれない。いいや,間違いなく異なっているはずだ。
 なぜなら,ジャズ・シーンはマイルス・デイビスではなく,クリフォードブラウニーブラウンを中心に回っていたと思うからである。

 管理人はマイルス・デイビスが大好きだ。素直に“ジャズの帝王”という称号に値する,超VIPなジャズ・ジャイアントだと思っている。ここでマイルス・デイビスを卑下するつもりなど毛頭ない。
 しかし純粋にトランペッターとしての力量・資質を比較考量し,評価する時,クリフォード・ブラウンの実力は“桁違い”! 完全に頭一つ飛び抜けた,正にジャズ・トランペッター史上最高の実力者,いいや,ジャズが生み出した“大傑作”である。
 時代は明らかにマイルス・デイビスではなくクリフォード・ブラウンを求めていたのだ。

 余談であるが,この論議を別の観点から補足しておくと,クリフォード・ブラウンはかなりの人格者であったらしい。周囲に「この人なら…」と思わせることができていたとしたら…。
 クリフォード・ブラウンのためなら一肌脱ごうとする“ブラウニー組”の結成・大成長は必然の流れであろう。

 さて,これらの点を幾らでも語ることはできるのだが,まずは“論より証拠”! クリフォード・ブラウンマックス・ローチと組んだ大名盤STUDY IN BROWN』(以下『スタディ・イン・ブラウン』)を聴いてみてほしい。
 
 『スタディ・イン・ブラウン』収録時のクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットは,すでに人気コンボとされていたが,音楽的にはまだまだ荒削り。若さ溢れる“イケイケ”の時期である。
 そう。『スタディ・イン・ブラウン』には,この時期を逃すと一生聴けないであろう“伸び盛り”特有の圧倒的エネルギーが封じ込められている。円熟期では決して聴けない“青臭さ”を聴き取れる。そこがファンとしてはたまらない“お宝”的なCDである。

 『スタディ・イン・ブラウン』におけるクリフォード・ブラウントランペットこそが“天才”と称賛されるゆえんであろう。明瞭な音とアドリブ,そして細かなハーモニー・センスに至るまで,正にジャズ・トランペットの“王道”である。
 ミュートを多用するマイルス・デイビスが変化球の名手であるとすれば,クリフォード・ブラウンはいつでも直球勝負。ここが如何せん“物の違いを”感じさせてくれるのだ。

STUDY IN BROWN-2 一般的にジャズには“根暗”な雰囲気がつきまとっていると思う。難解で高尚で自己完結,閉鎖的で堅物…。
 しかし『スタディ・イン・ブラウン』でのクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットの演奏は“元気ハツラツ,オロナミンC”的な“根明”な演奏なのがまたよい。
 メンバー全員,純粋に「ジャズという音楽」を楽しんでいるのがよい。ジャズを演奏する「歓び」がストレートに伝わってくるのがよい。

 『スタディ・イン・ブラウン』におけるクリフォード・ブラウンの熱気,空気感を是非,肌で感じ取ってほしい。逃げずに正面から音圧を受け止めてみてほしい。
 身体の中に本物のジャズが充満したある時,風船が破裂するかのごとく,読者の皆さんの内にあるジャズに対する何かがきっと破裂する。クリフォード・ブラウンがもう少し長く存命していれば,きっとモダン・ジャズも今とは変わっていたはずなのである…。

  01. CHEROKEE
  02. JACQUI
  03. SWINGIN'
  04. LANDS END
  05. GEORGE'S DILEMMA
  06. SANDU
  07. GERKIN FOR PERKIN
  08. IF I LOVE AGAIN
  09. TAKE THE A TRAIN

(エマーシー/EMARCY 1955年発売/PHCE-4164)
(ライナーノーツ/児山紀芳)

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