DVD批評
2011年06月17日
マイルス・デイビス / PORI JAZZ '87
私の記憶が確かならば(by 鹿賀丈史風)…。マイルス・デイビスの晩年のインタビューか何かで,マイルス本人が選ぶベスト・バンドとして,1987年のバンドが選ばれていた。トランペットのマイルス・デイビス,アルト・サックスのケニー・ギャレット。ロバート・アービングとアダム・ホルツマンのツイン・キーボード。ダリル・ジョーンズとフォーリーのツイン・ベース・ギター。そしてリッキー・ウェルマンのドラムにミノ・シネルのパーカッション。
総勢8人のバンド編成ゆえ「やりたいことがやり放題」の気もするのだが,生真面目なマイルス・デイビスが最高と言うのだから最高なのだろう。俄然,興味が沸いてきて,1987年のマイルス・バンドのブートCDを“買い漁った”時期があった。
ただし,1987年のマイルス・バンドは管理人には不発であった。“ケバイ”ステージング同様,どこがいいのかさっぱり分からなかった。管理人にとってのマイルス・デイビスのベスト・バンドは「電化マイルス後期」。
混沌としたバンド形態ゆえ,固定されたバンド・メンバーの紹介など意味がない。「何でも有り」なはずなのに変らないアイデンティティ。やはり,誰が吹いても何人で吹いても全員が全員「マイルスそのものの音」。
管理人のフェイバリットは『IN A SILENT WAY』なのだが『ON THE CORNER』『GET UP WITH IT』『AGHARTA』『PANGAEA』のどれもが最高なのだ。
ではなぜマイルス・デイビスは自身のベスト・バンドとして,1987年のバンドを選んだのだろう? その答えがライブ・ブートDVD『PORI JAZZ ’87』の中にある。1987年のマイルス・バンドの実力を,そして秘密をついに見つけた思いがした。
やはりマイルス・デイビスは生真面目な男だった。ケニー・ギャレットとダリル・ジョーンズが「前と後ろを上と下を」絶妙に引っ張る共存サウンドは,このメンバーならではの味。
きっとマイルス・デイビスは,1987年バンド以降のサックス奏者は“仮想”ケニー・ギャレットで,ベーシストは“仮想”ダリル・ジョーンズをイメージしたのではなかろうか?
そんなこんなで?“真性”ケニー・ギャレットとダリル・ジョーンズとインタープレイするマイルス・デイビスが絶好調。
思うに,マイルス・デイビスが1987年バンドをベストに選んだ理由は,自身のトランペットが一番カッコ良く聞こえる音が鳴っていたからではなかろうか? 確かにマイルス・デイビスのアドリブは生涯のどの時期にもましてキレているように思う。
マイルス・デイビス生涯の愛奏曲【ヒューマン・ネイチャー】。真夏の真昼間の北欧の野外ステージに流れる【ヒューマン・ネイチャー】。
“帝王”マイルス・デイビスの両脇で「助さん角さん」役のケニー・ギャレットとダリル・ジョーンズが支えている。自由に忠実に彩られた“仮想”マイルス・デイビスの“哀愁の三重奏”が最高に素晴らしい。
…と,ここまで『PORI JAZZ ’87』を贔屓してみたが,そこはやっぱりブート。マイルス初心者にはお奨めできない。画質の粗さは及第点として,どうしても演奏に入り込めない欠点=音量の乱高下。音質はいいのだが,ここぞっ,という箇所で音量が下がるはこもってしまうはで興ざめしてしまう。【リンクル】のブツ切れも含めて,これだけの高級素材なのだからもって丁寧に扱ってほしかった。
マイルスへの敬意が足りない編集スタッフには,中山康樹からの厳しいダメ出しが待ち受けている?
管理人の結論。『PORI JAZZ ’87』は,短期間のベスト・バンドの活動の記録。オフィシャル盤を“行き巡った”マイルス・デイビス・フリークの“桃源郷の逸品”である。
未だ1987年バンド低評価のマイルス・デイビス・フリークにこそ『PORI JAZZ ’87』を見てほしい。そして管理人同様,1987年のベスト・バンドの魅力に“開眼”してほしい。
でもでもやっぱり,1987年バンド最強説は“誇張”でしょう。やっぱりマイルス・バンドは「電化マイルス後期」です。
01. Blues
02. Perfect Way
03. The Senate / Me And You
04. Human Nature
05. Wrinkle
MILES DAVIS : Trumpet, Keyboards
KENNY GARRETT : Saxophone, Flute
BOBERT IRVING III : Keyboards
ADAM HOLZMAN : Keyboards
JOSEPH "Foley" McCREARY : Guitar
DARRYL JONES : Bass
RICKY WELLMAN : Drums
MINO CINELU : Percussions
(FOOTSTOMP/FOOTSTOMP 2006年発売/FSVD-212)
2011年04月20日
マイルス・デイビス / PLAY IT COOL
今でこそジャズCDも,トータル・コーディネイトの統一感,が重視されているが,その昔のブルーノートやらコンテンポラリーやらサヴォイやらの名盤の多くは,切り貼りだらけの折衷盤であった。「おいおい,なんでこんなに録音日もメンバーも音質もバラバラなものを寄せ集めるか〜」。アルバムの編集履歴を見渡すと,あのアルフレッド・ライオンも商売人であって本当にジャズ好きなのかと疑ってしまいたくなる?
しかし中には曲数&収録時間の関係で,統一感を犠牲にした奇跡のコンパイル物が産み落とされてきたのも事実。そしてここにマイルス・デイビスの2つの時代の頂点を収めたDVDが産み落とされた。
『PLAY IT COOL』。やっぱりブート。またしてもブート。
『PLAY IT COOL』は,世間が認めるマイルス・デイビスの最高のクインテット=第2次黄金クインテットとマニアが認めるマイルス・デイビスの最高のクインテット=ロスト・クインテットのコンパイル盤DVD。
これは贅沢すぎる。出来れば別々に完全盤を至急発売してほしい。「アコースティックなのにエレクトリックで,エレクトリックなのにアコースティックな」過渡期なのに成熟していた2つのマイルス・デイビス・クインテット!
『PLAY IT COOL』を視聴して初めて気付く,マイルス・デイビスの「点と線」! いや〜,やっぱりマイルス・デイビスは凄い。ここがこうつながっているとは…。答えは「見てのお楽しみ」である。
突き抜けるハービー・ハンコック。帝王さえも煽りまくるトニー・ウィリアムスの演奏は,もはやアコースティックの表現ではない。とは言えチック・コリアとジャック・デジョネットの妖しい演奏を目にするとハービーもトニーも電化マイルスには役不足に思えてしまう。
この辺りのバンド・メンバーの舵取りに“帝王”マイルス・デイビスの凄さを感じてしまう。
マイルス・デイビスが最後まで手放さなかったウェイン・ショーター。『PLAY IT COOL』での2つのクインテットを続けて見ると,なぜマイルスがショーターを寵愛してきたのかがよ〜く分かる。答えは再び「見てのお楽しみ」である。
Stockholm Sweden Oct 31 1967
01. Agitation
02. Footprints
03. Round About Midnight
04. Gingerbread Boy
05. The Theme
MILES DAVIS : Trumpet
WAYNE SHORTER : Tenor Sax
HERBIE HANCOCK : Piano
RON CARTER : Bass
TONY WILLIAMS : Drums
Rome Italy Oct 27 1969
06. Miles Runs The Voodoo Down
07. Sanctuary
08. Directions
MILES DAVIS : Trumpet
WAYNE SHORTER : Soprano Sax, Tenor Sax
CHICK COREA : Electric Piano
DAVE HOLLAND : Bass
JACK DeJOHNETTE : Drums
(FOOTSTOMP/FOOTSTOMP 2005年発売/FSVD-016)
2011年03月25日
マイルス・デイビス / JAZZ FEST. BERLIN 1 NOV. 1985
『JAZZ FEST.BERLIN 1 NOV.1985』は,マイルス・バンドのライブを“聴くための”DVDである。やっぱりブート。しかしこれ,元々は放送用のプロショット映像。幾ら家庭用VHSで録画したものだとしても鑑賞目的には堪えられない。画質劣悪ブートDVD。
ただし,マイルス・デイビスの帝王のパフォーマンス。マイク・スターンの王者のパフォーマンス。スティーヴ・ソーントンとマリリン・マズールという,この時期だけの豪華なツイン・パーカッション・パフォーマンスが見れる。特に管理人がガンミする美女=マリリン・マズールのダンス・パフォーマンスに荻野目慶子が宿っている。
そうか〜。意外と視聴できるもんだ。『JAZZ FEST.BERLIN 1 NOV.1985』は「長時間」鑑賞目的には堪えられないDVD,ということに訂正しておこう。
『JAZZ FEST.BERLIN 1 NOV.1985』を“聴いて”感じる,マイルス・デイビス・カムバック・バンドにおけるダブル・シンセサイザーとギタリストの蜜月関係。
ロバート・アービングとアダム・ホルツマンのツイン・キーボード。いや,マイルス・デイビスを加えた3キーボードに絡みつくマイク・スターンの“花形”エレキが超カッコイイ。これぞ“ロック魂とジャズ魂の掛け合わせ”ギターである。
もうこの辺りのシンセとギターの絡み具合は威力絶大であって,マイク・スターン〜ジョン・スコフィールド〜ロベン・フォードという“大物”ロック系ブルース・ギタリストの人選が凄すぎる。正に豊穣のギタリストの系譜であろう。
80年代のステージ衣装を身をまといエレクトリック・トランペットを“クール”に吹き鳴らし“ド派手な”パフォーマンスを決めるマイルス・デイビス。管理人がリアルに愛聴したマイルス・デイビスが『JAZZ FEST.BERLIN 1 NOV.1985』の中にいる。映像の中のマイルスはあの時代のマイルス・デイビスのまんまである。
01. MAZE PT.1
02. SOMETHING'S ON YOUR MIND
03. TIME AFTER TIME
04. MS. MORRISINE
05. CODE M.D.
06. MAZE PT.2
MILES DAVIS : Trumpet, Synthesizer
BOB BERG : Tenor Sax, Soprano Sax
MIKE STERN : Guitar
BOBERT IRVING III : Synthesizer
ADAM HOLZMAN : Synthesizer
ANGUS THOMAS : Bass
VINCENT WILBURN : Drums
STEVE THORNTON : Percussions
MARILYN MAZUR : Percussions
(FOOTSTOMP/FOOTSTOMP 2006年発売/FSVD-149)
2011年03月06日
マイルス・デイビス / LIVE IN LONDON 1982
マイルス・デイビスの復帰と共にスタートしたカムバック・バンド。そのデビュー1年後のロンドンでのライブDVDが『LIVE IN LONDON 1982』)である。ハッキリ言って復帰後のマイルス・デイビスは,他人の力を借りまくっている。復帰して1年も経つというのに,電化マイルス引退前のような先頭に立ってビシビシ吹きまくる姿はない。
何という手抜き OR 老い? いいや,そうする必要がなかったのだ! 『LIVE IN LONDON 1982』を見れば,マイルス・デイビスがトランペットでスパークする必然性を感じない程の鉄壁なサウンド。
サックスのビル・エヴァンス,ギターのマイク・スターン,ベースのマーカス・ミラー,ドラムのアル・フォスター,パーカッションのミノ・シネル。
どうですか? このメンバー。才能豊かな若手3人と重鎮のドラマーとパーカッショニストの2人。この5人にマイルス・デイビスが加わった時の最高のバランス。
これでマイルス・デイビスが,前に前に出過ぎると,若手3人が“並みの”バック・ミュージシャンに成り下がってしまうかも…。
このカムバック・バンドの特徴はピアノレス。白いビル・エヴァンスとロックなマイク・スターンが前面に出る超攻撃型のバンド。
リーダー=マイルス・デイビスのポジションは,ビル・エヴァンスとマイク・スターンのツー・トップを自由に泳がせ,最後に仕留める一吹き勝負師。コンディションの関係上で前半は抑え目,後半徐々に本領発揮という裸電球の白熱灯スタイル。最後の一吹きの出来は,演奏が進むにつれて熱くなる。
でもこれでいいんです。管理人はマイルス・デイビスの一吹きにしびれてしまうのです。もうステージに立っているだけで,そこにいるだけで満足してしまう。マイルス・デイビスの復活に苦言は言うな。苦言は受け付けない。
残念なのは『LIVE IN LONDON 1982』=画質劣悪ブートDVD。当時の映像作品は「タマが少ない」との噂で購入した“お宝”DVDの『LIVE IN LONDON 1982』であるが,繰り返しの鑑賞には堪えられない。
「マイルスを聴け!」が中山康樹なら「マイルスは見るな! マイルスは聴け!」がセラビーである(『LIVE IN LONDON』『JAZZ FEST.BERLIN 1 NOV.1985』のようなブートDVDの場合の話)。
01. Back Seat Betty
02. My Man's Gona Now
03. Aida
04. Ife
05. Fat Time (incomplete)
MILES DAVIS : Trumpet, Synthesizer
BILL EVANS : Soprano Sax, Tenor Sax, Flute
MIKE STERN : Guitar
MARCUS MILLER : Bass
AL FOSTER : Drums
MINO CINELU : Percussions
(FOOTSTOMP/FOOTSTOMP 2005年発売/FSVD-004)
2011年02月21日
マーカス・ミラー / SO WHAT?
“世界最高峰のベーシスト”&マルチ・プレイヤー&プロデューサーの一人であるマーカス・ミラーは“世界最高峰のエンターテイナー”である。異論がある? ではマーカス・ミラーのライブDVD『SO WHAT?』を視聴してほしい。
討論はその後である。見れば納得!なのだから…。
最高の演奏である。マーカス・ミラーの全体のサウンドを見渡すバランス感覚が素晴らしい。そして,このハイレベルな演奏を分かりやすく“魅せる”一流のパフォーマンス! マーカス・ミラーのライブは,いつでもエンターテイメント・ショーなのだ。
『SO WHAT?』は,1998年の「JAZZ BALTICA」と2003年の「JAZZ LINE」の2部構成。
「JAZZ BALTICA」の【TUTU】はフィーチャリング・マイルス・デイビス! 仮想マイルス・デイビスのマイルス・チルドレン=マイケル‘パチェス’スチュワート! パチェス・スチュワートがミュートからオープンに切り替える瞬間の“ゾクゾク感”!
後半はプージー・ベルのドラミングが冴え渡る中,ハイラム・ブロックのギターが全てを切り裂いていく! ステージを支配し観客をも支配する。パチェス・スチュワートを押しのけて全てを持っていく! ハイラム・ブロックは“ギター・ヒーロー”である。
【TUTU】のアクセントとしてのマーカス・ミラーの“ジャジーな”ベース・ソロは,フェンダー・ジャズベで表現できる“4弦の芸術品”である。
『SO WHAT?』のハイライトは【PANTHER】! 【PANTHER】を見たい。毎日見たい。いつでも見たい。“世界最高峰のベーシスト”マーカス・ミラーの大降臨! 2回に渡る最強のベース・ソロでは,世界中の凄テク・ベーシストたちの悲鳴が聞こえてきそうです。もうやめて。いや,やめないで。問答無用のベース・ソロがハイライト!
【AMAZING GRACE】〜【STRANG FRUIT】〜【MAPUTO】。今度は“マルチ・プレイヤー”マーカス・ミラーの大降臨! 【AMAZING GRACE】【STRANG FRUIT】でのバス・クラリネットに【MAPUTO】でのソプラノ・サックスは,本職であるはずのロジャー・バイアムを完全に“喰ってしまっている”。
マーカス・ミラーの“プロ顔負け”のソプラノ・サックスを間近で見せつけられたロジャー・バイアムがスパークするも「時すでに遅し」。マーカス・ミラーはその場を立ち去り,さらに遠くへ…。
【COME TOGETHER】におけるマーカス・ミラーのイントロでの妙技は必見! 4人での「アヒルの行進」なのだが,ロジャー・バイアムだけが「ショーマン・シップ」できていないのが残念である。
やっぱりマーカス・バンドのサックス奏者はケニー・ギャレットこそ最強である。
“世界最高峰のベーシスト”マーカス・ミラーは,先進的なスタイルだけでなくジャズの王道をも外さない。【SO WHAT】での実に端正で正統派なベース・プレイ。【ETHOPIA】でのショーマン・シップとクールな職人技の2刀流に驚いてしまう。特に【SO WHAT】は,もろロン・カーターなのに,やっぱりマーカス・ミラーしてみせる。素晴らしい。「JAZZ LINE」のステージで多用される,メンバー全員のソロ廻しに,マーカス・ミラーのジャズ観が漂っているように思える。
特にギターのディーン・ブラウン! エレアコのボトルネックを指にはめたまま演奏するスライド奏法と,あの引きつったようなディーン・ブラウン特有のノリがバッチリハマッテいる。
ディーン・ブラウンにとっては,マーカス・ミラーのステージこそ最高の快感を味わえる場所なのだと思う。“プロデューサー”マーカス・ミラーの天賦の才能はライブで炸裂する! 管理人はマーカス・ミラーを神と信じる。
JAZZ BALTICA 1998
01. TUTU
02. PANTHER
03. STRANGE FRUIT
04. MAPUTO
05. COME TOGETHER
MARCUS MILLER : Bass, Soprano Sax
HIRAM BULLOCK : Guitar
MICHAEL "PATCHES" STEWART : Trumpet
ROGER BYAM : Tenor Sax
LEROY DAVIS : Keyboards
CHORLES "POOGIE" BELL : Drums
JAZZ LINE 2003
06. SO WHAT
07. ETHOPIA
MARCUS MILLER : Bass, Soprano Sax
DEAN BROWN : Guitar
MICHAEL "PATCHES" STEWART : Trumpet
ROGER BYAM : Tenor Sax
BRUCE HOWERS : Keyboards
CHORLES "POOGIE" BELL : Drums
(FOOTSTOMP/FOOTSTOMP 2005年発売/FSVD-003)
2011年02月05日
ウェザー・リポート / LIVE BERLIN
『LIVE BERLIN』は,初期ウェザー・リポートの“超お宝”ライブDVD。この時期の映像作品はほとんど皆無。なのに超高画質。しかも抜群のカメラワーク。このテープの存在は衝撃。『LIVE BERLIN』をブートと承知で“最高級の貴重品”と言い切ってしまおう。とにかく「買い」である。
初期ウェザー・リポートと来れば「集団即興演奏」であり「すべてがソロでありすべてがソロでないグループ」のキャッチ・コピーであろう。
そう。初期ウェザー・リポートのサウンドは,フュージョンに行く前の超アブストラクト時代のアシッド系のカタルシス! 初期ウェザー・リポートの“混沌”としたサウンドは,電化マイルスに通ずるエグさを残しつつも,電化マイルスの音世界からの脱却を目指したフリー・ジャズの手法が炸裂する! “複雑でミステリアスな緊張感”と黒くはないが“確かなリズムのうねり”を体感できる。
『LIVE BERLIN』は『I SING THE BODY ELECTRIC』のレパートリーである【DIRECTION】【DR HONORIS CAUSE】を収録している。
しかしニュアンスとしては,すでに次作『LIVE IN TOKYO』の世界に突入している。つまりは暗く難解な「集団即興演奏」の世界を消化し,少しずつ明るい躍動感が表出してきた時期のスタジオ・ライブの世界である。
この変化の原因はベーシスト=ミロスラフ・ヴィトウスの成長である。ウェザー・リポート二等辺三角形のNO.3だったミロスラフ・ヴィトウスが双頭NO.1のジョー・ザビヌルとウェイン・ショーターのアドリブを仕切っている。ヴィトウスの下克上時代である。
『LIVE BERLIN』の主役はウェイン・ショーターである。
ウェイン・ショーターのソプラノ・サックスが,ジョン・サーマン,アラン・スキッドモア,エイエ・テリンのツワモノ3人のホーンズを束ねて,ウェザー・リポート全体を昇天へと導いていく! ウェイン・ショーター~! 最高~! アグレッシブ~!
しかし管理人は『LIVE BERLIN』を繰り返し見続けているうちに,今までは気付かなかったミロスラフ・ヴィトウスのベースに釘付けになってしまった。
ミロスラフ・ヴィトウスはベーシスト。『LIVE BERLIN』の画面に登場するシーンも少ない&目立たない。でも音を追い続けていくと確実にベース・ラインに呼応する自分に気付く。
主役であるウェイン・ショーターのソプラノ・サックスに見入っていたようで,全てはミロスラフ・ヴィトウスのベース・ラインを楽しんでいたのだった。
どこからこんなベース・ラインを持ってくるのか? 管理人が聴き続けてきた名ベーシストたちの誰とも異なる不可解なベース・ラインが鳴っている。どこまでも挑発的でイマジニティブなベース・ラインにウェイン・ショーターが乗せられている。
ミロスラフ・ヴィトウスの持つ硬質なノリ。凶暴で大胆なエフェクトが初期ウェザー・リポートのサウンド・カラーを成している。そう確信させてくれる。やっぱりバンドの要はベーシストである。
このミロスラフ・ヴィトウスの特異なベース・ラインを解釈できたウェイン・ショーターの才能は凄いと思う。ジョー・ザビヌルはというと“チープな”エレピのせいなのか? ミロスラフ・ヴィトウス+ウェイン・ショーターの融合についていけていない。この時点でのウェザー・リポートは「3分の3ではなく3分の2」。
( 注:次作『LIVE IN TOKYO』でウェザー・リポートは3分の3となりバンド・サウンドが固まりました )
それでこれだけは言っておく! 『LIVE BERLIN』時点でのミロスラフ・ヴィトウス体制を脅威に感じたジョー・ザビヌルがミロスラフ・ヴィトウスを“潰した”のが,中期~後期の“ザビヌル王朝”ウェザー・リポートの歴史と見る!
ジョー・ザビヌルの“鉄拳制裁”によって”大器のライバル”ミロスラフ・ヴィトウスは葬られた。しかしこの追放劇は,中期~後期のウェザー・リポートにとっては幸福な別れとなった。
仮にあのまま順調に成長するミロスラフ・ヴィトウスが『LIVE BERLIN』のように皇帝として君臨するようなことがあれば,ウェザー・リポートにアルフォンソ・ジョンソン,ジャコ・パストリアス,ビクター・ベイリーといったミロスラフ・ヴィトウスを超える凄腕ベーシストたちが加入することもなかったのだから…。
01. DIRECTIONS
02. DR HONORIS CAUSE
WEATHER REPORT
JOE ZAWINUL : Keyboards
WAYNE SHORTER : Tenor Sax, Soprano Sax
MIROSLAV VITOUS : Bass
ALPHONSE MOUZON : Drums
DOM UM ROMAO : Percussions, Flute
JOHN SURMAN : Bass Clarinet, Baritone Saxophone
ALAN SKIDMORE : Tenor Sax, Flute
EJE THELIN : Trombone
(FOOTSTOMP/FOOTSTOMP 2006年発売/FSVD-150)
2011年01月26日
パット・メセニー・グループ / イマジナリー・デイ・ライブ
『IMAGINARY DAY』(以下『イマジナリー・デイ』)とは「架空の日」。元来,パット・メセニー・グループの音楽の魅力こそ「IMAGINARY」に尽きる。パット・メセニー・グループのアルバムを聴いていると,いつでも映像作品を見ている気分になる。幾つもの情景が浮かんでくる。時空を超えたSFX。
そんな「IMAGINARY」なパット・メセニー・グループが,自分たちのアイデンティティと正面から取り組んだ『イマジナリー・デイ』。
パット・メセニー・グループが激写した「架空の日」にメセニー・ファンは,何を「IMAGINARY」したのだろう?
管理人の場合は,それこそパット・メセニー・グループ史上最高に“はるか彼方へ”と連れ去れた思いがした。想像し得る限りの遠い場所。宇宙の果てへ。ブラックホールを突き抜けてビッグバンの先へと向かう…。
そう。『イマジナリー・デイ』は,管理人の“想像力の限界”を超えてきたのだ。
非クリエイティブで想像力の乏しい管理人ゆえ“想像力の限界”は読者の皆さんよりスケールの小さな例えで恐縮であるが,ついにパット・メセニー・グループが『イマジナリー・デイ』で「IMAGINARY」の“頂点”に達してしまったのだ。
振り返れば『イマジナリー・デイ』は,パット・メセニー・グループのワーナー・ブラザーズ移籍第一弾。ワーナー時代のパット・メセニー・グループの特徴は,芸術作品路線。「ゲフィンはゲヒン(下品)」時代の分かりやすさが薄れている。
今思うと『イマジナリー・デイ』はパット・メセニーの“挑戦作”だったということが分かる。でも当時は「パット・メセニーって,ジャズ・ギタリストというより音楽家なんだな」と生意気にも思っていた自分が恥ずかしい。
そう。管理人の中にワーナー=芸術路線が強くスリ込まれた要因は『イマジナリー・デイ』。“難解で今でも理解不能な”『イマジナリー・デイ』の印象が強烈すぎたのだ。繰り返し聴いたけど,やっぱりどうにも難しい。「IMAGINARY」の頂点を成す芸術作品。それが『イマジナリー・デイ』の真実なのだ。
では,緻密に計算されたSFXの大作をライブにかけるとどうなのか? その答えがライブDVD『IMAGINARY DAY LIVE』(以下『イマジナリー・デイ・ライブ』)にある。
そもそも自由に「IMAGINARY」するための音楽を,固定イメージが焼きついてしまう目で見る行為は矛盾と思うが,それでもライブDVDを見て聴いた方が分かりやすい。不思議とDVDを見た後にCDを聴き直した方がイマジネーションが広がるのだ。
パット・メセニーがプロデュース,そしてスティーブ・ロドビーがビデオ演出と編集にあたった『イマジナリー・デイ・ライブ』。他人の手に渡さなかったことで,パット・メセニー・グループが伝えたかった音楽がリアルに迫ってくる。
特に【IMAGINARY DAY】【HEAT OF THE DAY】【ACROSS THE SKY】【THE ROOTS OF COINCIDENCE】までの一連の展開が圧倒的。まるで荘厳な組曲を聴いているようである。大音量で奏でられる繊細な主題の表現力! もうグイグイとパット・メセニーのジャズ・ギターに惹き込まれていく!
【THE ROOTS OF COINCIDENCE】が超カッコイイ! パット・メセニーとライル・メイズのツイン・ギターのキメ・ポーズ。スティーブ・ロドビーの頭フリフリはヘッド・バンキング?
パット・メセニー・グループを“イケテル”と思ったのは【THE ROOTS OF COINCIDENCE】が初めてである。【THE ROOTS OF COINCIDENCE】の“ルーツ”は『ZERO TOLERANCE FOR SILENCE』だ〜!
PS 若き日のライル・メイズは「嵐のマツジュン」に似ている?
01. Opening Credits & Setup
02. into the dream
03. follow me
04. a story within the story
05. imaginary day
06. heat of the day
07. across the sky
08. the roots of coincidence
09. message to a friend
10. september fifteenth
11. band introductions
12. minuano (six eight)
PAT METHENY GROUP
PAT METHENY : Acoustic, Electric & Synth Guitars
LYLE MAYS : Acoustic Piano, Keyboards, Guitar
STEVE RODBY : Acoustic & Electric Bass
PAUL WERTICO : Drums
MARK LEDFORD : Vocals, Trumpet, Percussions,
Guitar
PHILIP HAMILTON : Vocals, Trumpet, Percussions,
Guitar
JEFF HAYNES : Percussions
(パイオニアLDC/PIONEER LDC 2001年発売/PIBJ-1003)
(ライナーノーツ/熊谷美広)
★特典映像:パット・メセニー・インタビュー
★2001年度ジャズ・ディスク大賞【最優秀ジャズ・ビデオ賞】受賞
★ADLIB誌2001ポピュラー・ディスク大賞【ミュージック・ビデオ賞】受賞
(ライナーノーツ/熊谷美広)
★特典映像:パット・メセニー・インタビュー
★2001年度ジャズ・ディスク大賞【最優秀ジャズ・ビデオ賞】受賞
★ADLIB誌2001ポピュラー・ディスク大賞【ミュージック・ビデオ賞】受賞
2010年12月17日
パット・メセニー・グループ / スピーキング・オブ・ナウ・ライヴ・イン・ジャパン
管理人の愛するパット・メセニー・グループの(『コードネームはファルコン』を除いた)12作目『SPEAKING OF NOW』(以下『スピーキング・オブ・ナウ』)は,5年ぶりのアルバムにして大幅なメンバー・チェンジの“新生”パット・メセニー・グループの名盤である。アルバム・タイトルの『スピーキング・オブ・ナウ』とは「現在のパット・メセニー・グループ・サウンド」の意。
不動のレギュラー・メンバー3人(ギターのパット・メセニー,ピアノのライル・メイズ,ベースのスティーヴ・ロドービー)と新加入の3人(ドラムのアントニオ・サンチェス,ボーカル&パーカッションのリチャード・ボナ,トランペットのクン・ヴー)の融合が織り成す新たなユニヴァースは,メンバーが変わっても,いい意味で“伝統の”パット・メセニー・グループ・サウンドに変化なし。
く~っ。繰り返し聴き込むうちに押し寄せる“強くて深いメロディ・ライン”が感動的である。そう。パット・メセニー自身が語っているように“新生”パット・メセニー・グループは“シンフォニックでファンタジック”であった。
ではライブはどうなのか? その答えが『SPEAKING OF NOW LIVE』(以下『スピーキング・オブ・ナウ・ライヴ・イン・ジャパン』)にある。
『スピーキング・オブ・ナウ・ライヴ・イン・ジャパン』は“新生”パット・メセニー・グループの『スピーキング・オブ・ナウ』の“恒例”プロモーション・ワールド・ツアーのライブDVD。
『スピーキング・オブ・ナウ』に限らず,パット・メセニー・グループは新作のプロモーション・ワールド・ツアーで,ニュー・アルバムの音を固め楽曲を磨き上げていく。そうした日々のチャレンジを共有することでパット・メセニー・グループ自体も成長していく。
管理人の結論。『スピーキング・オブ・ナウ・ライヴ・イン・ジャパン』程,濃密な音に仕上がったライブはない。CDを再現したアレンジのはずなのに,楽曲成長の余地,伸び代を感じさせたライブはない。
元々『スピーキング・オブ・ナウ』の第一印象は“さらっと聴けて飽きがこない”であった。以前のパット・メセニー・グループの特長である“突き抜けた曲”はない。全体のトーンは渋い音色。
それがどうだろう。『スピーキング・オブ・ナウ・ライヴ・イン・ジャパン』で聴いた“馴染みの”【PROOF】【ANOTHER LIFE】【A PLACE IN THE WORLD】は,ライル・メイズの雄大なスケール感。【GO GET IT】【THE GATHERING SKY】は,アントニオ・サンチェスの1人ポリリズム。【YOU】【ON HER WAY】は,リチャード・ボナのマルチな才能のコンビネーション。
全てに“成熟した音使い”が素晴らしい。パット・メセニーの提供したソロの素材を自分色で塗り替えることで,楽曲のイメージを“より強烈&鮮明”に感じることができた。
『スピーキング・オブ・ナウ』成長の要因=新メンバーの成長=新生”パット・メセニー・グループの成長であろう。
パット・メセニー・グループ初のホーン奏者となったクン・ヴー。【SCRAP METAL】を聴けば,なぜパット・メセニーがクン・ヴーをスカウトしたかがよく分かる。
クン・ヴーはパット・メセニーの“アイドル”オーネット・コールマンである。クン・ヴーとの共演でパット・メセニーのギターが歓喜の声を上げている。
【SONG FOR BILBAO】で“本職”のベーシストへと戻ったリチャード・ボナが“パット・メセニー・グループの一員として”ボーカリストへと徹している。
リチャード・ボナはパット・メセニーの“アイドル”ジョージ・ベンソンである。超高速でのベースとボーカルのユニゾンは,ジョージ・ベンソンの高速スキャット以上である。ボナを見つめるメセニーの“恍惚の表情”に大注目。
…と『スピーキング・オブ・ナウ・ライヴ・イン・ジャパン』での“豊穣の音”についてレビューしてきたが『スピーキング・オブ・ナウ・ライヴ・イン・ジャパン』のハイライトは“無音&沈黙”の瞬間にある。そう。【IN HER FAMILY】終わりのパット・メセニーとライル・メイズのあんなに“満足げな表情”を見せられたら…。いつしか会場全体が2人の“静かな感動”を共有する様に涙&涙します。
( 注: ライブDVD『IMAGINARY DAY LIVE』での【SEPTEMBER FIFTEENTH】と同じ展開ではありますが,パット・メセニー&ライル・メイズの“感動の質”が桁違いです )
最後にDVDの“お約束”パット・メセニーのギター祭り批評。
相変わらずトラック毎にギターを“とっかえひっかえ”原曲のデフォルメ・アレンジで弾きまくっています。見所を2つだけ挙げると『ONE QUIET NIGHT』で“初見参”の【LAST TRAIN HOME】のバリトン・ギターと【ARE YOU GOING WITH ME】でのピカソ・ギター。“ジャズ・ギタリスト”パット・メセニーのハイ・テクニックの秘密が超アップで楽しめます。
PS 『スピーキング・オブ・ナウ・ライヴ・イン・ジャパン』を見終えて苦言を一言。白熱のステージをおとなしく見守る観客の山。日本人はなんてお行儀が良いのだろう。そんなことだから『THE WAY UP - LIVE』は韓国に取られてしまうんだよなぁ。あっ,パット・メセニーのギター・プレイを“お口あんぐり”で見入ってしまった管理人の姿が? だって“お口あんぐり”しちゃうもん?
01. Last Train Home
02. Go Get It
03. As It Is
04. Proof
05. Insensatez (How Insensitive)
06. The Gathering Sky
07. You
08. A Place In The World
09. Scrap Metal
10. Another Life
11. On Her Way
12. Are You Going With Me?
13. The Roots Of Coincidence
14. A Map Of The World ~ In Her Family
15. Song For Bilbao
PAT METHENY GROUP
PAT METHENY : Acoustic, Electric & Synth Guitars
LYLE MAYS : Acoustic Piano, Keyboards, Guitar
STEVE RODBY : Acoustic & Electric Bass
RICHARD BONA : Vocals, Percussions, Guitar,
Electric Bass
CUONG VU : Trumpet, Vocals, Percussions, Guitar
ANTONIO SANCHEZ : Drums
(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2003年発売/VABJ-1112)
(ライナーノーツ/熊谷美広)
(ライナーノーツ/熊谷美広)
2010年10月19日
ナニワ・エキスプレス / FIRST FINAL 1986 ~伝説の86年バナナホール解散LIVE!~
“伝説のライブ・バンド”ナニワ・エキスプレスの“伝説中の伝説のライブ”が1986年6月28日,大阪はバナナホールでのNANIWA“解散ライブ”。解散ライブ当日は高校生していた管理人。バナナホールへ行けるはずもない。翌月のジャズ雑誌に載せられたLIVEレポートを読んで唇を噛んだものだ。そして後日,なんと20年間もの長い間,地団駄を踏むことになる。
ナニワ・エキスプレスのライブはFMで何回も聴いていた。素晴らしい。凄い。死んだ。そんな評判なら想像できる。しかし「あれを見逃したとは残念だったね」。そう言われた身になってごらんなさい。NANIWAの大ファンとしては,一生の傷となり引きずってしまうのだから…。
そんな管理人の心の傷が20年ぶりに癒された。20年間の地団駄に決別できた。DVD『FIRST FINAL 1986 ~伝説の86年バナナホール解散LIVE!』の発売である。
いつの時代も噂話には尾ひれがついて広まるものだが『FIRST FINAL 1986 ~伝説の86年バナナホール解散LIVE!』を自分の目で見て「あの噂は本当だった」を実感した。素晴らしい。凄い。管理人もしばらく死んだ。KOされてしまったのだ。
とにかくド派手! バカテク・フュージョン・バンド=ナニワ・エキスプレスは,破れかぶれのハチャメチャなのに美しい。
自己主張する個性的なメンバーのライブ・パフォーマンスはアドリブも含めたエンターテイメント! 隙あらば前へ前へ! 最強にして究極にイカシタ(イカレタ)浪花の“伝説のライブ・バンド”の大登場!
もうこの大迫力は,画面からNANIWAの5人が飛び出してきそう。いや,逆に画面の内にダイブしたくなる程の興奮のるつぼ。大事な解散ライブであることをNANIWAの5人も観客も忘れて,この一瞬に大熱狂している。
清水興がステージ狭しと走りまくれば,東原力哉がドラムを叩きまくる。とにかくダイナミックなアクションは八方破れ! なんと!矢沢永吉が混じっている。あっ,清水興だったか。
ナニワ・エキスプレスは,とにかく爆音! 特に“看板”であるベースの清水興とドラムの東原力哉の重低音は音楽バランスを無視したものである。
そんな爆音リズムにノリまくりキレまくる“ギター・ヒーロー”岩見和彦の音色が美しい! ホール全体を包み込むあのギターが鳴り響いている間,観客も安心して踊り続けられるというものである。
“NANIWA EXPRESS IS…”のテロップで始まり,番組のエンドロールも終わってアンコールコールの中“NANIWA EXPRESS WAS…”のテロップで終わっていく。J-フュージョンのピーク時に解散した伝説。バンドの人気上昇時に解散した伝説。あのままNANIWAを続けていたら,ますます人気が出たことと思うが,こんな破天荒なライブは続けられなかったことだろう。NANIWAの5人は青春を完全燃焼することを選んだのだ。
NANIWAのようなフュージョン・バンドは唯一無二。J-フュージョンの最盛期と共にナニワ・エキスプレスが駆け抜けた。
01. BETWEEN THE SKY AND THE GROUND
02. BELIEVIN'
03. NIGHT FLOWER
04. JASMIN
05. BOYS BE GO GO
06. ORIENTAL MAKIN' LOVE
07. LOVING YOU,SOMETIMES LEAVING YOU
08. CHARCOAL BREAK
09. 大宇宙無限力神
10. METEOR
特典映像:4分割秘蔵映像
01. OLINO <本編未収録曲>
02. JASMIN
NANIWA EXPRESS
KOH SHIMIZU : Bass
KAZUHIKO IWAMI : Guitar
KENJI NAKAMURA : Keyboard
MAKOTO AOYAGI : Keyboard, Tenor saxophone
RIKIYA HIGASHIHARA : Drums
(ソニー/SONY 2007年発売/MHBL-46)
2010年08月20日
ジョー・ザビヌル & ザビヌル・シンジケート / GERMAN TV 1997
「ジョー・ザビヌル & ザビヌル・シンジケート」(以下,ザビヌル・シンジケート)は「ジョー・ザヴィヌル & ウェザー・アップデイト」の新装開店バンド。音楽性も新装開店のリニューアルに合わせて,ジャズ・ファンク路線から一歩進んだ“無国籍民族音楽”路線へと突き進むのだが,そのアフリカやインドの第三世界的なサウンドビジョンは市場に受け入れられず,しばし低迷していた。
しかし,ついに時代がザビヌル・シンジケートに追いついた! ワールド・ミュージックへの機運が熟したタイミングで「ジャコパスの再来」と称される“天才ベーシスト”リチャード・ボナが加入し,一気に大ブレイク!
『GERMANY TV 1997』は,ついにブレイクを果たしたザビヌル・シンジケート,1997年のドイツ「JAZZ OPEN」出演時のライブDVDである。
ザビヌル・シンジケートの1997年のライブCDともなった「ワールド・ツアー」は,ジョー・ザビヌルが20年ぶりに“首を縦にふった”ライブ・レコーディング。
ジョー・ザビヌルをして「ウェザー・リポートの『8:30』を越えた」と豪語させるにふさわしい充実のライブであった。
確かにリチャード・ボナは凄い。映像で見るとリチャード・ボナの凄さが伝わってくる。何が凄いって? それは特に何もしていないようでいとも簡単にグルーヴを起こしている。音と映像のギャップが凄いのだ。「ええ~,何このビートは?」という感じにやられてしまう。
一方,音と映像がマッチしていて凄いのがマノロ・バドレーナのパーカッション。マノロ・バドレーナは,ウェザー・リポート黄金期のメンバー。『へビー・ウェザー』収録の【ルンバ・ママ】で,アレックス・アクーニャとの“壮絶デュオ”を果たした名パーカッショニストである。
ザビヌル・シンジケートの“無国籍民族音楽”の要はマノロ・バドレーナである。
パーカッショニストとしてサウンド面での貢献も大であるが,何と言ってもあの“ヴォイス”そして底なしの明るさが肝! マノロ・バドレーナの“野生児の雄叫び”がザビヌル・シンジケート“無国籍民族音楽”のトーンを決定付けていると思っている。
管理人はザビヌル・シンジケートの低迷の要因はジョー・ザビヌルのエゴイストぶりにあったと思う。ソロは決まってキーボードばっかだし,それ以上にジョー・ザビヌルのボコーダーが鼻につく。何であれ程の音を持っているのにボコーダーがメインなんだよ~。そんなに歌が必要なのであればウェイン・ショーターに頭を下げろっちゅうの。
その点でマノロ・バドレーナの“ヴォイス”は最高である。やはり生の音,音が生きている,しかもハイセンスの唯一無二。
管理人は,ザビヌル・シンジケートが久々に“浮上”できたのはリチャード・ボナ以上のマノロ・バドレーナに拠る所が大きいと思っている。
『GERMANY TV 1997』は,独裁者=ジョー・ザビヌルの20年ぶりの“笑顔”が輝いている。この時期のザビヌル・シンジケートは,ウェザー・リポート黄金期の再来であった。
猛獣4人を完全に手なづけ,己の意のままに操るジョー・ザビヌルの“満足げな表情”が微笑ましい。この後,独裁者の笑顔は長続きしなかったのだが,最後の最期まで,我がバンド然,としたジョー・ザビヌルは強かった。
『GERMANY TV 1997』に,偉大なるエゴイスト=ジョー・ザビヌルのピークのひとコマがある。
01. Intro
02. Hamahamada
03. Erdapfelblues
04. Bimoya
05. Eyala
06. Indiscreation
07. My People
08. Carnavalito
JOE ZAWINUL & ZAWINUL SYNDICATE
JOE ZAWINUL : Keyboards
GAY POULSON : Guitar
RICHARD BONA : Bass, Vocals
MANOLO BADRENA : Percussions, Vocals
DAVID HAYNES : Drums
(MUSICAL BOX/MUSICAL BOX 2007年発売/MB-022)
2010年08月07日
ウェザー・リポート / WEATHER REPORT IN JAPAN - DOMINO THEORY LIVE IN TOKYO 1984
『WEATHER REPORT IN JAPAN - DOMINO THEORY LIVE IN TOKYO 1984』は,1984年の『ドミノ・セオリー』ツアーの東京公演ライブ。過去にLDとしてオフィシャル発売されていた,ウェザー・リポート唯一の“公認映像”のDVD盤。『ドミノ・セオリー』が“リアル”ウェザー・リポート初体験だっただけに『WEATHER REPORT IN JAPAN - DOMINO THEORY LIVE IN TOKYO 1984』は,管理人にとって非常に感慨深いものがある。
『ドミノ・セオリー』発売当時のウェザー・リポートは,ジャコ・パストリアスとピーター・アースキンが揃って脱退し,ビクター・ベイリーとオマー・ハキムが『プロセッション』から,そしてこの『ドミノ・セオリー』ツアーからホセ・ロッシーに代わってミノ・シネルの,フレッシュ若手リズム隊へとメンバー・チェンジした。
一方,ジョー・ザビヌルとウェイン・ショーターの両雄は,ウェザー・リポートの活性化のため「フロント VS リズム隊」の新しい構図を思い描いていた。
そう。『ドミノ・セオリー』発売当時のウェザー・リポートは,言わばバンド内“新陳代謝”の真最中であって,この『WEATHER REPORT IN JAPAN - DOMINO THEORY LIVE IN TOKYO 1984』は,ツアーを通してバンドの“地固め”を図っていた頃のライブ映像に当たる。
『WEATHER REPORT IN JAPAN - DOMINO THEORY LIVE IN TOKYO 1984』には,ジャコ・パストリアス脱退後,ウェイン・ショーターとの“黄金の三角関係”のバランスが崩れ“ザビヌル王朝”が確立された様子が記録されている。
ジョー・ザビヌルのキーボードを中心に,オマー・ハキムのドラミングが冴え渡るフュージョン・ファンにはたまらないグルーヴ。
そう。『WEATHER REPORT IN JAPAN - DOMINO THEORY LIVE IN TOKYO 1984』の主役は,ジョー・ザビヌルとオマー・ハキムである。
【WHERE THE MOON GOES】を見てほしい。 オマー・ハキムのドラミングはハービー・メイソン並のバネに,さらに「しなやかさ」と「なめらかさ」がプラスされた抜群のグルーヴと,スティーブ・ガッド系のテクニックを兼ね備えた圧倒的なドラミングで,今にも椅子から落ちそうな大迫力は見ている者を“釘付け”にすることだろう。
複雑なリズムを,ボーカルを取りながらも楽勝でこなし,しかも無茶苦茶グルーヴさせるかと思えば,超ハイテンションで暴れまくるインタープレイを披露する。正に冷静と熱狂,緻密と奔放が両立している。
このオマー・ハキムのドラミングにザビヌルさえもが“釘付け”になっている。若く才能溢れるドラミングに,まるで可愛い孫でも見ているかのようにニコニコと表情を崩しながら…。
“新生ウェザー・リポート”における,ジョー・ザビヌルとオマー・ハキムの“蜜月関係”を見逃すな! これが『WEATHER REPORT IN JAPAN - DOMINO THEORY LIVE IN TOKYO 1984』の合言葉である。そこさえ押さえておけばライブの定番=【DUET(IMPROVISATION FEAT.ZAWINUL & SHORTER】【MEDLEY - BLACK MARKET/ELEGANT PEOPLE/SWAMP CABBAGE/BADIA/A REMARK YOU MADE/BIRDLAND】でのウェイン・ショーターのアドリブが心置きなく楽しめる。
なお『WEATHER REPORT IN JAPAN - DOMINO THEORY LIVE IN TOKYO 1984』にはLD盤未収録の【THE EVOLUTIONARY SPIRAL】のレアなビジュアル・イメージ映像を収録。ただし特段見る価値は…。
PS ジャコパスの亡霊を振り払おうともがいているのは“新生ウェザー・リポート”のメンバーだけではありません。こんなに圧倒的な名演を見せつけられても,ジャコパスのいないウェザー・リポートに“物足りなさ”を感じてしまった管理人は贅沢でしょうか?
LIVE IN TOKYO 1984
01. D' WALTZ
02. DUET (IMPROVISATION FEAT. ZAWINUL &
SHORTER)
03. SOUNDCHECK
04. WHERE THE MOON GOES
05. - MEDLEY - BLACK MARKET / ELEGANT
PEOPLE / SWAMP CABBAGE / BADIA / A
REMARK YOU MADE / BIRDLAND
VISUAL SOUNDTRACKS
06. THE EVOLUTIONARY SPIRAL
WEATHER REPORT
JOE ZAWINUL : Keyboards
WAYNE SHORTER : Saxophone
VICTOR BAILEY : Bass
MINO CINELU : Percussions
OMAR HAKIM : Drums
(FOOTSTOMP/FOOTSTOMP 発売日不明/FSVD-030)
2010年07月20日
ウェザー・リポート / LIVE IN MONTREUX
ウェザー・リポートのライブDVD=『LIVE IN MONTREUX』は“最高なのに最悪”なDVDである。何が最高かって? 『LIVE IN MONTREUX』のウェザー・リポートはバンドの“成長期”に当たっている。ライブ・バンドであったウェザー・リポートは,1回1回のライブによって成熟へと向かい,続く『へビー・ウェザー』『8:30』『ナイト・パッセージ』で“絶頂期”に至る。そんなイケイケで上り調子で恐いもの知らずな“スリリングで完璧な演奏”が最高である。
ウェザー・リポートにとって,1976年のモントルー・ジャズ・フェスティバルと来れば,まずは『へビー・ウェザー』公式収録=【ルンバ・ママ】であろう。
アレックス・アクーニャとマノロ・バドレーナによる,ツイン・パーカッションの壮絶プレイがノーカットで収録されている。あの2人の名手の渾然一体となった音の洪水の区別がつく快感を何と伝えたらよいのだろう。【ルンバ・ママ】の映像は,ウェザー・リポート・ファンにとっての“お宝”である。
ウェザー・リポートにとって,1976年のモントルー・ジャズ・フェスティバルと来れば,次に“ベースの革命児”ジャコ・パストリアス』の全面参加である。ジャコ・パストリアスのウェザー・リポートへの加入は『ブラック・マーケット』からであるが,この時期のジャコ・パストリアスは,すでにウェザー・リポートの主要メンバー然としている。
尤も,これは音声のお話。映像への出番は余りない。まぁ,それもしょうがないでしょう。
『へビー・ウェザー』発売前のウェザー・リポートなんてこの位の扱いが普通。ましてジャコパスの凄さを世間が(カメラマンが)知る由もないのだ。ん~,ジャコパスの扱いの“小ささ”に駆け出しだった『LIVE IN MONTREUX』を感じてしまう。
それにしても,本当にこの時期,このメンバーでの演奏は素晴らしい。メンバー全員の超絶技巧をもはや神の域。作り込まれたスタジオ盤とは違った,圧倒的なグルーヴ感とハプニングをもものにするアドリブが随所にキメキメのキラキラである。
大地のリズムに身を任せ,妖艶なメロディーに異国へと誘われる楽曲は『ブラック・マーケット』と当時はまだ未発表だった『へビー・ウェザー』からと名曲揃い。
特にラストの【ジブラルタル】を知らないウェザー・リポート・ファンは“モグリ”と呼ばれてもしかたがないと思う。壮絶で絶品なウェザー・リポート!
“最高なのに最悪”な『LIVE IN MONTREUX』。では何が最悪かって? それは音と映像の粗悪ぶりである。ほとんど音が悪いか,映像が悪いか,はたまたどっちも悪いかのどれか。ああ~,最高の素材だったのに~。
そもそも『LIVE IN MONTREUX』は,地元スイスのテレビ局が番組用に収録したものなのだが,カメラ毎の映像があるわけではなく現場でぶっつけでスイッチングしたのだろう。とにかく間が悪い。
カメラワークもやたらと近接で,これは顕微鏡で覗いた世界かっちゅうの。特にウェイン・ショーターも棒立ち時のアップは何? 撮影前に少しはウェザー・リポートを予習しろっちゅうの。
ところで『LIVE IN MONTREUX』には,特典映像として「MIDNIGHT SPECIAL」と題するTVショーの秘蔵映像も収録。【バードランド】【ルンバ・ママ】【ティーン・タウン】で,リズムに合わせて腰を振って踊り狂うマノロ・バドレーナとマイケルジャクソンもびっくりの軽やかなステップを踏むジャコパス。この映像は「コレクターズ・アイテム」ですよっ。
Montreux Jazz Festival 1976
01. Elegant People
02. Scarlet Woman
03. Barbary Coast
04. Portrait Of Tracy (Jaco Pastrius Solo)
05. Cannon Ball
06. Black Market
07. Rumba Mama (Per / Drum Duo)
08. Piano / Sax Duo
09. Badia
10. Gibraltar
11. Band Introduction
Midnight Special 1977
12. Birdland
13. Rumba Mama (Per / Drum Duo)
14. Teen Town
WEATHER REPORT
JOE ZAWINUL : Keyboards
WAYNE SHORTER : Tenor Sax, Soprano Sax
JACO PASTRIUS : Bass
MANOLO BADRENA : Percussions
ALEX ACUNA : Drums
(FOOTSTOMP/FOOTSTOMP 2005年発売/FSVD-005)
2010年07月03日
小曽根 真 ザ・トリオ / ALIVE!! ~ LIVE AT BLUE NOTE TOKYO
“小曽根真の七不思議”の一つが,なぜかライブ盤が出ないことであった。「ジャズはライブ」に限る。そのことを他の誰よりも小曽根自身が知っているはずなのに…。
そんな小曽根真のライブ盤がついに出た! 「ザ・トリオ」10周年アニバーサリー企画第2弾『ALIVE!! ~ LIVE AT BLUE NOTE TOKYO』。
そう。小曽根真初のライブ盤にして,初のDVD盤である。( ←注:塩谷哲との共演盤『デュエット』は異色盤ですのでカウントなし!? )
『ALIVE!! ~ LIVE AT BLUE NOTE TOKYO』を見て,冒頭の“小曽根真の七不思議”の秘密を垣間見た気がする。『ALIVE!! ~ LIVE AT BLUE NOTE TOKYO』の“クオリティの高さ”はハンパではない。
「ザ・トリオ」の演奏が完璧なのは当然として,なんと今回も名エンジニア=ジョー・ファーラが参戦している。録音が良ければ照明も良い。映像の方もカメラも多いし,カット割も見たいポイントにちゃんと映像が切り替わる“ファン目線”での編集にも配慮が行き届いている。
この“クオリティへのこだわり”が小曽根真にライブ盤の発売を躊躇させてきた理由であろう。小曽根真はNY在住の日本人ジャズメンであった。
『ALIVE!! ~ LIVE AT BLUE NOTE TOKYO』は,「ザ・トリオ」10周年記念盤『ファースト・ディケイド』ジャパン・ツアーのライブ。そう。「ザ・トリオ」貫禄のベスト・ライブである。
『ALIVE!! ~ LIVE AT BLUE NOTE TOKYO』の見所は「ザ・トリオ」3人の見事なコンビネーション! 超一流の3人が,互いをリスペクトし,心を合わせ,息を合わせている。小曽根真のアイ・コンタクトで「ザ・トリオ」が“しなやかに”スイングしている。
特にトリオとしての音の強弱の付け方が絶品である。小曽根真の日本人離れしたリズム感が実に素晴らしい。
それにしても,あの小曽根真の満点笑顔! 超高速タッチでピアノをドライブしている間も,演奏するのが楽しくて楽しくてしょうがない様子。小曽根真の満点笑顔がジェームス・ジーナスとクラレンス・ペンにも伝染し,やがては「ザ・トリオ」の音楽全体に楽しさが充満していく。『ALIVE!! ~ LIVE AT BLUE NOTE TOKYO』ではアルバムでの演奏以上に,ジェームス・ジーナスのベース・ソロ,クラレンス・ペンのドラム・ソロに多くの時間が割かれているのがいい。「ジャズはライブ」の本領発揮である。
さて『ALIVE!! ~ LIVE AT BLUE NOTE TOKYO』の初回生産限定盤は,収録日の演奏全曲をコンプリート収録したスペシャル・パッケージ仕様のライブCD付属。読者の皆さんも買うなら迷わず初回生産限定盤をセレクトしてください!
いや~,このライブCDが侮れない。これはおまけではない。クオリティにこだわる小曽根真“自慢の逸品”である。
管理人はこのCD盤の演奏が好きで好きで,DVDを買ったのかCDを買ったのか分からなくなるヘヴィー・ローテーション。『ALIVE!! ~ LIVE AT BLUE NOTE TOKYO』の唯一の汚点はDVDに収録するか,CDに収録するかの選曲ミス? 【ビエンヴェニードス・アル・ムンド】だけは映像付で見たかった~。
DVD
01. THREE WISHES
02. BRAZILIAN SKETCH
03. HOME
04. CENTRAL BOOKING
05. LULLABY FOR RABBIT
06. THE BEGINNING
07. ASIAN DREAM
08. NO SIESTA
09. MY FOOLISH HEART
CD
01. STINGER
02. BIENVENIDOS AL MUNDO
03. THREE THE HARD WAY
04. DANCE ON THE BEACH
05. PANDORA
06. THE OUTBACK
THE TRIO
MAKOTO OZONE : Piano
JAMES GENUS : Acoustic Bass, Electric Bass
CLARENCE PENN : Drums, Percussion
(ヴァーヴ/VERVE 2007年発売/UCBJ-9001)
★【初回生産限定盤】 DVD+CD 2枚組
★【初回生産限定盤】 DVD+CD 2枚組
2010年06月25日
マイルス・デイビス / ミュンヘン・ライヴ 1988
「レコードはメニューみたいなものだ。本物が味わえるのはライブだ」。こう語った“帝王”マイルス・デイビスの「本物中の本物が味わえる」のが,ライブDVD『MILES DAVIS LIVE IN GERMANY 1988』(以下『ミュンヘン・ライヴ 1988』)である。
中山康樹が命名した『YOU’RE UNDER ARREST』以降の「ポップ&シンセ・マイルス」の評価は総じて低い。
それはマイルス・デイビスの才能が枯渇したからでは断じてない。カムバック後のマイルスを認めようとしない,アコースティック・マイルス信者(あるいは一部の電化マイルス信者)が口に(耳に)しないから。要は“食わず嫌い”にすぎない。
DVD『ミュンヘン・ライヴ 1988』を見てほしい。
「ポップ&シンセ」路線に走ったとしても,マイルス・デイビスはジャズの“帝王”であった。そして“本物の”マイルス・デイビスが味わえるのは,メニューとしての『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』『KIND OF BLUE』『NEFERTITI』『IN A SILENT WAY』『GET UP WITH IT』のスタジオ録音+テオ・マセロのマジック編集の名盤ではなく“ライブ”なのである。
マイルス・デイビス=絶対帝王はライブで明白。マイルス・デイビスはトランペッターでありながら,トランペットをあまり吹かない。そこにいるのは“監督総指揮”マイルス・デイビス。マイルス・デイビスはライブでシンセサイザーを多用し,バンド・リーダーに専念している。
そう。マイルス・デイビスはバンド・メンバーの力量を己の懐に取り込む天才なのである。
『ミュンヘン・ライヴ 1988』でのマイルス・バンドのメンバーも全員超優秀であるが,管理人のお奨めは,アルト・サックスのケニー・ギャレットとパーカッションのマリリン・マズール。【HUMAN NATURE】【TOMAAS】でのケニー・ギャレットの大爆発! マイルス・デイビスが「ジョン・コルトレーンとウェイン・ショーターを足して2で割ったようなやつ」と評したケニー・ギャレット。ジョン・コルトレーンの大ブローとウェイン・ショーターのハイセンスを持ち合わせるケニー・ギャレットこそ,歴代マイルス・バンドの「NO.1サックス奏者」で間違いない。
マイルス・デイビスは【POLTIA】中盤のトランペット・ソロを最後にステージを去る。最後の仕上げはケニー・ギャレットに丸投げである。【SPLATCH】ではバリトン・サックスまで吹いている。やっぱりケニー・ギャレットは凄かった~。
【TUTU】におけるマリリン・マズールの“妖艶な”ダンス・パフォーマンスがたまらない。【HEAVY METAL PRELUDE】【CARNIVAL TIME】の「スーパー・プレイ」はDVDならでは!?
「レコードはメニューみたいなものだ。本物が味わえるのはライブだ」。この言葉は「ポップ&シンセ」路線の『ミュンヘン・ライヴ 1988』においても真実であった。
01. Perfect Way
02. Human Nature
03. Tutu
04. Splatch
05. Heavy Metal Prelude
06. Heavy Metal
07. Don't Stop Me Now
08. Carnival Time
09. Tomaas
10. New Blues
11. Portia
MILES DAVIS : Trumpet, Keyboards
KENNY GARRETT : Saxophone, Flute
BOBERT IRVING III : Keyboards
ADAM HOLZMAN : Keyboards
BENJAMIN RIETVELD : Bass
MARILYN MAZUR : Percussions
JOSEPH "Foley" McCREARY : Guitar
RICKY WELLMAN : Drums
(コロンビア/COLUMBIA 2005年発売/COBY-91338)
2010年06月21日
カシオペア / CASIOPEA VS THE SQUARE THE LIVE!!
J−フュージョンの2大巨頭,カシオペアとザ・スクェア(T−スクェア)。永遠のライバル関係にありながら“互いを認め心から尊敬し合ってきた”音楽同士たちである。もはやバンドの違いを越えたところで仲間意識を有している。
これは同じ釜の飯を喰ってきた当人たちでないと理解できない。なにせ,この2大巨頭がJ−フュージョンを支えてきた,と言っても過言ではないのだから…。
そんなカシオペアとザ・スクェア初のジョイント・ライブが2003年に実現した。過去に某ジャズ・フェスティバル等で同じステージに立ってきた2大巨頭のオフィシャルな初共演である。
レビューは後述するとして,まずは一言! なんで福岡は来なかったんだよぉ〜。『CASIOPEA VS THE SQUARE』のCD盤&DVD盤両方の記念写真(裏ジャケット)を見るたびに「東京厚生年金会館のバカ野郎〜」と叫びたくなる衝動を感じます。それぐらいに素晴らしい。良い悪いでは計測不能な,これぞ感動のドキュメンタリー作であろう。
『CASIOPEA VS THE SQUARE』にも,当然?2種類ある。DVD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE THE LIVE!!』とCD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE LIVE』である。
管理人はまずはCD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE LIVE』を購入した。DVD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE THE LIVE!!』を“スルー”した事実が期待値の表われ。内容はさておきルーティンで買ったにすぎない。
しかしこれが良かった? 懐古趣味ではない圧巻のバトルは,新フュージョン・バンド「ザ・カシェア」の大誕生!大編成のカシオペアと言えば『20TH』の悪夢が脳裏をよぎる。きっちりと隙間なくアレンジされたカシオペアの曲を7人で演奏しただけで“とっ散らかり+ごちゃごちゃとしすぎ”のNGワード。しかし「ザ・カシェア」は違った。メンバーの誰かが持ち味を発揮できないような後味の悪さは一切ない。
カシオペアとザ・スクェアの2大巨頭が元来一つのバンドのようにグルーヴしている。とっても分厚くとっても繊細な音の洪水は,総勢10人の重量級ジャズメンの個性が“共鳴する”新しいバンド・サウンドを生み出している。
正確かつフィーリングのある演奏に仕上がった秘訣は,安藤まさひろのリーダーシップ無きリーダーシップと野呂一生のリーダーシップが上手にブレンドされた結果であろう。
さて,DVD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE THE LIVE!!』は,東京公演2日目をフル収録。
CD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE LIVE』への優位性は多々あるのだが,まずはカシオペアのみ,ザ・スクェアのみのライブが楽しめる。
カシオペアがノリを押し出す感じならザ・スクェアはメロディを押し出す感じの演奏。そしてこの選曲が実にお見事。互いのツボを突く新旧の代表曲が網羅されているのが良い。
中盤の第3部から本編のジョイント・ライブ開始。これは「VS」とネーミングされてはいても所謂セッション・バトルではない。火花が飛び散るというよりは10人のジャズメンの個性を浮き立たせるセッションだと思う。
特筆すべきは神保彰と則竹裕之のドラム・セッション。丁々発止のドラム・バトルを披露したかと思えば,次の瞬間,2人のドラムがまるで1セットのドラムに聴こえる完璧ユニゾン。この完成度の高さは,いつもパートナーを組んでいるナルチョの証言から明らかである。ねっ「SYNCHRONIZED DNA」しているでしょ?
ズバリ,ジョイント・ライブのハイライトは【JAPANESE SOUL BROTHERS】をすかした【FIGHTMAN】でのソロ廻し! 10人のジャズメンの個性あふれる自己主張!
お約束のナルチョとストさんの“ベース放談”はおいといて,ストさんの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」や河野啓三と和泉宏隆の○○,野呂一生の【GALACTIC FUNK】にニヤリである。
ライブ当日は“先攻”の「THE SQUARE PART」は,概ね“懐かしのヒット・パレード”集!
恐らくは,安藤まさひろ+伊東たけし+和泉宏隆+則竹裕之+須藤満での「伝説の5人」在籍時の再演を見せたかった?
「伝説の5人」最後となった『NATURAL』から【CONTROL】。最新の「伝説の5人」『SPIRITS』から2曲。そして往年のヒット・チューン4曲。伊東たけしと和泉宏隆のアドリブが素晴らしい。
“後攻”の「CASIOPEA PART」は,メンバーの変遷もないため“通常営業”のカシオペアである。
最新作『PLACES』からの演奏が半分なのもいつも通り。ただし向谷実の頭頂部からの映像は…。経年劣化を感じさせてくれるのがDVDの罪なところ。おっと,以上は自分自身へのつぶやきであった。
CD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE LIVE』にKOされ,即買いしたDVD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE THE LIVE!!』が最高である。DVD盤があればCD盤は不要かも?
いえいえ,CD盤が東京公演1日目でDVD盤が東京公演2日目。そう。1日目と2日目のアドリブの違いを聴き分けることができる。う〜ん。負け惜しみかも?あっ,CD盤はスーパーオーディオの高音質! う〜ん。DVD盤の方が高音質かも? マルチアングルで凝視できるバカテクと「楽器バトル」の最後に(最中にも)見せる8人の笑顔&笑顔がファンとしては忘れられない宝物ですし,特典映像は超レア物で〜す!
最後に,管理人はその昔,ジンサク時代のカシオペアに伊東たけしのアルト・サックスが入った最強バンドを妄想していたものだった。
ついに聴いた【ASAYAKE】のはずが,どうにも“やぼったい”。残念。カシオペアに伊東たけしは似合わない。いや,アルト・サックスではなくEWIだったなら? これが本田雅人だったなら? 管理人の妄想はまだまだ続く〜。
DISC_01
OPENING
01. OMENS OF LOVE
02. LOOKING UP
THE SQUARE PART
03. CONTROL
04. 風の少年
05. EUROSTAR〜run into the light〜
06. BREEZE AND YOU
07. CAPE LIGHT
08. PRIME
09. TAKARAJIMA
CASIOPEA PART
10. EYES OF THE MIND
11. TOKIMEKI
12. FREAK JACK
13. TROPICOOL
14. IT'S NOT ONLY ONE TIME
15. SPRINTER
16. RARE ONE IN N.Y.
17. TRANS EVOLUTION
DISC_02
CASIOPEA VS THE SQUARE PART
18. KAPIOLANI
19. JUSTICE
20. ONCE IN A BLUE MOON
21. MIDNIGHT CIRCLE
22. 勇者 ( YUH-JA )
( Drums Solo )
23. MID MANHATTAN
24. ECCENTRIC GAMES
25. NAB THAT CHAP!!
26. JAPANESE SOUL BROTHERS
27. FIGHT MAN
ENCORE
28. TRUTH
29. ASAYAKE
CASIOPEA
ISSEI NORO : Guitar
MINORU MUKAIYA : Keyboard
YOSHIHIRO NARUSE : Bass
AKIRA JIMBO : Drums
T-SQUARE
MASAHIRO ANDOH : Guitar
TAKESHI ITOH : Sax, EWI, Flute
HIROTAKA IZUMI : Piano
HIROYUKI NORITAKE : Drums
MITSURU SUTOH : Bass
KEIZOU KAWANO : Keyboard
(ジェネオン/GENEON 2004年発売/GNBL-1001)
2010年05月20日
ブランフォード・マルサリス / 至上の愛 ライヴ
孔子の格言の一つに「師の跡を求めず,師の求めたるところを求めよ」というものがある。人は師をお手本にしながらも,つい師のモノマネに終治してまいがちである。しかし,師のモノマネをするだけなら,師を持ち師に教えを請う必要はない。師から教えを請うという行為には,師の求めることを知り自らも同じ目標を追い求めて初めて価値がある。
ブランフォード・マルサリスは「師(ジョン・コルトレーン)の跡を求めず,師(ジョン・コルトレーン)の求めたるところを求め」た“コルトレーン信者”である。
ジョン・コルトレーンのジャズ・テナーを研究し,ジョン・コルトレーンなら“現代ジャズの文脈の中で”どのように演奏したかを思い見ながらテナー・サックスを吹く“真の求道者”である。
そんなブランフォード・マルサリスが,ジョン・コルトレーンの“象徴”であろう『至上の愛』に挑戦した。
DVD+CD2枚組『COLTRANE’S A LOVE SUPREME LIVE IN AMSTERDAM』(以下『至上の愛 ライヴ』)である。
よくぞ,ジョン・コルトレーンの“象徴”『至上の愛』に挑戦しようと思ったものだ。『至上の愛』の威圧感は絶大! 並みの“コルトレーン・チルドレン”なら,決して手を伸ばそうとは思いもしない。凡人には決して計り知れない“師匠と腹を刺し違える”くらいの覚悟?
ブランフォード・マルサリスもサックス・プレイヤーとして“超えなければならない領域”に足を踏み入れたということなのだろう。
ブランフォード・マルサリスが意を決して吹き込んだ『至上の愛 ライヴ』はライヴ録音!
このライヴ録音で大正解! コルトレーンの“生真面目さ”まで受け継いだブランフォードがスタジオで『至上の愛』と向き合っていたなら,きっと録り直し&手直しの日々。完成が何年先になったことやら…。
レギュラー・グループのライヴCDの少ないブランフォードだっただけに,結果これは「一粒で二度おいしい」。
『至上の愛 ライヴ』で,ブランフォード・マルサリスが,師=ジョン・コルトレーンと真剣に向き合っている。
ブランフォード・マルサリスは,決して“ジャズの古典”に執着しているわけではない。ブランフォード・マルサリスが執着しているのは“ジャズの精神”である。
『至上の愛 ライヴ』の中には,ブランフォード・マルサリスのテナー・サックスを“借りて”スパークする,ジョン・コルトレーン“その人”の演奏を聴くことができる。「楽器ではなく心で演奏する。魂で演奏する」ジョン・コルトレーンの“精神性”が色濃く乗り移っている。素晴らしい演奏である。
管理人は『至上の愛 ライヴ』に,完璧にハマッてしまった。何度見ても聴いても,見飽きないし聴き飽きない。『至上の愛 ライヴ』は,リラックスするためのDVDではない。絶えず緊張を強いられる。それが分かっていても見たくなる。これぞ“ジャズの媚薬”である。
ブランフォード・マルサリスの名演が,管理人をコルトレーンに近づけてくれた。いや,ジャズに近づけてくれたのだ。
「師の跡を求めず,師の求めたるところを求めよ」。『至上の愛 ライヴ』は,この格言を“コルトレーン・チルドレン”ブランフォード・マルサリスが体得した瞬間の記録である。
至上の愛
01. PT.1:承認/Acknowledgement
02. PT.2:決意/Resolution
03. PT.3:追求/Pursuance
04. PT.4:賛美/Psalm
BRANFORD MARSALIS : Saxophone
JOEY CALDERAZZO : Piano
ERIC REVIS : Bass
JEFF "TAIN" WATTS : Drums
(東芝EMI/MARSALIS MUSIC 2005年発売/TOBW3219)
(ライナーノーツ/岡崎正通,中川ヨウ)
★ DVD+CD 2枚組
(ライナーノーツ/岡崎正通,中川ヨウ)
★ DVD+CD 2枚組
2008年06月29日
T-スクェア / ライヴ “ナチュラル”
T-スクェアのライブが好きだ。終演時には気持ちが“晴れ晴れ”する。無論,演奏は凄い。しかしこれ見よがしにテクニックで圧倒されることがない。上手く表現できないが,音楽少年に特有の“人柄の良さ”を感じるのである。
ライブに行って良かった。T-スクェアと出会えて良かった。ライブの感動が後から後から込み上げてくる。これは上質な映画を見終わった後に感じる心地良さ。自分が“気高く”なったかのような錯覚を感じて帰宅する。
そんな管理人が選ぶ“品の良い”T-スクェアのライブDVDが『LIVE “NATURAL”』(以下『ライヴ“ナチュラル”』)である。
『ライヴ“ナチュラル”』は『ナチュラル』を“地”で行く,北海道・旭川での特設野外ライブ! 演奏の合間に映し出される雄大な自然の美しさとベスト・マッチング!
この開放感を“野外ならでは”と感じるのが普通なのでしょうがそれは間違いである。この感じはホールでのライブと同じ。スクェアはスクェア。どこで演ろうともT-スクェア100%。この“ほのぼの感”こそがT-スクェア特有のライブの“味”なのである。
そう。北海道なのにアロハ・シャツ! ストさんは遅刻する! そんな“気取らず飾らず”な彼らが汗だくになって熱演する! 観客は皆,笑顔&笑顔のピクニック気分! 心なしかバックのウシさんも和んでいます。
(どちらかと言えば)本田雅人派の管理人ですが,やっぱり伊東たけしはいい!
伊東たけしは『ナチュラル』を最後にT-スクェアを退団してしまったので『ライヴ“ナチュラル”』を見ていると,余計に伊東たけしの存在の大きさが実感できる。
「伝説の5人」と讃えられる,安藤まさひろ+伊東たけし+和泉宏隆+則竹裕之+須藤満でのT-スクェアがバンドの黄金期だったに違いありません。
そんなT-スクェアの演奏は真に絶好調! 『ナチュラル』はスクェアの数ある名盤の中では人気薄だと思いますが,管理人は大好きです。特徴は何たって(本田雅人派のファンなら分かっていただけると思いますが)“あの”ラス・フリーマン仕込みの「分厚い音」=「全米発売の音」! あの音を“軽々と”野外ライブで響かせまくっている~。
全体として一番調子良いのは和泉宏隆! 一人だけ正装して野外ライブに臨んだ気合い勝ち! 【DAISY FIELD】でのピアノ・ソロでは観客全員が美メロのアドリブに引き込まれてしまっています。則竹裕之と須藤満のドラムン・ベース・デュオは完成の域に達している。則竹さんと来れば【WHITE MAN】での“シェイカー姿”はお宝映像でしょう。
しかし最大のお宝は“地蔵ギター”の安藤まさひろの足が軽くステップしている! ロック調8ビートが安藤まさひろを変革中の衝撃映像にニンマリである。
ライブの最後で伊東たけしが「また会おうね」を連呼していたが次のライブで伊東たけしに会えたのは10年後の真実!
今となっては笑い話ですが,本田雅人時代,宮崎隆睦時代には,伊東たけし時代の『ライヴ“ナチュラル”』を見て涙していたことを覚えている。しばらくお蔵入りでした。
そして今,管理人のお蔵リストには『ライヴ“ナチュラル”』に代わって本田雅人時代のDVDが収められている。泣。
01. CONTROL
02. DAISY FIELD
03. WHITE MANE
04. WIND SONG
05. DUO
06. MORNING STAR
07. RADIO STAR
08. TRUTH
T-SQUARE
MASAHIRO ANDOH : Guitar
TAKESHI ITOH : Alto Sax, EWI
HIROTAKA IZUMI : Keyboard
HIROYUKI NORITAKE : Drums
MITSURU SUTOH : Bass
(ソニー/SONY 1990年発売/SRBL-1213)
2008年05月08日
キース・ジャレット / アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー
『THE ART OF IMPROVISATION』(以下『アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』は“生けるアドリブ芸術”キース・ジャレット初にして(恐らく)最後のドキュメンタリーDVDである。正直,管理人は,この内容には満足していない。『アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』は,断片的資料を継ぎ接ぎしたドキュメンタリーなので,キース・ジャレット特有の“一貫したストーリー性”が欠如している。
そう。『アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』は,ジャズ・ピアニスト=キース・ジャレット“歴史資料集”なのであって,感動ものではない。
しかし『アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』は,キース・ファンにとっては“かけがえのない夢のような宝物”である。内容不足を補って余りある“貴重品”なのである。
管理人はこのDVDの完成を創造の神に感謝している。加えて,キース・ジャレットの「心の鍵」を開けてくれた,真摯なスタッフの努力に感謝している。『アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』には“人間”キース・ジャレットのありのままの姿が記録されているからだ。
キース・ジャレットは,決して妥協を許さない,完璧主義者の芸術家である。だからこそ“前人未踏”の偉大な仕事を数多く成し遂げてきた。
そんなキース・ジャレットのポリシーの一つが「プロモーションのためには決して演奏しない」こと。そう。キース・ジャレットというジャズメンは,決してお金では動かない。いや,動けない人なのである。
過去において『アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』と同様のフィルム企画が多数持ち込まれていたそうだが,その全てをキース・ジャレットは断わってきた。彼の信念がそれを許さなかった。キース・ジャレットは「その仕事を真にやるべき価値があり,その仕事の完成を共に喜びあえる仲間とでなければ」決して仕事をしないのである。
それゆえ,とにもかくにも,一本のドキュメンタリー作品が完成し,手元に存在しているこの事実に心から感謝している。あの気難しいキース・ジャレットからの信頼を勝ち得,出演交渉で“くどき落とす”ことなど,女優に濡れ場を演じさせること以上に困難極まりなかったに違いない。スタッフが費やした多くの時間と労力に感謝するばかりである。
さて,そんな誠実なスタッフたちの努力の結晶である『アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』は,日独英共同制作。3カ国所有の“お宝映像”が多面的に編集されている。貴重な映像資料群ゆえ(本論の流れを無視し)詰め込み過ぎた印象が残る。まぁ,散漫になるのは致し方のないことなのだろう。
それよりも管理人の目に留まったのは,時系列を無視した編集にある。チャールス・ロイド・カルテット~マイルス・デイビス・グループと来れば,次はソロ・ピアノか,アメリカン・カルテットなのであろうが,ヨーロピアン~クラシック~『スピリッツ』が先に来たので,ヤン・ガルバレクよりデューイ・レッドマンの方が印象に残ってしまった。
おかげで『アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』を見終わった瞬間から,アメリカン・カルテット,とりわけローズアンのハートを射止めた『フォート・ヤウ』のヘビー・ローテーションが始まっています。はい。
ここまで『アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』の内容不足について毒づいてしまったが,唯一,慢性疲労症候群と闘っていた時のエピソードは真に感動的である。“生けるアドリブ芸術”キース・ジャレットは,健康を犠牲にしてまで音楽の創造に没頭してきた。その代償として支払われたのが「身体をエイリアンに乗っ取られた」と語った慢性疲労症候群による衰弱。ピアノも見れない。蓋を開ける力もない。3分以上は話しさえできない。そんなどん底のキース・ジャレットを,家族や友人みんなで慰め,励まし続けたのだ。
そんな闘病生活の末,産み落とされた傑作が『メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー』。
ローズアンへのクリスマス・プレゼントである『メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー』は,わずか1,2分しか演奏できない状態の中でのソロ・ピアノである。プレゼント用DATにはリボンがかけられていたそうであるが,回想しつつも感動で言葉が詰まるローズアンへのインタビューには心を打たれた。
「病気は教師。今は作曲活動は行なっていない。演奏できるのは奇跡。演奏以外の形で音楽に関わるのは違うと思った。演奏できる奇跡だけでいい」とキース・ジャレットは語っている。
そう。これぞ『アート・オブ・インプロヴィゼーション~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』の結論であり,インプロヴァイザーとしてだけでなく作曲家としても名を馳せた“ジャズ・ピアニスト”キース・ジャレットの真実であろう。
近年,キース・ジャレットは『レイディアンス』『カーネギー・ホール・コンサート』と,即興演奏を披露できるほど体力が回復している。キース・ジャレット・トリオの最新作『マイ・フーリッシュ・ハート』が凄すぎる。
2008年5月,キース・ジャレットが再び日本上陸する。管理人も大阪まで乗り込む予定である。
(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2005年発売/VABJ-1163)
(ライナーノーツ/稲岡邦弥,マイク・ディブ)
(ライナーノーツ/稲岡邦弥,マイク・ディブ)
2007年10月14日
山中 千尋 / リーニング・フォワード
自称“独身貴族”の管理人ですから「お見合い」などしたこともなければ,金輪際することもないでしょう。ただし夢の世界,空想の世界,バーチャルの世界では「お見合いし放題」です。だってTVをつければ,次々とかわいい女の子が登場して来るではありませんかっ。まっ,永遠に“一方通行”ですけどね。
でも正確にはTV「お見合い」など「お見合い」などではない。やはり「お見合い」なるもの“写真でしか見たことのない人と”会食するものであろう。そう。静止画から動画へのドキドキ感! 写真の彼女が動いている! ( この後も管理人の妄想話は延々続くのでありますが,今回はここまで…。お・し・ま・い )
さて,山中千尋である。写真で見る山中千尋は“キレカワ系”。あっ,管理人が山中千尋を好きなのは“あくまでも”音楽性。容姿は二の次です。
本命はプロのジャズ・ライター「島田奈央子」さんですから…。ねっ,クマクレアさん!?(内輪ネタです)
でもやっぱり「ちーたん」(山中千尋)も気になる。それで「お見合い」してみました。静止画から動画の「DVDお見合い」です。
そう。『LEANING FORWARD』(以下『リーニング・フォワード』)で,初めて“動く”山中千尋嬢を拝見したのです。
LIVE評でよくある“生で見てガッカリ”という反応。残念ながら管理人の『リーニング・フォワード』評も“その口”です。
きっと“お嬢様でお人形”を勝手に期待しすぎた反動なのでしょう。それともあの超一流のピアノの音に“超絶技巧”を期待してしまったのかもしれません。
NO! 犯人は上原ひろみ嬢かもしれません。山中千尋と「お見合い」する前に,上原ひろみの,あの圧倒的パフォーマンスを見せられてしまったから…。
そう。山中千尋はちっとも悪くありません。いつでもニコニコ。笑顔でピアノを弾いています。
澤野工房のDVDはこの一枚しか所有していないので,澤野工房作DVDが全て『リーニング・フォワード』と同じ作りかは不明ですが,ハッキリ言ってこの映像は新しい! クレーンが飛び交い「上下左右&前後」+レール上をカメラが駆け抜け「クローズ・アップ」! 文字通り,山中千尋を“激写”しまくっています。
そしてここが『リーニング・フォワード』最大の“売り”であろう,大きなガラス越しに映される“大阪の町並み”と山中千尋のピアノとのコラボレーション!
LIVEが進むにつれ,夕暮れから夜景へと変化するバック・ステージ。時間と共に刻一刻とその表情を変えていく町並みがアクセント! “指揮者”山中千尋のピアノに呼応する“人と車の流れ”がお見事である。
真っ赤なネオンさえピアノを照らすスポット・ライトへと変化していく! そんな都会の雑踏とドラマティックなライティングを味方につけた山中千尋の“快演”が交差する最高の瞬間!
そう。静かに流れる“極上の時間”が記録された『リーニング・フォワード』の真実とは「山中千尋 IN 大阪物語」なのである。
『リーニング・フォワード』は「TWILIGHT SET」&「EVENING SET」の2ステージに「BONUS TRACKS」を加えた3部構成。セット毎に衣装のお色直しも楽しめる。そう。一度に3回も「お見合い」できてしまうお得盤である。ピアノを演奏している“動く”山中千尋は「顔に似合わぬ」筋肉質であった。あの華奢な体で“男性顔負け”の力強いフレーズを繰り出す秘訣が垣間見えた。あの“ピアノ・サイボーグ”ばりの鍛え上げられた二の腕に“納得”です。
そして次に目がいってしまうのは,山中千尋の“愛くるしい”笑顔でしょう。ほのぼのと楽しそうにピアノを弾き続ける姿に胸が“キューン”。バラードでは一転,眉間にしわ寄せ苦しそうな表情を浮かべる姿に,またしても“キューン”。
なんだかんだ言って『リーニング・フォワード』を結構楽しんでいる管理人。冒頭の“ガッカリ&期待外れ”は何処へ行ったのでしょうね?
いかに期待と妄想が桁外れに膨らんでいたのかが良~く分かります。今度は等身大の期待を抱いて,LIVE会場で「一方通行お見合い」でもしてみようと思っています。←おお,危険人物?
それにしても未だ『リーニング・フォワード』だけに収録されている【MELO】と【SEJO】は秀逸。いつになったらCDへも吹き込んでくれるのでしょうね。アンチ“映像物”の皆さんにも,この2曲だけは買って聴く(見る)価値があると思っています。
そんなこんなで…。「ちーたん」(山中千尋)ファンを自認するなら,少々ガッカリものの『リーニング・フォワード』もお忘れなく!
TWILIGHT SET
01. Girl From Ipanema
02. Melo
03. Taxi
04. Ballard For Their Footsteps~Three Views Of A
Secret
05. Living Without Friday
EVENING SET
01. I Got Rhythm
02. S.L.S.
03. Plum The Cow
04. Yagibushi
05. 2:30 Rag
06. In A Sentrimental Mood
BONUS TRACKS
01. Someday Somewhere
02. Sejo
CHIHIRO YAMANAKA : Piano
BEN STREET : Bass
BEN PEROWSKY : Drums
(澤野工房/ATELIER SAWANO 2003年発売/SDV002)
(ライナーノーツ/北見柊)
(ライナーノーツ/北見柊)
2007年09月13日
パット・メセニー・グループ / ザ・ウェイ・アップ ~ ライヴ
生涯に一度“立ち会えるか”どうかの奇跡のライブ! そのライブを偶然収録することができた奇跡のDVD! それこそ“我らが”パット・メセニー・グループの『THE WAY UP - LIVE』(以下『ザ・ウェイ・アップ ~ ライヴ』)である。『ザ・ウェイ・アップ ~ ライヴ』のおかげで,管理人も上記「奇跡の二重奏」の“目撃証人”となることができた。いずれ読者の皆さんも…。
むろん,正確には『ザ・ウェイ・アップ ~ ライヴ』は「奇跡の二重奏」などではない。恐らくライブの出来に関しては,パット・メセニー・グループというもの,ツアー中も更なる向上を目指すことで知られるバンドであるがゆえ,最終公演近くの“練りに練り上げられ,成熟された演奏”がベストだったと思うし,収録日に関しては,現地韓国スタッフが入念な準備のもと,いわばライブの開演を“手ぐすね引いて待ち構えていた”状態だったとも思う。
そんなの分かりきっている。百も承知である。でも,それでも管理人は『ザ・ウェイ・アップ ~ ライヴ』を,敢えて「奇跡」と呼ぶのである! ← 「セラビー,カッコイイ」! この掛け声はオリエンタルラジオ風でお願いしま~す。
それはなぜか? 理由は『ザ・ウェイ・アップ』という楽曲のインパクトに尽きる!
『ザ・ウェイ・アップ』を(例えば1年後などと)時間を空けて,このクオリティで再演することなど,それが天才集団=パット・メセニー・グループの現メンバーたちであったとしても不可能に違いない,と思うからだ。
『ザ・ウェイ・アップ』の解説は次期CD批評に委ねることとし,ここでは詳細は述べない。
ただ一言。『ザ・ウェイ・アップ』こそ音楽家=パット・メセニーの全て。間違いなく彼の最高傑作であろう。
そう。『ザ・ウェイ・アップ』は,どこをどう切っても,メセニー節のオンパレード。68分にも及ぶ超大作を暗譜するのも大変だろうが,パット・メセニーの音符を弾ききることはもっと大変。一回一回の演奏が大チャレンジの場と化している。
管理人が上記の結論に達したのは,ふと目にした「特典映像」にヒントがあった…。
これまで何度,この『ザ・ウェイ・アップ ~ ライヴ』を視聴したことだろう。骨の有りすぎるDVDであるだけに何度も繰り返し視聴してみたが,自分の言葉でDVD批評を執筆できるレベルまでは達しない。これほど“凄い&手強い”DVDは初めてである。
読者の皆さんも,一度や二度は体験済みだと思いますが,演奏鑑賞中に手が止まってしまう。もはや批評どころではなくなってしまう。トリップさせられてしまう。例のアレのことです。
それで特に興味があったわけでもなく“筆休め”のつもりで見た“おまけ”=「パット・メセニー・インタビュー」の中に『ザ・ウェイ・アップ ~ ライヴ』の秘密を解き明かす答えがあった!
自宅には年に10日程しかいない,世界一の音楽バカ?=パット・メセニーをして「今回のツアーは特別」だと語っている。
『ザ・ウェイ・アップ』については「スタジオの利点を生かして制作しようと思った。ライブのことは念頭になかった。“ライブで演奏するのは大変だ”と,過去の自分に文句を言いたい…」とも語っている。
そう。スタジオ・ワークと位置づけていた『ザ・ウェイ・アップ』の再演が,今回のツアーの一番の見所。いつもの新鮮なアドリブへの探求心など微塵も感じられない。
毎回会場も異なればオーディエンスも異なる。レコーディングからツアー・メンバーも変わっている。再演不能の理由なら幾らでも挙げることができるだろう。しかしそんな障害など何も無かったかのごとく,パット・メセニー・グループは『ザ・ウェイ・アップ』の再演を目指す! 過去の偉大な自分たちへ近づくため,いや,過去の偉大な自分たちを越えるために,新生パット・メセニー・グループが“命を削っていく”のである。
ただし,これはチャレンジであって苦行ではない。演奏中のメンバーの表情を見ていると,全員が超難曲『ザ・ウェイ・アップ』の演奏にハマッている。とりこになっている。この楽曲の深みへと誘われている。
そんな超難曲と真剣に向きあい,幾つものギターを“弾きまくる”パット・メセニーの表情にグッとくる。
『ザ・ウェイ・アップ』のCDもそうだが『ザ・ウェイ・アップ ~ ライヴ』のDVDも,そう何度も視聴できるものではない。
何せ1曲68分(ボーナス・トラック入り日本盤CDは更に驚異の74分!)の「プロテスト・ミュージック」! 所有していても,そう易々と視聴できるものでもない。リスナー側にも「時間・体力・集中力」が要求されている。
しかし注ぎ込んだその努力は必ず報われる。準備すれば準備するほど,得られる感動は倍加する。努力と喜びは『ザ・ウェイ・アップ ~ ライヴ』に関する限り比例する。
この全てに関して管理人が全責任を担おう。そう。管理人のジャズ/フュージョン批評家人生をかけて「五ツ星」を保証する。
01. OPENING
02. PART 1
03. PART 2
04. PART 3
PAT METHENY GROUP
PAT METHENY : Guitars
LYLE MAYS : Piano, Keyboards
STEVE RODBY : Acoustic Bass, Electric Bass
ANTONIO SANCHEZ : Drums, Electric Bass
CUONG VU : Trumpet, Vocals, Percussions, Guitar
GREGOIRE MARET : Harmonica, Guitar, Vocals,
Percussions, Electric Bass
NANDO LAURIA : Guitar, Vocals, Misc Percussion &
Instruments
(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2006年発売/VABG-1216)
(ライナーノーツ/工藤由実,パット・メセニー)
★特典映像:パット・メセニー・インタヴュー
(ライナーノーツ/工藤由実,パット・メセニー)
★特典映像:パット・メセニー・インタヴュー
2007年05月07日
セロニアス・モンク / セロニアス・モンクの肖像
管理人は,好きなジャズメンを“徹底的に掘る”のが好きだ。読者の皆さんが,管理人と同じ“コレクター”であるならば,その醍醐味については説明不要であろう。ただしこれがエスカレートしてくると,集める楽しさを通り越し「全部集めないと気が済まない」といった“脅迫観念”に襲われるのでほどほどに…。
さて,そんな“コレクター”気質をお持ちの読者の皆さんなら,リーダー・アルバムを完全制覇 → サイドメンもの → 映像ものへとシフトしていくはず?
さらにもっと症状が悪化すると,ジャズメンの生い立ちなど,音楽以外のバックボーンをも追い続けることとなる。
本末転倒OKじゃないですか。それでこそ,一人前のジャズ・マニア!? いえいえ。「大人の」ジャズ・マニアは,純粋に音楽,アドリブだけを聴き続ける。この本末転倒は,さなぎから成虫への脱皮,大人への登竜門なのである。
と,のっけから高飛車トークで「ドン引き」させたかもしれませんが,これは管理人の実体験。自戒の念が込められています。
実話。管理人が脱線したジャズメンの一人がセロニアス・モンク! 「モンクス・ミュージック」の真髄に接せねば,とDVD『AMERICAN COMPOSER』(以下『セロニアス・モンクの肖像』)を愛聴したものだった。
『セロニアス・モンクの肖像』は,独創的な「モンクス・ミュージック」の魅力を克明に捉えた音楽ドキュメンタリー!
セロニアス・モンクの音楽ルーツを,身近な友人たちのインタビューを交え紐解いていく。
特にピアニスト仲間のランディ・ウエストンとバリー・ハリス,プロデューサーのオリン・キープニュース,息子のセロニアス・モンク・ジュニアによる“証言”が興味深い。重みがある。
勿論,動くセロニアス・モンクも拝めるし,オフィシャルものとしては“本邦初登場”バド・パウエルの“お宝映像”も収録されている。正真正銘,モンク・ファン“必携”のDVDである。
やはりセロニアス・モンクは苦闘していた。売れない“日陰の時代”が長かった。世間がやっとモンクの感性に追いつき“陽の当たる場所”に立てるようになった。しかしその瞬間モンクは先を走っている。モンクの中で広がるギャップ~ますます悪化する演奏環境~ついに絶望に耐えきれず引退。なんという損失。
『セロニアス・モンクの肖像』は,セロニアス・モンクの絶頂期には余り触れていない。そう。「モンクス・ミュージック」は,不遇時代に確立されたジャズ! 若き下積み時代に充満する,創造のためのエネルギー! 誰も真似できない,誰も到達できない孤高のジャズ・ピアノ・スタイルは,一人自宅の練習中に誕生したのである。
「モンクス・ミュージック」に近づきたければ“急がば回れ”! CDを10回聴き込むよりも,DVD『セロニアス・モンクの肖像』を一聴した方が理解が深まる。これも管理人の実体験である。
(コロンビア/COLUMBIA 1999年発売/COBY-90057)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
2006年07月05日
カシオペア / カシオペア・アゲイン
フュージョンの「スゴ腕たち」のスーパー・プレイには聴く者たちを圧倒的する“力”がある。目が点&お口あんぐり状態。「これ,どうやって弾いているの」。そこで決定的な衝撃! 予想もしない結末! 映像を見て仰天してしまう。椅子に腰掛け,ただ弾くだけでも大変だと言うのに,なんとなんと“振付で”踊りながら弾きまくっている!
あり得ない。ウソでしょう? いいえ。ウソではありませぬ。管理人は自分の目で何十回も確かめた。読者の皆さんにも自分の目で確かめてほしい。証拠は現に存在する。
そう。DVD『CASIOPEA AGAIN』(以下『カシオペア・アゲイン』)!
『カシオペア・アゲイン』は過去のカシオペア映像作品の集大成! 管理人が昔欲しかったLDからの抜粋が超お得なシロモノである。
管理人は“生”カシオペアを,一体何回目にしたのだろう。だからここで断言できるのだが,カシオペアのLIVEは超エンターテイメント! ただの一度もガッカリして家路に着いたことなどない。毎回絶対に楽しめる。
『カシオペア・アゲイン』は,そんなカシオペアのLIVE総集編なのだから“はずれ”がないのは当たり前! 全ての楽器野郎,全てのフュージョン・ファンのみならず,全ての音楽好きに自信を持ってお奨めできる。
さて,カシオペアの“名誉”のために補足しておくと,この映像が必ずしも彼らのベスト・パフォーマンスとは限らない。この映像が“たまたま記録されていただけ”のことであって,経験上,もっとグレートなステージはたくさんあった。ファンとしては,これがカシオペアの“全て”とは思ってほしくないのだ。
しかしそれでも『カシオペア・アゲイン』には,デビュー当時の秘蔵映像から“絶頂期”に至るまでの歩み,歴史が収められている。“懐古趣味”を楽しめる。管理人にとっては貴重な青春の1ページ,かけがえのない映像記録なのだ。
カシオペア=青春ではない人たちにはCD『ミント・ジャムス』の【ドミノ・ライン】を聴いた後に『カシオペア・アゲイン』【ドミノ・ライン】の“ドミノ倒し”を見てもらいたい。まさかこれが“ドミノ倒し”の真実だとは?答えは見てのお楽しみ…。“あっと驚くタメ五郎”な展開に,つい“ニンマリ”してしまうはず。
そう。カシオペアはやっぱりLIVE! カシオペアこそ,真のライブ・バンド! ダンシング・ファンキー・フュージョン・バンド!
『カシオペア・アゲイン』を見て,聴いて,心ゆくまで楽しんでください。
01. BLACK JOKE
02. TAKE ME
03. HAVE A NICE DREAM
04. DOMINO LINE
05. MIDNIGHT RENDEZVOUS
06. LOOKING UP
07. SPACE ROAD
08. EYES OF THE MIND
09. SPICE ROAD
10. DAZZLING
11. DOWN UPBEAT
12. SPACE ROAD
13. FROU FROU
14. THE CONTINENTAL WAY
15. TWILIGHT SOLITUDE
16. DRUMS SOLO
17. MISTY LADY
18. BASS SOLO
19. EYES OF THE MIND
20. ASAYAKE
21. MARINE BLUE
22. GALACTIC FUNK
・ HALLE (TV SPOT)
・ CASIOPEA HISTORY
・ GUITAR COLLECTION
・ BASS COLLECTION
CASIOPEA
ISSEI NORO : Guitar
MINORU MUKAIYA : Keyboard
TETSUO SAKURAI : Bass
AKIRA JIMBO : Drums
(ソニー/SONY 2000年発売/SRBL-1078)












































