アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:YELLOWJACKETS

イエロー・ジャケッツ / ポリティクス / GALILEO(FOR JACO)4


 『POLITICS』の4曲目は【GALILEO(FOR JACO)】(以下【ガリレオ(ジャコに捧ぐ)】)。


 ジャコ・パストリアスに捧げられた【ガリレオ(ジャコに捧ぐ)】は,イエロー・ジャケッツ版【お前のしるし】である。

 【お前のしるし】とは,言わずと知れた,ウェザー・リポートの大名曲! ジョー・ザビヌルジャコ・パストリアスエレベをイメージして書いた,実に壮大なバラードである。ジャコ・パストリアスフレットレス・ベースの響きが美しく,いつ聴いても“天へと昇る”思いがする。
 【ガリレオ(ジャコに捧ぐ)】も同様であって,ジミー・ハスリップフレットレス・ベースが素晴らしい! イントロから続くアルト・サックスとのユニゾンは,正にジャコ・パストリアスの“あれ”を彷彿とさせてくれる。

 しかし管理人にとって【お前のしるし】は,1にも2にもウェイン・ショーターテナー・サックスにある。【お前のしるし】は,ザビヌルがいなくてもジャコパスがいなくても成立するが,ショーター名演なくしては成立しない。
 その点【ガリレオ(ジャコに捧ぐ)】でのマーク・ルッソが“もう一息”なのが星4つの理由である。

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YELLOWJACKETS
RUSSELL FERRANTE : ALL KEYBOARDS
JIMMY HASLIP : 5-STRINGS BASS
MARC RUSSO : SAXOPHONE
WILLIAM KENNEDY : DRUMS

GUEST MUSICIANS
ALEX ACUNA : PERCUSSION
STEVE CROES : SYNCLAVIET

イエロー・ジャケッツ / ポリティクス / HELIX4

アナログレコード

 『POLITICS』の7曲目は【HELIX】(以下【ヘリックス】)。


 【ヘリックス】は“超クール”なジャズ・ナンバー! そこへフュージョン特有の“キメ”が入ってくるからたまらない。これこそイエロー・ジャケッツの“新・お家芸”! いい。

 冒頭から続くテーマが素晴らしい。一音でリスナーの耳を釘付けにしてしまう,この緊張感がヤバイ。
 やはりイエロー・ジャケッツは,ラッセル・フェランテキーボードでできている。このアコースティックとエレクトリックの絶妙な調合具合が,イエロー・ジャケッツの“個性”である。

 …と,褒めちぎりたいところであるが,熱烈なファンとしては,ここまで完成度が高いとさらなる高みを求めてしまう。つい欲がでてしまう。
 例えば1分15秒からのピアノ・ソロ。ここはもっと“がっつり”きてほしかった。

 “無いものねだり”でもう一つ。3分10秒からのマーク・ルッソアルト・ソロ。このアルト・サックスの音色は,疑似ソプラノである。いや,疑似ウェイン・ショーターと言ってもいい。
 どうせ“疑似ショーター”するのなら,ソプラノではなく,テナー・サックスしてほしかった。以上。

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Politics
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イエロー・ジャケッツ / ポリティクス / TORTOISE & THE HARE4

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 『POLITICS』の2曲目は【TORTOISE & THE HARE】(以下【カメとうさぎ】)。


 【カメとうさぎ】は,カメとうさぎではなく“チーター”! 「3歩進んで2歩下がる〜」って書いたら,どれだけの読者に伝わるかな?
 「3歩進んで2歩下がる」テーマが「いけそうでいけない」もどかしさ。その辺りが【カメとうさぎ】の由来だろうか?

 ウサギ役であろう,キーボードサックスの細かい「音合わせ」に,カメ役であるリズム隊が追いついてくる! 筋書き通りなら,最後はリズム隊が勝つところだが,強引な批評はできない。
 イエロー・ジャケッツの【カメとうさぎ】は,フロントであるウサギ役の大勝利で幕を閉じる! もっと言えば,これはラッセル・フェランテマーク・ルッソのガチンコ徒競走である。

 その勝者は…。4分25秒からの30秒間に答えがある!

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イエロー・ジャケッツ / ポリティクス / EVENING DANCE5

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 『POLITICS』の10曲目は【EVENING DANCE】(以下【イヴニング・ダンス】)。


 【イヴニング・ダンス】は,ジャズ好きなら絶対に“燃える”(“萌える”?)!
 クールからホット,ホットからクールへのスムーズな展開力。曲想がジワジワと盛り上がり,サックスに合わせて全員が一気にブレイク! これこそジャズの醍醐味である。

 特筆すべきはラッセル・フェランテキーボード! 【イヴニング・ダンス】の決定的なムードは全てラッセル・フェランテが創りだしている。テーマに彩りを添える繊細なタッチでメンバーを支えている。彼のジャズ・センスの高さを垣間見ることができる。

 【イヴニング・ダンス】のハイライトはマーク・ルッソ! 2分1秒からのマーク・ルッソサックス・ソロが“突然変異”でうめきはじめる。
 この音を「何分何秒がどうのこうの…」と指摘するのはヤボ! 最初はソプラノっぽい美しい響きの音であるが,最後はそれこそ力技。“電車道”で持っていかれるかのような疾走感!
 これはジョン・コルトレーンウェイン・ショーターが得意としたアドリブであるが,マーク・ルッソアドリブは“ルッソ流”と呼べるほど,完全に自分の言葉で歌っている。

 そしてこれが計算ではなく,演奏中に“自然と熱気を帯びた感じ”に聴こえるところが,実に憎い!
 無意識のうちにボルテージが上がる感じなので,まるで自分の内で感情が湧きたったかのような錯覚に襲われてしまう。
 そう。これがジャズを聴く楽しみなのである。

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イエロー・ジャケッツ / ポリティクス / LOCAL HERO5

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 『POLITICS』の3曲目は【LOCAL HERO】(以下【ローカル・ヒーロー】)。


 【ローカル・ヒーロー】と言えば,今ではボーカル・ナンバーの方が有名であるが“元祖”サックス・バージョンもどうして…。アルト歌手=マーク・ルッソがよく“歌っている”。

 マーク・ルッソの特徴は,アドリブを吹いている時よりも,普通にテーマを奏でている時の方が掴みやすい。
 例えば,メイン・テーマ。注意深く耳を傾ければすぐに聴き取れるはずだが,マーク・ルッソアルト・サックスは“絶えず”微妙に揺れている。“スーッ”と伸びきっているように思えて,実は“静止状態”がほとんどない。これが聴いて“なんだかよく分からないけど気持ちいい”のミソなのだ。
 “レイコンマ何秒の世界”で描く,ルッソ独自の“味付け”が【ローカル・ヒーロー】成功の秘訣であろう。

 いやいや,歌っているのはマーク・ルッソ1人ではない。
 ラッセル・フェランテキーボードが,たまらなくいい! キーボードを一音一音丁寧に,メンバーの音に“添えた”彼のプレイが,トラック全体に“さわやかな”音の厚みと奥行きを与えている。
 例えば,イントロでのリズミカルで“華やいだ”タッチや,3分48秒からの音色の選択こそが,正にイエロー・ジャケッツの魅力そのものとも言える。

 そして“陰の主役たち”ジミー・ハスリップベースウイリアム・ケネディドラムの“快演”に言及しないで,この記事を結ぶことなどできない。
 “ローカル”というネーミングがぴったりな,ちょっと“古め”のノリに“お尻くねくね”したくなる。このビート,このベース・ラインが最高に気持ちいい!

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イエロー・ジャケッツ / ポリティクス / OZ5

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 『POLITICS』の1曲目は【OZ】。


 【OZ】の,このイントロが“も〜うたまらない”。ジミー・ハスリップの“うなる”ベースウィリアム・ケネディの“JAZZY”なドラムが一体となって,重低音のビートを前へ前へと押し出している。
 そこへラッセル・フェランテの“ビビット”なキーボードマーク・ルッソの“天使”のアルト・サックスが舞い降りてくるのだから“本当たまらない”。イントロの1分13秒間だけで大満足なのだ!

 しかしイエロー・ジャケッツはさらにやってくれる。イントロ終わりから始まるラッセル・フェランテのリズミカルなコード押しからサビへの一気の盛り上がり。
 マーク・ルッソアドリブも,2分35秒からの,どう展開しようかと“手探り”での歌い出しに,いつも感情移入してしまう。

 それにしても【OZ】でのベース・ラインは最高である。ジミー・ハスリップのスゴテクの成せる技なのであろうが,それを際立たせる他の3人のコラボ。いやあ,イエロー・ジャケッツというバンドは“ただ者”ではない。

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イエロー・ジャケッツ / ポリティクス5

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 ウェザー・リポート亡き後,ジャズ界を強力に引っ張るコンボは未だ現われていない。
 PMGにしてもフォープレイにしても,発売と同時にマニアからも批評家からも絶賛,もしくはバッシングされるような“一目置かれる存在”までには達し得ていない。
 要はコマーシャルな部分とマニアックな部分が絶妙に同居したコンボ。多くのジャズメンが尊敬し目標とする存在であると同時に,一般大衆受けする“伝説のコンボ”。そのようなコンボは管理人にとって,ウェザー・リポートが最後なのである。

 そんな中,真のジャズ・コンボとして管理人がずっと期待しているのが“イエロー・ジャケッツ”である。
 イエロー・ジャケッツも,早いもので,もう結成20ウン年。現状は明らかに“期待外れ”ではあるのだが,いえいえ,管理人はまだあきらめきれていない。
 外野では「伸び悩み」「今一歩煮え切れていない」「売れ線に走った」等,イエロー・ジャケッツへの厳しい意見がささやかれていることは,十分承知している。
 しかし,他のジャズ批評家たちが何を言おうと,イエロー・ジャケッツは今でも管理人の心を揺さぶり続けている。イエロー・ジャケッツが姿勢においてジャズ・コンボであり続けようとする限り,真にクリエイトなジャズが今でも創造されているのだ。

 イエロー・ジャケッツにこれ程“入れ込む”ようになったきっかけが,名盤POLITICS』(以下『ポリティクス』)である。そう。言わずと知れたグラミー受賞作
 しかしイエロー・ジャケッツにとって『ポリティクス』は別の意味での金字塔。そう。『ポリティクス』は彼らが,ジャズへの転向を高らかに“宣言”したCDなのである。

 誰でも自分のそれまでのスタイルを変化させる際には,勇気や力がいる。踏ん切りがいる。女性の気持ちは良く分からないが,髪型一つ変えるだけでも大騒ぎである。
 それがある意味,今より人気がない方向への変化だとしたらどうか? “古い”とか“時代遅れ”とか,マイナスに語られることが多いスタイルに,あえてイメチェンするだろうか?
 イエロー・ジャケッツは正にそれをやってのけた。人気フュージョン・バンドからジャズ・コンボへの“華麗なる”転身である。この姿勢に管理人は,たまらなく,たまらなくグッときたのだ。

 今思えばちょうど失恋した直後のように,ウェザー・リポートを失い,傷心しきったハートのスキを,彼らがたまたま射止めただけだったのかもしれない。
 しかし仮にそうではあっても,その当時『ポリティクス』には何度も癒やされ,熱狂させられた。満たされない心を埋めてくれる,新たな恋人と出会った時の“トキメキ”があったのだ。

 ん? 仮になどは必要ない。歴としたグラミー受賞作なのだから…。とにもかくにも『ポリティクス』を聴いていただきたい。
 『ポリティクス』にはウェザー・リポート解散後失われていた“真にグレートな”ジャズ・コンボの音がある。この特有の緊張感は並のコンボでは表現不可能。現代では唯一,イエロー・ジャケッツでなければ“奏でられない音”なのだ。

 カムバック! イエロー・ジャケッツ! もうイメチェンなどしないでおくれ!

(1988年録音/25XD-1091)

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