アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:MALTA

MALTA / MALTA DE CHOPIN4

MALTA DE CHOPIN-1 2010年は「ショパン生誕200周年」。畑違いのジャズ界においても,たくさんの「ショパン・トリビュート」が発売された。

 なぜジャズメンがクラシックのショパンを? 実は2010年に限らず,ジャズメンには結構なショパン好きが多い! ジャズメンの“本能”として「ピアノの詩人」の書いた美しいメロディーに接すると,どうしても自分の味で料理したくなるものです!?
 特にさまざまな形式,美しい旋律,半音階的和声法などによってピアノの表現様式を切り開いてきたショパン。そんな斬新なショパンだからなのか,ジャズにアレンジしても見事に様になってしまう。繊細なピアノの曲がリズミカルになり,最後まで聞き入ってしまう…。

 ただし,これって楽しい作業になると分かってはいても,ジャズメンにとって「ショパン・トリビュート」を1枚のアルバムとして完成させるには相当な勇気が必要である。
 ある意味,世間に広く知られたショパンの名曲は“手垢にまみれた”ジャズスタンダードと同列であって,敷居が高い&難易度が高い。そのままやれば全然ジャズっぽくならないし,崩し過ぎると取り上げた意味がなくなってしまう。このアレンジのサジ加減がジャズメンにとって腕のみ・せ・ど・こ・ろ…。

 『MALTA DE CHOPIN』はMALTAによる「5曲のショパン集+6曲のオリジナル集」。聴き所は当然ながら前半の「ショパン・トリビュート」の方にある。

 【ワルツ第7番】は,原曲の忠実なコピーの展開から一転しての4ビート→ブルース→ワルツ→4ビート。いきなり「こう来たか!」で掴みはOK。
 【英雄ポロネーズ】は,アフロ系一発。メロディは完全にポロネーズだけど,聴き覚えのあるMALTA・サウンドに仕上がっている。
 【ノクターン OP.9−2】は,アップ・テンポのボサ・ノヴァ。誰でも知っているあのメロディーがボサ・ノヴァに違和感なく乗っかるのには驚いた。
 【別れの曲】は,8ビートのフュージョン・サウンド。メロディーを生かしてじっくりとアルトを歌い上げている。
 【子犬のワルツ】は,MALTAにしては貴重なテナー。メロディーのフェイクから“ショパンの”ピアノ・トリオを招き入れている。

MALTA DE CHOPIN-2 実に素晴らしい。『MALTA DE CHOPIN』は,ネタとしてのショパンはあっても,全体の印象は紛れもないMALTAジャズ! ショパンが躍動している! MALTAって本当に“筋金入りの”ジャズメンだったんだなあ。

 他人に自分の曲をいじられるのが好きではなかったと言われているショパン。でもショパンさん。『MALTA DE CHOPIN』はありでしょう?

     Chopin
  01. VALSE No.7, Op.64-2
  02. POLONAISE No.6, Op.53 "Heroique"
  03. NOCTURNE No.2, Op.9-2
  04. ETUDE, Op.10-3 "Chanson De L'adieu"
  05. VALSE No.6, Op.64-1 "Petit Chien"

     Malta
  06. Chopin's Dream
  07. Feels Good
  08. A Dream of Sishphos
  09. Windcherry
  10. Scoop You Up
  11. A Letter from September 2010

(ビクター/JVC 2010年発売/VICJ-61644)

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MALTA / マンハッタン・イン・ブルー4

MANHATTAN IN BLUE-1 『MANHATTAN IN BLUE』(以下『マンハッタン・イン・ブルー』)はMALTA初のド・ストレート・ジャズCD

 シダー・ウォルトンピアノピーター・ワシントンベースジミー・コブドラムという熟練のピアノ・トリオをバックに,ワン・ホーン編成でジャズメン=MALTAスタンダードを吹き上げる。しかし1…。

 管理人は長らくMALTAジャズ・ジャイアントたちとの共演を待ち望んでいた。“大物喰い”のMALTAの「化学反応→覚醒→大化け」を期待していた。しかし2…。

 『マンハッタン・イン・ブルー』は『マイ・バラッド』の続編のように聴こえる。ボサノヴァブルース・ナンバーも選曲されているが基本はスロー・バラード。どうにも『マイ・バラッド』の雰囲気然。
 こんな名手3人がバックを務めているのだから,ガンガンのスイング・ナンバーやギンギンな大人のセッション・バトルを繰り広げてくれたら良かったのに…。

MANHATTAN IN BLUE-2 『マンハッタン・イン・ブルー』は予想に反して平均点。MALTAはフォーマルなカルテットのフロントマン。このメンバーならこれ位は朝飯前。水準以上の名演であるが「想像通りの名演」の範疇ゆえ面白みに欠けている。(こんな名演にケチつけたくはないのだが)あと一捻り足りないんだよなぁ〜。

 管理人の結論。『マンハッタン・イン・ブルー批評
 『マンハッタン・イン・ブルー』は『マイ・バラッド』の「二番煎じ」にして『マイ・ソプラノ』に次ぐ「企画倒れ」盤である。
 せっかくのシダー・ウォルトンピアノ・トリオが勿体無〜い。

PS 管理人の『マンハッタン・イン・ブルー批評が辛口になった理由の背景に「XRCD24」の不発も影響している。個人的には「SACD」以上に応援している「XRCD24」をわざわざ購入したというのに…。どうした「世界のJVC」。もしや金欠で限界なのか? これはたぶん録音の問題。至急,ジャズ専門の録音エンジニアを養成すべし?

  01. I'M A FOOL TO WANT YOU
  02. CRY ME A RIVER
  03. I MISS YOU SO
  04. MANHATTAN IN BLUE
  05. I REMEMBER YOU
  06. BAY STREET BLUES
  07. GOD BLESS THE CHILD
  08. THE LOOK OF LOVE
  09. YOU'VE CHANGED
  10. I MISS YOU SO (alternate)

(ビクター/JVC 2004年発売/VICJ-61172)
(☆XRCD24盤仕様)

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MALTA / ハーフ・ムーン・ストリート5

HALF MOON STREET-1 『HALF MOON STREET』(以下『ハーフ・ムーン・ストリート』)がMALTAの「スーパー・ベスト」盤である。間違いない。

 『ハーフ・ムーン・ストリート』はMALTA“お得意の”企画ベスト盤。今回はMALTAの「20周年記念盤」として人気曲のサックス・パートを再録音。“今のMALTAの音”が堪能できる〜!

 T−スクェアセルフカヴァーでも『宝曲』は支持するが『夢曲』は支持できない管理人。まっ,王道企画の常套企画と言ってしまえばそれまでであるが『ハーフ・ムーン・ストリート』でのカラオケ・バックのサックス・パートの全面差し替え。この企画を考えた人は偉い! 今回の企画盤は大当たり!
 意識をMALTAアルト・サックスへ一点集中。これが楽しくて楽しくて…。
 
 ジャズメン=MALTAの本領発揮。MALTAアドリブがいい。オリジナルも好きなので甲乙付け難くどちらも好き。この楽しさは一夜限りのライブの楽しみ。今夜は(本作『ハーフ・ムーン・ストリート』では)どんなアドリブが飛び出すのか〜。

 今夜のライブは(本作『ハーフ・ムーン・ストリート』では)ゴキゲンで快調なアドリブの大連発! キレイ目からのハズシ,そしてキレイ目からの崩し。ツボを押さえたアドリブMALTA=超一流エンターテイナーの証しである。

 手癖のついた自作曲。ましてカラオケを聴きながらの吹き込みなのだからMALTA自身がインスパイアされることはない。でも十分に熱気が漲っている。

 …と偉そうに書いているが何のことはない。『ハーフ・ムーン・ストリート』は,管理人が10年振りに購入したMALTA作。そう。『マイ・ソプラノ』(正確には『コカージュ』でブチ切れて)以降,MALTAへの関心が薄れてしまっていた。
 これは意識的に離れてみても常に動向が気になるカシオペアの場合とは事情が異なる。MALTAの場合は本当に“プッツリと”縁が切れてしまった。嘘みたいにあっさりと,迷いなく,自然体で…。
 「熱が冷める」とは正にこのことであろう。正直,これ程の名盤を聴かされても管理人の「MALTA愛」は再燃しませんでした。

HALF MOON STREET-2 「MALTA愛」10年間のブランク。
 初めて聴いた4トラック【WINGS OF TOMORROW】【STREET BATTERY】【FELICIA】【HALF MOON STREET】の原曲も聴いてみたいなぁ。でもCD買う予定はないけれど〜。

  01. SHINY LADY (prologue)
  02. MANHATTAN IN BLUE
  03. MORNING FLIGHT
  04. HIGH PRESSURE
  05. OBSESSION
  06. SEXY GALAXY
  07. LOVERS
  08. WINGS OF TOMORROW
  09. STREET BATTERY
  10. SKY WALKER
  11. SHINY LADY
  12. SAPPHIRE
  13. DANCING MAKES YOU SMILE
  14. FELICIA
  15. HALF MOON STREET
  16. SWEET MAGIC (epilogue)

(ビクター/JVC 2003年発売/VICJ-61088)

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MALTA / マイ・ソプラノ3

MY SOPRANO-1 「エキサイティング&スウィート! ニュー・レコーディングとオルタネイト・テイクで綴るMALTA初のフル・ソプラノ・サックス・アルバム」。

 『MY SOPRANO』(以下『マイ・ソプラノ』)は,上記CD帯のコピー通り。これ以上でもこれ以下でもなく,事実としてMALTAソプラノ・サックスのみを演奏したフル・アルバム。「こんなん出来ました〜,皆さん,聞いてみてください」的な編集で,ソプラノ・サックスで感動を誘おう,など念頭にない模様。う〜む。

 『マイ・ソプラノ』は『マイ・バラッド』『マイ・ヒット・アンド・ラン』『マイ・フェイバリット〜枯葉』に続く『MY〜』シリーズの第4弾。
 上記CD帯のコピーとして「ニュー・レコーディングとオルタネイト・テイクで綴る」と書かれているが『マイ・ソプラノ』用の新録は全13トラック中5トラックにして実質4トラック。

 要は「四匹目?のドジョウ」を狙った企画盤なのだが,分かってはいても“MALTAソプラノ・サックス集”で括られたら触手が動いてしまう。「1度はフル・ソプラノ・サックス・アルバムを作って欲しい」。そう願うMALTAソプラノ・サックス・ファンも多かったのではなかろうか…。しかし…。

 『マイ・ソプラノ』は,ソプラノ・サックス特有の美しい音色への期待が大きかった分,平均点な新録が「総合評価・ガッカリ作」と相成った。
 過去の8トラックの演奏内容は理解できる。何と言ってもMALTAのメインはアルト・サックスであって,ソプラノ・サックスはアルバムの彩りを変える一服の清涼剤。しかし『マイ・ソプラノ』用の新録はメイン・ディッシュなのだから清涼剤効果を狙ってはいけない。なのになのに薄っぺらい。
 『マイ・ソプラノ』でのソプラノ・サックスケニー・Gを勝手に期待した管理人,あるいはまさかのジョン・コルトレーンウェイン・ショーターを勝手に期待した管理人が悪かった?

MY SOPRANO-2 『マイ・ソプラノ』でのMALTAは完全に過去追い人。過去の栄光はいい加減忘れて欲しい。それ位,絶頂期のMALTAはバブリーだったんだろうなぁ。

  01. BLU-RUN-RUN
  02. BARKS WORKS
  03. 3-2-1-0
  04. CANDLELIGHT
  05. OCEAN VIEW
  06. AMONG THE CLOUDS
  07. REFLECTIONS
  08. N.Y.SCANDAL
  09. IT'S COOL
  10. MANHATTAN IN BLUE II
  11. SECRET ISLAND
  12. DAYBREAK
  13. CANDLELIGHT II

(ビクター/JVC 1993年発売/VICJ-183)

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MALTA / コカージュ3

COCAGE-1 『COCAGE』(以下『コカージュ』)を聴いて,管理人とMALTAの蜜月関係が解消した。

 管理人がこれまでMALTAを支持してきた理由は,MALTAの熱い「ジャズメン魂」を感じていたからだ。しかしMALTAは『コカージュ』で「ジャズメン魂」を悪魔へと売り飛ばしてしまった。「ジャズメン魂」と引き換えに“売れ線”という媚薬を手に入れたのだ。

 『コカージュ』はMALTAの13枚目。『コカージュ』へと行き着くには行き着くなりの“それなり”の理由があった。
 まず大きいのはMALTAが“売れっ子の味”を覚えたことであろう。一度味わうと忘れられない麻薬のような快感。TVで冠番組を持ちCMで自身の曲がガンガン流れている。それがなくなると人間なら誰しも寂しく感じるものなのであろう。
 そして世界のジャズ・シーン。元来,ジャズはスラングである。そこにブランフォード・マルサリスマイルス・デイビスのヒップ・ポップ作が話題となった。「MALTAよ,お前もか…」。

 『コカージュ』の内容,それ自体は良いと思う。ラテン・ヒップ・ポップ・ベースの斬新な音造りは正に時代の最先端であった。
 【ソウル・プレイン】は往年のウキウキ・ソング。トロピカルな【ソンブリラ】。【ラヴァーズ】は名バラードだと思う。

COCAGE-2 では何がそんなに鼻につくのだろう。管理人が悔しいのはMALTAアルト・サックスを置いたことだ。
 【J & B】【オエ・コモ・ヴァ】【イフ・ユー・アスク・ミー・トゥ】【AIR】…。
 あれ程ワンマンにアルト・サックスを吹き鳴らしてきたMALTAアルト・サックスを“味付け”として使用していることだ。

 メインはラップ? シンセ? ラテンのリズム? それ位,アルト・サックスの陰が薄いのだ。そう。『コカージュ』でのMALTAは,アルト・サックス・プレイヤーではなくサウンド・クリエイター。
 コンポーザー,アレンジャー,プロデューサーとして奔走した挙句“自分本来の音”を失ってしまっている。「金に目がくらむ」とはこのことか…。

 すまん。MALTA。管理人は“ストイックにジャズと向き合う”昔の貴方が大好きでした。

  01. J & B
  02. OYE COMO VA
  03. IF YOU ASK ME TO
  04. SOUL PLANE
  05. LAS MUCHACHAS
  06. SOMBRILLA
  07. LOVERS
  08. TRUST (IN WHAT YOU FEEL INSIDE)
  09. COCAGE
  10. AIR II
  11. AIR V (BIG PACIFIC)
  12. BEST FRIENDS (LOVERS)

(ビクター/JVC 1992年発売/VICP-175)
(ライナーノーツ/河原英三)

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MALTA / エミッション4

EMISSION-1 『EMISSION』(以下『エミッション』)のMALTAが超カッコイイ。ビートの効いたダンス・チューンをハードボイルドに吹き上げる。ブイブイ・デュコフ〜。あ〜カッコイイ。
 『エミッション』にMALTAの新境地を感じたものだった。

 大好きな『サファイア』の続編を期待して聴き始めた『エミッション』。予想外の展開に面喰ったはずなのに,自分でも不思議なことに“ニンマリ”であった。
 MALTAに「ゴリゴリでブリブリなメタルのアルバム」をいつか制作してほしいと期待していたからであった。しかしそれがこのタイミングで…。『サファイア』の次に持ってくるとは…。
 これでいい! 『マイ・ヒット・アンド・ラン』『サファイア』で“絶好調男”MALTAが『エミッション』で一気に勝負をかけてきた!

 MALTAの全ディスコグラフィの中で『エミッション』は“孤高の存在”である。『エミッション』は,アルバム全体の構成なども全て無視した,とにかく勢い重視,やりたいことをやりたいメンバーを集めて吹き込んだ「熱いセッション集」である。
 ゆえに「羊の皮をかぶった狼」MALTAの本領発揮。暴れん坊の本性が剥き出しである。トータル・サウンドを無視して,これ程サックスを吹き鳴らすMALTAは他のどこにもいないと思う。

 常日頃はバックと調和することを第一としてきたMALTAがバックと戦っている。「俺が王様だ。文句あるのか〜」と言わんばかりの「ハードボイルド・サックス」である。
 『エミッション』はJVCの超豪華なゲスト・プレイヤー参加CDであるが,小曽根真も,佐山雅弘も,村上“PONTA”秀一も,高水健司も,岡沢章も,渡嘉敷佑一も,岩見和彦も,MALTAの勢いに“ブッ飛ばされている”。

( ここで種明かしを。『エミッション批評のイメージは『エミッション』のジャケット写真に秘密があります。下から上から斜めから正面から捉えられた“燃える赤色サックス”がスロー・シャッターで揺れているのです。メラメラ〜。
 そして1曲目の【SKY WALKER】というタイトルが,ルーク・スカイウォーカーを連想させ,ルーク・スカイウォーカーが大好きなドンドン・パチパチ「スター・ ウォーズ」を連想させるのです。)

EMISSION-2 …そういうわけで…。管理人の結論。『エミッション批評

 『エミッション』は,ノープランな“トンガリ系”セッション音源と納得のスタジオ・ワークが“売り”な名盤である。やはりアルバムはジャケット写真も含めた“アート”であってほしいと強く思う。
 称賛すべきは熟考されたであろう曲順の妙。ポップなアップ・チューンの前半と中だるみ防止のバラエティに富んだ中盤。そして最後にトドメの【DAYBREAK】。
 管理人は【DAYBREAK】の“祭りの後の静けさ”を味わうためだけに『エミッション』を聴くことがあります。哀愁の快感。それが『エミッション』に課されたエミッションだったのです!?

  01. SKY WALKER
  02. EMISSION
  03. METEOR SHOWER
  04. MYSTIC SEA
  05. FUTURE TRIP
  06. B-DORO
  07. PRELUDE IN SUMMER
  08. AEOLIAN BLUE
  09. DREAM
  10. DAYBREAK

(ビクター/JVC 1990年発売/VICJ-23)

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MALTA / サファイア5

S・A・P・P・H・I・R・E-1 『S・A・P・P・H・I・R・E』(以下『サファイア』)こそがMALTAの“最高傑作”である。

 なぜなら『サファイア』には,MALTAの中の2人のMALTA,つまり『MALTA』〜『スウィート・マジック』〜『サマー・ドリーミン』のジャズサックス期のMALTAと『スパークリング』〜『ハイ・プレッシャー』〜『オブセッション』のフュージョンサックス期の2人のMALTAが4:6で登場している(4:6の割合なのが実にMALTAらしいのだ!)。

 そう。『サファイア』は,デビュー以来のMALTA自身による総括盤。『マイ・ヒット・アンド・ラン』で頂点を究めたMALTAが『マイ・バラッド』への回帰を思わせてくれる。

 このブレンド作業で産み落とされた3大ミディアム名曲=【サファイア】【シー・ウィンド】【フェイス・トゥ・フェイス】の存在に,管理人の持論=「ジャズフュージョンはミディアムが一番」を再確認できる。

S・A・P・P・H・I・R・E-2 『サファイア』から流れ出す,クールでホットな奥深さを伴う爽やかな風。これがMALTAの音楽である。

  01. SAPPHIRE
  02. LIPSTICK
  03. MOONLIGHT SAILING
  04. SEA WIND
  05. SILKY RAIN
  06. OCEAN VIEW
  07. FACE TO FACE
  08. IT'S COOL
  09. HIBISCUS
  10. LOVER COME BACK TO ME
  11. FIREBIRD
  12. FACE TO FACE II

(ビクター/JVC 1989年発売/VDJ-1205)

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MALTA / マイ・ヒット・アンド・ラン5

MY HIT & RUN-1 MALTAの2枚のベスト“企画”CDMY BALLADS』と『MY HIT & RUN』(以下『マイ・ヒット・アンド・ラン』)。

 同じベスト“企画”CDにして両者の性格はまるで異なっている。ジャズ・サックスの『マイ・バラッド』とフュージョン・サックスの『マイ・ヒット・アンド・ラン』。マイナー&バラードの『マイ・バラッド』とメジャー&GO!GO!な『マイ・ヒット・アンド・ラン』…。

 しかし一番の違いは既存音源集の『マイ・バラッド』と全曲新録音の『マイ・ヒット・アンド・ラン』。しかも『マイ・ヒット・アンド・ラン』は,MALTA特有の明るいノリと抜群のテクニックが堪能できるライブ仕立て。これでバック・メンバーが『ハイ・プレッシャー』か『オブセッション』のレコーディング・メンバーなら最高だけど,ここは急造ではかなわない“阿吽の呼吸”のレギュラー・バンド「MALTA AND HIT & RUN」のコンビネーションを優先したという解釈で…。

 そう。『マイ・ヒット・アンド・ラン』は(【シャイニー・レイディ】【イーブニング・カーム】が入れば完璧だったが)バランス重視の選曲も含めて“考え得る最高条件の”MALTAの音楽人生における「ベスト・オブ・ベスト」盤。( 同企画の変化形『ハーフ・ムーン・ストリート』が「スーパー・ベスト」盤です )

 『マイ・ヒット・アンド・ラン』=「ベスト・オブ・ベスト」盤の元ネタはカシオペアの最高峰『MINT JAMS』。合言葉は「最高のライブ演奏を緻密なスタジオ・ワークで」である。
 ただし『マイ・ヒット・アンド・ラン』のライブ録音は「観客の熱狂的な拍手喝さい」部分のみ。演奏は全てスタジオ差し替え。これはMALTAが悪いのではなくカシオペアが凄すぎたのだ〜。

 そんなこんなで「観客の熱狂的な拍手喝さい」は「セラビーの熱狂的な拍手喝さい」。
 一般的には『マイ・ヒット・アンド・ラン』の聴き所は【ハイ・プレッシャー】〜【スクランブル・アベニュー】〜【ズーム】〜【オブセッション】のキャビンCM4連投だと思うが,管理人が選ぶ『マイ・ヒット・アンド・ラン』のハイライトは,キャビンCM4連投続く5連投目の【モーニング・フライト】!

 【モーニング・フライト】のシンセベースの上を“歌いまくる”MALTAアルトは感動もの! マジで涙がこぼれ落ちます。「どうもありがとう!」のMALTAのMCも涙声に聞こえてしまいます。入り込みすぎて困っちゃうのです。絶賛の嵐&嵐。

MY HIT & RUN-2 …と太鼓を打ち鳴らしたところで…。ここで管理人からMALTA様へお願いがあります。それは【ズーム】に関して。【ズーム】をこのまま眠らせないでほしいのです。

 【ハイ・プレッシャー】【スクランブル・アベニュー】【オブセッション】は今回が2回目の録音です。新曲2曲のうち【ダンシング・メイクス・ユー・スマイル】も『ハーフ・ムーン・ストリート』で再録されました。なのになぜ名曲【ズーム】が【ズーム】だけが…。

 いいや,これではお願い事のスケールが小さすぎる〜。ここは是非是非MALTA大明神様。『大宇宙無限力神』は浪花エキスプレス
 「LIVE APPLAUSE RECORDING」には必ず参戦いたしますので『マイ・ヒット・アンド・ラン 2』の発売を〜。大宇宙無限力神にお参りはしないけど〜。

PS ナニワ・エキスプレスつながりでの追記。『マイ・ヒット・アンド・ラン』を聴くとMALTA岩見和彦を引き抜いた理由がよく分かります。

  01. DANCING MAKES YOU SMILE
  02. SEA EXPRESS II
  03. LUCKY SEVEN II
  04. SWEET MAGIC II
  05. SEXY GALAXY II
  06. MANHATTAN IN BLUE II
  07. HIGH PRESSURE II
  08. SCRAMBLE AVENUE II
  09. ZOOM
  10. OBSESSION II
  11. MORINIG FLIGHT II
  12. SUMMER DREAMIN' III

(ビクター/JVC 1988年発売/VDJ-1176)

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MALTA / オブセッション5

OBSESSION-1 『ハイ・プレッシャー』で渡辺貞夫になったMALTAが『OBSESSION』(以下『オブセッション』)でデヴィッド・サンボーンになった。

 『オブセッション』も『ハイ・プレッシャー』に続くLA録音。メンバーは前回にもまして超豪華。キーボードドン・グルーシンギターマイケル・ランドウベースティム・ランダースドラムハービー・メイソンシンセサイザーラリー・ウイリアムスの「鉄壁セクステット」。

 今回の『オブセッションセッションには『ハイ・プレッシャー』のセッションにはなかった,何かが生まれている。思うにメンバーのMALTAへの熱い期待のような何かが…。
 それを管理人は“追撃”デヴィッド・サンボーンと呼んでいる。MALTAデヴィッド・サンボーンを重ね合わせている。いいや,メンバー全員,MALTAの演奏に目を丸くして自然と“サンボーン超え”を期待していたのだった。

 ちょうど『オブセッション』の発売直後にリリースされたデヴィッド・サンボーンの『クローズ・アップ』。管理人はこの年(1988年),チック・コリアの『アイ・オブ・ザ・ビホルダー』を加えたこの3枚を中心にヘビロしていた。
 エレクトリック・バンドのサウンドは独特だったがエレクトリック・バンドにもエリック・マリエンサルという名手がいる。必然的にMALTAデヴィッド・サンボーンエリック・マリエンサルアルト奏者3人を聴き比べる毎日が訪れる。
 うん。MALTAは凄い。MALTAは世界のビッグ・ネームだ。デヴィッド・サンボーンエリック・マリエンサルと完全に肩を並べた。そう思っていたものだ。

 この時の強烈なイメージが管理人をMALTAの追っかけへと突き動かす。MALTAが売れ線をあくまで追いかけラップに走る前までは…。
 だから管理人にとってMALTAと言えば,後の『マイ・ヒット・アンド・ラン』や『サファイア』といった名盤ではなく『オブセッション』なのである。ついでに言えばMALTA=バブリーな香りも連想する(この話はおいおいと)。

 ところで,多分その随分前から変化していたのであろうけど『オブセッション』と『クローズ・アップ』を交互に聴き込んでいるうちにMALTAの音色の変化,もっと言えば吹き方の変化を感じるようになった。MALTAサンボーンに思える瞬間があった。

 やっぱり…。原因はデュコフであった。ギラギラのメタル・マウスピース。犯人はキャビンのCMしてやったり〜。
 バブルがMALTAサンボーンを求め,バブルがMALTAスクェアを求めてのマウスピースの変更であろうが,フレージングがフュージョンしている。例の『ハイ・プレッシャー』で“引きずっていた”MALTAの「ジャズへの迷い」が払拭されている。
 そう。間接的な原因はデュコフにあるが直接的な原因はMALTA自身の“追撃”デヴィッド・サンボーン。硬質な音色に本気で世界を獲りに行く強い決意が込められている。

OBSESSION-2 そんな思い入れたっぷりの『オブセッション』のプチ・トラック批評

 【センチメンタル・モーニング】の何ともセンチメンタル・モーニングドン・グルーシンキーボード。甘いバラードが1曲目ですか? おお〜。
 続く“鬼ナンバー”問答無用の【オブセッション】は【スラム】級のハードボイルド。ハイライトはマイケル・ランドウギター・ソロである。このギター・ソロばかりをリピートしていたものである。

 【ソー・ファー・アウェイ】の対抗馬に挙げたい【ルッキング・フォー・ユー】の存在が後の【フェイス・トゥ・フェイス】へつながったと思う。【ルッキング・フォー・ユー】〜【ラッキー・セブン】〜【リフレクションズ】の軽快な流れはソプラノサックス投入の妙。デヴィッド・サンボーンの個性とは間逆寄りなのが興味深い。

 個人的に『オブセッション』のNO.1は,恐らく他のMALTA・ファンは誰も挙げないであろう【ノット・イエット】。あのコーラスでのリフレインがどうにもこうにも耳に残る。【オブセッション】【リフレクションズ】【星に願いを】の3大メジャーを葬り去る。気が狂うほどに好きなリフレインに星5つ。

 だから管理人は【ノット・イエット】が好き→AKBの派生ユニット「NOT YET」が好き→大島優子が好きなのだ。ちゃんちゃん。

  01. SENTIMENTAL MORNING
  02. OBSESSION
  03. 101 FREEWAY
  04. STEP CLOSER
  05. LOOKING FOR YOU
  06. LUCKY SEVEN
  07. REFLECTIONS
  08. WHEN YOU WISH UPON A STAR
  09. TIME AND TIDE
  10. NOT YET
  11. SWEET DREAMS

(ビクター/JVC 1988年発売/VDJ-1139)

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MALTA / ハイ・プレッシャー4

HIGH PRESSURE-1 MALTAが『HIGH PRESSURE』(以下『ハイ・プレッシャー』)で渡辺貞夫になった。
 どうですか! この豪華メンバー! キーボードドン・グルーシンギターダン・ハフオスカー・カストロ・ネヴィスベースネイサン・イーストドラムヴィニー・カリウタパーカッションポリーニョ・ダ・コスタの「鉄壁セクステット」。そこへブラスストリングスまで加わっている。

 これぞ渡辺貞夫級のVIP待遇。MALTAもついに“世界のジャズメン”の仲間入り〜。
 この論理の誤りに気づくまではそう思っていた。MALTAがヒップ・ポップに手を染め,一度手に入れた売れ線路線にしがみつく姿を目にするまではそう思っていた。MALTA渡辺貞夫とは別人であった。
 そう。MALTAは“世界のフュージョンサックス・プレイヤー”であって“世界のジャズサックス・プレイヤー”ではない。
 『ハイ・プレッシャー』でのVIP待遇を受け,自らの意志で「ジャズ道を踏み外した」感ありあり。

 『ハイ・プレッシャー』は“激売れ”MALTAの第1作。後のメインMC=MALTAの「ヤングスタジオ101」「MALTAでNIGHT」へとつながる軽快フュージョンサックスの王道。正直,あの時代のMALTAの勢いはカシオペアスクェアの両雄をも上回った瞬間があった。
 ただしキラー・チューンは【ハイ・プレッシャー】1トラックのみ。MALTAの勢いが「瞬間最大風速」で終わってしまった敗因は“盛りに盛った”フュージョンサックスへの“躊躇”にある。

 これまで一途に王道ジャズを追求してきたMALTAへ差し伸べられたスター街道。この道を歩めばフュージョン・スターの座は約束されるが,もうジャズへは戻れない(ジャズは出戻りに意外に厳しい世界なのです)。他のジャズメンからは見くびられ相手にされなくなる。フュージョンの“色”がついてしまう。本当に自分の好きなことをやって飯を食っていくのは難しいのです。

 MALTAは決断した。フュージョン・スターになる道を…。
 日本中のお茶の間へと流されるキャビン・レーシング・チームの松本恵二と星野一義のスリリングな走り。それを音で表現したMALTAの【ハイ・プレッシャー】。
 いかにもな時代である。F−1スクェア,それゆえキャビンとMALTAだったのだろう。

 MALTAの躍動感あるアルトサックスが素晴らしい。本当に上手い。ビクターナベサダ級のVIP待遇を用意するにふさわしい大実力者!
 でもでも迷いが残っている。これまで大切にしてきた誇りを失うことへの勇気と恐れ。どんなに都会的でスピード感あふれるクールなサックスを吹こうともスローなバラードではジャズメンとしての“地”が出ちゃっている。
 そう。MALTAは『ハイ・プレッシャー』で,世界の一流ジャズメンと共演していたのではない。自分の中のもう一人の自分=ジャズメン=MALTAと共演していたのだ。

HIGH PRESSURE-2 『ハイ・プレッシャー』はフュージョンの【ハイ・プレッシャー】1曲とジャズへの未練の照れ隠しとして異様に“盛った”フュージョン10曲の混合物。虚勢を張っては揺り動く“世界のフュージョンサックス・プレイヤー”としての名盤である。

 その後,MALTAは,次作『マイ・バラッド』でジャズへの思いを断ち切って『オブセッション』『マイ・ヒット・アンド・ラン』『サファイア』での頂点を迎えていく。大切な何かを失いながら…。

 MALTAのファンの間では,MALTAフュージョンサックスへの転向時期=前作『スパークリング』を挙げる人が多数である。確かに【スクランブル・アヴェニュー】は王道フュージョンそのものであろう。
 しかし『スパークリング』の基本はジャズサックス。共演者もあくまでジャズ畑の面々。MALTAが決して手放そうとしなかった仲間たちとの最後の青春セッション

 そう。全ては『ハイ・プレッシャー』での“欲しがり”MALTAが原点なのである。

  01. High Pressure
  02. Touch
  03. The Only Name Missing is…
  04. Exotic Bird
  05. Over Night Trip
  06. Secret Island
  07. My Summer Love
  08. Feel The Heat
  09. Splashing Angel
  10. Stranger in Paradise
  11. Quiet Stars

(ビクター/JVC 1987年発売/VDJ-1084)

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MALTA / マイ・バラッド / COOL SHADOW4

 『MY BALLADS』の6曲目は【COOL SHADOW】(以下【クール・シャドウ】)。


 管理人が【クール・シャドウ】を聴く時は,いつでもバックに耳ダンボ! どうですかっ,佐山雅弘森園勝敏渡辺建木村万作による鉄壁の布陣! これで中村哲MALTAに,布川俊樹が“師匠”和田アキラに代わるなら,最強フュージョン・バンド=プリズムの大完成である。

 イントロでの森園勝敏ギターがめっちゃクール! そう。【クール・シャドウ】は,MALTAによる,プリズムの【モーニング・ライト】である。
 プリズム・ファンの読者の皆さん,そう思って聴くと確実にハマリますよっ。

MALTA : Alto Sax
MASAHIRO SAYAMA : Acoustic Piano Solo, Synthesizers
KATSUTOSHI MORIZONO : Electric Guitar
TOSHIKI NUNOKAWA : Electric Guitar
KEN WATANABE : Electric Bass
MANSAKU KIMURA : Drums

MALTA / マイ・バラッド / SECRET ISLAND4

 『MY BALLADS』の5曲目は【SECRET ISLAND】(以下【シークレット・アイランド】)。


 【シークレット・アイランド】におけるMALTAの存在感は薄い。ソプラノ・サックスを吹いているせいなのか,ストリングスの“リード・ソプラノ奏者”的な演奏である。

 【シークレット・アイランド】の聴き所は,ドン・グルーシン! 3人の名手=ネイサン・イーストベースヴィニー・カリウタドラムポリーニョ・ダ・コスタパーカッションをバランス良く配置し,シンセが映える“ドン・ワールド”を構築している。

 しかし,いつ聞いてもドン・グルーシンシンセは“アコースティック・タッチ”である。オスカー・カストロ・ネヴィスとの相性は,同じギターダン・ハフ以上! とにもかくにも管理人には【シークレット・アイランド】のキーボード・プレイヤーはドン・グルーシン以外に考えられません。素晴らしい。

MALTA : Soprano Sax
DON GRUSIN : Synthesizers
DANN HUFF : Electric Guitar
NATHAN EAST : Electric Bass
VINCE COLAIUTA : Drums
PAULINHO DA COSTA : Percussion
OSCAR CASTRO NEVES : Acoustic Guitar Solo
Strings Section/Concert Master : GERRY VINCI

MALTA / マイ・バラッド / SUNSET IN MY HEART3

 『MY BALLADS』の4曲目は【SUNSET IN MY HEART】(以下【サンセット・イン・マイ・ハート】)。


 【サンセット・イン・マイ・ハート】は,ジャズサックス・プレイヤー=MALTAを聴くというよりは,キューピット・ストリングスに混ざった“オーケストレーション”が聴き所!
 そう。構図としては「MALTA WITH STRINGS」! MALTAの“リード”ソプラノ・サックスが,オーケストラをバックに「フィーチャリング」された感じで“重量級”であるはずのツイン・ギターツイン・キーボードも全く目立っていない。

 【サンセット・イン・マイ・ハート】での,MALTAソプラノ・サックスは無機質&無表情。“麗しの音色”が鳴り響くが,情感不足で“入り込めない”のが残念である。
 あのデイブ・グルーシンが“惚れ込んだ”総指揮者=篠崎正嗣が大活躍! シンセサイザーなど不要な“艶やかな”アレンジ! 今回の共演で,きっとMALTAも“落とされた”に違いない?

 2分22秒からの益田幹夫ピアノ・ソロをバックから刺激するストリングスは,急激に荒れ狂う浜辺の海風! サマー・レインが降っている!
 
MALTA : Soprano Sax
KATSUTOSHI MORIZONO : Electric Guitar
KIYOTSUGU AMANO : Electric Guitar
YOSHINORI KAKETA : Acoustic Piano
MIKIO MASUDA : Acoustic Piano Solo
KAZUO KIMURA : Electric Bass
TOMIHIRO MAEDA : Drums
TADAOMI ANAI : Percussion
Cupid Strings/Concert Master : MASATSUGU SHINOZAKI

MALTA / マイ・バラッド / MANHATTAN IN BLUE4

 『MY BALLADS』の7曲目は【MANHATTAN IN BLUE】(以下【マンハッタン・イン・ブルー】)。


 J−フュージョン・ファンに「マンハッタン」と問うならば,カシオペアの【ミッド・マンハッタン】か,こちらMALTAの【マンハッタン・イン・ブルー】を連想する。
 ただしこの2トラックの肌触りは対照的! 【ミッド・マンハッタン】が“ネオン・ギラギラ”の高層ビル街,つまり活動的な“陽”をイメージさせるのに対し【マンハッタン・イン・ブルー】は,もっとダークな“陰”夜更けの夜霧のマンハッタンを思わせる。(← 管理人の場合)

 このダークな雰囲気は,MALTA自身の「マンハッタン」への思い入れであろう。MALTAは「マンハッタン」を“ブルー”な街だと感じていた。“ブルー”な空気を吸っていた。幾つもの悲しみが交差する街…。
 しかし一方で,かけがえのない街,唯一無二の大切な街でもある。ジャズの本場であり,MALTA自身の青春の街=9年間演奏活動を続け,ビッグへと登りつめた街なのである。
 だから深い。マイナー調の大連発! 41秒から45秒での落ち方といい,3分39秒から43秒の“腹から出たうめき声”といい,時に“しみじみと”語るアルト・サックスである。

 加えて,これは偶然?必然? 現在,日本有数のサポート・バンド『WHAT IS HIP?』として活動中の全4人が揃った,真の名サポートも光っている。

MALTA : Alto Sax
TSUNEHIDE MATSUKI : Electric Guitar
SOICHI NORIKI : Electric Piano
AKIRA OKAZAWA : Electric Bass
YUICHI TOGASHIKI : Drums
Cupid Strings/Concert Master : MASATSUGU SHINOZAKI

MALTA / マイ・バラッド / ALWAYS YOU3

 『MY BALLADS』の3曲目は【ALWAYS YOU】(以下【オールウェイズ・ユー】)。


 【オールウェイズ・ユー】の曲想は,一昔前の歌謡ロック! 加えて,全編で何度も登場するキーボードエレキ・ギターの泣きっぷりが,いかにも日本的なビッグ・バンド風? キーボード奏者が3人にツイン・ギターと来れば,メロディ偏重の歌謡曲路線は決定的? このアレンジで本当に良いのだろうか?

 そんな逆境を跳ね飛ばすべく? MALTAアルト・サックスソプラノ・サックスのごとく鳴らし続ける。
 そう。このトラックを最初に聴いた時,ソプラノ・サックスを吹いているのかと思った。それ位,高域連発のアルト・サックスの音色が“ずば抜けて”美しい。
 しかし残念ながら,聴き所はこの美しい音色だけだ。MALTAのフレージングも“クール”寄りで,結果,ビッグ・バンドのリード・アルトソプラノ)奏者の域に成り下がってしまっている。
 そう。曲想とバックに呑み込まれた,没個性…。

 これは狙い? “絶品の音色”であるだけに,ライオネル・ハンプトン楽団のリード・アルトコンサートマスター時代の“クセ”が抜けていないだけだとしたら,誠にガッカリである。

MALTA : Alto Sax
KATSUTOSHI MORIZONO : Electric Guitar Solo
KIYOTSUGU AMANO : Electric Guitar
YOSHINORI KAKETA : Fender Rhodes
YOSHIKAZU MATSUURA : Synthesizers
KAZUO KIMURA : Electric Bass
TOMIHIRO MAEDA : Drums
TADAOMI ANAI : Percussion

MALTA / マイ・バラッド / THE ONLY NAME MISSING IS…4

 『MY BALLADS』の2曲目は【THE ONLY NAME MISSING IS…】(以下【ジ・オンリー・ネーム・ミッシング・イズ…】)。


 【ジ・オンリー・ネーム・ミッシング・イズ…】は,バラードの“定番”要素満載!
 まずはこのメロディ! MALTAの“バラード愛”が溢れている。この“耽美な”世界観は,MALTAアルト・サックスストリングスの組み合わせゆえ描ききることができた,と言っても過言ではない。

 続いてこのメンバーが凄い! ビクター系列の“ザ・フュージョン・オールスターズ”!
 もうこのメンバーの名前だけを見ると,どんなバラードに仕上がったかは想像できるはず。ゆったりと流れるMALTA“自慢の音色”に,名手たちが音を重ねている。各楽器のバランスがいい具合に仕上がっている。
 1分52秒からのドン・グルーシンピアノ・ソロ,2分38秒からのダン・ハフギター・ソロでは,二人の持ち味を生かした,これぞバラードのソロ,と呼ぶにふさわしい一級品のアドリブを堪能できる。

 ただし,頭で想像できる音とのギャップに大差なく,インパクトは少々弱め。万年“優勝候補”的なトラック。

MALTA : Alto Sax
DON GRUSIN : Acoustic Piano Solo, Synthesizers
DANN HUFF : Electric Guitar, Acoustic Guitar Solo
NATHAN EAST : Electric Bass
VINCE COLAIUTA : Drums
PAULINHO DA COSTA : Percussion
Strings Section/Concert Master : GERRY VINCI

MALTA / マイ・バラッド / EVENING CALM5

 『MY BALLADS』の1曲目は【EVENING CALM】(以下【イーブニング・カーム】)。


 【イーブニング・カーム】はメチャ・スイートの大甘。メロウでロマンティック。“恋する自分”に酔いたい時の1曲である。曲名に完全に影響されてしまったが,夕陽のさざ波=イメージ通り。

 MALTAアルト・サックスが切々と“お涙頂戴”で語りかけてくる。このアルトのトーンで迫られたら,落ちない女も落ちてしまう。みんなMALTAにやられてしまう。耳元でささやかれる感じがくすぐったい。
 絶賛すべきはクドキ口調のサックスの“間”。この間の取り方がグレートなジャズである。
 MALTAの実に伸びやかで綺麗な音色を引き立てる,崩しめのメロディ・ラインも「基本に忠実」というポリシーを守った一流のアドリブに仕立てられている。特に1分36秒から42秒のフレーズは“バラードの王道”である。

 加えて,この大甘に輪をかける,深町純シンセ&キューピット・ストリングス。このアレンジがなければドラマは生まれなかった。完結しなかった。
 深町純の“誘い水”につられたストリングスが,MALTAの“おいしい”フレーズのバックに割って入ってくるのだが,その登場の仕方が自然で心地いい。やはりワン・ホーンストリングスの相性は抜群なのであ〜る。

 1分52秒からの野力奏一エレピも【イーブニング・カーム】に“大人のムーディーな恋”の印象を付与する魔法のスパイス。いやぁ,名演である。

MALTA : Alto Sax
SOICHI NORIKI : Electric Piano
JUN FUKAMACHI : Synthesizers
MASAKI MATSUBARA : Electric Guitar
AKIRA OKAZAWA : Electric Bass
YUICHI TOGASHIKI : Drums
ERIC GALE : Electric Guitar solo
Cupid Strings/Concert Master : MASATSUGU SHINOZAKI

MALTA / マイ・バラッド4

MY BALLADS-1 その昔「私,脱いだらすごいんです」というCMがあった。どんなCMだったかは置いといて,当時,この一世を風靡したキャッチ・コピーを聴くたびに,MALTAのことを連想したことを覚えている。
 そう。MALTAは「日産・スカイラインGT」! おっとっと。話が飛びすぎた。

 改めて…。MALTAは「羊の皮をかぶった狼」である! 外見はおとなしそうに見えるが,中身はどうして…。一皮剥けば暴れん坊の本性が…。
 ウソだと思われるのなら,黙って『MY BALLADS』(以下『マイ・バラッド』)を聴いてほしい。管理人の言わんとすることが,多少なりとも伝わることと思う。

 『マイ・バラッド』はMALTAベストバラード集。ゆえに「静かな」アルバムである。しかし一音一音の噛みしめ方は「熱い」。ジャズ・バラードに対する「熱烈ラブ・コール」以外の何物でもない。
 そう。MALTAの中には,フュージョンではなくジャズの“熱き血潮”が流れている。沸き立っている。
 『マイ・バラッド』からは「俺はフュージョンをやりたいんじゃない。本当は“コテコテの”ジャズをやりたいんだ〜」という叫び声が聞こえてくるのだ。

 さらに深読み(空想)してみると,MALTAにとってのフュージョンとは“人気に火がつくまで”の一過性のアプローチだったのではないか? 人気がでたらキッパリと4ビート・ジャズに転向する。そんなシナリオだったのではないか?
 しかし余りにも人気が出過ぎてしまって,レコード会社や時代の要請が相まって,とオトナの事情で…。
 まぁ,キャッチーな曲を書くことに秀でたMALTAのことだから,どこまで当たっているかは定かでない。実は“根っからの”フュージョン好きだったりして?

 しかしこれだけは言える。MALTAのルーツは100%ジャズ! なんたって,あの超名門ライオネル・ハンプトン楽団のリード・アルトコンサートマスターだったのだから…。

MY BALLADS-2 『マイ・バラッド』は,フュージョンMALTAが当時のイメージ・ギリギリまでジャズに寄ったベストバラード集。ストリングス・アレンジがもろフュージョンなのはご愛敬?

 そう。『マイ・バラッド』は,J−フュージョンのスーパー・スター=MALTAジャズメンとしての“化けの皮が剥がれた”素敵な一枚。
 MALTAは「羊の皮をかぶった狼」→「フュージョン・スターの仮面をかぶったジャズ野郎」なのである。

  01. EVENING CALM
  02. THE ONLY NAME MISSING IS…
  03. ALWAYS YOU
  04. SUNSET IN MY HEART
  05. SECRET ISLAND
  06. COOL SHADOW
  07. MANHATTAN IN BLUE
  08. A LETTER FROM SEPTEMBER
  09. SUNSHINE STREET
  10. MOON FLOWER
  11. OCEAN SIDE
  12. AUTUMN PLACE
  13. STARDUST
  14. BE MINE

(ビクター/JVC 1987年発売/VDJ-1115)

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