CD批評:MALTA

2008年04月23日

MALTA / マイ・バラッド / SECRET ISLAND4


 『MY BALLADS』の5曲目は【SECRET ISLAND】(以下【シークレット・アイランド】)。


 【シークレット・アイランド】におけるMALTAの存在感は薄い。ソプラノ・サックスを吹いているせいなのか,ストリングスの“リード・ソプラノ奏者”的な演奏である。

 【シークレット・アイランド】の聴き所は,ドン・グルーシン! 3人の名手=ネイサン・イーストベースヴィニー・カリウタドラムスポリーニョ・ダ・コスタパーカッションをバランス良く配置し,シンセが映える“ドン・ワールド”を構築している。

 しかし,いつ聞いてもドン・グルーシンシンセは“アコースティック・タッチ”である。オスカー・カストロ・ネヴィスとの相性は,同じギターダン・ハフ以上! とにもかくにも管理人には【シークレット・アイランド】のキーボード・プレイヤーはドン・グルーシン以外に考えられません。素晴らしい。
 
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MALTA : Soprano Sax
DON GRUSIN : Synthesizers
DANN HUFF : Electric Guitar
NATHAN EAST : Electric Bass
VINCE COLAIUTA : Drums
PAULINHO DA COSTA : Percussion
OSCAR CASTRO NEVES : Acoustic Guitar Solo
Strings Section/Concert Master : GERRY VINCI


2007年11月21日

MALTA / マイ・バラッド / SUNSET IN MY HEART3

アナログレコード

 『MY BALLADS』の4曲目は【SUNSET IN MY HEART】(以下【サンセット・イン・マイ・ハート】)。


 【サンセット・イン・マイ・ハート】は,ジャズ・サックス・プレイヤー=MALTAを聴くというよりは,キューピット・ストリングスに混ざった“オーケストレーション”が聴き所!
 そう。構図としては「MALTA WITH STRINGS」! MALTAの“リード”ソプラノ・サックスが,オーケストラをバックに「フューチャリング」された感じで“重量級”であるはずのツイン・ギターツイン・キーボードも全く目立っていない。

 【サンセット・イン・マイ・ハート】での,MALTAソプラノ・サックスは無機質&無表情。“麗しの音色”が鳴り響くが,情感不足で“入り込めない”のが残念である。
 あのデイブ・グルーシンが“惚れ込んだ”総指揮者=篠崎正嗣が大活躍! シンセサイザーなど不要な“艶やかな”アレンジ! 今回の共演で,きっとMALTAも“落とされた”に違いない?

 2分22秒からの益田幹夫ピアノ・ソロをバックから刺激するストリングスは,急激に荒れ狂う浜辺の海風! サマー・レインが降っている!
 
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MALTA : Soprano Sax
KATSUTOSHI MORIZONO : Electric Guitar
KIYOTSUGU AMANO : Electric Guitar
YOSHINORI KAKETA : Acoustic Piano
MIKIO MASUDA : Acoustic Piano Solo
KAZUO KIMURA : Electric Bass
TOMIHIRO MAEDA : Drums
TADAOMI ANAI : Percussion
Cupid Strings/Concert Master : MASATSUGU SHINOZAKI

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2007年06月10日

MALTA / マイ・バラッド / MANHATTAN IN BLUE4

アナログレコード

 『MY BALLADS』の7曲目は【MANHATTAN IN BLUE】(以下【マンハッタン・イン・ブルー】)。


 J−フュージョン・ファンに「マンハッタン」と問うならば,カシオペアの【ミッド・マンハッタン】か,こちらMALTAの【マンハッタン・イン・ブルー】を連想する。
 ただしこの2トラックの肌触りは対照的! 【ミッド・マンハッタン】が“ネオン・ギラギラ”の高層ビル街,つまり活動的な“陽”をイメージさせるのに対し【マンハッタン・イン・ブルー】は,もっとダークな“陰”夜更けの夜霧のマンハッタンを思わせる。(← 管理人の場合)

 このダークな雰囲気は,MALTA自身の「マンハッタン」への思い入れであろう。MALTAは「マンハッタン」を“ブルー”な街だと感じていた。“ブルー”な空気を吸っていた。幾つもの悲しみが交差する街…。
 しかし一方で,かけがえのない街,唯一無二の大切な街でもある。ジャズの本場であり,MALTA自身の青春の街=9年間演奏活動を続け,ビッグへと登りつめた街なのである。
 だから深い。マイナー調の大連発! 41秒から45秒での落ち方といい,3分39秒から43秒の“腹から出たうめき声”といい,時に“しみじみと”語るアルト・サックスである。

 加えて,これは偶然?必然? 現在,日本有数のサポート・バンド『WHAT IS HIP?』として活動中の全4人が揃った,真の名サポートも光っている。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MALTA : Alto Sax
TSUNEHIDE MATSUKI : Electric Guitar
SOICHI NORIKI : Electric Piano
AKIRA OKAZAWA : Electric Bass
YUICHI TOGASHIKI : Drums
Cupid Strings/Concert Master : MASATSUGU SHINOZAKI

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2007年03月22日

MALTA / マイ・バラッド / ALWAYS YOU3

アナログレコード

 『MY BALLADS』の3曲目は【ALWAYS YOU】(以下【オールウェイズ・ユー】)。


 【オールウェイズ・ユー】の曲想は,一昔前の歌謡ロック! 加えて,全編で何度も登場するキーボードエレキ・ギターの泣きっぷりが,いかにも日本的なビッグ・バンド風? キーボード奏者が3人にツイン・ギターと来れば,メロディ偏重の歌謡曲路線は決定的? このアレンジで本当に良いのだろうか?

 そんな逆境を跳ね飛ばすべく? MALTAアルト・サックスソプラノ・サックスのごとく鳴らし続ける。
 そう。このトラックを最初に聴いた時,ソプラノ・サックスを吹いているのかと思った。それ位,高域連発のアルト・サックスの音色が“ずば抜けて”美しい。
 しかし残念ながら,聴き所はこの美しい音色だけだ。MALTAのフレージングも“クール”寄りで,結果,ビッグ・バンドのリード・アルトソプラノ)奏者の域に成り下がってしまっている。
 そう。曲想とバックに呑み込まれた,脱個性…。

 これは狙い? “絶品の音色”であるだけに,ライオネル・ハンプトン楽団のリード・アルトコンサートマスター時代の“クセ”が抜けていないだけだとしたら,誠にガッカリである。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MALTA : Alto Sax
KATSUTOSHI MORIZONO : Electric Guitar and Solo
KIYOTSUGU AMANO : Electric Guitar
YOSHINORI KAKETA : Fender Rhodes
YOSHIKAZU MATSUURA : Synthesizers
KAZUO KIMURA : Electric Bass
TOMIHIRO MAEDA : Drums
TADAOMI ANAI : Percussion

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2006年05月05日

MALTA / マイ・バラッド / THE ONLY NAME MISSING IS…4

アナログレコード

 『MY BALLADS』の2曲目は【THE ONLY NAME MISSING IS…】(以下【ジ・オンリー・ネーム・ミッシング・イズ…】)。


 【ジ・オンリー・ネーム・ミッシング・イズ…】は,バラードの“定番”要素満載!
 まずはこのメロディ! MALTAの“バラード愛”が溢れている。この“耽美な”世界観は,MALTAアルト・サックスストリングスの組み合わせゆえ描ききることができた,と言っても過言ではない。

 続いてこのメンバーが凄い! ビクター系列の“ザ・フュージョン・オールスターズ”!
 もうこのメンバーの名前だけを見ると,どんなバラードに仕上がったかは想像できるはず。ゆったりと流れるMALTA“自慢の音色”に,名手たちが音を重ねている。各楽器のバランスがいい具合に仕上がっている。
 1分52秒からのドン・グルーシンピアノ・ソロ,2分38秒からのダン・ハフギター・ソロでは,二人の持ち味を生かした,これぞバラードのソロ,と呼ぶにふさわしい一級品のアドリブを堪能できる。

 ただし,頭で想像できる音とのギャップに大差なく,インパクトは少々弱め。万年“優勝候補”的なトラック。
 
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MALTA : Alto Sax
DON GRUSIN : Acoustic Piano Solo and Synthesizers
DANN HUFF : Electric Guitar and Acoustic Guitar Solo
NATHAN EAST : Electric Bass
VINCE COLAIUTA : Drums
PAULINHO DA COSTA : Percussion
Strings Section/Concert Master : GERRY VINCI

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2006年05月04日

MALTA / マイ・バラッド / EVENING CALM5

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 『MY BALLADS』の1曲目は【EVENING CALM】(以下【イーブニング・カーム】)。


 【イーブニング・カーム】はメチャ・スイートの大甘。メロウでロマンティック。“恋する自分”に酔いたい時の1曲である。曲名に完全に影響されてしまったが,夕陽のさざ波=イメージ通り。

 MALTAアルト・サックスが切々と“お涙頂戴”で語りかけてくる。このアルトのトーンで迫られたら,落ちない女も落ちてしまう。みんなMALTAにやられてしまう。耳元でささやかれる感じがくすぐったい。
 絶賛すべきはクドキ口調のサックスの“間”。この間の取り方がグレートなジャズである。
 MALTAの実に伸びやかで綺麗な音色を引き立てる,崩しめのメロディ・ラインも「基本に忠実」というポリシーを守った一流のアドリブに仕立てられている。特に1分36秒から42秒のフレーズは“バラードの王道”である。

 加えて,この大甘に輪をかける,深町純シンセ&キューピット・ストリングス。このアレンジがなければドラマは生まれなかった。完結しなかった。
 深町純の“誘い水”につられたストリングスが,MALTAの“おいしい”フレーズのバックに割って入ってくるのだが,その登場の仕方が自然で心地いい。やはりワン・ホーンストリングスの相性は抜群なのであ〜る。

 1分52秒からの野力奏一エレピも【イーブニング・カーム】に“大人のムーディーな恋”の印象を付与する魔法のスパイス。いやぁ,名演である。
 
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MALTA : Alto Sax
SOICHI NORIKI : Electric Piano
JUN FUKAMACHI : Synthesizers
MASAKI MATSUBARA : Electric Guitar
AKIRA OKAZAWA : Electric Bass
YUICHI TOGASHIKI : Drums
ERIC GALE : Electric Guitar solo
Cupid Strings/Concert Master : MASATSUGU SHINOZAKI

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2006年05月03日

MALTA / マイ・バラッド4

アナログレコード

 その昔「私,脱いだらすごいんです」というCMがあった。どんなCMだったかは置いといて,当時,この一世を風靡したキャッチ・コピーを聴くたびに,MALTAのことを連想したことを覚えている。
 そう。MALTAは「日産・スカイラインGT」! おっとっと。話が飛びすぎた。
 改めて…。MALTAは「羊の皮をかぶった狼」である! 外見はおとなしそうに見えるが,中身はどうして…。一皮剥けば暴れん坊の本性が…。

 ウソだと思われるのなら,黙って『MY BALLADS』(以下『マイ・バラッド』)を聴いてほしい。管理人の言わんとすることが,多少なりとも伝わることと思う。
 全曲バラードなので,勿論“静かな”アルバムである。しかし一音一音の噛みしめ方が相当“熱い”。ジャズ・バラードに対する熱烈なラブコール! そう。MALTAの中には,フュージョンではなくジャズの“熱き血潮”が流れている。沸き立っている。
 『マイ・バラッド』からは「俺はフュージョンをやりたいんじゃない。本当は“コテコテの”ジャズをやりたいんだ〜」という叫び声が聞こえてくるのだ。

 さらに深読み(空想)してみると,MALTAにとってのフュージョンとは“人気に火がつくまで”の一過性のアプローチだったのではないか? 人気がでたらキッパリと4ビート・ジャズに転向する。そんなシナリオだったのではないか?
 しかし余りにも人気が出過ぎてしまって,レコード会社や時代の要請が相まって,とオトナの事情で…。
 まぁ,キャッチーな曲を書くことに秀でたMALTAのことだから,どこまで当たっているかは定かでない。実は“根っからの”フュージョン好きだったりして?
 しかしこれだけは言える。MALTAのルーツは100%ジャズ! なんたって,あの超名門ライオネル・ハンプトン楽団のリード・アルトコンサートマスターだったのだから…。

 『マイ・バラッド』は,フュージョンMALTAが当時のイメージ・ギリギリまでジャズに寄ったCDストリングス・アレンジがもろフュージョンなのはご愛敬。“ジャズメンMALTAの“化けの皮が剥がれた”素敵な一枚!

(1983-1987年録音/VDJ-1115)

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