CD批評:ソニー・クラーク
2007年12月23日
ソニー・クラーク / クール・ストラッティン / DEEP NIGHT
『COOL STRUTTIN’』の4曲目は【DEEP NIGHT』(以下【ディープ・ナイト】)。
【ディープ・ナイト】にこそ“日本人が愛した”ソニー・クラークの魅力が全て詰まっている。そう。マイナー調を基本に「軽快なノリと深み」が同居している。
中盤でこそアート・ファーマーとジャッキー・マクリーンが絡んでいるが,フロント2管の出入りがスムーズなせいか,基本的にはピアノ・トリオの印象が強い。それもこれも前テーマと後テーマの出来が良い証拠である。
56秒からのソニー・クラークのアドリブには“突然世界が明るくなった”感がある。視界良好! メリハリの効いた軽快なタッチに,毎回唸らされてしまう。“ワビサビ”の潜在意識を直撃するこの演奏,きっと日本人なら大好きだと思う。
そして忘れてならないのが,ソニー・クラークの魅力を何倍にも増幅させて聴かせる,アート・ファーマーのトランペット・ソロとジャッキー・マクリーンのアルト・ソロ! フロント2管の印象が薄いと書いたが,正確にはピアノ・トリオに“溶け込み・馴染んだ”アドリブが“じわりじわり”効いている!
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
SONNY CLARK : Piano
ART FARMER : Trumpet
JACKIE McLEAN : Alto Sax
PAUL CHAMBERS : Bass
“PHILLY”JOE JONES : Drums

Cool Struttin'
2006年02月08日
ソニー・クラーク / クール・ストラッティン / SIPPIN' AT BELLS
『COOL STRUTTIN’』の3曲目は【SIPPIN’ AT BELLS』(以下【シッピン・アット・ベルズ】)。
【シッピン・アット・ベルズ】は,ビ・バップ! 何と言ってもジャッキー・マクリーンである!
【シッピン・アット・ベルズ】におけるジャッキー・マクリーンは,かの有名な“マクリーン節”ではない。憧れのチャーリー・パーカー風でもない。完璧なオリジナルの味付けで吹ききる,ストレートな“バッパー”の音である。
この“バッパー”マクリーン”の快演を引き出したのが,ソニー・クラーク! 思うにジャッキー・マクリーンとソニー・クラークの相性はいい。ソニー・クラークの持つ“マイナー・フィーリング”が,ジャッキー・マクリーンの“重い語り口”にはちょうどよい。そう。相対的に“マクリーンを饒舌にしてくれる”ピアノなのだ。
45秒から始まるソニー・クラークのピアノ・ソロこそ,スイング! ご機嫌なバップ・ピアノがジャッキー・マクリーンを,そしてマクリーンがアート・ファーマーを刺激していく…。
熱演が全員に伝染していく。これぞジャズの名演! “一期一会”のアドリブ芸術ほど,聴いて楽しいものはない。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
SONNY CLARK : Piano
ART FARMER : Trumpet
JACKIE McLEAN : Alto Sax
PAUL CHAMBERS : Bass
“PHILLY”JOE JONES : Drums

Cool Struttin'
2006年02月07日
ソニー・クラーク / クール・ストラッティン / BLUE MINOR
『COOL STRUTTIN’』の2曲目は【BLUE MINOR』(以下【ブルー・マイナー】)。
【ブルー・マイナー】には,古き良き時代“ジャズ最盛期”の香りが“プンプン”漂っている。この熱気,テンションが醸し出す雰囲気こそ,ファンキー・ジャズの代表格!
ソニー・クラークの内に宿る“マイナー・フィーリング”にメンバーが呼応し,イケイケではない,実にリラックスしたプレイぶり。これは“並外れた集中力”の裏返しでもあり“普段着の演奏”を呼び起こした秘訣であろう。
【ブルー・マイナー】の決してマイナーではない,親しみやすいテーマを,ついつい口ずさんでしまう。それ位,管理人の身体の中に浸透している。
さて,テーマのユニゾンが“ピカイチ”なのは,大方のジャズ批評家が“熱弁”を奮っていることだろうから,そっち系の批評は置いておくとして…。
ここでは,セラビー流“おいしい聴き方のコツ”を…。(← 管理人と皆さんだけの内緒ですよ)
フロントの二人にどうしても耳が向いてしまうが,そこを我慢してピアノ,ベース,ドラムだけを追いかけてほしい。この連動性,バッキングがあってこそのフロント! 最高のフロントの後方で,地味に鳴り響くリズムだけを抜き出せる“確かな耳”さえ養うことができるなら,あとは放っておいても“ジャズ道まっしぐら”…。
ジャズ・マニアは【ブルー・マイナー】を聴いて育つ! 初心者を“ジャズ通”に鍛え上げるのに最適な“バイブル&虎の穴”だと思っています。ハイ。
親しみやすいテーマでジャズのイ・ロ・ハを掴んだなら,次は各人のアドリブにも注目してほしい! 特にジャッキー・マクリーンのアルト・ソロ。本当,微妙に“調子外れ”な1分8秒からの10秒間が,聴けば聴く程“頭から離れなくなる”。素晴らしすぎる!
アート・ファーマーのソロがメチャ・カッコイイ! やっぱりトランペットが,ジャズの一番の“花形”楽器である。この輝く音色の“恍惚感”。エコーのかかり具合が“絶品”である。
ソニー・クラークのピアノ・ソロは“ファンクの権化”の名に恥じない“黒っぽさ”。このアドリブはジャズ好きには“毒”である。自然と狂気乱舞してしまう。
CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から
SONNY CLARK : Piano
ART FARMER : Trumpet
JACKIE McLEAN : Alto Sax
PAUL CHAMBERS : Bass
“PHILLY”JOE JONES : Drums

Cool Struttin'
2006年02月06日
ソニー・クラーク / クール・ストラッティン / COOL STRUTTIN'
『COOL STRUTTIN’』の1曲目は【COOL STRUTTIN’』(以下【クール・ストラッティン】)。
“洗練された都会の女性が,自分の魅力を嫌味なく誇示しながら,颯爽と歩いている。向かうはデートの待ち合わせ場所?”
こんな感じで,自由にイマジネーションを膨らませてくれる最高のジャケット写真は【クール・ストラッティン】のモチーフそのもの。
一発で覚えてしまうであろう,キャッチーなテーマの狭間を,自由にピアノがスイングする。正に【クール・ストラッティン】!
モダンに気取ったようでいて,どことなく古くささをも感じさせてくれる。NYの五番街で“昔ながらのステップ”を踏んでいるかのような…。
ソニー・クラークのピアノを随所に挟みながら,アート・ファーマーのトランペット,ジャッキー・マクリーンのアルト・サックス,ポール・チェンバースのベースがソロを取る。全員がゆったりとしたリズムに乗せられて“伸びやかに”歌いまくっている。素晴らしい! これぞJAZZY!
51秒からの入りと1分43秒からのテーマ作り。5分42秒からのソロ。バックに廻っての伴奏づけ。“ピアノ職人”ソニー・クラークの本領発揮である。
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SONNY CLARK : Piano
ART FARMER : Trumpet
JACKIE McLEAN : Alto Sax
PAUL CHAMBERS : Bass
“PHILLY”JOE JONES : Drums

Cool Struttin'
2006年02月05日
ソニー・クラーク / クール・ストラッティン
まだまだ続く韓流ブーム。もはやその人気は本国での人気を完全に凌駕している。“ヨン様”の大ブレイクと共に韓流は日本の奥様方に根付いた“日本独自の文化”と呼んでも過言ではないだろう。“ベースボール”が“野球”に変貌したのと同じように,中身が本国のそれとは大いに異なっているのである。
さて,アメリカ生まれのジャズも,ジョン・コルトレーンの大ブレイクと共に“日本独自の文化”として定着した。
当時はレコード1枚の価格がサラリーマンの初任給ほどとあって,一般庶民にはさすがに手がでない。そこで“ジャズ喫茶”の登場である。
この“ジャズ喫茶”なるもの,どうやらアメリカやヨーロッパには存在しないらしい。そう。“ジャズ喫茶”の存在こそが“日本独自のジャズ文化”の証しなのである。
韓流でもジャズ喫茶でも,それが日本独自のものであるとすれば,当然盛り上がり方も本国とは異なる。
韓流四天王と言えば,日本ではペ・ヨンジュン,チャン・ドンゴン,イ・ビョンホン,ウォンビンのことだが,本国ではイ・ビョンホンの代わりにソル・ギョングを指すそうだ。
状況はジャズ喫茶でも同様で,本国ではイマイチでも,日本では熱狂的に受け入れられたスターがいた。
その人の名は“ソニー・クラーク”。似ても似つかぬ容姿はさておき,イ・ビョンホンのポジションにいたのがソニー・クラークだった。
なぜソニー・クラークは日本のジャズ・ファンに支持されたのだろう? その答えが『COOL STRUTTIN’』(以下『クール・ストラッティン』)の中にある。
『クール・ストラッティン』はソニー・クラークの代表作,と言うよりは,モダン・ジャズ屈指の名盤と呼ばれる“超”名盤である。
ゆえに,ブルース調の曲が,マイナー・キーが,ファンキー・ジャズがどうのこうのと…。こんな解説,既に誰かが書いているに決まっている。
ソニー・クラークの“黒々とした”ピアノがどうのとか,ジャッキー・マクリーンの“ファンタスティック”なアルト・サックスがどうのとか…。これも誰かが書いている。はず?
ん〜。どこから切り出しても,たぶんどこかのジャズ批評家が語った“2番煎じ”にしかならないのだが,やっぱりいいものはいい。胸を張って『クール・ストラッティン』を批評してみるとする。
端的に言って『クール・ストラッティン』の“売り”はジャッキー・マクリーンとアート・ファーマーによるフロントの快演にある。二人とも,生涯最高と言い切っても差し支えない“極上の”アドリブを聴かせている。
しかしそれでもCD全体の印象としては,ジャズ・ピアノ! ソニー・クラークが二人を喰ってしまっている。
脇役が主役を喰う面白さ。ソニー・クラークの“いぶし銀”に日本のジャズ・ファンは惹かれたのであろう。この魅力は未だ色褪せていない。
全てのジャズ好き,音楽好きから,イ・ビョンホン・ファンに至るまで,一度は聴いていただきたい“超”お奨めの一枚である。
(1958年録音/TOCJ-6401)


























