CD批評:渡辺 貞夫

2008年07月03日

渡辺 貞夫 / パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85) / BIRD OF PARADISE4


 『PARKER’S MOOD』の7曲目は【BIRD OF PARADISE】(以下【バード・オブ・パラダイス】)。


 【バード・オブ・パラダイス】は,渡辺貞夫の愛奏曲! “明るく軽快に”ナベサダお気に入りのイケメンたちと,大好きなパーカー節を吹き上げる! そう。【バード・オブ・パラダイス】は,聴衆のための演奏ではなく,ナベサダ自身の「ノビノビ&リラックス・プライム・タイム」である。

 渡辺貞夫アドリブは,チャーリー・パーカーの“完コピ”なのかもしれないが,それでもコピーを越えた感動がある! コピー“できる”その喜びに溢れた演奏である。きっと観客たちも“全てを承知で”渡辺貞夫の「チャーリー・パーカー・リサイタル」を暖かく見守ったことだろう。

 渡辺貞夫の喜びが,会場全体に伝染していく。4分13秒からのジェームス・ウィリアムスアドリブが「陽」7分18秒からのチャーネット・モフェットアドリブも「陽」。生のパーカー節を知る者と知らざる者,相互の“強み”が交錯している。

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SADAO WATANABE : Alto Sax
JAMES WILLIAMS : Piano
CHARNETT MOFFETT : Bass
JEFF WATTS : Drums


2008年01月07日

渡辺 貞夫 / パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85) / PARKER'S MOOD4

アナログレコード

 『PARKER’S MOOD』の6曲目は【PARKER’S MOOD】(以下【パーカーズ・ムード】)。


 【パーカーズ・ムード】は,密度の濃い濃い,だけどスロー・ブルース。4ビートのピアノ・トリオが“グイグイ”来る!
 チャーネット・モフェットは弾き過ぎだろう。ジェフ・ワッツも叩き過ぎだろう。でもでもナベサダ相手にはちょうど良い。渡辺貞夫が気合いを入れて“ビ・バップ”している!

 【パーカーズ・ムード】は,ある意味,ナベサダの代表曲。書きたいことは山ほどある。しかし【パーカーズ・ムード】の本質は,3分32秒での「オヤジの掛け声」に凝縮されている! 管理人もライブ会場にいたら同じ瞬間に声を上げていたであろう。感動を共有できた事実がこれまた感動もの。読者の皆さんとも同じ感動が共有できれば…。

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SADAO WATANABE : Alto Sax
JAMES WILLIAMS : Piano
CHARNETT MOFFETT : Bass
JEFF WATTS : Drums


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2007年06月28日

渡辺 貞夫 / パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85) / I THOUGHT ABOUT YOU4

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 『PARKER’S MOOD』の5曲目は【I THOUGHT ABOUT YOU】(以下【君のことばかり】)。


 【君のことばかり】は,管理人にとっては【ジェフ・ワッツのことばかり】である。どうしてもジェフ・ワッツドラミングばかりを追いかけてしまう。

 本来の主役は,大甘メロディを奏でる渡辺貞夫ジュームス・ウイリアムスの美しいアドリブであろう。しかしこの“美しさ”は,ジェフ・ワッツの“ハプニング・ドラム”があってこそ!
 【君のことばかり】は,ジェフ・ワッツによる手品である。聴衆の注意をアルト・サックスピアノに向けさせておいて,アッと言わせる&ハッと思わせるフレーズを,上手に出し入れさせている。

 例えば3分12秒,4分2秒でのフィル・インは,視線を渡辺貞夫に向けさせたまま,聴衆の心に「カツ!」を入れている。ブラシスティックさばきが,おもしろいように決まりまくっている。
 表面上はクールバラードであるが,秘められた感情は激しく燃えている。そう。【君のことばかり】は“手品師”ジェフ・ワッツによるマジック! ナベサダ・ファンの多くは,まだ“タネ”に気付いていない。

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SADAO WATANABE : Alto Sax
JAMES WILLIAMS : Piano
CHARNETT MOFFETT : Bass
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2006年07月09日

渡辺 貞夫 / パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85) / EVERY THING HAPPENS TO ME5

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 『PARKER’S MOOD』の2曲目は【EVERYTHING HAPPENS TO ME】(以下【エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー】)。


 【エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー】は,泣きたいくらいに“センチメンタル”。鈴木宗男じゃあるまいが,ものの30秒で目頭が熱くなってしまうのだ。
 これだけは自分ではどうにもコントロールできない。もはや“病気”である。

 おっと,正確にはジェームス・ウィリアムスの,それはそれは静かなムーディ・ピアノ渡辺貞夫が乗っかってくる,47秒での一吹きにある。
 このピアノに,このアルト・サックス! 加えてベースドラムも時を刻み始める。全てがこの一瞬のためにある!
 
 後は渡辺貞夫の描き出す,最高のジャズ・バラードに身をゆだねるだけ…。
 “同じ日本人だから”というのが理由であるとしか思えない程,管理人の心が“共鳴”してしまう。このアルト・サックスの音色こそ,管理人だけの“宝物”である。管理人以外は“不感症であってほしい”と切に願うくらいに美しい。美しすぎる!
 流れるようなアルト・ソロの中で,一瞬だけ,4分38秒でフレーズに力が入っている。ナベサダ自身もここでグッと来たんだろうなぁ。このトラックをナベサダも愛してやまないのであろう…。

 ついに5分9秒を迎える。ジェームス・ウィリアムスピアノ・ソロが始まると同時に,涙腺が我慢の限界を越えてしまう。
 男泣きである…。もうこれ以上語り合うのはやめましょう…。

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JAMES WILLIAMS : Piano
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2006年03月24日

渡辺 貞夫 / パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85) / BILLY'S BOUNCE4

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 『PARKER’S MOOD』の4曲目は【BILLY’S BOUNCE】(以下【ビリーズ・バウンス】)。


 【ビリーズ・バウンス】の聴き所はたくさんあるが,主役はチャーネット・モフェット! “ブイブイ”言わせる“地を這う”ベースが,観客のボルテージを,否が応でも盛り上げる!

 3分11秒からのロング・ベース・ソロは,いかにもNYで大受けしそうな,キレ+ノリ+パンチが効いた“正統派”の力技である。
 終盤で聴かせる早弾きは,ウッド・ベースとしては驚異的! 人気ベーシスト=チャーネット・モフェットは,相当のテクニシャンである。
 特に5分19秒からの26秒までのフレーズが“エレキ・ベースっぽくて”お気に入りである。

 ラスト8分22秒からの3フレーズがバッチリ決まっていて,これには「どうだ,参ったか?」的なポーズ付の画が浮かんでしまう。カッコイイんだろうなぁ。ベーシストっていいよなぁ。

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2006年03月23日

渡辺 貞夫 / パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85) / LAMENT5

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 『PARKER’S MOOD』の3曲目は【LAMENT】(以下【ラメント】)。


 【ラメント】は,ナベサダの快演が先か,バックの快演が先か,互いに一気に盛り上がる! ミディアムなのに“熱すぎる”名演である。あんなに哀しかったのに,こんなに豪快にぶつかり合ってもいいのだろうか?

 イントロは完璧な“バラード”の入りである。カルテット全員でバラードをプレイする“つもり”で曲が進行していく。
 しかし2分7秒のジェフ・ワッツのハイハットを合図に,チャーネット・モフェットの“ゴリゴリ”ベースが“ズンズン”とプッシュを開始する。このリズムの変化に“呼応した”渡辺貞夫アルト・サックスが,徐々に“ビ・バップ”していく。
 このサックスのトーンの変化が導火線となり,ジェフ・ワッツの「2段ロケット=ジャズドラマー・魂」に火をつけたのか,もう止まらない! あっという間に“ハード・バップ”のノリと化す! スケールの大きな“ザ・ジャズ・ドラム”の世界へと全員が引きずり込まれてゆく!

 やっぱり渡辺貞夫は偉大だ。【ラメント】で見せる表情=音色の変化が,どれもいい。
 アンチ・ナベサダ派は,その常套句=マンネリ批判を口にするつもりなら,この【ラメント】での快演を聴いてからにしてほしい。どうせケナスにしても,バラエティに富んだ,ちょっとはマシな“批評”を展開するのに役立つはずである。
 管理人は“正攻法”でいきたい。マンネリはマンネリでもこんなに“偉大な”マンネリは希有である。聴けば聴く程,耳に馴染めば馴染む程,なんとも言えない“心地良さ”が増加する。

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2006年03月21日

渡辺 貞夫 / パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85) / STELLA BY STARLIGHT4

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 『PARKER’S MOOD』の1曲目は【STELLA BY STARLIGHT】(以下【星影のステラ】)。


 【星影のステラ】の名演は多いが,キース・ジャレットチック・コリアの代名詞的ナンバーなので,ピアノによる“静かな”プレイ向きという印象を持っている。
 しかし【星影のステラ】には,パーカーマイルスミンガスといった“ハード・バップ”の“ホットな”名演が残されていることも忘れるわけにはいかない。 

 さて渡辺貞夫である。ナベサダ流の【星影のステラ】は断然後者! イントロの“スーッ”とした印象はご愛敬。すぐにバックを引っ張る(バックにあおられ?)熱気を帯びてくる。そう。メンバー全員馴染みの曲なのだろう。よく歌っている。
 3分35秒からのジェームス・ウィリアムスピアノ・ソロは非常にダイナミック! 6分25秒からのチャーネット・モフェットベース・ソロもハイ・テクニックでメロディーを奏でていく。

 しかし,このトラックの主役は“格上”渡辺貞夫だ! 原曲の持つロマンティックな響きを“あの”ナベサダの音色が飾り付けしていく。ただそれだけでグッときてしまい,あれだけのバックの好演も耳に残らない。

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2006年03月20日

渡辺 貞夫 / パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85)5

アナログレコード

 “ナベサダ”こと渡辺貞夫はJ−ジャズの枠を越えた,世界のジャズ・ジャイアントの一人である。
 と,紹介しようとも,読者の皆さんに,渡辺貞夫の偉大さはストレートに伝わらないのではないか?
 管理人もそうだった。渡辺貞夫と言えば,草刈政雄と豪快に笑う「ブラバス」のCM。どこにでもいそうな,単なる“気のいいおっさん”でしかなかった。

 しかしあるCDとの出会いにより,それまで“色眼鏡”でナベサダを見ていたことを心から悔いた。CDから聴こえてきたのは“パーカー派”のアドリブインプロヴィゼーション。フレーズの節々にパーカーをカバーしてきた面影が色濃く残っていたのだ。

 その“パーカー派”としての渡辺貞夫との出会いが『PARKER’S MOOD』〈以下『パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85)』〉!
 この時期の渡辺貞夫フュージョンCDの大連発中! フュージョンナベサダが大好きだったので,当時高校生だった管理人にはきつかったが,発売されるCDは全部買っていた。
 『パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85)』もその流れで買ったものだったが,いつもとは違う空気感に心を“鷲づかみ”されたのだ!
 もう元には戻れないと感じてしまう何か…。そう。脱フュージョンジャズへの目覚め!
 管理人のジャズ好きは,ズバリ,このCDから始まった!

 『パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85)』は「BRAVAS CLUB」のライブ盤。渡辺貞夫が目と鼻の先にいる聴衆に全力でぶつかっていく。
 そんなストレートなジャズ・スタイルであるからこそ『パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85)』には,他のフュージョンCDでは聴くことができない“命がけのアドリブ”が持つ圧倒的な存在感がある。
 “命を削る”演奏とは,正にこのCDのことを指す!

 実は冒頭に述べた経験をしたのは,正確には数年後のこと。渡辺貞夫を追いかけてパーカーと出会い,そのパーカーとの出会いからアドリブのイロハを学ぶことができた。
 一皮一皮脱皮し,ジャズ好きとして成長するにつれ『パーカーズ・ムード(ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85)』から“パーカー派”の渡辺貞夫を聴き取れるようにもなった。
 相当練習したんだろうなぁ。ナベサダが子供の頃は,王,長嶋ではなく,チャーリー・パーカーが“ヒーロー”だったんだろうなぁ。アルト・サックスをキラキラと輝く瞳で見つめている貞夫少年の姿を想像すると,知り合いでもないのに,今夜も目頭が熱くなる。

 やはり読者の皆さんに,渡辺貞夫の偉大さをストレートに伝えることはできなかった。是非,聴いていただきたい。言葉で伝えられるのは,ただそれっぽっち…。

(1985年録音/32XD-355)

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