CD批評:矢野 沙織

2008年01月29日

矢野 沙織 / YANO SAORI / HOYDEN4

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 『YANO SAORI』の9曲目は【HOYDEN】(以下【ハイデン】)。


 【ハイデン】は,サルサのリズムに引っ張られたハード・バップである。

 今泉正明ピアノ松島啓之トランペットが,矢野沙織アルト・サックスを奪い合う。
 二股状態?の矢野沙織が,どちらとも密着するものだから,このバトルも徐々にヒートアップ! 上村信大坂昌彦をも巻き込んだ,サルサともハード・バップとも異なる,ジャズ・ブレンド!

 これが新しいのに,どこかで聴いたような“郷愁感”たっぷり。【ハイデン】は,矢野沙織流“温故知新”であろう。

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SAORI YANO : Alto Saxophone
KEIJI MATSUSHIMA : Trumpet
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

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2007年12月21日

矢野 沙織 / YANO SAORI / MARMADUKE4

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 『YANO SAORI』の8曲目は【MARMADUKE】(以下【マーマデューク】)。


 【マーマデューク】には,矢野沙織の“若さ”が記録されている。ハロルド・メイバーン・トリオのカウントと共に“高速”パーカー・ナンバーが疾駆し始めるのだが,この演奏はテクニックの前に“若さ爆発”! 時折音が外れようが不思議と気にならない。
 でもこれでいい。この演奏が記録されたことに価値がある。後数年で,この若さで押す爆発力が消えてなくなるのだから…。

 パーカー・ナンバーは概ね一曲の演奏時間が短くアドリブが多いため,決め所を抑え間違えると,支離滅裂の演奏に終始してしまう。
 【マーマデューク】は“手馴れ”のハロルド・メイバーン・トリオがナイス・サポート! 決め所&ヤマ場で矢野沙織アルト・サックスを優しく後押ししてくれている。
 矢野沙織の後見人(熱烈ファン)としては「ハラハラ・ドキドキ」の展開であったが,ラスト3分20秒で「スカッ」と着地が決まった瞬間「9.85」を確信した。銅メダル獲得おめでとう。

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SAORI YANO : Alto Saxophone
HAROLD MABERN : Piano
NAT REEVES : Bass
JOE FARSWORTH : Drums
 

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2007年11月25日

矢野 沙織 / YANO SAORI / IT COULD HAPPEN TO YOU5

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 『YANO SAORI』の11曲目は【IT COULD HAPPEN TO YOU】(以下【イト・クドゥ・ハプン・トゥー・ユー】)。


 【イト・クドゥ・ハプン・トゥー・ユー】は,矢野沙織の“小粋な”名演として,いつまでも語り継がれるべき傑作である。

 管理人が矢野沙織にKOされたのは「バッパー」としての矢野沙織であったが,矢野沙織には「バッパー」以外の顔がある。それが「スインガー矢野沙織

 矢野沙織渡辺貞夫を超える日が,いずれやって来る! (ナベサダ・ファンなので胸中複雑であるが)近い将来,必ずやって来る! 「そんな日来ねぇよ」と,年季の入ったジャズ批評家たちに,それこそ鼻で笑われようが,嘲られようが取り下げるつもりは微塵もない。実際に“モノが違う”のだからしょうがない。

 さて,そんな“ナベサダ超え”を果たした日の矢野沙織を想像するに,恐らく「バッパー」としての評価に加えて「スインガー」としても高く評価されていることと思う。逆に「ザ・スインガー沙織」をアピールできないうちは“ナベサダ超え”はままならない。
 「スインガー矢野沙織の快進撃は【イト・クドゥ・ハプン・トゥー・ユー】と共に始まった。【イト・クドゥ・ハプン・トゥー・ユー】は,矢野沙織ブレイクの“隠し球”となり得る逸品なのである。

 テーマのバックで“ストッピング”のかかるピアノ・トリオに引っ張れることなく“悠々と伸びやか”に歌い上げる! 粋だなぁ〜。
 9秒から27秒と1分3秒から12秒までの,似ても似つかぬ「手綱捌き」のアイディアは,キャノンボール・アダレイを連想させられてしまう。果たして,これは管理人の独りよがりな「先物買いの青田買い」なのだろうか?

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SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

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2005年07月27日

矢野 沙織 / YANO SAORI / IN A SENTIMENTAL MOOD4

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 『YANO SAORI』の10曲目は【IN A SENTIMENTAL MOOD】(以下【イン・ア・センティメンタル・ムード】)。


 矢野沙織が,真正面からジャズの王道に取り組んだ【イン・ア・センティメンタル・ムード】での“貫禄”ある演奏が好きだ。
 これは正攻法に見えて,矢野沙織にとってかなりの大チャレンジであろう。一切小細工無しの演奏は,自ら言い訳の“退路を断った”証し。そう。逃げも隠れもせず,しっかりと吹き込んでいく。「ドンと来い」の貫禄。

 【イン・ア・センティメンタル・ムード】の,バラードサックスは数多いゆえ,ひいき目に見て完璧とは言い難い。
 でもこのビブラート&ブレない演奏姿勢! この一音一音に魂を吹き込んでいく“静かに熱い”名演に感動させられる。

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SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

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2005年07月24日

矢野 沙織 / YANO SAORI / BOHEMIA AFTER DARK4

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 『YANO SAORI』の7曲目は【BOHEMIA AFTER DARK】(以下【ボヘミア・アフター・ダーク】)。


 有名バップ・ナンバー【ボヘミア・アフター・ダーク】に“熱演”を期待してしまうと“肩すかし”を喰らってしまう。勿論,熱演ではあるのだが,このトラックの仕上がり具合は“クール”である。

 松島啓之トランペットとのユニゾン・テーマは,若干スロー・テンポでありフレーズが乾いている。クールに吹ききっている!
 1分29秒から始まる矢野沙織アルト・ソロは,一転ハイスピード! これぞ2003年型【ボヘミア・アフター・ダーク】である。

 ここで管理人の本音を記そう。クールな【ボヘミア・アフター・ダーク】は好きではない。やはり“キャノンボール・アダレイ風”高速大ブロー無しの【ボヘミア・アフター・ダーク】はつまらない。
 幸い,LIVEでの演奏はハード・バップ“仕様”で盛り上がっていた。矢野沙織の【ボヘミア・アフター・ダーク】は,CDよりLIVEである。  

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SAORI YANO : Alto Saxophone
KEIJI MATSUSHIMA : Trumpet
HAROLD MABERN : Piano
NAT REEVES : Bass
JOE FARSWORTH : Drums
 

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2005年07月23日

矢野 沙織 / YANO SAORI / BLACK ORPHEUS4

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 『YANO SAORI』の6曲目は【BLACK ORPHEUS】(以下【黒いオルフェ】)。


 【黒いオルフェ】の名演は多いが,このトラックは他の誰とも似ていない,矢野沙織・流。この“雰囲気たっぷり”の解釈が,16歳の女子高生によるものと世間の誰が思おうか…。

 1分34秒から始まるロング・ソロは,基本=静かで深く,そしてダーク。しかし2分17秒からと2分42秒からのブローでヤマ場も作る。さすがである。
 そんな中,管理人の好みは3分20秒からの6秒間! 今泉正明ピアノ・ソロへとつなげる“フェード・アウト”の感じが実にキマッテイル。
 もう自分自身の演奏はおいといて,共演者と共に楽曲の出来を気にかける。実に“頼りになる”最年少・バンド・リーダーがここにいる!

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SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

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2005年07月22日

矢野 沙織 / YANO SAORI / MY LITTLE SUEDE SHOES4

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 『YANO SAORI』の5曲目は【MY LITTLE SUEDE SHOES】(以下【マイ・リトル・スエード・シューズ】)。


 【マイ・リトル・スエード・シューズ】の“ゆったり流れる時間”が実に楽しい。
 矢野沙織松島啓之の“強力ツートップ”のはずが,のびのび&ほんわか調の“アンサンブル・マシーン”へと大変身! イメチェンの衝撃!
 16才の少女が【マイ・リトル・スエード・シューズ】を選曲したセンスが素晴らしい。これが矢野沙織の表現したかったジャズの本質だとしたら,末恐ろしい。

 52秒から始まる矢野沙織アドリブに心奪われてしまう。緩急も強弱もあるわ,リズム隊とのコンビネーションはあるわ,それこそ裏を吹くタイミング! 1分35秒からはカリプソさえも自在に操る,余裕のアルト・サックス

 “早熟の天才”と言う賛辞では表現し足りない! こんなに早く成長してしまっていいものだろうか? 他のジャズメンは一体何をやっているのか?

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SAORI YANO : Alto Saxophone
KEIJI MATSUSHIMA : Trumpet
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

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2005年07月21日

矢野 沙織 / YANO SAORI / HOW TO MAKE A PEARL4

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 『YANO SAORI』の4曲目は【HOW TO MAKE A PEARL】(以下【ハウ・トゥー・メイク・ア・パール】)。


 【ハウ・トゥー・メイク・ア・パール】には,矢野沙織“らしさ”がギッシリと詰まっている。
 この“らしさ”を言葉で伝えるのは難しいが“バリバリと吹き倒す”でも“クセのあるフレーズ”でもなく“静と動のキレ”?
 つまりは“空間描写”で勝負するタイプ。う〜ん。これもしっくりこないのだが,今のところはそんな感じで…。
 そうだ! 矢野沙織の魅力は“ギャップ”! 音の高低や強弱のセンスとか,トラック中での起承転結,これにはテンションの上がり下がりだとか,定番コードが進行中に,突然“ファンタスティック”なメロディが降ってくるところだとか…。

 【ハウ・トゥー・メイク・ア・パール】でも,全体としては“伸びやかに歌う”矢野沙織がいる。しかし,しっかりと緊張感はキープ。これが計算ではなく自然体で表現できるところが,矢野沙織の“強み”である。
 “頭ではなく身体で”ジャズそのものを感じ取っている。“深みのある”アルト・サックスの音色と共に,オブラートなしで,ストレートに表現されているのだから,たまらない。

 そんな中,1分30秒からの“こぶし”回し。2分8秒での“ブツ切り”。4分0秒から3秒間の“ビブラート”。これらが全てナイスなアイディア! 矢野沙織の“大器の片鱗”の表われである。

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SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

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2005年07月20日

矢野 沙織 / YANO SAORI / WHEN YOU'RE SMILING4

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 『YANO SAORI』の3曲目は【WHEN YOU’RE SMILING】(以下【ホエン・ユー・アー・スマイリング】)。


 【ホエン・ユー・アー・スマイリング】の魅力は,ジャズが放つ「軽やかさ」にある!
 矢野沙織の“伸びやかな”アルト・サックス今泉正明の“リズミカルな”ピアノが,何気にウキウキ気分にさせてくれる。「爽快だ〜」とは趣が違う,くすっとした含み笑いのような,思い出し笑いするような…。伝わるでしょうか?

 恐らく実際のジャズ・ファンの多くは“真剣勝負の醍醐味に惹かれて”と言うよりは,この種の“軽やかさ”に惹かれてジャズを愛しているのではないか,と思っている。
 年季の入ったジャズ・ファンの好みが“ハードな演奏”から“ソフトな演奏”へと徐々に移り変わっていくのが,その証拠であろう。

 【ホエン・ユー・アー・スマイリング】の聴き所であるが,矢野沙織のゆったりとしたプレイには,勘違いだろうか? ベテランが醸し出す“懐の深さ”さえ感じ取れる。素晴らしい!
 個人的には1分1秒から3秒までの“一息の伸び”が好きだ。今泉正明アドリブも4分0秒からのクダリがお気に入り。

 格別な名曲でも名演でもないかもしれないが,ほのぼの気分にさせてくれるので,また明日も聴きたいと思わせる,その何とかが,超魅力的!
 あなたはいつ「ハ・ニ・カ・ミ」ましたか? 【ホエン・ユー・アー・スマイリング】?

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SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
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2005年07月19日

矢野 沙織 / YANO SAORI / BLUE BOSSA4

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 『YANO SAORI』の2曲目は【BLUE BOSSA】(以下【ブルー・ボッサ】)。


 【ブルー・ボッサ】の徐々にヒート・アップしていく展開がクセになる。大方のジャズ・ファンは,スロースタートなのがウソのような終盤の盛り上がりに,確実に心奪われてしまうことだろう。

 矢野沙織のトーンの変化に耳を這わせてみる。1分17秒からのアルト・ソロは抑揚が効いたもので,イントロから続く“無表情な”アルト・サックスへのフラストレーションが解消されてメチャ気持ちいい。

 後半,自然と耳を奪われるであろう,バックの程よい一体感はハロルド・メイバーンの成せる技!
 3分48秒からと4分10秒からの2段ロケット式のアドリブが一気にバンドを“興奮のるつぼ”へと誘う。ベースドラムもこんなにハッピーなピアノを間近で聴かされてはかなわない。勝手に身体がノッテしまったのだろう。

 【ブルー・ボッサ】にはジャズの“小さな?”楽しみが随所に散りばめられている。

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SAORI YANO : Alto Saxophone
HAROLD MABERN : Piano
NAT REEVES : Bass
JOE FARSWORTH : Drums
 

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2005年07月18日

矢野 沙織 / YANO SAORI / CONFIRMATION5

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 『YANO SAORI』の1曲目は【CONFIRMATION】(以下【コンファメーション】)。


 “矢野沙織”の【コンファメーション】には,ここで管理人が絶賛するまでもなく,やがて全てのジャズ・ファンから賛辞が贈られることになるであろう。
 既に管理人の周りのジャズ・ファン,いや,普段ジャズに接することのなかった友人までもが熱を上げている。

 もう何分何秒がどうのこうのは関係ない。言葉が多ければかえって魅力が伝わらず,もしかしたら偽りっぽく感じてしまうだろう。このトラックの魅力を,永遠に語りたくなる衝動を抑えて…。

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SAORI YANO : Alto Saxophone
HAROLD MABERN : Piano
NAT REEVES : Bass
JOE FARSWORTH : Drums
 

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2005年07月17日

矢野 沙織 / YANO SAORI5

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 多くの人にとって,ジャズと言えば“ビ・バップ”であり“ハード・バップ”であろう。
 パーカーマイルスモンクロリンズコルトレーン…。彼らジャズ・ジャイアントの代表作を挙げるとすれば,必然的に“ビ・バップ&ハード・バップ”の名盤が並ぶ。正にジャズの黄金期である。
 残念ながら管理人はその時代のジャズを知らない。生まれてもいない。全ては後追いなのである。
 ではこの時代に,彼らジャズ・ジャイアントが発した“熱い”ジャズを聴くことはできないのだろうか? NO。ここに紹介する,矢野沙織である。

 矢野沙織のデビューCDYANO SAORI』。何の予備知識もなく突然このCDと出くわしたとしたら,皆さんならどう感じただろうか? そしてその直後,この演奏が何と16歳の,しかも女子高生の作品だと聞かされたとしたら…。
 管理人にとって今のシチュエーションは正に現実となった。その衝撃たるや,カシオペアの比ではなく,マーカス・ミラーでもバド・パウエルでも,そしてウィントン・マルサリスの比でもない。
 それを寝起き眼でやられたからたまらない! そう。この全てを早朝のFMラジオで聴かされたのである。

 管理人はジャズ・マニアとして25年以上,多くのCDを聴き込んできたが,このような衝撃は初めてだった。
 朝,布団の中でそろそろ起きないと,というモウロウとした意識の中に,チャーリー・パーカーの【CONFIRMATION】,明瞭なビ・バップが飛び込んできた。
 その瞬間,体が自然と反応する。一体誰のCDだろう? 聞き耳を立てるべく飛び起きたが,この時はまだ新作だとは思わない。聞こえてきたのは50年代のジャズの音だったのだ。
 たまらずメモ帳とペンを用意する。後日すぐにチェックするためである。ラジオのナレーションが続く…。「ヤノサオリさんの…」。
 えっ,日本人? ヤノサオリ? 女性? 女子高生? 16歳? このラジオ,ウソ言ってる。冗談ではなく管理人の正直な反応である。ラジオで自分の耳を疑ったのは,あの阪神大震災のニュースを聞いた時以来,人生において2度目である。

 ちょっと大げさに思えたかもしれない。では一度『YANO SAORI』を実際に聴いてみてほしい。今読んできた“ほんのさわりの予備知識”なら,まだまだ衝撃は収まらないはず。「百聞は一見にしかず」である。
 『YANO SAORI』を全てのジャズ・ファンに自信を持ってお奨めする! 『YANO SAORI』こそ管理人の“愛聴盤”である。

(2003年録音/COCB-53061)

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