アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:マイルス・デイビス

マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / DEAR OLD STOCKHOLM4

アナログレコード

 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の6曲目は【DEAR OLD STOCKHOLM】(以下【ディア・オールド・ストックホルム】)。


 【ディア・オールド・ストックホルム】は,おいしい聴き所が幾つも散りばめられているので,それらを一つ一つ見つけ出し“つまみ喰い”するのが,ジャズ通の楽しみ。
 ここでは大枠だけ批評することとしたので,細かな点はヒントだけ。ヒントは“もがく”ジョン・コルトレーンと“完璧”なリズム隊3人の個性です。今回はご自分でジャズの“底なし沼の世界”へと旅立ってみてください。絶対楽しいです。

 さて大枠の本丸です。それは偉大なバンド・リーダーとしてのマイルス・デイビス! リーダーで主役はマイルス・デイビスなのだから,おいしいフレーズは全部マイルスが吹いている。これがいい。
 放っておくとノスタルジーに流されるであろう原曲を,マイルスが“ビシッと”締め上げている。これがマイルス・デイビスの“帝王”たる魅力でもある。

 しかしジャズ・マニアには広く知られているように,バンド・メンバーを締め上げるのはマイルス・デイビスの手法ではない。実際はその逆で“才能豊かな”サイドメンに,自由にソロを取らせることで知られている。この風通しの良い組織。どうですか?

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE MILES DAVIS QUINTET
MILES DAVIS : Trumpet
JOHN COLTRANE : Tenor Sax
RED GARLAND : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
"PHILLY JOE" JONES : Drums


ラウンド・アバウト・ミッドナイト
人気blog ランキング バナー

マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / TADD'S DELIGHT4

アナログレコード

 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の5曲目は【TADD’S DELIGHT】(以下【タッズ・ディライト】)。


 【タッズ・ディライト】は,マイルス・デイビスジョン・コルトレーンのコンビネーションこそが聴き所。ユニゾンでのハーモニーが,いかにも“素敵な”ハード・バップに仕上がっている。

 これはジョン・コルトレーンが“自分の分をわきまえ”サイドメンに徹した結果であろう。テーマで聴かせるマイルス・デイビスへの丁寧なサポートで光り輝いている。
 例えば28秒から33秒までの最後の一吹きで,マイルス・デイビスのフレーズのみがブレイクしており,そのままの流れでソロに突入していく。正にジョン・コルトレーンを踏み台に大ジャンプした格好!
 これで“気をよくした”マイルス・デイビスアドリブは,実に流ちょうであり「主役は俺だ」と言わんばかりの貫禄がある。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE MILES DAVIS QUINTET
MILES DAVIS : Trumpet
JOHN COLTRANE : Tenor Sax
RED GARLAND : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
"PHILLY JOE" JONES : Drums


ラウンド・アバウト・ミッドナイト
人気blog ランキング バナー

マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / BYE BYE BLACKBIRD5

アナログレコード

 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の4曲目は【BYE BYE BLACKBIRD】(以下【バイ・バイ・ブラックバード】)。


 ジャズスタンダードの代表格である【バイ・バイ・ブラックバード】の名演は多いが,数ある名演の中でもこのトラックがいい!
 と言うよりも,このトラックの存在が【バイ・バイ・ブラックバード】を一気にジャズスタンダードの地位にまで高めてしまった。
 これがマイルス・デイビスマイルス・デイビスたる“力”。その力は当時だけにとどまらず,現代ジャズの演奏スタイルにまで決定的な影響を及ぼす“白眉”の出来である。

 今や“定番”となってしまったピアノによるキャッチーなイントロに続いて,マイルスの“キザ&ダンディー”ミュート・プレイ。
 一転して3分26秒からのジョン・コルトレーンテナー・ソロが大変流ちょうで,マイルス・デイビストランペットと好対照を為す! 鮮やかな“狙い通り”のコントラストが美しい!

 締めは何と言っても,このトラックの“主役”レッド・ガーランド! 5分32秒からの“コロコロ&リリカルな”ピアノ・ソロが耳に残って離れない,離れたくない,離さない。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE MILES DAVIS QUINTET
MILES DAVIS : Trumpet
JOHN COLTRANE : Tenor Sax
RED GARLAND : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
"PHILLY JOE" JONES : Drums


ラウンド・アバウト・ミッドナイト
人気blog ランキング バナー

マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / ALL OF YOU4

アナログレコード

 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の3曲目は【ALL OF YOU】(以下【オール・オブ・ユー】)。


 【オール・オブ・ユー】は,軽快で“おちゃめな”マイルス・デイビスを楽しむのにもってこい。“強面”で“シリアス”なマイルス・デイビスしか知らない人には,マイルスの持つ“コミカルな”一面に触れて驚かれることと思う。

 元来,高音域担当のトランペットには“闇夜を切り裂く”と言った表現がピッタリだし“笑う”トランペッターなど薄気味悪い。
 実際,マイルス・デイビスという人には,その偉大な実績からもジャズ界の“ドン”“親分”のイメージが付きまとうし,あの“しゃがれ声”を聞くとホンマモンかと疑ってしまう。そう。“笑い”とは対極にある絶対的な存在感! マイルス・デイビスは常に高倉健や菅原文太の位置にいる。

 しかし【オール・オブ・ユー】でのマイルス・デイビストランペットは実に明るい。はじけるスイング感さえ感じさせてくれる。今にも“踊り出しそうな”マイルス・デイビスがここにいる!
 フィーリー・ジョー・ジョーンズの“裏拍子”を刻みまくるドラミングと,レッド・ガーランドの“カクテル・ピアノ”がマイルス・デイビスを“陽気に”乗せてしまった。
 特に3分50秒からのレッド・ガーランドピアノ・ソロは,ポール・チェンバースベースと見事に絡みつき,コロコロと…。

 オープニングのテーマではまだ“ハニカミ”状態にあったのが,レッド・ガーランドのソロ直後から始まるエンディングのテーマでは,例えば6分7秒からしばらく続く“音の途切れ具合”など,完全に“スイングのそれ”へと変貌している。
 このテイストは“笑い”のトランペットそのものであろう。

 たまには“陽気でハッピー”なマイルス・デイビスも悪くない。やっぱりマイルス自身,根っからのジャズファンなんだなぁ。
 強面キャラを忘れ,つい乗せられてしまった“おちゃめな”マイルス・デイビスに親近感を覚えてしまう。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE MILES DAVIS QUINTET
MILES DAVIS : Trumpet
JOHN COLTRANE : Tenor Sax
RED GARLAND : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
"PHILLY JOE" JONES : Drums


ラウンド・アバウト・ミッドナイト
人気blog ランキング バナー

マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / AH-LEU-CHA3

アナログレコード

 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の2曲目は【AH−LEU−CHA】(以下【アー・リュー・チャ】)。


 【ラウンド・ミッドナイト】(1曲目)の余韻を楽しみたいのに,2曲目がうるさいし,古臭いし…。
 これが正直,管理人の【アー・リュー・チャ】に対する印象である。ゆえに,何とももったいないことに,いつしかこのトラックを飛ばしてしまうのが,習慣になってしまった。
 今回のトラック批評のため,久しぶりに,真剣に耳を傾けてみた。 → 「あっ,意外といいんだ」。

 冒頭の“シャカシャカ&タリラリラ?”ユニゾンの微妙なズレが相変わらず気になるが,それ以外は『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の“看板&のれん”を分け合う音に相違ない。

 48秒から始まるマイルス・デイビストランペット・ソロはいい。最強のリズム隊が創り出すビートを推進力に,キレのあるアドリブはさすがである。
 どうやら【アー・リュー・チャ】と管理人のギクシャクした関係の原因は,このリズム隊の変化球にある。
 3分58秒からのレッド・ガーランドピアノ・ソロもハード・バップピアノ・トリオの音である。それが“時間差”ユニゾンになると,突然ビートが古臭くやぼったくなるのだ。生半可なアレンジが超マイナス!

 加えて,続く【オール・オブ・ユー】もミディアム・テンポの名演ゆえ,1曲目と3曲目に挟まれた【アー・リュー・チャ】のテンションが余計に浮いて聴こえてしまう。
 仮に曲の収録順が違っていたなら,もう少し“立派な”ジャズに聴こえるのかもしれませんが…。

 と言いつつも,絶対的な“聴き込み不足”ゆえ,評価は後日変わるかもしれない。今は参考程度に読んでいてくださいっ。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE MILES DAVIS QUINTET
MILES DAVIS : Trumpet
JOHN COLTRANE : Tenor Sax
RED GARLAND : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
"PHILLY JOE" JONES : Drums


ラウンド・アバウト・ミッドナイト
人気blog ランキング バナー

マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / 'ROUND MIDNIGHT5

アナログレコード

 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の1曲目は【’ROUND MIDNIGHT】(以下【ラウンド・ミッドナイト】)。


 まず気になるだろうから,この「ABOUT」表記の有無について触れておこう。
 「当初は【ラウンド・アバウト・ミッドナイト】として作曲されたが,バーニー・ハニゲンが作詞した際に【アバウト】を抜いたことから混乱が始まった。セロニアス・モンク作曲の超スタンダードゆえ,ジャズ界では双方の表記がなされている」とライナーノーツに記されている。

 さて肝心の演奏であるが,冒頭からメインテーマを吹き終える2分44秒まで,ほぼマイルス・デイビスのワン・ホーンと言っていいだろう。おいしいフレーズは全てマイルス・デイビスのものだ。
 サポート役のジョン・コルトレーンテナー・サックスも,2分57秒から曲想に合わせた長めのソロが見事に“ツボ”にハマッテている。よだれを垂らしてしまいそうな程,素晴らしい出来である。

 最強リズム隊3人を加えたメンバー全員パーフェクト。イッツ・ジャズ

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE MILES DAVIS QUINTET
MILES DAVIS : Trumpet
JOHN COLTRANE : Tenor Sax
RED GARLAND : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
"PHILLY JOE" JONES : Drums


ラウンド・アバウト・ミッドナイト
ランキングを見てみよう!

マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト4

アナログレコード

 ある偽札の専門家は次のように述べている。「意外なことだが,紙幣が本物かどうかを確かめる最善の方法は,おおむね,自分の視覚や触覚をたよりに,ごく一般的な方法で判定することだ。大抵人々は,正確な方法を知らなくても偽札を見分ける」。
 言い換えるなら,偽札を見分ける最良の訓練は“本物に対する感覚”を磨くこと。その感覚を掴みさえすれば,偽札を受け取ったとしても,それがまがいものであることを瞬時に判断できるのだろう。

 さて,この記述は“本物の”ジャズを聴き分けることにも当てはまる。繰り返し本物を聴くことが,ジャズの本質を掴む一番の近道なのである。では繰り返し聴くべき“教材”とも呼べるCDとは何だろう?

 マイルス・デイビスの諸作! とりわけ『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』(以下『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』)! 管理人は自信を持ってそう答える。
 その理由は簡単だが,まだ正式にプレス・リリースされていないので,今は答えることができない。今後の「スーパートリビア」シリーズのランキングに注目してほしい。ただ,ここで一つ断言できることは,この意見は管理人の独断と偏見ではない,と言うことである。

 ところで,マイルス・デイビスについて語るのは,正直余り得意ではない。マイルス・デイビスについての著作を余りにも多く読んだせいなのかもしれないが,自分の言葉で表現しづらいからである。
 “ジャズの帝王”“泣きのミュート”“偉大なバンド・リーダー”“ジャズの歴史の生き証人”などなど,全てまさしくその通り! もはや管理人オリジナルの称号など考えつきませぬ。

 『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』は,そんな“桁外れ”のマイルス・デイビスの代表作&全てのジャズ批評家が認めた名盤中の名盤! このCDに関しては,他の著名な評論を読み比べながら聴き込まれることを,ここに勝手に許可します!
 読者の皆さんが,今後,まがいもののジャズを掴まされることのないことを祈りながら…。

(1955,1956年録音/CSCS5138)

人気blog ランキング バナー
livedoor プロフィール
記事検索
Categories
最新コメント
Keith Jarrett Gallery

キース・ジャレット(真田馨子) おんがく日めくり(c) keiko sanada
Pat Metheny Gallery

パット・メセニー(野々口和仁)
(c) Kazuhito Nonoguchi
ジャズ・アフィリエイト
セラビー厳選CD

パリ・コンサートパリ・コンサート
キース・ジャレット

THE WAY UPTHE WAY UP
パット・メセニー・グループ

イン・ア・サイレント・ウェイイン・ア・サイレント・ウェイ
マイルス・デイビス

HEAVY WEATHERHEAVY WEATHER
ウェザー・リポート

BRAINCOOL STRUTTIN'
ソニー・クラーク

MINT JAMSMINT JAMS
カシオペア

HUMANHUMAN
T-スクェア

フル・ハウスフル・ハウス
ウェス・モンゴメリー

ザ・シーン・チェンジズザ・シーン・チェンジズ
バド・パウエル

セロニアス・モンク・トリオセロニアス・モンク・トリオ
セロニアス・モンク

枯葉枯葉
チェット・ベイカー

MOANIN'MOANIN'
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

BLOWIN' THE BLUES AWAYBLOWIN' THE BLUES AWAY
ホレス・シルヴァー

ウィントン・マルサリスの肖像ウイントン・マルサリスの肖像
ウイントン・マルサリス

メイティング・コールMATING CALL
タッド・ダメロン

Blu-spec CD ジャコ・パストリアスの肖像ジャコ・パストリアスの肖像
ジャコ・パストリアス

ザ・キング・イズ・ゴーンザ・キング・イズ・ゴーン
マーカス・ミラー

FIRST MEETINGファースト・ミーティング
テザード・ムーン

スペシャル・エディションSPECIAL EDITION
ジャック・デジョネット

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングYOU MUST BELIEVE IN SPRING
ビル・エヴァンス

STEP BY STEPSTEP BY STEP
ステップス

2424
DIMENSION

GANAESIAガネシア
渡辺香津美
カズミ・バンド

コンプリート・ピック・ヒッツ・ライヴPICK HITS
ジョン・スコフィールド

ニューポートの追想V.S.O.P.
ハービー・ハンコック

アス・スリーUS THREE
ホレス・パーラン

Manhattan StoryBLUE'S MOODS
ブルー・ミッチェル

AFRICAN PIANOOFF TO THE RACES
ドナルド・バード

AFRICAN PIANOAFRICAN PIANO
ダラー・ブランド

Manhattan StoryMANHATTAN STORY
アキコ・グレース

SPELLBOUNDSPELLBOUND
ジョー・サンプル

ランデヴーRENDEZ-VOUS
木住野佳子

RETURN TO FOREVERRETURN TO FOREVER
チック・コリア

BRAINBRAIN
上原ひろみ

イン・ラインIN LINE
ビル・フリゼール

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニングザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング
マーク・ジョンソン

タイム・スレッドTME THREAD
小曽根真 & ゲイリー・バートン

フルーツケーキFRUITCAKE
フルーツケーキ

THE DROPPERTHE DROPPER
メデスキ,マーチン&ウッド

Doin' SomethingDOIN' SOMETHING
ソウライヴ

SALT IISALT II
塩谷哲

Dance Your HeartDANCE YOUR HEART
Saya

地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
アンケートボードA

★当ブログについて望むことは?
アルバム単位で批評してほしい
同じ曲をテイク別に批評してほしい
多くのジャズメンを幅広く批評してほしい
一人のジャズメンを掘り下げて批評してほしい
超有名曲をもらさず批評してほしい
発売直後の新作を批評してほしい
初心者を意識したほんわかサイトにしてほしい
マニアを意識したニッチなサイトにしてほしい
オーディオについて批評してほしい



-Mini Vote-
アンケートボードB
How Much Is Your Blog Worth?

My blog is worth
$38,953.26

How much is your
blog worth?

Copyright (C) 2005-2017 アドリブログ All Rights Reserved.