CD批評:エリック・ドルフィー

2007年12月22日

エリック・ドルフィー / アット・ザ・ファイブ・スポット Vol.1 / FIRE WALTZ5

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 『AT THE FIVE SPOT,VOL.1』の1曲目は【FIRE WALTZ】(以下【ファイアー・ワルツ】)。

 
 歴史的名演として名高い【ファイアー・ワルツ】は,エリック・ドルフィーの“神業”について語られることが多いが,ブッカー・リトルマル・ウォルドロンアドリブも負けず劣らず超強烈!
 3人の“果たし合い”的なアドリブの応酬合戦にとりこにされてしまう。

 【ファイアー・ワルツ】の代名詞であるエリック・ドルフィーの“驚愕の”アドリブは,終始全速力! 一瞬たりとも聴き逃せないがマニアとしては2分38秒から41秒の“夢の”フレーズを推す!

 5分17秒からのブッカー・リトル白熱のトランペットや,9分29秒からのマル・ウォルドロンの“力業”のピアノは【ファイアー・ワルツ】以外では,なかなかお耳にかかれないのでは? そういう意味でも真に歴史的な名演であろう。

 3人が最高のアドリブを繰り出すと,こうも激しいジャズが完成するものなのか? NO! 微妙な配合がなければ,こうはいかない。この“絶妙のシャッフル具合”を奇跡と呼ぼう!

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

ERIC DOLPHY : Alto Saxophone
BOOKER LITTLE : Trumpet
MAL WALDRON : Piano
RICHARD DAVIS : Bass
ED BLACKWELL : Drums


Eric Dolphy at the Five Spot, Vol. 1
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2006年01月17日

エリック・ドルフィー / アット・ザ・ファイブ・スポット Vol.1 / THE PROPHET4

アナログレコード

 『AT THE FIVE SPOT,VOL.1』の3曲目は【THE PROPHET】(以下【ザ・プロフェット】)。


 【ザ・プロフェット】は,テーマの異様さにアドリブの連発が加わって,初めてジャズに接する人にはお奨めできない。難解さゆえ,拒絶反応を示すかも知れない。
 しかしひとたびジャズの魅力に“取り憑かれた”人たちには,心おきなく推薦できる。そんな“マニア向け”のトラックである。

 【ザ・プロフェット】の聴き所は,文句なしにエリック・ドルフィーアドリブである。ここでのアルト・ソロは約7分間のロングトーン。じっくりと堪能させてくれる。
 管理人のお気に入りは5分24秒から6分41秒。ちょっぴり長めの紹介となったが,これでも頑張って絞り込んでみたつもり(3分の中程あたりからはずっと聴き所が続いている)。
 「初心者NG」と言うレッテルを貼っておきながらあれだが,エリック・ドルフィー独特の世界を掴もうと思うなら,この部分を繰り返し聴くと良いだろう。
 “本物の”ジャズが何足るかが理解できるはずである。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

ERIC DOLPHY : Alto Saxophone
BOOKER LITTLE : Trumpet
MAL WALDRON : Piano
RICHARD DAVIS : Bass
ED BLACKWELL : Drums


Eric Dolphy at the Five Spot, Vol. 1
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2006年01月16日

エリック・ドルフィー / アット・ザ・ファイブ・スポット Vol.1 / BEE VAMP4

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 『AT THE FIVE SPOT,VOL.1』の2曲目は【BEE VAMP】(以下【ビー・バンプ】)。


 【ビー・バンプ】で,エリック・ドルフィーバス・クラリネットを吹いているが,アルト・サックスと何ら遜色なく吹きこなしている。ゆえに楽器の違いではなく,エリック・ドルフィー特有のフレーズを際立たせる結果となっている点が興味深い。

 が,ここではせっかくなので,バス・クラリネットの特長を生かした“バスクラ吹き”としてのエリック・ドルフィーの“味”を楽しんでほしい。
 特に4分7秒から4分49秒までの“音の高低差”は,エリック・ドルフィーの狙い通り,アルト・サックスでは出せないシロモノ。バス・クラリネットでの連続大ブローは“圧巻”である。

 さて紹介が遅くなってしまったが,このクインテットはエリック・ドルフィーの初めての自己名義,エリック・ドルフィー=ブッカー・リトル・クインテットによるものである。
 見方を変えれば『AT THE FIVE SPOT』は,もう一人のリーダー,ブッカー・リトルを聴くためにある,と言い切っても何ら差し支えない。それで【ビー・バンプ】は,ブッカー・リトルの作曲でもあり,彼のアドリブに注目することで,この夜の演奏全体への理解も深まると言うものだ。

 ブッカー・リトルは,ブロー炸裂タイプのトランペッターではなく,マイナー調の“表現力”が持ち味のトランペッターである。
 そんなブッカー・リトルの魅力が“溢れ出る”前半のトランペット・ソロが【ビー・バンプ】のハイライトだ!

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

ERIC DOLPHY : Bass Clarinet
BOOKER LITTLE : Trumpet
MAL WALDRON : Piano
RICHARD DAVIS : Bass
ED BLACKWELL : Drums


Eric Dolphy at the Five Spot, Vol. 1
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2006年01月14日

エリック・ドルフィー / アット・ザ・ファイブ・スポット Vol.15

アナログレコード

 ジャズは音楽,ジャズは芸術であるのだから,ジャズにおいて“奇抜”という評価はナンセンスだ。しかしナンセンスを承知の上で宣言する。エリック・ドルフィーは奇抜だ!

 これは何もエリック・ドルフィーの為すことやること,その手法,アプローチの仕方についての評価ではない。エリック・ドルフィーのフレーズである。フレーズが“ただものではない”のである。
 初めてエリック・ドルフィーのソロを耳にした時に感じた奇抜さは忘れられない。ほんの数秒で彼独特の世界を構築してしまう。起承転結の読めないアドリブの展開力に,一気に持っていかれてしまった。

 こう書くと,エリック・ドルフィーをフリー・ジャズの旗印とする信奉者に肩入れしているように受け取られかねないので,ここでハッキリと否定しておく。
 エリック・ドルフィージョン・コルトレーンオーネット・コールマンとも共演したし,確かに前衛の影響は受けただろう。しかし管理人に言わせれば,“ハード・バップ”や“モード”の枠内での変化と解釈すべきだ。よってエリック・ドルフィーをフリーと定義するのは反対だ。

 おっと,横路にそれてしまって申し訳ない。とどのつまりエリック・ドルフィーのフレーズは時代を超越した“オンリー・ワン”( by SMAP )だった。
 実際,エリック・ドルフィーの死後,彼を真似した“ドルフィー派”が多数台頭したものだが,ビッグになった“ドルフィー派”を管理人は知らない。そう。エリック・ドルフィーのオリジナリティは真似しようにも真似できないもの,要は“奇抜”なのだ。

 そのエリック・ドルフィーの“奇抜さ”を最高に楽しめるのが『AT THE FIVE SPOT』(以下『アット・ザ・ファイブ・スポット』)シリーズである。このシリーズは正確には4枚の組みCDであるが『アット・ザ・ファイブ・スポット』を名乗るのは『VOL.1』『VOL.2』の2枚である。
 今回は『VOL.1』のCD批評。『VOL.1』には3トラック収められているが,ソロの凄みはもとより,メンバー間のインタープレイとは呼べない“何か”,しかしそうとしか呼びようがない“何か”がスパークして止まらない。この得体の知れない“何か”こそ,モダン・ジャズ史における1つの金字塔だと思う。

 『アット・ザ・ファイブ・スポット VOL.1』は,1・2度聴いてもインパクトを感じるだろうが,真の“凄さ”は数回聴いたぐらいでは分からない。まずはエリック・ドルフィーの“奇抜さ”が耳から抜けるまで聴き込むことだ。
 あるレベルを突き抜けたところに,ジャズ・マニアだけが辿り着く,最高の世界がある。繰り返し聴けば聴くほど“味”が出る,例のアレである。

(1961年録音/VICJ-23511)

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