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CD批評:ウイントン・マルサリス

ウイントン・マルサリス / ウイントン・マルサリスの肖像 / TWILIGHT4

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 『WYNTON MARSALIS』の7曲目は【TWILIGHT】(以下【トワイライト】)。


 【トワイライト】からは,ジャズの“極上”テイストが溢れ出す!
 印象的なチャールス・ファンブローベース・ラインの乗っかってくる,ケニー・カークランドのバッキング・ピアノが冴えわたる。
 ウイントン・マルサリスブランフォード・マルサリスの忠実なハーモニーは,正に現代のジャズ・スタンダード! 聴き応えのある“快演”だ。

 【トワイライト】でのウイントン・マルサリスは,抑えの効いたストレートなプレイ。“不意を打たれて”逆にグッときた。
 2分31秒からのリリカルなトランペットは“自分自身の音”以上に“ジャズの音”にこだわった,バンド・リーダー&アレンジャーとしての一面に魅了されてしまう。
 このままジャズ・シーンを引っ張ってくれ。頑張れ。ウイントン・マルサリス

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

WYNTON MARSALIS : Trumpet
BRANFORD MARSALIS : Tenor Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
JEFF WATTS : Drums
CHARLES FAMBROUGH : Bass


ウイントン・マルサリスの肖像
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ウイントン・マルサリス / ウイントン・マルサリスの肖像 / WHO CAN I TURN TO(WHEN NOBODY NEEDS ME)5

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 『WYNTON MARSALIS』のの6曲目は【WHO CAN I TURN TO(WHEN NOBODY NEEDS ME)】(以下【フー・キャン・アイ・ターン・トゥ(ホエン・ノーバディ・ニーズ・ミー)】)。


 何と美しいトラックなのだろう。これ程美しいトランペットバラードを管理人は他に知らない。

 ウイントン・マルサリスの最高のフレーズをバッキングする,3人のサポートが実に素晴らしい。
 2分1秒から2分52秒までのハービー・ハンコックロン・カーターとのコラボは,この組み合わせでないと成立し得ない,奇跡的な美しさ!

 筆足らずで申し訳ないが,表現のしようがないものはない。一体,これをどう伝えたら良いと言うのか?
 この美しさは有り得ない! 秀逸! 世紀の,そしてジャズ史上最高のバラード!!

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WYNTON MARSALIS : Trumpet
HERBIE HANCOCK : Piano
TONY WILLIAMS : Drums
RON CARTER : Bass


ウイントン・マルサリスの肖像
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ウイントン・マルサリス / ウイントン・マルサリスの肖像 / SISTER CHERYL5

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 『WYNTON MARSALIS』の5曲目は【SISTER CHERYL】(以下【シスター・シェリル】)。


 【シスター・シェリル】は,5人の高い表現力が結実したミディアム・ナンバー。特にロン・カータートニー・ウイリアムスが創りだすグルーヴ感はジャズ特有のアーシーな“あれ”である。

 1分37秒から始まるウイントン・マルサリスのソロ,2分49秒からのハービー・ハンコックのソロ,3分56秒からのブランフォード・マルサリスのソロは互いに自己主張してケンカするのではなく,協調・調和のインタープレイに徹している。
 最初にウイントンが作った流れを,ハンコックブランフォードが引き継いで,自分のアドリブの中に組み入れていく。

 ロントニーのリズム隊も,フロントとの協調・調和を基本としながら“百戦錬磨”の二人だけが感じるであろう,自由かつ堅実なビート! 5人全員が“超一流”! “流石”の一言しかでない。

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WYNTON MARSALIS : Trumpet
BRANFORD MARSALIS : Soprano Saxophone
HERBIE HANCOCK : Piano
TONY WILLIAMS : Drums
RON CARTER : Bass


ウイントン・マルサリスの肖像
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ウイントン・マルサリス / ウイントン・マルサリスの肖像 / HESITATION4

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 『WYNTON MARSALIS』の4曲目は【HESITATION】(以下【ヘジテイション】)。


 【ヘジテイション】は,ロン・カーターベースが冴えわたる,気合いの入ったジャズ・バトルだ。
 ユニゾン終わりの14秒から,終始ロン・カーターマルサリス兄弟をあおりまくる!
 4分43秒からの20秒強のベース・ソロが【ヘジテイション】の真のリーダーがロン・カーターであることを雄弁に証ししている。

 とは言えマルサリス兄弟が交互に織りなすソロの応酬は迫力満点だ。高速アドリブの中にあって,時折変化球のごとく,ゆったりとタメを作ったフレーズに,二人の個性を感じてしまう。

 ブランフォード・マルサリスの1分19秒と2分27秒の2箇所で聴かせる“一鳴き”。
 ウイントン・マルサリスは終始ハイ・レベル。どこか1箇所と言われれば,1分45秒から続くソロ・パートを挙げておこう。

 印象的なテーマのユニゾンだけでも満足なのに,おいしいフレーズ&アドリブの連発ゆえ,一見,兄弟対決とも聴き取れるが,決してそうではない。
 念押しするが,真の対決はフロント対リズム隊!
 【ヘジテイション】での二人は見事な兄弟タッグを披露する。
 敗れはしたが,ロン・カータートニー・ウイリアムスと互角に張り合う姿には,青年の容姿にはまだ似つかない“大物の風格”が漂っている。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

WYNTON MARSALIS : Trumpet
BRANFORD MARSALIS : Tenor Saxophone
TONY WILLIAMS : Drums
RON CARTER : Bass


ウイントン・マルサリスの肖像
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ウイントン・マルサリス / ウイントン・マルサリスの肖像 / RJ4

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 『WYNTON MARSALIS』の3曲目は【RJ】。


 【RJ】は最高にスリリング! 入りのユニゾンからただごとではない。あんなに速いフレーズを,トランペットでこうも完璧に吹けるものか,と度肝を抜かれたことを思い出す。

 その直後,19秒から始まるアドリブがこれまた熱い。連続音を強弱だけで表現し終盤一気に盛り上げるフレージングに,ウイントン・マルサリスジャズ・センスが表われている。

 ただし【RJ】の聴き所はブランフォード・マルサリスにこそある。
 1分35秒からの流ちょうなソプラノ・ソロが凄い。完全に好み。【RJ】でのブランフォード・マルサリスとの出会いは,彼こそウェイン・ショーターの後継者だ,と思わせてくれた。
 勿論,今でもそう堅く信じ応援しているが,近年,ブランフォード・マルサリスの伸び悩みを,正直,案じてもいる。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

WYNTON MARSALIS : Trumpet
BRANFORD MARSALIS : Soprano Saxophone
HERBIE HANCOCK : Piano
TONY WILLIAMS : Drums
RON CARTER : Bass


ウイントン・マルサリスの肖像
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ウイントン・マルサリス / ウイントン・マルサリスの肖像 / I'LL BE THERE WHEN THE TIME IS RIGHT4

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 『WYNTON MARSALIS』の2曲目は【I’LL BE THERE WHEN THE TIME IS RIGHT】(以下【アイル・ビィ・ゼア・ホエン・ザ・タイム・イズ・ライト】)。


 【アイル・ビィ・ゼア・ホエン・ザ・タイム・イズ・ライト】の感動,それはウイントン・マルサリスブランフォード・マルサリスの音色の美しさ。いつでもどこでも,この“音色の美しさ”に心奪われてしまう。

 冒頭で聴かせる,ウイントン・マルサリストランペットの澄みきった音色は,他の何物にも代え難いし,1分18秒から始まるブランフォード・マルサリスの“泣き”のソプラノ・サックスが,これまた素晴らしい。

 勿論,曲の出来も他のメンバーのサポートも実に素晴らしい。絶賛の言葉は幾らでも浮かんでくる。
 しかし…我らはこの音色に出会うために生まれてきたのだ!
 二人の音色だけでKOされてしまう。感情が溢れ出てしまいそう。心も体もシビレだす。

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WYNTON MARSALIS : Trumpet
BRANFORD MARSALIS : Soprano Saxophone
JEFF WATTS : Drums
CLARENCE SEAY : Bass
KENNY KIRKLAND : Piano


ウイントン・マルサリスの肖像
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ウイントン・マルサリス / ウイントン・マルサリスの肖像 / FATHER TIME4

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 『WYNTON MARSALIS』の1曲目は【FATHER TIME】(以下【ファーザー・タイム】)。


 【ファーザー・タイム】は,デビューCDのファースト・トラックということで,ウイントン・マルサリスの名刺代わりにふさわしい。
 スキのないスリリングな展開に,ウイントン・マルサリスの考える“ジャズ観”がギッシリと表現されている。

 イントロのユニゾンからして“超正統派ジャズ”の音・音・音! メンバー全員が同じ目的意識のもと,音を重ね合い,時にぶつけ合っていく! これぞ真のジャズ・スピリッツ! ここが一番の聴き所!
 
 ブランフォード・マルサリスとの細かな掛け合いを終えた直後,1分38秒から始まるウイントン・マルサリストランペット・ソロがリリカルに鳴っている。若干19歳にして,すでに大御所の風格を漂わせる完璧な出来である。
 4分40秒から始まるブランフォード・マルサリステナー・ソロも超強烈! ブローした時の“かすれ加減”でさえほれぼれしてしまう,こちらも完璧な出来である。
 サイドメンの名サポートは置いといて…。この名勝負,読者の皆さんなら兄,弟どちらに軍配をあげますか?

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

WYNTON MARSALIS : Trumpet
BRANFORD MARSALIS : Tenor Saxophone
JEFF WATTS : Drums
CLARENCE SEAY : Bass
KENNY KIRKLAND : Piano


ウイントン・マルサリスの肖像
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ウイントン・マルサリス / ウイントン・マルサリスの肖像5

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 現代のジャズ・ファン全ては,良くも悪くもウイントン・マルサリスに感謝すべきである。
 ウイントン・マルサリスの登場はジャズ史におけるエポック・メイキング,時代の流れを変える衝撃だった。ウイントンの登場なくして,この2006年に熱い4ビート・ジャズを聴くことなどなかったかもしれないからだ。

 時は1982年。フュージョン・ブームの真っ只中。(管理人は当時中学生でしたので,リアルタイムに体験したわけではありません。ここでは勉強の発表会ということにさせてください)。
 マイルス・デイビスウェザー・リポートを筆頭に,それまでジャズの王道を歩み,ジャズという音楽を率先して確立してきたビックネームですら,フュージョンの波にのみ込まれていた。
 そんな時代に“待ったをかけた”! それが『WYNTON MARSALIS』(以下『ウイントン・マルサリスの肖像』)の発表だったのである。

 別にウイントン自身はジャズの革命とか,時代の風雲児を狙ったわけではないことだろう。
 しかし結果として,このCDの発表によってフュージョン・ブームは駆逐されてしまった。時代は再びメイン・ストリーム・ジャズを求めていったのである…。

 以上,簡単なうんちくを土台として早速本題に入ろう,と思ったが,その前に管理人から一言,読者の皆さまに宣言したいことがある。

 「私,セラビーは“ウイントン派”です!!」。

 つ,ついに宣言しちゃいました。こう書くと反ウイントン派からの猛反発を受けることは覚悟の上です。躊躇しましたが,やっぱりウイントン・マルサリスが大好きなんです。
 理由ですか? 理由はいっぱいあって簡単には説明しきれません。ウイントン好きの皆々様,もし管理人が攻め込まれることがありましたら,是非,助け船を出してください。よろしくお願いいたします。
 今回はつたない文章ではありますが,宣言した以上,ここで逃げるわけにもいきませんので,管理人なりに『ウイントン・マルサリスの肖像』を例に説明を加えてみることにします。

 なぜこのCD,そしてウイントン・マルサリスを押すのだろう…。
 それはウイントン・マルサリスジャズ全般に対する造詣の深さが伝わってくるからに他ならない。
 管理人には『ウイントン・マルサリスの肖像』から流れ出す音が,ウイントン一人の音と言うよりも,過去の偉大なトランペッターたちの集大成に聴こえてならない。
 もちろん,各トランペッターはその人にしか出せない色合いを持っている。にもかかわらず,そう聴こえるのは“質”の問題なのだと思う。そう。トランペッターとしての“質”。

 ウイントン・マルサリスはクラシック界からも絶賛されている。テクニックに関しては折紙付きだ。ここがポイント!
 トランペットを完璧にコントロールできるから,ウイントンは自分の出したい音を出す。だからこそ,そこに“ジャズラッパ”が鳴り響く!
 端的に言えば,ウイントン・マルサリスが“ジャズラッパ”を聴かせることができるのは,ジャズそのものを良く知っているからであり,ウイントンならトランペットに限らず,他の楽器をプレイしたとしても素晴らしいジャズを聴かせることができるだろう。
 その証拠は,本CDの随所でジャズ特有のフレージング,ハーモニー,とりわけアドリブの冴えがほとばしっていることから明らかである。

 最後に『ウイントン・マルサリスの肖像』を通じたウイントン最大の功績は“ウイントン・キッズ”なる次世代の若手をメインストリ−ム・ジャズに向かわせたことにある。
 だからこそ,ウイントン・マルサリスジャズが好きであろうとなかろうと,現代のジャズ・ファン全てはウイントン・マルサリスに感謝すべきなのである。
 もし『ウイントン・マルサリスの肖像』の発表がなければ,今夜も過去の遺産ばかりに注目していたのかもしれないのだから…。

(1981年録音/SRCS7482)

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