CD批評:ブランフォード・マルサリス

2005年06月12日

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / HARLEM BLUES (ACAPULCO VERSION)4

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 『MO’ BETTER BLUES』の9曲目は【HARLEM BLUES(ACAPULCO VERSION)】(以下【ハーレム・ブルース(アカプルコ・ヴァージョン)】)。


 【ハーレム・ブルース(アカプルコ・ヴァージョン)】は,1曲目のアレンジ違い。
 ストリングスが全面が押し出される代わりに,ゴッソリとブランフォード・マルサリスのソロが削ぎ落とされている。
 これはシンダ・ウイリアムスの“艶っぽい”ボーカルをフューチャーするためであろう。

 満員のジャズ・クラブで,しかし愛するたった一人の男性を思い浮かべて“歌い上げる”シンダ・ウイリアムスのワンマン(ワンウーマン?)・ショーが心に染み入る。
 彼女の“全身全霊”をかけたステージングが映像として見えてくるような歌声である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE BRANFORD MARSALIS QUARTET FEATURING TERENCE BLANCHARD
BRANFORD MARSARIS : Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

Original Adaptation : Raymond Jones
Vocals by Cynda Williams
Strings Arragement and Conductor : Claire Fisher


モ’・ベター・ブルース
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2005年06月11日

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / JAZZ THING3

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 『MO’ BETTER BLUES』の8曲目は【JAZZ THING】(以下【ジャズ・シング】)。


 【ジャズ・シング】は,ラップ調?の英語詩メインのトラックなので,曲の真偽については定かではないが“バード”で始まり,サッチモビ・バップ,シカゴ,ニューオリンズ,マックス・ローチジョン・コルトレーン…うんぬん叫んでいることからして,ジャズ史を題材にした,文字通りの【ジャズ・シング】。

 ビートに歌詞が乗っかってくる感じはジャズではないのだが,1分5秒と3分23秒で飛び込んでくる,ケニー・カークランドピアノがいい。このパートだけは“JAZZY”を感じさせてくれる。
 スポットで入る,テレンス・ブランチャードトランペットも,カッコイイ。雰囲気がいい。
 ん? なんだかんだ言って【ジャズ・シング】をバッサリと切り捨てることができていない。管理人はやはり小心者である…。

 蛇足。【ジャズ・シング】は,その昔,TOKYO FM『エモーショナル・ビート』のオープニング! どうもその印象が拭いきれない。これ分かる人いるのかな〜。分からないだろうなぁ。

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THE BRANFORD MARSALIS QUARTET FEATURING TERENCE BLANCHARD
BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

GANGSTARR : Vocals
MARK LEDFORD, TAWATHA AGEE, B.DAVID WHITWORTH : Background Vocals
BROOKLYN CROOKS(TOMMY HILL, SWEET D., G-MANN, BORN TRUE, KIWI) : Shout Chorus
PETER HUNSTEIN : Programming, Sequencing and Sampling


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2005年06月10日

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / BENEATH THE UNDERDOGS5

アナログレコード

 『MO’ BETTER BLUES』の7曲目は【BENEATH THE UNDERDOG】(以下【ビニース・ザ・アンダードッグ】)。


 【ビニース・ザ・アンダードッグ】で,ブランフォード・マルサリスは,定番のテナーに加えてソプラノ・サックスも吹いているが,黙って2分6秒から3分24秒までのソプラノ・ソロを聴いてほしい。特に入りの数秒間の“うなり声”が大好きだ。
 ここでのアドリブは,以前の“頭デッカチ”の時代と比べて,かみ砕かれた実に分かりやすい解釈だ。ゆったりと流れつつも緊張感あるアドリブ。これがブランフォード流の“新たなるジャズ”へのアプローチであろう。

 また3分43秒から始まるケニー・カークランドピアノ・ソロが楽しい。見事な快演である。
 テレンス・ブランチャードトランペットもイントロから高度なフレーズ満載で,さすがは将来を嘱望されるだけのことはある。彼の実力がいかんなく発揮されている。

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THE BRANFORD MARSALIS QUARTET FEATURING TERENCE BLANCHARD
BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet


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2005年06月09日

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / POP TOP 403

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 『MO’ BETTER BLUES』の6曲目は【POP TOP 40】(以下【ポップ・トップ40】)。


 【ポップ・トップ40】のメインは,デンゼル・ワシントンのRAPであるが,次々とバックから繰り出される,ジャズの名フレーズ。そう。【ポップ・トップ40】の実態は【ジャズ・トップ40】なのである。

 3分23秒と3分38秒からは,マンハッタン・トランスファーの【トワイライト・ゾーン】が流れてくるから【ポップ・トップ40】でもいいのかもしれない。
 でも“ジャズ風”に聴こえるのは“ハプニング”連続の構成にある。そう。トラックの造り込みが“ポップス”ではなく,完全に“ジャズ”しているのである。
 突然舞い降りるメジャー・フレーズに“ニヤついた”ものだ。

 しかし管理人の評価はNGである。聴き込んでいるうちに,例の“ハプニング”連続の構成が“あざとく”聴こえてきた。やっぱりジャズの魅力は“自然発生的な”アドリブでなくっちゃね!

 トラック批評からは外れるが,ここで一言! ブランフォード・マルサリスは広義には,コルトレーンショーター・ラインのテナー奏者である。
 しかし2分57秒からはソニー・ロリンズの【モリタート】! ブランフォードも“ロリンズ・フリーク”の一人でした。新発見!

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THE BRANFORD MARSALIS QUARTET FEATURING TERENCE BLANCHARD
BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

DENZEL WASHINGTON and WESLEY SNIPES : Vocals


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2005年06月08日

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / MO' BETTER BLUES5

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 『MO’ BETTER BLUES』の5曲目は【MO’ BETTER BLUES】(以下【モ’・ベター・ブルース】)。


 朗々と,ゆったりと上質の時間が流れていく!
 【モ’・ベター・ブルース】の楽しみは,ジャズに“酔いしれる”楽しみそのものだ。

 ブランフォード・マルサリス・クインテットの全員が,ジャズを“演る”楽しみを「かみしめる」演奏。
 豪快にアドリブを決めまくる演奏も楽しいが【モ’・ベター・ブルース】のように,丁寧に音を重ね合うハーモニーを楽しむのも「いとをかし」である。

 とりわけ【モ’・ベター・ブルース】から受ける印象は,メンバーの笑顔・笑顔・笑顔! 全員が“ジャズ・ブルース”を実に楽しそうにプレイする。
 強いられて“嫌々音を合わせたジャズ”程つまらないものはないが,自ら進んで“調和”と“一致”を追い求めるジャズ! そう。これが「大人」の演奏であり,実に素敵である。

 リズムも含めて全てがいいのだが,最後の最後のケニー・カークランドの一音! この一音に【モ’・ベター・ブルース】の全てが凝縮されている。名演である。

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THE BRANFORD MARSALIS QUARTET FEATURING TERENCE BLANCHARD
BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet


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2005年06月07日

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / AGAIN NEVER5

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 『MO’ BETTER BLUES』の4曲目は【AGAIN NEVER】(以下【アゲイン・ネバー】)。


 『MO’ BETTER BLUES』のどのような場面で使われているのかは知らないのだが【アゲイン・ネバー】を聴いていると,管理人なりの映画の1シーンを思い描いてしまう。

 その場面とはこうだ! ジャズを愛しトランペットを愛する,将来を嘱望された主人公。
 ある日,幼ない子供を助けるために身を挺して不慮のケガ。あろうことか右手が負傷し,もうトランペットは吹けない,と医師から宣告されてしまう。絶望の淵に沈む主人公。
 もう人生は終わりだ,とばかりにバーボンに明け暮れる毎日。しかし財布の中には今でも“マイルス”の写真がしのばせてある…。そう。どうしてもジャズトランペットが好きで忘れられないのだ。
 無意識のうちに人気のない河川敷へと足が向く。夕陽に向かって一音吹く。出た,最高の音が出た! と,歓びもつかの間。右手が以前のようには動いてくれない。またも奈落の底へと突き落とされてしまう。
 しかしもうあきらめない。右手がだめなら左手があるさ。いざ,レフト・ハンドのトランペッターへ!
 根性の猛練習で奇跡のカムバック! 世紀のアドリブ! ジャズ・ジャイアントの誕生である。ねっ,素敵でしょ?

 なぁんてね。誠に自分勝手な“思い込み”というやつで,空想&妄想の頂点! でもこんな映画なら見てみたいでしょ? 誰かこんなジャズ映画作ってくれないかなぁ。あっ,『MO’ BETTER BLUES』。そう。『MO’ BETTER BLUES』! やっぱりスパイク・リーである。
 管理人は,こんな“インスピレーション”を与えてくれる【アゲイン・ネバー】が大好きである。溢れ出る“ジャズ愛”に“ジーン”と感動してしまうのである。

 テレンス・ブランチャードの“哀愁”のトランペットに,ブランフォード・マルサリスの“黄昏”のソプラノ・サックスが実に良く合う。この“渋め”のトーンが全編を支配していく。
 そこへ“割って入る”ケニー・カークランド! このピアノが実にいい。1分51秒からのソロは“弾きすぎず&引きすぎず”。自然なテンションの上がり方に感情移入してしまう。

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THE BRANFORD MARSALIS QUARTET FEATURING TERENCE BLANCHARD
BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
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2005年06月06日

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / KNOCKED OUT THE BOX4

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 『MO’ BETTER BLUES』の3曲目は【KNOCKED OUT THE BOX】(以下【ノックト・アウト・ザ・ボックス】)。


 【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は,ブランフォード・マルサリスによる自作曲ではあるが,ブランフォード自身の出番はない。不思議なことに,ただの一度もない。まるでブランフォード抜きのブランフォード・マルサリス・カルテット。サビ抜きの“大トロ”がテレンス・ブランチャードなのである。
 そう。【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は「ブランフォード・マルサリス・プレゼンツ・テレンス・ブランチャード・カルテット」による演奏なのであるる。 ← プロデュースではなくプレゼンツという点がミソ。(ちなみにプロデュースはデルフィーヨ・マルサリス)。

 これはブランフォード・マルサリスが考える,テレンス・ブランチャードの長所を生かしきるためのトラック! ブランフォード・マルサリスが(無論,多くのジャズ・ファンが)聴いてみたいと思うテレンス・ブランチャードがここにいる!
 そう。【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は,ブランフォード・マルサリスからジャズ・ファンへの“贈り物”なのである。

 テレンストランペットには,やはり“ポスト・ウイントン・マルサリスはこの男しかいない”と思わせる何かがある。
 特に46秒からラストまでの怒濤のフレージングは,聴き手に息つく暇さえ与えない。惚れ惚れする完成度。素晴らしい!

 加えてジェフ・ワッツドラミングが,これまた素晴らしい。バックからテレンス・ブランチャードトランペットをあおりまくる。他の3人を“置いてけぼり”にする,トランペットドラムの名勝負!

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2005年06月05日

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / SAY HEY4

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 『MO’ BETTER BLUES』の2曲目は【SAY HEY】(以下【セイ・ヘイ】)。


 【セイ・ヘイ】からは,冷静に計算されつつも熱い“現代ジャズのテイスト”が,それも“上質の味わい”がする。

 ユニゾンによるテーマが“いい感じ”のジャズなのだが,それ以上にソロ回しがかっこいい。
 27秒からはテレンス・ブランチャード。リズムに乗った伸びのあるフレーズがビシビシ・キマッテ・カッコイイ。
 1分18秒からはブランフォード・マルサリス。こちらは“流ちょうな”テナー・サックスがリズム隊を追い越し,リードし,自分の世界を造り出す。

 特質すべきは,二人のソロの一貫性。テレンスが用意した“美味な”アドリブブランフォードが仕上げていく。名コラボゆえの一級品の完成である。
 綿密なリハーサルをこなしての録音であろうが,聴こえてくるのは“初めてプレイしたかのような”緊張感。この緊張感がピアノベースドラムにも伝染した“熱演”である。
 トランペット・ソロの36秒でも,テナー・ソロの1分45秒でも,バックから,メンバーの“うなり声”が聴こえてくる! それが“熱演を物語る”揺るがぬ証拠である。

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THE BRANFORD MARSALIS QUARTET FEATURING TERENCE BLANCHARD
BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
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JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet


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2005年06月04日

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / HARLEM BLUES4

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 『MO’ BETTER BLUES』の1曲目は【HARLEM BLUES】(以下【ハーレム・ブルース】)。


 【ハーレム・ブルース】は映画主題歌でもある美しいボーカル・ナンバー。
 ブランフォード・マルサリスソプラノ・サックスを吹いているが,シンダ・ウイリアムスへの素晴らしいサポート,間奏でのアドリブ,そのどちらもが素晴らしい!
 特に3分2秒からのソロと曲の終わりを締めるソロが聴き所。

 しかしシンダ・ウイリアムスの本業は女優であるのに,歌が上手! 普段ボーカルものはほとんど聴かないせいなのか,管理人の心に染みてきた。
 参考までに日本女優でも柴咲コウの歌は好きである(本当にどうでもいい話です)。

 このようにアドリブログは文章もアドリブ。乱文,乱筆。
 管理人は楽器の演奏はできないので,せめて筆を楽器として自由にインプロヴァイズさせてくださいね!

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THE BRANFORD MARSALIS QUARTET FEATURING TERENCE BLANCHARD
BRANFORD MARSARIS : Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
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TERENCE BLANCHARD : Trumpet

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Vocals by Cynda Williams
Strings Arragement and Conductor : Claire Fisher


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2005年06月03日

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース4

アナログレコード

 2005年6月,今旬な話題の一つに若貴兄弟がある。共に横綱として角界をリードしてきた兄弟の異変ぶりに,マスコミも大バッシングである。
 さて,ジャズ界の若貴兄弟と言えば,ブランフォードウイントンマルサリス兄弟だろう。著名な父に弟子入りしたこと。兄の実力を認めつつも,どちらかと言えば弟の陰に隠れがちなこと。出世も弟が早かった。そして仲むつまじかった兄弟のまさかの決裂…と,花田家とマルサリス家には多くの共通点がある。

 今回はマルサリス家の“おにいちゃん”こと,ブランフォード・マルサリスについて紹介する。
 デビュー当初のブランフォード・マルサリスは,ウイントン・マルサリスと組んでメインストリート・ジャズの復権に貢献した。
 しかしブランフォード・マルサリスの名を世に知らしめたのは「他流試合」(若乃花がスポーツキャスターへと転身したこととは無関係だが)である。それはつまりスティングとの共演であり,この『MO’ BETTER BLUES』(以下『モ’・ベター・ブルース』)での映画音楽である。

 若乃花もそうであるが,ブランフォード・マルサリスジャズの王道を踏み外したことは,個人的には残念でならない。というのも頑固なジャズ・ファンは,一度“売れ線”に手を染めた者は,その後よっぽどのジャズ・アルバムを制作しない限り“色物扱い”されるからである。
 すでに管理人もその影響にさらされてしまったのか,ブランフォード・マルサリスの代表作として“悲しいかな”『モ’・ベター・ブルース』を挙げざるを得ない。

 このサウンド・トラックは,ブランフォード・マルサリスのレギュラー・カルテットに,トランペットテレンス・ブランチャードを加えたクインテット編成だ。そう。ピンと来る人も多いと思うが,このバンドはウイントンの代役にテレンス・ブランチャードを迎えた,旧ウイントン・バンドなのである。
 この辺りが実に興味深い! 特にテレンス・ブランチャードウイントン・マルサリスのライバル格としてデビューしたのだから,この辺りもまた若貴兄弟と相通じるものがあるのかもしれない。

 さて,今回はブランフォード・マルサリスの,しかもサウンド・トラックを取り上げてみた。
 かなりの変化球であることは承知しているが,時流に乗っかるのがブログの強みだろうし,軽やかなスタイルもジャズっぽいので“良し”としたが,いかがなものか?
 読者の反応がちょっぴり気になる小心者の管理人である。

(1990年録音/CSCS5358)

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