アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:ブランフォード・マルサリス

ブランフォード・マルサリス / メタモルフォーゼン5

METAMORPHOSEN-1 若かりし頃は「メインストリート・ジャズ」のみならず,異種格闘技にも積極的にチャレンジしていたブランフォード・マルサリスだが,近年はレギュラー・カルテットでの活動に専念して,在りし日のジョン・コルトレーンの“衣鉢を継ぐ”ような演奏に徹底的な“拘り”を見せている。

 そんなブランフォード・マルサリスカルテットによる,現代の“まったくもってオリジナルな”コルトレーン・サウンドの最高峰が『METAMORPHOSEN』(以下『メタモルフォーゼン』)である。

 ズバリ,管理人は『メタモルフォーゼン』こそが,ブランフォード・マルサリスの人間性が醸し出されたジャズだと思っている。
 非常に高度なことを演っているのに難解で独りよがりでもない「メインストリート・ジャズ」の「王道中の王道」である。あの絶頂期のジョン・コルトレーンカルテットがそうであったように…。

 『メタモルフォーゼン』におけるブランフォード・マルサリスは,もはや1人のジャズサックス・プレイヤーの存在を超えている。
 極論を語れば,サックスなしに『メタモルフォーゼン』のようなアルバムが作れるのなら,ブランフォード・マルサリスサックスを吹くことさえやめてしまうように思える。もはやサックスがどうのこうのいう次元を越えて“ブランフォード・マルサリスの音”が鳴っていると思うのだ。

 モーダルかつハードでアップテンポな破壊力を持つ曲からソフトでメロディアスなバラードに至る「表現の幅とレンジの広さ」。勢いだけではなく落ち着きも兼ね備えた「緩急自在のタイム感」。
 「メインストリート・ジャズ」に求められる資質を全てブチ込んできた「王道の中の王道」が“ブランフォード・マルサリスの音”であり『メタモルフォーゼン』の音なのである。

 ブランフォード・マルサリステナーサックスアルトサックスソプラノサックスジョーイ・カルデラッツォピアノエリック・レヴィスベースジェフ“テイン”ワッツドラムが有機的に絡み合い,想像力を刺激し合い,原曲のモチーフを大きく育て上げていく。

METAMORPHOSEN-2 譜面通りではないのだろう。ノリや勢いだけでもないのだろう。実に見事なカルテットの一体感は,ブランフォード・マルサリスカルテットの全員が,ブランフォード・マルサリスの考えを察知でき,ジョーイ・カルデラッツォの考えを察知でき,エリック・レヴィスの考えを察知でき,ジェフ“テイン”ワッツの考えを察知できた結果であろう。

 『メタモルフォーゼン』は,曲のイメージをメンバー4人が共有しつつ,メンバー各自の奏でた音の表情,強弱を注意深く聴き分けながら演奏が進んでいく。
 「短かすぎず冗長すぎずの演奏密度の濃さ」で表現されていく,ブランフォード・マルサリスカルテットのパワーと理解力が最高に素晴らしい。

  01. The Return of the Jitney Man
  02. The Blossom of Parting
  03. Jabberwocky
  04. Abe Vigoda
  05. Rhythm-a-Ning
  06. Sphere
  07. The Last Goodbye
  08. And Then, He Was Gone
  09. Samo

(マルサリス・ミュージック/MARSALIS MUSIC 2009年発売/UCCM-1167)
(ライナーノーツ/中川ヨウ)

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ブランフォード・マルサリス / レクイエム〜ケニー・カークランドに捧ぐ4

REQUIEM-1 『REQUIEM』(以下『レクイエム〜ケニー・カークランドに捧ぐ』)について語る時,ケニー・カークランドは外せない。
 そう。ケニー・カークランドのラスト・レコーディング。ケニー・カークランドへの追悼盤…。

 ズバリ『レクイエム〜ケニー・カークランドに捧ぐ』の聴き所は,ケニー・カークランドピアノに触発されたブランフォード・マルサリステナートリオ名演にこそある。

 新伝承派を代表するピアニストケニー・カークランドなら,これ位の演奏などごまんとある。
 元来,ケニー・カークランドブランフォード・マルサリスのレギュラー・ピアニスト。最上級のコンビネーションから繰り出されるアドリブに“凄み”は感じるが“狂気”は感じない。世評を信じるでない。ケニー・カークランドが「遺作」を意識するはずなど毛頭ないのだから…。

 しかし「遺作」にして「遺作」意識のないピアノに“狂気”が漂うは否定できない。ケニー・カークランドのタイム感がブランフォード・マルサリステナートリオとずれているのだ。
 ケニー・カークランドがずれているのではない。ケニー・カークランドは以前のレギュラー・ピアニストのタイム感で演奏しているのだが,ブランフォード・マルサリステナートリオが変化している。進歩している。以前のテナートリオに合わせようとしたケニー・カークランドが,結果ずれてしまっている。結果興味深い演奏に仕上がっている。
 
 『レクイエム〜ケニー・カークランドに捧ぐ』におけるケニー・カークランドピアノカルテットの一部というより客演である。
 ブランフォード・マルサリステナートリオの自由度の高さはピアノレスから来ている。リズム隊がタイム・キープしつつも,その許容範囲の範疇で,例えば半拍ずつ上げ下げしてブランフォード・マルサリスへメッセージを送り出す。 

 ブランフォード・マルサリスは見事にパルスを捉えているがケニー・カークランドは捉えきれていない。それでしょうがなく?ケニー・カークランドが“フリージャズ”を弾いている。
 この全てが世評で語られるケニー・カークランドの“狂気”の正体であって“本当の狂気”など存在してはいない。

REQUIEM-2 いつもならこのズレを修正するため「テイク2」。しかしアルバムのレコーディング中にケニー・カークランドが急死。ゆえに最初のレコーディング・セッションのファースト・テイクがアルバム・テイク。【DOCTONE】がフェイドアウトで終わるのは,この辺の事情を反映したものかも?

 ブランフォード・マルサリスが『レクイエム〜ケニー・カークランドに捧ぐ』について語る時“未完の傑作”という位置付けで語られているが“未完”こそが“傑作”であり,失敗も成功も未完も完成も含めて“ジャズ”なのである。
 その意味で『レクイエム〜ケニー・カークランドに捧ぐ』は“結果オーライ”端正美のフリージャズ

 まだ頭でやっているのかなぁ。それはまずないなぁ。名盤連発なのだから分かってて敢えてやっているとしか思えないよなぁ。またブランフォード・マルサリスに関心失くしてしまったかなぁ。

PS 【16TH ST.BAPTIST CHURCH】の本編終了後にひっそりと挟み込まれたブランフォード・マルサリスソプラノサックスケニー・カークランドピアノデュエットに『REQUIEM』を実感して涙してしまいます。もっともっとケニー・カークランドデュエットを聴いてみたかったと心底思います。

  01. Doctone
  02. Trieste
  03. A Thousand Autumns
  04. Lykief
  05. Bullworth
  06. Elysium
  07. Cassandra
  08. 16th St. Baptist Church

(ソニー/SONY 1999年発売/SRCS 8907)
(ライナーノーツ/ブランフォード・マルサリス,デルフィーヨ・マルサリス,キース・ジャレット,中川燿)

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ブランフォード・マルサリス・トリオ / ザ・ダーク・キイズ5

THE DARK KEYS-1 グラミー受賞の駄盤=『ブルース・ウォーク』で,ブランフォード・マルサリスから離れてしまった管理人。

 『THE DARK KEYS』(以下『ザ・ダーク・キイズ』)を手にしたのは発売後10年ぐらい経ってからのことである。手に取った理由もブランフォード・マルサリス目当てではない。“アイドル”ケニー・ギャレット目当てであった。

 『ザ・ダーク・キイズ』を聴いて,管理人は激しく後悔した。「なんであの時,ブランフォードから離れてしまったのだろう…」。
 そう。『ザ・ダーク・キイズ』に巡り会うための「失われた13年」に激しく後悔した。ブランフォード・マルサリスは,浮気をしたり道を踏み外したりしながらも,しっかりと“ジャズ・サックス”の王道を歩み続けていたのだった。

 『ザ・ダーク・キイズ』は,ブランフォード・マルサリス・「トリオ」名義。昨今では珍しいピアノレスのテナートリオ
 テナートリオは劇薬であるが,ブランフォード・マルサリステナーサックスは正攻法。『ザ・ダーク・キイズ』でブランフォード・マルサリスが“巨匠”ソニー・ロリンズに挑んでいる。

 そう。『ザ・ダーク・キイズ』の聴き所は,ブランフォード・マルサリスの放つ“ロリンズばりな”インプロビゼーション
 ブランフォード・マルサリスアドリブドン・チェリーに影響されまくっていた頃のソニー・ロリンズな感じ。ズバリ『ザ・ダーク・キイズ』の本質は,ブランフォード・マルサリスの考える“フリージャズ”なのである。

 テナーサックスソプラノサックスブランフォード・マルサリスが,ベースレジナルド・ヴィールドラムジェフ・ワッツの2人と,インプロビゼーションしながらの自分自身と,そう,3人なのにあたかも4人と会話している感じ。

 『ザ・ダーク・キイズ』におけるフリージャズに“ブランフォードの個性”が聴こえる。つまり『ザ・ダーク・キイズ』は,アヴァンギャルドな感じのフリーではなく,しっかりとした理論や演奏技法を身につけた上でのフリーなのだ。

 一聴,自由にアドリブが展開しているようにも聴こえるが,繰り返し聴き込むと,演奏している3人にしか分からない約束事があるように思えてしまう。こんなに破綻のない展開のアドリブが,何の約束事もなく流れているとはにわかに信じられない。3人の中の1人がソロを取る際のサポートの音使いが,もうツボ&ツボ&ツボ! これは凄い!
 ケニー・ギャレットと,こちらも最高レベルの刺客=ジョー・ロバーノ名演が見事に霞んでしまっている。

THE DARK KEYS-2 管理人の結論。『ザ・ダーク・キイズ批評

 ブランフォード・マルサリスは常々このように述べている。「サキソフォン・プレイヤーの前に音楽家であれ」と…。
 その意味で『ザ・ダーク・キイズ』こそブランフォード・マルサリスの“最高傑作”である。

 『ザ・ダーク・キイズ』で聴こえるテナートリオこそ,ブランフォード・マルサリスの“魂の鼓動”である。
 『ザ・ダーク・キイズ』で「ジャズの原点」に立ち戻ったブランフォード・マルサリスが,以前にも増して“ストイックなジャズマン”然していると思う。

 ブランフォードよ,お願いだからもう2度とジャズから離れないでおくれ〜!(止めても無理なことは分かっていますが!)。

  01. THE DARK KEYS
  02. HESITATION
  03. A THOUSAND AUTUMNS
  04. SENTINEL
  05. LYKEIF
  06. JUDAS ISCARIOT
  07. BLUTAIN
  08. SCHOTT HAPPENS

(ソニー/SONY 1996年発売/SRCS 8220)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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ブランフォード・マルサリス / ブルース・ウォーク3

I HEARD YOU TWICE THE FIRST TIME-1 『CRAZY PEOPLE MUSIC』で,ウイントン・マルサリスに追いついたブランフォード・マルサリス
 通常であれば,あのまま「メインストリート・ジャズ」の王道を走り続けて“新伝承派”のリーダーを目指してもよいはずであるが…。

 『CRAZY PEOPLE MUSIC』後のブランフォード・マルサリスの振り幅が凄い! スパイク・リーのサウンド・トラック『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』! 『モ’・ベター・ブルース』『鬼ババを殺せ』で映画俳優デビュー! そして全米NBC「トゥナイト・ショー」のミュージック・ホスト就任!

 いや〜,スティングのバンド・メンバー時代から,同じ兄弟にして,ブランフォードウイントンとは対極のキャリアを積み重ねてきていたが,ことソロ・アルバムに関してはウイントンと同じく「メインストリート・ジャズの王道」を追及していたわけで…。
 どっちのブランフォード・マルサリスが本当のブランフォード・マルサリスなのか,理解不能に思う。

 そうして届けられた“爆弾”が『I HEARD YOU TWICE THE FIRST TIME』(以下『ブルース・ウォーク』)。
 今度はブルースですよ。B.B.キングですよ。一体なんで&なんでこうなるの〜。

 世評的には『ブルース・ウォーク』は大名盤。なんたってグラミー受賞(最優秀器楽ジャズ・グループ部門受賞)。
 しか〜し『ブルース・ウォーク』に対する管理人の評価は駄盤である。事実『ブルース・ウォーク』以降,あんなに好きだったブランフォード・マルサリスへの興味が失せてしまった。

 『ブルース・ウォーク』の本質は,完全なるブルース・アルバムではない。ベースボブ・ハーストドラムジェフ・ワッツ擁するレギュラー・トリオでの演奏や,ピアノケニー・カークランドが加わったカルテットでの演奏が3割はある。
 そうしてこれも意味不明なのだが,反“新伝承派”に振れたにも関わらずウイントン・マルサリスがゲスト参加。この2人の関係性は今もって謎である。

 そう。『ブルース・ウォーク』の本質は“ジャズ・テイスト”なブルース・アルバム。
 別に目くじら立てることもないのだが“ジャズ・サックス・プレイヤー”ブランフォード・マルサリスへの期待値が高かっただけに「裏切られた気分」がMAX。

I HEARD YOU TWICE THE FIRST TIME-2 世評に違わず『ブルース・ウォーク』を冷静に,そして客観的に聴くことができれば,良質のアドリブが聴こえてくるのは分かっている。
 中原仁小川隆夫が共通してライナーノーツで指摘している通り「ジャズブルースも根っ子は同じ」なのも分かっている。
 でもそれでもどうしても「NO THANK YOU」なのだ。

 管理人がブランフォード・マルサリスに求めているのはアドリブである。ジョン・コルトレーンソニー・ロリンズウェイン・ショーターへのオマージュを感じさせつつも,ブランフォード・マルサリスだけが吹き切ることのできるアドリブがある。
 果たしてそのアドリブは,絶対に「ジャズフュージョンの文脈」でなければ吹き切ることはできない!

  01. Brother Trying To Catch A Cab (On The East Side)
     Blues

  02. B.B.'s Blues
  03. Rib Tip Johnson
  04. Mabel
  05. Sidney In Da Haus
  06. Berta, Berta
  07. Stretto From The Ghetto
  08. Dance Of The Hei Gui
  09. The Road You Choose
  10. Simi Valley Blues

(ソニー/SONY 1992年発売/SRCS 5976)
(ライナーノーツ/中原仁,小川隆夫,デルフィーヨ・マルサリス)

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ブランフォード・マルサリス / クレージー・ピープル・ミュージック5

CRAZY PEOPLE MUSIC-1 『CRAZY PEOPLE MUSIC』(以下『クレージー・ピープル・ミュージック』)の真髄は,ブランフォード・マルサリスによるジョン・コルトレーンのフォロワー=“コルトレーン・チルドレン”宣言作である。

 【MR.STEEPEE】は【MR.P.C.】であるのだろうし【THE BALLAD OF CHET KINCAID】は【SO WHAT】であるのだろうし…。

 「THIS IS BRANFORD MARSALIS」のビッグ・ネームにして,ジョン・コルトレーンのフレーズを完コピしたものをアルバム化してしまう手法もかなり大胆極まりない。
 いいや,そんなこと管理人が言わなくても周りもみんな分かっている。ブランフォード自身も分かっている。腹が据わったのだ。覚悟を決めたのだ。

 そう。ブランフォード・マルサリスは,ジョン・コルトレーンの「研究成果」に自信を持っている。先行するマイケル・ブレッカーの独走に待ったをかけるために?
 邪心であるが『クレージー・ピープル・ミュージック』をマイケル・ブレッカーがどんな思いで受け止めたのかに一番の関心があるのだが…。

 『クレージー・ピープル・ミュージック』におけるブランフォード・マルサリスジョン・コルトレーン「研究」は素晴らしい。フレージングの成り立ちが「コルトレーン式」であるのは当然として「楽器ではなく心で演奏する。魂で演奏する」ジョン・コルトレーンの“精神性”が色濃く乗り移っている。

 ベースボブ・ハーストドラムジェフ・ワッツピアノケニー・カークランドケニー・カークランドがこれまた最高!)とジョン・コルトレーンが共演していると思える瞬間が多々ある。
 いや〜『クレージー・ピープル・ミュージック』を聴いていると,ジョン・コルトレーンが「現代に甦った」ような錯覚を抱く。それほどまでにブランフォード・マルサリスの演奏にジョン・コルトレーンの魂が“宿っている”。

CRAZY PEOPLE MUSIC-2 管理人の結論。『クレージー・ピープル・ミュージック批評

 ジョン・コルトレーンを追いかけ続けたブランフォード・マルサリスが『クレージー・ピープル・ミュージック』でジョン・コルトレーンに追いついた。

 ジョン・コルトレーンに追いついた瞬間,ウイントン・マルサリス・バンドのレギュラー・メンバー=ボブ・ハーストジェフ・ワッツブランフォード・マルサリスを見つめている。

  ジョン・コルトレーンを追いかけ続けたブランフォード・マルサリスが『クレージー・ピープル・ミュージック』で,弟・ウイントン・マルサリスにも追いついた。

  01. SPARTACUS
  02. THE DARK KNIGHT
  03. WOLVERINE
  04. MR. STEEPEE
  05. ROSE PETALS
  06. RANDOM ABSTRACT
  07. THE BLLAD OF CHET KINCAID

(CBSソニー/CBS/SONY 1990年発売/CSCS 5196)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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ブランフォード・マルサリス / ルネッサンス4

RENAISSANCE-1 管理人はブランフォード・マルサリス3RDアルバム=『RENAISSANCE』(以下『ルネッサンス』)の真髄は,ライナーノーツのクレジットの記述に隠されていた,という結論に達した。

 ブランフォード・マルサリスライナーノーツのクレジットの中に「SPECIAL THANKS」欄をいつも設けているのだが,1STアルバム=『SCENES IN THE CITY』では,父親や兄弟など親族の名前ばかりが並んでいた。
 2NDアルバム=『ROYAL GARDEN BLUES』では,親族に加えてデイブ・リーブマンの名前を見つけることができた。

 そして,この3RDアルバム=『RENAISSANCE』は「SPECIAL THANKS」は,初見の親族の名前が並んでいると思われるが“目玉”は「VERY SPECIAL THANKS」にクレジットされた“ジャズ・ジャイアント”5名=ジョン・コルトレーンチャーリー・パーカーソニー・ロリンズベン・ウエブスターウェイン・ショーターサックス奏者!

 そう。『ルネッサンス』こそが,ブランフォード・マルサリスの考える“ジャズサックス”! 演奏曲目の中にジャズスタンダードを初めて取り入れているのは,過去の遺産の継承であろう。正しく『ルネッサンス』!
 全く新しく突飛なことを始めるのではなく,ジャズの歴史の中に脈々と流れている最良の部分を自身の演奏に取り入れる“新伝承派”の『ルネッサンス』!
 古典文芸や学術の復興=ブランフォード・マルサリスの『ルネッサンス』は,ジャズの伝統に立ち戻り,そこに新しい彩りを付け加えている。

 ジョン・コルトレーンブランフォード・マルサリスの【LOVE STONE】と【CITADEL】。チャーリー・パーカーブランフォード・マルサリスの【THE WRATH(STRUCTURED BURNOUT)】。ソニー・ロリンズブランフォード・マルサリスの【JUST ONE OF THOSE THINGS】と【ST.THOMAS】。ベン・ウエブスターブランフォード・マルサリスの【LAMENT】。ウェイン・ショーターブランフォード・マルサリスの【THE PEACOCKS】。

RENAISSANCE-2 『ルネッサンス』の後,生涯をかけてジョン・コルトレーンを追いかけ続けることになるブランフォード・マルサリスであるが『ルネッサンス』の時点ではジョン・コルトレーンよりもソニー・ロリンズからの影響が大。

 【ST.THOMAS】におけるブランフォード・マルサリステナーソロには,あの日のロリンズが息づいている! 「VERY SPECIAL THANKS」!

  01. JUST ONE OF THOSE THINGS
  02. LAMENT
  03. THE PEACOCKS
  04. LOVE STONE
  05. CITADEL
  06. THE WRATH (STRUCTURED BURNOUT)
  07. ST. THOMAS

(CBSソニー/CBS/SONY 1987年発売/32DP 878)
(ライナーノーツ/市川正二)

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ブランフォード・マルサリス / ロイヤルガーデン・ブルース4

ROYAL GARDEN BLUES-1 自分の感性をストレートに表現した結果「ジャズの伝統」を背負うようになってしまった大男が,ブランフォード・マルサリスである。

 ブランフォード・マルサリス2NDアルバム=『ROYAL GARDEN BLUES』(以下『ロイヤルガーデン・ブルース』)に漂う“伝統と斬新さの同居”が世界中の熱心なジャズ・ファンを熱狂させた。
 もはや「神輿」状態。ウイントン・マルサリスのNEXTはブランフォード・マルサリスを担ぎ上げ〜。

 うん。でもそうなる気持ちも理解できる。“天才”ウイントン・マルサリスに共感できなかったジャズ・ファンでも“秀才”ブランフォード・マルサリスになら共感できる。
 “身近なお兄さん”ブランフォード・マルサリスに「ジャズの未来」と「自分の未来」を思い重ねる。それが日本のジャズというものだ。

 『ロイヤルガーデン・ブルース』におけるブランフォード・マルサリステナーサックスソプラノサックスには「ジャズの伝統」が見え隠れしている。
 NO。ジャズだけではない。スティングとの共演を得て洗練された,ポップでロックでブルージーなスタイル,までをも呑み込んで「THIS IS BRANFORD MARSALIS」のサックスが鳴っている。
 この全てが新鮮で爽快なのに「重心が低い」テナーサックスソプラノサックスがたまらない!

 そう。この「重心の低さ」こそ“新伝承派”ブランフォード・マルサリスの真骨頂! モード・スケール・エクササイズ的なメカニカルなフレーズは生まれ育った,ウイントン・マルサリスクインテットでも活躍した,拭い去れない家庭環境による影響があろうが,そこにスティングのバンド・メンバーとしても活躍した「ジャズの伝統」を超えた「新世代の日常」の音まで聴こえてくる。

ROYAL GARDEN BLUES-2 管理人の結論。『ロイヤルガーデン・ブルース批評

 『ロイヤルガーデン・ブルース』はブランフォード・マルサリス版“逆バック・トゥ・ザ・フューチャー”。

 新時代のアプローチにまず耳が奪われるが,繰り返し聴き込むたびに感じる「ジャズの伝統」。
 「昔の古いジャズって,こんなに新しかったんだ!」。ブランフォードよ,ありがとう。

  01. SWINGIN' AT THE HAVEN
  02. DIENDA
  03. STRIKE UP THE BAND
  04. EMANON
  05. ROYAL GARDEN BLUES
  06. SHADOWS
  07. THE WRATH OF TAIN

(CBSソニー/CBS/SONY 1986年発売/32DP 637)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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ブランフォード・マルサリス / シーンズ・イン・ザ・シティ4

SCENES IN THE CITY-1 「ウイントン・マルサリス命」の管理人にとっては,ブランフォード・マルサリスも当然「命」。(適度に)ご贔屓しております。

 ゆえにブランフォード・マルサリスデビューCD=『SCENES IN THE CITY』(以下『シーンズ・イン・ザ・シティ』)も,出来不出来など関係なく“ウイントン・マルサリスのお兄ちゃん”というだけの理由でヘビー・ローテーション。
 特に2曲目【シーンズ・イン・ザ・シティ】における,チャーリー・パーカーバド・パウエルマイルス・デイビス・ライクなフレーズが,ナレーション入りの物語を彩る展開がお気に入り〜。

 そう。管理人はブランフォード・マルサリスウイントン・マルサリスの影を探し求めて聴いていた。
 そのこと自体は間違いではないと思うが,結果は不毛な作業となった。今でこそ理解できるが「ウイントンウイントンブランフォードブランフォード」。『シーンズ・イン・ザ・シティ』にウイントン・マルサリスのDNAは薄い。

 ポップなセンスとそれの対極にあるようなアヴァンギャルドな感覚の混在,システマティックに聴こえないインサイドとアウトサイドを自由奔放に行き来する独特なスタイル,特異なフレージングを統制して自然なものにまとめ上げているタイトで抜群のリズム感,さらに独特のユーモアを感じる「THIS IS BRANFORD MARSALIS」な個性は,ウイントン・マルサリスの「メインストリート・ジャズ」とは“似て非なり”である。

SCENES IN THE CITY-2 キャリアを重ねるごとに激しさ,複雑さ,難解さを増していくブランフォード・マルサリスのアルバムを聴き通してみるならば,この洗練された『シーンズ・イン・ザ・シティ』は“抑制の効いた耳触りの優しいジャズ”として響いてくる。

 そう。『シーンズ・イン・ザ・シティ』は,ブランフォード・マルサリスによる「新伝承派」宣言作!

 あぁ,何と勿体無いことしてしまったんだろう。“旬の”ブランフォード・マルサリスの美味しさを聴き逃していたよなぁ。

  01. No Backstage Pass
  02. Scenes In The City
  03. Solstice
  04. Waiting For Tain
  05. No Sidestepping
  06. Parable

(CBSソニー/CBS/SONY 1984年発売/25DP 5493)
(ライナーノーツ/A.B.スペルマン)

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ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / HARLEM BLUES (ACAPULCO VERSION)4

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の9曲目は【HARLEM BLUES(ACAPULCO VERSION)】(以下【ハーレム・ブルース(アカプルコ・ヴァージョン)】)。


 【ハーレム・ブルース(アカプルコ・ヴァージョン)】は,1曲目のアレンジ違い。
 ストリングスが全面が押し出される代わりに,ゴッソリとブランフォード・マルサリスソロが削ぎ落とされている。
 これはシンダ・ウイリアムスの“艶っぽい”ボーカルフィーチャーするためであろう。

 満員のジャズ・クラブで,しかし愛するたった一人の男性を思い浮かべて“歌い上げる”シンダ・ウイリアムスのワンマン(ワンウーマン?)・ショーが心に染み入る。
 シンダ・ウイリアムスの“全身全霊”をかけたステージングが映像として見えてくるような歌声である。

BRANFORD MARSARIS : Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet
CYNDA WILLIAMS : Vocal

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / JAZZ THING3

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の8曲目は【JAZZ THING】(以下【ジャズ・シング】)。


 【ジャズ・シング】は,ラップ調?の英語詩メインのトラックなので,曲の真偽については定かではないが“バード”で始まり,サッチモビ・バップ,シカゴ,ニューオリンズ,マックス・ローチジョン・コルトレーン…うんぬん叫んでいることからして,ジャズの歴史を題材にした,文字通りの【ジャズ・シング】。

 ビートに歌詞が乗っかってくる感じはジャズではないのだが,1分5秒と3分23秒で飛び込んでくる,ケニー・カークランドピアノがいい。このパートだけは“JAZZY”を感じさせてくれる。
 スポットで入る,テレンス・ブランチャードトランペットも,カッコイイ。雰囲気がいい。
 ん? なんだかんだ言って【ジャズ・シング】をバッサリと切り捨てることができていない。管理人はやはり小心者である…。

 蛇足。【ジャズ・シング】は,その昔,TOKYO FM『エモーショナル・ビート』のオープニング! どうもその印象が拭いきれない。これ分かる人いるのかなぁ。分からないだろうなぁ。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet
GANGSTARR : Vocals
MARK LEDFORD : Background Vocals
TAWATHA AGEE : Background Vocals
B.DAVID WHITWORTH : Background Vocals
BROOKLYN CROOKS(TOMMY HILL, SWEET D., G-MANN, BORN TRUE, KIWI) : Chorus
PETER HUNSTEIN : Programming, Sequencing, Sampling

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / BENEATH THE UNDERDOGS5

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の7曲目は【BENEATH THE UNDERDOG】(以下【ビニース・ザ・アンダードッグ】)。


 【ビニース・ザ・アンダードッグ】で,ブランフォード・マルサリスは,定番のテナー・サックスに加えてソプラノ・サックスも吹いているが,黙って2分6秒から3分24秒までのソプラノソロを聴いてほしい。特に入りの数秒間の“うなり声”が大好きだ。

 ここでのアドリブは,以前の“頭デッカチ”の時代と比べて,かみ砕かれた実に分かりやすい解釈だ。ゆったりと流れつつも緊張感あるアドリブ。これがブランフォード・マルサリス流の“新たなるジャズ”へのアプローチであろう。

 また3分43秒から始まるケニー・カークランドピアノソロが楽しい。見事な快演である。
 テレンス・ブランチャードトランペットもイントロから高度なフレーズ満載で,さすがは将来を嘱望されるだけのことはある。テレンス・ブランチャードの実力がいかんなく発揮されている。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / POP TOP 403

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の6曲目は【POP TOP 40】(以下【ポップ・トップ40】)。


 【ポップ・トップ40】のメインは,デンゼル・ワシントンのラップであるが,次々とバックから繰り出されるジャズの名フレーズ。
 そう。【ポップ・トップ40】の実態は【ジャズ・トップ40】である。

 3分23秒と3分38秒からは,マンハッタン・トランスファーの【トワイライト・ゾーン】が流れてくるから【ポップ・トップ40】でもいいのかもしれない。
 でも“ジャズ風”に聴こえるのは“ハプニング”連続の構成にある。曲の造り込みが“ポップス”ではなく“ジャズ”している。突然舞い降りるメジャー・フレーズに“ニヤついて”しまう。

 しかし管理人の評価はNGである。聴き込んでいるうちに,例の“ハプニング”連続の構成が“あざとく”聴こえてきた。やっぱりジャズの魅力は“自然発生的な”アドリブでなくっちゃね!

 トラック批評からは外れるが,ここで一言! ブランフォード・マルサリスは広義には,コルトレーンショーター・ラインのテナー奏者である。
 しかし2分57秒からはソニー・ロリンズの【モリタート】! ブランフォード・マルサリスも“ロリンズ・フリーク”全開なのです。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet
DENZEL WASHINGTON : Vocal
WESLEY SNIPES : Vocal

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / MO' BETTER BLUES5

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の5曲目は【MO’ BETTER BLUES】(以下【モ’・ベター・ブルース】)。


 朗々と,ゆったりと上質の時間が流れていく! 【モ’・ベター・ブルース】の楽しみは,ジャズに“酔いしれる”楽しみそのものだ。

 ブランフォード・マルサリスクインテットの5人が,ジャズを“演る”楽しみを「かみしめる」演奏である。
 豪快にアドリブを決めまくる演奏も楽しいが【モ’・ベター・ブルース】のように,丁寧に音を重ね合うハーモニーを楽しむのも「いとをかし」である。

 とりわけ【モ’・ベター・ブルース】から受ける印象は,メンバーの笑顔・笑顔・笑顔! 全員が“ジャズ・ブルース”を実に楽しそうにプレイしている。
 強いられて“嫌々音を合わせたジャズ”程つまらないものはないが,自ら進んで“調和”と“一致”を追い求めるジャズ

 リズムも含めて全てがいいのだが,最後の最後のケニー・カークランドの一音! この一音に【モ’・ベター・ブルース】の全てが凝縮されている。名演である。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / AGAIN NEVER5

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の4曲目は【AGAIN NEVER】(以下【アゲイン・ネバー】)。


 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』のどのような場面で使われているのかは知らないのだが【アゲイン・ネバー】を聴いていると映画の1シーンを思い描いてしまう。

 その場面とはこうだ! ジャズを愛しトランペットを愛する,将来を嘱望された主人公。
 ある日,幼ない子供を助けるために身を挺して不慮のケガ。あろうことか右手が負傷し,もうトランペットは吹けない,と医師から宣告されてしまう。絶望の淵に沈む主人公。
 もう人生は終わりだ,とばかりにバーボンに明け暮れる毎日。しかし財布の中には今でも“マイルス”の写真がしのばせてある…。そう。どうしてもジャズトランペットが好きで忘れられないのだ。
 無意識のうちに人気のない河川敷へと足が向く。夕陽に向かって一音吹く。出た,最高の音が出た! と,歓びもつかの間。右手が以前のようには動いてくれない。またも奈落の底へと突き落とされてしまう。
 しかしもうあきらめない。右手がだめなら左手があるさ。いざ,レフト・ハンドのトランペッターへ!
 根性の猛練習で奇跡のカムバック! 世紀のアドリブ! ジャズ・ジャイアントの誕生である。ねっ,素敵でしょ?

 なぁんてね。誠に自分勝手な“思い込み”というやつで,空想&妄想の頂点! でもこんな映画なら見てみたいでしょ? 誰かこんなジャズ映画作ってくれないかなぁ。
 あっ,『モ’・ベター・ブルース』。そう。『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』! やっぱりスパイク・リーである。
 管理人は,こんな“インスピレーション”を与えてくれる【アゲイン・ネバー】が大好きである。溢れ出る“ジャズ愛”に“ジーン”と感動してしまうのである。

 テレンス・ブランチャードの“哀愁”のトランペットに,ブランフォード・マルサリスの“黄昏”のソプラノ・サックスが実に良く合う。この“渋め”のトーンが全編を支配していく。
 そこへ“割って入る”ケニー・カークランド! このピアノが実にいい。1分51秒からのソロは“弾きすぎず&引きすぎず”。自然なテンションの上がり方に感情移入してしまう。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / KNOCKED OUT THE BOX4

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の3曲目は【KNOCKED OUT THE BOX】(以下【ノックト・アウト・ザ・ボックス】)。


 【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は,ブランフォード・マルサリスによる自作曲ではあるが,ブランフォード自身の出番はない。不思議なことに,ただの一度もない。
 まるでブランフォード抜きのブランフォード・マルサリス・カルテット。サビ抜きの“大トロ”がテレンス・ブランチャードなのである。

 そう。【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は「ブランフォード・マルサリス・プレゼンツ・テレンス・ブランチャードカルテット」による演奏なのであるる。 ← プロデュースではなくプレゼンツという点がミソ。(ちなみにプロデュースはデルフィーヨ・マルサリス)。

 これはブランフォード・マルサリスが考える,テレンス・ブランチャードの長所を生かしきるためのトラック! ブランフォード・マルサリスが(無論,多くのジャズ・ファンが)聴いてみたいと思うテレンス・ブランチャードがここにいる!

 そう。【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は,ブランフォード・マルサリスからジャズ・ファンへの“贈り物”なのである。

 テレンストランペットには,やはり“ポスト・ウイントン・マルサリスはこの男しかいない”と思わせる何かがある。
 特に46秒からラストまでの怒濤のフレージングは,聴き手に息つく暇さえ与えない。惚れ惚れする完成度。素晴らしい!

 加えてジェフ・ワッツドラミングが,これまた素晴らしい。バックからテレンス・ブランチャードトランペットをあおりまくる。他の3人を“置いてけぼり”にする,トランペットドラムの名勝負が楽しめる。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / SAY HEY4

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の2曲目は【SAY HEY】(以下【セイ・ヘイ】)。


 【セイ・ヘイ】からは,冷静に計算されつつも熱い“現代ジャズのテイスト”が,それも“上質の味わい”がする。

 ユニゾンによるテーマが“いい感じ”のジャズなのだが,それ以上にソロ廻しがかっこいい。
 27秒からはテレンス・ブランチャード。リズムに乗った伸びのあるフレーズがビシビシ・キマッテ・カッコイイ。
 1分18秒からはブランフォード・マルサリス。こちらは“流ちょうな”テナー・サックスがリズム隊を追い越し,リードし,自分の世界を造り出す。

 特質すべきは,2人のソロの一貫性。テレンス・ブランチャードが用意した“美味な”アドリブブランフォード・マルサリスが仕上げていく。名コラボゆえの一級品の完成である。

 綿密なリハーサルをこなしての録音であろうが,聴こえてくるのは“初めてプレイしたかのような”緊張感。この緊張感がピアノベースドラムにも伝染した“熱演”である。

 トランペットソロの36秒でも,テナーソロの1分45秒でも,バックから,メンバーの“うなり声”が聴こえてくる! それが“熱演を物語る”揺るがぬ証拠である。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / HARLEM BLUES4

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の1曲目は【HARLEM BLUES】(以下【ハーレム・ブルース】)。


 【ハーレム・ブルース】は映画主題歌でもある美しいボーカル・ナンバー。

 ブランフォード・マルサリスソプラノ・サックスを吹いているが,シンダ・ウイリアムスへの素晴らしいサポート,間奏でのアドリブ,そのどちらもが素晴らしい!
 特に3分2秒からのソロと曲の終わりを締めるソロが聴き所。

 しかしシンダ・ウイリアムスの本業は女優であるのに,歌が上手! 普段ボーカルものはほとんど聴かないせいなのか,管理人の心に染みてきた。
 参考までに日本女優でも柴咲コウの歌は好きである(本当にどうでもいい話です)。

 このようにアドリブログは文章もアドリブ=乱文,乱筆。
 管理人は楽器の演奏はできないので,せめて筆を楽器として自由にインプロヴァイズさせてくださいねっ!

BRANFORD MARSARIS : Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet
CYNDA WILLIAMS : Vocal

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース5

MUSIC FROM MO' BETTER BLUES-1 2005年6月,今旬な話題の一つに若貴兄弟がある。共に横綱として角界をリードしてきた兄弟の異変ぶりに,マスコミも大バッシングである。

 さて,ジャズ界の若貴兄弟と言えば,ブランフォードウイントンマルサリス兄弟だろう。著名な父に弟子入りしたこと。兄の実力を認めつつもどちらかと言えば弟の陰に隠れがちなこと。出世も弟が早かった。そして仲むつまじかった兄弟のまさかの決裂…と,花田家とマルサリス家には多くの共通点がある。

 今回はマルサリス家の“おにいちゃん”こと,ブランフォード・マルサリスについて紹介する。
 デビュー当初のブランフォード・マルサリスは,ウイントン・マルサリスと組んでメインストリート・ジャズの復権に貢献した。

 しかしブランフォード・マルサリスの名を世に知らしめたのは「他流試合」(若乃花がスポーツキャスターへと転身したこととは無関係だが)である。それはつまりスティングとの共演であり,この『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』(以下『モ’・ベター・ブルース』)での映画音楽である。

 若乃花もそうであるが,ブランフォード・マルサリスジャズの王道を踏み外したことは,個人的には残念でならない。
 というのも頑固なジャズ・ファンは,一度“売れ線”に手を染めた者は,その後よっぽどのジャズ・アルバムを制作しない限り“色物扱い”されるからである。
 すでに管理人もその影響にさらされてしまったのか,ブランフォード・マルサリスの代表作として“悲しいかな”『モ’・ベター・ブルース』を挙げざるを得ない。

 サウンド・トラック『モ’・ベター・ブルース』は,ブランフォード・マルサリスのレギュラー・カルテットに,トランペットテレンス・ブランチャードを加えたクインテット編成である。
 そう。ピンと来る人も多いと思うが,このバンドはウイントン・マルサリスの代役にテレンス・ブランチャードを迎えた,旧ウイントン・マルサリス・バンドなのである。

 この辺りが実に興味深い! 特にテレンス・ブランチャードウイントン・マルサリスのライバル格としてデビューしたのだから,この辺りもまた若貴兄弟と相通じるものがあるのかもしれない。

MUSIC FROM MO' BETTER BLUES-1 さて,今回はブランフォード・マルサリスの,しかもサウンド・トラックを取り上げてみた。
 かなりの変化球であることは承知しているが,時流に乗っかるのがブログの強みだろうし,軽やかなスタイルもジャズっぽいので“良し”としたが,いかがなものか?
 読者の反応がちょっぴり気になる小心者の管理人である。

  01. HARLEM BLUES
  02. SAY HEY
  03. KNOCKED OUT THE BOX
  04. AGAIN NEVER
  05. MO' BETTER BLUES
  06. POP TOP 40
  07. BENEATH THE UNDERDOG
  08. JAZZ THING
  09. HARLEM BLUES (Acapulco Version)

(CBSソニー/CBS/SONY 1990年発売/CSCS 5358)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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