HORIZON-1 『HORIZON』を一聴して強く感じたことは“河野啓三の偉大さ”であった。
 河野啓三の不在が痛い。河野啓三がいないと「伝統のスクェア・サウンド」が成立しないことを思い知らされた気分がした。

 …と言うのも実はこんなエピソードがある。以前にどこかのLIVEのMCで河野啓三が「バンドに貢献できているかどうか分からない」と述べていた。当然そんなことなどない。ファン全員,天に誓って一度たりともそう思った人はいないことだろう。
 でも何だかとても不憫に感じてしまって,あの河野啓三の言葉が今でも管理人の記憶に残っている。河野啓三を擁護したい。応援したい。ただそのことを直接,口に出して伝えたら終わりな訳で…。

 結果,これは本当に残念なことではあったが,河野啓三抜きの『HORIZON』を聴いてみて,河野啓三に自分の存在価値の大きさに自信を持ってほしいと思ってしまった。
 河野啓三の代役は「超大物」のフィリップ・セスである。しかし,あのフィリップ・セスをしても河野啓三の代役など務まっていない。
 そう。『HORIZON』とは“大黒柱”河野啓三が自然な形で証明されてしまったアルバムなのである。

 久しぶりのスクェアフィリップ・セスの組み合わせ。フィリップ・セスの先鋭的なサウンドを求めた伊東たけし坂東慧ソロとは違い「ポップ・インストゥメンタル・バンド」として安藤正容のDNA=「歌うメロディー」が楽器と音色を支配するバンドとの組み合わせ。

 うん。フィリップ・セスの完勝である。河野啓三抜きの『HORIZON』の真実とは「フィーチャリングフィリップ・セススクェア・サウンド」であった。

 『HORIZON』に流れている「伝統のスクェア・サウンド」とは『REBIRTH』『CITY COASTER』のラインではない。
 そうではなくLAから流れる『FRIENDSHIP』『NEW ROAD, OLD WAY』のユニット期のサウンドなのである。

 もしや『HORIZON』はアメリカで発売したら売れるのかもしれない。そんな雰囲気の音楽である。スクェアが「ザ」から「T」へと改名した『WAVE』の頃よりもアメリカに近づいている。

 こんなにもアーバンでLAしててスムーズ・ジャズスクェアは『FRIENDSHIP』以来である。完璧なバックサウンドと要所要所でソロを取るフィリップ・セスキーボードが,2000年頃のドン・グルーシンの煌びやかなキーボードを連想させる。

 河野啓三の大ピンチとは則ちT−スクェアの大ピンチ。こんな大ピンチを救ってくれたフィリップ・セスには感謝しかない。
 しかしフィリップ・セスの良さがT−スクェアの良さと混じり合うのは「音楽監督」河野啓三が率いるT−スクェアであろう。

HORIZON-2 是非是非,フィリップ・セスとは河野啓三が復帰したT−スクェアと再度共演してほしい。きっと凄いことになると思うから。次作では坂東慧河野啓三向きの神曲をきっと準備してくれるはずだから…。
 『HORIZON』は【SKY DRIVE】【HORIZON】【LOVE GAME】の3曲だけだったかなぁ。

 最後に『HORIZON』でうれしかったことがある。
 それは河野啓三T−スクェアのメンバーとしてクレジットされていたこと。そして内ジャケットの中にもメンバー写真として1ページ分写っていたこと。完全に河野啓三の「復帰待ち」スタンバイ体制である。

 T−スクェアキーボード・プレイヤーの椅子は永久欠番って感じの空席扱い? 『HORIZONツアーでは白井アキトの怪演に超期待している自分も正直いる?
 管理人はスクェア・ファミリーの一員として「音楽監督」河野啓三の復帰を(一刻も早く。でも決して無理してほしくない)いつまでも待っております。

  DISC 1
  01. SKY DRIVE
  02. Kasareria
  03. Lonesome George
  04. 追憶の街
  05. Horizon
  06. Love Game
  07. Samba de Bantha
  08. Parallel World
  09. Some Other Time

  DISC 2 DVD
  01. T-SQUARE 84h in Los Angeles

(オレンジレディ/ORANGE LADY 2019年発売/OLCH 10015〜16)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
★【初回生産限定盤】ボーナスDVD付 2枚組
★【初回生産限定盤】三方背BOX仕様
★音匠仕様レーベルコート

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