BARCELONA'S FLAME-1 ヨーロピアン・ジャズ・トリオに特別な思い入れはない。
 ちまたで絶賛,あるいは批判されているようだが,個人的にはそのどちらでもない。アルバムも5枚しか所有していないし,無関心ですみません。そんな感じである。

 管理人は考える。個人的にヨーロピアン・ジャズ・トリオの入り方を間違えてしまったのかなぁ。
 管理人は『SUPREME −THE BEST OF EJT−』から入ったから,EJTに対しては,世評通りに「叙情派」ピアノ・トリオの印象が擦り込まれている。
 ベスト盤って,選曲者の嗜好が強く出るから,世のファンの少数意見は反映され難いのが難点である?

 それゆえ,ヨーロピアン・ジャズ・トリオの印象とはMJQっぽい。だから聴いていてワクワクしないし,面白い音楽だとは思わない。クセがない&味が薄いのだから1回聴き通すと2回目は中々巡っては来ない。
 もしもヨーロピアン・ジャズ・トリオの1枚目が,この『BARCELONA’S FLAME』(以下『バルセロナの炎』)だったならヨーロピアン・ジャズ・トリオの印象も今より随分良かったのかもしれない。

 そう。『バルセロナの炎』でのヨーロピアン・ジャズ・トリオの演奏が熱い。テンションが高い。
 ピアノが遠くで鳴っているのではなく,ピアノが目の前で,耳元で鳴っている。グイグイと迫り来るような圧のかかった演奏に襲われる。これが本当にあのEJTなのか?

 一般に,ヨーロピアン・ジャズ・トリオと来れば,いい意味で癖がなく,とにかく綺麗な音を聴かせてくれる「叙情派」ピアノ・トリオの代名詞であろう。個人的にもこの見解に同意している。
 しかし「叙情派」ピアノ・トリオの標榜はよそに,その実,伝統的なジャズ・スタンダードは少な目で,クラシック,ポップス,映画音楽など有名どころを美味しく“ジャズ化”する雑食系でもある。

 そんなEJTの「表と裏のギャップ」に面して,硬派なジャズ・ファンが反EJTの旗を振って怒り狂う気持ちも理解できる。EJTが商業主義だとののしられる理由も理解できる。 

BARCELONA'S FLAME-2 しか〜し,管理人は反EJT派に1つのことを伝えたい。「もし文句があるのなら『バルセロナの炎』を聴いてからにしなさい」!

 『バルセロナの炎』での初期ヨーロピアン・ジャズ・トリオの演奏は優しい演奏ばかりではない。優等生な演奏ばかりではない。
 『バルセロナの炎』には,メロディーを分かりやすく伝える「叙情派」ピアノ・トリオに転身する前の“情熱と耽美の”ヨーロピアン・ジャズ・トリオがここにいる。

 ヨーロピアン・ジャズ・トリオは,お洒落で聴きやすいだけのピアノ・トリオではなかった。
 反EJT派の読者の皆さん。ヨーロピアン・ジャズ・トリオは“アドリブを熱く歌わせる”静かな中に情熱を秘めた,優秀なピアノ・トリオの選択肢の1つなのです!

  01. Day Dreams
  02. Strawberry Fields Forever
  03. Concerto d'Aranjues
  04. If You Leave Me Now
  05. My Parents
  06. Little Princess
  07. Poco Paco
  08. Gipsy In My Soul
  09. Comecar De Novo
  10. Stella By Starlight
  11. All Or Nothing At All
  12. Rock Beach (Barcelona's Flame)

(M&I/M&I 1990年発売/MYCJ-30314)
(ライナーノーツ/瀧口譲司)

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