山本剛は根っからの“ジャズ・ピアニスト”だとつくづく思う。何が書きたいのかと言うと音楽家とか作曲家ではなく“完全無欠のプレイヤー”だと言うことである。
山本剛と来れば,代名詞は【MISTY】である。VENUSからリリースした『SPEAK LOW』(以下『スピーク・ロウ』)でも,やっぱり【MISTY】を演奏している。
もしや山本剛は世界一【MISTY】の演奏回数の多いピアニストなのかも?
NO! 演奏回数の多さでは語ることはやめておこう。山本剛こそが【MISTY】を世界一輝かすことのできるピアニストである。
もはや“本家”エロール・ガーナーの演奏を超えている。エロール・ガーナーの内奥の感情をエロール・ガーナー以上に感じているからだろう。
いいや,もっと言えば【MISTY】に限らず,山本剛こそが有名ジャズ・スタンダードを最も輝かせることのできるピアニストの1人だと思う。
そう。山本剛がピアノを弾けば美メロが浮かび上がる。歌詞さえ聞こえてくる。歌そのものが実体となって鍵盤から飛び出してくる。
このような御託を並べても伝わらない。まずは『スピーク・ロウ』に耳を傾けてほしい。山本剛のブルージィーでスインギーな音世界が待ち構えている。恐らくはジャズ・ピアノの何たるかを一発で教えてくれることだろう。とにかく分かりやすいしとにかく楽しい。
その意味で山本剛が有名ジャズ・スタンダードを主戦場としてくれているのは実に有り難いことである。聞き馴染みのあるメロディーが「山ちゃん節」で奏でられた瞬間,身体が思わず横ノリしてしまう。
『スピーク・ロウ』は山本剛の史上最高のブルース・アルバムである。山本剛のスケールの大きなブルース・フィーリングを堪能できる。
ズバリ『スピーク・ロウ』の成功の秘訣は岡田勉のベースにあることを聞き逃してはならない。
山本剛と来れば,代名詞2はTBMレーベルであろう。山本剛の名演の宝庫がTBMにあることは間違いない。そんな「黄金期」の山本剛トリオの“ウォーキング・ベーシスト”が岡田勉である。
VENUSの代表である原哲夫はそこのところをよ〜く分かっている。岡田勉のベースにTBM以上の自由を与えている。20年以上の付き合いになるであろう山本剛と岡田勉の関係が,生涯初となるであろう「ベース上位」の関係性で演奏されている。
『スピーク・ロウ』における岡田勉のベースは,もはや山本剛のサポート役ではない。そうではなくてピアノの先導役としてピアノとドラムの間にスペースを与えているような印象を受ける。
そう。『スピーク・ロウ』とは,世界の誰よりも一番近くで山本剛のピアノを聴いてきた岡田勉だからプッシュすることの出来た「山本剛・フィーチャリング・山本剛」なアルバムなのである。
“完全無欠のプレイヤー”山本剛ここに有り。ジャズ・スタンダードを最も歌わせることのできる“ジャズ・ピアニスト”山本剛ここに有り。
VENUSの考える最良の山本剛が『スピーク・ロウ』の名演に詰められている。
01. Cool Struttin'
02. Black Is The Color
03. Speak Low
04. Misty
05. Doxy
06. Jealous Guy
07. Yesterdays
08. I've Never Been In Love Before
09. Come In From The Rain
10. Girl Blues
11. Close To You
TSUYOSHI YAMAMOTO : Piano
TSUTOMU OKADA : Bass
YOSHITAKA UEMATSU : Drums
エフェソス6章 神からの武具を全て身に着ける
アート・ペッパー 『ザ・コンプリート・アバシリ・コンサート1981』
山本剛と来れば,代名詞は【MISTY】である。VENUSからリリースした『SPEAK LOW』(以下『スピーク・ロウ』)でも,やっぱり【MISTY】を演奏している。
もしや山本剛は世界一【MISTY】の演奏回数の多いピアニストなのかも?
NO! 演奏回数の多さでは語ることはやめておこう。山本剛こそが【MISTY】を世界一輝かすことのできるピアニストである。
もはや“本家”エロール・ガーナーの演奏を超えている。エロール・ガーナーの内奥の感情をエロール・ガーナー以上に感じているからだろう。
いいや,もっと言えば【MISTY】に限らず,山本剛こそが有名ジャズ・スタンダードを最も輝かせることのできるピアニストの1人だと思う。
そう。山本剛がピアノを弾けば美メロが浮かび上がる。歌詞さえ聞こえてくる。歌そのものが実体となって鍵盤から飛び出してくる。
このような御託を並べても伝わらない。まずは『スピーク・ロウ』に耳を傾けてほしい。山本剛のブルージィーでスインギーな音世界が待ち構えている。恐らくはジャズ・ピアノの何たるかを一発で教えてくれることだろう。とにかく分かりやすいしとにかく楽しい。
その意味で山本剛が有名ジャズ・スタンダードを主戦場としてくれているのは実に有り難いことである。聞き馴染みのあるメロディーが「山ちゃん節」で奏でられた瞬間,身体が思わず横ノリしてしまう。
『スピーク・ロウ』は山本剛の史上最高のブルース・アルバムである。山本剛のスケールの大きなブルース・フィーリングを堪能できる。
ズバリ『スピーク・ロウ』の成功の秘訣は岡田勉のベースにあることを聞き逃してはならない。
山本剛と来れば,代名詞2はTBMレーベルであろう。山本剛の名演の宝庫がTBMにあることは間違いない。そんな「黄金期」の山本剛トリオの“ウォーキング・ベーシスト”が岡田勉である。
VENUSの代表である原哲夫はそこのところをよ〜く分かっている。岡田勉のベースにTBM以上の自由を与えている。20年以上の付き合いになるであろう山本剛と岡田勉の関係が,生涯初となるであろう「ベース上位」の関係性で演奏されている。
『スピーク・ロウ』における岡田勉のベースは,もはや山本剛のサポート役ではない。そうではなくてピアノの先導役としてピアノとドラムの間にスペースを与えているような印象を受ける。
そう。『スピーク・ロウ』とは,世界の誰よりも一番近くで山本剛のピアノを聴いてきた岡田勉だからプッシュすることの出来た「山本剛・フィーチャリング・山本剛」なアルバムなのである。
“完全無欠のプレイヤー”山本剛ここに有り。ジャズ・スタンダードを最も歌わせることのできる“ジャズ・ピアニスト”山本剛ここに有り。
VENUSの考える最良の山本剛が『スピーク・ロウ』の名演に詰められている。
01. Cool Struttin'
02. Black Is The Color
03. Speak Low
04. Misty
05. Doxy
06. Jealous Guy
07. Yesterdays
08. I've Never Been In Love Before
09. Come In From The Rain
10. Girl Blues
11. Close To You
TSUYOSHI YAMAMOTO : Piano
TSUTOMU OKADA : Bass
YOSHITAKA UEMATSU : Drums
(ヴィーナス/VENUS 1999年発売/TKCV-35083)
(ライナーノーツ/藤本史昭)
(ライナーノーツ/藤本史昭)
エフェソス6章 神からの武具を全て身に着ける
アート・ペッパー 『ザ・コンプリート・アバシリ・コンサート1981』