SUMMIT MEETING-1 破竹の快進撃を続けるエリック・アレキサンダーの2管編成クインテットSUMMIT MEETING』(以下『サミット・ミーティング』)のキーワードは“安定と洗練”である。

 トランペットニコラス・ペイトンを迎えて繰り広げられたユニゾンとバトルが,胸のすく王道ハード・バップに仕上げられている。
 エリック・アレキサンダーの自信に満ちたテナーサックスが,アンサンブルをどっしりと下支えしている。変な小細工など一切なし。安心して,現代に復興された上質なハード・バップを楽しむことができる。

 しかし,ここまで滑らかな演奏集を聴いていると,諸手を上げて喜ぶことが出来ない。人間って本当に「無いものねだり」ばかり。何もここまで無駄を削ぎ落とさなくても…。
 元来,エリック・アレキサンダーは名うてのテクニシャンであった。ミストーンなどデビュー・アルバム『STRAIGHT UP』の時点で一音もないくらい。

 そんなエリック・アレキサンダーが『サミット・ミーティング』で妙に丸くなった気がした。シカゴ・テナー伝統の「力任せに吹き上げる」男気溢れるエリック・アレキサンダーをもっともっと聴きたいのだ。

 自分の中のエリック・アレキサンダーへ寄せる思いがどこにあるのかを『サミット・ミーティング』を聴いて自覚してしまった。“安定と洗練”は決して悪いことではない。
 ただし,エリック・アレキサンダーのシカゴ・テナーに魅了されてきたファンとしては『THE SECOND MILESTONE』で突き抜けた,あの路線をそのままブレずに突き進んでくれるものと思っていた。だから何だかなぁ。

 『サミット・ミーティング』での“非の打ち所のない”テナーサックスに逆にモヤモヤしてしまう。ヴィンテージの良さって,年々,魅力が増していくじゃないですかぁ。
 『サミット・ミーティング』での“安定と洗練”を聴いていると,ヴィンテージの良さが色褪せて,大量生産消耗品の1つとして出回っていく感じ?

SUMMIT MEETING-2 どうやら管理人の求めている方向性とドンピシャで交わったのは『THE SECOND MILESTONE』1枚だけだったみたいです…。
 『サミット・ミーティング』以降のエリック・アレキサンダーは「円ではなくて楕円」だったみたいです…。

 楕円には周期がある。またいつか管理人の大好きなエリック・アレキサンダーと巡り会える。そう信じたい。
 …ということで『サミット・ミーティング』以降のエリック・アレキサンダーは不定期購入。気に入ったアルバムだけを紹介いたします。

  01. SUMMIT MEETING
  02. THE SWEETEST SOUNDS
  03. THERE BUT FOR THE GRACE OF...
  04. I HAVEN'T GOT ANYTHING BETTER TO DO
  05. A HOUSE IS NOT A HOME
  06. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
  07. SOMETHING'S GOTTA GIVE
  08. ANDRE'S TURN
  09. AFTER THE RAIN

(マイルストーン/MILESTONE 2002年発売/VICJ-60963)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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