THE SECOND MILESTONE-1 エリック・アレキサンダーの快進撃は『THE SECOND MILESTONE』(以下『ザ・セカンド・マイルストーン』)から始まった。管理人はそう断言しよう。

 デビュー以降のエリック・アレキサンダーの特長とは,難フレーズでもとにかく豪快に吹き切る,無敵のブロウ職人のようなイメージであったが,前作『THE FIRST MILESTONE』から“大人の魅力”開眼のようで,豊かな情感表現が目立つように変化していたと思う。

 しかし『THE FIRST MILESTONE』での大人の音世界は,残念ながらエリック・アレキサンダー主導というよりはパット・マルティーノの個性に引っ張られて出来上がった優良盤であり,エリック・アレキサンダーにとって『THE FIRST MILESTONE』は「過渡期」のアルバムの代表格のように思える。

 それがどうだろう。『ザ・セカンド・マイルストーン』での深い音色と硬派な鳴り。ついに「コルトレーン派・第三グループ」の筆頭格としてエリック・アレキサンダーが自ら追求する音楽性を確立したように思う。

 【MATCHMAKER,MATCHMAKER】の冒頭から流れ出たテナーサックスの衝撃が忘れられない。まるで現代にコルトレーンが舞い戻ってきたかのようなテナーサックスの深い響きに,稲妻に打たれたかのような電気ショックが背中を走った。

 真にゾクゾクした。久しぶりに「ウォーッ」と大声で叫びたくなった。音色にしてもフレージングにしても,一聴してすぐにエリック・アレキサンダーと識別できるコルトレーンのスタイルを完全消化し,オリジナルの音色を確立したエリック・アレキサンダー“その人”がここにいる。

 要は,白人コルトレーン派・伝統の「COOLなハード・バップ」である。しかもDRYなのにノリがめちゃめちゃ重い。ストレイト・アヘッドなスタイルが破壊力満点な「テナー・タイタン」の速射砲に身がよじれてしまう。真に手放しで素晴らしい。

 そう。「コルトレーン派・第三グループ」の筆頭格であるエリック・アレキサンダーの特長とは,インスピレーション豊かに,抑制のきいたトーンで創造的なインプロヴィゼーションを展開する「テナー・タイタン」である。

 そんなエリック・アレキサンダーが,明快なメロディー・ラインを創り出し,卓越したハーモニーを織り込みながら,スイングを発散し続け,完璧な形に仕上げたのが『ザ・セカンド・マイルストーン』なのである。

THE SECOND MILESTONE-2 1年前のアルバムと聴き比べて成長が分かるのだから,当のエリック・アレキサンダーの手応えはいかばかりであろう。腕を上げた。相当大きな自信を掴んだ。そんな勢いのまま臨んだレコーディングだったのだろう。

 ズバリ『ザ・セカンド・マイルストーン』で,エリック・アレキサンダーが一皮剥けた! エリック・アレキサンダーが「期待のニュー・スター」から「テナー・シーンのトップ・アーティスト」へと一気に駆け上った!
 エリック・アレキサンダーの「生きる伝説」は『ザ・セカンド・マイルストーン』から始まったのだ!

  01. matchmaker, matchmaker
  02. the second milestone
  03. moment to moment
  04. the man from hyde park
  05. estate
  06. luna naranja
  07. john neely beautiful people
  08. the cliffs of asturias

(マイルストーン/MILESTONE 2001年発売/VICJ-60745)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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