VISIONS-1 『VISIONS』(以下『ヴィジョンズ』)は,伊東たけしT−スクェア退団後のソロ第一弾アルバム。

 伊東たけしが本当にやりたかった音楽。その答えが『ヴィジョンズ』にたっぷりと詰まっているはず。
 そう思って聴き込んだ『ヴィジョンズ』の印象は,まさかのフィリップ・セスであった。伊東たけし安藤まさひろの腕から離れフィリップ・セスに抱かれている。

 『ヴィジョンズ』でスクェア・カラーが消された理由は伊東たけしサックスの“先鋭的な鳴り”にある。
 明るく爽やかな“T−スクェアのフロントマン”としての伊東たけしは『ヴィジョンズ』の中にはもはやいない。『ヴィジョンズ』の中にいるのは“HIPでCOOLな”ハイテンション・サックス・プレイヤー。再デビューしたかのような振り幅である。

 では『ヴィジョンズ』は駄盤なのかというとそうではない。『ヴィジョンズ』の最先端NYサウンドを駆け巡る,伊東たけしアルトサックスが相当にカッコ良い。
 アメリカ進出と言う目的でリリースされたスクェアの『WAVE』。その中の【BIG CITY】で痺れたあの感じが押し寄せてくる。

 スクェア・ファンであればあるほど,激変した伊東たけしばかりが耳に付くことと思うが,伊東たけしが目指した『WAVE』の夢の続きは,山下達郎と共演した【BLOW(N.Y.VERSION)】と『NATURAL』収録【HAPPY SONG】の聴き慣れたセルフ・カヴァーにこそ如実に表現されていると思う。

VISIONS-2 伊東たけしの中のアメリカとはLAのラス・フリーマンではなくNYのフィリップ・セスだったのだろう。でもよくよく聴くとフィリップ・セスではなく住友紀人だったりもする。

 伊東たけしとしてはオールド・セルマーへと音色も変えて,サックス一本で勝負していくためのEWIプレイヤー=住友紀人の起用だったと思うが,同じEWIプレイヤーだから分かった住友紀人のNYな才能に徐々に惹かれていくこととなる…。

 「影武者」住友紀人の覚醒は『ヴィジョンズ』におけるフィリップ・セスの音楽眼! 分かるかなぁ〜。

  01. MARBLES
  02. CORE ZONE
  03. VISION
  04. GAIYA
  05. BLOW (N.Y. VERSION)
  06. HAPPY SONG
  07. IN THE DISTANCE
  08. MANKALA

(アトランティック/MMG ATLANTIC 1992年発売/AMCM-4135)

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