TRAUMATIC 極東探偵団-1 レコード会社移籍が先なのか? 音楽性の変化が先なのか? 『TRAUMATIC 極東探偵団』で「タカナカ・サウンド」の“夏サウンド”が変化した。

 『TRAUMATIC 極東探偵団』も高中正義の基本である,夏は夏なのだが「灼熱」でも「トロピカル」でもなく「哀愁の夏」へと変化した。
 『TRAUMATIC 極東探偵団』が「寂しい夏の終わり」のBGMの一番手である。

 管理人の抱いた「時期遅れの夏」のイメージ。9月と10月の「誰も遊んでいない海」。これって【渚・モデラート】1曲の印象なのだろう。
 『TRAUMATIC 極東探偵団』は1曲1曲の個性が強い。しかし他のトラック全部をブッチギッて【渚・モデラート】1曲のインパクトがアルバム全体のイメージを支配している。

 『TRAUMATIC 極東探偵団』のテーマは「東南アジアの夏サウンド」。だから9月や10月でもまだまだ熱い「時期遅れの夏」のイメージがするのだろう。
 『TRAUMATIC 極東探偵団』で高中正義が目を付けたのは「極東とは危険な場所」→「波止場・埠頭」。その香港マフィア?系の危うさのエッセンスが見事に“デジタル・ファンク”の大仕事で散りばめられている。

 ズバリ,高中正義が『CAN I SING?』『夏・全・開』で打ち込みを採用してきたのは,来るべき『TRAUMATIC 極東探偵団』のようなブラコンとかダンス・ミュージックへとシフトするための布石であったと思う。

 『TRAUMATIC 極東探偵団』のキーワードはデジタル・チックとヴォーカルヴォイス)である。
 ザックリと分かりやすくイメージだけを書き記すと,過去に共演したオルケスタ・デ・ラ・ルスのようなサウンドであり,この後共演することになるマイアミ・サウンド・マシーンのようなサウンド,その中での「ギター1強」なのである。
 「ギター1強」と,ギターを補完する打ち込みとヴォーカルの「黄金のバランス比」が完成している。素晴らしい。

 高中正義と来れば,今となってはキティ時代の「初夏〜盛夏」の夏サウンドが大好きなのだが,学生時代には東芝EMI時代の「残暑〜晩夏」の夏サウンドがたまらなく好きだった。
 (ビジュアル的には)ダサイ系の高中正義が,見事に垢抜けて,都会的で,何となくオシャレになって,やんちゃな大人に背伸びしたイメージに共感していたのだろう。

 【渚・モデラート】に日本版シャカタクの【NIGHT BIRDS】や【INVITATIONS】を思い重ねていたりして…。
 あっ,シャカタクもこの時期『DOWN ON THE STREET』『CITY RHYTHM』でデジタル・ファンク路線を進んでいたんだっけ?

 『TRAUMATIC 極東探偵団』のレヴューを書いていて,初めて気付いてしまった?
 もしかして・タ・カ・ナ・カ〜。確信犯だったのか〜。

※ 『TRAUMATIC 極東探偵団批評ジャケット写真はミュージック・カセット・テープ版です。

  01. Teaser
  02. China
  03. The Line Is Busy
  04. 渚・モデラート
  05. Traumatic
  06. Jackie's Trail
  07. Chase
  08. Struttin' on Broadway
  09. Lagoon Music

(東芝EMI/EASTWORLD 1985年発売/ZH28-1545)

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